あらすじ
「理解はできないが、受け容れる」それがウェスト夫人の生き方だった。「私」が学生時代を過ごした英国の下宿には、女主人ウェスト夫人と、さまざまな人種や考え方の住人たちが暮らしていた。ウェスト夫人の強靱な博愛精神と、時代に左右されない生き方に触れて、「私」は日常を深く生き抜くということを、さらに自分に問い続ける――物語の生れる場所からの、著者初めてのエッセイ。
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面白かった!世界中の色んなバックボーンを持った人たちと心から関わり合えるのって素敵。個人的なことから人種やらのことまで幅広いエピソードがあって楽しかった。
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今の季節にあった題名である。都会より自然のある生活を愛する著者の大学出たてで英国Sワーデンの下宿先を二十年後訪ね湖北地方を旅し、山を登り土地の人たちと交流して自分のアイデンティティを確かめながらまた、ニューヨークに渡りニューヨークの刺激に魅了し反核運動に参加したり、クリスマスパーティーに参加した話、カナダトロントに滞在してプリンスエドワード島での旅での老車掌とのやりとり、自閉症児との話など、爽やかな読後感のエッセイです。
季節は今、題名の通りの時期ですが著者の温かな感性がただよう本でした。
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高校生の時に読んでからずっと忘れられない一冊。
価値観が違う人・もの・出来事を、理解できなくても自分の中に受容する姿勢の大切さを今でも語りかけてくる。
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「西の魔女が死んだ」も好きでしたが、こちらは英国好きの私には堪えられないエッセイでした。
旅行で行くのと暮らすのでは違うとわかっているけど、私も暮らしてみたい。久しく訪ねていませんが、また旅行したくなりました。
ウエスト夫人の飾らない、でも暖かい人柄に惹かれます。こんなふうに歳を重ねたいものだと思いました。
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理解はできないが受け容れる。相手を完全に理解することはできないけれど、相手を否定せず理解しようとする姿勢は持ち続けたい思った。 「それが文化である限り、どんなことであろうと私はそれを尊重する。文化である限りは。」 日本人の蕎麦を啜る音に驚いたナイジェリア人女性のこの言葉が印象に残っている。
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自分とは異なる考え方や感じ方を肯定するでもなく、否定するでもなく、受け入れるにはどうしたらいいのかと思って、手に取った本。
どんなに自分では理解できなくても、好きになれなくても、人が感じたことを尊重できる自分になりたいと思った。
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エッセイなのに物語のような1冊。
ウエスト夫人の人柄に惚れ惚れしてしまう。
こんな素敵な経験が梨木香歩さんを作ったのかなと思うと彼女の柔らかくも強い文章に納得する。
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寒さが少し和らぎ、花粉が飛び始めてムズムズし始める時期が旬のエッセイだと思う。
あらゆる人々との出逢いが、この250ページに詰め込まれていて、現実の出会いを億劫に思う気持ちを撫でて解いてくれる気がする。
暮らしの中で問を見つけては真摯に思考を重ねる著者の姿には、なぜだか、エッセイに出てくる車掌や駅員寄りのイメージを重ねていた。
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理解は出来ないけど、受け容れる。分かってあげられないけど分かっていないことは分かっている。この考え事や姿勢がとても好きだなぁ。色々な人がいて、価値観や生き方が違って家族でも衝突することがあるけど、こんな風にお互いの考えもうまく受け容れていくことが出来るようになれたら…と思った。自分の中で人との向き合い方に悩んだときに、読み返して確認したくなる大事な本だな…と思う。
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人種や性別を感じさせない、作者のフラットで真っ直ぐな視点とその表現力が素晴らしいエッセイ。
軽く読み進めることができるのに現代を生きる私達へのメッセージ性も充分にあり非常に満足しました。
“相反するベクトルを、
互いの力を損なわないような形で
一人の人間の中に内在させることは可能なのだろうか。”
“あれはドリス(人名)そのものよ。
全て青天白日にさらして、何の後ろめたいこともない。”
上記2つのフレーズが、特に印象的。
周囲の友人に自信を持って勧めたくなる一冊でした。
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家守綺譚を読んで、同じ作者の本を読みたくなりました。
家守は日本的な話だったので、イギリスに語学留学されていたことに驚きました。
梨木さんに更に興味が湧いてきました。
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おもしろい、と思う本を書く人は、やっぱり魅力的な生活をしてた。
そして、好きそうなものがなんとなく似てたことに、少々ニヤリ。
赤毛のアンの舞台、プリンス・エドワード島とか、ベアトリクス・ポターとか。
ニューヨークにあまり魅力を感じず、だったら羊の糞だらけの場所の方がいい…ってのも。
私とじゃ、オツムの出来からして違うだろうけど、そのちょっとの共通点が妙にうれしかった。
私がいつも読むエッセイは、笑えるものばかりだけど、これはすごくいろんなことを考えるきっかけになった。
新年初のエッセイに、実にふさわしかった。
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まるで物語のようなエッセイ!
