世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR

世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR

小説・文芸
968円 (税込)

4pt

こうして今日も、世界で肉は作られる。
「見てきました、“動物が肉になるまで”」
世にも稀なイラストルポルタージュ!!

「食べるために動物を殺すことを可哀相と思ったり、屠畜に従事する人を残酷と感じるのは、日本だけなの? 他の国は違うなら、彼らと私たちでは何がどう違うの?」
アメリカ、インド、エジプト、チェコ、モンゴル、バリ、韓国、東京、沖縄。
世界の屠畜現場を徹底取材!! いつも「肉」を食べているのに、なぜか考えない「肉になるまで」の営み。そこはとても面白い世界だった。
「間違いなくオンリーワンの本」佐野眞一氏(解説より)

【目次】
まえがき
第一章 韓国
第二章 バリ島
第三章 エジプト
第四章 イスラム世界
第五章 チェコ
第六章 モンゴル
第七章 韓国の犬肉
第八章 豚の屠畜 東京・芝浦屠場
第九章 沖縄
第十章 豚の内臓・頭 東京・芝浦屠場
第一一章 革鞣し 東京・墨田
第一二章 動物の立場から
第一三章 牛の屠畜 東京・芝浦屠場
第一四章 牛の内臓・頭 東京・芝浦屠場
第一五章 インド
第一六章 アメリカ
終章 屠畜紀行その後
あとがき
文庫版あとがき
主要参考文献一覧
解説 佐野眞一

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世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    素晴らしい読書体験だった。
    読み終わったあとに食べたカレーの豚肉が本当に本当に美味しくてたまらなかった。
    この事を忘れないと思う。
    部落への関心も湧いた。
    (羅臼の件をきっかけに「羆嵐(吉田昭)」を読み、羆の肉を村民で食べるシーンに感動し、動物を食べるとはどういうことかを知りたくなり出会った著書。併せて「飼い食い」も買ったので早く読みたい!)

    0
    2025年08月27日

    Posted by ブクログ

    直視できるだろうか…直視できても、臭いに耐えられるだろうか。
    動物を捌く人々とその現場。旧約聖書の「羊を屠る」といった記述など、自分たちが生きていくには自分たちで動物に手を下さなきゃいけないって、頭では分かっていた。いや、分かっているつもりだった。

    顔面蒼白な私とは対称的に、取材とスケッチに積極的な内澤氏が、ミステリーハンターに見えてくる…。(題して、「世界とちく発見!」!?)
    内澤氏は不思議がっていたが、我々日本人がショックを受けるのは、ある程度仕方がないと私は思う。だって、幼い頃から屠畜の現場に接する機会がない…というか、限りなく狭められているから。

    「屠畜屠畜…」と書いたが、これはいわゆる「屠殺」で、食肉や皮革にするために動物を「潰す」ことを指す。(ちなみに本書ではこの「潰す」という言葉が度々使用され、命をいただくには、まずその行為から入らなければいけないのだと、都度思い知らされた)
    著者が「殺す」というネガティブなイメージを好まなかったことと、ただ殺しただけでは肉にならないことを強調したいという想いから、本書では「屠畜」と記されている。(確かに肉になるまでの工程が、気が遠くなるほど長かった…)

    試しに周囲に「屠畜の本を読んでいる」と伝えたところ、始めは皆ピンと来ていなかった。そこで「屠殺」と言い換えると、揃って顔をしかめるという事態に…。
    初版刊行からおよそ15年も経っているのに、屠畜に対する一般的なイメージは何も変わっていないのかと痛感させられた。

    「言い古されたことだけど、問いたい。この人たちは肉を食べてるんだよなあ。屠畜を『穢らわしい』と思っていて、どうして肉を食べることができるんだろう」(P 235)

    タイトル通り、世界各地(日本だと、沖縄や東京は芝浦の屠畜場)の屠畜現場での見学内容を一冊にまとめており、現地での模様は著者がスケッチで記録されている。
    日本では未だに食肉や皮革を生業とする人々への差別意識が残っている点から、著者は職業差別がないか各地で聞き込みをされていた。屠畜という行為に眉をしかめる人はいたものの、日本ほどの根強い差別は見受けられなかった。

    屠畜や解体のくだりは正直私もビビっていたけど、自ら自給自足の生活を選ばない限り、そうした仕事は別の誰かが担うことになる。でもそれは決して穢らわしくなんかない、尊い仕事ではないかと感じるようになった。
    それに、命をいただくことは「潰す」ことの一点張りではないし、飼育側も動物たちを一方的に支配しているわけではない。

    「けれど私は、確実な意思の疎通ができない動物に対して、人間が、かわいそうだとかストレスだとか解釈することじたいが『奢っている』と思う」(P 126)

