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梨花は寮母、掃除婦、犬屋の女中まで経験してきた四十すぎの未亡人だが、教養もあり、気性もしっかりしている。没落しかかった芸者置屋に女中として住みこんだ彼女は、花柳界の風習や芸者たちの生態を台所の裏側からこまかく観察し、そこに起る事件に驚きの目を見張る……。華やかな生活の裏に流れる哀しさやはかなさ、浮き沈みの激しさを、繊細な感覚でとらえ、詩情豊かに描く。(解説・高橋義孝)
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Posted by ブクログ
ミーハー極まり無いけど『PERFECT DAYS』で作家に興味がわいて。 登場人物たちの日常の、流れるように移ろい行く様を利発な女中の主人公の視点で柔らかく描く。 舞台となる芸者置屋のちょうど転換期を描いてはいるけど、派手な事件が起きるでも無く、淡々と日常が過ぎていく。 芸妓の着物や持ち物や化粧...続きを読むの艶やかさ、表情や声色や仕草から溢れる心情、花街の情景が主人公の目を通して鮮烈に綴られて読み手を本の世界へ引き込む。 主人公の過去は細やかに仄めかす程度で、読み手に想像させる余白のバランスも良い。 読み進める内に構造や雰囲気に映画と共通するものが見つかり実に興味深いと感じた。
芸者置屋で働くことになった梨花という女性のお話です。華々しい世界の裏側の描写も面白かったし、梨花の心理描写も小気味良いテンポで描かれていて、読んでいて飽きなかったです。筆者の流れるような美しい文章に圧倒されました。とにかく物語の世界に没入できましたし、読んだあとの余韻が凄くて中々現実世界に帰って来れ...続きを読むなかったです(笑)
めっちゃ面白い。 それからすごく不思議。 1955年に書かれた小説なのに、すごく今風っていうか、 なんかね、すんごい面白いお姉さんのツイッター見てる感じ。 何十年も昔の小説だなんて思えない。 ……って考えてたら、高橋義孝先生の巻末の解説でちゃんとした文章で説明されてた笑 「文字によって構成される文...続きを読む章というもののロジックではなしに、話される生きたことばのロジックに従って文章となったというのが幸田さんの文章である。」 それそれ!!! 多分ね、生のことばで書いてあるから、古い感じがしないの。 すっごく新しいの。 今も昔も、人間の思考回路なんてそう変わんないんだなって感じする。 しろうとの主人公の目で語られる花柳界の雰囲気がすごくリアルで面白い。 私は冒頭の「猫だわよ!」と、 駐在さんに出す志那そばをとんでもないところから手渡しするシーンが好き。 声上げて笑っちゃった。 作者の分析的な視点も効いてる。 ま~~~~~芸者衆の性格が良かったり悪かったりするんだけど、 そのキャラクターデザインが優れてて、 「確かにそういう人生を歩んでたらこういう性格になって、こういうことも言うだろうな」 って納得しちゃう。
凋落していく置屋で、くろうとを眺めるしろうと主人公の視点が巧み。芸妓たちの時に激する直接的な台詞よりも、交わされる無言の視線が彼女たちの関係性、そして内面感情をはっきりと指し示している。間と目線を行間にありありと浮かび上がらせる幸田文の表現に敬服。
零落してゆく置屋の景色と時間を、女中 梨花の視点で華麗に切り取った小説。書かれたのは1956年だが、すでに古典と呼んでも違和感のない風雅さがあり(恥ずかしながら、幸田文はもっと前の時代の作家だと思い込んでいたこともあり…)、現代エンタメ小説が失なってしまった純朴な読書の時間を与えてくれる佳品。 朧...続きを読むげな記憶に「おとうと」を読んだことがある気がするほかは、幸田文はほとんど読んだことがないので、ちくま日本文学ででも読んでみるかな。
名作だった。名作ゆえに、読み終わった途端、もう一度じっくり読んでしまった。私の思う名作とは、味わいのある言葉遣いがあること、何度も読み返したくなること、人にすすめたくなること。美味しくて、足繁く通い、友達にも教えたくなる、名店と一緒だ。 物語も、女中が見た没落しかかった芸者置き場という、下世話なが...続きを読むら惹かれる内容だ。そこには上流へ流れる者、下流へ流れる者、それぞれのストーリーがある。 最後の著者の言葉、「水は流れるし、橋は通じるし、『流れる』とは題したけれど、橋手前のあの、ふとためらう心には強く惹かれている。」という文章に、この物語の全てが凝縮されているように感じた。ふとためらう繊細な心を細やかに描写している。
やっと手に取った幸田文。期待を裏切らない面白い作品だった。漢字変換されてない言葉が多々あるので慣れるまで少し読みにくかった。意地があって口が達者な女しかいない置屋の内情。主人公:梨花が素人で所謂普通の感覚を持っている人、という設定が読む側が素人であるだけにスッと話に入っていきやすかった。会話の箇所を...続きを読む読むと往年の女優が喋っているのが容易に想像できる。この頃の人はみんなこんな早口でスパッと話したもんなんだなぁ。裏の中華料理店と五目そばの受け渡しをするシーン、可笑しくて可笑しくて声たてて笑ってしまった。途中、同映画も観てみたが、そのシーンがちゃんと入っていてムフフとなる。映画も素晴らしかったけれど原作の方が梨花の黒い部分も出てて好きかな。他の幸田作品も楽しみ。
初めて読んだのは中学の時です。難しい話ではないけれど、古い言い回しや物の名前等、分からない部分も結構ありました。 でも時にたゆたい、時に蕩々と流れる文章のリズムが心地よくて。 何度も読み返し、少しずつ腑に落ちて、そのたび味わいが増すように思います。
濃い、でも読める、これが上手い文章というべきか。 それがないと、いやそれがあるからか、人間の生態というか嫌らしさが抉り取られて読者の真正面に据え置かれる感じで読み進めたいけど重いというか。 今はもうないだろう古き歓楽の世界も垣間見えて、風俗史としても楽しめる一面があります。 巻末の解説も女性らしさを...続きを読む前面に押し出した解説で時代を感じさせてくれます。ただ、女性にしか分からない感覚はどうしたってあるはずですが、それを万民に肌感で読ませるのもこの作家の力量かと。
主人公 梨花を通して描かれる置屋の芸者たちの生活。 梨花の鋭い観察眼と何重にも機転を利かせる様子がリアルに描写されています。 ここまで読むか、ここまで考えるか、とハラハラしながら読みました。 気働きとはこういうことを言うのかな、と思わせられました。
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