ハレム―女官と宦官たちの世界―(新潮選書)

ハレム―女官と宦官たちの世界―(新潮選書)

小説・文芸
1,815円 (税込)

9pt

3.6

性愛と淫蕩のイメージで語られてきたイスラム世界の後宮・ハレム。奴隷として連れてこられた女官たちは、いかにして愛妾、夫人、母后へと昇りつめたのか。ハレムを支配する黒人宦官と、内廷を管理する白人宦官は、どのように権力を手にしたのか。600年にわたりオスマン帝国を支えたハイスペックな官僚組織の実態を描く。

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ハレム―女官と宦官たちの世界―(新潮選書) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    ハレムって後継を確保するために高度に組織化された官僚世界だったのね。
    中での人事や、可哀想な王子(事実上ハレムに幽閉された)の話も面白かったけど、ハレムの話を通してオスマントルコの歴史もちょっぴり知ることができた。

    0
    2025年09月13日

    Posted by ブクログ

    オスマン帝国の君主がトプカプ宮殿に構えた、ハレム。
    それは帝国の国政と文化を担った場所であり、組織だった。
    第一章 ハレム前史―古代よりオスマン帝国初期まで
    第二章 ハレムという空間の生形―トプカプ宮殿の四00年
    第三章 女官たち  第四章 王族たち  第五章 宦官たち
    第六章 内廷の住人たち  第七章 ハレムと文化
    第八章 変わりゆくハレム  終章 ハレムの歴史的意義
    コラム1~11、注、図版出典一覧有り。

    主にトプカプ宮殿を中心にハレムの存在意義と、
    住まう人々について、分かり易く、かつ詳細に説明している。
    身分は非ムスリムで非帝国臣民の奴隷たちが大部分。
    それぞれの事情、ハレムでの職階と職務、生活、給与や人数等。
    女官の結婚や刑罰について。夫人と愛妾の序列。
    ハレムでの最高権力者の女后。
    王子殺しから、年長者相続と鳥籠制度に変化した王子たちの境遇。
    王女たちの婿探しは、宮廷政治にとって重要だったこと。
    内廷での実力者、白人宦官。ハレムでの陰の支配者、黒人宦官。
    幹部候補生として内廷に住まう小姓。
    内廷とハレムでの小人や啞者の職務と存在意義。
    女官の音楽と芸能、読書からの文芸、宗教寄付による建築。
    そして、時代の変遷のなかでの、トプカプ宮殿の位置付けの
    変化や改革、近代化、戦乱の影響はハレムにも及び、
    何よりも奴隷交易廃止とオスマン帝国自体の滅亡が、
    ハレムを終焉へと導く。
    400年以上も続いたハレムですが、その内情はパンドラの箱の
    如く。住まう者の多くが奴隷であり、非ムスリムで非帝国臣民で
    あったことは、帝国臣民すら知らぬ場所だったと思われますし、
    西洋に伝わったイメージも偏見や憧れで誇張されてきたことが
    分かります。王位継承者や幹部候補生の場というのも、新鮮。
    史料の都合もあり、まだまだ研究は途上なので、
    今後の研究が待たれるとのこと。それでもハレムの一端を
    知ることが出来て、良かったです。
    他国や江戸時代の大奥と比較してみるのも面白いかも。

    0
    2023年05月30日

    Posted by ブクログ

    "ハーレム"(ハレム)と聞くと女性を何人も侍らせている男性を想像してしまうが、それは昔の欧州の人々が"オスマン帝国"という巨大な国家に対しての蔑むこと、もしくは無知からくる想像であることが分かる一冊

    本書において"ハレム"というのは後継者を育てるための巨大な組織機構であることがわかり、女性の扱いにおいても奴隷の身から考えると格別な待遇であることが伺える

    従来の"ハレム"像とはかけ離れた内容であり、学術的な内容であるため、期待外れと思う人は中にもいると思われるが、学術書より読みやすく書かれている一冊であり、興味がある場合は手に取ってみるのも良いかもしれない

    0
    2023年05月07日

    Posted by ブクログ

    日本ではハーレムと呼ばれることの多いハレム。
    エキゾチックでエロティックな空間、と言うイメージが強いが、本書を読むと、官僚機構であった、とイメージがガラリと変わる。

    そもそも、国内の美しい女を侍らせ…ではなく、女性たちは奴隷身分であった。
    しかも、14世紀のハレムでは、王子の母が奴隷身分の他宗教出身であっても君主の名代として振る舞っていたと言う。

    女官組織は母后を頂点としている。
    19世紀には西洋文化を身につけるレッスンも施された。
    宦官組織も、白人、黒人で大きく分かれることもなかった。
    読み進めていくうちにイメージがどんどん変わる。

    世襲君主制や官僚組織としてのあり方も興味深い。
    いくつかの王朝との共通点もあり、類似性から特異性を探ることもできよう。
    しかしまだ研究途上(280頁)と言うこともあり、これからの研究にも期待したい。
    新たなる視点を授けてくれる本書は、低く見られがちな文化に対する転換の一つであるのだ。

