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ふとした日常の風景から、万華鏡のごとく様々に立ち現れる思いがある。慎ましい小さな花に見る、堅実で美しい暮らし。静かな真夜中に、五感が開かれていく感覚。古い本が教えてくれる、人と人との理想的なつながり。赤ちゃんを見つめていると蘇る、生まれたての頃の気分……。世界をより新鮮に感じ、日々をより深く生きるための「羅針盤」を探す、清澄な言葉で紡がれた28のエッセイ。
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Posted by ブクログ
日常のふとしたことから、梨木さんが徒然に思いを馳せてゆくエッセイ。 「ゆるやかにつながる」では、ツルの群れの話から私たち人間もまた群れる生き物だという話へ。 「できるならより風通しの良い、おおらかな群れをつくるための努力をしたい。個性的であることを、柔らかく受け容れられるゆるやかな絆で結ばれた群れ...続きを読むを。傷ついたものがいればただそっとしておいてやり、異端であるものにも何となく居場所が与えられ生きていけるような群れを。ちょっとぐらい自分たちと違うところがあるからといって…(略)…詰め寄り排斥にかかることがないような群れを。」 これにはとても共感した。 「世界は生きている」では、清里の森から様々に思いを巡らす。 『西の魔女が死んだ』にちらりと触れられているのも嬉しいところ。 (特別編として、「『西の魔女が死んだ』の頃」という章もある) 「刻一刻と様相の変わってゆく「生き物の現場」を、きっと「世界」と呼ぶのだろう。」という結びの文章が好きだ。 ここで言う「生き物の現場」とは森のことだ。 カッコウやホトトギスの托卵という習性に目を向け、梨木さん独特の、どこか飄々とした風情で「生き物の現場」を捉える。 「「スケール」を小さくする」での切手を買いためてしまうお話にも共感する。 あの方へは、このレターセットが似合いそう。 そしてこのレターセットには、こちらの切手がぴったりだ。 などと、選ぶ作業はとても楽しいものだが、このご時世、殆どがLINEとメールで済むようになってしまった。 「忙しさのあまり便利さを選ぶ心に、風流の棲みつく場所はない」と梨木さんも仰有る。 実際は寂しいことなのだけれど、この表現、素敵だなーなんて思ってしまった。 次の章「金銭と共にやり取りするもの」にも、小さな共感や素敵な表現が潜んでいた。 新聞の集金だけは、口座引落しをやめ、集金に来て貰うことを選んだ梨木さん。 通信販売には対人の煩わしさがないかわりに人の気配が足りないと仰有る。 対人で支払う瞬間には、ただの金銭のやり取りだけではない、「ありがたさ、(ときには)恐縮、会えたうれしさ、細やかな感情のやり取り、ささやかなあるいは(その人にとっての思いがけない)重要な情報の交換」が含まれているという。 だからこそ、「やり取りすることに金額の持つ以上の価値がある気がする」と。 動植物にお詳しい梨木さんであるからか、このエッセイは、まるでマイナスイオンを発しているかのようだった。 透明度の高い、澄んだ感じ。 清涼感を感じるような。 また、梨木さんの文章から、自分らしく慎ましく暮らすことの美しさを感じた。 そして、人は、群れる生き物としてどうあるのが好ましいか。 どんな距離感を保つのが好ましいか。 日常の小さな物事も丁寧に経験し、考え、深く味わうこと。 それは案外難しい。 けれど、なるべくそうありたいと思った。 好きな章 「近づき過ぎず、遠ざからない」 「金銭と共にやり取りするもの」 「ご隠居さんのお茶と昼酒」 「夢と付き合う」 「百パーセント、ここにいる」
梨木さんのエッセイは、深く、また思い至らないところまで広く。 読んでいて、なぜか深い安心感を感じる。 目にする草花にも 「ひっそりとある、という風情が好きなのだった。自分を強く主張することもない、他の植物の陰になっていても自分が犠牲になっているなんて思わない、淡々と自分を生き切る、そういう日常の満...続きを読むち足り方。だから華やかな他の花のように周囲に自分を誇る必要もない。」 と、その在り方に、生き方の美しさを見出す。 人との付き合い方、ものの見方についても あぁ、自分はまだまだ浅いなぁ、 たくさんのことを知り、深く考えねばなぁ と反省もさせられるが、 そのままでも良い、と受け入れられているような心地にもなる。 深くものを思う、静かにものを見ることの大切さを思い知らされる。
