【感想・ネタバレ】世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOURのレビュー

あらすじ

こうして今日も、世界で肉は作られる。
「見てきました、“動物が肉になるまで”」
世にも稀なイラストルポルタージュ!!

「食べるために動物を殺すことを可哀相と思ったり、屠畜に従事する人を残酷と感じるのは、日本だけなの? 他の国は違うなら、彼らと私たちでは何がどう違うの?」
アメリカ、インド、エジプト、チェコ、モンゴル、バリ、韓国、東京、沖縄。
世界の屠畜現場を徹底取材!! いつも「肉」を食べているのに、なぜか考えない「肉になるまで」の営み。そこはとても面白い世界だった。
「間違いなくオンリーワンの本」佐野眞一氏(解説より)

【目次】
まえがき
第一章 韓国
第二章 バリ島
第三章 エジプト
第四章 イスラム世界
第五章 チェコ
第六章 モンゴル
第七章 韓国の犬肉
第八章 豚の屠畜 東京・芝浦屠場
第九章 沖縄
第十章 豚の内臓・頭 東京・芝浦屠場
第一一章 革鞣し 東京・墨田
第一二章 動物の立場から
第一三章 牛の屠畜 東京・芝浦屠場
第一四章 牛の内臓・頭 東京・芝浦屠場
第一五章 インド
第一六章 アメリカ
終章 屠畜紀行その後
あとがき
文庫版あとがき
主要参考文献一覧
解説 佐野眞一

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Posted by ブクログ

素晴らしい読書体験だった。
読み終わったあとに食べたカレーの豚肉が本当に本当に美味しくてたまらなかった。
この事を忘れないと思う。
部落への関心も湧いた。
(羅臼の件をきっかけに「羆嵐(吉田昭)」を読み、羆の肉を村民で食べるシーンに感動し、動物を食べるとはどういうことかを知りたくなり出会った著書。併せて「飼い食い」も買ったので早く読みたい!)

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2025年08月27日

Posted by ブクログ

直視できるだろうか…直視できても、臭いに耐えられるだろうか。
動物を捌く人々とその現場。旧約聖書の「羊を屠る」といった記述など、自分たちが生きていくには自分たちで動物に手を下さなきゃいけないって、頭では分かっていた。いや、分かっているつもりだった。

顔面蒼白な私とは対称的に、取材とスケッチに積極的な内澤氏が、ミステリーハンターに見えてくる…。(題して、「世界とちく発見!」!?)
内澤氏は不思議がっていたが、我々日本人がショックを受けるのは、ある程度仕方がないと私は思う。だって、幼い頃から屠畜の現場に接する機会がない…というか、限りなく狭められているから。

「屠畜屠畜…」と書いたが、これはいわゆる「屠殺」で、食肉や皮革にするために動物を「潰す」ことを指す。(ちなみに本書ではこの「潰す」という言葉が度々使用され、命をいただくには、まずその行為から入らなければいけないのだと、都度思い知らされた)
著者が「殺す」というネガティブなイメージを好まなかったことと、ただ殺しただけでは肉にならないことを強調したいという想いから、本書では「屠畜」と記されている。(確かに肉になるまでの工程が、気が遠くなるほど長かった…)

試しに周囲に「屠畜の本を読んでいる」と伝えたところ、始めは皆ピンと来ていなかった。そこで「屠殺」と言い換えると、揃って顔をしかめるという事態に…。
初版刊行からおよそ15年も経っているのに、屠畜に対する一般的なイメージは何も変わっていないのかと痛感させられた。

「言い古されたことだけど、問いたい。この人たちは肉を食べてるんだよなあ。屠畜を『穢らわしい』と思っていて、どうして肉を食べることができるんだろう」(P 235)

タイトル通り、世界各地(日本だと、沖縄や東京は芝浦の屠畜場)の屠畜現場での見学内容を一冊にまとめており、現地での模様は著者がスケッチで記録されている。
日本では未だに食肉や皮革を生業とする人々への差別意識が残っている点から、著者は職業差別がないか各地で聞き込みをされていた。屠畜という行為に眉をしかめる人はいたものの、日本ほどの根強い差別は見受けられなかった。

