新潮社作品一覧

非表示の作品があります

  • 警官の条件
    4.1
    警部に昇任し、組織犯罪対策部第一課の係長に抜擢された、安城和也。彼は自らのチームを指揮し、覚醒剤の新たな流通ルートを解明しようと奮闘していたが、過程で重大な失策を犯してしまう。重苦しいムードに包まれる警視庁に、あの男が帰ってきた。かつて、“悪徳警官”として石もて追われたはずの、加賀谷仁が! 警察小説の頂点に燦然と輝く『警官の血』──白熱と慟哭の、第二章。
  • 警官の血(上)(新潮文庫)
    3.9
    1~2巻825円 (税込)
    昭和二十三年、警察官として歩みはじめた安城清二は、やがて谷中の天王寺駐在所に配属される。人情味溢れる駐在だった。だが五重の塔が火災に遭った夜、謎の死を遂げる。その長男・安城民雄も父の跡を追うように警察学校へ。だが卒業後、その血を見込まれ、過酷な任務を与えられる。大学生として新左翼運動に潜りこめ、というのだ。三代の警官の魂を描く、空前絶後の大河ミステリ。
  • 掲載禁止(新潮文庫)
    3.6
    人の死を見るツアーに参加したジャーナリストが目にした異様な光景(「原罪 SHOW」)、マンションの天井裏に潜む歪んだ愛(「マンションサイコ」)。恋愛していたら決して読んではいけない戦慄作「斯くして、完全犯罪は遂行された」の他、不気味な読み味の「杜の囚人」と、どんでん返しに言葉を失う表題作「掲載禁止」。繰り出される謎と仕掛けに、一行たりとも目を離せない衝撃の作品集!
  • 警察官白書(新潮新書)
    4.0
    警察ほど奥深い組織はない。警察官は、人のどこを見ているのか? 勤務時間や給料は? 階級や人事は? 結婚や家庭生活は? 刑事になる条件は? 職務質問や逮捕の要件とは? 情報処理や書類仕事の方法とは? 人間関係を円滑にする秘策は? 彼らにとっての「正義」とは? 警察キャリア出身の作家が、交番、生安、刑事、交通、警備などを専門分野別に徹底プロファイル。全国26万警察官の生身の姿をリアルに描き出す。
  • 警察手帳
    3.8
    警察ほどおもしろい組織はない――三〇万人もの警察職員はどのような仕事をしているのか? 刑事とはどんな人か? 警察手帳の中身は? ドラマとの違いは何? そもそも警察官になるには? 待遇や昇進の条件は? 警察庁とは何か? キャリアとノンキャリアの関係は? 警察キャリア出身の作家だからこそここまで書けた、徹底的にリアルな巨大組織の掟と人間学。
  • 計算する生命(新潮文庫)
    3.0
    「計算」は私たちの生活のそこかしこに現れる。では、指やペンを使う足し算や筆算と、膨大な電力を消費する巨大コンピュータによる計算は、何が異なるのだろうか。機械が人間の能力を遥かに超越し、日夜無言で計算し続けるいま、私たちには一体何が残されるのだろうか――。気鋭の独立研究者が数学史を遡り、いつしか生命の根源まで辿り着いた果てに提示する新たな地平。河合隼雄学芸賞受賞作。(解説・下西風澄)
  • 経済学者、待機児童ゼロに挑む
    4.2
    1巻1,650円 (税込)
    全国で20万人ともみられる社会問題には、あなたの知らない根本原因があった。官に甘く民に厳しい許認可、税金漬けの公立保育所、財政難から保育士に寿退社を促す私立保育所、そして「保育の質を守れ」にひそむ大ウソ――。保育歴16年、東京で対策の陣頭に立つ異端の学者が、待機児童ゼロを阻む「真犯人」を炙り出す改革戦記。
  • 経済学者たちの日米開戦―秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く―(新潮選書)
    4.2
    有沢広巳ら一流経済学者を擁する陸軍の頭脳集団「秋丸機関」が、日米の経済抗戦力の巨大な格差を分析した報告書を作成していたにもかかわらず、なぜ対米開戦を防げなかったのか。「正確な情報」が「無謀な意思決定」につながっていく歴史の逆説を、焼却されたはずの秘密報告書から克明に解き明かす。瞠目の開戦秘史。
  • 経済成長主義への訣別(新潮選書)
    3.8
    私たちは実に大きな「誤解」をしている。経済成長が人々を幸福にする――という思い込みだ。すでに到達してしまった豊かな社会でこれ以上の成長至上主義を続ければ、人々の「ふつうの生活」は破壊され続けるだけなのだ。日本を代表する社会思想家が、「人間にとって経済とは何か」を根本からとらえ直した圧倒的論考。
  • リオ―警視庁強行犯係・樋口顕―
    3.5
    1~3巻693~869円 (税込)
    「彼女が容疑者だとは、思えない」警視庁捜査一課強行犯第三係を率いる樋口警部補は、荻窪で起きた殺人事件を追っていた。デートクラブオーナーが殺害され、現場から逃げ去る美少女が目撃される。第二、第三の殺人が都内で起こり、そこにも彼女の姿が。捜査本部は、少女=リオが犯人であろうという説に傾く。しかし、樋口の刑事の直感は、“否”と告げた。名手が描く本格警察小説。
  • 刑事弁護人
    4.0
    1巻2,145円 (税込)
    現役女刑事による残忍な殺人事件が発生。弁護士・持月凜子は同じ事務所の西と弁護にあたるが、加害者に虚偽の供述をされた挙げ句、弁護士解任を通告されてしまう。事件の背後に潜むのは、幼児への性的虐待、残忍な誘拐殺人事件、そして息子を亡くした母親の復讐心? 気鋭のミステリ作家が挑んだ現代版「罪と罰」。
  • 継体天皇―分断された王朝―(新潮文庫)
    4.0
    謎に包まれた大王・継体天皇。応神天皇の五世の孫(五世代目の孫)とした日本書紀は真実を語っているのか。ヤマトから遠く離れた越(福井県)から継体が連れて来られたのは何故なのか。二十年間、ヤマトに入らずに淀川周辺を彷徨っていた理由は。そして、本当に王朝交替はあったのか? 大胆な考証で古代史最大の謎・継体天皇の正体を明らかにし、分断された王朝の謎に迫る刺激的書下ろし論考。
  • 経団連―落日の財界総本山―
    3.7
    財界総理──。経団連会長がそう呼ばれていた時代があった。財界の意を体して政治と対峙した第2代会長・石坂泰三、政治献金の問題にスジ論で向き合った第4代会長・土光敏夫……。しかし今、そのポストに2代続けて「副会長OB」を起用せねばならぬほど、財界の人材は枯渇している。新興企業はそっぽを向き、中核の老舗企業群も余裕を失う中、「財界総本山」に明日はあるのか。一線の経済記者が肉薄する。
  • 軽薄(新潮文庫)
    4.2
    18歳の頃、カナは元恋人に刺されるも一命を取り留めた。29歳の今、仕事も夫と幼い息子との家庭も充実しているが、空虚な傷跡は残ったままだ。その頃、米国から姉一家が帰国しカナは甥の弘斗と再会。19歳になった彼に激しい愛情を寄せられ、一線を越えてしまう。カナに妄執する弘斗は危うげで、そしてある過去を隠していた――。二人を繋いでしまった、それぞれの罪と罰。喪失と再生の純愛小説。
  • けさくしゃ(新潮文庫)
    3.6
    1巻825円 (税込)
    腕っぷしは弱いが、見た目は役者と見紛うばかりのいい男。柳亭種彦は二百俵取りのお殿様で、暇を持て余す趣味人だ。その読み手を楽しませる才能を見込んだ版元の山青堂は、彼の戯作で一山当てようと目論む。渋々ながらも書き始めた種彦。すぐに戯作の虜になるが、世に出した作品がその身を危うくする……。実在した流行作家の若き姿と、本を愛おしむ仲間たちとの痛快な活躍を描く。(解説・新井見枝香)
  • 消されかけたファイル―昭和・平成裏面史の光芒Part2―
    3.0
    今も謀殺説が囁かれる、故中川一郎代議士が怯えていたソ連共産党協力者リストの中身とは。金大中拉致事件の主役にさせられた元自衛隊諜報部員をめぐる巧妙な罠とは。国松警察庁長官狙撃事件の犯人を捕えられぬ、捜査幹部の苦悩とは何か―封じ込められたファイルだけが、それらの真実を記録していた!極秘資料を駆使して重大事件の暗部に迫る大好評の裏面史ドラマ集、第2弾。
  • 化粧の素顔
    4.0
    もっと開いて。もっと受け入れて。もっと満たして――。理想の女性を求めて遍歴を重ねる河島文也。大胆で細やかな文也のアプローチとテクニックは相手を歓ばせるが、燃え上がった官能は、なぜかいつも途中から醒めてゆく。甘美な性愛のさなかに、身体と身体で交わされる男と女の駆け引きの行方をシニックに描く。もう一段、恋愛上手になるための秘密が詰まった六篇。大人の小説集。

