新潮社作品一覧

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  • マンボウ 恐妻記
    3.7
    文学を志し、家庭は顧みず、結構モテて、わがまま放題。そんな夫にも優しく尽くす、十歳年下の若い妻。ハンブルクで出会って結ばれた二人の新婚生活は、圧倒的な亭主関白モードで始まる。しかし躁病をきっかけにエスカレートした夫の蛮行には妻もブチ切れ、ついに大逆襲に――。淑やかだった妻を鍛えた、壮絶なる四十年の結婚生活を回顧する、愛情エッセイ。『マンボウ愛妻記』改題。
  • マンボウ 最後の大バクチ
    3.5
    鬱病で寝込むこと十年、ようやく元気になったのはよかったが、いきおいあまって、人生最後の躁病を発症してしまったマンボウ氏。老いてなお盛んな躁病に、ギャンブル三昧の旅が始まった。「猛獣使い」の女性編集者、スーパー元気な娘を相棒に、上山競馬場、大井競馬場、平和島競艇とバクチ熱は急上昇、果ては韓国のカジノまで遠征することに。狂乱バブルのギャンブル紀行エッセイ。
  • マンボウ周遊券
    -
    大海原をたゆたうマンボウのように、時には喧噪の街を離れて、のんびりと旅に出よう――。飛行機に乗れば荷物は消え、汽車に乗れば閉じこめられ、車で走ればエンコする。ヨーロッパ講演旅行(狐狸庵・遠藤周作らと)、ソ連作家同盟の招待旅行(奇態な宇宙人・星新一らと)、マダガスカル旅行(乗物狂・阿川弘之と)など、マンボウとそのおかしな仲間たちの珍談奇談あふれる愉快な旅。
  • マンボウぼうえんきょう
    -
    多彩な旅行記やノイローゼ・ルポなどからなる「おりごんメガネの巻」、虫やスポーツ、趣味、おしゃれ、受験、男の生き方など深い思い出をこめて心に訴えかける「えうけえメガネの巻」、そして、自ら“唯一のエロ小説”と称する『柳の下』などの小説をおさめた「もりやメガネの巻」――遠き物もひたぶるに直視し、近き物もじろりと斜視する〈間諜〉北杜夫のとっておきのエッセー43編に短編4編。
  • マンボウ 遺言状
    3.3
    歯が痛い。腰も痛い。年をとるのがこんなにつらいとは思いもしなかった。親しい人も亡くなって、残されたたった一つの望みは、安楽に、早く死ぬことだ――。ハチャメチャ大王・マンボウ氏もいよいよ気弱な年頃に……なるわけがありません! たとえ老体となっても、心は少年。常識にとらわれぬぶん、年甲斐もないマンボウ流の雄叫びは、老いてますます絶好調。抱腹絶倒エッセイ。※新潮文庫版に掲載の挿絵は、電子版には収録しておりません。
  • 万葉恋づくし(新潮文庫)
    3.8
    万葉歌人は、じつは恋愛下手でした――。若い大伴家持から恋歌を贈られた年上女性の、理性と情熱の揺らぎを描く「年下の男」。夫に愛想を尽かした妻が出した結論「しゑやさらさら」。恋の歌が苦手な女の前に現れた庭を愛する男との、不意の出来事が胸を焦がす「恋の奴」。その他、下級役人の滑稽な同棲「紅はかくこそ」など全七編。歌人たちのおおらかで不器用な恋の一瞬を、みずみずしく描く傑作。(解説・上野誠)
  • 万葉十二ヵ月
    4.0
    約千三百年前の歌集「万葉集」は、今なお日本人の心の故里であり、その歌心は、空の雲、野の花、風のそよぎの中にも瑞々しく息づいている。飛鳥の里をはじめとして、瀬戸内、紀州の海、越中、九州対馬など、古代の面影を今も残す各地を、著者は訪ね歩く。美しい日本の四季おりおりの山川草木の移ろいの中で、いきいきと蘇る万葉びとの心に触れ、目に見えない世界を探る随想集。
  • 万葉のいぶき
    3.0
    千三百余年の歴史を超えてよみがえる、万葉のロマン。――〈万葉のこころ〉を愛し求め続ける著者が、読者をおおらかな古代人の世界へと誘う。万葉の歌を《愛》《旅》《四季》という角度から捉えた本書は、全国の万葉故地をくまなく訪れた著者ならではの語りかけで、風土のなかに生まれ、息づいた歌ごころを、もっとも古くて、もっとも新鮮な生のいぶきとして伝える。
  • 万葉の人びと
    4.0
    日本の揺籃期を生きた有間皇子、額田王、大海人皇子、大津皇子、柿本人麻呂、大伴家持、山上憶良など、万葉びとのみずみずしい心が、千三百年余もの時を超えて、いま新たによみがえり、わたしたち現代人の胸に共鳴する。「万葉集」に歌われた全国の故地を自らの足で歩く著者が、万葉の歌を生きた心の音楽として捉え、その風土と、そこに息づく人びとを生き生きと描き出している。
  • 万両役者の扇
    3.8
    江戸森田座気鋭の役者・今村扇五郎にお熱のお春が、女房の座を狙って近づいたのは……。芸を追求してやまない扇五郎に魅せられた面々の、狂ってゆく人生の歯車。ある日、若手役者の他殺体があがり、ついには扇五郎本人も――「芸のため」ならどこまでの所業が許されるのか。芝居の虚実を濃密に描き切ったエンタメ時代小説。
  • マーガレット・サッチャー―政治を変えた「鉄の女」―(新潮選書)
    4.2
    英国初の女性首相サッチャーの功績は、経済再生と冷戦勝利だけではない。その真価は、国家と個人の関係を根本的に組み替えたことにある。彼女はなぜ閉塞感に包まれていた社会の変革に成功したのか。対メディア戦略・大統領型政治・選挙戦術……良くも悪くも二十一世紀の政治指導者の原型を創り出したリーダーシップに迫る。
  • マーケティングの嘘―団塊シニアと子育てママの真実―
    3.7
    市場調査で一般的に使われる定量的マーケティングは、しばしば偽物の消費者イメージを作り出す。たとえば「若い母親の料理は手抜きだらけ」「シニア層の散歩は健康目的」などだ。しかし、著者の開発した「生活日記調査」は、全く異なるリアルな消費者の姿を浮かび上がらせる。たった一人のサンプル調査が絶大な効果を挙げる画期的なマーケティング手法と、消費の大票田「団塊シニアと子育てママ」の真相を詳述。
  • 身内の犯行
    3.3
    いまや殺人事件のうち、二件に一件が「身内」で起きている! 愛すべき家族同士で、なぜ殺意が芽生え、どのようにして殺害に至ったのか? 秋田連続児童殺害などの子殺し、板橋両親殺害爆破などの肉親殺し、渋谷「セレブ妻」夫バラバラ殺人などの夫婦間殺人、そして、中津川一家五人惨殺などから現代の家庭内殺人の深層を探る。あなたの家族から殺人者を出さないために、身内ゆえの歪みを活写したノンフィクション。