屠畜や解体のくだりは正直私もビビっていたけど、自ら自給自足の生活を選ばない限り、そうした仕事は別の誰かが担うことになる。でもそれは決して穢らわしくなんかない、尊い仕事ではないかと感じるようになった。
それに、命をいただくことは「潰す」ことの一点張りではないし、飼育側も動物たちを一方的に支配しているわけではない。

「けれど私は、確実な意思の疎通ができない動物に対して、人間が、かわいそうだとかストレスだとか解釈することじたいが『奢っている』と思う」(P 126)

屠畜のことを知って、肉を口にしなくなる人もいる。でも私は、そして本書を読んだ大方の日本人は、これからも肉を食べ続けるだろう。
工程がショックなのはまだ否めない。とはいえ、肉の生産に関わる人々や、食肉化・皮革化されていく動物たちを無視しながら肉食を続けるなど、我々に許されるわけがない。

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2025年04月13日

Posted by ブクログ

 まだ一月だが、二〇二五年に読んだスゴイ本番付に私はきっとこの本を入れるだろう……!と興奮冷めやらぬ思いである。日本語が読めて、お肉をふつうに食べて暮らしている人は、もう、絶対一度は読むべきです!、とスーパーの前で本書を百冊くらい配りたいくらいの気持ちだが、そんな鼻息荒い人の話は聞きたくないなというもう一人の冷静な自分もいるので、まずは本の感想を落ち着いて書いてみるんである。

▼もとは解放出版社『部落解放』の連載である。単行本としての刊行は二〇〇七年。日本における、屠畜業や皮革業と差別との関係についての疑問が、本書のベースにある。私にとっては、上原善広『日本の路地を旅する』を読んだ時に抱いた感想と通じるところがあった。

▼諸外国では、職業に対する差別意識は必ずしも当たり前ではないようだ。が、一方でよくあるのが、「この動物を殺して食べるのはかわいそう(例:牛はいいが犬はダメとか)」「動物を殺して食べるにしても、こういう殺し方は残虐である(例:大規模屠畜はダメとか)」といった主張。さらによくわからないのは「とにかく動物を殺すのは悪い」、言っている本人がベジタリアンならまだしもそうとは限らない。もちろん人間のいうことに矛盾はつきものであるが、それにしても納得いかないんだよなあ、というのが本書の立場。

▼こうした差別や批判について、内澤さんもいろいろ思うところを書いたりインタビューしたりしているし、私もたくさん考えさせられた。が、この本のスゴイところは、言説や思索やイデオロギーにカッカして浮き上がりそうになる脳みそをふん掴まえて地面にとどめてくれるだけの濃さと重さを持った、取材報告そのもの。バリ島やエジプトやモンゴルなど世界の屠畜現場ももちろん興味深いが、何より東京品川の芝浦屠場のルポルタージュが圧巻。これが我が国のお肉(の一部)ができるまで(の工程の一部)なのか……と思っているところに今度はアメリカ屠畜場の取材記録。私はモンゴルの草原で屠られた羊肉を食べる機会は一生ないかもしれないが、スーパーで「国産」と「アメリカ産」のお肉を見比べてうーんと悩んでどっちかを選ぶことはしょっちゅうある。遠い国の旅の本だったのが、一気に自分事である。

▼終章「屠畜紀行、その後」もスゴイ。内澤さん、バリ島で宣言した「いつか自分でも動物をつぶす」を東京で実行するんであるが、その実感のこもった体験記を読んでいると、本当にしみじみと胸に迫るものがあった。文庫版(二〇一一年刊行)あとがきでは、その後の内澤さんの屠畜関連の活動として豚を飼ったなどと書かれているし、というか二〇二〇年刊行の『着せる女』では「小豆島でヤギを飼って暮らしている」という話だったし、二十年弱遅れではあるが内澤さんのやること書くもの気になりすぎるので、追っていきたい。出版業界のおじさんたちにスーツ買わせる(語弊あり)力もスゴかったけど、こんなスゴイ人ならあれくらい何さという気がしてきた。