    試し読み

    フォロー
  • 戯場國の怪人
    3.6
    1巻2,420円 (税込)
    桟敷席を予約し続ける謎の人物の噂が立つ江戸市村座。女形瀬川菊之丞、戯作者平賀源内、二代目市川團十郎、講談師深井志道軒、広島藩士稲生武太夫、大奥御年寄江島、さる公卿とその妹らを巻き込み、芝居小屋の地下で蠢く時を超えた怨讐、恋着、役者の業火等々、虚実のあわいを壮大に描き切る伝奇エンタメの極地!
  • 気仙沼ニッティング物語―いいものを編む会社―
    4.4
    1巻1,232円 (税込)
    被災地への最大の貢献は仕事を生み出し、生活の循環を取り戻すこと。マッキンゼーを経てブータンの公務員、そして今度は気仙沼へ。傷跡がまだ残る現地に単身入った著者が、下宿しながら起業した会社は、初年度から黒字となり、市に納税を果たすまでに。編み物で「世界のKESENNUMA」を目指し、毎日てんやわんや奮闘中!
  • 結婚
    4.0
    芥川賞受賞作『忍ぶ川』以降の6つの作品集から選ばれた9編と、早稲田大学仏文科在学中に24歳で執筆し第二回新潮同人雑誌賞を受賞した「十五歳の周囲」を収録。
  • 結婚詐欺師(上)
    3.8
    1~2巻539~605円 (税込)
    橋口雄一郎は40代のプロの結婚詐欺師。カツラ・洋服・職業・車を使い分けて変身、女性の心理を逆手に取る巧みな話術で誘惑し、金をだまし取っていた。東京・小滝橋署の刑事、阿久津は偶然かかわった結婚詐欺の被害届から、プロの匂いを感じ取り捜査を始めた。やがて松川学という前科者が浮上、身元の確認に追われる。一方、橋口はゴルフ練習場で見つけた女性に次の狙いを定めた――。
  • 結婚式
    -
    1巻440円 (税込)
    〈男はわたしをもてあましながら少しずつ手放そうとしている……。こっちから別れてもいいのだ〉恋人を捨てる「マリコの選択」。結婚式の前日ひとりヨットに乗り込み結婚を拒絶した男や、花嫁の過去を知りぬいて披露宴で道化を演じる若い夫の心理を描く「結婚式」。ほか、「投げられた指輪」「スペインから」「クール経由サンモリッツ行き」「パティオの月」「オー・イエス・イエス」の、“結婚”の前後にいる男と女の愛と欲望のくい違いを軽妙に描く短編7編。
  • 結婚します
    -
    1巻770円 (税込)
    初めての見合いの席で「わたくし、お見合いなんかする男の人って、嫌いなんです」と、相手の百合子に決めつけられた浩太郎は、敢然と“輝かしい見合い結婚”を決意する。“縁談の修羅場”に立ち向う浩太郎がめぐり合う、さまざまなエピソードを通して、現代の若者の女性観・結婚観・家庭観などなどを、新鮮痛快に描き出す――。明るく、爽やかなユーモアが全編に息づく青春小説。
  • 結婚しません
    -
    1巻440円 (税込)
    由利子は31歳、黄色い雨傘のよく似合う美しい独身女性である。年頃になってからは、縁談も多かった、恋人もいた。なぜ結婚しないのだろうと誰でも思う。が、彼女にはある決意と理由があった……(第6話「黄色い雨傘」)。聡明で魅力的でありながら、結婚しない人生をさりげなく選んだ女性たち。その内面のドラマと生き方を明るく描いて、若い女性の共感を誘うユニークな12の物語。「赤い大橋」「朝の寝台」「菜の花峠」「紫におう」「葉桜の周囲」「屋上の煙草」「炎の重量」など。
  • 結婚のためなら死んでもいい(新潮文庫)
    3.8
    1巻737円 (税込)
    わたしはね、55歳になったあんた自身、そして今でも独身だよ――。彼氏なし、売れない小説家の「わたし」は、勤め先のエレベーターの片隅に佇む女からそう告げられる。気迫に満ちた未来の自分に促され、死に物狂いの婚活を開始するが。自分語りが大好きな皮膚科医、24歳のかわいいDJ、趣味は合うほぼ童貞のSE……。〈運命の人〉は実在するのか。過激で赤裸々で切ない10年を描く実録小説。『婚活1000本ノック』を全面改稿の上、改題。併せてお読みください。(解説・清田隆之)
  • 結婚奉行(新潮文庫)
    -
    六尺超の大男、桜井新十郎は泣く子も黙る火付盗賊改の同心……から「結婚奉行」配下となった。持参金目的の婚姻を取り締まり、幕臣意識を正すための老中肝煎りの新職制。とはいえ、剣はイケても、男女の機微には不調法。賢妻きくと盟友高山の助けを借りて武家の婚活を支える。とある仇討ち絡みの一件で奉行所の不正を指摘した新十郎は、突如投獄されてしまうのだが……。『縁結び仕り候』改題。
  • 決算! 忠臣蔵(新潮文庫)
    3.6
    時は元禄、御家御取潰しは現代ならば会社倒産。松の大廊下の刃傷沙汰で、主君は切腹、藩は解散。「いくさや!」と赤穂牢人が意気込もうとも、先立つものはお金。退職金、御家再興の運動費に、墓代? 吉良家に討ち入るなら武器だって必要だし……家老の大石内蔵助は減りゆくばかりの予算をいかにやりくりし、主君の敵(かたき)を討ったのか? 一級史料をもとに生れた同名映画を監督自身が小説化!
  • 決定版カーネギー 話す力―自分の言葉を引き出す方法―
    3.8
    世界的ベストセラー『人を動かす』、『道は開ける』の著者が明かす、人前で話すための秘訣。どうすれば緊張せずに話せるのか。どうすれば正確にメッセージを伝えられるのか。テーマの見つけ方から、アイデアの熟成のさせ方、説得力のある構成の作り方、本番での心構えなど、相手の心を動かすための具体的アドバイスが満載。
  • 決定版カーネギー 道は開ける―あらゆる悩みから自由になる方法―
    3.8
    「将来のことが心配で眠れない」「昨日の失敗で気が重い」――。なぜ私たちは心や身体が壊れるまで悩んでしまうのか。数千人の悩みと向き合ってきたカーネギーが綴る「不安、心配、悩み」の克服法。読めば前向きに、健やかに生きられる! 驚くほど読みやすい画期的かつ大胆な新訳と、本文デザインで甦る「本当のカーネギー」。
  • 決定版 大東亜戦争(上)(新潮新書)
    3.5
    満州事変から始まり敗戦で終わる足掛け15年の戦争は、従来、「先の大戦」「あの戦争」などと曖昧な呼称で論じられてきた。しかし、本書のために集結した歴史家たちは今回、敢えて「大東亜戦争」の表現を選んでいる。イデオロギーを抜きにすれば、この呼称こそが「あの戦争」の全貌を最も的確に伝えるからだ。二分冊の上巻では、開戦後の戦略、米英ソ中など「敵国」の動向、戦時下の国民生活の内実などに迫る。
  • 決定版 大東亜戦争(上下)合本版(新潮新書)
    -
    満州事変から始まり敗戦で終わる足掛け15年の戦争は、従来、「先の大戦」「あの戦争」などと曖昧な呼称で論じられてきた。しかし、本書のために集結した歴史家たちは今回、敢えて「大東亜戦争」の表現を選んでいる。イデオロギーを抜きにすれば、この呼称こそが「あの戦争」の全貌を最も的確に伝えるからだ。二分冊の上巻では、開戦後の戦略、米英ソ中など「敵国」の動向、戦時下の国民生活の内実などに迫る。 ※当電子版は新潮新書版『決定版 大東亜戦争』上下巻をまとめた合本版です。
  • 決定版 日中戦争(新潮新書)
    3.8