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  • 見えない世界戦争―「サイバー戦」最新報告―
    3.7
    深化するシギント(通信傍受)と果てなき情報のドラグネット(地引網)、日進月歩で開発されるマルウェアやコンピューターウイルス――世界中のあらゆる情報通信が行きかうサイバー空間は、今や陸・海・空・宇宙に次ぐ「第五の戦場」と化している。スノーデン事件やウィキリークスはもとより、肥大化する中国のサイバー活動の脅威、諸外国と日本の対応など、国際情勢を裏で揺さぶる「情報の戦争」の実態をレポートする。
  • 見送ル―ある臨床医の告白―
    3.8
    1巻1,408円 (税込)
    医者だって人間だから、患者の好き嫌いは当然あるし、贔屓もすれば、外科と内科の対立も日常茶飯事。ほとほと疲れる日もあるけれど、輝く笑顔で退院する患者を、見送る。力を尽くしてもひっそりと消えゆく命を、見送る。どちらも私が選んだ仕事……。現役医師だからこそ「小説」でしか描けなかった、命の現場のいま。
  • ミカドの淑女
    3.8
    その女の名は下田歌子。女官として宮廷に出仕するや、その才気によって皇后の寵愛を一身に集め、ついには華族子女憧れの的、学習院女学部長となった女。ところが平民新聞で、色恋沙汰を暴露する連載記事が始まり、突然の醜聞に襲われる。ここに登場するのは、伊藤博文、乃木希典、そして明治天皇……。明治の異様な宮廷風俗を描きつつ、その奇怪なスキャンダルの真相を暴く異色の長編。
  • 未完の告白
    3.4
    「どこを通るかはほとんど問題ではない。ただどこへ向って行くかが問題である」という信念をもって、人生に大胆にのりだしていく少女ジュヌヴィエーブの手記という形をとり、単に自由を希うだけではなく、積極的にそれを奪いとろうとする少女の姿を通して、虚偽的なもの、圧倒的なもの、因襲的なものに対する反抗を描いた作品。思想的激動期に書かれたため未完のままで発表された。
  • 未完の西郷隆盛―日本人はなぜ論じ続けるのか―(新潮選書)
    3.0
    アジアか西洋か。道徳か経済か。天皇か革命か――日本人はいつも自らの理想とする「国のかたち」を西郷に投影し、「第二の維新」による「もう一つの日本」の実現を求めてきた。福澤諭吉から中江兆民、頭山満、丸山眞男、橋川文三、三島由紀夫、江藤淳、司馬遼太郎まで、近代化の是非を問い続けてきた思想家たちの一五〇年。
  • 未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―
    4.5
    天皇陛下万歳! 大正から昭和の敗戦へ――時代が下れば下るほど、近代化が進展すればするほど、日本人はなぜ神がかっていったのか? 皇道派vs.統制派、世界最終戦論、総力戦体制、そして一億玉砕……。第一次世界大戦に衝撃を受けた軍人たちの戦争哲学を読み解き、近代日本のアイロニカルな運命を一気に描き出す。

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  • 「身軽」の哲学(新潮選書)
    4.5
    人は、後半生になると重荷を下ろしたくなるものだ。西行、親鸞、芭蕉、良寛に共通するのは、人生の折返し点を過ぎ、歌や句に傾倒していったこと。肩にのしかかった責務や思想、人間関係などから解き放たれ、旅に出て「うた」をつくった。孤独を楽しみ、軽やかな自由の世界にあそんだ。『「ひとり」の哲学』に続く、心にしみる人生論。
  • 身代りの女(新潮文庫)
    3.7
    卒業を間近に控えたパブリック・スクールの優等生6人が自動車で逆走。母娘3人の命を奪う大事故を起こしてしまう。20年後、一人で罪を被り刑期を務めあげたメーガンが、国会議員、辣腕弁護士ら、いまや成功を収めている5人の前に姿を現す。彼らと交わした“約束”を果たさせるために……。身代り契約の果ての惨劇を、周到に仕組まれたプロットと圧倒的筆力で展開する、予測不能サスペンス。(解説・大矢博子)
  • ミクマリ
    -
    1巻220円 (税込)
    「ぁああああ、むらまささま、もうだめですぅ、いきますぅ」――あんずにナンパされたのは、高校に入ってすぐ、友だちに無理矢理連れて行かれたコミケで。あんずはおれよりも十二歳も年上で、結婚もしていた。以来、学校が終わると週に1、2回はこの部屋に来て、やりまくっている。「なにかのアニメのなんとかという役」のコスプレをして。あんずが書いた台本どおりに。それがあんずの条件なのだ……。男子高校生の目線で描かれる性と生の物語。第8回R-18文学賞大賞受賞作。

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  • ミクロネスト―帝都農工大学 微小生物学研究室― 1巻
    3.0
    見えない価値を、見る技術。世界が共鳴する、ラボライフ。“世間で話題”のミドリムシを研究対象としている、偏屈な天才大学院生・松江未来路。何者にも甘えず、何者にも媚びず、何事にも妥協しない彼のもとに、ユーナと名乗る人型のミドリムシが現れて……!? 噛み合わない、理論と原理。深まる、教授との確執。問われる、研究意義。微小生物学に魅せられた、院生達の未来は――。今話題の微小生物擬人化コミック!!
  • 巫女は月夜に殺される(新潮文庫nex)
    4.0
    巫女修行中の姫菜子(きなこ)と環希(たまき)は、「相似巫女(そうじみこ)」と呼ばれるほどうり二つ。ある特別な夜、二人は伝統の神事に参加した。それは閉ざされた村の秘められた祭祀。灯影ゆらめく神託のとき、絶叫が響く。密室と化した本殿で、首と右腕が無い巫女が、祭壇の前に鎮座していた――。謎めいた六人の巫女、二つの家系、禍々しい惨劇の真相とは。〈巫女探偵〉姫菜子と環希の推理が冴えるミステリー。
  • ミサイル防衛―日本は脅威にどう立ち向かうのか―
    4.0
    突然、空から核ミサイルが飛んできたら――。この脅威に、日本はどう対抗するのか。北朝鮮の発射実験以降、ますます現実味を帯びてきた弾道ミサイルの脅威。「ミサイル防衛」は、この脅威から身を守る切り札となるのか。弾道ミサイルの歴史、北朝鮮・中国の態勢、日米の偵察システム、最先端技術の粋を集めた迎撃のメカニズム等々。日本の命運を左右する「ミサイル防衛」の全てがこの一冊で分かる。

