フランス文学の根底でふざけてる感じあるなと思ってたけど、ラブレーのガルガンチュア物語なんてその際たるものだな。リチャードホールの下衆ヤバ夫より下品だった。これが世界史に残る古典になるの凄いな。サドとかもフランス人だし、性的倒錯ジャンルの文学ってやっぱりフランスが凄いと思う。
フランソワ・ラブレー(フランス語: François Rabelais フランス語: [fʁɑ̃swa ʁablɛ]、 1483年? - 1553年4月9日[1])は、フランス・ルネサンスを代表する人文主義者、作家、医師。ヒポクラテスの医書を研究したことで著名となり、次いで中世の巨人伝説に題材を取った騎士道物語のパロディー『ガルガンチュワ物語』と『パンタグリュエル物語』(『ガルガンチュワとパンタグリュエル』)で知られる。これらは糞尿譚から古典の膨大な知識までを散りばめ、ソルボンヌや教会など既成の権威を風刺した内容を含んでいたため禁書とされた。
「ガルガンチュワが三歳から五歳になるまでは、その父親の命令通りに、あらゆる適当な規律に従って養育されたが、この時期は、その国の幼い子供たちと同じようにして送られた。つまり、飲んだり・食べたり・眠ったり、食べたり・眠ったり・飲んだり、眠ったり・飲んだり・食べたりしていたことになる。 毎日のように、泥水のなかを転げまわったり、鼻面を真っ黒けにしたり、顔を汚したり、靴の踵を潰したり、蝿を相手に欠伸を連発したり、欣んで蝶々を追いかけたりしていたが、蝶々と言えば、父君グラングゥジエは蝶々国を支配していたのである。ガルガンチュワは、自分の靴におしっこをひっかけたり、肌着のなかへうんこをしたり、袖で鼻をかんだり、肉汁のなかへ洟を垂らしたり、ところかまわずに泥んこになって転げまわったり、上靴で酒を飲んでみたり、いつも籠の胴腹へ体を擦りつけたりしていた。木靴で歯を磨いたり、羮で手を洗ってみたり、盃で頭髪を梳ってみたり、二つの腰掛の間の地面へ尻餅をついたり、匿れるつもりでびしょぬれの袋を被ったり、肉汁を飲みながら酒を飲んだり、麺麭がないとて麺麭菓子を食べたり、げたげた笑いながらむしゃむしゃ食べたり、むしゃむしゃ食べながらげたげた笑ったり、何度も皿のなかへ唾をしたり、脂肉をぶるんぶるん言わせたり、お天道様めがけておしっこをしたり、雨を避けに水へ潜ったり、冷たい鉄を鍛えてみたり、よしなしごとを夢見たり、良い子ちゃんぶってみたり、げろを吐いたり、お猿の読経とばかりにむにゃむにゃ言ったり、しかけた羊の話に戻ってみたり、牝豚に秣を喰わせようとしたり、獅子王の前で鬱さ晴らしに犬を殴ったり、牛の鼻先へ荷車を繋いだり、痒くもないところを掻いたり、鼻から秘めごと虫を引っ張り出したり、骨折り損のくたびれ儲けをしたり、後は野となれ山となれと白麺麭を食べたり、蝉に蹄鉄を打ってみたり、自分で擽って笑ってみたり、台所へ勇気凜々突撃したり、神々へ麦穂の代りに麦藁を奉ったり、朝の勤行に夕の祈りを唱わせて至極結構と思ったり、甘藍を食べたのに唐菜のうんこをしたり、得意になって白い牛乳のなかの黒い蝿を見わけたり、ぼやんと蝿の脚をむしったり、紙をがりがり引っ掻いたり、羊皮紙を墨だらけにしたり、ぽこたんぽこたんと逃げ出したり、仔山羊の革袋からぐびぐび飲んだり、宿の亭主のくる前に胸算用をしてみたり、雛鳥を捕えもせずに草叢を叩きまわったり、雲は青銅の鍋釜で膀胱は提灯だと思いこんだり、一袋で二袋分の挽き賃を儲けたり、糠屑を喰わせられる驢馬みたいになったり、拳を握って木槌にしたり、ひと跳びで鶴を掴まえたり、鏈環を一つ一つつないで鎖帷子を作ったり、もらった馬の口を覗いてみたり、鶏から驢馬へと話をすっとばしてみたり、熟れた果物にありつこうと青いのを二つ噛ったり、掘り返した土で掘割を作ったり、狼に吠えられるお月様を庇ったり、雲が墜ちたら雲雀を捉えようと待ち受けたり、無理を道理にしてみたり、もらった麺麭で麺麭切れを作ったり、ざんぎり頭でもつるつる坊主でもごっちゃにしたり、毎朝毎朝げろを吐いたりしていたのである。」
「しかし結論といたしましては、産毛のもやもやした鵞鳥の子にまさる尻拭きはないと判断し且つ主張する者であります。もっとも、その首を股倉に挟んでやるのが肝腎です。これは、僕の名誉にかけてお信じ下さりませ。と申すのも、鵞鳥の雛の産毛の柔らかさと言い、そのほどよい加減の暖かさと言い、お尻の穴に、得も言われぬ心地良さをお感じになりましょうし、鳥の体の暖かさが、忽ち直腸やその他の臓腑にも伝わり、遂には心臓や脳味噌のあるところにまで達するからでございます。従って、天の楽園に居られる英雄たちや半ば神様になった方々の福楽は、この近所界隈の婆様方の言われるように、天国に生えるしゃぐま百合〔『オデュッセイア』に出る〕や神膏や神酒やらのお蔭だとは思召されぬようにお願いいたします。この福楽は、(僕の説によりますと)これらのお方々が、鵞鳥の子で尻を拭かれることに由来いたしますし、これまたスコットランドのジャン先生〔スコラ哲学の泰斗スコトゥスのこと〕の御高説でもあるのでございますよ。」
—『第一之書 ガルガンチュア物語 ガルガンチュアとパンタグリュエル物語』フランソワ・ラブレー著
「これに次いで、ジョブラン・ブリデ先生〔ジョブランとは阿呆あるいは阿呆を装う者の意。ブリデとは「逃れられぬように縛られた」の意〕と名づけるもう一人別な、咳はこんこんの老人が召抱えられたが、この先生は、フゴティオ編『羅典単語集』〔以下すべて中世に流行した教科書類〕や、エヴラール編『希臘語法』や、『幼学綱要』や、『文章八品詞論』や、『問答集』や、『補遺集』や、マルモトレや、『聖書童児解』や、『食卓作法心得』や、セネカ作『主要美徳四部集』や、註釈付きのパッサヴァンティの著書や、御祭礼用の『安眠説教集』や、その他同じような麦粉で捏ねあげられた書物を読んで聞かせた。こういう書物を学んだガルガンチュワは、なかなかの物識りとなって、これほど大した捏粉小僧を浮世の麺麭窯に入れたためしは、その後も絶えてなかったほどである。」
—『第一之書 ガルガンチュア物語 ガルガンチュアとパンタグリュエル物語』フランソワ・ラブレー著
