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Posted by ブクログ
幻の書と書いて幻書。放って置くと羽ばたいて南に飛んでいってしまい、それを抑えるために、ボルネオの象牙で作った蔵書印を押さなければならぬ。また、雄の本と雌の本を隣り合わせに立ててしまうと、アイノコの本が生まれてしまい、大騒ぎになる。土井博の母方の、大正生まれの祖父、深井與次郎はそんな幻書収集家であった。数万冊を蔵に蓄え、本当か嘘かわからない話ばかりする與次郎が、昭和61年に亡くなるまで、死んでからの不思議なあれこれを、自伝という形で紹介する。
とにかく、タイトルで買わざるを得ないと感じさせられた1冊。本を読んできた人ならこのタイトルに目が止まらないということはないだろう。そして「ああ、そういうことね」と思い、本の紹介メインの話だとめんどくさいななどと考える。
そういう話ではない。
深井與次郎の、デタラメな人生と、その祖父に育てられて自らもデタラメに生きてきた孫の、言葉遊びを楽しみつつ、一人の幻書収集家とその家族の奇想天外なエピソードを紹介していく。
とはいえ、幻書がきちんと残っているのは、実は與次郎が昭和のはじめに出征したボルネオの話だけである。それ以外は伝聞ということもありなのか、そうでないという体なのか、ダジャレなどを大量に織り交ぜながら紹介されていく。そのせいか、たとえば昭和のはじめに「ストーカー」などという言葉が出てきたりする。
ところで、☆5をつけているが、正直なところ☆2と相当迷った。なぜならとにかく、読みにくいのである。480ページというなかなかのボリュームに、ダジャレを織り交ぜてほぼ改行無く句点無くダラダラと書き綴られており、結構な確率で目が滑って読み飛ばす。ただ、読み飛ばしても意味はつかめる。
また、こういう体の話で、最近の本であれば、もう少し細かく章を分けてほしかった。戦争のあたりの話など、フォントが変わった部分は比較的読みやすいものの、正直いつまで続くんや?と感じさせられるのはまあまあ辛い。
さらに、言葉遊びが過ぎて、重要な部分の言葉がきちんと頭に入ってこないのも困る。例えば、博(筆者)が妻と出会う場面で、「海外に行っていた母」「飛行機事故でなくなった子供」「自分」がどれがどうなっているのかわからなくなる。そういう部分が相当に多い。主語の位置だとかをもう少し慎重に考えてほしかった。
とはいえ、読後はこれは掘り出し物であったぞ、と思わせる何かを持っている。
筒井康隆や、躁状態の北杜夫作品が好きな人はぜひ一度手に取られるとよろしい。読みにくいけど。
Posted by ブクログ
ずるいよと言いたいくらいのカバーの惹きの強さに負けて、つい購入してしまったのですが、これ、今年一番かも。
あんまり知られてはおらんが、書物にも雄と雌がある。であるからには理の当然、人目を忍んで逢瀬を重ね、ときには書物の身空でページをからめて房事にも励もうし、果ては後継をもこしらえる(本文より引用)
この冒頭でまずはひと笑い。ところが、その後しばらくは圧倒的な文字の多さ、独特の言葉づかいや冗長さ、登場人物の多さにう〜んとなってしまいました。でも、放り出さないでよかった!そこを過ぎると一気に読みやすくなります。
この小説は作中の登場人物、博が将来息子に読ませる手記という形で書かれています。内容は博の祖父與次郎を中心とした家族の歴史なのですが、件の後継であるところの「幻本」にまつわるファンタジーが織り込まれ、これがたまらない。次々と語られるエピソードに引き込まれ、読み終わりたくないと思うほどでした。
そして最後… おそらく、この小説を読んだ多くの人がやったのではと思うのですが… 思わずこの小説を握りしめました。
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小説・文芸
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