【感想・ネタバレ】忘却の河のレビュー

あらすじ

初老の小企業社長・藤代と、その妻で十年間寝たきりのゆき、二人の娘・美佐子と香代子の、それぞれに苦悩多い人生――。忘却の河に流し得ぬような各様の過去が四人に暗影を投げかけており、痛切な愛の挫折、愛の不在がある。主人公は、終章で北陸の海辺にある賽の河原に罪のあがないを見出すのだが、宗教なき日本人の、愛と孤独への救いを追究した、密度の高い連作長編小説である。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

冥府の河の名前で、死者はこの水を飲んで知覚の記憶を忘れるという――。愛の挫折とそのないことに悩み、孤独な魂を抱えて苦しみを希求するまたの葛藤を描いた。

0
2024年01月26日

Posted by ブクログ

人は人が亡くなった時に、思い出すようにして愛を確かめる。人類の死は繰り返されてきたけど、愛する人の死は個人的に確かな「死」また「愛」として訪れる。そんなメッセージを僕は受け取りました。
生きるとは何か、愛とは何か、このありきたりな問いを新しい形で投げかけてくれる一冊です。

0
2024年01月10日

Posted by ブクログ

セピア色の、どこか寂しくて、だから純潔な心の在り方が、さらさらと水のように流れていく。確かに人の記憶は沈殿そのものだと思う。次第にそれ自体がその重みに耐えかねて、静かに沈んで忘れられてゆく。水面の震えに応じて、時々浮いてはまた沈んで。
心に残るフレーズも時折。大好きな小説。
蒼くて、深くて、涯がなくて。

0
2022年08月08日

Posted by ブクログ

とにかくすごい小説だった。
寂しくて哀しくて、過去と現在が入り乱れる、揺蕩うような物語。文章がひたすらに美しい。
忘れたまま生きていくということ。
父親のパートでの、こちらの文章が印象的だった。
「私が物語を選んだのではなく、物語の方が私を選んだのだ。」
作中ではサルトルの劇が演じられるが、まさにサルトルのいう、「地獄とは他人である」という世界をこの小説で描こうとしたのかもしれない。

立体的に描かれていく家族の歪みと澱。生きることの罪。捨てていくこと。サルトルの「他者」。お見合い結婚の時代だからこそのままならない諸々のこと。秘密。賽の河原。愛と死。忘れるけど忘れないこと。死に近いから愛すること。
ーー登場人物、それぞれ皆好きになった。
なかでも、人妻でありながら出征前の青年と愛しあった母の過去についての話が好き。

「このまま死んでもいい」
と言って、人を愛する。それでも死なずに生きていかないといけない。
人は人を愛した瞬間に死ぬようにできていたらいいかもしれない。
そんなことを思った。

惜しむらくは、全体的に素晴らしいだけにラストが少々陳腐に感じてしまうところかなあ…。
しかし、素晴らしく言葉の美しい小説だった。

0
2021年09月27日

Posted by ブクログ

草の花から続けて読んだ、福永武彦作品。
藤代家の主人である「私」の独白に物語は始まり、語り口は彼の家族へ移りながら、ゆっくりと進行してゆく。
愛するということと、愛されていると感じること、其々に家族は苦悩を抱いており、日常と過去がシームレスに展開する中で、いつでも彼らは自分の心を探している。
福永武彦の巧みで独特のテンポ持つ文章はとても心地良く、酔いしれながらも読み進めてゆくと、作品を通して深い意識の中に潜っていってしまうような感覚があった。
綿密に練られた全七章からなるその構成は、これ以上無いくらいに読み易く、読後はとても爽やかな気分になれる。無人島に一冊もっていくなら、僕は迷わずこの一冊を選ぶ。現時点で、今まで読んだ本の中での最高傑作。

0
2018年03月31日

Posted by ブクログ

絶版になったと聞いて、散々捜し求め、やっと入手した本。
以前「草の花」を読んだ時、ひどく落ち込んだ気分になったので
恐る恐る最初のページをめくった。
前作からなんと10年の月日を隔てた288pに及ぶ長編とあって、
文体もかなり現代に近く、読みやすかった。(しかも回りくどくなくね(笑))
著者の想いが伝わってきて、不思議とすらすらと一気に読めた。

