【感想・ネタバレ】禍のレビュー

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Posted by ブクログ

なんという発想力か!
小説だから出来る怪しくも不思議で意味不明な話ながら、予想もできない展開が魅力的でグイグイ引っ張って行かされる。

残月記を読んだ際にあまり好みの作風でなかったので、小田氏の著作は避けていたのだが拙速な評価を反省している。
七篇からなる異世界を思わせる話の数々は、著者のイメージする世界観の広さに打ちのめされる。
食書、耳もぐり、喪色記、農場、髪禍が、特に好みの作品だった。
小説だからこそ別世界に誘ってくれる醍醐味を、この一冊で大変満足させてもらった。

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2024年04月28日

Posted by ブクログ

めっちゃ怖かったらどうしようかとビビってたんですが、怖さよりも面白さが上回りました。どの話も普通では終わらない、突き抜けてる感じがしました。とてもおもしろかったです。

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2024年03月27日

Posted by ブクログ

「残月記」でSF愛好家を魅了し、その年の人気と賞を総なめにした小田雅久仁の短編集であるが故、多くのSFファンは期待したものの、なかなか評価は上がってこない。その点の解析も含めた形で感想を述べていきたい。

「残月記」で私の心をしっかりと掴み取った小田雅久仁の作品。昨年7月に発売され、しっかりと寝かせて満を持して読み始めた。いずれの作品も読み始めとは全く異なる予想もしない世界観が広がり、結末に向けて膨大なクレッシェンドが展開される。とにかく読み始め時点の日常と結末の非日常が甘利にも違い過ぎる、気がついた時には異世界に既に入り込んでいる、その変曲点がステルス過ぎる。ただ、その変曲点の場所は作品によって異なり、それが恐怖の単調性を抑止している。変曲点の見え方もはっきりしているものもあれば、霞がかかっているものもある。だから、どの作品も飽きることなく楽しめる作りになっている。

いずれも典型的なディストピア小説であり、その種類と度合いが作品によって大きく異なるのも秀逸さの一端を担っている。予想もつかない小田ワールドは万華鏡の様に多様に変化し、どの作品も最後は強大なハリケーンとなり、私共を一気に吸引・破壊してしまった。最初の「食書」はまだまだ序の口。次の「耳もぐり」では生理的な嫌悪感が精神的限界点寸前までに私を誘ってくれた。「喪色記」はややファンタジー系で何とか一息つけた。広大な砂漠の中にポツンと存在するオアシス的な存在で、もしこれが無かったら私は精神的に破綻してこの本を読み終えていたかもしれない。そして来ました「柔らかなところに帰る」。「喪色記」で安心させておいて、これで一気にレッドゾーンに突入してしまった。この内容は後で詳細に述べる。一旦精神が崩壊してしまった世界で、坦々と流れている異世界「農場」。何なんだろう、今まで触れたことがない空間、ここでの主人公が気が狂っていないかの如く記述されているのが不思議、農場に来るまでに外科手術をしておかないと生きていけない、発狂するだろう。結果的には人間に戻れたのが救いだ。「髪禍」は協会問題に揺れる現在の社会を先取りして投影している。これが一番映像化しやすいかもしれない。ここで一旦、現実に引き戻され、ようやく正気になった。そして最後に「裸婦と裸夫」。ゾンビ映画とディープインパクトが合体した結果、パラダイスが訪れるという最後に全体をどんでん返ししてみせる素晴らしい構成力に脱帽した。

さて、今回も賞のラッシュかと思わせる作品集に仕上がっているが、残念ながら一つだけ懸念点がある。それが「柔らかなところに帰る」だ。見かたを変えれば限りなく筒井康隆的なテイストを呈している。もしこの作品を書いたのが筒井康隆だったら、ああ、彼ならしょうがないよねとなるが、他の作家ではそうはいくまい。私ですらこの作品には違和感を感じるし、もし読者が女性だったらなおさら不快感を持つ方がかなり多いと推察される。そう、セクハラとも捉えかねないのだ。この様な作品が一つでもあれば本全体の評価が下がりかねない。そのため、ベストSF2023国内篇で6位に留まったのかもしれない(2022年の残月記は3位)。住みにくい世の中になってしまったものだ。

