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  • 焔(新潮文庫)
    3.5
    焔を囲んだ人達が、それぞれの身に起こったことを語り出す――。近隣諸国と武力衝突の危険性が高まるなか、人々が“あること”を始める「ピンク」。突然泣き出してしまう“謎の病”が大流行する「眼魚」。南米やアフリカなど各地から集まった力士が頂点をめざす「世界大角力共和国杯」。祈りや驚嘆、希望など様々な思いを込めて語られた九つの物語は、最後に大きく燃え上がる。谷崎潤一郎賞受賞作。
  • やまいだれの歌(新潮文庫)
    4.4
    中学を出て、その日暮らしを三年半。十代も終わりに近づいてきた北町貫多は、心機一転、再出発を期し、横浜桜木町に移り住み、これまでの日雇いとは異なる造園会社での仕事をはじめた。三週目に入って、事務のアルバイトとして貫多と同い年の女の子がやってきた。寝酒と読書と自慰の他に特に楽しみのなかった貫多に心を震わせる存在が現れたのだった。著者初の幻の傑作長編、ついに文庫化。(解説・山下敦弘)
  • 俺たちは神じゃない―麻布中央病院外科―(新潮文庫)
    3.9
    剣崎啓介は腕利きとして知られる中堅外科医。そんな彼が頼りにするのが松島直武だ。生真面目な剣崎と陽気な関西人の松島。ふたりはオペで絶妙な呼吸をみせる。院長から国会議員の癌切除を依頼された剣崎は、松島を助手に得意なロボット手術を進める。だが、その行く手にはある危機が待ち受けていた――。現役外科医が総合病院で日夜起こるドラマをリアルに描く、医学エンターテインメント。
  • 手のひらの楽園(新潮文庫)
    4.0
    父のことは知らない。物心つく前に死んだらしい。長崎県の離島・松乃島で母子家庭に育った友麻は、本土にある私立夕陽ノ丘高校エステ科に進学するため島を離れた。その数日後、母は失踪した。帰省の折に予期せぬ出会いから母の秘密を知り、足下がぐらりと揺れる友麻。だが厳しい現実を突きつけられても友麻は自分を信じ友人に支えられ歩んでいく。繊細な十代の姿を描き出す、感涙の青春小説。(解説・栗田有起)
  • ラブレス(新潮文庫)
    4.4
    謎の位牌を握りしめて、百合江は死の床についていた――。彼女の生涯はまさに波乱万丈だった。道東の開拓村で極貧の家に育ち、中学卒業と同時に奉公に出されるが、やがては旅芸人一座に飛び込んだ。一方、妹の里実は地元に残り、理容師の道を歩み始める……。流転する百合江と堅実な妹の60年に及ぶ絆を軸にして、姉妹の母や娘たちを含む女三世代の凄絶な人生を描いた圧倒的長編小説。(解説・小池真理子)
  • 正岡子規(新潮文庫)
    -
    西洋文明との出会いという衝撃により伝統文化が危機に瀕した明治日本。そんななか雑誌ホトトギスを舞台に、「写生」という新たな手法を創出、俳句と短歌に革命をもたらした子規。国民的文芸の域にまで高らしめ、俳句は今や世界的存在となった。幼時の火事体験からベースボールへの熱狂、漱石との交友、蕪村の再発見、そして晩年の過酷な闘病生活までを綿密に追った日本人必読の決定的評伝。
  • オペラ座の怪人(新潮文庫)
    4.0
    19世紀末、夜ごと流麗な舞台が繰り広げられるパリの花、オペラ座。その地下深くには奇怪な事件を巻き起こす怪人が棲み着いていると噂されていた。怪人は若く可憐なクリスティーヌに夜毎歌の手ほどきを授けていたが、歌姫に想いを寄せる幼馴染の子爵との仲に嫉妬しクリスティーヌを誘拐。結婚を迫り、拒否すればオペラ座を爆破すると脅すのだった……。ホラー小説の先駆けと名高い世紀の名作。(解説・岡田暁生)
  • お鳥見女房シリーズ(全8巻)合本版(新潮文庫)
    4.0
    1巻4,972円 (税込)
    将軍の鷹狩りの下準備をするお鳥見役には、幕府の密偵という裏の役割があった。江戸郊外、雑司ケ谷の組屋敷に暮らす矢島家は、当主が任務のため旅立ち、留守宅を女房・珠世が切り盛りしている。そんな屋敷に、ある日、子だくさんの浪人者が押しかけて来て……さまざまな難題を持ち前の明るさと機転で解決していく珠世。その笑顔と大家族の情愛に心安らぐ、人気シリーズ。 ※当電子版は新潮文庫版『お鳥見女房』シリーズ全8巻をまとめた合本版です。
  • エンジェル エンジェル エンジェル(新潮文庫)
    3.8
    コウコは、寝たきりに近いおばあちゃんの深夜のトイレ当番を引き受けることで熱帯魚を飼うのを許された。夜、水槽のある部屋で、おばあちゃんは不思議な反応を見せ、少女のような表情でコウコと話をするようになる。ある日、熱帯魚の水槽を見守る二人が目にしたものは――なぜ、こんなむごいことに。コウコの嘆きが、おばあちゃんの胸奥に眠る少女時代の切ない記憶を呼び起こす……。
  • 渡りの足跡(新潮文庫)
    4.1
    この鳥たちが話してくれたら、それはきっと人間に負けないくらいの冒険譚になるに違いない──。一万キロを無着陸で飛び続けることもある、壮大なスケールの「渡り」。案内人に導かれ、命がけで旅立つ鳥たちの足跡を訪ねて、知床、諏訪湖、カムチャツカへ。ひとつの生命体の、その意志の向こうにあるものとは何か。創作の根源にあるテーマを浮き彫りにする、奇跡を見つめた旅の記録。
  • 家守綺譚(新潮文庫)
    4.1
    庭・池・電燈付二階屋。汽車駅・銭湯近接。四季折々、草・花・鳥・獣・仔竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友等々々出没数多……本書は、百年まえ、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。――綿貫征四郎の随筆「烏蘞苺記(やぶがらしのき)」を巻末に収録。
  • 不思議な羅針盤(新潮文庫)
    4.3
    ふとした日常の風景から、万華鏡のごとく様々に立ち現れる思いがある。慎ましい小さな花に見る、堅実で美しい暮らし。静かな真夜中に、五感が開かれていく感覚。古い本が教えてくれる、人と人との理想的なつながり。赤ちゃんを見つめていると蘇る、生まれたての頃の気分……。世界をより新鮮に感じ、日々をより深く生きるための「羅針盤」を探す、清澄な言葉で紡がれた28のエッセイ。
  • 春になったら莓を摘みに(新潮文庫)
    4.3
    「理解はできないが、受け容れる」それがウェスト夫人の生き方だった。「私」が学生時代を過ごした英国の下宿には、女主人ウェスト夫人と、さまざまな人種や考え方の住人たちが暮らしていた。ウェスト夫人の強靱な博愛精神と、時代に左右されない生き方に触れて、「私」は日常を深く生き抜くということを、さらに自分に問い続ける――物語の生れる場所からの、著者初めてのエッセイ。