こういう体験(留学)を
バックボーンに
小説を描いてるんだなぁ〜
細やかな心情や情景
ふっと気配を感じる描写
梨木さんの作品
引き続き読んでいきたいと思う
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Kの経験すること、出会う人たち、全てがわたしに新しい考えと見方をくれました。魅力的な世界を生きていることをうらやましく思い、わたしも世界へ行って経験をしたいという気持ちになります。
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〈再登録〉梨木香歩さんの初エッセイ。「裏庭」の風景描写や異国情緒はイギリスの町、S・ワーデンで過ごした日々がルーツなのでしょうか。様々な人種が集まる土地で感じた価値観の違いに真摯に向き合う姿が印象的です。
若い時にウェスト夫人という慈愛に満ちた人と共に過ごしたこと、彼女と変わらぬ友情を築いてきたことは一生の財産なのでしょう。
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異国の地での暮らし、人との出会いはその後の人生を変えてしまうくらいの影響力があると思う。
人との関係、距離感がいい。
エッセイではないような重さがある。
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私は読書は同じ著者のものを続けて読んでしまうクセがあります。(またこの著者さんの本の感想かと思った方がいればすみません)
こちらの書籍は、大まかに言うと人と人、過去と現在の問題や、日常のエッセイかと思います。様々な話題が取り上げられていました。
一部の内容について、私自身、戦争はもちろん差別されるような環境にも置かれたことがない(認識してないだけかもしれないが)ので自分には難しい話だった。
そうであっても、心によく入ってきて感情が揺り動かされて、初めてこういった話題は今まで理解はしようとしていても深く感情まで動いたことはなかったのだなとこの本で気付かされた。
改めて世界の平和を心から願う。
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いい本を読んだなあ…と思った。
著者とその周りの人々の交流とかその景色が、外国の小説を読んでいるようで、エッセイという感じがしなかった。
その一方で、人が何かを考えている時、こういう風にするすると思考って流れていくよなあ…と思えるような、頭の中を覗いたような文章だった。
「理解はできないが受け容れる」ことって、理想ではあるけど体現するのは難しいことだと漠然と思っていた。
けどウェスト夫人のような人がいると知れて、人との交流は新しい価値観をもたらすものだと思ったし、人との交流をもっと広げていきたいと思った。
外国の風景も魅力的だった。この本自体が、英国の田園風景を想像させるような雰囲気を持っていると感じた。
2025/3/16 再読
外国に行って人種や文化の違い、経験の違い、信仰するものの違いを避けず、受け止めて考えていく経験が、自分にはないと感じた。
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梨木さんのエッセイ初読。英国に下宿していた時の女主人ウェスト夫人と、様々な人種の人たちとの交流や文化、考え方の違いなどに驚かされたり共感したり。日本に帰って来てもその時の経験が生きたり、梨木さんの人生の深みを垣間見ることが出来て面白かった。
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む、難しかった。登場人物が多い、ローマ字表記、そして知らない言葉が多くて読み終えるまでに時間を要した…
とは言っても、外国の文化や、梨木さんの想いがよく伝わる文章で良書。もう少し言葉を知って読み返そうと思う。
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「西の魔女が死んだ」の著者、梨木香歩さんのエッセイ。本書では、他国の人々の出会いや触れ合いが書かれている。文化の違う国で出会った人々との忘れられない思い出。おもしろかった。
