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漢語の謎 ──日本語と中国語のあいだ
漢字による熟語である「漢語」。その中には、中国でできたものと、日本でできたものがあり、実は来歴が謎に包まれたものが多くある。銀行の「行」、電池の「池」、盆地の「盆」……それらの字はそもそもどんな意味だったのか? 「文明」「文化」が日本から中国に渡った漢語というのは本当か? 中国では「手紙」がトイレットペーパーを意味する? ひとつのことばの背景には、それをつくった人がおり、海を越えて運んだ人がおり、使う人がいる。本書は、さまざまな漢語の来し方を、情熱をもって探求し、普段使っている言葉の本来の意味、そしてそこに秘められたドラマに迫る一冊である。 -
関西フォークがやって来た! ――五つの赤い風船の時代
1960年代、商業主義的だったフォーク・ソングに強烈なNOを突きつけ、社会の理不尽に抗う歌を発表した「関西フォーク」。シーンを牽引した「五つの赤い風船」のリーダー・西岡たかしへのインタビューをもとに、関西フォークの歴史をたどる。高田渡、ザ・フォーク・クルセダーズ、吉田拓郎などとの接点を視野にいれ、大阪・京都で“1968年”に奇跡的な輝きを放ったアングラ・フォークの魅力を語る。 -
神田神保町書肆街考
世界に冠たる古書店街「神田神保町」はいかにして出来上がったか。幕末から現代にまで至る一世紀半余、そこに蝟集した書店、出版社、取次、大学、語学学校、専門学校、予備校、映画館etc.の栄枯盛衰をさまざまな記憶と記録を召喚して描き出し、日本近代を育んだ“特異点”の全貌を明らかにした大著が、未来の“本の街”への扉を開く「文庫版あとがき」を増補して遂に文庫化! -
関東大震災と民衆犯罪 ――立件された一一四件の記録から
1923年の関東大地震。その直後から自警団による、朝鮮人、中国人らに対する襲撃事件が多発し、日本人を含む多くの犠牲者をだしたが、その実態はいまだ明らかではない。誰が誰をなぜ殺したのか? 検察が立件、起訴した600人以上の被告、約90人の日本人被害者のプロフィールを分析するなどして、民衆犯罪の全貌に迫る。事件から100年、地域に根差した庶民が起こした史上最大最悪の惨事=ヘイトクライムをとらえなおす。 【目次】はじめに/第1部 関東大震災下の国家と民衆/1 軍・官・民一体のエスノサイド/2 自警団、その組織と活動実践/3 エスノサイドの背景/第2部 刑事事件化した民衆犯罪の動向/1 朝鮮人襲撃事件にみる自警団の情動/2 日本人襲撃事件の実態と被害者像/3 自警団員裁判の実態と加害者像の再検証/第3部 沖縄出身者と自警団/1 沖縄出身者襲撃伝承とその特徴/2 関東大震災、ふたつの体験記/3 沖縄出身製紙労働者の震災経験/4 沖縄における伝承の形成と定着/巻末資料/結びに代えて/索引 -
関東連合 ――六本木アウトローの正体
六本木界隈で事件が起こると、あるいは芸能スキャンダルがあると、必ずと言っていいほど、あるグループの関与が取り沙汰される。捜査当局から、ついに準暴力団と規定された関東連合だ。いったい彼らは何者なのか。なぜそれほど影響力を持てるのか。数々の事件の背景には何があるのか――。捜査当局はもとより、関東連合幹部、暴力団関係者を直撃。さらに、暴走族、チーマー、ギャングと変遷した昭和・平成の不良少年シーンを、著者の実体験も交えて辿る。綿密な取材・分析から見えてきた、新しい反社会的なネットワークの正体に迫る。 -
監督 小津安二郎〔増補決定版〕