    日中戦争は近代日本の対外戦争の中で最も長く、全体の犠牲者の数は日米戦争を凌駕する。なぜ、開戦当初は誰も長期化するとは予想せず、「なんとなく」始まった戦争が、結果的に「ずるずると」日本を泥沼に引き込んでしまったのか。輪郭のはっきりしない「あの戦争」の全体像に、政治、外交、軍事、財政などさまざまな面から多角的に迫る。現代最高の歴史家たちが最新の知見に基づいて記す、日中戦争研究の決定版。
  • 決定版 妊娠レッスン―赤ちゃんが欲しいすべてのカップルへ―(新潮文庫)
    -
    「赤ちゃんは欲しいけれど不妊治療に踏み込めない」「不妊治療を受けているが妊娠しない」不妊に悩むすべての人に贈る“最も役に立つ妊活教本”。誤解や思い込みも多い「妊娠の仕組み」や「不妊治療」について正しく知り、心と体にやさしい、しなやかな妊娠力を身につけよう。口コミでロングセラーとなっていた名著を大幅アップデートした決定版。不妊の森で迷子にならないための必読の書。
  • 決定版 私の田中角栄日記
    4.1
    17歳の冬、著者は郷里の柏崎で田中角栄に出会う。やがて秘書になった彼女は、越山会など政治団体の統括責任者として三十余年にわたり、この「天才政治家」を支え続けた。行動的で人情厚く絶大な人気を誇った「庶民宰相」の栄光と挫折――。今なおその評価が論議される男の実像が、封印されていた日記から甦る。“女王”が書き遺した鎮魂の回想録。単行本に大幅な加筆を施した決定版。
  • 決闘者 宮本武蔵(上)
    5.0
    美作国宮本村の牢人の子に生まれ、父の敵平田無二斎に養育された弁之助は、激しい独習を積んで無二斎に勝ち、宮本武蔵と名乗って武者修行の旅に出る。僧・沢庵の草庵に草鞋を脱いだ青年武蔵は、扶桑第一と称される吉岡道場の当主吉岡清十郎に挑戦した。剣聖でもなく、野人でもなく、ただ剣において勝つことのみにその生涯を費やした兵法者、宮本武蔵。作者独自の視点から武蔵を造形する長編。
  • けっぱり先生
    -
    1巻880円 (税込)
    春三月、卒業式に「仰げば尊し」を歌わせない学校があった。新聞記者の宮川はその取材で一人の魅力的な教育者を見た。“けっぱり先生”こと猪股校長である。試験廃止、PTA解散など、教育ママの反対もなんのその、ねじまげられた教育のゆがみを正そうと情熱を燃やすガンバリ校長だ。傷つきやすく多感な青春群像を、厚い胸に抱きとめてのその奮戦を、爽やかに描く感動の学園小説。
  • 血圧と心臓が気になる人のための本(新潮新書)
    5.0
    日本人の2~3人に1人がかかる病気、心疾患。その専門医が最新の研究・臨床結果を踏まえて、高血圧、心不全、コレステロール値、脈拍の基礎知識から、検査数値の見方、薬の飲み方、遺伝や血液型まで、患者が抱きがちな22の疑問に丁寧に答える。どうすれば降圧薬をやめられるか? 歯や肩が痛くても心臓病の可能性がある? 肉を食べると長生きできる? 等々、この一冊で丸わかり!
  • 血族の王―松下幸之助とナショナルの世紀―(新潮文庫)
    3.4
    米相場で破産、没落した家名を再興すべく、松下幸之助は九歳で大阪へ丁稚奉公に出た。事業拡大への飽くなき執念は、妻と始めた家内工業を従業員38万人の一大家電王国へと成長させた。されど、好事魔多し。盟友だった義弟との訣別、GHQの圧力、後継者問題、スキャンダル……。激動の時代を背景に、数々の神話に彩られた「経営の神様」を、新資料と徹底取材で丸裸にした評伝決定版。
  • けものみち(上)
    3.8
    1~2巻693円 (税込)
    米倉涼子主演ドラマの原作。割烹旅館で働く31歳の成沢民子は、脳軟化症で回復の見込みのない夫・寛次に縛られた暮しを若さの空費と考えていた。彼女は赤坂のホテル支配人・小滝にそそのかされ夫を焼殺し、行方を絶つ。直感で民子を疑った刑事・久恒はその行方を追ううち、民子への欲望をつのらせ、政財界の黒幕・鬼頭の女になっていることを突き止める。人倫の道を踏み外したものがたどる〈けものみち〉とは。
  • 快楽
    -
    1巻1,210円 (税込)
    たとえ女と交わっても覚楽してはならぬ。覚楽なければ不犯なり――厳しい戒律のなかでうろたえ、摸索する青春の魂。教団活動と左翼運動の境界に身を置く“赤い坊さん”柳は教団及び革命団体の分裂抗争に巻きこまれる……。集団悪の諸相、人間の業の深さを見据えて、戦慄すべき予言と稀有の洞察にあふれる本書は、巨人武田泰淳がそのすべてを投入した畢生の大作である。
  • 螻蛄―シリーズ疫病神―
    4.1
    信者五百万人を擁する伝法宗慧教寺。その宗宝『懐海聖人絵伝』をめぐるスキャンダルに金の匂いを嗅ぎつけた、相性最悪の二人組、自称建設コンサルタントの二宮とイケイケ経済ヤクザの桑原。巨大宗派の蜜に群がる悪党どもは、腐敗刑事、新宿系極道、怪しい画廊の美人経営者。金満坊主から金を分捕るのは誰か。東京まで出張った最凶コンビの命運は? 人気シリーズ「疫病神」第2弾。
  • 検閲官―発見されたGHQ名簿―(新潮新書)
    4.0
    敗戦後の日本では、手紙、電話、雑誌、映画まであらゆる言論がGHQによって検閲された。その職を担ったのは、英語を解する日本人エリートたちだ。著者が発掘したGHQ名簿をはじめとした資料、時を経て口を開き始めた経験者たちの証言によって浮かび上がってきたのは、日本人検閲官たちの葛藤、待遇、そしてその経歴を隠し続けた意外な著名人の名――第一級史料をもとに、今日にも通じる問題を炙り出す戦後裏面史。
  • 剣客商売(一~十六、番外編) 合本版
    4.0
    勝ち残り生き残るたびに、人の恨みを背負わねばならぬ。それが剣客の宿命なのだ――剣術ひとすじに生きる白髪頭の粋な小男・秋山小兵衛と浅黒く巌のように逞しい息子・大治郎の名コンビが、剣に命を賭けて、江戸の悪事を叩き斬る――田沼意次の権勢はなやかなりし江戸中期を舞台に剣客父子の縦横の活躍を描く、吉川英治文学賞受賞の好評シリーズ。 ※当電子版は『剣客商売』(一)~(十六)と『剣客商売番外編 黒白』(上)(下)、『剣客商売番外編 ないしょ ないしょ』の全十九巻をまとめた合本版です。
  • 喧嘩の流儀 菅義偉、知られざる履歴書
    3.0
    1巻1,650円 (税込)
    「菅さんからけんかを売られた」「菅は虚像が大きくなりすぎている」。コロナ禍における官邸・自民党内での権力闘争、日本学術会議「任命拒否」の舞台裏から、日々の政治信条までを徹底取材。勝負どころの思考法、逆風下で漏らした本音など、本人、関係者の生々しい肉声を積み重ね、最高権力者の正体を浮き彫りにした決定版。
  • 健康の天才たち
    4.0
    腐らないコンドームを作った岡本巳之助、蛇口をひねれば安全な水が飲める日本を築いた遠山椿吉、計量カップで一流料理を家庭に普及させた香川綾、脂っこい西洋料理の汚れを簡単に洗い落とせる亀の子束子を発明した西尾正左衛門など……。明治維新以来、日本の近代化を支え、長寿大国の礎を築いたのは、西洋の新しい文化と日本古来の文化の狭間で、日本人の健康のために心血を注いだ六人の天才たちだった。

