「五つの赤い風船」という名前は知っているというか、僕ら世代では学校の合唱で歌ったので「遠い世界に」という曲を知っているという感じです。
そのリーダーの西岡たかしさんの目線からのフォーク黎明期の記録です。と言ってもその目線というのはなぎら健壱さんのペンによるものですが。
なぎらさんは日本フォークの語り
...続きを読む部として貴重な人物で、僕ら後追いですらない世代にとっては、彼の書く文章でその時代の空気がほんの少し感じられます。
「五つの赤い風船」を軸にしていますが、そもそも楽器を手に入れる事すら覚束ない時代に、フォークの火が灯って次第に広がって、あっという間に下火になっていくところまで(メジャー、歌謡曲に取り込まれるまで)とても分かりやすく書かれていました。
当然フォークの基本的な登場人物を知っていた方が楽しめるけれど、これ読むようなお方は大体フォーク世代なんでしょうね。僕の時代の方が音楽的には恵まれているとは思いますが、60年代の空気感というのは体験してみたかったです。