「残された作品の画面に何が具体的に見えるか、そしてそのイメージが、見るもののフィルム的感性をどのように刺激するかを論じてみたい。つまり、現実のフィルム体験として生きうる限りの小津安二郎の作品について語ってみたいと思う」(本書序章より)。人々がとらわれている小津的なるものの神話から瞳を解き放ち、その映画の魅力の真の動因に迫る画期的著作。本文庫は、小津の生誕百年(2003年)を機に旧版へ三章を増補した決定版である。名キャメラマン厚田雄春と『美人哀愁』の主演女優井上雪子へのインタヴューほかを併録。 -
観念論の教室
私が手に持っている花は存在する。私はそう思っている。だが、その花は、私が見たり触れたりするのとはかかわりなく、存在していると言えるのだろうか――物の、それ自体としての存在を否定し、私たちに知覚される限りにおいてのみ存在すると説く「観念論」。繰り返し提出されるこの考えに、なぜ人間は深くとらわれるのか。本書は、元祖・観念論者ジョージ・バークリの思想を論じ、観念論には「明るい観念論」と「暗い観念論」の二種類が存在すると説く。「存在するのは自分の心だけ」という独我論的発想とは真逆の、もう一つの魅力ある側面をたどる。 -
官能美術史 ──ヌードが語る名画の謎
恥じらいながら、生まれたばかりの透明な素肌を露にする愛の女神ヴィーナス、恍惚としてひとり横たわるマグダラのマリア、近代をとりこにした東洋の女奴隷たちの妖艶な姿態―西洋美術の世界を彩る美しいヌードが大集結。性のモラルの厳しいキリスト教社会で裸体を描くことがどうして可能だったのか? その多くが神話や聖書を題材とするのはなぜか? ボッティチェッリ描くヴィーナスのお腹が膨らんでいるわけは? いくつかの鍵を用いて読み解くと、魅惑的な姿に秘められた謎があざやかに浮かびあがる。カラー多数。200点以上の図版とともに楽しくアートの世界へ誘う極上の美術案内。 -
完本 男たちの大和
太平洋戦争は「大和」に始まり「大和」に終ったといわれる。昭和12年に着工した戦艦「大和」は、4年の歳月を経て、太平洋戦争の始まる昭和16年にすべての準備を整え終えた。すでに航空機時代に入ったといわれたこの時代にあっても、巨大戦艦は「この船が駄目な時は、日本も終わりの時」という「不沈神話」と共にその雄姿を現わし、連合艦隊司令長官山本五十六を初め、その乗組員の男たちに各々の熱い思いを抱かせた。日本海軍の男たちと彼らを取り巻く人々のリアルな肖像を描くノンフィクション。昭和20年4月6日沖縄特攻にむかうまで。 -
観無量寿経
漢文・古文の知識が必要な仏典を独学で読むのはほぼ不可能に等しい。しかし日本を代表する大作家・佐藤春夫はその筆力により、一人で経典を理解し、味わうことのできる訳を用意した。『観無量寿経』は『無量寿経』、『阿弥陀経』とともに「三部経」と称される浄土仏教の根本経典。仏や仏のいる世界を「観る」方法を説くとともに、自分の力ではいかんともしがたい人生を俯瞰し、切り抜ける方法を教えてくれる。経典の主人公はわが子アジャセに命狙われる古代インドの王妃イダイケ。なぜこのような悲劇が起こるのか説明を迫るイダイケに、シャカは因・縁・果の物語を説く。 文庫解説 阿満利麿 -
カードゲームで本当に強くなる考え方
ゲームとして、競技として――多くの人が魅了され、勝利を目指して打ち込むトレーディングカードゲーム。ゲームの本質、確率的センス、認知バイアス、メタ読み、練習方法、言語化、デッキ構築の視点……どのTCGにも共通するセオリーがここにある。カードゲームの本質は「数理と心理」である――勝てると思ったのに勝てないのはなぜか。カードゲームはどのようなもので、その実力とは何か? プロプレイヤーとしての経験から得られたどのカードゲームでも充実して強くなれる理論をお伝えします。 【目次】第1章 カードゲームの本質/第2章 カードゲームの数理/第3章 カードゲームの心理/第4章 真に上達するための練習/第5章 デッキビルダーとして考える/あとがき――可能性への投資/後悔なく楽しむ/読書案内 -
