無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
こんなに引き込まれたのは久しぶり、というくらい世界にのめり込めた。3作の中編集だが、どれも月をテーマにしており一貫性のある一冊。純文学ぽさがあるけれどもSF的に楽しめた。
個人的には3編目の表題作よりも、2編目のイシダキの話が面白かった。この世界観で長編書けるだろと思ったし、もっと読みたかった。
1編目は読み始めて普通の私小説というか家族小説的になるかと思いきやまさかの別人入れ替わりのホラー小説で虚をつかれ、イシダキの話は設定の奇抜さと大胆な場面転換にドキドキし、最後の残月記はディストピア小説としてもやり過ぎだろと感じてしまったが、十分に主人公に感情移入できた。
本当にオリジナリティのある良い物語だった。
Posted by ブクログ
目次
・そして月がふりかえる
・月景石
・残月記
三篇が収録されているが、100ページほどの作品が二篇と、200ページの表題作。
どれも設定は興味深いし、不穏の種類が違うので、面白く読めるはずなのだが、結果的にはさほど満足はできなかった。
『そして月がふりかえる』はまあまあ面白かったけれど、『月景石』については、もう少し登場人物の必然性というかタイミングというかに工夫があったほうがよいと思ったし、物語の落としどころがちょっと弱かったように思えた。
しかし、最も不満が残ったのは、表題作だ。
「月昂」という謎の感染症が世に蔓延している世界なのだが、まず何感染?
なんとなく飛沫感染のような描写があったけれど、その割に血を流して戦う闘技大会みたいなのが行われるのが、謎。
いや、独裁者の趣味だから、っていうのでしょう?
まあ、流れた血の処理なども感染者にやらせているのかもしれないけど。
完全に治癒させる方法がない感染症だというのに、ずいぶんとリスキーなことをするなあと。
完全無敵の独裁者が感染者になって落ちぶれるのかと思ったら、そうでもなく。
満月と共に力や感覚などが増大し、新月の頃は昏迷状態になり、そのまま目を覚まさない人は100人中3人という割合。
3%というのは90歳代の高齢者が、インフルエンザで亡くなる割合とほぼ同じ。
月に一度は死の危険に瀕するわけで、単純な致死率とは言えないけれど、世の中にはもっと致死率が激烈に高いものだって多くある。
そして、何十年も突然変異することなく、その威力を保ち続けるウィルスってのも信じがたい。
ウィルス性の感染症かどうかもわからないけど。
一党独裁政権は、月昂症患者を狭くて不潔な施設に、生涯隔離して監禁するのだけれど、どうして満月期の月昂症患者の増大したパワーに、何らかの生産性を持たせないのだろう?
そして普通の高齢者をも、生産性のない存在として隔離し…。
毎年日本の人口を何十万人積極的に減らしているんだろうね。
しかも、西日本大震災というのが起こったあとだというのだが、この震災で22万人が死亡って…これ、東日本大震災の死者と行方不明者を足した数の10倍だよ?
これに行方不明者とけが人という人的被害だけではなく、ライフラインやインフラ、経済や行政の組織、生産現場など、復興しなければならないものの多さを考えたら、人の命は大切にしろよ。
で、このような好き勝手を行っている日本を、世界はどう見ているの?
内政不干渉とか言って、見て見ぬふりしてるの?
でも、海外の支援がなければ、単独で復興なんてできないでしょう?
結局大きな風呂敷を広げたうえで、小さい世界のことしか書いていないようで、シラケた。
本当は瑠香と残月の身体性を離れてからの交流とかは、面白かったんだけど、それを取り巻く世界の枠組みが雑過ぎて…滅。
Posted by ブクログ
短編の残月記は、月昂のことより、下條による独裁国家のリアルさと気持ち悪さがすごい印象的だった。やっぱり独裁政治は、一部の人を人扱いしないことで、支配者側が自尊心とか欲を満たす仕組みになって、特に理由もなく支配者側から転落してしまって、そうしたら尊厳も誇りも全部失って救いもなくなっちゃうんだと思った。その辛さを詩とか木彫とか芸術に反映させて優れた作品が出たとしても、それは全然喜ばしいものではなく負の遺産的なものになっちゃうし、更にそれを糧として乗り越えようみたいに無関係の人が芸術として享受するのは傲慢だなあとも思った。(まあ糧とするしかないんだけど)
下條に対する便器のような白い歯っていう表現が好きすぎて笑った。あと、愛してるということは愛し続けるということで闘士であり月昂である自分が口にできる言葉ではないって考えてた後、昆冥期で死に行くときに愛してるって伝えたところがめっちゃよかった。
Posted by ブクログ
月が関係するSFファンタジー短編中編集
短編2つに表題作の中編1つ
・そして月がふりかえる
研究者として不遇の人生を歩みながも、やっと社会的にも認められてきた主人公
家族とのささやかな幸せな生活を送る中、日常的に行くファミレスで見上げた月が裏返ったのと同時に、家族が入れ替わった世界になってしまう
妻や子供の姿形は同じで、自分の歩んだ人生も同じなのに、別人がその地位に収まり、自分はまた別の冴えない人生を送っている事になっている世界
ファミレスを出てから、彼が何をしようとしているのが疑問だったけど
なるほど、話しをしたかったのか
気持ちはわかるが、その結果は悲しくも……
著者は、希望を持てるラストにしたという事で、最後の展開は長大な物語の導入にも思える
でも、ここで終わりなのだな
彼は元の世界に戻る事ができたのか、またはこの世界で同じような人と何かをしたのか
どっちでしょうね?
