ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
3pt
一号機が爆発した。原発事故の模様をテレビで見ていた木島雄介は、これから何かが変わると確信する。だが待っていたのは何も変わらない毎日と、除染作業員、原発避難民たちが街に住み始めたことによる苛立ちだった。六年後、雄介は友人の誘いで除染作業員となることを決心。しかしそこで動く大金を目にし、いつしか雄介は……。満場一致にて受賞に至った第一回大藪春彦新人賞受賞作。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
除染作業員、原発避難民、東北の苦悩の一端を知る事ができたと思う。大好きな仙台、まだ訪れたことの無い福島。どちらも必ず行こう。
面白すぎて1日で読み終わる。 地の文で、俺たちは虫けら以下だな。とか書いちゃう。「てにおは」の使い方も独特。そこがなんだか面白く読んでいて飽きない。 そのせいか、リアリティがありドキュメンタリーを見ているかのよう。と思ったら著者は本当に除染作業員だった。 痺れた。
どこか知らない世界のフィクションだと思いたい。 でもこれが日本で起きてる現実を描いた物語なのだと思うと辛く目を背けたくなる。 あの震災、原発事故はここまで人を変え、分断してしてしまっていたことを私は全く知らなかった。偽善的なのかもしれないが、私は近くて遠い安全な場所に身を置くことで、被災者や避難者...続きを読むの方々に心を痛めたり、除染作業員に感謝や敬意を示す気持ちだけを持っていた。想像力の無さと無知から、みんながそうだと思っていた。そう思い込むようにしていたと思う。 しかし、災害だらけのこの国では、このようなことは至る所で起きているのだろう。 思い返してみれば私自身も、今回のコロナ禍において補償金をたくさんもらった知り合いのお店の話を聞いた時、「ずるい」と思ってしまったんだった…
大型犬に散歩させられてるおじいちゃんの様な隅っこで背中をまげる老練なベース弾きが、コントラバスのゴツい弦を揺らして、間接照明が照らす空間を低く鈍く振動させる。 たまたま入った店が、行きつけになりそうな一冊。
心を鷲掴みにされる感覚。内臓を蟹に掴まれたヤマメの気分。フクシマ事故や被災者について描かれているけれど、人間とはなんなのか、ということを深く突きつけられる。あつい魂がこもっている。夢中で読んでラストにはぐっときた。最後まで読んでもう1度、始めから高橋の爺さんとの日々を読むと、たまらない気持ちになる。...続きを読む刺身うまそう。はー、読んでよかった。こんな思いができるなんて。赤松利市さんが書き続ける限り読み続けるぞい。
メッセージ性が強く、ストーリーとしても申し分ない。文章は荒削りだが、そのことがかえって切実さを感じさせることもあり、小説は技術より内容が大切だと改めて思わされる。最後の一行は、こんな終わり方があるのかとぞくりとなった。 また、作中後半に以下の文がある。 「どうして世の中は、こんな風にできているんだろ...続きを読むう。金がすべてだとは思いたくはないが、残念なことにすべてなのだ」 この言葉の重みは、市場に虐待された者にしか分からないだろう。札束の夢、ジュンの変容、金が分断を作り、それを利用する者もいる。自由社会ゆえの恐ろしさがそこかしこに散りばめられている。 原発の物語として、同時期にボラード病を読んだ。文章技巧としてはボラード病の方が上だと思うが、内容により本書を推したい。部分的で不自然な同調圧力があっても、ファクトを提示すれば反論できるし移住する自由もある。それに対して、自分自身の欲望からは逃げられない。お金はすべてだから。滑稽なまでに欲望に忠実な人の心。操られ、孤立し、絶望するまでに追い詰められる。現代日本において、恐ろしいのは市場による虐待だ。責任の所在があやふやで、だからこそ誰も責任をとらず、ディストピアを作り上げる。
さすが賞を取った作品です。非常に秀逸で飽きさせず一気に読んでしまいました。文章も上手いです。この作者の他の作品も読みたくなりました。
初赤松。原発事故を題材にした人間ドラマ。すべてが真実なんじゃなかろうかと、感じる程の力強い作品。確かに批判もあるだろうが、私は推したい!星五つ。
人間とはまったく厄介な生き物だ。本書を読んでつくづくそう思った。 「一号機が爆発した。セシウムを大量に含んだ白煙が、巨象に似た塊になって、ゆっくりと地を這った」 本書の書き出しであるが、読み終えた後、あらためてここを読んでみると、著者の物語を紡ぐ巧みさにあらためて気づかされる。 2011年、...続きを読む起こるべくして起こった原発の爆発は、原爆のときのような即死者こそ出さなかったものの、人々の日常を大きく変えていった。本書は、爆発によって産み出されたもやもやとしたものによって、いつしか人生を変えられていく人々の様子を、高いところで浮いている権力者でなく、地面の上で生きている普通の人々に焦点を当てて描いた小説である。故郷を奪われた人、降って湧いた補償金で高額な買い物をする人、それを嫉妬する人、身近な人の死と引き換えに金を受け取ったという罪悪感に苛まれる人、不幸な人災を商売の好機としか見ない人、そして、自分の信ずるものを変えまいとする者は、どのような道を選んだか。かろうじて平穏に保たれていた日常が破壊された結果、見えないところに仕舞われていた人の様々な本性が露わになっていく様子を、著者は淡々と描いている。 釣りをする場面がある。釣ったヤマメを捌き、はらわたを川に投げると、藻屑蟹がそれをハサミで掴む。その蟹も人にとっては、旬が来れば食されるべき存在である、或いは、あった。再び、印象的な文を引用する。 「釣り場の近くに、夥しい量の、蕗の薹や土筆が、生えていた。汚染され、誰にも見向きもされず、生えていた」 本書執筆当時、作者の住所は「路上」であり、書く場所は漫画喫茶だったと、あとがきにある。本書は(私の嫌いな)「感涙必至」という言葉で形容される物語では全くない。文学部は要らないなど公然と言い放つ者には、本書は向かないだろうが、私は本書を強く薦める。
東北で大震災、津波が起こり、原発が爆発した。その光景をテレビで見ていたパチンコ店の店長、木島は世の中が変わると思った。彼はその変化に期待し、愉快な感情さえこみ上げた。 そして、数年後、彼に訪れた大きな変化。彼は崩壊した原発の利権に携わることになり、大金も手に入れた。身近な人が亡くなることもあった。...続きを読む自分じゃ理解できない事件にも巻き込まれた。 変わったのは木島だけじゃない。避難民たちは賠償金額の大小に嫉妬し、一喜一憂する。「立入制限区域に住んでて良かったね」、「他の地震の被害者じゃなくて良かったね」、「家族が死んで良かったね」。陰ではそんな言葉さえも飛び交う。 タブーとも言える原発避難民の格差や闇、批判を正面から描かれた作品だが、原発事故をカネのために利用することに躊躇する主人公が存在することで、バランスが保たれ、エンターテイメントとして成立している。 「原発乞食」という言葉が強烈な印象を残す。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
藻屑蟹
新刊情報をお知らせします。
赤松利市
フォロー機能について
「徳間文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
アウターライズ
あじろ
犬
エレジー
下級国民A
饗宴
鯖
白蟻女
「赤松利市」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲藻屑蟹 ページトップヘ