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2024年02月20日

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絶妙な不気味さをたたえた短編集
それぞれ別のテイストになっているところがすごい
髪の神が一番記憶に残ったが、全部の話がちゃんと気味が悪く、海外の配信ドラマになりそう

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2024年01月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

禍々しいの禍と書いて「わざわい」と読むのだそうだが、まさにそういったタイプの短編ばかり、こじらせた夢野久作、江戸川乱歩、無限紳士怪奇篇って感じ。

大っ嫌いなタイプの気色悪い性癖系ホラー短編集。なのにムッサおもろかった。グロテスクなことを書いているのに倒錯していく展開に納得している自分、実はそこが一番怖いのかも。

個人的には太った女の人に惹かれていく話が一番好き(これ普通にポルノ映画にできると思う。Xビデオとかでかなり人気の動画になるはず)だが、それ以外のどの作品にも捨て作品なし。全て平等に堂々と力強く倒錯しています。

正しい異常性癖とはこういう世界を指すのだと…知らんけど、ほんまはまってもうても知らんけど。

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2023年12月30日

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不思議な短編集。最初の「食書」「耳もぐり」は日常に潜む個人的な特異現象。日常と歪んだ出来事の対比が面白恐ろしくて最高だった。「喪色記」から世界自体が歪んでくる。設定が大きすぎるとSF色が強くなり、あまり好みではなかった。

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2024年05月10日

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ゾッとしたりひゃーっとしたり、ふふっとしたりと1冊でいろんな気分になった。
ちょっと言葉が正確で、読みにくいと感じたけど、きっとその単語がしっくりくる表現なんだろう。
もし、この本食べちゃったらどうなるかな。

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2024年04月26日

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不条理で荒唐無稽な設定なのだがグイグイと引き込まれました。
もしかしたら、世界のどこかでこんなことが起こらないとも限らないなーと思わせる説得力は、小田さんの卓抜した文章力によるものでしょう。兎に角、描写力が凄まじくて、匂いや音、触感まで伝わってくるようなゾクゾクする読み心地でした。ホラーというかSFというか、どこにカテゴライズされるのか分かりませんが、もっと読みたいと思う短編集でした。

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2024年04月21日

Posted by ブクログ

ある日突然、禍はやってくる。
全7篇が収録された本書。
ホラーでもあり、SFでもあり、でもホラーというよりかは奇譚と呼びたくなる7篇だった。
文章は少し硬めで、だからこそ物語が際立っていた。
最初の食書でおっ、と思い、柔らかなるところへ帰るでユングを思い浮かべた。
この話は特に奇譚なんだけど、聖書のようでもある。
重厚感があって面白かった。

以下備忘録がてら目次をば。
食書
耳もぐり
喪色記
柔らかなところへ帰る
農場
髪禍
裸婦と裸夫

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2024年03月08日

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豊富な語彙にひねりも効いた絶妙の比喩、音感とリズムの良い文体に唸らされながらも、それらが作り出す架空のリアリティに引き込まれて夢中で読んでしまう。
各編の読後にはどっと疲れてしばし呆然となるほど面白い。
短編集だが一話毎の重みがすごくて続けては読めず一日一話のペースで読みました。
いやー面白かったー

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2024年01月13日

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どの短編も絶妙に気持ち悪いんだけど物語に引き込まれて読み進めてしまう。
しかし短編だと少し物足りない。『残月記』のような中編が個人的にはちょうど良い。

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2023年12月28日

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7編の短編集。
漢字が多くて硬い文章。ジャンルとしてはホラーになるのでしょうか。苦手なジャンルなのですが、ゆっくり読むと情景が手に取るようにわかり、怖い世界を存分に楽みながら半日で読み切りました。

最終話『裸婦と裸夫』のばかばかしさが、とっても好きです。
電車に乗っていると、いきなり裸にネクタイ姿の男が次々と乗客にタッチした。その男にさわられた人は服を脱ぎたくなり、目の前にいた好みの女の子も服を脱ぎだして…
ゾンビパニックもの風なのに明るいのと、好みの女の子に対する主人公の願望が正直すぎて、笑えます。