初めて読ませていただきましたがしっかりした人。いかに植物を愛し真面目に生きてらしているようすがありありと解りました。個人的に参考になったのは人との距離の取り方かな
梨木香歩の不思議な羅針盤を読みました。 婦人誌に連載されていたエッセイ集でした。 草木や動物たちに向き合う姿勢、庭に生えた草や木の実の料理についての話、友人や通りすがりの人とのつながりかたなど、面白く新しい発見のある内容でした。 杉浦日向子さんのご隠居さんの話題は面白く読...続きを読むみました。 konnokもご隠居さんと呼ばれる年齢になったけど、ご隠居さんのようなおおらかさも人間性も全然ないよなあ、と思いながら読みました。
2007年から2009年までの三年間、雑誌「ミセス」に連載されたエッセイ集。 随所に梨木さんらしさが出ている。 動植物 への深い知識、人間としての大きさ、深い愛情。。 特に最後の「どんぐりとカラスと暗闇」は梨木さんの思いが詰まっている。 この本もまたずっと一緒にいたい一冊になりました。 最近 良...続きを読むい本ばかりに巡り合い、とても充実しているように思います。
自粛生活に伴い実家から送ってもらった本の中から再読。以前はいつ読んだか思い出せない。 エッセイ本嫌いの私が、なぜかこの著者のエッセイ本だけは夢中になって読んでしまう。 2007年から3年間雑誌に連載していた短編を集めた本だが、社会が少しずつきな臭くなっていく流れを危惧する言葉も並んでいる。2020年...続きを読むの今読み直してもリアルタイムで感じている心の靄を共有できる。今同じように社会がきな臭くなってきたわけではなく、この頃から少しずつ少しずつ、首を傾げてしまうような変化が続いているんだと思う。そして著者の描く他人との距離感は、今の社会情勢だからこそ一読の価値があると思う。 この本の記憶は、狭い世界で豊かに生きる翻訳家「片山廣子」さんの話が強く残っていたけれど、改めて読むと一話一話が美しく、時に3章の話は今の自分の胸に刺さる内容だった。著者の他人との距離の取り方は潔く心地良く、芯の通った凛とした佇まいが文面から伝わってくる。マイノリティを受け入れる姿勢(これは著者が留学していた英国での影響が大きいことが別のエッセイ本「春になったら莓を摘みに」から伺える)と、自分という人間を過去から現在まで客観的に見つめ、自分が好きなものへの造詣が深い。著者のエッセイ本だけは夢中になって読むことが出来るのは日本語の美しさだけでなく、その姿勢への憧れと視座への尊敬があるからだと思う。 私もこんな風に、ぶれずに肩ひじ張らずに、自分という人間と自分の生きる人生を潔く楽しめる人になりたい。
梨木香歩さん作品、高校生のときからずっと読んでます。 エッセイも大好きで、自分の足元がぐらついたときに読むとちゃんと心地いい場所に戻ってこれる感じがします。 植物に詳しくないので、わからないときもありますが、草花や動物への眼差しが好きです。 透明な感じがして。
梨木さんのエッセイ集。梨木さんの物語はいつも静かに思想を放っていて好きなのだけど。エッセイでは逆に思いの丈を語り尽くすスタイルになっていて、それがまた自分の対外的なものに対しての漠然とした不満を代弁してくれたような快感がある。ふと目撃した物事から社会、文化の問題点に想いを馳せる想像力の飛翔が素晴らし...続きを読むい。
雑誌『ミセス』に連載されたものだそうです。梨木さんの穏やかで芯の強いお姿がぎゅっと詰まっています。いろいろ大変な世の中でも、ため息つきながら、くすっと笑いながらくっきりと生きている感じ。憧れます。
こういう文章はどうやったら書くことができるのだろう、とそんなことばかり考えながら、ひたすら優しくて穏やかな梨木さんの語りに癒やされました。
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不思議な羅針盤(新潮文庫)
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