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2022年10月、79歳の生涯を閉じたアントニオ猪木。 本書は1960年の大木金太郎とのデビュー戦から1998年、ドン・フライとの引退試合まで、 約40年に及ぶ全4820試合の勝敗を網羅し、ベストバウト50解説、名言、カルトエピソードなど収録。【A5判・448ページ】
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Posted by ブクログ 2023年04月01日
勝手に副題をつけるとしたら「猪木はいかにして猪木になっていったのか?」。ただひたすらアントニオ猪木の試合結果をすべて書き記した記録で、読む、というより辿る、という本でした。しかし、こうやって一人のプロレスラーの足跡をどこで誰と闘って来たか、を俯瞰して見ることで、プロレスというものの全体が見えたような...続きを読む気がして、そしてアントニオ猪木の特別性もわかったような気がしました。自分で勝手に章を立てるとすると「主役になるまで」「主役であり続けること」「主役ではいられなくなってから」の3章になります。誰と闘うか、さらには誰とタッグを組むか、そして、勝つか負けるか、その小さな積み重ねがプロレスという曼荼羅の中でのポジションの獲得になっていく主役以前期、そして自分の闘う相手の価値をどう高め、自分とタッグを組む人間をどう活かし、どうマウントしていくかという主役期、全盛期を過ぎても主役であろうとする時期、そのすべてを見渡せる本です。読みながら改めて、シングルマッチだけでなくタッグマッチの意味がわかったような気がしました。そして、両者リングアウトと時間切れ引き分け、もうひとつ、逆さ抑え込みという決まり手の重要性が理解出来ました。ドームプロレスが当たり前になる直前に、地方興業の手抜きを批判する声がありましたが、毎日毎日試合を繰り返し、勝ち負けの比率を微妙に変化させながら強さのポジションをチューニングしていくプロレスというジャンルなのであったと思います。この圧倒的な試合数を全国各地で切れ目なく続ける、プロレスは旅なのです。比喩じゃなく。ジャイアント馬場の豊富なブッキング力に比して、プアな人材で熱狂を作っていくマッチメイキング力、これがアントニオ猪木の最大の能力なのだと思います。猪木寛至が辿ったアントニオ猪木という旅、彼の死後も地図としてきっと残るはずです。
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