幽霊あり、純愛のパラレルワールドあり、不思議な宗教あり、襲い来る人々あり。それぞれが違うタイプの怖さです。作者の想像力の幅広さに驚かされます。
映像化してくれないかなぁ、と、ずっと「世にも奇妙な~」の音楽が頭の中でタッタラタッタ・タッタッタッタと自動再生しっぱなしでした。

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2023年12月21日

Posted by ブクログ

『禍』
わざわい
…………
ずっと「まが」って読んでた!笑

わざわい【不吉な様子。人に不幸をもたらす物事】
禍々しい【不快であること】

7つの短編は 『禍』をドロッドロに煮詰めたような作品ばかりでした。

✎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『食書』
「読書」が本をよむことならば、「食書」はまさに本を食べる行為のこと。 ある日、ふと立ち寄った本屋の多目的トイレで「本を食う女」に遭遇した小説家の男の話。 女はすれ違いざま《一枚食べたら、もう引きかえせないからね》と言い捨て立ち去った。この言葉が頭から離れなくなった男はやがて一冊の本を手に取り…。 小説家の精神がだんだんと壊れていく様が狂気を通り越してコミカルに感じて声を出して笑ってしまった笑。でも ここからあっという間に気味の悪い世界に引きずり込まれ 最後はホラー。背後の関本夏美、恐ろしすぎる…。

『耳もぐり』
数ヶ月前から 行方がわからなくなった恋人を探す中原は、彼女の住んでいるアパートの隣人に話を聞こうと部屋を訪れる。 隣に住む年老いた男は静かに語り始める。《人間の手が長いあいだ隠し持ってきた能力”耳もぐり”》について。 他人の耳からその人の身体に入り込む そう それが”耳もぐり”!
………え?笑 読んでる間、最後まで身体と脳みそがゾワゾワする笑

『喪色記』
度々 「世界から色彩がどんどん失われる」という同じ夢を見る青年。ある日 自分の目から女性が生まれる(!?)。女性は いつもの夢の中に出てくる少女マナが大人になった姿だった。 この話も終始 不思議な世界観だけれど好きだった。世界の、人生の終焉がこんな風に迎えられたら。純愛の物語かなと思う。

『柔らかなところへ帰る』
めちゃくちゃ意味わからんかった笑
帰宅時のバスで隣に座った太った女性から痴漢行為をされた男性の話。最後はハチャメチャな世界へと連れていかれる笑
え?性癖? 男の人は性行為の時、母親の胎内に戻る感覚あるってこと? それとも肉に溺れたい願望??

『農場』
これは想像すればするほどに気持ち悪い。ホームレス寸前の男性が、ある農場で「あるもの」を育てる仕事に就く話。 だめだ、気持ち悪いしか出てこない笑

『髪禍』
『農場』の女性バージョンのような話だった。やはり職を失った女性が 怪しい宗教団体のサクラの仕事を引き受けたことによる恐怖体験の話。 髪の毛って頭皮から抜け落ちると気持ち悪いものに見えるわたし。余計に吐き気が…。

『裸婦と裸夫』
問題作!!笑
電車内に一人の全裸男(ネクタイのみ着用)が現れたことから始まるヌーデミック現象!え?ヌーデミックとは?”ヌード”と”パンデミック”が合わさって出来た造語ですよ!笑 全裸男に触られた人々がどんどん全裸になっていく。「感染」は世界中で広がっていき...。 もう変態もここまで突き抜けてると笑える。しかし 突然つきつけられた世界の終わりに わたしの心は放心状態…笑。

✎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
星2をつけ 人にはお勧めしないと言っていたyukimisakeさん。ユキ...わたしは星4を付けるよ笑
「残月記」も、本同士が子作りをする「本にだって雄と雌があります」も気になってきた。

ちなみに わたしが食書をするならsumika片岡くんのエッセイを食べて 片岡くんの青春の1ページになりたい。

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2023年12月04日

Posted by ブクログ

ホラー短編集ではあるものの、結構話によってテイストが違うなーと。面白い面白くないではなく、好みによってかなりわかれそうですが、逆に言うと何かしら気に入るお話があるんじゃないかな?とも思う。