  • りかさん(新潮文庫)
    3.9
    リカちゃんが欲しいと頼んだようこに、おばあちゃんから贈られたのは黒髪の市松人形で、名前がりか。こんなはずじゃ。確かに。だってこの人形、人と心を通わせる術を持っていたのだ。りかさんに導かれたようこが、古い人形たちの心を見つめ、かつての持ち主たちの思いに触れた時――。成長したようことその仲間たちの、愛と憎しみと「母性」をめぐる書下ろし「ミケルの庭」併録。
  • 西の魔女が死んだ(新潮文庫)
    4.3
    中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。
  • 鳥と雲と薬草袋/風と双眼鏡、膝掛け毛布(新潮文庫)
    3.9
    「土地の名まえ」の背景には、いつも物語がある。そこに暮らす、人々の息遣いがある。峠や湖川など、地形に結びついた名まえ。植物や動物に由来する地名。街道や国境など、人の営みをめぐる地名。音やまなざしから付けられた名まえ。消えた地名、新たに生まれた地名……。空を行き交う鳥や風のように伸びやかに、旅した土地の名まえから喚起される思いを綴る、二作の葉篇随筆を合本した文庫版。(解説・吉田篤弘)
  • 冬虫夏草(新潮文庫)
    4.4
    亡き友の家を守る物書き、綿貫征四郎。姿を消した忠犬ゴローを探すため、鈴鹿の山中へ旅に出た彼は、道道で印象深い邂逅を経験する。河童の少年。秋の花実。異郷から来た老女。天狗。お産で命を落とした若妻。荘厳な滝。赤竜の化身。宿を営むイワナの夫婦。人間と精たちとがともに暮らす清澄な山で、果たして再びゴローに会えるのか。『家守綺譚』の主人公による、ささやかで豊饒な冒険譚。
  • エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―(新潮文庫)
    3.9
    首都に巡らされた不思議な地下通路。昔の生活が残る小さな島の老婆たち。古いホテルの幽霊。海辺の葦原。カヌーで渡る運河の涼やかな風。そして密かに願ったコウノトリとの邂逅は叶うのか……。北ヨーロッパの小国エストニア。長い被支配の歴史を持つこの国を訪れた著者が出会い、感じたものは。祖国への熱情を静かに抱き続ける人々と、彼らが愛する自然をつぶさに見つめた九日間の旅。
  • からくりからくさ(新潮文庫)
    3.9
    祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。静かな、けれどたしかな実感に満ちて重ねられてゆく日々。やさしく硬質な結界。だれかが孕む葛藤も、どこかでつながっている四人の思いも、すべてはこの結界と共にある。心を持つ不思議な人形「りかさん」を真ん中にして――。生命の連なりを支える絆を、深く心に伝える物語。
  • 裏庭(新潮文庫)
    4.0
    昔、英国人一家の別荘だった、今では荒れ放題の洋館。高い塀で囲まれた洋館の庭は、近所の子供たちにとって絶好の遊び場だ。その庭に、苦すぎる想い出があり、塀の穴をくぐらなくなって久しい少女、照美は、ある出来事がきっかけとなって、洋館の秘密の「裏庭」へと入りこみ、声を聞いた――教えよう、君に、と。少女の孤独な魂は、こうして冒険の旅に出た。少女自身に出会う旅に。(解説・河合隼雄)
  • 沼地のある森を抜けて(新潮文庫)
    4.1
    はじまりは、「ぬかどこ」だった。先祖伝来のぬか床が、うめくのだ――「ぬかどこ」に由来する奇妙な出来事に導かれ、久美は故郷の島、森の沼地へと進み入る。そこで何が起きたのか。濃厚な緑の気息。厚い苔に覆われ寄生植物が繁茂する生命みなぎる森。久美が感じた命の秘密とは。光のように生まれ来る、すべての命に仕込まれた可能性への夢。連綿と続く命の繋がりを伝える長編小説。
  • 西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集
    4.7
    1巻1,650円 (税込)
    中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、夏のひと月をママのママ、西の魔女と呼ぶおばあちゃんと共に暮す。感受性が強く生きにくいと言われたまいは、その性質を抱えて生きるために魔女修行に取り組む――初刊から23年を経て、書下ろし短篇おばあちゃんのモノローグ「かまどに小枝を」等表題作に繋がる三作も収録。
  • 丹生都比売 梨木香歩作品集
    4.1
    1巻1,650円 (税込)
    蘇りの水と水銀を司る神霊に守られて吉野の地に生きる草壁皇子の物語――歴史に材をとった中篇「丹生都比売」と、「月と潮騒」「トウネンの耳」「カコの話」「本棚にならぶ」「旅行鞄のなかから」「コート」「夏の朝」「ハクガン異聞」、1994年から2011年の8篇の作品を収録する、初めての作品集。しずかに澄みわたる、梨木香歩の小説世界。
  • 小説作法ABC(新潮選書)
    3.8
    人は誰でもストーリーテラーになる。「物語る能力」を最大限に生かすための基本的技術とは何か? 一行目をどう書き始めるか、自分の無意識など信じるな、一〇〇字あらすじ企画書法、プロの証は原稿料……最前線の現役作家がすべてを投入して語り尽くした「小説の教科書」。蓮實重彦氏も「21世紀の『小説神髄』」と推薦!
  • 小説作法XYZ―作家になるための秘伝―(新潮選書)
    5.0
    《コトバを生業とする者たちが積み上げて来た文学的叡智がどれだけ人類に貢献して来たか》40年間の作家生活を経て、改めて「知性」の意味を捉え直した時、新たなる小説作法が誕生する。46箇条の「超絶技巧エチュード」は必見。当代を代表する書き手がプロフェッショナルになる道筋をすべて明かした文芸創作の『五輪書』!
  • ヒトはなぜ死ぬ運命にあるのか―生物の死 4つの仮説―(新潮選書)
    3.8
    約40億年前に誕生した初期の生物に、寿命はなかった。にもかかわらず、死ぬことは必要だった――生物は進化し、多様性を生み出し、複雑な構造となったからだ。生物は生き残るため、寿命を得たのである。「死」に関する4つの仮説の歴史的な盛衰を通して、生物の「寿命」がどのように生まれたのかをひもといていく。
  • 指揮官たちの第二次大戦―素顔の将帥列伝―(新潮選書)
    3.8
    猛将、賢将、凡将、愚将――。大戦をリードした参戦各国の指揮官たちにつきまとう「評価」は、本当に正しいものなのか。戦後永らく日本を支配してきた俗説を排し、日進月歩の最新研究に基づいて明かされる、将軍たちの知られざる言動と意外な横顔。戦後七十七年、ついに登場した『独ソ戦』の著者による軍人評伝の決定版!