    屠畜のことを知って、肉を口にしなくなる人もいる。でも私は、そして本書を読んだ大方の日本人は、これからも肉を食べ続けるだろう。
    工程がショックなのはまだ否めない。とはいえ、肉の生産に関わる人々や、食肉化・皮革化されていく動物たちを無視しながら肉食を続けるなど、我々に許されるわけがない。

    0
    2025年04月13日

    Posted by ブクログ

     まだ一月だが、二〇二五年に読んだスゴイ本番付に私はきっとこの本を入れるだろう……!と興奮冷めやらぬ思いである。日本語が読めて、お肉をふつうに食べて暮らしている人は、もう、絶対一度は読むべきです!、とスーパーの前で本書を百冊くらい配りたいくらいの気持ちだが、そんな鼻息荒い人の話は聞きたくないなというもう一人の冷静な自分もいるので、まずは本の感想を落ち着いて書いてみるんである。

    ▼もとは解放出版社『部落解放』の連載である。単行本としての刊行は二〇〇七年。日本における、屠畜業や皮革業と差別との関係についての疑問が、本書のベースにある。私にとっては、上原善広『日本の路地を旅する』を読んだ時に抱いた感想と通じるところがあった。

    ▼諸外国では、職業に対する差別意識は必ずしも当たり前ではないようだ。が、一方でよくあるのが、「この動物を殺して食べるのはかわいそう(例:牛はいいが犬はダメとか)」「動物を殺して食べるにしても、こういう殺し方は残虐である(例:大規模屠畜はダメとか)」といった主張。さらによくわからないのは「とにかく動物を殺すのは悪い」、言っている本人がベジタリアンならまだしもそうとは限らない。もちろん人間のいうことに矛盾はつきものであるが、それにしても納得いかないんだよなあ、というのが本書の立場。

    ▼こうした差別や批判について、内澤さんもいろいろ思うところを書いたりインタビューしたりしているし、私もたくさん考えさせられた。が、この本のスゴイところは、言説や思索やイデオロギーにカッカして浮き上がりそうになる脳みそをふん掴まえて地面にとどめてくれるだけの濃さと重さを持った、取材報告そのもの。バリ島やエジプトやモンゴルなど世界の屠畜現場ももちろん興味深いが、何より東京品川の芝浦屠場のルポルタージュが圧巻。これが我が国のお肉(の一部)ができるまで(の工程の一部)なのか……と思っているところに今度はアメリカ屠畜場の取材記録。私はモンゴルの草原で屠られた羊肉を食べる機会は一生ないかもしれないが、スーパーで「国産」と「アメリカ産」のお肉を見比べてうーんと悩んでどっちかを選ぶことはしょっちゅうある。遠い国の旅の本だったのが、一気に自分事である。

    ▼終章「屠畜紀行、その後」もスゴイ。内澤さん、バリ島で宣言した「いつか自分でも動物をつぶす」を東京で実行するんであるが、その実感のこもった体験記を読んでいると、本当にしみじみと胸に迫るものがあった。文庫版(二〇一一年刊行)あとがきでは、その後の内澤さんの屠畜関連の活動として豚を飼ったなどと書かれているし、というか二〇二〇年刊行の『着せる女』では「小豆島でヤギを飼って暮らしている」という話だったし、二十年弱遅れではあるが内澤さんのやること書くもの気になりすぎるので、追っていきたい。出版業界のおじさんたちにスーツ買わせる(語弊あり)力もスゴかったけど、こんなスゴイ人ならあれくらい何さという気がしてきた。

    ▼個人的、関連(連想)図書
    ・柞刈湯葉『まず牛を球とします。』
    →ストレートに、SFが食肉問題をどう解決してくるか。
    ・ビアトリクス・ポター『こぶたのロビンソンのおはなし』
    →本書で内澤さんが悩んでいた、動物を擬人化して感情移入する気持ちと、その動物を美味しく食べたい気持ちとの矛盾を、いとも軽く飛び越える。……いや、ただただそのままぶつけている?
    ・夏目漱石『私の個人主義』の中の「道楽と職業」。社会が高度になって分業が進むと人間は不完全になる、という話だった記憶。

    0
    2025年01月27日

    Posted by ブクログ

    著者の本は2冊目だ。初読みは『身体のいいなり』で、サバサバした筆致に好感を持った。本書は題名どおり世界の屠畜の現場を踏んでの紀行文。そして、屠畜にまつわる差別を探求する目的もある。私たちは牛、豚、鶏、羊などの獣肉を食べて生きている。しかし、自分で解体処理して……というのは稀だろう。死と同じく、屠畜から目を逸らしていられる「世界」に住んでいるからこそ、経済動物と言われる生き物の命を無駄にしてはいけない。米国の、システム化された屠畜が生む差別にも考えさせられた。