個人的には「喪色記」とか「裸婦と裸夫」「農場」あたりが好きですね。ホラーっちゃホラーなのかもしれないけど幻想的ですらある・・ような気もする。恒川光太郎さんの作風みたいだなーと。
「食書」「柔らかなところ‥」あたりは逆にあまり好きじゃなかった。何とも言えない気持ちの悪さが・・・

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2024年05月09日

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確かに。禍々しい話だった。
ジャンル分けできない独特の世界観というか。
途中で読むのをやめようかと思ったのに、最後まで読んでしまった。すぐに再読しないが、ふと思い出しそうな作品。

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2024年04月19日

Posted by ブクログ

夢見が悪くなりそうな本で引き込まれた
体の部位に関する奇妙な短編集
でも読み進めるうちに狂気がやや不足してる気がした 世界観は面白かった
最初の本を食べる話が1番好き

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2024年04月18日

Posted by ブクログ

なんだろう。この「なんかちゃうねん」感。
残月記よりは読みやすかった。ホラーもSFも気持ち悪い話しも大好きだし、世界観も素晴らしいし、面白く読めたのだが、なぜか没入しきれない。文体が硬いせいなのかなと思ったが、違う気もする。粗筋を読んでいる時が一番興奮した。
読みづらかったのは「喪色記」
太った女の人の話とヌーデミックの話は読みやすく笑ってしまった。言葉の使い方が絶妙なので、一度この方の書くコミカルな話しも読んでみたい。

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2024年03月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ


YouTubeで紹介されていたので興味を持ち読んでみました。表紙にぞっとしていましたが、身体にまつわる不思議なお話という印象でした。

印象的だったのは、『柔らかなところへ帰る』でした。ちょっとしたきっかけで人の思考は変わってしまうのではないかと思わせる文章で身体の表現も柔らかで文章が上手だとこういった表現になるのかと驚きでした。

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2024年03月22日

Posted by ブクログ

これを禍というのだろうか?
ともかく禍々しい話がまとめられた短編集。

奇想天外な、身体にまつわる話が綴られている。
どの短編も、一様に禍々しく、私には積極的に読みたい話ではなかった。
しかし、この禍々しさは少しく癖になりそう。

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2024年03月13日

Posted by ブクログ

知り合いが購入しており読んでみた。
ホラーというよりもダークファンタジーという感じ。
短篇集であり、どの話も発想はおもしろかったが、なぜか他の本よりも時間がかかったし読みづらいような気もした(感覚的に)。
「耳書」が個人的に好きだった。

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2024年03月05日

Posted by ブクログ

どの短編もグイグイ引き込まれるが、特殊な設定とグロい表現で賛否分かれるだろうな。体の一部がモチーフで、普段の生活のすぐそばにあるかもしれない怖い世界、時の流れを表している短編もあり、怖さを助長している。この想像力と描写は、またこの作者を読みたくなる気持ちにさせる。

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

日常の一歩先にあるかもしれない世界のお話。
物語の世界にのめり込むと、食事や睡眠より読書を優先して、日常が逆転してしまいそうになることがあるが、その最終形態がこの「食書」ではないだろうか。
駅のホームで、電車内で、時には歩きながら、食事しながら、食い入るように本を読む私は、他人から見ればこんな風に見えているのかもしれないと、我が身を振り返った。
ちょうど「髪禍」を読んでいるときに、駅の階段で黒い毛皮のコートを着た長髪の女性が前を歩いており、心底ゾッとした。怖い怖い。

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2024年02月24日

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寡作作家と思っていたけど、まさかの立て続け⁉って驚いたんだけど、たまに書かれてきた短編をある程度まとめたものでした。なるほど。書店で並び出した頃にも気になったけど、年末ランキングでちょくちょく見かけ、やっぱり読んどかないとってことで。何とも言えない居心地の悪い世界観の創造が見事で、どれも読み応えあり。心に残ったのは、食書、耳入り、喪色、といったあたり。

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2024年01月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すごい本だった。正直どの話も気持ち悪いし好きではない(むしろ嫌い)なのだけど,読み終えてみるとそこまで嫌ではなく。何より,こんな変態なことを考えていますと世に表明できることがすごいと思う。