  • 「未熟さ」の系譜―宝塚からジャニーズまで―(新潮選書)
    4.0
    若さや親しみやすさで人気を得るアイドル、ジュニアから養成されるジャニーズ、音楽学校入試が毎年報じられる宝塚歌劇団……成長途上ゆえのアマチュア性が愛好される芸能様式は、いかに成立したのか。近代家族とメディアが生んだ「お茶の間の人気者」から日本文化の核心を浮き彫りにする、気鋭の社会学者による画期的論考。
  • 「脱・自前」の日本成長戦略(新潮新書)
    3.5
    「失われた30年」と呼ばれて久しい日本の低成長。その根本原因は一体どこにあるのか? 変革を恐れ、外部との連携を妨げるタコツボ社会、その根底に宿る「自前主義」こそが問題だ。これからの日本に必要なのは「脱・自前」。デジタルを活かし、他と連携しながら、自らの強みを再発見し、それを磨き上げることで社会全体としての最適を目指す。豊富な具体例をもとに、日本を成長へと導く戦略と方法論を提言する。
  • 一汁一菜でよいと至るまで(新潮新書)
    4.0
    料理に失敗なんて、ない――レストランで食べるものと家で食べるものとを区別し、家庭では簡素なものを食べればよい、という「一汁一菜」のスタイルを築いた料理研究家・土井善晴。フランス料理、日本料理の頂点で修業を積んだ後、父と同じ家庭料理研究の道を歩む人生、テレビでおなじみの笑顔にこめられた「人を幸せにする」料理への思い、ベストセラー『一汁一菜でよいという提案』に至るまでの道のりを綴る。
  • 自衛隊最高幹部が語る台湾有事(新潮新書)
    3.8
    現実味を増す台湾有事に備え、自衛隊の元最高幹部たちが「有りうるかも知れない有事の形」をシミュレーションしてみた。シナリオは、グレーゾーンでの戦いの継続、物理的な台湾の封鎖、全面的軍事侵攻、終戦工作の4本。実際に有事が発生したら政府は、自衛隊は、そして国民は、どのような決断を迫られるのか。リアルなストーリーを通じて、「戦争に直面する日本」の課題をあぶり出す。
  • 森をひらいて
    3.7
    1巻1,540円 (税込)
    手を繋ごう。この戦争を逃れて、私たちは生きる。生き延びる――。外界と隔絶された学園で寮生活を送る少女たちの間で流行する、「森を作る」という遊び。誰もが森を持つ中、揺は一人だけ森を作ることができない。思い悩む揺だったが、激化する戦争の影が学園にも忍び寄る。自らの生きる道を求めて、揺はある賭けに出る……。
  • 世界最強の研究大学 ジョンズ・ホプキンス
    4.0
    追随を許さぬ新型コロナ追跡システムで各国政府や国際機関の対策を支えるだけではない。コロナ禍を予言、ウイルスの配列をいちはやく解析、重篤な状態に陥った米大統領の命を救い、フェイク情報と戦う先頭に立つ――専門家を育てながら、専門分野の横断を奨励する研究環境は、人類を疫病から守る砦だ。読み応え満点のパワーレポート。
  • 空を切り裂いた
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    徴兵されながらも戦争を生き抜き、戦後、文壇の寵児としてもてはやされた孤高の作家・堀永彩雲。しかしその後半生は、絶望と狂気に彩られていた。昭和四九年に享年五〇で自害した作家の作品は、世間からは忘れ去られたが、一部で狂乱の読者を生み育んだ。そして今、彩雲の子らは真の目覚めを迎え、世紀末日本で覚醒する!
  • 孤蝶の城
    4.1
    1巻2,090円 (税込)
    モロッコへ旅立ったカーニバル真子は日本で初めて「女の体」を手に入れた。帰国後、待ち構えていたのは雑誌のグラビア撮影と日劇での凱旋ショーの大喝采だった。が、「性転換お色気路線」だけでは芸能界で生き残れそうになく、歌手、地方興行などに打って出るものの追い詰められていく。小説でしか描けない実在の人物の孤独と苦悶に迫る大傑作。
  • 鷹姫さま―お鳥見女房―(新潮文庫)
    4.2
    女だてらに鷹狩りに行きたがり「鷹姫さま」と呼ばれる気性の烈しい娘と嫡男久太郎との縁談、次女君江のひそやかな恋。子らの成長と行く末を、珠世は情愛深く見守る。また、鷹狩りを司り、幕府隠密の任務もあるお鳥見役の主も、過酷な勤めを終えて帰ってきた。妻として深い痛みを抱えた夫を気づかう――珠世の才智に心温まる、シリーズ文庫第三弾。
  • 蛍の行方―お鳥見女房―(新潮文庫)
    4.2
    密命を帯び、お鳥見役の主が消息を絶って一年余り。留守を預かる女房珠世に心休まる日はない。身近かに暮らす子供らの人知れぬ悩みを知って心くだき、その成長を見守り、隠居となった父の寂寥を慰め、組屋敷に転がり込んだ男女と幼子らの行く末を案じる……。人生の哀歓を江戸郊外の四季の移ろいとともに描く連作短編。珠世の情愛と機転に、心がじんわり熱くなる――お鳥見一家の清爽人情話、シリーズ第二弾。
  • 子子家庭の身代金(新潮文庫)
    4.0
    パパは会社の罪をかぶって逃亡中。なんとママも同じ日に恋人と駆け落ちしてしまった! 両親に「家出」された律子と和哉の小学生姉弟は力を合わせて暮らすけれど、トラブルは次々と襲いかかる……。明日のごはんもない我が家なのに和哉が誘拐された? 弟を救うため、姉が謎解きに挑むが、犯人はあまりに意外な人物だった──。表題作はじめ、驚きの結末の連打が魅せる短編全8編。
  • さよなら、ベイビー(新潮文庫)
    3.4
    1巻649円 (税込)
    見知らぬ赤ん坊(タカヤ)を連れてきた父親が、まさかの突然死。母亡き後ひきこもり歴4年の雅祥(まあくん)が、いきなり育児を任されることに。この時から地獄の二人暮らしが始まった。ミルクを飲ませても、おむつを替えてもタカヤは泣き止まない。母親はいったい誰……迎えが来る日まで、あと1日。だが、まあくんとタカヤと母親の人生は驚愕の真実へと急転直下する! 胸に染みる、痛快青春ミステリー。(解説・北上次郎)
  • お鳥見女房(新潮文庫)
    3.7
    将軍の鷹狩りの下準備をするお鳥見役には、幕府の密偵という裏の役割があった。江戸郊外、雑司ケ谷の組屋敷に暮らす矢島家は、当主が任務のため旅立ち、留守宅を女房・珠世が切り盛りしている。そんな屋敷に、ある日、子だくさんの浪人者が押しかけて来て……さまざまな難題を持ち前の明るさと機転で解決していく珠世。その笑顔と大家族の情愛に心安らぐ、人気シリーズ第一作。(解説・向田和子)
  • それでも日々はつづくから
    4.1
    1巻1,595円 (税込)
    日々、僕たちは少しずつ摩耗し、「いっそ消えてしまいたい」それくらいの傷だらけで今日も生きている。決定的に死にたくなるような出来事は、そんなに起きないけれど。「己を鼓舞する呪文がほしい。この本にはそのヒントがあります」と壇蜜さんも推薦!! 週刊新潮連載の人気エッセイ(+コラムとマンガ入り)、待望の書籍化。
  • 花散る里の病棟
    3.9
    1巻1,980円 (税込)
    大正時代、蛔虫退治で評判を取った初代。軍医としてフィリピン戦線を彷徨った二代目。高齢者たちの面倒を見る三代目。そして肥満治療を手がけてきた四代目の「ぼく」はコロナ禍に巻き込まれ――。現役医師でもある著者が、地方に生きる医師四代の家を通じて、近現代日本百年の医療の現場を描く感動作完成!