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タイトルのイメージより複雑難解。聞き慣れない地名や人名が多いのもあるけどなにより異文化!しっくりこない部分も多々ありつつ、そんな人たちやそんな考え方があるものなんだなあと蚊帳の外から眺める感覚で読んだ。1回では消化できないけどちゃんと読めたら楽しいんだろうなと思った。このエッセイがちょっと難しくて心が折れかかっているので、積読の『ピスタチオ』と『海うそ』が楽しく読めることを祈るばかり…
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家守奇譚などを読んでいて和風のイメージがあったため、梨木さんが海外で暮らしていたことを知らず驚いた。
クリスマスの話が好きです。
ゲストをたくさん呼んだり、各々料理を準備したり、ネームプレートを用意したり、みんなでツリーの下にプレゼントを積んだり…
そんな文化祭みたいなイベントが日常に組み込まれていることが羨ましい。
それと、最後の章の、マイ箸を機内食で使用した後に客室乗務員の方が「お洗いしましょう」というところ。ホスピタリティがすごい。
「自分が彼らを分からないということは分かっていた。好きではなかったが、その存在を受け容れていた。
理解はできないが受け容れる。ということを、観念上だけのものにしない、ということ。」
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「理解は出来ないけど受け容れる。」
さまざまな意味での「異邦人」を受け容れることは、今の日本社会を生きる私たちに必要な姿勢なのだと思う。理解が出来ないものは受け容れられない、そんな価値観が蔓延るなかで、ウェスト婦人の受け容れる姿勢には気持ちが暖かくなった。
理解出来なくても受け容れていいんだ、と安心感すら覚えることのできる、素敵なエッセイだった。
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「西の魔女が死んだ」が大好きでこれを書いた方ってどんな人だろう?と思って手に取った。
エッセイと言えば気軽に読めるもの、という思い込みが吹っ飛ばされ、思った以上に難しかった。
ウエスト夫人の人間性に感銘を受けた。
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異国の土地での出会いがどれほど素敵で、一緒に過ごした時がどれだけかけがえのないものだったか伝わります。
梨木香歩さんが好きなのとタイトルに惹かれて手に取りました。
想像よりもご友人たちへのメッセージが強く、その方達へ書いているのかな?という内容でした。
またハッピーな内容ばかりでなく、朝の苦痛な通勤電車で読むには少し負担になってしまい、途中で挫折してしまいました。
時が来たらまたリベンジしたいと思います。
Posted by ブクログ
著者の留学中に世話になった英夫人を中心に添えたエッセイとは知っていた。田舎の賢夫人の暮らしぶりがテーマと思ってたら、随分違った。一篇一篇が結構な長さがあるし、色々騒動も持ち上がるし。
イギリスでの生活が舞台だから、「玄関ドアの高さをフルに使って入ってきた彼は、」なんて表現になるのかな。判り易いけど、チョッと面白い。
レディー・ファーストは「甘やかし」と思い、心地良く感じながら「トウゼント オモッテハ イケナイ」と自分に訓戒を垂れる。
本を読むこともなく働き通しの家政婦の生活、敬虔なクウェーカー教徒の暮らしを思いやり、日常を深く生き抜くことを問う。
神への信仰にひたむきな女性が先住民の精神文化を侵略したことに対し、信仰心とそれに対する疑念を一人の人間の中に持ちうることが可能かと自問する。
テクテク歩きながら、水の流れに足を捕われながら、相反する方向性を保つ無意識のコツ、方法がなにかあると考える。
こういう処が、梨木さんらしい文章だなと思う。
気位の高いナイジェリア人の家族、「道徳」を知らずに育ったコソボ出身の姉弟、女性の人格を認めないイスラームの留学生、…。
色々のエピソードが満載だったが、読後は彼らを理解が出来ないで、頭に来てたりしながら、それでも、受け入れようとするウエスト夫人の姿が立ち上ってくる。
日本人の殻に閉じこもっている自分。お前、それでいいのかと問われているように感じた。