外政家としての大久保利通
明治7(1874)年、日本の台湾出兵に清国が抗議、北京で二国間交渉がもたれた。大久保はこの北京談判で全責任を負って困難な交渉にあたり、その手腕を発揮して清国の譲歩を勝ち取る。旧友西郷隆盛と対立して朝鮮出兵を封じた大久保が、後に台湾出兵を進めたのはなぜか。北京談判での大久保の冷徹な現状認識、粘り、そして強い責任感と信念。征韓論争から北京談判まで、手紙や日記等豊富な史料をもとに、内政家として語られてきた大久保利通の外交を評価する。「明治の政治家はかつて責任を回避することを知らなかった」。本書には、太平洋戦争下の現実政治に対する、著者の鋭い弾劾が秘められている。 -
概説 人工知能 ――ディープラーニングから生成AIへ
超絶進化の鍵となる基本概念を解き明かす 爆発的かつ非体系的に発展したAI。その基盤となる基礎理論、研究・開発の歴史、可能性と限界を平易に語る人工知能入門。 === 人工知能(AI)に関する初めての論文が発表されたのは1950年のことである。しかし近年のAI研究は、それまでの歩みを圧倒的に凌駕し、AIに加速度的な進化をもたらしている。ただ、急激な発展のあまり、情報は溢れかえってはいても、概念の根本が正確に理解されているとはとても言い難い。本書は、AI研究で突出しているディープラーニング、アルファ碁、トランスフォーマー(生成AIの心臓部)を選び、各々の核心にあるアイデアを説明した後、人工知能について広く考察する。文庫オリジナル。 === 【目次】 第1講 AIが人間を超えた?! 第2講 人工知能研究の歴史 第3講 脳が働き、人が振る舞う 第4講 ディープラーニングのエッセンス 第5講 学習のポテンシャル 第6講 畳み込みニューラルネットとバックプロバケーション 第7講 アルファ碁 第8講 トランスフォーマー、生成AIの心臓部 第9講 大規模言語モデル 第10講 生成AI 巻末注 あとがき 索引 -
概説 北欧神話
原初の巨人ユミル、神々の父オージン、運命をつかさどるノルンたち、人間の地ミズガルズ、世界樹ユッグドラシル……。ファンタジー等の創作物を通じてなじみ深い北欧神話だが、その全貌はどの程度理解されているだろうか。本書は北欧神話の全体像を、『エッダ』等の原典に忠実に、かつ見やすく提示する。読者はその世界観、巨人や妖精やヴァルキュリャといった諸族、神々とその道具にまつわるエピソード、そして世界の終末ラグナロクまで、基本的な知識をあまさず得られるだろう。北欧神話研究の画期的成果として長年読み継がれてきた、初心者から上級者まで必携の名著。 -
学習の生態学 ──リスク・実験・高信頼性
医療現場、原子力発電所等、一つ間違えば大きな事故が生じうる組織において、学習はどのようになされるか――。失敗を含む「日常的実験」の繰り返しこそ、現場での学習の資源である。本書では、このリスクを伴う試行錯誤を許す空間を「学習の実験的領域」と呼び、法的・経済的諸条件に影響され、組織ごと、状況ごとに変動するその不安定なありようを明らかにする。フィールドワークや豊富な民族誌的資料をもとに、学習を社会科学のテーマとして扱い、状況的学習論といった従来の理論モデルを超える新たな枠組みを示した。事故と安全、科学技術、組織といった具体的文脈のもとでの学習を考える、数々の概念装置を与える書。 -
「学問」の本筋 ――柳田國男と双極の民俗学