  • ハレルヤ(新潮文庫)
    4.2
    五月の晴れた日に、お饅頭のようなかわいらしい子猫と出会った。親猫はおらず、病院に連れて行ったところ、特別な猫であることがわかって――。花ちゃんと名付けられた子猫が、元気に走り回るようになるまでを描いた「生きる歓び」。それから十八年八カ月後、花ちゃんとの別れが語られる「ハレルヤ」。青春時代を振り返った川端康成文学賞受賞作「こことよそ」など愛おしさに満ちた傑作短編集。(解説・湯浅学)
  • すごい言い訳!―漱石の冷や汗、太宰の大ウソ―(新潮文庫)
    3.0
    言い訳――窮地を脱するための説明で、自分をよく見せようとする心理が働くので、大方軽蔑の対象になる。しかし文豪たちにかかれば浅ましい言い訳も味わい深いものとなる。二股疑惑をかけられ必死に否定した芥川龍之介。手紙の失礼を体調のせいにしてお茶を濁した太宰治。納税額を誤魔化そうとした夏目漱石。浮気をなかった事にする林芙美子等、苦しく図々しい、その言い訳の奥義を学ぶ。(解説・郷原宏)
  • 作家との遭遇(新潮文庫)
    4.1
    少年の頃に開いた書物の森で、あるいは「学校」のようだった酒場の片隅で、沢木耕太郎が心奪われるように出会ってきた作家たち。山本周五郎、向田邦子、山口瞳、色川武大、吉村昭、吉行淳之介、小林秀雄、瀬戸内寂聴など、書くことが即ち生きることだった19人の作家に正面から相対し、その本質を描き出す。誰も知らなかった顔に辿り着き、緊張感さえ孕むスリリングな刺激あふれる作家論!
  • ブラッディ・ファミリー―警視庁人事一課監察係 黒滝誠治―(新潮文庫)
    4.1
    女性刑事が命を絶った。彼女を死に追いつめたのは、伊豆倉陽一。問題を起こし続ける不良警官だ。そして、陽一の父、伊豆倉知憲は警察庁長官の座を約束されたエリートだった。愚直なまでに正義を貫く相馬美貴警視と、非合法な手段を辞さぬ“ドッグ・メーカー”黒滝誠治警部補。ふたりは監察として日本警察最大の禁忌に足を踏み入れてゆく。父と息子の血塗られた絆を描く、傑作警察小説。
  • 八本目の槍(新潮文庫)
    4.5
    石田三成とは、何者だったのか。加藤清正、片桐且元、福島正則ら盟友「七本槍」だけが知る真の姿とは……。「戦を止める方策」や「泰平の世の武士のあるべき姿」を考え、「女も働く世」を予見し、徳川家に途方もない〈経済戦〉を仕掛けようとした男。誰よりも、新しい世を望み、理と友情を信じ、この国の形を思い続けた熱き武将を、感銘深く描き出す正統派歴史小説。吉川英治文学新人賞受賞。(解説・縄田一男)
  • その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い―(新潮文庫)
    4.3
    2017年、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された記事が世界を変えた。映画界で権力を誇る有名プロデューサーが、女優や従業員らに性的虐待を行ってきた衝撃の事実。報道の背景には、二人の記者による被害者への丹念な取材や加害者側との駆け引きがあった。その日を境に、女性たちは声を上げ始めた――。#MeToo運動を拡げたピュリッツァー賞受賞記事の内幕を描く調査報道ノンフィクション。
  • #真相をお話しします 無料お試し版
    無料あり
    4.6
    1巻0円 (税込)
    家庭教師の派遣サービス業に従事する大学生が、とある家庭で目撃した〈惨劇〉とは(「惨者面談」)。不妊に悩む夫婦がようやく授かった我が子。しかしそこへ「あなたの精子提供によって生まれた子供です」と名乗る別の〈娘〉が現れて……(「パンドラ」)。子供が4人しかいない島で、僕らはiPhoneを手に入れ「ゆーちゅーばー」になることにした。でも、ある事件を境に島のひとがやけによそよそしくなっていって……(「#拡散希望」)など、日本社会の〈いま〉とミステリの技巧が見事に融合した珠玉の5篇を収録。2022年6月刊行の本編のなかから、第74回日本推理作家協会賞短編部門を受賞し話題となった「#拡散希望」を特別無料配信します! ※本稿は校了前のデータをもとに作成しています。そのため、刊本とは一部内容が異なる場合がございます。予めご了承ください。

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  • 怪虫ざんまい―昆虫学者は今日も挙動不審―
    4.3
    1巻1,650円 (税込)
    凄絶ホラーな寄生虫、ミズスマシだけにつく幻のカビ、地球史を語る透明な甲虫、冬に碧く輝く超希少ゴミムシ、井戸の底に潜む新種らしきプラナリア……。たとえヤツらが1ミリたりとも人類の役に立たなくても、異常な執念で徹底的に追いかけるのだ。「裏山の奇人」の異名をとるコマツ博士の、暴走する「昆虫愛」エッセイ。
  • 咲かせて三升の團十郎
    4.0
    1巻2,640円 (税込)
    江戸歌舞妓の若きスター市川團十郎。名だたる役者に認められ、粋な姐さんを妻にして、絶頂きわめたその時に、お上に睨まれ財産没収、江戸追放。あっという間の奈落の底から、見事復活するが、家族の悲劇を招いてしまう……。悪女にはまり欲に負け、泥にまみれた晩年でも、最期まで人々に愛された波瀾万丈の役者人生を描く傑作。
  • 日本人の承認欲求―テレワークがさらした深層―(新潮新書)
    3.4
    ムダな出社を命じられる、在宅勤務なのに疲れる、新人が職場に馴染まない。コロナの感染拡大が落ち着くと、多くの企業は瞬く間に出社へと切り替えた。日本でリモート改革が進まない原因は、閉ざされた組織に巣くう特異な「承認欲求」にある。 誰もが持つ認められたい気持ちをコントロールし、満たされるにはどうすればいいのか――組織研究の第一人者が、日本的「見せびらかし」文化の挫折と希望を解き明かす。
  • アントニオ猪木―闘魂60余年の軌跡―(新潮新書)
    4.2
    なぜ、アントニオ猪木は人を惹きつけるのか――プロレスファンでなくても知っている、その圧倒的存在感と魅力の根源を、これまでの人生から徹底検証する。デビューから60余年、リングの内外で起きた“事件”、世界中の強豪選手を相手に闘った姿、政治の場で示した抜群の行動力……その時々の猪木の行動と発言を精緻に描写する。ひとたび興味を持てば「猪木に魅せられ、心を奪われてしまう」理由が、本書で明解に!!
