無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
脳をフル稼働させて必死で読んだ…
幻想小説と時代小説が融合した風のこの作品集、中々骨が折れました。
暗喩がたくさんで理解するのに一苦労。この台詞は誰?と行きつ戻りつ。
それぞれ独立した短編のはずだが、一部共通して登場する「中洲」という場所を通じて連作っぽい感じもある。
川はあの世とこの世を分かつ象徴だが、では中洲はどちらに属するのか?虚実あいまいでない混ぜになった異界めいた物語「文月の使者」に蛇の生臭さと不誠実さ漂う「ゆめこ縮緬」、中洲を通じ捩れた時空が繋がる「青火童女」。
シャガの根が湿気った家の畳の下に蔓延っている様子に寒気がする「胡蝶塚」、古代中国の妖狐伝説を題材に取った「影つづれ」、切った指が玉虫に変化するという衝撃「玉虫抄」…あたりも印象深い。
地蔵が生えるという未知の描写ではじまる「桔梗闇」は艶かしく息苦しい。
「花溶け」は漆喰で壁に塗り込められたように身動きが取れず、登場人物がみんな嫌な感じ。
「影つづれ」の壁の向こうの声は誰だ?
これまでに読んだ皆川博子先生の作品とはまた違った、格調高く嫌らしい魅力が詰まった一冊に感じた。
1刷
2021.6.30
Posted by ブクログ
甘い毒を含んだ、絢爛な幻想短編集。どれをとっても酔いしれるような気分にさせられる作品ばかりです。作中に引用されている西城八十の詩などもまた雰囲気をより一層引き立てて、くらくらしそう。一気に読んでしまうのはもったいないし、毒が回りそうでもあります。少しずつ読むのがおすすめかも。
全部好きだけれど、強いてお気に入りを選ぶなら「青火童女」かなあ。玉緒の魅力にもやられてしまったのですが。過去と現在と未来が絡み合う物語の中、どこをとっても凄まじいばかりの情景。そこに居並ぶ人形たちが美しくも恐ろしく、ひどく魅せられました。なんだかもうここから抜け出せないような心境です。
Posted by ブクログ
皆川博子二冊目。前回読んだ『倒立する塔の殺人』よりも幻想色が強くて読みづらかったけど、それに退屈さを感じることは全くなく、重厚感のある短編をそれぞれ深く味わうことができた。
どのお話も戦前の近代日本を舞台にしたものだから現実味のない感じにはならない。むしろ現実の中に潜む異質がその幻想をより一層濃く仕立て上げている。とある中洲を舞台にした「文月の使者」から始まり、その後の数話は中州から離れるが、最後の二篇で戻ってくる。そして最後に収録されている表題の「ゆめこ縮緬」ではこの短編集がまさしく一つになるという仕掛けがあって思わずぞくりとしてしまう。
物語自体は純粋な美しさはない。登場人物たちは己の欲を満たすために動き、生死が交差する話が多い。けれど、皆川さんの紡ぐ言葉は美しい。語彙が豊かで艶っぽく、かつ繊細に一つ一つの描写を表している。その対比が、この物語の中毒性のような部分を生み出しているのではないかと思う。
中でも「影つづれ」と「桔梗闇」が好きだった。玉藻前は知らなかったけれど、その伝説について語る「影つづれ」には引き込まれた。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。