▼個人的、関連(連想)図書
・柞刈湯葉『まず牛を球とします。』
→ストレートに、SFが食肉問題をどう解決してくるか。
・ビアトリクス・ポター『こぶたのロビンソンのおはなし』
→本書で内澤さんが悩んでいた、動物を擬人化して感情移入する気持ちと、その動物を美味しく食べたい気持ちとの矛盾を、いとも軽く飛び越える。……いや、ただただそのままぶつけている?
・夏目漱石『私の個人主義』の中の「道楽と職業」。社会が高度になって分業が進むと人間は不完全になる、という話だった記憶。

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2025年01月27日

Posted by ブクログ

著者の本は2冊目だ。初読みは『身体のいいなり』で、サバサバした筆致に好感を持った。本書は題名どおり世界の屠畜の現場を踏んでの紀行文。そして、屠畜にまつわる差別を探求する目的もある。私たちは牛、豚、鶏、羊などの獣肉を食べて生きている。しかし、自分で解体処理して……というのは稀だろう。死と同じく、屠畜から目を逸らしていられる「世界」に住んでいるからこそ、経済動物と言われる生き物の命を無駄にしてはいけない。米国の、システム化された屠畜が生む差別にも考えさせられた。

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2024年05月23日

Posted by ブクログ

おもしろい。知らなかったことが盛りだくさん。だけど、自分の目で確認するだけの度胸も胆もないものだから、イラストで充分です。捌かれた後のお肉と料理の紹介が豊かすぎて、新鮮なホルモンを食べに行きたくなります。

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2023年02月07日

A

購入済み

面白かった

生き物を殺して食べるということについて
普段考えることはないので
とても参考になった。
日本での常識と他の国の考えの違いも、
とても面白かった。
何が正しいということではないけれど。

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2022年12月18日

Posted by ブクログ

世界を旅しながら屠畜について考えられる本
イラストが結構沢山あって状況がイメージしやすく
お肉メインのお手軽世界旅行ができる

日本の場合だけでなく海外での事例も食文化に触れながら
生き物をつぶすことについて知れる

なかなか屠畜なんてテーマで世界旅行する人は居ないだろうけど
ひとつのテーマを持って世界を回るのって楽しそう

読後感がクレイジージャーニー観たあとみたいな感じ
あと読んでると色んなお肉食べたくなる


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2021年09月18日

Posted by ブクログ

ーー屠畜という仕事のおもしろさをイラスト入りで視覚に訴えるように伝えることで、多くの人が持つ忌避感を少しでも軽減したかった。(p.461 あとがきより)

2007年初版、2011年に文庫化されて以来、すでに14版。筆者の目的は十分に達せられているように思える。何せ、面白い。そして、職人さんへのリスペクトが溢れている。
雑誌『部落解放』の連載だということを知らずに読んだので、のっけから「白丁差別」の話が来ることに「?」となったけれど、読んでいるうちに「なるほど」と腑に落ちた。けれど、冒頭に引用したように、本書の焦点は「屠畜の面白さ」。さまざまな国や文化によって違うこと、共通すること、そしてなにより肉は美味しいということ。美味しい肉になるまで、大変な手間がかけられているのだということ。
知らなかったなぁ、ということが満載だった。自分の中の忌避感にも向き合わざるえなかった(私はどうしても馬肉が食べられない)。食文化への偏見、職業への偏見にも向き合わざるをえなかった。アニマルウェルフェアや動物愛護にどうして自分が胡散臭さを感じてしまうのかについても考えることができた。臭いものには蓋をして生きている自分を感じざるを得なかった。

屠畜への忌避感ゆえか、アニマルウェルフェアの観点からか、畜産が非経済的で環境負荷が高いとするSDGsの観点からかはよくわからないけれど、バイオ肉や代替肉の研究は盛んなようだ。それの行き着く先はユートピアだと研究者と企業は言い、ディストピアだと『オリクスとクレイク』(マーガレット・アトウッド)は言う。本書を読んで思うのは、人間の本性を受け止め損ねたらディストピアコースなんだな、っていうこと。芝浦屠場の移転話も持ち上がっているみたいだけれど(今はどうなんだ?)「そんなにこぎれいに暮らしたいのかあ。」という筆者の感想に同感。人間は生きもの。人工物のクリーンさが理想?除毛して、除菌して、除臭して、視界から消して??生き物を殺して食べている、お肉大好きな生き物だという事実も抹消??生存に必要な範囲を超えた「清潔」を徹底追及して、生きものやめて、一体、何になるつもりなのかしら???クリーチャー????