  • 不倫と正義(新潮新書)
    3.8
    世に不倫は数多い。2020年のある調査によれば、恋人や結婚相手以外の人とセックスをしている性交経験者の割合は男性が4割強、女性が3割強。とりわけ「働く既婚女性」の不倫が増加中だ。ではなぜ有名人の不倫ばかりがバッシングされるのか。「愛のある」不倫も許されないのか。そもそも結婚制度とは、人間の本能とは――。脳科学者と国際政治学者、異分野の知性が語り尽くす男と女、メディア、国家、結婚の真実。
  • 53歳の新人―NHKアナウンサーだった僕の転職―
    4.0
    「NHKの顔」だった著者も気づけば若手に席を譲る世代に。定年まで粛々と……と覚悟するも、内心「仕事」と「やりがい」のバランスが保てない。そこへ関心があった福祉分野での求人を知りまさかの転職! 超安定企業を辞める決心と家族の反応、新天地での苦労、それでも思い切って良かったと実感する現在までを綴る転職体験記。
  • 変見自在 バイデンは赤い
    -
    他人の成果を盗んでも、兵役を5回も免れても、まかり間違えば大統領になれる。だが、定見なく、利に転ぶ人間の本質は簡単には変わらないし、そういう輩は赤い大統領だけではない。現代と歴史を縦横無尽、非難や称賛の大合唱の裏に光を当てる大人気コラム集。この本を読めば、世の中の正しい見方が分かります。
  • 危機の外交 岡本行夫自伝
    4.7
    コロナ禍で命を落とした不世出の外交官は、秘録と呼ぶべき経験と日本の課題、そして真の脅威についてつぶさに書き遺していた。世界を巻き込んだ湾岸戦争、イラク戦争における外交の舞台裏。幻の普天間基地移設プラン――外務官僚の枠を超え、難題の真っ只中に自ら飛び込み続けた「特命外交官」による圧巻のノンフィクション。
  • 不倫と正義(新潮新書) 無料お試し版
    無料あり
    3.0
    世に不倫は数多い。2020年のある調査によれば、恋人や結婚相手以外の人とセックスをしている性交経験者の割合は男性が4割強、女性が3割強。とりわけ「働く既婚女性」の不倫が増加中だ。ではなぜ有名人の不倫ばかりがバッシングされるのか。「愛のある」不倫も許されないのか。そもそも結婚制度とは、人間の本能とは――。脳科学者と国際政治学者、異分野の知性が語り尽くす男と女、メディア、国家、結婚の真実。「はじめに」から冒頭20ページ超の分量を収録した無料お試し特別版!

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  • 嵐吹く時も(新潮文庫)
    4.5
    1巻1,045円 (税込)
    天売・焼尻島を眼前に望む北海道苫幌村唯一の商店は、中津順平が行商から興した店だった。妻のふじ乃は美貌と陽気な性格で店を側面から支え、娘の志津代は賢明に成長しつつあった。順平の留守のある日の深更、志津代は、庭から逃げる男を見た。月を経てふじ乃は男児を出産。この時から中津家の人々の人生は、暗転しはじめる。三浦文学の源流、二組の祖父母をモデルに人生の輝きと儚さを描く。(解説・難波真実 ※久保田暁一氏の解説は収録しておりません。)
  • 少年(新潮文庫)
    3.6
    お前の指を、腕を、舌を、愛着した。僕はお前に恋していた――。相手は旧制中学の美しい後輩、清野少年。寄宿舎での特別な関係と青春の懊悩を、五十歳の川端は追想し書き進めていく。互いにゆるしあった胸や唇、震えるような時間、唐突に訪れた京都嵯峨の別れ。自分の心を「畸形」と思っていた著者がかけがえのない日々を綴り、人生の愛惜と寂寞が滲む。川端文学の原点に触れる知られざる名編。(解説・宇能鴻一郎)
  • 護衛艦あおぎり艦長 早乙女碧(新潮文庫)
    3.8
    1~2巻649~781円 (税込)
    ようやく、海に戻れる――。デスクワークに頭を悩ませる日々を経て、艦長に抜擢された、早乙女碧二佐。あおぎりはヘリを搭載する本格的な護衛艦で、艦乗りとして胸の高鳴る職場である。だが、いよいよ待ち望んだ初出港、というときに、電測員一名が姿を消したことを知る。このまま出港すべきか、否か。三尉として海上自衛隊に身を置いた著者が、女性指揮官の誇りとリアルを描く。新たなる組織小説の誕生。(解説・村上貴史)
  • 幽玄の絵師―百鬼遊行絵巻―(新潮文庫)
    3.3
    都の闇に跋扈する、人ならぬもの鬼の如きもの――。妖異が見える異能の絵師土佐光信は、将軍足利義政から、人心を惑わす妖物の正体を解くよう命じられる。御所をさまよう血塗れの女や、禍々しい「呪詛屏風」、影を喰らうものや、人の泣き声を餌にするもの。将軍の心に取り憑き、裏から世を操る「鬼」……。光信が怪異の謎を突き止めたとき、真に怖ろしいのは妖物か人か――。室町ミステリー。(解説・細谷正充)
  • 放浪大名 水野勝成―信長、秀吉、家康に仕えた男―(新潮文庫)
    3.7
    1巻737円 (税込)
    十六歳での初陣から七十五歳で参陣した島原の乱まで六十年、戦国の乱世を鑓一本で駆け抜けた水野勝成。刈谷城城主の父から勘当された勝成は、豊臣秀吉から知行を授かるが、諍いを起こし逃亡するはめに。西国を放浪する勝成は、佐々成政、黒田孝高、小西行長ら名だたる武将に仕えるが……。敵から「鬼日向」と恐れられた勝成が、福山藩十万石開祖の名君として称えられるまでを描く歴史小説。(解説・木村行伸)
  • いもうと(新潮文庫)
    3.9
    本当に、一人ぼっちになっちゃった……。大好きな姉・千津子に続いて母も亡くし、父は別の家庭へ。高校を出て就職し、中堅社員として働く実加の前に突然現れたのは、見知らぬ女の子だった! 『ふたり』から11年、27歳の実加は危うい恋に吸い寄せられ、社の一大プロジェクトに奮闘、果ては結婚式場まで探す羽目に! そして、ある夜、懐かしい姉の声が再び――。姉妹小説の金字塔、奇跡の続編。(解説・中江有里)
