忘却の河

忘却の河

495円 (税込)

2pt

初老の小企業社長・藤代と、その妻で十年間寝たきりのゆき、二人の娘・美佐子と香代子の、それぞれに苦悩多い人生――。忘却の河に流し得ぬような各様の過去が四人に暗影を投げかけており、痛切な愛の挫折、愛の不在がある。主人公は、終章で北陸の海辺にある賽の河原に罪のあがないを見出すのだが、宗教なき日本人の、愛と孤独への救いを追究した、密度の高い連作長編小説である。

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忘却の河 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    冥府の河の名前で、死者はこの水を飲んで知覚の記憶を忘れるという――。愛の挫折とそのないことに悩み、孤独な魂を抱えて苦しみを希求するまたの葛藤を描いた。

    0
    2024年01月26日

    Posted by ブクログ

    人は人が亡くなった時に、思い出すようにして愛を確かめる。人類の死は繰り返されてきたけど、愛する人の死は個人的に確かな「死」また「愛」として訪れる。そんなメッセージを僕は受け取りました。
    生きるとは何か、愛とは何か、このありきたりな問いを新しい形で投げかけてくれる一冊です。

    0
    2024年01月10日

    Posted by ブクログ

    セピア色の、どこか寂しくて、だから純潔な心の在り方が、さらさらと水のように流れていく。確かに人の記憶は沈殿そのものだと思う。次第にそれ自体がその重みに耐えかねて、静かに沈んで忘れられてゆく。水面の震えに応じて、時々浮いてはまた沈んで。
    心に残るフレーズも時折。大好きな小説。
    蒼くて、深くて、涯がなく

    0
    2022年08月08日

    Posted by ブクログ

    とにかくすごい小説だった。
    寂しくて哀しくて、過去と現在が入り乱れる、揺蕩うような物語。文章がひたすらに美しい。
    忘れたまま生きていくということ。
    父親のパートでの、こちらの文章が印象的だった。
    「私が物語を選んだのではなく、物語の方が私を選んだのだ。」
    作中ではサルトルの劇が演じられるが、まさにサ

    0
    2021年09月27日

    Posted by ブクログ

    草の花から続けて読んだ、福永武彦作品。
    藤代家の主人である「私」の独白に物語は始まり、語り口は彼の家族へ移りながら、ゆっくりと進行してゆく。
    愛するということと、愛されていると感じること、其々に家族は苦悩を抱いており、日常と過去がシームレスに展開する中で、いつでも彼らは自分の心を探している。
    福永武

    0
    2018年03月31日

    Posted by ブクログ

    絶版になったと聞いて、散々捜し求め、やっと入手した本。
    以前「草の花」を読んだ時、ひどく落ち込んだ気分になったので
    恐る恐る最初のページをめくった。
    前作からなんと10年の月日を隔てた288pに及ぶ長編とあって、
    文体もかなり現代に近く、読みやすかった。(しかも回りくどくなくね(笑))
    著者の想いが

    0
    2015年09月22日

    Posted by ブクログ

    悲劇をやさしく包み込む傑作。発想となったのは著者が旅行の途中で見た石見の国波根の海岸の風景なんだそうだ。

    「この作品の全体にあの海岸の砂浜に響いていた波に弄ばれる小石の音が聞こえている筈である」

    冷たい波に弄ばれて「恋しい、恋しい」と犇めく人たち。読み終わったばかりだがもう一度読みたい。

    0
    2015年09月22日

    Posted by ブクログ

    ストーリーだけの小説なんて読み返したくなるわけないですが、 この本は、人生であと4回は読み返したくなるでしょう。 思想がいい。哲学がいい。表現がいい。切り込み方がいい。

    0
    2012年11月18日

    Posted by ブクログ

    家族という集団の中で暮らしていながらも一人一人が単独の問題を抱えた存在でありその一人一人の物語が見事に絡み合ってひとつの救いの絵となりカタルシスを呼び起こしている。これほど重いテーマを面白いお話で読ませる手腕はさすがとしか。とにかく愛するものを失ったことに対する喪失感とそれに密接に結びついた罪の意識

    0
    2011年12月01日

    Posted by ブクログ

    あまりにも好きすぎて、読んでいる途中は一生読み終わらなければいいと思った。そのくらい小説世界に没頭し、心酔した。そんな小説。
    福永武彦本人の人生観であるか、はたまた完璧なフィクションであるかは分かりませんが、全ての登場人物が抱えるそれぞれの孤独に共感する。愛の挫折ゆえに魂が死んでしまった人間が苦しむ

    0
    2011年08月24日

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