    試し読み

    フォロー
  • 検索禁止
    3.4
    決して調べてはいけない。見てはいけない。この世には知らない方がよいことがある。「くねくね」「カシマさん」「コトリバコ」など“検索厳禁”の凶兆の言葉、「エクソシスト」など恐怖譚に潜む戦慄の真相、古今東西の奇談に秘められた衝撃の事実、封印された風習や事件……遂にタブーの扉は開かれ、忌まわしい“恐怖”が今、明らかになる。『出版禁止』の人気作家が初めて書下ろした“史上最恐のホラー”が詰まった禁断の書。
  • 検事 霞夕子 夜更けの祝電
    -
    バツイチのOL・山口美幸は39回目の誕生日を迎えるその日、たった一人で孤独をかみしめながら過ごしていた。次の日、彼女は後頭部を鈍器で殴打されて、自分の部屋で死亡していた。部屋には色彩豊かな花瓶に5本の紅いバラと3本のクリーム色のバラが挿されていた。いったい誰が彼女を殺したのか。お多福顔でおっとり口調の検事、霞夕子が鋭く解決する「夜更けの祝電」をはじめ、「橋の下の凶器」「早朝の手紙」「知らなかった」の4篇を収録する人気シリーズ。

    試し読み

    フォロー
  • 賢者の戦略―生き残るためのインテリジェンス―
    4.2
    不可解に思える出来事も、巨大なうねりの表層にすぎない。深層はインテリジェンスという叡智により立ち現れるのだ。日本が生き残るための戦略とは? 我々は反知性主義にどう抗うべきか? 「イスラム国」の台頭、中ロの新・帝国主義路線、マレーシア機撃墜、ウクライナ併合、ガザ地区砲撃、集団的自衛権論争など、最新情勢のつぶさな分析から鮮やかに「解」が導き出されていく。最強の外交的知性が贈る現代人必読の書。
  • 建築家、走る
    4.3
    ブザンソン芸術文化センター、根津美術館、竹の家(中国)、アオーレ長岡(市庁舎)、la kagu ……いま世界中から依頼が殺到する建築家は、深く悩みながら疾走してきた。東京でのプロジェクト挫折、森舞台/登米町伝統芸能伝承館をはじめ地方での活躍、怒濤のコンペ参加など、その半生は紆余曲折の連続だった。「反・20世紀」的建築を創造する著者が自伝的に語り尽くしたユニークな書。
  • 剣と禅のこころ
    4.0
    人を殺す刀が人を活かす剣となる――。この「剣禅一如」の深い哲理は、現代人にとっても決して無縁ではない。むしろ、日々を生きるヒント、この日本を考えるヒントがそこには無数に隠されており、遺された数々の言葉は今も重く響く。剣は宮本武蔵や上泉伊勢守から山岡鉄舟まで、禅は道元から一休や良寛まで、それぞれの人と思想をたどりつつ、日本独自の死生観に迫る一冊。