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  • 岬にて―乃南アサ短編傑作選―
    3.6
    かつての恋人の故郷でその不在を想うキャリア・ウーマン。寒い土地への転居を境に狂い出す「じゃぱゆきさん」。整形して若い男と結婚し、離別した娘を従妹として引き取ろうとする母。夫の子を産むと決めた女のもとを訪ねる妻。次々と夫が死ぬ魔性の女。彼女たちはさまざまに熟れていく。女性の心理描写が際立つ短編を精選し、単行本未収録作品を追加したベスト・オブ・ベスト第二弾。
  • 三島由紀夫事件 50年目の証言―警察と自衛隊は何を知っていたか―
    4.3
    公安は察知していたのか? 生き残った楯の会隊員たちは何を語ったのか? ノーベル文学賞有力候補の45歳の作家は、なぜ死ななければならなかったのか? 非公開だった裁判資料や膨大な証言資料の探索と、元自衛隊幹部や元警視庁警備課長・佐々淳行氏ら関係者への取材から、半世紀を経て今なお深い謎に迫る。
  • 「三島由紀夫」とはなにものだったのか(新潮文庫)
    4.3
    “同性愛”を書いた作家ではなく、“同性愛”を書かなかった作家。恋ではなく、「恋の不可能」にしか欲望を機能させることが出来ない人――。諸作品の驚嘆すべき精緻な読み込みから浮かび上がる、天才作家への新しい視点。「私の中で、三島由紀夫はとうの昔に終わっている」と語って憚らない著者が、「それなのになぜ、私は三島が気になるのか?」と自問を重ね綴る。小林秀雄賞受賞作。
  • 三島由紀夫の世界
    3.5
    破れた初恋が、その生涯に落した長い影。「假面」の創造と「他者」への転生の足跡。そして、死を賭してまで世に訴えたかったこと……。生前の深い交友を絶妙の通奏低音としつつ、創作や評論、ノート、書簡等、あたう限り三島由紀夫自身の言葉にもとづき、類いなき文学者の全体像を精緻に浮びあがらせる。スキャンダラスな曲解、伝説の数々を払拭、「三島論」の期を画した決定版評伝。
  • 三島由紀夫論
    4.7
    1巻3,740円 (税込)
    三島はなぜ、あのような死を選んだのか――答えは小説の中に秘められていた。『仮面の告白』『金閣寺』『英霊の声』『豊饒の海』の4作品の精読で、文学者としての作品と天皇主義者としての行動を一元的に論じる画期的試み。実作者ならではのテキストの深い読みで、その思想をスリリングに解き明かす令和の決定版三島論。
  • 三島由紀夫を巡る旅―悼友紀行―(新潮文庫)
    4.0
    「矛盾が多ければ多いほど、その人物は面白いと言うことができます」(キーン氏)――三島は、矛盾に富む人だった。文学を愛し古典の教養溢れる一方で、日本の自然や食文化には無頓着。国内より海外で評価されることを切望し、貴族の存在を嫌いながらも度々作品に登場させた。知られざる素顔と葛藤を目撃していた両著者が亡き友を偲び語り合い、貴重な証言録となった追善紀行。『悼友紀行』改題。
  • ミシュラン 三つ星と世界戦略
    4.8
    「グルメのバイブル」として圧倒的な影響力を誇ってきたミシュランガイド。しかし、その権威は「食の国際化」の中で揺らぎ始めている。近年、アメリカ・日本・香港とガイド発行国を増やしてきたのはなぜか。その背景には、どのような経営戦略があるのか。トヨタ自動車とも比せられる「偉大なる地方企業」の内幕を、関係者への徹底取材で詳細に描き出す。