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2021年05月03日

Posted by ブクログ

肉を食べるということは、命を奪うことであるの当然ことである。それを知って肉を食べて生きているわけで、
屠畜(または屠殺)に焦点をしぼって、
日本を含めた世界各国の屠畜のやり方や、
屠畜に対する意識を読めておもしろかった。
もともとは「部落解放」という本に連載されていたそうで、
日本での「穢れ」という意識についても言及されている。
また、アニマルウェルフェアという、家畜の人権みたいのについても考えさせられるが、
もちろん僕自身はこれからも肉を食います。

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2021年03月14日

Posted by ブクログ

食べるために動物の命を奪い解体する。人が生きるために必要な行為が時と場所により差別される。世界の屠畜を取材、豊富なイラストで解説した作品。

詳細なイラストと装丁が何より魅力の一冊。あまりに細かく老眼には少々厳しい。

臭いもあれば血もある現場、通訳ガイドかみ怯んでも筆者は全く平気である。

日本から韓国、モンゴル、アメリカなど世界を取材、良質のノンフィクション。

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2021年03月03日

Posted by ブクログ

世界の”屠畜”模様のレポート。
元は、被差別部落の職業差別レポートだったはずだけど、
いつの間にやら、屠畜レポートに。
家畜を食品にする、難しくてありがたい職業だけど、
宗教、文化、食生活、政治で、いろんな立場に。
とにかく、お肉食べる時は「いただきます」を
ちゃんと言いましょう。

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2019年11月24日

Posted by ブクログ

ひー
 角川書店で本を出してゐる作家のブログで、編集の人から変なもの、 「盲点」や「黒人」へ
「これまずくないですか?」
 と言はれたとか言ふのがあったが、なんかこの本は出とるな。
 屠畜をあからさまに蔑視する朝鮮人、その態度を「清々しい」といふ著者、外圧に負ける食犬文化と抵抗する犬鍋業者、屠畜を犯罪と言ひきるインド人、屠畜文化がない沖縄からやってきてさういふ異文化に接触する人、などが描かれてるのだが。

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2019年10月17日

Posted by ブクログ

内容(「BOOK」データベースより)
「食べるために動物を殺すことをかわいそうと思ったり、屠畜に従事する人を残酷と感じるのは、日本だけなの?他の国は違うなら、彼らと私たちでは何がどう違うの?」アメリカ、インド、エジプト、チェコ、モンゴル、バリ、韓国、東京、沖縄。世界の屠畜現場を徹底取材!いつも「肉」を食べているのに、なぜか考えない「肉になるまで」の営み。そこはとても面白い世界だった。イラストルポルタージュの傑作、遂に文庫化。

肉が好きです。特に焼肉が大好き。出来る事なら毎日食べたい。カルビにホルモンにタン。どれもこれも家畜とお肉にしてくれるひとが居て初めて成立する事です。でもそこはかとなく流れる屠畜への蔑視。それが世界共通なのか日本だけのものなのか。とことん潜入取材をしている稀有な本だと思います。「飼い喰い」を先に読みましたがその手前にある世界の屠畜事情のルポです。自分自身目の当りにしたらきっとしばらく肉食えなくなるであろう光景のオンパレードですが、屠畜蔑視ではなく逆に尊敬してしまいます。速やかに裁かれで美味しく安全なお肉として皆の食卓に上るその大変さ。その為に変化進化してきた食肉業界。未だに結婚差別や就職差別があると言います。そういう人は肉食わないのかと声を大きくして言いたい。おちょぼ口でかわいそうなどと言いながら肉を口に運ぶ人々。自分の手を汚さないままに批判だけで恩恵を享受する人がどれだけ多いことか。
と、堅い話はあるものの、実際世界中のお肉の現場をイラスト付きで解説する本書は、興味津々で是非読んでいただきたいです。読み終わった時にはパックのお肉の手前の姿が思い浮かぶはず。それをありがたく思いながら今日もおいしく頂きましょう。

