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恋人の百合子が失踪した。彼女の住むアパートを訪れた私は、隣人を名乗る男と遭遇する。そこで語られる、奇妙な話の数々。果たして、男が目撃した秘技・耳もぐりとは、一体 (「耳もぐり」)。ほか、『残月記』で第43回吉川英治文学新人賞受賞&第43回日本SF大賞受賞を果たした著者による、恐怖と驚愕の到達点を見よ!
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Posted by ブクログ
珠玉の逸冊。 「何がいいかわからない」という方は、この作者の想像力があまりに陳腐化しすぎた近年のSFとホラーに対するディスラプションであることが感じられない、つまりこのジャンルに普段触れ慣れてないのだろうから仕方ないのかな、と思う。 編によって毛色が大分異なるのと、前評判で言われている「怖い」とか...続きを読む「グロい」とかそういう類ではないことを前提としたい。共通して言えるのは、妙にリアルだけど絶対に有り得ない、血糖値スパイクで昏睡した休日の午後の悪夢のような景色を記憶に刻んでくれる作品であるということ。悪夢とくくるには、あまりに美しい編もあるということ。 ということで、ネタバレにならない程度の感想を短編ごとに記しておきます。結論、悩むくらいなら読んでみてください。ハマる人はどハマりします。 ・食書 導入としてわかりやすく、官能的で引き込まれる。 ・耳もぐり 江戸川乱歩みたい。数の衝撃。 ・喪色記 一番記憶に刻まれた物語。ディストピアものですが、美しく愛が描かれていて、泣けました。 ・柔らかなところへ帰る 日常から非日常ではなく、本能につられて日常の中の異怪に出会う、衝撃的な話。引き込まれます。 ・農場 著者の前作、残月記を思い出す、ダークSF。 ・髪禍 これが一番「禍」っぽいかな。カルト宗教モノが好きな人は感涙するでしょう。 ・裸婦と裸夫 コメディ的な展開からのディストピア。著者は地獄を天国として描くのが得意ですね。
引き込まれた。どの話も最初は身近な、あり得そうな話だけど、どんどんと禍に浸っていく感じ。文章表現とストーリー構成が巧みで恐ろしく、途中から抜け出せなくなる。 「食書」「耳もぐり」はとても印象深く。食べてみようかな。耳に指を入れてみようかな。とか、考えながら怖くなった。 ホラーゲームをしている感じにも...続きを読む思えて、「柔らかいところへ帰る」と「髪禍」はサイレントヒルを連想させた。 「農場」は想像するとすごい世界。
伊藤潤二をもっとダークにしたような短編集。 耳もぐりに関しては傑作と言っていいくらい衝撃的だった。 それよりあとは正直飽きがくる。 食書ももう少し長く読みたかった。
なんだか怖いというよりは、不思議な話という感じです。小説ならではの表現も面白く感じました。 「食書」の、小説の文章は鉄格子であり物語と現実世界とを隔てる境界線であって、その向こう側に行くための方法が求められているという話には妙な説得力がありました。
短編の3作まで読んでいたところ、 異世界の物語すぎて、私の能力では読み進めることができなくなってしまい、 残念ながらギブアップ・・・です。 頭悪〜・・・・・
江戸川乱歩的なヤバい話から残月記を思わせる物語までが揃う短編集。表現力が凄まじく、話によっては容赦なく気持ち悪いです。食書に目覚めたとしても絶対に食べたくない1冊。
“禍”に巻き込まれるホラーでじっとりとしてくる怖さ。コロナ禍ですっかり馴染んだけれど禍って何なのかを考えちゃった……。お気に入りは、小説を食べることに取り憑かれた小説家の「食書」と、耳から人間に潜りこんで肉体を乗っとる「耳もぐり」。
見開きにビッチビチで文字が書いてあったり、ちょっと独特な言い回しがあったりで最初は読みきれるか不安でした。 でも文字がびっちびちな分、丁寧にゆっくり読めること、独特な言い回しもリズムとかその言い回しの波に乗れちゃえばどうにかなりました。 奇抜なアイデア、発想の短編集ばかりで面白かったです。
いや〜怖かった〜〜 あまりに怖くて全然進まず… 今まで色んなホラーを読んできたけど、断トツで気持ち悪くておぞましい 自分が怖いと思うホラーがこの本を読んでようやく分かった 『耳もぐり』『農場』『髪禍』が特に怖かった!! 文体がじっとりとしていて密度が高いので、読むと頭に恐怖が広がる感じ 背筋をぞわぞ...続きを読むわさせながら読みました〜 『喪色記』だけはホラーというよりファンタジー要素が強くて本の中のささやかな癒しだった… 濃密な悪夢を探してる方にオススメです!!
面白かったー。 グロテスクで幻想的な短編集。 不気味さにキリキリするが、目が離せない。 言葉の使い方、文章が独特で世界観に引き込まれる。良き。
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