    0
    2022年10月30日

    Posted by ブクログ

    イスラム帝国からオスマン帝国にかけてのハレムについて、その成立や目的、立地や人的構成など多岐にわたって解説されている。また、これらの帝国の簡単な歴史紹介にもなっている。
    本書によれば、ハレムとは、王位継承者のプールであり、王統が途切れず、かつ、親族どうしで王位継承の争いが起きないようにするという目的のための私的かつ公的な組織だということのようだ。キリスト教世界の王位承継や日本の皇統承継との比較についても少し述べられており、現代の問題とのつながりも見られた。

    0
    2022年09月04日

    Posted by ブクログ

    トプカプに行く前に読んでおくべき本。
    ハレムの組織については分かった。しかし、そこから次の疑問が湧いてくる。
    オスマントルコの皇帝は、かなり長くずっと奴隷出身の母の子で、母の出自はヨーロッパ、ウクライナなどが多かったとすると、皇帝って、金髪が多かったりする?そういう絵は見たことないけど、ターバンだから分からないか。
    母が常に奴隷であるのは、トルコ人有力者から嫁を取って、有力者間の勢力争いが起きるより良かったのかなあ?イスラム社会の相続は、ヨーロッパや東アジアとは違うのか? マムルーク朝なんて、子供に相続させないしなー。
    分からないことだらけ。

    0
    2022年05月26日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    中公新書の「ケマル・アタテュルク-オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父 」に続いて読んだが、分かりやすく面白い。すっかり小笠原先生のファンになってしまった。淫蕩なイメージのある「ハレム」についてその歴史からその構成員を主軸に描いている。巻頭にオスマン帝国周辺地図と歴代スルタンの一覧があり、本書を読み進める上で非常に役に立った。「ハレム」という王位継承者を確保するのに最適な官僚機構について興味深く学ぶ事ができた。

    【第1章 ハレム前史】
    王族女性が「トルコ・モンゴル型」から「アッバース朝型」への変遷過渡期に2代目スルタンの寵姫ニルフェルの存在があったとの事だが、その変遷理由が分からなかった。スルタンの妻が衆目の目に晒されるか否かや、名家出身か奴隷かでは全く価値観が違うが。
    【第3章 女官たち】
    ドラマ「オスマン帝国外伝」を視聴していたため良く理解できたが、奴隷身分である女官がハレムの官吏として働いていた事は改めて面白い。かつてのアメリカの奴隷制度と全く違い、不可触民ではなく単なる身分制度。女官朝に至っては母皇よりも高い棒給を得ていた。
    【第5章 宦官たち】
    宦官手術の死亡率が25〜50%と高いことから宦官が高価になり、通常の奴隷の2〜3倍で取引されたという話は興味深い。ビザンツ帝国やオスマン帝国から中華帝国まで様々な地域で用いられた宦官だが、中国から強く影響を受けた日本には制度として取り入れられなかったのは何故なのだろうか。
    【第7章 ハレムと文化】
    宗教的寄進の際、出資者がモスクなどの公共性の高い施設と共にその後の運営のために店舗などの利益を生み出す物件を用意する仕組みには感心させられた。同時代のキリスト教社会では考えられない、この合理的な仕組みは、流石は元商人のムハンマドが創始した宗教である。
    【終章 ハレムの歴史的意義】
    「ハレムは徹頭徹尾、王位継承者を確保するという目的に最適化された組織だった。いわば、ハレムは官僚組織であり、ハレムに住まう人々は官僚だったのだ。」「皇室を有する日本を含め、世襲君主制を採用している民主国家では、後宮不在の時代にいかに君主の後継者を確保してゆくか、という問題に直面している。現代における君主制は、こうしたアポリア(難問)をかかえて運用せざるを得ないのである」

    0
    2024年12月26日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    様々な角度からハレムが考察されていてとても興味深かったです。
    以下簡単な内容メモ。

    ・ハレムは構造が果たす役割が大きい
    ・王子はスルタンになるまで鳥籠の間で暮らす→ほぼ幽閉(至高の存在に至近するものでありながら、制限されている)
    ・王子は即位の機会がなければハレムにずっと軟禁される
    ・兄弟殺しが通例だった
    ・母后の権限がとても強い
    ・女官はピラミッド型の統率された社会
    ・白人宦官と黒人宦官がいた
    ・去勢の過程で化膿もろもろで四分の一が死亡するため、宦官は他の奴隷よりも高値で取引された
    ・各役職がしっかりと統制されていて興味深い
    ・「我が獅子よ(アルスラヌム)」→某戦記を思い出しました。

    0
    2023年01月02日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    私にはどっちかというとガジェットネタかも。いろいろどうしてそういう考えになるんだか、はあるが海に沈められる話はぞっとする。

    0
    2024年06月28日

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