躓き、そして何度でも 立ち上がった。 「ここではないどこか」に魅かれる。「いまこの社会」を良くしたい。 戦争の時代と理想の時代、二つの極の間で揺れ動いた柳田の「学問」の足跡をたどる。 柳田國男の民俗学には、二つの極がある。『遠野物語』や山人論、「海上の道」に代表される、日本人の起源を求めてやまないロマン主義民俗学。そして、主権者自身を担い手とした社会の改良を志す「本筋の学問」――すなわち公民の民俗学。ここではないどこかに心誘われ、何度も挫折と失敗を繰り返しながら、人類の幸福という理念を目指し続けた柳田國男の思想をたどる。 私たちは、学問を何のためにするのか。 【目次より】 序章『炭焼日記』の人々 時局の迫れる話/三人の炭焼きたち/原始共産制と民俗学/外地に出征した弟子たち/インテリジェンスの関係者/文化映画関係者/偽史関係者/学問の応用という隘路 第一章 双極の民俗学 ロマン主義民俗学と公民の民俗学/起源論への節度/近代の生きにくさ/神経衰弱と神隠し/生存への不安/かくり世と新体詩/柳田國男のフェアリーテール/「ルーラル・エコノミー」という名/「習慣」と「私」/椰子の実一つ/社会問題の側/社会のために応用される学問/「自主」と「自助」/「古代」への断念 第二章 実験小説論と『遠野物語』 社会政策学者として/ミスチシズムと「山男」/イプセンと社会問題/クロポトキンを読む/明治文学史と自然主義/何故『蒲団』を嫌ったか/自然主義文学を酷評する/佐々木喜善の野心/お化の問屋とフェアリーテール/日露戦争と遠野物語/加減せず感じたるまゝ/理系の文学/批評する資格はない/ルウラウ・ライフと歌のわかれ 第三章 山人論の迷走 何故「ルーラル・エコノミー」なのか/新渡戸稲造とゾライズム/「民俗学」は道楽か/マイノリティの発見/先住民実在という仮説/隘勇線と山人/シャグジと隘勇線/伊能嘉矩の「原住民」統治政策/植民地政策と山人観/「山人」の分類/山人の正体/柳田國男の実験小説 第四章 田山花袋のロマン主義殺し 『蒲団』の恋の圏外/二つの樺太小説/「隣室」の観察者/柳田國男が怒った実話小説/煩悶する詩人/花袋のゾラ式実験小説/花袋のサンカ小説/暴走するロオマンス/津軽への旅/偽史とロオマンス 第五章 不戦思想の民俗学 「こんなこと」から「学問の本筋」へ/松岡三兄弟の「椰子の実」言説/起源論と沈降大陸/海洋漂泊民と人種差別撤廃問題/第一次大戦後の世界秩序/ジュネーブでの学問体験/選挙民「妄動」の危惧/不戦思想と普通選挙/憲法「人民ノ名に於テ」問題/エスノロジーのルーラル・エコノミー化 第六章 偽史のグローバリズム 雑誌『民族』の頓挫/岡正雄とナチス民俗学/柳田の「学問」のナチス民俗学的読み替え/横断面と現在学/ナチスのオカルト民俗学/大政翼賛会とムー大陸/藤沢親雄と偽史のグローバリズム/国際協調主義という理想の果て 第七章 国有信仰と魂のエコサイクル 固有信仰論のつくられ方/七生報国と魂の共同主義/柳田固有信仰論の変質/「生まれ替わり」という立論/小泉八雲の東洋の我(エゴ―) 終章 固有信仰から憲法へ 働かねばならぬ世になりぬ/戦後の三つの課題/固有信仰論のウォッシュ/枢密院顧問となる/柳田社会科とCIE/CIEの徴用リスト/民族学者と「スーパーマン」/占領軍公認の偽史/「海上の道」へ/憲法の芽を生やす あとがき -
ガケ書房の頃 完全版 ──そしてホホホ座へ
2004年京都市左京区に開店。2015年にホホホ座へと発展してきたガケ書房。インパクトある外観と独自の品揃え、店内ライブなどで唯一無二の存在となり、全国の読者や作家、ミュージシャンに愛されてきた。筆談で過ごした子供時代、様々な仕事の体験、開業後の資金繰り、セレクトというモノの売り方への違和感などを本音で綴った青春記。 -
学校に染まるな! ――バカとルールの無限増殖
