物語に引き込まれて、本を閉じることができませんでした。
短編集でよかった…長編やったら終わりでした。
そして月がふりかえる
途中で絶望して、なんとか状況変わらないかと願ったけれど変わらないまま、でも最後にぼんやりとした希望が……
こんな悪夢ある? という話でした。自分の居場所が別の誰かに奪われてし
...続きを読むまうってあんまりじゃない?
そして何よりもやるせないのが、ただの運命の悪戯みたいに意味もなく奪われてしまったこと。
天災とかよりももっとやるせないんだけど……
こんな夢を見たことがある気がする。つらたん。
月景石
【そして月がふりかえる】の余韻が残っていたのも数ページ、またあっさりと引き込まれてしまいました。
女の主人公もこんなに上手に書くのか‥天才。
夢の中で、今まで知っていたはずのことがわからなくなって不安になることがたまにあるんだけど、そんな不安をうまく表現していて引き込まれてしまった。
現代の話と大月桂樹が月にあるイシダキ達の話が交差しながら進んでいき……
最後はどうなったの?
これはハッピーエンドなの?
ただ一つ言えることは、澄香は全力で生きている。
残月記
月昂という感染症が蔓延している世界の話。
月昂者は満月の時に体力的・精神的に充実し、常人の何倍もの活力を得るが、新月の時には瀕死状態になり、何%かは死に至る。
体液などからも感染するようで、月昂者は隔離施設に移され、死ぬまでその中で管理される。
これはそんな月昂者となった宇野冬芽のお話。
世界観が素晴らしすぎて、その中で冬芽と瑠香の愛が切なくて胸を打った。
最後に冬芽が「瑠芽ニ捧グ」彫刻ばかりの洞窟で瑠香を抱いて死んでいるのが発見された時、泣いちゃった。
世界をまるごと一つ彫りあげて、瑠香にそっくりあげる
その約束のために、ずっと作り続けてたんだね。そのために生きてたんだね。
最後に瑠香と再会し、抱き合いながらのハッピーエンド、それはただの死ぬ前の夢だと冬芽がどこかで感じていたけど……
でも私は本当に会えたんだと思ったよ。
全部「月」以外に共通点のない話。
それなのに書き切るこの筆力はなんなんだ。
すごすぎる本当に。