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  • 見知らぬ国へ
    3.0
    偉大な父・斎藤茂吉の歌。憧れ続けた文豪トーマス・マン。遠藤周作、辻邦生、埴谷雄高、手塚治虫、谷内六郎……もう会えぬ友への切ない想い。まだ見ぬ国を夢見た青春の日々。『楡家の人びと』『夜と霧の隅で』『船乗りクプクプの冒険』『どくとるマンボウ航海記』など数々の名作の自作解説。八十四年の人生で出会った喜びと輝きを描く、永遠の文学青年・北杜夫の名エッセイ四十五編。
  • 「未熟さ」の系譜―宝塚からジャニーズまで―(新潮選書)
    4.0
    若さや親しみやすさで人気を得るアイドル、ジュニアから養成されるジャニーズ、音楽学校入試が毎年報じられる宝塚歌劇団……成長途上ゆえのアマチュア性が愛好される芸能様式は、いかに成立したのか。近代家族とメディアが生んだ「お茶の間の人気者」から日本文化の核心を浮き彫りにする、気鋭の社会学者による画期的論考。
  • みすゞと雅輔(新潮文庫)
    4.2
    「みんなちがって、みんないい。」小さな命の輝きを詠った金子みすゞ。弟の雅輔(がすけ)は幼くして養子に出され、みすゞを姉と知らずに文学の友となる。新発見の雅輔の日記から浮かび上がる二人の文芸への情熱、青春の光と影、愛と嫉妬、みすゞの自死、永遠の別れ。大正デモクラシーに生まれた童謡詩が、戦争にむかう昭和に衰退する時代背景を描きながら、知られざるみすゞ像に迫る、画期的伝記小説。(解説・片山宏行)
  • ミスター・チームリーダー
    3.7
    1巻1,650円 (税込)
    勤務先で係長に抜擢された後藤は、ボディビルの選手でもあった。ある日、社内の人材の無駄に切り込み組織の代謝を上げると大会に向けて停滞中だった減量も進むことに気づき、身体を仕上げるべくチームの脂肪の除去に驀進し始める。肉体と組織がシンクロしたとき、たたき出されるのはベストパフォーマンスか、それとも――。
  • ミステリー列車が消えた
    3.3
    行き先不明のブルートレイン「ミステリー号」が東京駅を出発したまま消息を絶ってしまった。ほどなく犯人から身代金10億円を要求する連絡が入る。速かに応じない場合は乗客の生命は保証できないという。全長250メートルに及ぶ列車を400名の乗客ごとに誘拐するという前代未聞の犯罪に、国鉄当局・警察は翻弄される。十津川警部の活躍は? 奇想天外なトリックの傑作鉄道ミステリー。
  • 美澄真白の正なる殺人(新潮文庫nex)
    4.3
    私たちは、どこで間違ったのだろう。天主堂と聖歌の町で、「正義の味方」を目指す女子高生の美澄(みすみ)真白(ましろ)は、八年ぶりに再会した親友・紫音(しおん)と楽しい日々を過ごしていた。紫音の抱える闇に気づくまでは――。事故死したはずの母親、虐待と思しきいくつもの痣……。聖なる夜、大切なものを守るため、痛々しいほど真っ白な少女が犯す、「完全に正しい」罪の炎。衝撃のラストが心を穿つサスペンス。
  • みずうみ
    4.2
    故郷を離れている間に友人と結婚した恋人に、美しい湖のほとりで再会したラインハルトは、過ぎ去った青春が戻らないことを知って去ってゆく。――若き日の恋人に寄せるはかない老人の思いを綴る『みずうみ』。併録の『ヴェローニカ』は、死の予感のはしる美しい人妻の痛ましい恋を、『大学時代』は、貧しい美貌の少女の可憐な反逆を描く。いずれも詩情あふれる美しい恋物語である。
  • みずうみ(新潮文庫)
    3.9
    誰にも言っちゃ、だめだよ。ふたりだけの秘密……高校教師の桃井銀平は、教え子の久子と密かに愛し合うようになる。だが、二人の幸福は長く続かなかった――。湖畔で暮らしていた初恋の従姉、蛍狩りに訪れた少女など、銀平が思いを寄せた女性たちの面影や情景が、中世の連歌のように連想されていく。作家の中村真一郎が「戦後の日本小説の最も注目すべき見事な達成」と評した衝撃的問題作。(解説・中村真一郎、角田光代)
  • 湖の女たち(新潮文庫)
    3.5
    湖畔の介護施設で暮らす寝たきりの男性が殺された。捜査にあたった刑事は施設で働く女性と出会うが、二人はいつしかインモラルな関係に溺れていく。一方、事件を取材する記者は死亡男性がかつて満州で人体実験にかかわっていたことを突きとめるが、なぜか取材の中止を命じられる。吸い寄せられるように湖に集まる男たち、女たち、そして――。読後、圧倒的な結末に言葉を失う極限の黙示録。(解説・諏訪敦)
  • 水危機 ほんとうの話
    4.5
    1巻2,035円 (税込)
    地球の水はいつかなくなるのか? 水資源をめぐって日本も戦争に巻き込まれるのか? 節水はすべて善いことなのか? 植樹で洪水・渇水が防げるのか? 外資が水源林を買うことは悪なのか? 水供給の運営は民より官がいいのか?――巷にあふれる誤解や思い込みをとり上げ、「水文学(すいもんがく)」の立場から「ほんとうのこと」を教えます。

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  • 水谷豊 自伝
    4.1
    岸田今日子と蒲団の中でトランプをした子役時代、初めての挫折と衝動的な家出、『傷だらけの天使』の忘れられない共演者、『熱中時代』の本当のモデル、離婚と再婚、親友との永遠の別れ、切望した相棒と裏相棒、俳優としての美学と監督としての思い――出演作の秘話から実人生の起伏、多彩な交友録まであますところなく語り尽くした初の著作。
  • 水田マリのわだかまり
    3.4
    1巻1,320円 (税込)
    高校を3日でやめて働き始めた16歳のマリ。殺伐とした洗剤工場の閉塞感の中で、ストレスがほこりのように積もっていく。だけど、ウップンと不満は、生きるのに欠かせないガソリンだ。低賃金労働の現場といじめ、外国人労働者、毒親、そして介護の問題を独特の文体でリアルに描く平成のプロレタリア作家待望の新作。
  • 水の葬列
    -
    1巻550円 (税込)
    不貞ゆえに妻を殴殺した過去に追われるように、山奥のダム工事現場へ流れ込んだ男と、水没を目前にしながら無気味な沈黙を続ける幻想的な落人部落の人々との、微妙な心の響きあいを描く表題中編。他に、戦時下の勤労動員を背景に、青春の心の陰影を鮮やかに定着した『彩られた日々』等、戦中戦後“二つの精神的季節”を生きてきた作者自身の体験を結晶化した短編5編を併せ収める。

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  • 水の翼
    4.0
    木口木版画家・柚木のもとを訪れて弟子入りを志願した青年、東吾。柚木の歳若い妻・紗江は、どこか謎めいたこの青年に強く惹かれていく。ある日、柚木が急逝し、東吾は詩画集『水の翼』のための木版画制作を引き継ぐことに。同じ家で二人きりで過ごす紗江と東吾は、互いの想いの強さを偽れなくなっていく……。芸術と恋情のはざまで引き裂かれる男女の運命を描く、恋愛小説の白眉。
  • 水の肌
    3.7
    妻の実家の金で留学した男が旅先で資産家の娘と知り合い、妻の前から姿を消す。彼は妻に落ち度があれば離婚が成立すると、私立探偵を雇い、密かに動向を監視し続ける。ところが知らぬ間に、彼が軽蔑していたかつての同僚と妻が再婚していたのを知った時、男の心に理不尽な怒りが湧く…。表題作をはじめ計りがたい人間の愛憎と欲望をテーマに、現代社会の不確実な内面をえぐる傑作短篇5話を収録した推理小説集。

