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2011年3月11日、一人の新聞記者が死んだ。福島民友新聞記者、熊田由貴生、享年24。福島県南相馬市で津波の最前線で取材をしていた熊田記者は、自分の命と引きかえに地元の人間の命を救った。その死は、仲間に衝撃を与えた。それは、ほかの記者たちも同じように津波を撮るべく海に向かい、そして、生命の危機に陥っていたからである。なかには目の前で津波に呑まれる人を救うことができなかった記者もいた。熊田記者の「死」は、生き残った記者たちに哀しみと傷痕を残した。取材の最前線でなぜ記者は、死んだのか。そして、その死は、なぜ仲間たちに負い目とトラウマを残したのか。非常用発電機のトラブルで新聞が発行できない崖っ淵に立たされ、さらには放射能汚染で支局も販売店も避難を余儀なくされた福島民友新聞を舞台に繰り広げられた新聞人たちの壮絶な闘い。「命」とは何か、「新聞」とは何か、を問う魂が震えるノンフィクション――。
...続きを読むPosted by ブクログ 2023年10月18日
記事を毎日提供しなければならない新聞記者であると同時に1人の人間であるが故の苦悩。
災害時にはこの両者の行動は相反するものとなり、そこでの経験が葛藤を生んでしまう。特に地域に根ざしている地方新聞だからこそ、そのスケールは等身大である。
しかし、行動や結末は違えど、1秒1秒が運命を分ける瞬間に各々が導...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年05月20日
東日本大震災で大きな被害を受けた福島県に本社を置く福島民友新聞。地震、津波、原発災害と立て続けに大きな被害が出た地域の地方新聞は停電や原発災害による避難指示で新聞の発行さえも危ぶまれる状況となりました。そんな逆境の中、地震翌日の3月12日に地震被害を伝える福島民友新聞は発刊され、しかも驚くことに既に...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年03月15日
福島民友新聞記者たちの怒濤の記録。
津波で人の命を救って亡くなった記者、おじいさんと孫を救えず今も罪悪感に悩まされる記者。生き残った人たちにも震災は今も苦しめ続ける。震災を生き延びても、その後亡くなった記者もいる。紙齢を絶やさないという執念と何が起きたか伝えねばならない使命感のすさまじさ。16、17...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年01月25日
購入から読み始めるまで一年以上かかりました。
何が正しいのかなんて誰にもわからないことだけれど、極限状態におかれた時に、仕事に対する思いと、生きること、生き続けることの大切さと難しさなど考えることなんてできなくて、本能的に動いてしまう、というのが人なのだろうなとつくづく思います。ただ、人間も自然の中...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年09月18日
震災のことを今頃になって「何も知らない」、日本人としてこのままでいいのか? と思ってた時にこの本に出会いました。
数ヶ月前に著者がネットニュースで、当時の原発のドキュメント映画を紹介する姿を見ていたことも頭の片隅にありました。
取材した内容に基づき、脚色していない、抑えているのかと思う構成に、取材し...続きを読む
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