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Posted by ブクログ
赤松利市『ボダ子』新潮文庫。
著者の実体験に基づく衝撃の小説。親の身勝手さが娘の人生を狂わし、上手くいっていた家族の生活をも破綻させる。
何が正しくて、何が悪なのか。人間はあさましいまでに金のあるところに群がり、男性は女性に溺れ、酒に逃げるのだ。そのうちに善と悪を区別する感覚も麻痺し、地獄のような泥沼にハマっていく。
面白かった。
35歳で起業し、年収2,000万円を稼いだ大西浩平は全く家族を顧みない仕事一辺倒の生活で離婚と結婚を繰り返す。四度目の妻と暮らす中、三度目の元妻から娘が境界性人格障害で入院したことを告げられる。軌道に乗っていた大西の事業は、自傷行為を繰り返す娘に付き切りの生活を選択したことで破綻する。
東日本大震災の復興事業に起死回生を賭けた大西は、娘と元妻とともに被災地へと向かうが……
本作に描かれた主人公の大西と家族の関係はよく解る。自分も月に100時間とか200時間とか残業していた時期がある。家庭など顧みる余裕など無く、月収は増えるものの、家族と会話する時間もなく、やがて家族とは距離を感じるようになる。そうなると会社から家に帰るのも億劫になってくる。そんな時期は出張が嬉しかった。また、金が入れば、飲みに行ったり、様々な女性と親密になったりと、仕事が忙しいのにどうしてそんな時間があったのか今思うと不思議だ。
本体価格710円
★★★★★
Posted by ブクログ
仄暗いイラストに赤字で大きく「ボダ子」と書かれたインパクトに惹かれて読み始めた(著者近影のガラの悪さ…笑)。
壮絶。まともな人間が桜井さんしか出てこない。
主人公(作者)に至っては初婚のエピソードで既に「あー…」と言いたくなる(元嫁も大概なのだが)。
もしかしたら主人公には人を見る目が無いのかもしれない。一番の被害者はもしかしたら本妻かもしれないな。
奥田英朗先生の「最悪」も読んでて辛かったが、これは比ではない。実話だというのも驚きだ。
女性作家の作品ばかり読んでいたので、男性目線の野望、家族愛、悲哀、肉欲がすごい衝撃的だった。
こんなにどん詰まりで辛いのに、読む手が止まらなかった。
この作品を読んで私は父親にネグレストされてた事に気がついた。仕事にかまけて放置されていたのではない。とにかく自分以外の人間に関心の無い人で、私が鬱病になった時もとことん無関心だった。未だに親子らしい会話すらした事もない。
いざとなるとやたら主人公が責められるが、悦子だって相当ヤバい親だろう。むしろ娘の発症の原因は母親のせいでもあるんじゃないか。夫が事業を立て直そうと必死に駆け回り、慣れない作業現場で壮絶なイジメに遭ってるのに気付かず一晩中詰ったりカネのことばかり口にするのもおかしい。
独りよがりで手遅れだったのかもしれないが、娘が発症する前から愛情を注ぎ、事業を傾かせても娘との生活を選んだ主人公は本当に立派だ。
赤松先生に作家の道が残されていて本当に良かったと心から思う。応援してます。
Posted by ブクログ
バブル期に大いに働き大いに稼ぎ大いに遊んだ主人公。それでも家庭を持ち子を持つ。
大人になった頃には既にバブルが弾けていた私には理解不能な価値観の人物たち。
所謂グズ。グズでも本を読み働き夢を追いかける…だけれども、やっぱりグズ。
私を育ててくれた大人たちがバブル期を経験してもこんな風にならなくてよかった、ありがとうという気持ちにさえなってしまった。
筆者の体験に基づいて書かれた作品とのこと。
ある意味自然主義文学さながらの物語。
バブル期を経た人物が被災地へ流れて一攫千金を狙って再起を図るとは被災されたたくさんの方たちにとっては虫が良すぎるのだろうと感じ、やはり、震災後文学というものには安易に手を出したくないな、と思う。
それでも人生の壮絶さ、理解不能な人物の人生観の壮絶さを思い知らされる印象深い作品。
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