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  • 水は動かず芹の中
    3.0
    1巻1,980円 (税込)
    長いスランプに陥った小説家はやけっぱちになり、唐津を旅することに。陶芸体験をした窯元の夫婦から、水神にまつわる不思議な伝承を聞く。今でいう「難民」であったという流浪の水神は、戦国時代、いかにして秀吉の朝鮮出兵を止めようとしたのか……。『かたづの!』の著者が、かつてないスケールで歴史と現代を深く結びつける長篇小説。
  • 水よ踊れ
    4.1
    1巻2,420円 (税込)
    「返還」前夜の香港。和志は恋人の死の謎を追い、交換留学生として再びその地を訪れる。幽霊屋敷に間借りする活動家、ベトナムのボートピープル、「共産党員」と噂される大物建築家。次第に浮かび上がる香港の実相。やがて、和志は民主化運動の渦に呑まれてゆく。生と、自由の喜びを高らかに謳う、圧巻の社会派エンタメ。
  • 水を抱く
    3.8
    初対面で彼女は、ぼくの頬をなめた。29歳の営業マン・伊藤俊也は、ネットで知り合った「ナギ」と会う。5歳年上のナギは、奔放で謎めいた女性だった。雑居ビルの非常階段で、秘密のクラブで、デパートのトイレで、過激な行為を共にするが、決して俊也と寝ようとはしない。だがある日、ナギと別れろと差出人不明の手紙が届き……。石田衣良史上もっとも危険でもっとも淫らな純愛小説。
  • 未成年(上)
    4.3
    富豪となり、権力を得ることによって自由を求めようとする私生児アルカージイ・ドルゴルーキー、信仰と不信、西欧とロシア、地上的な恋情と天上的愛に引き裂かれ、そのような自我の分裂を、「万人のための世界苦」に悩まなければならないロシア知識人の宿命と見る、実父ヴェルシーロフ――この分裂した人間像に、アルカージイの戸籍上の父である巡礼マカール老人の神を信じる素朴な精神が対置される。ドストエフスキー後期五大長編の一作。
  • ミタカくんと私
    4.1
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 一見とっつきにくいけど、顔がいいから女の子にモテる。幼稚園から一緒だったという理由で、いろいろな人にミタカくんのことを聞かれたりする私の家に、ミタカは日常的にいついている。うちはママと中学生のミサオ、パパは家出中。だからいつも4人で、ごはんを食べたり、テレビを見たり、日々は平和に過ぎていき、これからも続いていく―ナミコとミタカのつれづれ恋愛小説。 ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
  • 充たされた生活
    -
    身よりのない27歳の新劇女優朝倉じゅん子は、3年におよぶ結婚生活を清算する。死んだ兄の同級生である劇作家、アパートの隣室に住んでいる学生運動家、妻と死に別れた俳優など、さまざまな男性を遍歴するが、じゅん子は結局、右翼暴力団に襲われた劇作家に自分の全身をあずける……。60年安保闘争を背景に現代人にとっての充実した生とは何かを追求する書下ろし長編。
  • 三たびの海峡
    4.2
    「一度目」は戦時下の強制連行だった。朝鮮から九州の炭鉱に送られた私は、口では言えぬ暴力と辱めを受け続けた。「二度目」は愛する日本女性との祖国への旅。地獄を後にした二人はささやかな幸福を噛みしめたのだが……。戦後半世紀を経た今、私は「三度目の海峡」を越えねばならなかった。“海峡”を渡り、強く成長する男の姿と、日韓史の深部を誠実に重ねて描く山本賞作家の本格長編。
  • 御手洗潔の追憶(新潮文庫nex)
    3.1
    ちょっとヘルシンキへ行くので留守を頼む――。そんな置き手紙を残し、御手洗潔は日本を去った。石岡和己を横浜・馬車道に残して。その後、彼は何を考え、どこで暮らし、どんな事件に遭遇していたのか。ロスでのインタビュー。スウェーデンで出会った謎。明かされる出生の秘密と、父の物語。活躍の場を世界へと広げた御手洗の足跡を辿り、追憶の中の名探偵に触れる、番外作品集。
  • 道草(新潮文庫)
    3.8
    海外留学から帰って大学の教師になった健三は、長い時間をかけて完成する目的で一大著作に取りかかっている。その彼の前に、十五、六年前に縁が切れたはずの養父島田が現われ、金をせびる。養父ばかりか、姉や兄、事業に失敗した妻お住の父までが、健三にまつわりつき、金銭問題で悩ませる。その上、夫婦はお互いを理解できずに暮している毎日。近代知識人の苦悩を描く漱石の自伝的小説。(解説・柄谷行人)
  • 美智子さまの恋文
    3.0
    私の大切な仕事として、家庭を作ることから始めさせて頂けましたらと存じます――。日本中が沸いたご成婚の陰で、24歳の美智子妃が認めた手紙があった。そこに吐露された懊悩と決意、そして秘めた希望とは。昭和から平成にかけての皇室の変貌を、民間から初の皇妃となった女性の心中を軸に描く。天皇のご学友が見た宮中裏面史。

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  • 満潮の時刻
    4.1
    突然の喀血により結核に冒されていることを知った明石。四十代の働き盛りで療養生活を余儀なくされ消沈する明石が入院先で出会ったのは、自分よりもさらに死に近い病人たちと、その儚い命の終焉だった。結核がまだ致命的な病であった時代、死の淵を彷徨い絶望と虚無に陥った男の心はどこへ向かったのか。生と死、信仰と救済。遠藤文学を貫くすべてのテーマが凝縮された感動の長編。

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  • ミチノオク
    4.0
    1巻2,420円 (税込)
    数々の天変地異に見舞われながら、ミチノクの人々はひたむきに生き、確かな文化や習俗を育んできた。西馬音内、黄金山、苗代島、遠野郷――生まれ育った仙台で執筆を続ける私小説作家が辿る、現代の「おくのほそ道」。東北で生きる人々の人生の曲折を、還暦を迎えた自身のこれまでと重ね合わせて描く、九つの紀行小説集。
  • 道の向こうの道
    3.5
    1巻1,760円 (税込)
    一九五六年、大阪から上京し、早稲田大学露文科に入学。最初の授業でこう言われる。「露文科の学生になったからには、もはや就職はあきらめたまえ」。米川正夫ら教授陣、李恢成など個性豊かな級友たち、著名な学者のコケティッシュな娘、親戚のような大家一家や愛情深い両親の姿……。自在なスタイルで描く自伝的連作集。
  • 道、果てるまで―ユーラシア横断3万キロの日々+4大陸10万キロの記憶―
    4.4
    旅をすればするほど旅への想いは募ってゆく。旅とは、そういうものだ――。ヨーロッパから中東、中央アジア、中国、シベリアまで、20の国境を越えて走り抜けた120日間の壮大な旅紀行。12年の歳月をかけ、還暦を越えてついに達成した「越境記」=バイクによる5大陸走破行、完結編! 生きる勇気を与えてくれる一冊。