「第二十二章 ガルガンチュワの遊戯 それからガルガンチュワは、感謝の祈祷を一くさり、いとも重々しくむにゃむにゃと誦えながら、爽やかな葡萄酒を手を洗うほどになみなみと盃に満たし、豚の脚に囓りついて歯を磨き、そして皆の者と楽しく四方山の話をした。そして、緑色の毛氈が敷かれると、加留多骨牌がうんとこさ、骰子がうんとこさ、それに将棋碁盤の類が山と持ち出された。そこで、彼は、次のような遊びをした。 同色揃え、四枚合わせ、諸手取り、奪い合い、大勝利、ラ・ピカルディー、百点稼ぎ、合戦、乞食、盗賊、十点越し、三十一、揃いと続き、三百点、素寒貧、宣言、札めくり、貧乏暇なし、ランスクネ、無一物、話し合い、続き札、結婚、一揃い、拷問、変り親、色集め、イスパニア加留多、イタリア加留多、大馬鹿三太郎、当てはずれ、責め苦、父子代々、幸運、絵札揃え。〔以上トランプ遊び〕 指当て、西洋将棋、狐と牝鶏、十字将棋、白牛黒牛、白駒、点取り骰子、三つ骰子、戦争将棋、よいとこどっこい、ひっかけ、女王、スバラリノ、進めや進め、四隅積み、打ち倒し、神も仏もあるものかい、相対死、西洋碁、ぶうぶう、一番二番。〔以上将棋・碁の類〕 短刀当て、鍵投げ、命中ごっこ、丁か半か、裏か表か、小石遊び、おはじき、球打ち、靴探し、ふくろうごっこ、兎狩り、百足あそび、小豚追い、鵲跳び、角あそび、飾り牛ごっこ、鳥啼きあそび、にらめっこ、くすぐりっこ、蹄鉄替え、はいしい・はいしい、走れよ小馬、俺は坐った、黄金髭あそび、うらなりごっこ、串抜き、市あそび、袋借り、山羊だま打ち、球当て、マルセイユ無花果、蝿追い、盗賊退治、狐の皮はぎ、橇あそび、脚相撲、燕麦売り、火吹きあそび、かくれんぼ、急ぎ裁判は死に裁判、火箸抜き、にせ百姓、鴇あそび、せむしごっこ、みつかった上人、つまみごっこ、逆立ち、尻蹴り、トリオリ踊り、輪飛び、穴入れ、ぎっこんばったん腹合わせ、桝あそび、棒乗せ、石蹴り、受け取りごっこ、火消しごっこ、九柱戯、棒倒し、曲り球、矢送り、ローマ送り、アンジュナール、球なげ、羽子突き、鬼の居ない間に、壷破り、腕前しだい、棒飛ばし、杖あそび、棒引き、棒投げ、行方不明、棒送り、針占い、鼬ごっこ、追い球、城攻め、列破り、笑窪入れ、独楽まわし、喇叭独楽、坊主独楽、雷あそび、びっくり仰天、木の球取り、梭あそび、尻ぺたたたき、箒あそび、コーム上人拝みまする、鳶色油虫、つかまえるぞ、あばよ四旬節、逆木あそび、馬乗り、狼行列、組み打ち転げ、槍取り、枝ぶらんこ、十三番目、白樺あそび、蝿叩き、牛はもうもう、伝令ごっこ、蜂が刺した、気違い、橋くぐり、目かくし鬼、烏の石蹴り、球飛ばし、鬼ごっこ、里あて、間者ごっこ、蟇あそび、球ころがし、押しくら饅頭、けん玉、王様女王様、商売当て、左か右か、種あそび、お陀仏、鼻叩き、奥様の帽子洗い、篩ふり、麦蒔き、大喰い、風車、ずいずいずころがし、ぐるぐるめぐり、狸釣り、農夫ごっこ、木兎あそび、間抜けぼけ助、逆様おんぶ、梯子のぼり、死んだ仔豚、おけつの塩漬、鳩が飛んだ、三番目、焚火飛び、草叢飛び、挟み鬼、もういいかい、財布はぶらぶら、宝探し、うしうし、べっかんこう ぼ・ぼ・ば・ば・ば、辛子つぶし、あんよに注意、またがっくり、弓矢撃ち、木馬あそび、烏あそび、凧あげ、ちんちんもがもが、首斬り、鼻つまみ、雲雀鳴き、鼻弾き。〔以上屋内遊戯、戸外遊戯〕」
—『第一之書 ガルガンチュア物語 ガルガンチュアとパンタグリュエル物語』フランソワ・ラブレー著