(1)学校には、人類の叡智や希望が詰まっている。でも巧妙な出来レースも仕組まれている。さまざまな教育現場を見てきたプロが教える、学校をサバイブする方法。 (2)ルールやべき論で子どもたちを縛り、思考停止した大衆を社会に送り出すクソみたいな装置という面が学校にはある。思考停止した大衆はルールを求める。ルールはひとをますますバカにし、バカはさらにルールを求める。バカとルールの無限増殖ループだ。 (3)学校は、すごい。でも、すべてが出来レースだ――。プロが教える、学校をサバイブする方法。 【目次】第一章 なぜ勉強しなくちゃいけないの?/第一章 なぜ勉強しなくちゃいけないの?/第二章 時代は変わってもひとは変わらない/第三章 出来レースだらけの競争社会第四章 なぜ大人は髪型や服装にうるさいのか?/第五章 「いい学校」より「面白い学校」を探せ/第六章 青春の舞台としての学校/第七章 「理想の学校」なんていらない -
ガンディーの真実 ――非暴力思想とは何か
★中島岳志氏推薦! 「今後、この本を抜きにしてガンディーを語ることはできないだろう」★ 贅沢な食事をしないこと、搾取によってつくられた服を着ないこと、性欲の虜にならないこと、異教徒とともに生きること、そして植民地支配を倒すこと――。ガンディーの「非暴力」の思想はこのすべてを含む。西洋文明が生み出すあらゆる暴力に抗う思想・実践としての非暴力思想はいかに生まれたのか。真実を直視し、真実と信じるものに極限まで忠実であろうとしたガンディーの生涯そのものから、後の世代に大きな影響を与えた思想の全貌と限界に迫る。ガンディー研究を一新する新鋭の書! -
「がんばれない」 心で何が起きているか
無理そうなのに、あきらめられない。 「がんばれ」が重くのしかかる。 なぜか、手を抜いてしまう。 それ全部、心のクセのせい! 「もうがんばれない」は心の正常な反応です。 「あきらめられない」は思考の仕組みがそうさせます。 「努力は報われる」というけれど、簡単にはいかない。 心理学で「がんばる」の考え方を一新しよう。 【これも心のクセのせい】 ・ふとした瞬間に「もう無理」と投げ出したくなる ・失敗した人に「自業自得」と思ってしまう ・努力にわかりやすい見返りを求める ・「本気じゃなかった」と言い訳しがち ・報われるまでは、絶対やめない ・努力が恥ずかしいことにみえる ・チャレンジせずに簡単なほうに流れる ・「まだできたのに」と未練を口にしがち === 【目次】 第一章 努力ってなんだ? 第二章 「がんばれば報われる」は本当か?――努力と結果をつなぐ“見えないルール” 第三章 「がんばる」を制御する心のメカニズム 第四章 「あきらめない」というリスク――過剰な粘りが奪うもの 第五章 別の道を見つける力 第六章 「やり抜く力」を“更新”する === -
消えた赤線放浪記 ──その色町の今は……
戦後間もない昭和21年に定められ、かつて日本のいたるところにあった「赤線」は昭和33年に廃止された。ところが地域によっては様々な風俗産業の業態に姿を変えながら、現在に至るまで賑わいを続けている。全国各地の元赤線地帯を訪ね、風俗産業の栄枯盛衰と、そこで働く女性たちの声を書きとめることで「赤線後の色町」を浮かび上がらせた貴重な記録。新取材の書き下ろしと未発表写真多数収録。 -
幾何学基礎論
20世紀の数学はヒルベルトを抜きにしては語れない、と言われるドイツ数学界の巨峰37歳の処女作。没後に改訂第8版が刊行されたほど、重要かつ長く読み継がれてきた書。ユークリッド幾何学の全公理を結合・順序・合同・平行・連続の5種の公理群にまとめ、相互の独立性を完全に証明した。公理論的方法が成功を収めた典型例であり、数学全般の公理化への出発点となった記念碑的著作。またユークリッド「原論」同様、影響は数学にとどまらなかった。なお本書には、論文「数の概念について」と著名な講演「公理論的思惟」を併収。【解説:佐々木力】 -