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  • 未中年~四十路から先、思い描いたことがなかったもので。~
    3.4
    片山亜弥40歳。編プロに勤める彼女は、結婚し家も仕事もあり、傍から見れば順調そうに見える生活だった。だが彼女が感じている焦燥感は――恋や結婚だけではなく、アラフォー女性たちが現実に抱えている悩みや心の叫びを、諦めきれない女子のカリスマジェーン・スーが描く意欲作!!
  • 道行きや(新潮文庫)
    3.5
    カリフォルニアで夫を看取り、二十数年ぶりに日本へ愛犬と帰国。“老婆の浦島”は、週の四日は熊本で犬と河原を歩き、植物を愛でる。残りは早稲田大学で、魚類の卵のように大勢の若者と対話する。移動の日々で財布を忘れ、メガネをなくし、鍵をなくし、犬もなくしかけた……思えば家族を、あらゆるものを失って、ここに辿り着いたのだった。過ぎ去りし日を噛みしめ、果てなき漂泊人生を綴る。(解説・ブレイディみかこ)
  • 身近な危険から自分を守る! ゆるサバイバル入門
    -
    「露出しているとちかんにあいやすい」はウソ!? あなたの普段の行動や思い込み、実は間違っているかもしれません。災害から犯罪まで、誰にでも起こりうる身近な危険。でも、ちょっとした知識で自分を守ることができるのです。各エキスパートに著者がインタビュー、イマドキ女子のための実用コミックエッセイ。
  • 密会(新潮文庫)
    4.0
    ある夏の未明、突然やって来た救急車が妻を連れ去った。男は妻を捜して病院に辿りつくが、彼の行動は逐一盗聴マイクによって監視されている……。二本のペニスを持つ馬人間、出自が試験管の秘書、溶骨症の少女、〈仮面女〉など奇怪な人物とのかかわりに困惑する男の姿を通じて、巨大な病院の迷路に息づく絶望的な愛と快楽の光景を描き、野心的構成で出口のない現代人の地獄を浮き彫りにする。(解説・平岡篤頼)
  • ミッキーはなぜ口笛を吹くのか―アニメーションの表現史―
    3.3
    1906年、世界初のアニメーション映画で、黒板に絵が描かれるのはなぜか。ポパイの歩行、ベティ・ブープの大きな口、『トムとジェリー』の音楽の魅力とは? アメリカン・アニメーションの傑作を読み解き、ウィンザー・マッケイ、ウォルト・ディズニー、フライシャー兄弟など、巨匠たちの表現技法の謎に迫る。(電子化にあたり図版を削除しました)
  • 「密息」で身体が変わる(新潮選書)
    3.9
    いま、日本の社会が極端に弱っている。アガリやすく、キレやすく、無気力……これは身体からの警鐘だ。近代以降百余年、日本人の呼吸は浅く、速くなった。私たちの身体に眠る力強い「息の文化」をいかにして取り戻すか? 虚無僧尺八の偉才が体得した、呼吸の奥義。ナンバ歩き、古武術に続く画期的身体論。
  • 密着17日 同行取材日記 小泉進次郎と島々を行く
    -
    「17日間、大都市は回らない。1日1ヶ所、離島を回る」。それが、進次郎が自らに課した「選挙応援の旅」のルールだった。選挙期間中、北へ南へと地球半周分を移動した進次郎をあの手この手で追い続け、見えてきた「プリンスの生の姿」とは――。
  • ミッテランの帽子
    4.0
    舞台は1980年代。時の大統領ミッテランがブラッスリーに置き忘れた帽子は、持ち主が変わるたびに彼らの人生に幸運をもたらしてゆく。うだつの上がらない会計士、不倫を断ち切れない女、スランプ中の天才調香師、退屈なブルジョワ男。まだ携帯もインターネットもなく、フランスが最も輝いていた時代の、洒脱な大人のおとぎ話。
  • ミッドウェー海戦―第一部 知略と驕慢―
    3.7
    1~2巻2,200~2,365円 (税込)
    真珠湾から連戦連勝の日本海軍。山本五十六のハワイ攻略構想に繋がる次期作戦が連合艦隊主導で決まった。だが、米機動部隊を誘い出し撃滅するはずの作戦が、東京空襲により変質し、太平洋上の小島占領も新たな目標に加わることになる。一方、アメリカ側は日本海軍の「D暗号」を丹念に解読し……。

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  • 蜜月
    3.6
    天才洋画家、辻堂環が死んだ。天衣無縫の彼の生涯は、無邪気に、奔放に、女たちの心と身体を求めることに費やされた。恭子、弥生、杳子、志保子、千里、美和子……かつては環との蜜月に溺れた、さまざまな境遇の女たち。訃報を聞いた彼女たちは、それぞれの記憶の襞に刻まれた、狂おしいまでの恋心を甦らせるのだった――。無垢な欲望に身をゆだねた、六人の女の六つの恋のかたち。
  • 三成最後の賭け
    5.0
    朝鮮出兵の失敗を見抜いていた男が、徳川家康の他にいま一人。糧秣と物流の天才・石田三成は、判断力を喪って久しい秀吉をコントロールする策に窮し、盟友小西行長と共に面従腹背の道を選択した。迫りくる家康の包囲網。苦渋の四十一歳は、東奔西走しつつ起死回生の一手に出た――。戦国時代小説に新たな火種をもたらす長編。
  • 三成さんは京都を許さない―琵琶湖ノ水ヲ止メヨ― 1巻
    完結
    4.0
    近江を制するものは天下を制す!!かつてそう言われた地、滋賀県。しかし現代では魅力度ランキングは下位争い、地味な県、琵琶湖だけ、と散々の評判…。そんな滋賀を立て直すべく、県知事特別秘書を任命されたのは、あの戦国武将・石田三成――!?滋賀繁栄の為、愛する知事の為、あの「京都」を仇敵と見据えた三成さんの無謀極まりない下剋上が今始まる!!
  • 蜜蜂乱舞
    4.5
    1巻440円 (税込)
    東京の大学を中退して行方知れずになっていた長男が、女を連れて戻ってきた。彼女とは、四日前に結婚したという。養蜂一筋に生きてきた伊八郎の心は、喜びと憤りで大きく揺れた。四月、春の訪れと共に、一家は花を追って、日本列島を北上するトラックの旅に出るが……。旅先で遭遇する事件や人間なるがゆえの葛藤を、雄大精妙な自然界の摂理を背景に捉えた力編。

