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Posted by ブクログ 2020年08月26日
魅了される色濃く美しい文章で、昏く深いところから浮かび上がってきた見たくない気持ちをまざまざと見せつけられた気がしました。
厭ではなく、深淵を覗いているように。
じわじわと染み込んでくるものから、ラストでくるっと世界が変わるものまで様々。
皆川さんの世界は、今より前の時代を舞台にしていても普遍的な感...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年06月30日
脳をフル稼働させて必死で読んだ…
幻想小説と時代小説が融合した風のこの作品集、中々骨が折れました。
暗喩がたくさんで理解するのに一苦労。この台詞は誰?と行きつ戻りつ。
それぞれ独立した短編のはずだが、一部共通して登場する「中洲」という場所を通じて連作っぽい感じもある。
川はあの世とこの世を分...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年04月22日
甘い毒を含んだ、絢爛な幻想短編集。どれをとっても酔いしれるような気分にさせられる作品ばかりです。作中に引用されている西城八十の詩などもまた雰囲気をより一層引き立てて、くらくらしそう。一気に読んでしまうのはもったいないし、毒が回りそうでもあります。少しずつ読むのがおすすめかも。
全部好きだけれど、強い...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年11月06日
表題作含む8編短編収録。皆川博子さんが紡ぐ幻想的な物語は絢爛豪華な闇色。死と血と官能に彩られた美しい漆黒の花が誘うように咲き乱れ、蔦が繁るようにして物語を織り上げる情念が読み手を絡め取る。どの作品も絶品。甲乙付け難いけれど「文月の使者」が一番のお気に入り。一度読んだらもう戻れない皆川ワールド。暗黒耽...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年01月28日
皆川博子二冊目。前回読んだ『倒立する塔の殺人』よりも幻想色が強くて読みづらかったけど、それに退屈さを感じることは全くなく、重厚感のある短編をそれぞれ深く味わうことができた。
どのお話も戦前の近代日本を舞台にしたものだから現実味のない感じにはならない。むしろ現実の中に潜む異質がその幻想をより一層濃く...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年09月27日
幻想文学とはどんなかな、と気軽に手に取ったものの、最初の二行
「指は、あげましたよ」
背後に声がたゆたった。
からもうにおい立つ霧、湿気、妖しい気配に呑まれる。
大正~戦前くらいが時代設定らしいけれど、お金持ちのお話が多くてそのゆとりある暮らしと文化が、相応しい格式と美しさを持つ文体で丁寧に綴られて...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年09月26日
なんとも言い表せない複雑な気持ちで読み終えた。理由の分からない妖しい夢を見たみたいな、ひとときの幻想に足を踏み入れたような短編集だった。
聞き慣れない言い回しも出てくるし、生者と死者の境目が曖昧で、すぐあちら側の世界に連れて行かれそうになる。それなのにとても読みやすい点に驚く。
幾人かの登場人物に業...続きを読む
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