    0
    2024年05月23日

    Posted by ブクログ

    おもしろい。知らなかったことが盛りだくさん。だけど、自分の目で確認するだけの度胸も胆もないものだから、イラストで充分です。捌かれた後のお肉と料理の紹介が豊かすぎて、新鮮なホルモンを食べに行きたくなります。

    0
    2023年02月07日

    A

    購入済み

    面白かった

    生き物を殺して食べるということについて
    普段考えることはないので
    とても参考になった。
    日本での常識と他の国の考えの違いも、
    とても面白かった。
    何が正しいということではないけれど。

    0
    2022年12月18日

    Posted by ブクログ

    世界を旅しながら屠畜について考えられる本
    イラストが結構沢山あって状況がイメージしやすく
    お肉メインのお手軽世界旅行ができる

    日本の場合だけでなく海外での事例も食文化に触れながら
    生き物をつぶすことについて知れる

    なかなか屠畜なんてテーマで世界旅行する人は居ないだろうけど
    ひとつのテーマを持って世界を回るのって楽しそう

    読後感がクレイジージャーニー観たあとみたいな感じ
    あと読んでると色んなお肉食べたくなる


    0
    2021年09月18日

    Posted by ブクログ

    ーー屠畜という仕事のおもしろさをイラスト入りで視覚に訴えるように伝えることで、多くの人が持つ忌避感を少しでも軽減したかった。(p.461 あとがきより)

    2007年初版、2011年に文庫化されて以来、すでに14版。筆者の目的は十分に達せられているように思える。何せ、面白い。そして、職人さんへのリスペクトが溢れている。
    雑誌『部落解放』の連載だということを知らずに読んだので、のっけから「白丁差別」の話が来ることに「?」となったけれど、読んでいるうちに「なるほど」と腑に落ちた。けれど、冒頭に引用したように、本書の焦点は「屠畜の面白さ」。さまざまな国や文化によって違うこと、共通すること、そしてなにより肉は美味しいということ。美味しい肉になるまで、大変な手間がかけられているのだということ。
    知らなかったなぁ、ということが満載だった。自分の中の忌避感にも向き合わざるえなかった(私はどうしても馬肉が食べられない)。食文化への偏見、職業への偏見にも向き合わざるをえなかった。アニマルウェルフェアや動物愛護にどうして自分が胡散臭さを感じてしまうのかについても考えることができた。臭いものには蓋をして生きている自分を感じざるを得なかった。

    屠畜への忌避感ゆえか、アニマルウェルフェアの観点からか、畜産が非経済的で環境負荷が高いとするSDGsの観点からかはよくわからないけれど、バイオ肉や代替肉の研究は盛んなようだ。それの行き着く先はユートピアだと研究者と企業は言い、ディストピアだと『オリクスとクレイク』(マーガレット・アトウッド)は言う。本書を読んで思うのは、人間の本性を受け止め損ねたらディストピアコースなんだな、っていうこと。芝浦屠場の移転話も持ち上がっているみたいだけれど(今はどうなんだ?)「そんなにこぎれいに暮らしたいのかあ。」という筆者の感想に同感。人間は生きもの。人工物のクリーンさが理想?除毛して、除菌して、除臭して、視界から消して??生き物を殺して食べている、お肉大好きな生き物だという事実も抹消??生存に必要な範囲を超えた「清潔」を徹底追及して、生きものやめて、一体、何になるつもりなのかしら???クリーチャー????

    0
    2021年05月03日

    Posted by ブクログ

    肉を食べるということは、命を奪うことであるの当然ことである。それを知って肉を食べて生きているわけで、
    屠畜(または屠殺)に焦点をしぼって、
    日本を含めた世界各国の屠畜のやり方や、
    屠畜に対する意識を読めておもしろかった。
    もともとは「部落解放」という本に連載されていたそうで、
    日本での「穢れ」という意識についても言及されている。
    また、アニマルウェルフェアという、家畜の人権みたいのについても考えさせられるが、
    もちろん僕自身はこれからも肉を食います。

    0
    2021年03月14日

    Posted by ブクログ

    食べるために動物の命を奪い解体する。人が生きるために必要な行為が時と場所により差別される。世界の屠畜を取材、豊富なイラストで解説した作品。

    詳細なイラストと装丁が何より魅力の一冊。あまりに細かく老眼には少々厳しい。

    臭いもあれば血もある現場、通訳ガイドかみ怯んでも筆者は全く平気である。

    日本から韓国、モンゴル、アメリカなど世界を取材、良質のノンフィクション。

    0
    2021年03月03日

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