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  • ミトコンペレストロイカ 1巻
    完結
    4.0
    ミト暦310年7月10日。とつじょ空から巨大な箱舟が地上へ降り立ち、中からあふれ出てきた食欲と性欲がやたら旺盛なエイリアンたちによって地上はえらいことに……!? しかしその惨劇をミト国最強の勇者たちが救い、エイリアンのボス・アンゴルノアを倒す。そして100年――。ミト王国のミト姫、お目付け役のくのいち・お汁、さらに怪盗・パパンの娘、ヌスミも加わって、エイリアンの末裔を倒す冒険がはじまる!? 衝撃のガールズ・ファンタジー、開幕!!
  • ミトンとふびん
    3.8
    1巻1,870円 (税込)
    たいせつなひとの死、癒えることのない喪失を抱えて、生きていく――。凍てつくヘルシンキの街で、歴史の重みをたたえた石畳のローマで、南国の緑濃く甘い風吹く台北で。今日もこうしてまわりつづける地球の上でめぐりゆく出会いと、ちいさな光に照らされた人生のよろこびにあたたかく包まれる全6編からなる短篇集。
  • 緑の天幕
    4.3
    いつも文学だけが拠りどころだった――。スターリンが死んだ一九五〇年代初めに出会い、ソ連崩壊までの激動の時代を駆け抜けた三人の幼なじみを描く群像劇。近年ではノーベル文学賞候補にも目される女性作家が、名もなき人々の成長のドラマを描き、強大なシステムに飲み込まれることに抗する精神を謳いあげた新たな代表作。
  • みどり晴ればれ 1巻
    完結
    4.5
    全2巻814~836円 (税込)
    「人の為に生きるって素晴らしいよね?」自分の心を偽り、人の為に生きてきた根本緑、31歳OL。恋人に汚部屋を見られてしまい、心身ともに限界に達した彼女を救ったのは、田舎のヤンキー高校生が作った一粒のミニトマトだった――。読むと免疫力アップ!! 心が満ちる野菜づくり漫画、開幕♪
  • 水底は京の朝
    4.2
    1巻1,320円 (税込)
    人見知りの新人女性監督と人間嫌いな脚本家。連続ドラマを撮影中の二人にせまる邪な闇と謎。かぶった者を乱心させるという鬼面、盗まれた呪いの人毛かつら、一瞬にして眼前から消えた祭り――。名女優や片腕の男たちも巻き込み、虚構と真実の境界線で二人が辿りついた秘密とは? 京都の四季が彩る謎が、あなたの目を惑わせる!
  • 水無月の墓
    3.5
    偶然通りかかった、阿久津との思い出の場所。そこで私たちは出会い、恋に落ちたのだ――。18年前に事故死した男との愛の日々を記憶によみがえらせたその日の晩、突然かかってきた電話の主は……。不思議で怖く、どこか懐かしい「異界」への扉を開く幻想小説8編。夢と現実、現在と過去、そして生と死があやなす小池真理子の妖しくも美しき世界へ、これからあなたをご案内いたします。
  • 皆のあらばしり(新潮文庫)
    3.6
    幻の書の新発見か、それとも偽書か。高校生のぼくは、うさんくさい男と〈謎の書〉の存在を追う。その名は、『皆のあらばしり』。探求は真と嘘の入れ子を孕み、歴史をさかのぼり、コンゲームの様相を呈しつつ、ついに世界の深奥にある〈ほんまもん〉に辿りつくが……。大逆転の結末に甘美な香気さえ漂う表題作のほか、「ニセ偽書事始」「『皆のあらばしり』の成立について」を収録した傑作。
  • 南太平洋ひるね旅
    -
    1巻429円 (税込)
    南海――この言葉の中にある懐かしい響きといささかの幻想を追って、著者はふらりとジェット機に乗り込んで夜の東京を脱出した。ハワイを振り出しに、タヒチ、フィジー、ニューカレドニア、東西サモアと、風を吸い光を浴びて、訪ね歩く小さな島々。子供らと遊び、素朴なおとなと語らう、アオレレ(飛ぶ雲)のように爽やかで、ひっそりとしたどくとるマンボウの気ままな旅行記。
  • 醜い日本の私
    4.0
    頭上には電線がとぐろを巻き、街ではスピーカーががなりたてる、ゴミ溜めのような日本。美に敏感なはずの国民が、なぜ醜さに鈍感なのか? 客への応対は卑屈で、「奴隷的サービス」に徹する店員たち。その微温的「気配り」や「他人を思いやる心」など、日本人の美徳の裏側に潜むグロテスクな感情を暴き、押し付けがましい「優しさ」に断固として立ち向う。戦う哲学者の反・日本文化論。
  • ミネラルウォーター・ガイドブック
    5.0
    ふっくらご飯に、トロトロお肉のビーフシチュー。食後は香り引き立つ紅茶で一服──実はこれ、全て適した水があるのです。賢く選んで、もっと美味しく飲むために、「硬度って何?」からウォーターサーバーの選び方まで、ミネラルウォーターの気になる疑問をやさしく解説。自分に合う水が必ず見つかる、厳選百本のカタログ付。
  • 見張り塔から ずっと
    3.7
    1巻539円 (税込)
    発展の望みを絶たれ、憂鬱なムードの漂うニュータウンに暮らす一家がいる。1歳の息子を突然失い、空虚を抱える夫婦がいる。18歳で結婚したが、夫にも義母にもまともに扱ってもらえない若妻がいる……。3組の家族、ひとりひとりの理想が、現実に侵食される。だが、どんなにそれが重くとも、目をそらさずに生きる、僕たちの物語――。「カラス」「扉を開けて」「陽だまりの猫」。
  • みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫)
    4.4
    ようこそ、村上さんの井戸へ――川上未映子はそう語り始める。少年期の記憶、意識と無意識、「地下二階」に降りること、フェミニズム、世界的名声、比喩や文体、日々の創作の秘密、そして死後のこと……。初期エッセイから最新長編まで、すべての作品と資料を精読し、「村上春樹」の最深部に鋭く迫る。十代から村上文学の愛読者だった作家の計13時間に及ぶ、比類なき超ロングインタビュー!
  • ミムムとシララ~ドラゴンのちんちんを見に行こう~ 1巻【電子特典付き】
    完結
    4.8
    全3巻770~792円 (税込)
    魔法学校の優等生・ミムムとシララ。ふたりは変身の授業でより好成績を獲得するため、変身対象の「すみずみまで」再現したいと考える。ドラゴン、ユニコーン、インキュバス、クラーケン、悪魔、スライム…。この世界には未知なるちんちんで溢れている。少女ふたりによる、異世界生物の生態調査。【電子版特典】巻末には電子書籍限定のイラストを収録!
  • 都と京(新潮文庫)
    値引きあり
    3.7
    狭い土地で千年続く歴史から生まれた「しきたり」と共存する「京都」。新しいものをどんどん取り入れて新陳代謝を繰り返す「東京」。日本のふたつの「みやこ」と、そこに生きる人間のキャラは、どうしてこんなに違うのか? 東女(あずまおんな)が、異文化「京都」に出会って以来の発見・疑問・驚きを、「言葉」「節約」「神仏」「若者」「敬語」「女」など、19の観点から鋭く考察した比較文化エッセイ。(解説・佐藤優)
  • 京に鬼の棲む里ありて(新潮文庫)
    3.7
    比叡山麓の八瀬に住む人々は帝を守る鬼の子孫だと自らを誇る。里の娘かやは、貴人が囲う美貌の男妾、夜叉丸の世話をするうちに彼の苦しみを知り……(「鬼の里」)。仏道に邁進する私は、煩悩に溺れる者たちに呆れて比叡山を下りた。しかし洛中の六角堂で百日参籠を始めると、蠱惑的な香りの花を手に女が私を惑わせる……(「愚禿」)。嫉妬に劣情、尽きぬ欲望。男女の生き様を炙り出す京都時代短編集。(解説・細谷正充)
  • 宮崎アニメの暗号
    3.5
    『もののけ姫』のあのシーンには「隠し絵」が埋め込まれている――ナウシカ、ラピュタ、トトロ、千と千尋……日本人なら誰もが観たであろう宮崎駿アニメ。その表層のエンターテインメント性に惑わされるな。全ての作品にはさまざまな「仕掛け」が巧みに隠されている!!  「カオナシ」が表すものは……「ナウシカ」は聖女じゃなくて……「湯婆婆」のあのタマネギ頭は……そして、多くの作品に共通する「母の不在」の意味するものとは――暗号を一つ一つ解読していくと宮崎アニメが真に訴えるものが見えてくる! 本書とともに、宮崎駿が仕掛けた暗号を解読せよ。