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2024年01月30日

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本を食べるとか、耳から人の中に入るとか、不条理なイベントを描く短編集。イベントを紹介するところまでは面白いが、その後の展開は、あまりなくて、昔のホラー短編マンガと同じような読後感

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2024年01月22日

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ネタバレ

変わった話の短編集。体の一部をテーマにした話。
どの話も読み出すと面白いが読み、慣れるまで時間がかかった。

・食書 ★★★★
この話が気になってこの本を読むことに決めた。
本のページを食べるとその本の世界に行ける話。
ちょっと楽しそうで、どんな本の世界に行きたいかなーと思いながら読んだ。


・耳もぐり ★★★
耳にもぐる人の話。
なんだかユニークな話が続く。
耳もぐりも楽しそうで、私もやりたいと思った。


・喪色記 ★★★
社畜の話かと思ったらファンタジー?みたいな話だった。
目から女の人が出てくるところから楽しくなった。
それ以前はなんか読みにくかった。


・柔らかなところへ帰る ★★★
欲望に溺れる男の話って感じだった。
この男は最後いったいどーなったんやろ?!


・農場 ★★★★
SFのような変わった話だった。元は輝生が農場から逃げ出すのではないかと思ったが、そんな事はなく死ぬまでそこで暮らしていた。
ハナバエが何か気になるし、どーなるか気になって面白かった。


・髪禍 ★★★
ホラーのような話やった。
カルト教団の式に参加してそこで化け物のような神のお化け的なものに襲われると言う話。
髪の毛を食べたり、髪の毛で作った服を着たりとかなりキモかった。


・裸婦と裸夫 ★★★
世紀末的な話だった。最初はなんだか面白くて、すらすら読めたが最後は世界が終わって、新しい世界になるっていうのがなんだかいまいちだった。

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2024年01月22日

Posted by ブクログ

果てしない悪夢の連続。想像すらしない形でひたすらに悪夢が描かれる短編集。その世界観の構築は凄まじく、仮にそんなことを発想したとしても、ここまで細かなディテールでその世界を表現できますか?というほどの、世界観。とりもなおさずそれは言葉の力であり、豊穣な言葉の密度がこの本の最大の魅力だと思う。そして、というか、ただし、というか、日常の世界観を破り尽くすかのような展開にはただただ呆気にとられるしかない。話をうまくまとめようとか、オチをつけようとかいう発想がそもそもないとしか思えない。感心しながらも楽しみ切れないのは残念。
言葉による世界構築は堪能できるが、ストーリーにはがっかりしてしまうことが多かった。

しかしこんな話を発想するのだから、小説家というのは恐ろしいものだな。

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2024年01月05日

Posted by ブクログ

7つの短編集。
どれも想像の上をいく不気味さで面白かった。
「食書」「耳もぐり」が特に良い。
他に「喪色記」「柔らかなところへ帰る」「農場」「髪禍」「裸婦と裸夫」

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2024年01月03日

Posted by ブクログ

ミステリーかと思って手に取ったが…
一言で言うと、なんじゃこりゃ?

口、耳、目、女体、鼻、髪、裸体
ヒトの体にまつわる世にも奇妙な物語7編。
ジャンルで言えばSFパニックホラーか。
よくもまあこんなこと思いつくよなあという破天荒な世界観にただただ圧倒される。ホラーなのかもしれないが、設定がぶっ飛び過ぎててあんまり怖くない。ゾワゾワはするけれど。
個人的には「裸夫と裸婦」のはちゃめちゃな世界観が好き。ヌーデミックって…(笑)
理解に苦しむプロットだし、モヤモヤが残る結末ばかりだけれども、著者の想像力の豊かさと突き抜けた独創性には一票を投じたい。

週刊文春ミステリーベスト10 20位
ミステリが読みたい! 14位

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2023年12月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「食書」★★★
「耳もぐり」★★★★
「喪色記」★★
「柔らかなところへ帰る」★★★★
「農場」★★★
「髪禍」★★★
「裸婦と裸夫」★★★

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2023年12月19日

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