    試し読み

    フォロー
  • 剣の天地(上)
    3.9
    時は戦国――のちに「剣聖」と仰がれる上泉伊勢守は関東制覇の要衝・上州は大胡の城主。上杉謙信・武田信玄・北条氏康の野望に巻き込まれ、戦場から戦場へ体を休める暇もない。その武勇を「上州の一本槍」と天下に轟かせるも、一介の剣士として剣の道に没入できる平穏な日々の訪れを秘かに願う伊勢守だった。折しも国盗り合戦は佳境を迎え、上州の勢力図にも大きな変化が……。

    試し読み

    フォロー
  • 剣は知っていた(一)
    -
    剣をとっては天下無双、美貌の眉殿喬之介の、憂愁をたたえながら、怨恨と名利を捨てて人間の真の幸福に生きようとする波乱の半生を、家康の娘鮎姫との清冽な恋をからませて描く。乱世を生きる剣客の凄絶な死闘と、戦国に輝く烈しく美しい人間性を描いた絶讃の時代小説の第一巻。
  • ケンブリッジ帰りの文士 吉田健一
    5.0
    明治期以来、わが国の文化の底流をなしてきた「文明開化」という名の悲喜劇を徹底した形で一身に背負い、「自分」であることを得るための孤高の文学修業を通じて、独自の意識・思考・記憶のリズムを豊かにはらんだ「言葉」を探り当てた一人の文士。その比類のない精神の「時間」を多角的に追体験する、批評によるオマージュ。
  • ケンブリッジ数学史探偵
    4.0
    斬新な日本史講義がハーバードで熱狂を呼んだ歴史学者が、ケンブリッジに移って選んだテーマは「17世紀の数学史」。近代国家が成立する以前、知識人たちは 国家の枠にとらわれず、自由に知識を交換しあっていた。著者は京都で花開いた和算を起点に、西洋、さらには中国の数学文化まで縦横無尽にたどっていく。「知の生成」の瞬間を追い求め、真にグローバルな時代に相応しい歴史の語り方を探った知的興奮の書。
  • 憲法改正とは何か―アメリカ改憲史から考える―
    3.8
    「憲法は〈国のかたち〉を表現している」「〈国のかたち〉は、改憲しても変わらないこともあれば、改憲しなくても変わってしまうこともある」―― 27回の改正を経てきたアメリカ合衆国憲法の歴史から、「立憲主義」の意外な奥深さが見えてくる。「憲法改正」「解釈改憲」をめぐる日本人の硬直した憲法観を解きほぐす快著。
  • 憲法学の病(新潮新書)
    4.0
    日本は憲法で戦争を放棄した世界唯一の国だ――。日本人の多くは漠然とそう信じているが、これは戦後の憲法学者たちが日本国憲法を捻じ曲げて解釈した「虚構」に過ぎない。憲法が制定された文脈と、国際法の常識に照らし合わせた時、本当は「国際主義的」な日本国憲法の真の姿が明らかとなる。東大法学部を頂点とする「ガラパゴス憲法学」の病理を、平和構築を専門とする国際政治学者が徹底解剖する。
  • 県民には買うものがある
    3.3
    1巻1,540円 (税込)
    滋賀の片田舎に住む私たちは、「JKでヤってない」ってだけでかなり取りこぼしてる。だから廃れたSNSで、ちょうどいい男を探すことに……。都民でも府民でも道民でもない、「県民」の心の底にある揺らぎを掬い取った「R-18文学賞」友近賞受賞作をはじめ、切実すぎるのになんだか残念、でも胸が熱くなる、デビュー短編集。
  • ケーキ王子の名推理(新潮文庫nex)
    3.8
    バカがつくほどケーキが大好きな女子高生・未羽(みう)。失恋のかなしみを癒すため訪れた自由が丘のケーキ屋で、パティシエ修行をしている学校一のイケメン王子、颯人(はやと)に遭遇。これは早くも新しい恋の予感? いやいや現実はケーキほどには甘くない。彼は噂に違わず超冷たい。が、夢への想いは超熱い。他人の恋やトラブルもお菓子の知識で鮮やか解決。ケーキを愛する二人の青春スペシャリテ。
  • 芸術論
    -
    「空想することと詩人」「小筺選びのモティーフ」「ミケランジェロのモーゼ」「『詩と真実』中の幼年時代の一記憶」「不気味なもの」「フモール(ユーモア)」「ドストエフスキーと父親殺し」の諸題より成る。精神分析学を文化領域にまで適用したフロイトが、作品を素材として芸術家の意図や感動や心的状況を分析した芸術論。
  • 芸人という生きもの
    4.0
    かくも傍迷惑で魅力的な人間がこの世にいる愉快。破天荒で見栄っ張りで小心で、しかし藝には拘り続けることへの讃嘆。談志、志ん朝、小さん、勝新、緒形拳、マルセ太郎から談春、昇太、可朝、市馬まで三十人の芸人に捧げる花束。四十年以上芸界を間近で見つめてきた著者が描く演芸人類学的「夢の寄席」!※単行本に掲載の写真の一部は、電子版には収録しておりません。
  • 芸能界誕生(新潮新書)
    4.0
    「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか――。占領期のジャズブームに熱狂して音楽を始めた若者たちは、伝説のステージ「日劇ウエスタン・カーニバル」へ。成功と挫折を経て、彼らは裏方に転身、それぞれがプロダクションを立ち上げ、芸能界を新しく作り変える。その歴史は、戦後日本の〝青春〟そのものだった。スター誕生の物語、テレビ局やレコード会社との攻防戦など、壮絶な舞台裏を明かすノンフィクション。
  • 外科室・天守物語(新潮文庫)
    4.0
    1巻649円 (税込)
    私はね、心に一つ秘密がある――。伯爵夫人手術時に起きた“事件”を描く『外科室』。眷族を伴として姫路城天守閣に棲む妖姫が、若き武士と出逢う『天守物語』。二つの代表作に加えて、故郷金沢を情感ゆたかに描く怪異譚『霰ふる』。三島由紀夫が絶賛した絶筆『縷紅新草』。そして『化鳥』『高桟敷』『二三羽――十二三羽』『絵本の春』を収める。アンソロジスト東雅夫が選び抜いた、鏡花文学の精髄八篇。(解説・東雅夫)
  • 激情次長―不正融資を食い止めろ―(新潮文庫)
    4.0
    1巻814円 (税込)
    大洋栄和銀行の上杉健は、問題があると思えば上司や官僚であろうと容赦しない広報部次長だ。横領、派閥抗争、大蔵省接待、インサイダー取引。数々の苦難を持ち前の正義感で乗り越えてきた上杉に、未曾有の金融不祥事が立ちはだかる! 隠蔽を図る経営幹部たち。腐敗が極限にまで達した銀行の膿を出し切ることはできるのか? 企業エンタテインメントの傑作。『さらば銀行の光』改題。
  • 激甚気象はなぜ起こる(新潮選書)
    5.0
    豪雪が交通を分断し、竜巻が車を吹き飛ばす。夏は熱帯のような酷暑となり、台風が迷走、河川が氾濫し家々を押し流す。日本列島はここ数年、「これまで経験したことのない災害」に見舞われている。気象庁が「命にかかわる非常事態」と表現する激甚気象はなぜ起こるのか? 気象学の第一人者が最新の研究結果をもとに解き明かす。 ※当電子版には、新潮選書に掲載の写真の一部は収録しておりません。ご了承ください。
