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「理解はできないが、受け容れる」それがウェスト夫人の生き方だった。「私」が学生時代を過ごした英国の下宿には、女主人ウェスト夫人と、さまざまな人種や考え方の住人たちが暮らしていた。ウェスト夫人の強靱な博愛精神と、時代に左右されない生き方に触れて、「私」は日常を深く生き抜くということを、さらに自分に問い続ける――物語の生れる場所からの、著者初めてのエッセイ。
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Posted by ブクログ
自分とは異なる考え方や感じ方を肯定するでもなく、否定するでもなく、受け入れるにはどうしたらいいのかと思って、手に取った本。 どんなに自分では理解できなくても、好きになれなくても、人が感じたことを尊重できる自分になりたいと思った。
エッセイなのに物語のような1冊。 ウエスト夫人の人柄に惚れ惚れしてしまう。 こんな素敵な経験が梨木香歩さんを作ったのかなと思うと彼女の柔らかくも強い文章に納得する。
寒さが少し和らぎ、花粉が飛び始めてムズムズし始める時期が旬のエッセイだと思う。 あらゆる人々との出逢いが、この250ページに詰め込まれていて、現実の出会いを億劫に思う気持ちを撫でて解いてくれる気がする。 暮らしの中で問を見つけては真摯に思考を重ねる著者の姿には、なぜだか、エッセイに出てくる車掌や駅...続きを読む員寄りのイメージを重ねていた。
何度も何度も読んで、カバーがぼろぼろになってきたけど買い替えず持っている本。やりきれない、わかり合えない、けど誰かとつながっていく。
理解は出来ないけど、受け容れる。分かってあげられないけど分かっていないことは分かっている。この考え事や姿勢がとても好きだなぁ。色々な人がいて、価値観や生き方が違って家族でも衝突することがあるけど、こんな風にお互いの考えもうまく受け容れていくことが出来るようになれたら…と思った。自分の中で人との向き合...続きを読むい方に悩んだときに、読み返して確認したくなる大事な本だな…と思う。
人種や性別を感じさせない、作者のフラットで真っ直ぐな視点とその表現力が素晴らしいエッセイ。 軽く読み進めることができるのに現代を生きる私達へのメッセージ性も充分にあり非常に満足しました。 “相反するベクトルを、 互いの力を損なわないような形で 一人の人間の中に内在させることは可能なのだろうか...続きを読む。” “あれはドリス(人名)そのものよ。 全て青天白日にさらして、何の後ろめたいこともない。” 上記2つのフレーズが、特に印象的。 周囲の友人に自信を持って勧めたくなる一冊でした。
家守綺譚を読んで、同じ作者の本を読みたくなりました。 家守は日本的な話だったので、イギリスに語学留学されていたことに驚きました。 梨木さんに更に興味が湧いてきました。
文庫の内容紹介は「『理解はできないが、受け入れる』それがウェスト夫人の生き方だった」から始まっている。梨木作品は「家守奇譚」「ピスタチオ」を読んだ後だったこともあって、てっきり「不思議への理解」のことと思きや(そういうシーンもなくはないが)、「他人への理解」「異文化への理解」という意味だった。 差...続きを読む別、戦争、宗教などの問題に踏み込んではいるものの、「社会派」というのとも違う。あくまでも、焦点は「社会」ではなく、「具体的な誰か」である。冷静な文章でありながら、これだけの熱量を感じるのは、実際に触れあった、生の人たちの体温だろう。 可愛らしいタイトルのエッセイだ、などと油断できない読み応えである。
モンゴメリにも人種的な偏見があったことに触れていた。他は全体的にあまり頭に入ってこないが、そこだけ妙に印象的だった。
Kの経験すること、出会う人たち、全てがわたしに新しい考えと見方をくれました。魅力的な世界を生きていることをうらやましく思い、わたしも世界へ行って経験をしたいという気持ちになります。
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