藤代家の四人の家族と、周囲の人々のそれぞれの心の動きが
一編ずつ綴られていて、そのあまりにも切ない感情が、読んでいて
ひどく辛かった。
主となる登場人物に、「彼」と「僕」、「彼女」と「私」
という微妙な隔たりがあるが、それを行き来するうちに、だんだんとそれらが融合されて
違和感なく一体化する。そんな不思議な文章だった。

藤代氏は過去の罪の深さに押しつぶされながら、生きてきた、いや、
生きながら死んでいたんじゃないかな。
そして妻の死後、自分の子供を身篭ったまま何も言わずに自殺した
最愛の彼女の古里へ行き、そこで冷たい河原の石を拾う。
彼はそして、彼の罪を捨てるため、彼女の許しを得るため、過去と別れを告げるために
その石を、掘割へ捨てたんじゃないかと私は思う。

誰の心にもある、誰にもいえない罪。
彼らの幸せはどこにあったんだろう。
おそらく、日々の何気ないところに「幸せ」はあったのかもしれない。
ただ、それを彼らは幸せと感じていたかどうか・・・。
過去のどこで、どうしていれば幸せになっていたのだろう。

著者は後に、クリスチャンとなり、洗礼を受けたらしいが、
人はやはり、「許し」を得たいものなのだろう。

三浦綾子とよく似ている人のようだ。(2003.1.22)

0
2015年09月22日

Posted by ブクログ

悲劇をやさしく包み込む傑作。発想となったのは著者が旅行の途中で見た石見の国波根の海岸の風景なんだそうだ。

「この作品の全体にあの海岸の砂浜に響いていた波に弄ばれる小石の音が聞こえている筈である」

冷たい波に弄ばれて「恋しい、恋しい」と犇めく人たち。読み終わったばかりだがもう一度読みたい。

0
2015年09月22日

Posted by ブクログ

ストーリーだけの小説なんて読み返したくなるわけないですが、 この本は、人生であと4回は読み返したくなるでしょう。 思想がいい。哲学がいい。表現がいい。切り込み方がいい。

0
2012年11月18日

Posted by ブクログ

家族という集団の中で暮らしていながらも一人一人が単独の問題を抱えた存在でありその一人一人の物語が見事に絡み合ってひとつの救いの絵となりカタルシスを呼び起こしている。これほど重いテーマを面白いお話で読ませる手腕はさすがとしか。とにかく愛するものを失ったことに対する喪失感とそれに密接に結びついた罪の意識の描き込みが半端じゃない。何度も涙しつつも一気に読んでしまった。

0
2011年12月01日

Posted by ブクログ

あまりにも好きすぎて、読んでいる途中は一生読み終わらなければいいと思った。そのくらい小説世界に没頭し、心酔した。そんな小説。
福永武彦本人の人生観であるか、はたまた完璧なフィクションであるかは分かりませんが、全ての登場人物が抱えるそれぞれの孤独に共感する。愛の挫折ゆえに魂が死んでしまった人間が苦しむ様子はまるで作者自身の人生がそうであったかのように思わせる何かがあって、怖くなった。
お涙頂戴でも何でもないのに、涙がこぼれる。こんな読書体験、はじめて。ありがとう。

0
2011年08月24日

Posted by ブクログ

『草の花』が有名ですが、私はこちらの作品の方がすきです。
とても古い本だし、時代背景もうんと昔なのですが、共感するところがたくさんあります。男性作家なのに、女性の感情がここまで表現できる人は最近みかけません。もの静かな文面なのに心が揺さぶられます。間違いなく私の好きな本ベスト10に入ります。
廃盤になった本もゼヒ読んでみたい、、、。

0
2011年08月09日

Posted by ブクログ

すばらしい。
今自分の家族のコミュニケーションに疑問を持っている人に薦めたい。
最近読んだ小説では文句なしのクラシック。
本当にすばらしい。
福永さんのほかの作品も読みたくなった。