  • 劇的再建―「非合理」な決断が会社を救う―
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    「地方」「下請け」「斜陽産業」から周囲も驚く起死回生を果たしたカギは社内にあった。西陣織の帯づくりで極めた銀の糸と織りの技術でウェアラブル市場に参入。鉄道車両を運ぶ大型物流業者から鉄道車両の輸出も手掛ける商社への変身。買い叩かれる工具卸業から国内最大級の通販業者へ――5人の社長が舞台裏を語り尽くす、挑戦のバイブル。
  • 下駄の上の卵 (新潮文庫)
    4.0
    昭和21年7月。憧れのまっ白な軟式野球ボールを手に入れるため、山形から闇米抱え密かに東京へと向かった国民学校六年生の野球狂の少年たち。その大冒険は、疲弊と混乱の極みに達した東京の街を舞台に、一進一退のシーソーゲームとなって展開していく。眼前に広がる敗戦の実像、しかし人々はなおしたたかに生きている。戦後とはいったい何だったのかを少年たちの視点から繙(ひもと)いた永遠の名作。(解説・井筒和幸)
  • 月間100万人利用アプリ! 頭痛ーるが贈る しんどい低気圧とのつきあいかた
    3.5
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 頭痛、だるい、体が痛い、気分が落ち込む……そんな不調に食事・ストレッチ・睡眠・環境からアプローチ! 日頃から取り入れるおすすめの食材は「豆」、湿度コントロールで体調管理、腹式呼吸で気圧の影響を予防など、心と体をいたわるコツをあなたの味方「頭痛ーる」が優しく手ほどき。一緒に辛い症状を解消しましょう。 ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
  • 月光蝶―NCIS特別捜査官―
    3.7
    1巻1,496円 (税込)
    米軍女性広報官の死体が基地内で発見された。同時に基地の外で大量の血痕も見つかり、米海軍犯罪捜査局(NCIS)が捜査を開始する。だが被害者が基地を出入りした痕跡はゼロ。いかにして基地を出て、殺されて戻ってきたのか? 全てのゲートと鉄壁の警備をすり抜けて、二つの死体が移動する! 前代未聞の本格ミステリー。
  • 月光の誘惑
    4.5
    自ら命を絶つため、高校生の浅倉美紀は灯台に向かう。だが先に、若い女性が崖の向こうへと消えてしまった。幼い子を残して……。15年後、美紀は成長した涼子と母娘として暮らしていた。しかし、涼子の修学旅行のバス事故を皮切りに、浅倉家に不穏な出来事が続く。美紀の父の病、母の隠し事、妹の悲恋。そして涼子のピアノの発表会で、ついに――。一気読み必至の疾風サスペンス!
  • 月桃夜(新潮文庫)
    4.3
    薩摩の支配下にあった奄美。孤児のフィエクサは、父を失った少女サネンと兄妹の契りを交わす。砂糖作りに従事する奴隷のような身分の二人だが、フィエクサは碁を習い才覚を発揮、サネンは美しい娘に成長する。しかしサネンが薩摩の役人から妾に所望され、過酷な運命が動き出す――。濃厚な花の匂いの中、無慈悲な神に裁かれる禁断の絆。魔術的な魅力に満ちたファンタジーノベル大賞受賞作。(解説・吉田伸子)
  • 月曜日の朝・金曜日の夜
    4.0
    1巻770円 (税込)
    中央線に乗って国立駅から東京駅まで通う。沿線に展開する四季折々の風景、車内にみる世相百態など、通勤電車の心とその表情を捉えた「月曜日の朝」。週末にホッと一息ついて行きつけの止り木でピーナツを噛み、寿司屋の床几でコハダをつまむ。わが街のやすらぎの風情を描く「金曜日の夜」。ひとつひとつの挿話に季節感が刻みこまれ、日常生活を再発見する新しい歳時記。
  • 下天を謀る(上)
    4.1
    「その日を死に番と心得るべし」との覚悟で幾多の合戦を生き抜いた藤堂高虎。織田信長亡き後、豊臣家に三顧の礼を持って迎え入れられるが、秀吉は茶々との愛欲に溺れ、天下人としての資質を失っていく。落胆した高虎は一時出家さえ試みるが、徳川家康から届いた一通の手紙に心を動かされ、再び下天を謀る決意を固める──。「戦国最強」との誉れ高い異能の武将を描く本格歴史小説。
  • 解縛―母の苦しみ、女の痛み―
    4.0
    理想を押しつけ、娘を思い通りにしようとする母。憧れと恐れを抱かせる9歳年上の姉。女たちの軋轢に向き合わなかった父。絶望感から私は、15歳で摂食障害に陥った。自立を求めて「女子アナ」になるが、男性社会のなかで挫折と理不尽を経験。育児をきっかけに不安障害を発症し、死を願うまでに。そんな私を救ったのは――。鋭い客観性で自らを見つめ、包み隠さずつづった衝撃の手記。
  • 現役引退―プロ野球名選手「最後の1年」―(新潮新書)
    4.0
    完全燃焼した者、最後まで己の美学を貫いた者、ケガに泣かされ続けた者、海外に活路を見出した者……どんな名選手にもやがて終わりの時が訪れる。長嶋、王、江川、掛布、原、落合、古田、桑田、清原など、球界を華やかに彩った24人の「最後の1年」をプレイバック。全盛期の活躍に比べて、意外と知られていない最晩年の雄姿に迫る。有終の美を飾るか、それとも静かに去り行くか。その引き際に熱いドラマが宿る、男たちの挽歌。
  • 幻化
    -
    消え去った記憶を確かめようと南九州を旅する精神病の男を通して、二十数年間の心象風景を文学へと結晶させた、戦後文学屈指の名作「幻化」。ほかに「庭の眺め」「記憶」「仮象」「空の下」「突堤にて」「凡人凡語」の全7編を収録。一貫して戦後の繁栄の仮象の底に生の深淵を見つめ続けた梅崎春生の後期作品集。
  • 限界病院(新潮文庫)
    -
    北海道富産別市立バトラー病院は過疎化とともに経営が悪化し、市財政のお荷物と化していた。市長一派は民間譲渡も視野に入れた改革に手を付ける。医師・看護師の減給を決行し、赤字のままの予算案を市議会に提出。医師を供給してきた北斗医大はその無策に激しく反発する。東京からやってきた外科医城戸健太朗は新院長大迫佳彦と女医吉川まゆみとともに病院改革に乗り出していくのだが……。(解説・東えりか)
  • 元気が出る患者学
    -
    日々、多様化する医療の現場。しかし技術の進歩が必ずしも幸福な結果を生んでいるとは限らない。いざ自分が、あるいは家族が、重大な病気に直面した時、一体どう対処したらいいのか。病気を人生の中でどう位置付け、死を前にした生き方をどうすればいいのか――。病気や治療法を正確に知るための知識から、医療者との接し方、いかにして「生きがい」を見つけるかにいたるまで、“賢く病気と付き合う”ガイドブック。