  • 死にゆく者の祈り(新潮文庫)
    3.7
    何故、お前が死刑囚に。教誨師の高輪顕真が拘置所で出会った男、関根要一。かつて、雪山で遭難した彼を命懸けで救ってくれた友だ。本当に彼が殺人を犯したのか。調べるほど浮かび上がる不可解な謎。無実の罪で絞首台に向かう友が、護りたいものとは――。無情にも迫る死刑執行の刻、教誨師の執念は友の魂を救えるか。急転直下の“大どんでん返し”に驚愕必至。究極のタイムリミット・サスペンス。(解説・村上貴史)
  • 肖像彫刻家(新潮文庫)
    4.2
    芸術家の道を諦めた中年バツイチの正道。心機一転、八ケ岳山麓に移住するが、本場イタリア仕込みの腕を振るった女神像は、あらぬ場所に置かれてしまう。それでも注文には心を込めリアルな彫像を造った。だが耳を疑うことが起きた。喋るというのだ、肖像が……。古刹の訳あり仕事から、亡き両親の像、大胆な裸体彫刻まで、珍現象が巻きおこす人間模様をからりとしたユーモアで笑い飛ばす傑作。(解説・鵜飼哲夫)
  • 格闘(新潮文庫)
    -
    孤高の柔道家、羽良勝利(ハラショウ)を取材して、ノンフィクションを執筆しようとした小説家の「私」。だが、いくら踏み込んで話を聞こうとしても、巧みにかわされハラショウの核心にはたどり着けない。かつて住んでいた街や友人を訪ね、あの手この手で立ち向かっていくうち、しだいに私の心は――。二人の焦れったい心の攻防が、各章冒頭の柔道技と重ねられて表現されていく傑作恋愛小説。(解説・小池真理子)
  • 鉄の楽園(新潮文庫)
    4.0
    1巻935円 (税込)
    東南アジアの新興国・R国に、日本が世界に誇る鉄道インフラを売り込め! 四葉商事の相川翔平は、受注競争で中国に負け続きの現状を打破すべく、秘策を練っていた。同じ目標を持つ経産省の官僚、竹内美絵子は、日本の人材レベルの高さに目をつけ、斬新なアイデアを打ち出す。中国に勝つための鍵は、R国の次期首相に立候補したキャサリンだった――。日本再生を予見する、希望溢れる企業小説。(解説・村上貴史)
  • 緋の河(新潮文庫)
    3.8
    1巻1,045円 (税込)
    釧路に生まれた秀男は、色白小柄で人形のように愛らしく、幼少期から「女になりかけ」とからかわれた。父に殴られ兄に蔑まれ教師に抑圧されても男らしくなどできず、優しい母と姉、初恋相手の同級生男子が支えだった。やがて家を飛び出し、札幌、東京、大阪の夜の街、そして芸能界へ道を切り拓いていく。自分らしく生きるため逆境で闘い続けた先駆者が放つ、人生の煌めき。心奮う傑作長編。(解説・仲野徹)
  • 善人たち
    3.6
    1巻1,870円 (税込)
    開戦直前にアメリカへ留学した日本人神学生を主人公に、現代まで通じる差別、分断、憎悪、格差などを鮮やかに描き出す表題作。小説版の三十年後の主人公が登場する「戯曲 わたしが・棄てた・女」、劇的きわまる時代物「切支丹大名・小西行長」。長崎市遠藤周作文学館で発見された、作家が最も充実した時期に書かれた戯曲集!
  • かれが最後に書いた本
    4.0
    世界をおおった未曾有の蟄居の日々、友だちはあっちの世界に仲間入り。でも、本を開けばまた会える。かれらとのつながりは、いまのほうがつよく感じられる。樹木希林、鶴見俊輔、池内紀、橋本治、和田誠、加藤典洋、古井由吉、坪内祐三、平野甲賀……ページのむこうにある記憶の重なり。希代の本読みの読書案内、しみじみと完結。
  • すごい神話―現代人のための神話学53講―(新潮選書)
    3.0
    人間はなぜ死ぬのか――インドネシアのバナナ型神話と『鬼滅の刃』の物語から考える。女神たちは何を担わされているのか――インドの乳海攪拌神話とゲーム『FGO』の世界観から解き明かす。世界に伝わる多様な神話から、現代の映画や漫画、ゲームにまで息づく「神話のエッセンス」を明らかにする、魅惑の神話学講義!
  • ハレム―女官と宦官たちの世界―(新潮選書)
    3.4
    性愛と淫蕩のイメージで語られてきたイスラム世界の後宮・ハレム。奴隷として連れてこられた女官たちは、いかにして愛妾、夫人、母后へと昇りつめたのか。ハレムを支配する黒人宦官と、内廷を管理する白人宦官は、どのように権力を手にしたのか。600年にわたりオスマン帝国を支えたハイスペックな官僚組織の実態を描く。
  • あの胸が岬のように遠かった―河野裕子との青春―
    4.4
    「知らぬまま逝つてしまつた きみを捨て死なうとしたこと死にそこねたこと」「わたくしはあなたにふさはしかつたのか そのために書き、書き継ぎてなほ」――。妻が遺した日記と手紙300通を見つけた夫が初めて明かす、若き日の出会いと命がけの愛の物語。
  • 母親になって後悔してる
    3.9
    もし時間を巻き戻せたら、あなたは再び母になることを選びますか? この質問に「ノー」と答えた23人の女性にインタビューし、女性が母親になることで経験する多様な感情を明らかにする。女性は母親になるべきであり、母親は幸せなものであるという社会常識の中で見過ごされてきた切実な想いに丁寧に寄り添った画期的な書。
  • 午前0時の身代金
    3.5
    1巻1,650円 (税込)
    新米弁護士の小柳のもとに相談に訪れた女子学生が、その夜、突如失踪した。翌朝、クラウドファンディングで日本中から10億円の身代金を募るという前代未聞の誘拐事件が発覚する――! 斬新な設定、読者を翻弄する展開、抜群のリーダビリティ。デビュー作にしてエンタメ小説の面白さが詰まった、新機軸のノンストップ・ミステリー!