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2018年02月10日

Posted by ブクログ

屠畜が「残酷」と隠されていることを問題視し、それなら見てもらおう、と世界の屠畜とその国の屠畜に対する意識や差別感情なども一緒に紹介した本。生と死が隠されていることについては考えたことがあったけど、ここにもあった、隠されているもの。私も屠畜見てみたい!となった。こういうものを見ながら生きる方が、絶対に生が充実すると思う。

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2015年12月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この世にふたつとない、イラストルポ。屠畜を通して、食べること、生きることを考える。じつになまなましい。素晴らしい。

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2014年01月28日

Posted by ブクログ

「飼い食い」の内澤氏の著作。飼い食いより少し前の出版だが、内容は2000年代前半で、随分前を扱っている。内澤氏の屠畜(屠殺より屠畜を使いたいと)への情熱ほとばしる筆致に圧倒される。私も肉好きであるが、日々食肉業者の方々への感謝を忘れないようにしないと、とは思う。屠畜への感情はなかなか著者のようには熱を持って語れないが、興味深いのは確か。各国によって文化の違いが屠畜の仕方にも反映されている。それは古くからの生活習慣であったり、宗教の差であったり。
屠畜場の描写では、日本とアメリカが特に印象深いかな。我々の口に入る肉を処理する日本最大の芝浦屠場で働く人々の様子、そして屠畜大国アメリカにおける関係人の思いの強さには驚く場面も多かった。アメリカの関係者には女性が多いのもいいね。面白い対比はエジプトで家族も見守る中で羊が屠畜されるときの陽気さと、インドでイスラム教徒が羊を屠畜する際の陰気さかな。インドでは多数派がヒンドゥー教徒でベジタリアンも多く、屠畜は少数派のイスラム教徒の仕事なのだ(らしい)。
ところで、本書は月刊「部落解放」に雑誌に連載されていた文章が大半のようで、そのせいでか、部落差別に絡んだ日本の屠畜業者、関係者への差別感情をどうにかしたいという気持ちも溢れている。個人的にはそこの部分があまりピンとこないというか、今の日本でそこまで差別されてる?と思ってしまうのだがそう考えると怒られそうでもある。私も50過ぎだし同和教育も受けたけど、実感としてはなにもないんだよねえ、、だから日本と違い屠畜への差別意識が無い国々として中東諸国、エジプト、チェコ、モンゴル、バリ島、などなど紹介されるけど、違和感は感じてしまう。ちなみに韓国では差別が根強いそうだが。。そのあたりは、差別の有る無しも20年経った現在ではどうなのか気になるところ。

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2025年06月16日

Posted by ブクログ

屠畜方法も屠畜に関しての考え方も国、地域、人種、宗教などによってさまざま。
屠畜から多様性を学べる稀有な本。

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2024年08月28日

Posted by ブクログ

生き物がどう殺されていくのか知りたくて読んだ。
主題としては「なぜ日本では屠殺業を営む人が差別されているのか、他の国でもそうなのか」というルポ。
私自身は「人間に殺されて可哀想だな、でも私も肉好きだしな…」という想いはあり、ただ屠殺業に従事する人に対して残酷だとか感じたことは一度もない。本書が書かれてからだいぶ時間も経っているから、差別意識も少しずつ無くなってきているのではないかと思うけど。

家畜がどういう風に私たちの目の前に肉として運ばれてくるのか全然知らなかったので、本書はイラスト付きでわかりやすく解説されているためとてもイメージしやすかった。自分が読んできた本の中でも珍しいジャンルなのでとても勉強になった。正直動画とか写真で見られるかというとなんとも言えない…ので、イラストという点もありがたい。血とか苦手な人でも大丈夫そう。

日本だけじゃなく各国の屠殺文化まで綿密に取材されていて面白かった。
同じ仏教国でも生きるために必要だからと、差別意識などがない国、完全に汚れた仕事だと思われている国…国の数だけ価値観が多様で面白い。

