「鎮魂歌」は「レクイエム」と読む。
サブタイは「リングに生き、散っていった23人のレスラ
ー、その死の真実」。登場するのは既に故人となってい
るプロレスラーばかり。力道山など、黎明期の選手のチ
ョイスは無い。つまり、全員が僕にとってある程度思い
入れのある選手たちである。
瑞佐富郎氏、前作の「平成
...続きを読むプロレス 30の事件簿」の時に
も感じたのだが、かなりグッと来る文章を書く作家だと
思う。大きなブロックでの倒置法の使い方が絶妙であり、
章全体を読むことでイチイチスッキリ出来る。淡々とし
た文体なのにもかかわらず、説得力は抜群。そして、プ
ロレス関係の書籍にありがちな“胡散臭さ”を殆ど感じ
ないのは、もう才能と言って良いのかも。
結果、23エピソード中の15エピソードで目頭を押さえ
る始末(^^;)。特に最近鬼籍に入ったビッグバン・ベイダ
ー、マサ斉藤、輪島大士、ザ・デストロイヤーに関する
記述には、なんとも言えない寂しさに包まれてしまった。
もう完全に認める。
この作家の描く「プロレス」は、プロレスに対する愛と
優しさに溢れた、すばらしい作品ばかりだと思う。今後
もたくさんの作品をリリースして欲しい。出れば確実に
読むので。