無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
破天荒では片付けられない
17歳の貫多の生き様、生活力そして将来の芥川賞作家としての素養がどうやって作られたかが理解できます。各登場人物のキャラクター作りは相変わらず上手いですね。
Posted by ブクログ
まず冒頭申し上げたいのは、西村賢太作品を相部屋の病室で読んではいけないということです。
思わず吹き出して、同室の患者に眉を顰められること必定。
笑いを堪えようとして咽たり咳込んだりし、事態が悪化することもしばしばです。
今回、大腸ポリープの摘出手術を受けるため1週間入院していますが、西村作品を持ち込んだことを軽く後悔しております。
それはさておき、本作は言わずと知れた「北町貫多」シリーズ。
貫多17歳、洋食屋でアルバイトをする青春の日々を描いています。
「青春」と書きましたが、貫多の青春は、一般にイメージされているものとは真逆のものです。
貫多は、小学5年のころに父が性犯罪で捕まり、母と姉と共に都内の別の土地へと逃げました。
その後、中卒で社会に出ると、港湾人足など重労働で糊口をしのぐ生活を送るのです。
しかし、まだまだ17歳。
自身初となる洋食屋でのアルバイトも順調です。
貫多はこう思います。
「確かに自分は〈青春の落伍者〉になりつつあるが、しかしながら、まだ〈人生の落伍者〉には至っていないのだ」
見上げた心意気ではないでしょうか。
不遇をかこつのではなく、むしろそれをバネにして自ら人生を切り開く――。
なんてことは、貫多に限っては一切ありません。
バイトで得た給金は酒と買淫に費消し、家賃は踏み倒し、金に困れば実家に戻って母から金をむしり取る。
自ら人生を切り開くどころか、職場その他で出会った年配の人たちを「人生の落伍者」と決めつけ、優越感を得て恬淡とする始末です。
それだけではありません、自分を棚に上げて、気に食わない人をとにかく悪し様に罵るのです。
何と下劣な品性の持ち主でしょう。
しかし、この下劣さこそが貫多の魅力として、私を含む多くの読者の心を捉えているのだから不思議です。
しかも、貫多の言い立てる悪態の痛快さといったら、もう中毒になります。
これだけ多くのファンがいるということは、恐らく私を含め、貫多のように自分にもっと正直に生きたい人が多いのだと思います。
蛇足ですが、西村賢太には珍しいエンタメ作品「悪夢――或いは『閉鎖されたレストランの話』」の着想は、この洋食屋で得たものなのだと本作を読んで知りました。
ちょっと感動した。
Posted by ブクログ
びっくりするぐらい非モテダメ男の青春奮闘記
「彼は見た目は野良犬ながらも 、その根は余りにも貴族気質にでき過ぎてしまっていた 。そしてまた 、見た目は若きお菰風ながらも 、その根は余りにも坊っちゃん気質にでき過ぎてしまっていた 。」という文から伺えるように、主人公はとにかくプライドが高くて、被害者意識の塊。バイト先の人間とか割とふらっとに見ているはずなのに、自分は馬鹿にされてる、疎まれてると思い込み暴虐な限りを尽くす。もう少し自己肯定感が高くて、他者に歩みよれば普通の関係性を築けるのにと思いながら読み進めていた。
でも、こういう北町貫多的な卑屈性は自分の中にも心辺りあるなと思い、深淵を覗いてると思ったら、自分の深淵の部分を見つめ直していた。
「確かに自分は 〈青春の落伍者 〉にはなりつつあるが 、しかしながら 、まだ 〈人生の落伍者 〉には至っていないのだ 。」という文がまた心に染みる。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
試し読み
小説・文芸
小説・文芸