・若い叔母が遺した、月の風景が表面に浮かぶ石
月景石を枕の下に入れて眠ると月に行けるという
しかし、悪夢のためお薦めはしないとの事
月景石を枕の下に入れて眠ると、月の世界に生きる別人としての夢を見る
そして、目覚めると、最近付き合い始めた斎藤と同棲する部屋の隣に住む家族の女子中学生が元からいない事になっていた
月の世界の行く末と、こちらの世界の改変についてのお話
河原の何でも無い石を拾う叔母
世間の認知としては低いけど、「水石」という文化が昔からある
自然石の模様を何かに見立てて、台座や箱なども専用で作るとかね
なので、叔母が「風景石」と名付ける行為はそんなに不思議ではない
あと、ヤスリで磨くとものすごくピカピカになったりするけど、人の手が加わってない方がいいという人も多いので、そこはもう完全に好みの問題ですね
それはそうと、月の世界の方
イシダキと呼ばれる種族(?)
叔母が悪夢と言っていた理由はそこなのだろうな
結果、こちらの世界でも若くして亡くなることになった
もしかして、叔母が月の世界に行くことになったので、今の世界も既に改変された世界という可能性があるな
・残月記
独裁者に支配された近未来の日本
人々を恐怖させている感染症・月昂病
月の満ち欠けに応じて精神の躁鬱が連動し、昏冥期には3%程度の人が亡くなってしまう
逆に、明月期には身体能力の向上があり、また攻撃性や性欲の発露が問題視されている
また、精神的な高揚もが見られ、創作活動で名を成した人もいる
感染が発覚した場合は、療養院に送られ、世間とは隔絶した状態で一生を過ごすことになる
主人公の宇野冬芽は、本来ならば療養院に送られるところ
格闘技好きの独裁者の意向で開催されている、月昂者達による剣闘士として命を賭けて戦う事になる
彼は何の為に戦ったのか?
そして、彼の人生の最期とは
特定の病気の隔離政策と療養所の描写は、ハンセン病を思わせる
他にも、優生保護法に基づいて、許されない処置を行ってきた歴史があるので、まったくの絵空事には思えないリアリティを感じる
独裁体制の成立にしても、独裁者は民主主義から生まれる側面もあったりするので、荒唐無稽なストーリーではない
結局、どの話も理由や原因の説明がされないところが消化不良
この辺の世界観の説明がされているかが気になってしまう私はSF設定やファンタジーの適性がそんなに高くないのだろうなぁ
それにしても、3つの話に関連性はない、のか?
一応、「月の裏側世界」という共通点があるような気はする
それぞれの世界は同じでなくとも、こちらの世界が瞬時にして変わってしまうように、月の世界も改変されているものの、元は共通の世界だったりしないだろうか?
-----------------
ダークファンタジー×愛×ディストピア。全編「月」をモチーフにした、超弩級エンターテインメント!
計り知れぬ想像力が構築した三つの異世界。
「そして月がふりかえる」
不遇な半生を送ってきた男がようやく手にした、家族というささやかな幸福。
だが赤い満月のかかったある夜、男は突如として現実からはじき出される。
「月景石」
早逝した叔母の形見である、月の風景が表面に浮かぶ石。生前、叔母は言った。石を枕の下に入れて眠ると月に行ける。
でも、ものすごく「悪い夢」を見る、と。
「残月記」
近未来の日本、人々を震撼させている感染症・月昂に冒された若者。
カリスマ暴君の歪んだ願望に運命を翻弄されながら、抗い続けてゆく。愛する女のために。
-----------------
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