  • 永いおあずけ
    3.7
    1巻1,760円 (税込)
    売れないロッカーが雪山でのライブに愛人同伴で向かう「変態だ」、南の島で憧れのスターのSMプレイを目撃する「僕のスター」、バンド仲間の葬儀で熟女の悪戯に翻弄される「永いおあずけ」など5編を収録。不倫、緊縛、放置、性病、投稿の全部盛りで、煩悩まみれの中年ミュージシャンの痴態を描く、みうらじゅんの官能ロック小説!
  • 刑事弁護人
    4.0
    1巻2,145円 (税込)
    現役女刑事による残忍な殺人事件が発生。弁護士・持月凜子は同じ事務所の西と弁護にあたるが、加害者に虚偽の供述をされた挙げ句、弁護士解任を通告されてしまう。事件の背後に潜むのは、幼児への性的虐待、残忍な誘拐殺人事件、そして息子を亡くした母親の復讐心? 気鋭のミステリ作家が挑んだ現代版「罪と罰」。
  • 首相官邸の2800日(新潮新書)
    3.0
    官邸広報とは、国内はもとより海外諸国に向けて、時の政権の考えと政策を正しく伝えるのが職務だ。メディアの疑問や他国からのゆえなき批判にも、適時的確に応えなくてはならない。著者は第一次・二次安倍政権で計8年余り内閣広報官を務め、総理補佐官としても、首脳外交からゴーン事件、コロナ対応まで日々様々な課題と向き合ってきた。憲政史上最長政権を内側から支える一員として――2800日のドキュメント。
  • 知的に見える男、バカっぽく見える男(新潮新書)
    3.0
    スーツの着こなしも、スマートカジュアルも、じつは「骨格」が九割。自分の「骨格」に合う服を選べば着心地は抜群、知的な雰囲気と貴方らしさが「見た目」にプラス。胸囲とウエストを測るだけ、目からウロコのテクニックを英国在住のコンサルタントが伝授する。日本人が気にする「八頭身」のウソとホント、顔の輪郭で決めるメガネ選び、錯覚を利用したスタイリング術――どんな場面でも効く、シンプルかつ最強の「見せ方」。
  • 野村萬斎―なぜ彼は一人勝ちなのか―(新潮新書)
    4.0
    野村萬斎は、今では子どもから大人までその名を知る人気俳優であり、演出家としても活躍する、狂言方・和泉流の能楽師。だが、多くの伝統芸能の役者の中で、なぜ彼だけがそうなれたのか。萬斎個人の軌跡、政官界から作家・永井荷風らともつながる華麗なる家系はもちろん、能・狂言の歴史を丁寧に紐解き、それぞれの流派の背景や、明治維新から戦後、そして現代までの流れをわかりやすく解説する。古典芸能の教養書。
  • 核兵器について、本音で話そう(新潮新書)
    4.0
    日本は、中国、北朝鮮、ロシアなど猛烈に核能力を向上させている国に取り巻かれており、数千発もの核兵器の射程内にある。「唯一の被爆国の悲願」としての核廃絶は正しいが、本当にそれを望むならば、東アジアの現状を踏まえた、ありうべき国家戦略を日本自身が構想しなければならない。内閣、自衛隊、メディアなどで核政策に深くコミットしてきた4人の専門家が、「タブーなき核論議」を展開する。
  • ぼけますから、よろしくお願いします。 おかえりお母さん
    4.3
    母が認知症診断を受けて4年半、介護サービス利用が始まってほっとしたのも束の間、東京で働く著者に広島で暮らす父から電話が。「おっ母がおかしい」。救急搬送され、そのまま脳梗塞で入院した妻に、98歳になった父は変わらぬ愛情を注ぐが……。遠距離介護を続ける娘が時に戸惑い、時に胸を打たれながら見届けた夫婦の絆。
  • 砂まみれの名将―野村克也の1140日―
    4.4
    阪神の指揮官を退いた後、野村克也にはほとんど触れられていない「空白の3年間」があった。シダックス監督への転身、都市対抗野球での快進撃、「人生最大の後悔」と嘆いた采配ミス、球界再編の舞台裏、そして「あの頃が一番楽しかった」と語る理由。当時の番記者が関係者の証言を集め、プロ復帰までの日々に迫るノンフィクション。
  • なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない
    4.1
    どこでも、誰とでもつながれる時代。なのに、どうしようもなく「ひとりぼっち」だと感じるのはなぜ? 検索すれば、わかりやすい「答え」がありあまる時代。なのに、自分のこころがわからなくなるのはどうして? 紀伊國屋じんぶん大賞受賞の臨床心理士が読者との〈夜の航海〉を通じて描く、新感覚の「読むセラピー」。
  • 曼陀羅華X
    4.3
    1巻3,630円 (税込)
    1995年、地下鉄にサリンが撒かれ、教祖が逮捕される。だが、教団は公判直後に教祖を奪還、後の歴史は軋みながら軌道を変えた。「予言書」としてその筋書きを書いたのは、教団に拉致され姿を消した作家X。だがそこには、復讐というもう一つのシナリオが埋め込まれていた。魂が共鳴する、当代随一の琵琶法師的現代文学。
  • 雀の手帖(新潮文庫)
    4.0
    〈おでん、すきやき〉が〈筍にそら豆〉になる一月から五月までの百日間、〈ちゅんちゅん、ぺちゃくちゃと自分勝手なおしゃべり〉を毎日書き留めた手帖。冬枯れの光景に、悲惨な事件を起こしてしまった女性の心理を思いやり、陽気が温かくなると、しょっちゅうまぜずしを作って父・露伴を閉口させたかつての自分を懐かしむ。日常の何気なさの中に、“暮らし”の実感を伝える随想集。(解説・出久根達郎)
  • 木(新潮文庫)
    4.2
    樹木を愛でるは心の養い、何よりの財産。父露伴のそんな思いから著者は樹木を感じる大人へと成長した。その木の来し方、行く末に思いを馳せる著者の透徹した眼は、木々の存在の向こうに、人間の業や生死の淵源まで見通す。倒木に着床発芽するえぞ松の倒木更新、娘に買ってやらなかった鉢植えの藤、様相を一変させる縄紋杉の風格……。北は北海道、南は屋久島まで、生命の手触りを写す名随筆。(解説・佐伯一麦)
  • 父・こんなこと(新潮文庫)
    4.0