    試し読み

    フォロー
  • 言語小説集
    3.6
    ワープロのディスプレイ上でカギ括弧同士が恋をした。威張り腐った●や■に他の記号たちが反乱を起こす「括弧の恋」。方言学の権威が、50年前自分を酷い目に遭わせた特高の元刑事を訛りから見破って復讐する「五十年ぶり」。ある日突然舌がもつれる青年駅員の悲劇を描く「言語生涯」など言葉の魔術師による奇想天外な七編に加え、抱腹絶倒の四編を新たに収録した著者最後の短編集。
  • 言語世界地図
    3.5
    世界に存在する言語数は七千にも及ぶ。単純に計算すると、一つの国で何と三十以上もの言語が使われていることになる。その中から四十六の主な言語を取り上げ、成り立ち、使われている地域、話者数、独自の民族文化を徹底ガイド。言葉を使うとは、単に他者に意味を伝達するだけではない、社会的なアイデンティティーを表すことでもある。言葉の奥深さ、多様さ、面白さ、そして社会情勢にかかわる背景などを紹介する。

    試し読み

    フォロー
  • 言語はこうして生まれる―「即興する脳」とジェスチャーゲーム―
    4.2
    相手に何かを伝えるため、人間は即興で言葉を生みだす。それは互いにヒントを与えあうジェスチャーゲーム(言葉当て遊び)のようなものだ。ゲームが繰り返されるたびに、言葉は単純化され、様式化され、やがて言語の体系が生まれる。神経科学や認知心理学などの知見と30年におよぶ共同研究から導きだされた最新の言語論。
  • 玄笑地帯
    -
    「純粋些末事没入力批判」「楽器?武器?生殖器?」「鍋やきうどんに気をつけろ」「コンピューターは馬鹿か」「突発性大量創作症候群」「われらが不満の初夏」「基地外に刃物というが」「馬鹿な神を持つ者の苦悩」「譫妄状態における麻雀」…。黒い笑いがこだまする。高い笑いが降ってくる。毎回改行なしの即興生演奏に、計算された毒が仕組まれた恐怖のエッセイ集。 ※文庫版掲載のイラストは、電子版には掲載しておりません。ご了承ください。
  • 原色の街・驟雨
    3.6
    見知らぬ女がやすやすと体を開く奇怪な街。空襲で両親を失いこの街に流れついた女学校出の娼婦あけみと汽船会社の社員元木との交わりをとおし、肉体という確かなものと精神という不確かなものとの相関をさぐった「原色の街」。散文としての処女作「薔薇販売人」、芥川賞受賞の「驟雨」など全5編。性を通じて、人間の生を追究した吉行文学の出発点をつぶさにつたえる初期傑作集。
  • 源氏紙風船
    -
    「源氏物語」は、何ゆえ千年にもわたって絶えることなく読みつがれ、語りつがれてきたのか――。光源氏と彼をとりまくあまたの女、物語を飾る着物、美術工芸品などなど、舞台背景となる宴について、作者・紫式部のこと……。それぞれのテーマごとに、「源氏狂い」「源氏酔い」を自認する著者が、思いがけない角度から限りない優しさをこめて語る、くめども尽きぬ〈愛の古典〉の魅力。
  • 源氏姉妹(新潮文庫)
    3.0
    源氏物語、それは高貴さに美貌と知性を兼ね備えた主人公、光源氏と肉体関係を結んだ女性たちが織りなす、「姉妹(シスターズ)」のお話。天性の床上手だった夕顔、体の相性ばっちりのセフレ朧月夜、幼女の頃にさらわれた紫上、義理の母なのに関係を持った藤壺……。エロティックな濡れ場や姉妹の心情を肉付けし、源氏のセックス依存と背徳を浮き彫りに。古典を現代的に再構成した刺激たっぷりのエッセイ。(解説・高橋源一郎)
  • 源氏物語私見
    4.0
    半生の情熱を傾け「源氏物語」全五十四帖の完訳をなし遂げた著者が、訳業のかたわらに書き留めた源氏への愛とその魅力を収める「源氏物語」体験の全貌。空蝉に作者・紫式部の自画像を読み取り、宇治十帖に独自の評価を述べるなど、著者ならではの着眼で問題を提起し、さらに、人間の生きざまの哀しさ、宿命の不可思議さを綴る。「源氏物語」への理解と興味をいっそう深める随想集。
  • 源氏物語・隣りの女
    5.0
    亡き母に生きうつしといわれる、父帝の妃・藤壺を恋慕しつつ凛々しく成人した光源氏の、甘美な愛の遍歴を雅びなせりふで語る「源氏物語」。隣りに住むスナックのママの情事に深入りし、その情人と関係を持った人妻の非日常性を描く「隣りの女」。出稼ぎ男の殺人事件を機に現代の家族像を浮彫りにする「七人の刑事」など、テレビドラマの鬼才・向田邦子の傑作シナリオ、6編を収録する。

    試し読み

    フォロー
  • 源氏物語の世界(新潮選書)
    -
    千年の昔、一人の女性の手で書かれた五十四帖の壮麗な物語。宮廷ゴシップ、恋愛模様、権力闘争――ほの暗い御簾の陰に潜む人間ドラマと、失意と孤独を抱えた作者・紫式部その人の内奥に、名うての読み巧者が光を当てる。『枕草子』など同時代の傑作も縦横に併せ論じ古典を読む悦びを語り尽くす、知的興奮に満ちた文学案内。
  • 源氏物語ものがたり
    4.0
    いつ書き始められ、いつ書き終わったのかもわからない。作者の本名も生没年もわからない。それなのに、なぜ源氏物語は千年もの長きにわたって、読者を惹きつけてきたのか? 本文を確定した藤原定家、モデルを突き止めた四辻善成、戦乱の時代に平和を願った宗祇、大衆化に成功した北村季吟、「もののあはれ」を発見した本居宣長……。源氏物語に取り憑かれて、その謎解きに挑んだ九人の男たちの「ものがたり」。