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  • 宮沢賢治 デクノボーの叡知(新潮選書)
    3.0
    1巻2,200円 (税込)
    〈土偶坊(デクノボー) ワレワレ カウイフ モノニナリタイ〉――殆どの作品を「未完」の状態で残した宮沢賢治。その手稿が示す揺らぎと可能性を丹念に追うことで、賢治世界=イーハトーブのまったく新しい姿が見えてきた。石、宇宙、火山、動物、風等に込められた創造原理を解き明かし、いまを生きる私たちの倫理を問う、画期的批評。
  • 宮沢賢治の真実―修羅を生きた詩人―(新潮文庫)
    4.7
    猥、嘲、凶、呪……不穏な文字が並ぶ詩と出会い、著者は賢治の本心を探り始めた。信心深く自然を愛した自身をなぜ「けだもの」と呼んだのか。醜聞にまみれ病床でも自己内省を続けた妹の姿に何を思ったのか。名作『銀河鉄道の夜』の中にどんな欲望を秘めていたのか。緻密かつ周到な取材による謎解きの果て、修羅と化した賢治の“真実”に辿りつく。執念が実った圧倒的ノンフィクション!(解説・首藤淳哉)
  • 宮島・伝説の愛と死
    2.7
    癌で余命三ヶ月と宣告された一乗寺多恵子が殺された。必死の捜査にもかかわらず、手掛かりは得られない。十津川警部は、多恵子が死に際して最期の旅行を計画していた宮島に事件解決の鍵が隠されていると睨んだ。そして、厳島神社の大鳥居をくぐる夜間の遊覧船で、偶然にも発生した転落事故。それが、多恵子の身に起きた21年前の忌わしい過去を呼び覚ました。十津川警部、渾身の捜査!
  • 宮部みゆき全一冊
    4.0
    1巻1,936円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 未収録エッセイ15本、映画監督や作家との未収録対談、超ロングインタビュー、作家生活&全作品年表、いしいひさいち漫画2本、藤田新策・新潮文庫装画画廊、こより・『この世の春』挿画ギャラリー……など。秘められていた宮部作品のルーツと創作の原点を収録。※当電子版には、朗読CDは付属しておりません。
  • 未来探偵アドのネジれた事件簿―タイムパラドクスイリ―(新潮文庫nex)
    3.3
    「愛犬の行方を探してほしい」「息子が暴れて……」「大切な宝石が消えてしまった」。益井探偵事務所にはさまざまな依頼が舞い込む。彼の相棒は芽原アド、23世紀からやってきた元タイムパトロール隊員だ。携帯式時間移動装置を片手に、真相を探る二人のもとに、未来から武村ロミが加わって――。未来犯罪との対決の行方は? 本格ミステリ大賞受賞作家が贈る、時空間ミステリ誕生。
  • 未来を切り拓くための5ステップ―起業を目指す君たちへ―
    3.7
    1巻1,232円 (税込)
    「起業本」の新たなバイブル誕生! いつどんなアイデアで始めるのか? 何をどう売るのか? どうやって会社を大きくするのか? 実践的なノウハウ満載。学歴や職歴、金やコネのない若者でも一発逆転が狙える。自分でビジネスを始めたいと思っている人、不確かな世の中を生きていく技術を身につけたい人には最良の1冊──。
  • 未来をつくる言葉―わかりあえなさをつなぐために―(新潮文庫)
    4.2
    哲学、デザイン、アート、情報学と、自由に越境してきた気鋭の研究者が、娘の出産に立ち会った。そのとき自分の死が「予祝」された気がした。この感覚は一体何なのか。その瞬間、豊かな思索が広がっていく。わたしたちは生まれ落ちたあと、世界とどのように関係をむすぶのだろう――。東京発、フランスを経由してモンゴルへ、人工知能から糠床まで。未知なる土地を旅するように思考した軌跡。
  • 見るまえに跳べ
    4.1
    処女作『奇妙な仕事』から3年後の『下降生活者』まで、時代の旗手としての名声と悪評の洪水の中、充実した歩みを始めた時期の秀作10編。“政治と性”の主題を初めて取り上げ、屈伏感と自己欺瞞の意識に苦悩する同時代の青年の内面を文学に定着させた表題作、政治における挫折の問題に挑んだ『後退青年研究所』ほか、『鳩』『ここより他の場所』『上機嫌』戯曲『動物倉庫』など。
  • 民主主義の死に方―二極化する政治が招く独裁への道―
    4.0
    世界中を混乱させるアメリカのトランプ大統領を誕生させ、各国でポピュリスト政党を台頭させるものとは一体何なのか。欧州と南米の民主主義の崩壊を20年以上研究する米ハーバード大の権威が、世界で静かに進む「合法的な独裁化」の実態を暴き、我々が直面する危機を抉り出す。全米ベストセラー待望の邦訳。
  • 民主党代議士の作られ方
    3.8
    二〇〇九年の総選挙で、民主党は歴史的大勝を収めた。政権交代後、矢継ぎ早に政策の見直しを打ち出して注目も集めた。しかし、テレビで顔を売る一部の者を除いて、我々が「普通の政治家」の日常を知ることはない。「地盤、看板、カバン」に頭を悩ませつつ理想を追う“センセイ”の素顔とは──。当選二回の中堅代議士と、初出馬した新人候補に密着する中から、現在の政治システムが抱える問題をあぶり出す。

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