私はお肉が好きだから、しっかり家畜に感謝をして残さずお肉を食べ続けたい。可哀想と思うなら食べないのではなく、命に感謝してちゃんと頂くことが大事だと思う。

ちなみにこの本自体は良い内容だと思うが、著者に関してはちょっと行きすぎというか、殺されるところをワクワクしながら見たりちょっとサイコみを感じてしまう。個人的には家畜を「つぶす」という表現も好きじゃない。

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2023年08月17日

Posted by ブクログ




・私が食べているお肉が生きている動物からどのように作られているのか


・屠畜場の重要な役割
 動物には病気や不衛生な個体がおり安全に屠り食肉にするには技術や設備が整う屠殺場が重要な役割を担っている。日本で獣畜(牛豚馬羊山羊)を勝手に解体してはいけないのも食中毒や病気の蔓延を防ぐためである。ただ少し前の沖縄では羊と山羊は捌けたらしい。

・屠殺やその職に関わる労働者に対する国毎のイメージや考え方

 面白いなと思ったことが国や宗教によっては屠殺にとても肯定的な考えがあること。
 例えばバリのヒンドゥー教徒の考えにお供えとして殺された植物や動物は位が上がり天国に行けたり生まれ変わったらより良い身分になれるとされている。人間の食事も人間へのお供えとそれるので屠殺は良い行為である。
 他にもモンゴルの遊牧民はそもそも食は他の生命の犠牲に成り立っているとしてる。
 屠殺という職業に関しても一部の宗教的には神様への生贄やお供えとして動物を屠ることが多々あるためその技術は良いものとされている。

・韓国や中国での犬食文化
 

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2022年01月21日

Posted by ブクログ

筆者がモンゴルにて、羊を目の前で解体され振る舞われたことをきっかけに「屠畜」に興味を持ち、海外と国内の屠畜の現場を回ったルポです。文庫で450P以上と長いですが、各国の屠畜を通じて文化人類学、歴史、動物の情動、宗教観、日本特有の差別の構造にも触れ、興味が途切れることなく読めました。

オリジナルの単行本は2007年に発表されてますが、それ以前にも屠畜・屠殺を題材にした本は多く出版されています。しかし屠畜をこのようなポップな装丁、感性、文体で本にしたことは凄いと思います。当時話題になりましたし、多くの人の価値観への見事なカウンターとなったのではないかと想像します。

文体および文中の著者の振る舞いは、よく言えば天真爛漫、悪く言えば(著者ご本人も文中で書いてますが)不躾で、著者の素直なリアクションが伝わってきます。素直ということは当然、著者のバイアスもそのまま文中に現れるので、動物愛護の気持ちの強い人などからしたらケンカを売られているように感じる物言いも見られます。そのあたりは読者の好みによりますね。

基本的には、動物が気絶させられたり、ノドを捌かれ吊るされたり、皮を剥がされたりする場面においても終始ネガティブな反応はほぼなく、ワクワク!な筆者ですが、文中で一箇所だけ著者が「かわいそう」と思う場面があります。それは肉の需要量に応えるため、人工授精によって牛を増やしている現実に触れた時です。人間の都合で自然な繁殖である「交尾」をせずして生涯を終える牛がいるということを知った時の筆者の心情はワクワク!の時と対照的で印象に残っています。

日本の食肉文化の歴史は世界的に比べて浅く、そのうえ現代は家畜を飼う一般家庭も少ない。「動物を殺して生きている」という感覚は極限まで薄められています。ベジタリアンではないわたしとしては、動物がどういう風に肉へと加工されていくのかを見ずして美味しい思いだけするのはフェアではないと思ったので(フェアにはなり得ないとも思っていますが)、この機会に屠畜の現場の動画を目を逸らさずに視聴しました。おそらくその動画は動物愛護的観点に偏った編集がされていて、特に残酷に見えるものであったと思いますが…。あとはお肉を食べられることに感謝を忘れないようにしようと思います。

