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第一次世界大戦中の独軍と一七世紀初頭のオスマン帝国。戦争に翻弄される三人の少年、ヤーノシュ、シュテファン、ミハイは、時空を超えて巡り合います。オスマン朝の風俗やUボート艦内の緊迫した雰囲気など、「幻想小説の女王」の目眩く世界をご堪能ください。 ※この電子書籍は2017年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
初見の作家を装丁買い。一切悔いなし。 以前に短編集『影を買う店』をちらっと読んだときに、幻想小説かぁ…ちょっと違うかもなぁ…って思ってたけど、いや全然そんなことない 同じように短編読んで離れそうになった人はぜひ長編の皆川博子をこそ読んでほしい ドイツの潜水艦Uボートと、underground(地...続きを読む下)の2つのUを巡って、少年たちが「時代」や「歴史」や「戦争」…どうしようもない世界の何かに翻弄され、時を超えなお生き続けてゆくお話 彼らの身のうちに湧き、淀み、沈んでは迸る感情は強烈で、しかも彼らはそれを互いに(一部は一方通行に)何世紀もの間行き来させるのだけれど、その姿を描き切ってしまう丹念なほどの執念深さ。背すじ凍る それを経てエピローグまで読んだときの虚脱感にも似たあの感情。 たぶん他ではそうそう味わえない、初読1回きりのそれなので、ぜひネタバレ無しのまま読み切ってほしい
300年の時を越え、空間も超えて紡がれる二人の物語。オスマントルコ、第一次世界大戦これらをつないでいる数々の史実とそれに関わる二人。二つの物語を書いて、ぐるぐるっと混ぜて、一つにつないだ感じがして、なんとなくすわりが悪い感じがした。最終章もなんとなくとってつけた感があって、物語と今一つ有機的につなが...続きを読むっている感じを受けなかった。読みが浅いかしら。。。
心を掻き乱される長編だった。戦争に巻き込まれてすべてを奪われた、取り返しのつかない沢山の人生に思いを馳せる。 第一次世界大戦時のドイツと、十七世紀のオスマン帝国。このふたつが思わぬところで繋がったときの興奮! 特にオスマン帝国時代のパートは読み応えがあった。宮殿の中の様子が目に浮かんでくるようだった...続きを読むし、奴隷たちの人間関係や権力者の言動もすぐ目の前で見ているような臨場感があった。それだけに、何も知らぬ少年たちが人間扱いされていない描写は、不憫で胸が痛んだ。 二人の手記を読むという形での読書も楽しめた。この手記は主にヤーノシュの中の矛盾と、さまざまなものを消化するためにあるのだろう。宗教を変えられ、名前を変えられ、意に沿わぬことをして、自分は何者であるかという思いがあるのではないだろうか。あやふやになった自分という存在を保つためには書くことが必要だと理解できる。 エピローグは、少女の話からも1945年以降の場面だと思うけれど、約30年間の間に何があったのかと混乱した。彼の口からはもう語られることのない物語がたしかにそこにあるはずで、読後も尾を引く。
「U」と書いて「ウー」と読ませるが、萩尾望都「ポーの一族」からの遠いこだまとも見做せる。 1915年「U-Boot」(ウーボート)の章は、三人称。視点が寄り添う人物は、ティルピッツと、ミヒャエル。 1613年「Untergrund」(ウンターグルンド)の章は、初めは三人称と見せておいて、すぐに手記...続きを読むという形式……一人称が潜んでいると判明する。 また、手記は実は二人の合作であること、二つの時代の関係、書き手の熱意の不均衡、が比較的序盤で仄見えてくるが、この不均衡が中盤終盤でさらに揺らぐ。 この「語りの形式」そのものがドラマチックだから、やはり皆川博子は信用できる。 ある瞬間には「同じ獣の半身になった」と思える相手が、いったん離れるや全然別の生を……という諦念と切望と。 歴史の暴流の中で、動かず書く者と、動く者と。 現在時点と、過去と、大過去と。 歴史は歴史書の中ではちっともドラマチックではないが、その記述にドラマを幻視する作家がいる。 そしてこの作家が偶然、書き残すという人の欲望に自覚的で、現在時点、誰がどういう想いで書いているのかを曖昧にしたくない、という人なのだ。 いつどこでだれが何のために書いているのか、を明らかにしている手記は、信用できる。 信頼できない語り手であるにしても、作家のまなざしとして、信用できる。 300年をつなぐのに、岩塩鉱を置く。 「塩漬けの首級」という印象的な画や、「塩の内側に潜る」(地底、海底)→搾取された生と死が充満する棺、という、時代をゆうに超えた舞台を用意するのだから、信用できる。 というか、遠くへ、遠くへと連れて行ってくれる作者のその手腕に、ずっとこの身を任せていたい。 こんな壮大さの中に、抒情や耽美や切なさがばしばし籠められているのだから、美味しくないわけがない。 萩尾望都だけでない、SFにはまた「長命人」と「人」のギャップによる抒情があったはず。 歴史浪漫かつSFとしての皆川博子……次はこの路線で読み返してみたい。 大満足の溜め息。 本書とは全然関係ないが、つい先日「宮崎駿の雑想ノート」でQシップのことを知ったので、いろいろ関連するものだなあ、と。
塩によって生かされて、最後は海水の中に沈む。潜水艇がふたりの棺となる。好き。 ヤーノシュがオスマンの皇帝を守り支えたなら、彼は何かをなしとげられたのか。そういう展開にならないのがいいところなんですが…ヤーノシュの自己評価ちょっと低すぎるのでは… 「双頭のバビロン」のふたりほどの絆が感じられなかっ...続きを読むたのも、ヤーノシュの自己評価のせいか。シュテファンはあんまり深く考えていなさそうな… シュテファンがどう思っていたのか、途中から記述がなくなるから分からないけれど。 彼らの軌跡が文字として残ったのかは定かではないけれど、ミヒャエルたちの中に何かしらが受け継がれているのだろうなあ。
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