0
2011年04月26日

Posted by ブクログ

私の生涯ベストと言って憚らない小説です。
ストーリー展開,文章,どれも文句のつけようがありません。
何度読んでも涙が出ます。
ずっと絶版でしたが,文庫版が復刊されて,大変嬉しいです。

0
2011年03月21日

Posted by ブクログ

静かで端正な文章が美しい。父親の、現代と過去の交錯する描写が秀逸です。意外にもハッピーエンド……(と私は思った)。一章の冒頭に引用されたギリシャ神話辞典の言葉「レーテー」の説明文から引き込まれる。あと、福永武彦と池澤夏樹って親子だったんだ……。

0
2010年11月24日

Posted by ブクログ

本文の一部が、いつぞやのセンター試験(本試験か追試かは忘れた)で使われてた。
戦後まもない時代の、とある家族の物語。
ある章では父の視点、別の章では娘の視点というように
それぞれの章が家族の中の一人の視点から描かれている。
このタイミングで読んで良かったなあと思えた本だった。
10代の頃ってまだ家族と一緒に暮らしているのもあるし、精神的にも未熟だからあまり自分の家族を客観的に捉えて、考えることってできないけど、
一人暮らしを初めてあと数年後にはもしかしたら自分も家族とかもつかもしれないんだよなあとか思うようになると、家族を扱った小説が割とリアルに感じられるようになる。
読んでて思ったのは、家族にも明かしてない自分の過去や現在の秘密を保ちつつ、家族としての暮らしや一体感をもった雰囲気をどうやってつくっていくということが重要でもあり難しいことでもあるのかなあとかぼんやりと思った。

0
2010年11月13日

Posted by ブクログ

 ある家族の肖像を、家族の一人ひとりの視点から描いた、連作短編集。戦時に友を死なせ、もっとさかのぼればごく幼い頃に生まれてきたことを否定されて、己の生きる意味を見出せないまま、亡霊のように生きてきた父親。その夫との間に愛を築きあげることができず、かつて生まれたばかりで死なせてしまった息子のことを嘆き続けて、病み衰えている母親。晩生な長女と進歩的な妹、二人の娘たちのそれぞれの恋愛……
 それぞれの独立した短編を続けて読むと、大きなひとつの長編になっている形式です。

 重厚。ひとつひとつの短編が非常に重く、しかし心の機微が丁寧に描かれていて、引き込まれて一気に読まずにはいられない力がありました。普段は、「文学!」っていうイメージの作品って、なかなか手を出しかねてしまう軟派な読者なのですが、そういうことをしているからこんな名作を読み逃してきてるんだなと、真面目に反省……

 あと昭和の乙女の晩生さというか恥じらいって、なんか妙に萌えますね!(真面目な感想ぶちこわし!)

 もともと私は前から池澤夏樹さんのファンなのですが、福永武彦さんは、その池澤さんとご縁の深い作家さんで、池澤さんの解説やエッセイから名前を知って、前からずっと気になってはいたのでした。
 読んでよかった。もっと早くに読んでおけば良かった……とも思いはしたけれど、考えてみれば、学生時代にこの作品を読んでいたとして、よさが分かったかどうか。そういう意味では、いま読んで良かったのかな。むしろ、今よりも、もっと歳をとってから読んだほうが、分かるよさがあるような気もします……

 もうずいぶん前にお亡くなりになった方なので、文庫版の在庫を探すのが難しいみたいなんですが(そして全集はかさばるうえに高い……)、ぼちぼち他の作品も探してみたいと思います。

0
2010年07月13日

Posted by ブクログ

私にとって完璧な小説です。
読んでいるときは本当に幸せだった。文体も構成も素晴らしい。


中小企業の社長である父、寝たきりの妻、家事を行う長女、大学生の次女、長女に密かに心を向ける美術講師。
5人の視点から語られる家族。

彼らはそれぞれ心に孤独と秘密を抱える。
なぜ自分は生きて親しい人たちは死んだのか、彼らの心はどこにあったのか、そして自分はどこに心を向けて生きていけばいいのだろう。