個人的な話ですが、わたしの幼少期に母は移動販売業をしており、顧客の中にたまたま屠畜場で働く人がいて、学校を終えたわたしの送り迎えのついでに仕事のため2、3回ほど屠畜場へ母はわたしを連れて行きました。そこでわたしは初めて吊るされた大きな枝肉を見て、「本当にあの『牛』が『お肉』になるんだ」と悟ったことを読後に思い出しました。そして今思えば母は屠畜業に対する差別がなかったのかもしれないと気づき、今更ながら母を尊敬しました。

日本の屠畜場は世界に比べて衛生面ではトップクラスであり(その分めちゃくちゃスタッフさんが働いてくれている)、日本産の肉を食べられていることはとてもありがたいことだと改めて感じました(ま、食肉偽装という別の問題はあるでしょうけれど…)。

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2021年11月18日

Posted by ブクログ

屠畜っていうと、牛や豚などを「殺して肉にする」エグいと思われるテーマです。獣医師にとっても、と畜検査員になりたい!と免許取得後の第一選択にしていることはまずないんじゃないかと個人的には思うわけですが、本意・不本意の別なく、と畜検査員になられた方にはぜひ一度お手にとって眺めていただけると良いのではないかと思います。

僕はこの本を読んで、自分の仕事であると畜検査がより一層好きになりました。

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2020年10月04日

Posted by ブクログ

なかなかしつこく屠殺について調べていて、興味深く読んだ。
しかし、この本も相当前の本だから、今は事情も変化しているんだろうな。
ちなみに、私は、著者と同じく、屠畜と動物愛護は別物だと思うし、肉食べてる以上、屠畜には敬意を払うべきといつも思ってる!

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2020年09月12日

Posted by ブクログ

屠畜の世界っておもしろい、且つ、とても重要な産業です。もっと知ってもらうが必要ですね。
命をいただくことは生きること、生きることは命をいただくこと。当たり前のことであり、残酷なことでは無い。もっと尊い仕事として扱われてもいいように感じました。

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2017年04月11日

Posted by ブクログ

数人からオススメされた屠畜の本。いきものがお肉になるまでを描いた(本当に詳細なスケッチもある)一冊。各国の美味しく食べるための技や、衛生管理や効率化するための職人的技術はすごい。動物愛護のことや職業差別の意識についても各国でインタビューされてて、自分はどう思うだろう、どこの国のどの宗教のどの人の考えに近いだろうといろいろな視点があり面白い。モンゴルの平原のように空間だけでなく動物と人間と自然と、全てのものが平行、水平で真っ直ぐだというのは、わたしでは現地に行っても体感できない気がする。お肉は美味しく食べてるし、山羊皮の財布気に入って使ってるから、いろんな人に感謝感謝の、読んで良かった一冊です。

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2017年09月16日

Posted by ブクログ

多くの人が日常的に肉を食べているにも関わらず、それがおいしいお肉になるまでの過程をビュジュアル的に思い浮かべることはできない。豚や牛、鶏、馬、鯨、鹿や羊、などなど。お肉になる動物は数知れず。魚をおろす人はまあまあいるが、俺、自分で鶏を絞めるよ、なんて人には出会ったことがないし、いたらなんでそんな話すんだよ、と白い目で見るかもしれない。

「屠畜」の現場は未知の世界だ。かつ食文化の盲点だ。


豚がどう解体されるのか知らなかったし、牛がどう解体されるのかも知らなかった。日本では電気ショックで気絶させて、気絶しているうちに解体していしまう。たぶん当の本人(本豚、本牛)は死んでるのに気づいてないんじゃないか。
解体の過程がまあ細かい。こんな細かいイラスト解説いるのか?ってくらい細かい。正直イラストじゃなくて映像で見せてくれたほうがわかりやすいかなぁと思ったけど、映像で見たらトラウマになるかもしれないので、イラストでギリギリなのかもしれない。でもこの過程に思いを巡らすというのは大事なことだ。


食事の前の「いただきます」という言葉。これは神仏への感謝の意味もあるが「命をいただきます」という意味もある。生きていくために犠牲になってくれた動物、植物への感謝の気持ちを表す言葉でもある。しかし、肉食という行為がどれだけ尊い命の犠牲の上に成り立っているのかを考えている人が果たしてどうれだけいるだろうか。
だから肉食をやめろと言っているのではない。菜食だって植物の命を奪うことを無しにはできない。命をいただいているんだよってことを自覚することが、命を大切にすることにつながっているということ。加工食品ばっかり食べてる現代人に欠落している視点だなと思う。