    父・露伴の死にゆく姿と、続く葬儀の模様を綴り、刻々の死を真正面から見つめた者の心の記録とした『父―その死―』。掃除のあとで、念を入れるために唱えなければならない呪文「あとみよそわか」のことなど、露伴父子の日常の機微を伝えるエピソード七話からなる『こんなこと』。誠実に生き、誠実に父を愛し、誠実に反抗した娘が、偉大な父をしのんで書き上げた、清々しいまでの記録文学。
  • おとうと(新潮文庫)
    3.9
    1巻605円 (税込)
    高名な作家で、自分の仕事に没頭している父、悪意はないが冷たい継母、夫婦仲もよくはなく、経済状態もよくない。そんな家庭の中で十七歳のげんは三つ違いの弟に、母親のようないたわりをしめしているが、弟はまもなくくずれた毎日をおくるようになり、結核にかかってしまう。事実をふまえて、不良少年とよばれ若くして亡くなった弟への深い愛惜の情をこめた看病と終焉の記録。(解説・篠田一士)
  • 流れる(新潮文庫)
    4.0
    1巻605円 (税込)
    梨花は寮母、掃除婦、犬屋の女中まで経験してきた四十すぎの未亡人だが、教養もあり、気性もしっかりしている。没落しかかった芸者置屋に女中として住みこんだ彼女は、花柳界の風習や芸者たちの生態を台所の裏側からこまかく観察し、そこに起る事件に驚きの目を見張る……。華やかな生活の裏に流れる哀しさやはかなさ、浮き沈みの激しさを、繊細な感覚でとらえ、詩情豊かに描く。(解説・高橋義孝)
  • きもの(新潮文庫)
    4.1
    1巻737円 (税込)
    明治時代の終りに東京の下町に生れたるつ子は、あくまできものの着心地にこだわる利かん気の少女。よき相談役の祖母に助けられ、たしなみや人付き合いの心得といった暮らしの中のきまりを、“着る”ということから学んでゆく。現実的で生活に即した祖母の知恵は、関東大震災に遭っていよいよ重みを増す。大正期の女の半生をきものに寄せて描いた自伝的作品。著者最後の長編小説。(解説・辻井喬)
  • 人類が知っていることすべての短い歴史(上)(新潮文庫)
    完結
    4.1
    こんな本が小学生時代にあれば……。宿題やテストのためだけに丸暗記した、あの用語や数字が、たっぷりのユーモアとともにいきいきと蘇る。ビッグバンの秘密から、あらゆる物質を形作る原子の成り立ち、地球の誕生、生命の発生、そして人類の登場まで――。科学を退屈から救い出した隠れた名著が待望の文庫化。137億年を1000ページで学ぶ、前代未聞の“宇宙史”、ここに登場。
  • 命あれば(新潮文庫)
    5.0
    寂聴さんには、世界がどう見えていたのだろうか――。後世に残したいと願った京都の自然や歴史ある街並み。時代が変わっても忘れてはいけないと言った子供の躾や弱者へのいたわり。そして、いつまでも守り続けるべきと訴えた日本人の心と平和な毎日。遺された言葉からは、鋭くも優しい「まなざし」が感じられる。混迷の現代をどう生きていけばいいのかを教えてくれる、珠玉の傑作随筆集。(解説・重里徹也)
  • 西日本鉄道殺人事件(新潮文庫)
    -
    福岡から大牟田に向かう9000系西鉄特急の車内で、91歳の町工場元社長が殺された。老人は、60年前、その三連覇に熱狂した西鉄ライオンズゆかりの聖地を巡り、大牟田で九州新幹線に乗り換え、鹿児島に向かう旅の途中だった。事件解決の鍵は、老人が「人生最後の旅」で目指した、「最も悲しみと怒りが強い場所」にあるのか? 終わりなき戦後の闇に十津川警部が挑む、好評の「地方鉄道」シリーズ。
  • 太陽・惑星(新潮文庫)
    4.0
    太陽は毎日輝いている。そりゃそうだ。けど、輝き果てた後には何が残るのか? 金か、それともカネかーー。新宿の安ホテルで、アフリカの赤ちゃん工場で、パリの蚤の市で、インドの湖畔で、我ら人類は飽くなき欲望をスパークさせ、挙げ句の果てに太陽による錬金術が完成。ついには不老不死が実現する。バンザーイ!……なのかどうかはあなたが決める。異能の芥川賞作家の伝説的デビュー作。(解説・町田康)
  • 初恋さがし(新潮文庫)
    3.4
    忘れられないあの人、お探しします。どうか安心してご依頼ください――。高田馬場駅から徒歩5分、所長もスタッフも全員女性のミツコ調査事務所。訪れる依頼人たちが求めているのは、甘酸っぱい思い出の余韻? ふたたび燃え上がる恋心? それとも。眠っていた過去を呼び覚ますとき、怨嗟の血がとめどなく流れる……。秘密と殺意が絡み合い、戦慄のラストへと疾走する、イヤミスの臨界点!
  • かがやき荘西荻探偵局(新潮文庫)
    4.0
    1~2巻737円 (税込)
    西荻窪のシェアハウスで暮らす、葵、美緒、礼菜。お金も色気もないアラサー女子三人組が、探偵やるなら滞納家賃は相殺という話に飛びついた。杉並大豪邸の事件、深夜に回る洗濯機の怪、週末だけの秘密ミッション、「西荻向上委員会」からきた紳士……。謎解きは時々ぐだぐだ酒宴と化すけれど、あれ? 解決のヒントが! ゆるめな推理が心地よいミステリー。『かがやき荘アラサー探偵局』改題。(解説・香山二三郎)
  • 神とさざなみの密室(新潮文庫)
    3.3
    ここはどこ!? 女子大生の凛は記憶を辿るが、何も思い出せない。暗い部屋で、両手首を頭上で縛られている。一体誰がこんなことを。恐怖に駆られる凛の前に、突然見知らぬ男が現れる。両者の間に横たわる、顔を焼かれた死体――。破局のタイムリミットが近づく中、対立する政治団体の男女を、疑惑と憎悪、密室と死体の謎が翻弄する。本格ミステリ新世代の旗手による究極の密室監禁サスペンス。(解説・千街晶之)
  • 欺す衆生(新潮文庫)
    4.3
    1巻1,155円 (税込)
    戦後最大の詐欺集団、横田商事。その崩壊を目撃した隠岐隆は同じく元社員の因幡充に勧誘され、嫌々ながら再び悪事に手を染める。次第に才能を開花させる隠岐。さらには二人の成功を嗅ぎつけ、経済ヤクザの蒲生までもが加わってきた。口舌で大金を奪い取ることに憑かれた男たち。原野商法から海外ファンドにまで沸騰してゆく遊戯の果てに見えるのは光明か地獄か。山田風太郎賞受賞の犯罪巨編。(解説・酒井貞蔵)

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