互いにすれ違い分かり合えなくても、それでもふと気が付くこともある。
そして家族は続く。

0
2015年06月05日

Posted by ブクログ

初めて福永武彦を読んだ。
この時代ならではの奥ゆかしい日本の家族が描かれていて美しい。

中年の男、その長女と次女、そして病気で寝込んでいる妻の視点で章が展開される。

中年の男が終盤の長女に対して言う台詞が好き。

「私たちはそういうふうに躾られてきたのだ。それに私は自分の感情を殺すことも覚えていた。それでもどうにもならない時がある。心の中が溢れて来て抑えることの出来ない時がある。私にしたってお前が可愛くないわけではなかった。そういう時に私はこっそりお前のそばへ行って、小さな声でこの子守唄を歌ったものだ」【332頁】

0
2010年03月17日

Posted by ブクログ

高校生の時に出会って情景を気にいってしまい購入した。話の起伏としては普通だが印象的な描写が多く、お気に入り。

0
2022年07月08日

Posted by ブクログ

『草の花』『海市』につづいて福永先生の作品を読むのは三冊目。
連作短編集で、父の語りに始まり娘二人、娘の知り合い、妻など家族それぞれの立場からそれぞれの悩みを描き、ラストはまた父の語り。語り手は変わるが物語は進行しています。

一読しただけでは語るのが難しくて、読後もなかなか感想を書けずにいたので、また再読したいとおもいますが、冒頭とラストの父の章が最も印象的でした。これ昭和39年に書かれたんですよね、始まり方が斬新でした。戦死した友人の雨天下の瞳の描写や、賽の河原を訪れる場面等々、福永先生ならではの美しい描写。
一言では語れないので、何度も読み込んで理解したい作品です。

個人的には『草の花』のようにストーリーがわかりやすく、せつなさが前面に出ている作品のほうが好きですが、福永先生が伝えたいことは『忘却の河』に描かれていているような哲学なのだろうなと思います。

0
2022年01月02日

Posted by ブクログ

扉にこうある。

レーテー。「忘却」の意。エリスの娘。タナトス(死)とヒュプノス(眠り)の姉妹。また、冥府の河の名前で、死者はこの水を飲んで現世の記憶を忘れるという。
「ギリシャ 神話辞典」

これでこのタイトル。それはもう。
四つに組んで読みましょう。

0
2020年09月29日

Posted by ブクログ


面白かった。。



人は他人の見るようにしか見られないし、他人によって見られることの総和が、つまりその人間の存在そのものであるのかもしれない。

あたしたちはみんな宙ぶらりんだ、宙ぶらりんのまま生きているのだー生きることも出来ず死ぬことも出来ず、惰性のように毎日を送っているのだ。いつかは何とかなるだろうと、それだけは信じて。

他人なのだ、みんな他人なのだ、ー他人がいることによって、他人が鏡の代わりに自分の姿を映していることによって、地獄は成立する。そして家庭も亦、他人の集合なのではないだろうか。

0
2020年01月05日

Posted by ブクログ

「ふるさと」について考えさせられる本でした。ふるさとはもちろん自分が生まれたところだけど、人によっては人生の深い後悔を置いてきた場所でもある。

母に勧められたこの本、とても良かったです。

0
2016年11月05日

Posted by ブクログ

連作形式って初めてかも。各章で主人公が変わっていくっておもしろい。
昭和三十九年って、私が生まれる20年も前なのに、あまり違和感なく読めた。
生死と愛、罪、ふるさとについて。
内容や構成が深すぎて、私なんぞではうまく感想も書けない。巻末の解説等が「そうそうっ!」て端的にまとめられててよかったw
何度も読み返したい一作になる気がする。
福永武彦さんの他の作品も読みたい!