ここでは日本のことしか書かなかったけど、本書では世界各国の屠畜事情も書いてあるので内容はボリューム満点。比較してみると、庭で家畜を殺したり、店先で肉の解体をしている国のほうが、肉も内臓も無駄にしないし、ほとんどの部位を食べる。人目に屠畜の現場をさらすなんて野蛮だ、なんて言ってる国のほうが命の重みをわかってない。


この本、簡易版をつくって、小学校の教科書に採用したほうがいいな。

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2017年08月30日

Posted by ブクログ

屠畜するところ、お肉が作られるところを見たい!というやわらかめ視点と、屠畜に従事する人々が受ける差別への問題意識というかため視点のバランスがいい。
イラストがとても素敵。

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2015年07月01日

Posted by ブクログ

「思想強っ」

著者の考えなのか、解放同盟系の出版社・編集の意向
なのか、はたまたその両方なのか分からないが、「屠畜関係者に対する差別は依然としてある」前提で話が進み、著者の問題意識にのれない。

ただ、命を頂く行為を社会から見えないようにすることはいかがなものかと思う。その点は同意。
屠畜を各国、文化圏から描写した内容は興味深く、良かった。

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2024年02月24日

Posted by ブクログ

BookBarで紹介されていたので、読んでみる。
肉は食べるし、昨今「肉をたくさん食べようぜ!」という風潮が強い。
しかし肉大好き、食べたい!という者の中の何人が屠畜の現場を知っているのだろうか。
きちんと命を頂いているということを、この本は教えてくれる。

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2018年05月03日

Posted by ブクログ

世界の食卓に並ぶ肉の背景を取材した作品。

殺して食べるからには残さず美味しく食べなくちゃね。
肉を食うからには一度は真剣に考えたいこと。

恥ずかしながら、日本も含めて多くの国で屠畜業が差別の対象になっていたことすら知らなかった…

普通にこの仕事をする人がいるから美味しく肉が食べられると思っていた。

あれこれ可哀想だと騒ぐなら食うな!食べたいなら美味しく残さず食べる!
個人的にはそう思ってきたし、これからもそのつもり。

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2018年03月11日

Posted by ブクログ

二日で読み切った。彼女の屠畜フェチっぷり全開って感じで旅が貫かれてる。これと言った心境の変化が著者の中であるわけではない。いちいち気にしてしまうナイーブさを持っていたらこんなには回れなかったんだろうけど、これだけ回り切ることに何の意味があるのかというとよく分からない。好きだから回ったんだなーってことはわかったけども。まあ、旅なんてモノはその程度のモノ。それは「僕の見た「大日本帝国」の旅も同じ。回りが評価をすると、なんだか高尚なことをしてきたかのようなパブリックイメージがつき、そのイメージに旅してきた本人も感化されちゃったりするんだけど。
僕自身、屠畜の様子をこうしてまとめて読むのは初めてだったが、読み切るという行為にあまり意味を感じなかった。イラストやら淡々とした細密な描写は、知らなかったことを知ったという喜びがあったがこれだけのボリュームで読む必然性は感じなかったな。
皆が絶賛するほど良い本だとは思わなかった。身体のいいなりの方が全然好きだ。

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2016年06月08日

Posted by ブクログ

世界各国で生き物が食べ物になる過程をまとめた本。品川に行くとSONYの目の前に食肉処理場があることにずっと物凄く違和感を感じていたが、この本を読んで、さらに、そんなに莫大な量の食べ物が作りている事にも驚いた。
肉を作る人達の事を差別する歴史があることは知識として知っていたが、実感値としては全くわからない。お百姓さんありがとうというのとほぼ同じ感覚だな。よくいう話ではあるし、巻末で佐野真一も書いているが、生と死が遠くにありすぎる事はいいことのようには思えない。なんで生きていられるのか、理解するべきだと思う。残酷なんてナンセンスで、動物愛護という考え方やそういう人に対しての忌避感には人間のエゴを強く感じる。

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2015年09月22日

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