    試し読み

    フォロー
  • 源氏物語を知っていますか
    4.2
    男女の愛欲と孤独。野心と諦観。縦横無尽に張り巡らされた伏線の糸。平安貴族を熱中させた、極上華麗な大ベストセラー大河小説『源氏物語』五十四帖を、短編小説の名手・阿刀田高があなたのかわりに読みました。大人のユーモアとエロス溢れる軽妙な語り口で、70年以上にわたる長大なストーリーと複雑に絡み合う人間関係が、すんなり頭に入ります。学生からシニアまで全国民必携の一冊。 ※新潮文庫に掲載の挿画は、電子版には収録しておりません。
  • 現代語訳 竹取物語
    -
    光る竹から生まれたかぐや姫が娘になり、貴公子の求愛に無理難題を与え、煌々と冴えわたる満月の夜に昇天するという永遠の美の幻想……。源氏物語の絵合の巻に「物語の出で来はじめの祖なる竹取の翁」とある「竹取物語」は、平安時代から千百年ものあいだ読み継がれ親しまれている。日本の自然と情感を愛したノーベル賞作家の現代語訳と、ていねいな解説で読む、わが国最古の美しい物語。

    試し読み

    フォロー
  • 現代語訳 とわずがたり(新潮文庫)
    3.3
    幼少の頃から後深草院のもとで養育された二条は、十四歳の春に院の寵愛を得る。二条は院の愛人となってからも、あまたの貴人や高僧たちと交渉を重ねるが、かねてからの出離の思いが高じ、ついには尼となって諸国遍歴の旅に出る。――波瀾にみちた性の体験を大胆に告白し、愛欲の世界を脱して、宗教に浄化されていく過程を描いた女流日記文学の傑作を、艶麗な筆に甦らせた名訳。
  • 現代史の中で考える
    4.0
    大英帝国の繁栄と衰亡。天安門事件とソ連の崩壊からひもとく、共産主義の本質とヨーロッパの将来。「パールハーバー五十周年」に思う、太平洋戦争のリーダーたち。そして、和辻哲郎と天皇制。文明論や近現代史を読み解きながら、日本のとるべき道を示唆した貴重な発言の数々。自由闊達な発想とその独特の史観から、論壇に多くの足跡を残した歴史家の「遺言」。
  • 現代仏教論
    3.0
    震災、高齢化、自殺者増……、多死社会の到来を目前にして、この国はなすすべもなく立ち竦んでいる。これまで問題を封印してきたツケが一気に回ってきたのだ。我々はいかに死者と対峙すべきか――。その智慧は仏教にある。ブッダの時代以来、死者と関わり続けてきた仏教が現代に果たすべき役割は小さくない。震災と仏教、死者供養の原点、業と輪廻、仏教離れの本当の理由など、死者の問題を中心に現代仏教を問い直す。

    試し読み

    フォロー
  • 現代老後の基礎知識
    3.0
    再就職のあてもなく、老後の計画もしてこなかった小寺は、給料のない定年後の生活をあわてて組み立てる。果たして小寺家の生活は成り立ってゆくのだろうか? ――小寺清という一人のサラリーマンの悪戦苦闘ぶりを追うストーリーと、年金や保険の諸制度、規則を分かりやすく説明する解説との二人三脚で、老後の「基礎」がすんなりと頭に入ってくる。簡単で分かりやすいこと、空前絶後。

    試し読み

    フォロー
  • 現場主義の競争戦略―次代への日本産業論―
    4.4
    本社よ覚醒せよ――敗北主義でも楽観主義でもない、現場主義の目で見れば、日本経済の本当の力が見えてくる。数字だけの経営分析、根拠のない「製造業悲観論」を真に受けてはならない。「現場」は常に忍耐強く、沈黙の臓器のように能力向上を続けているのだ。熾烈なグローバル競争の中で、「何をやりたいか」より「何なら勝てるか」を考え抜く、現場発の日本産業論。
  • 原発依存の精神構造―日本人はなぜ原子力が「好き」なのか―
    4.0
    1巻1,408円 (税込)
    原爆を落とされても、原発事故が起こっても、なぜ原子力信仰は揺るがないのか。安全/危険の不毛な二項対立を越えるには、どうすればいいのか。象徴・反復・否認・両価性・無常観……精神分析的視点から、親/反原発を問わず全ての日本人の心に潜在する「享楽」の正体を読みとく。閉塞状況に風穴を開ける新しい脱原発論。

    試し読み

    フォロー
  • 原発と政治のリアリズム
    4.3
    突然、原発事故対応の現場に放り込まれた著者は、眼前の光景に愕然とする。「政治主導」をはき違えた政府、楽観論にこだわる「原子力ムラ」……機能不全の現場には「リアリズム」が欠如していたのだ。高線量下で現場作業をどう進めるか? 原発をコントロールすることは本当に可能か? 真の危機管理能力とは何か? 政治の無力さに苦悩しつつ、その役割と意義を自問し続けた経験から語る現実主義的政治論。

    試し読み

    フォロー
  • 原発賠償の行方
    3.6
    法律も枠組みも決まったから賠償は粛々と進行する……なんて思ったら大間違い! 福島第一原発事故の賠償は、建国以来最大の法律問題であり、そう簡単に事は進まない。今後、全国民にツケが回されること必至。外国からの賠償請求額は想像もつかない。なぜこんなことになったのか。法律無視の政府と安全神話を盲信した専門家の責任を厳しく糾し、採るべき道を探る。法律家の目で論点を冷静に整理、検討した独自の論考。

    試し読み

    フォロー
  • 元禄流行作家 わが西鶴
    -
    「わしは俳諧師という商人や」と豪語し、知恵才覚を駆使して版元を巧みに操ってゆく西鶴。「俳諧は興行や」といい、大坂住吉大社に人集めして昼夜ぶっつづけの矢数俳諧を行ない、世間を驚かせる西鶴。そんな彼が、芭蕉についに比肩することあたわず、俳諧へのこだわりをきっぱりと捨て、「好色一代男」をはじめとする浮世草紙作家へと変貌してゆくまで。――著者渾身の力作長編小説。
  • 言論統制というビジネス―新聞社史から消された「戦争」―(新潮選書)
    4.5
    「軍部の弾圧でペンを折らざるを得なかった」は虚構だった。「報道報国」の名の下、部数を貪欲に追い求めた新聞社は、当局に迎合するだけの記者クラブを作り、唯一の統制機関「内閣情報局」に幹部を送り込んだ。そして、ライバル紙を蹴落とすために地方紙大合併を仕掛け……。戦争を利用し尽くしたメディア暗黒史。

最近チェックした本