(裏表紙の説明)過去の事件に深くとらわれる中年男、彼の長女、次女、病床にある妻、若い男、それぞれの独白。愛の挫折とその不在に悩み、孤独な魂を抱えて救いを希求する彼らの葛藤を描いた傑作長編。

0
2011年11月28日

Posted by ブクログ

純文学・・、と心して読み始めましたが、
きれいな文章で難しく感じることなく読み進められました。
しかし核になっているテーマは重く、深いもの、
それも現代に生きる私たちには遠いものかもしれません。
家族それぞれ抱える、お互い知ることもない傷のようなもの。
それぞれの人生の中で、時代の中で、
家族の愛や自分の愛・誠意を疑い、はたまた現実の壁を感じて、
苦しんでいるけれど。
最終章でやっと、家族の愛情そのものを感じられて、ちょっとほっとする・・。

一章ずつ語り手が変わるのだけど、世代も環境も違う人の回想や生活が
丁寧に描写されているのが読みごたえがありました。
誠実に生きると、人生が案外長く苦しく深いってわかるものなのかな?と思った。

0
2011年02月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

家族ってなんだろうという疑問を個々の魂のありかた、ゆくえから見つめている作品。

 といって、難しい言葉が並べてあるのではなく、日常の生活を描き積み重ねてあるのですっとはいってくるのだ。

 父親と母親と二人の年頃の娘、時代は昭和30年代なかば 生活は上等の部類。

 なに悩むことあろうと思うのだが、父はなぜだか心ここにあらず(これが物語の芯)、母は不治の病、長女は母の看病で家にしばられ鬱屈したよう、妹はひとり楽しげな大学生生活を送っているようで家族てんでばらばら。

 現代の複雑なストレスのたまる家族たちと変わりないではないか。だから古いものがたりだけれど今読める。

 ちなみにわたしの娘時代と一致するが、わたし及び家族がこんなにも悩まなかったので、当時に読んでもきっとシンクロしなかったと思うのは、しあわせだったのか、おきらくだったのか。それなりにいろいろあったような気がするんだけれど、もう忘れたほど単純だった。
 
 「現代のストレスのたまる家族たち」と書いたけれど、ほんとこのごろはくたびれることが多い。 「愛」などと意識しなくてもよかった時代がなつかしい。

 どうしてこうなっちゃったんだろと今の自分の身にふりかえて考えさせられ、読ませられた。と、こう身につまされる、しかし構成がすばらしい、薫りたつ文芸作品だった。

0
2021年08月22日

Posted by ブクログ

「忘却(レーテー)」。それは「死」(タナトス)と「眠り」(ヒュプノス)の姉妹。また、冥府の河の名前で、死者はこの水を飲んで現世の記憶を忘れるという――。過去の事件に深くとらわれる中年男、彼の長女、次女、病床にある妻、若い男、それぞれの独白。愛の挫折とその不在に悩み、孤独な魂を抱えて救いを希求する彼らの葛藤を描いて、『草の花』とともに読み継がれてきた傑作長編。

0
2019年06月19日

Posted by ブクログ

福永武彦はいう。
『私がこれを書くのは 私がこの部屋にいるからであり
ここにいて私が何かを発見したからである。
その発見したものが何であるか。私の過去であるか。
私の生き方であるか。私の運命であるか。
それは私にはわからない。
・・・・
僕は思想なんてものを信じてはいなかったんだ。
・・・・
生きるということは何のためなのか。
思想のためなのか。人類のためなのか。自分のためなのか。
僕は 思想も人類も自分も信じない。
地球が滅びようと、労働者の天下が来ようと、
僕にとってそれが何だというのだ。
僕の身体が死んでしまえば、それで終わりだ、
・・・
僕はただすべての人が平等でありたい、
皆が幸福でありたいと望んだだけなんだ。』

いまの私の作業は ここまではいえないが、
私のロールモデル探しが ごつごつぶつかりながら
少しづつ進展していることは
確かで、過去を振り返らない というルールは、
明らかに 破られている。
何か、私は、自分の遺書を書くための準備をしているようだ。

0
2013年03月10日

Posted by ブクログ

これ以外は『草の花』しか読んでいませんが、相変わらず、良くも悪くも、山岸涼子とか竹宮恵子あたりの少女漫画を読んでいるような感覚があった。あの感じが好きな人にはおすすめ。

0
2012年03月04日

Posted by ブクログ

赤んぼなんかおろせばいいさ。という下山の一言を聞いて、香代子が母の、自分・呉さんへの愛に気づいたところは鳥肌が立ちました。登場人物では三木先生が好き。

0
2011年01月16日

「小説」ランキング