聞書 戦前の暮らし方 ――「90歳」の証言集
食事、住まい、仕事、道具、遊び、行事、人間関係……戦前の日本人はどんな暮らしをしていたのか? 電化製品はほぼなく、便利なサービスも少なく、移動も大変と、現在に比べて不便な時代。しかしそこには、自然とともに生きる豊かさがあり、現在とは違う人とのつながり方があり、そして生活のなかで育まれた知恵があった。長年にわたり90歳前後の方々に聞き取り調査を行ってきた「90歳ヒアリング」。それにより得られた600人以上の肉声から編まれた貴重な証言集。 【目次】序章 戦前の暮らし方をなぜ調べるのか/第一章 食事/第二章 特別な食事/第三章 住まい/第四章 生活用品/第五章 資源の利用/第六章 衣類/第七章 物を大事にする/第八章 みんなの役割/第九章 食の確保/第十章ものづくり/第十一章 共同作業/第十二章 仕事/第十三章 物の売り買い/第十四章 移動/第十五章 学び/第十六章 遊び/第十七章 伝承される知恵/第十八章 人とのつきあい/第十九章 冠婚葬祭・行事/第二十章 居場所・街並み/終章 戦前の暮らし方から学ぶこと -
聞書き 遊廓成駒屋
ある日、名古屋駅裏を歩いていた著者は、一軒の建物が取り壊されようとしている場に出くわす。それが中村遊廓の成駒屋だった。その場に残された家財道具を手掛かりに、著者は遊廓の実像を求めて、多くの人から聞取りを始める。大正から昭和の隆盛期、さらには売春防止法以後の関係者たちはどう生きていったのか。読書史上に残る名著文庫化。 -
危険な文章講座
文章の『バランス』なんて考えるな、『ゆがみ』を大切にすることからこそ理想的な自己表現は生まれる!「言葉にできないほどの感情」を的確に表現するにはどうしたらいいのか?今までの文章術の枠組みを超えたユニークな視点と新感覚の語り口で繰り広げられる、ラディカルな自己表現法の数々。情報が氾濫するなかで「自分の頭で考え、表現する力」を見失いがちな現代人たちに贈る、前代未聞・抱腹絶倒の文章講座。 -
記号論
文字、数字、音符、絵画、人の表情や動作、空に浮かぶ雲のたたずまい……人間にとって世界は膨大な記号の集積だ。世界を解読するのにも、表現するのにも、記号は不可欠のツールであり、われわれは日常においてそれを疑うことなく用いている。しかし記号の使用は、無制限にいつも成り立つものなのか? こう問い直すことで世界や人間の営みを解明する糸口が開ける。たとえば、心をめぐる謎を解く手がかりも、記号と心についての常識を疑ってみるところから得られるのだ。さまざまな領域における記号の構造を解説し、それを読み解く最強の技術、論理学の基礎へと、最小限の道具立てで易しく誘う。 -
奇跡を起こした村のはなし
新潟県山間部の豪雪地帯にある黒川村。冬場は出稼ぎに出ないと立ちゆかない村を、なんとかして自立させたい、と立ち上がった村長と村民がいた。多くの苦境を乗り越え、次々と取り組んだ村営事業。資金源は、国や県が支出する地域振興補助金で、その申請と活用は、サバイバルゲームとなった。バブル崩壊後、畜産に力を入れた村に欧州研修を終えた若手職員たちが次々と戻り、村は新しい特産品でにぎわいはじめた――日本人を励ます、小さいけれど大切な記録。 -
奇想の系譜 ――又兵衛-国芳
意表を突く構図、強烈な色、グロテスクなフォルム―近世絵画史において長く傍系とされてきた岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳ら表現主義的傾向の画家たち。本書は、奇矯(エキセントリック)で幻想的(ファンタスティック)なイメージの表出を特徴とする彼らを「奇想」という言葉で定義して、“異端”ではなく“主流”の中での前衛と再評価する。刊行時、絵画史を書き換える画期的著作としてセンセーションを巻き起こし、若冲らの大規模な再評価の火付け役ともなった名著、待望の文庫化。大胆で斬新、度肝を抜かれる奇想画家の世界へようこそ! 図版多数。 -
喫茶店の時代 あのとき こんな店があった
人々はなぜ喫茶店に引き寄せられたのか。その独自の空間に流れる時間は、作家・芸術家たちにとっての文学や美術の誕生の場となった。コーヒーや茶の歴史にはじまり、明治、大正、昭和の喫茶店の変遷を追う。いまやチェーン展開のカフェに押され、絶滅危惧種化しつつある喫茶店の魅力に迫る異色の文化史。単行本を大幅改稿文庫化。図版多数収録。 -
紀貫之
紀貫之は「古今集」の重要な歌人かつ中心的な編者であり、「土左日記」の著者としても知られ、また「伊勢物語」の作者にも擬せられている人物である。しかし「下手な歌よみにて古今集はくだらぬ集」と正岡子規によって痛罵されて以来、つねにその言葉がつきまとい、正当な評価が妨げられてきた。はたしてそうだったのか? 本書は、詩人の魂による繊細な鑑賞によって「子規以来」のイメージを覆し、貫之が「フィクション」として豊かな才能に恵まれていたことや古今集の特徴である象徴と暗示を体現した歌人であったことなどを、精緻に論証していく。貫之の復権を成さしめた画期的歌人論。読売文学賞受賞。 -
金正恩の革命思想 ――北朝鮮における指導理念の変遷
思想が社会を規律統制し、人々の思考を規制している北朝鮮。その体制を引き継いだ金正恩は、祖父の主体思想、父の先軍思想に代わる、現在の困難を乗り越え次の展望を切り開く思想を創出する必要に迫られた。本書は、2011年末からの金正恩時代における指導理念の変遷を通史的に考察し、北朝鮮の置かれた国内・国際情勢とリンクさせつつ検証する。さらに近年、金正恩が提唱している農村における「思想革命」についても紹介。北朝鮮情勢分析の第一人者が、満を持して放つ最新研究報告。 【目次】第1章 金正日総書記の死と金正恩時代のスタート/第2章 金日成・金正日主義/第3章 独自的な指導理念の模索/第4章 人民大衆第一主義の芽生え/第5章 「十大原則」の改編/第6章 第七回党大会/第7章 人民大衆第一主義/第8章 わが国家第一主義/第9章 米朝首脳会談決裂と「正面突破戦」/第10章 コロナ禍と「自力更生」/第11章 第八回党大会と党規約改正/第12章 「人民的首領」への道と「金正恩革命思想」の登場/第13章 「農村革命綱領」=「新農村テーゼ」の提唱/第14章 「わが国家第一主義」の統治理論化/第15章 「金日成・金正日主義」の継承・深化・発展/終 章 金正恩の指導理念を振り返る/あとがき/参考文献・資料/北朝鮮の主な歩み(年表) -
「きめ方」の論理 ──社会的決定理論への招待
ある集団のなかでみんなの意思がうまく反映された決定を下すには、どうすればいいだろうか。特に、各人の考えがバラバラで、にもかかわらずそれらを集約して一つの判断を下さなければいけないとき、望ましいきめ方とはどんなものだろうか。これを探究するのが社会的決定理論という分野である。様々な投票方式が生み出す矛盾から、アローの一般可能性定理、さらにはセンの自由主義のパラドックスやゲーム理論まで、この理論が含みもつ広範な内容をかみ砕いて丁寧に解説。社会的決定における「公正さ」「倫理性」とはどのようなものか検討する。最良の入門書として長年親しまれてきた比類なき名著。
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