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米国で何者かになろうと海を越えた青年、夫の海外転勤に合わせて渡米した女性、人生に詰んで海外へ拠点を移した男性──。異国の地で、不安定さや傷つきに揺れながらも、そのとき成しえる最良の力で人生にぶつかっていく。その語りに、若き日の著者が耳を傾け、生きるということを同じ目線で考えた記録。解説 奈倉有里
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Posted by ブクログ
『心の傷つきをめぐる文章が多いのはたしかだが、私が精神科医だからあたりまえなのかもしれない』 文庫版まえがきより 宮地先生の著書はこれで2冊目。 心の傷つきがある(可能性のある)方々へのインタビューのため、少しもの悲しさが漂う。 著者自身の葛藤や偏見なども、比較的赤裸々に書かれている。 一方、や...続きを読むはり文章力の高さゆえなのか、どこまでいってもどんなにへヴィーな題材を取り扱っていても、とにかく上品で美しい。 センチメンタルな秋の夜長にぴったりの一冊に思います。
この著者のべつの本を読んで惹かれたため、こちらも購入。この本を読んでいると、「悩みを抱えていた、あの友人は今どうなっているだろう」と思い出したり、自分はどうなんだろうと思い返したりできる。数ページごとに顔を上げて考え込んでしまうような本。共感と無理解が混在する。
本当に文章が好きだ…いつの時代も皆んな一生懸命に生きていると文中にあった通りで、事情がありながらも外国で暮らす人たちの姿がありありと浮かび、他人事じゃないな…と思った。 色んなことを考えさせられたけれど、まずは日々平和に生活できてることに感謝して自分を労おうと思った。 外からはどんな問題を抱えている...続きを読むのかわからないから、人を見かけで判断しないとか、他人を羨ましく思う前に自分と向きあったり読書するようにしようとか、そんなことを考えた時間だった。 お守りみたいな本。
病院に来た人を診るような受動的な医師としての生活ではなく、一人ひとりに絞った社会学や人類学のように直接自分で会いに行く能動性に心を打たれました。宮地さんだからこそ皆んな色んなことを打ち明けてしまうんだと思います。それだけ傷への寄り添い方が優しいからだと、僕もいつか会ってお話してみたいです。
一つ一つのエピソードが印象的で、渡米というある意味での道から外れた人たちのさまざまな孤独、それにまつわる感情が味わい深い。
宮地先生のお話は初めて読みます。 「あわい」の言葉通りどの人の記録もすべて完していません。 この本のなかにでてくる人達だけでなく私たちにもこの「あわい」の時間が沢山あるんだよなぁと考えさせられた
先に『傷を愛せるか』を読んでから手に取った。要するに、ちくま文庫から再刊された順に読んだことになるが、この本のほうが、著者が若い頃に書かれたものであるので、『傷を愛せるか』よりも、著者の揺れや戸惑いがストレートに感じられる。内容はアメリカ在住の日本人たちのメンタルヘルスであり、エスノグラフィの形式...続きを読むで書かれている。「あとがき」(pp219-226)で著者が述べているように、1980年代後半から1990年代初頭にかけて接した人々を、1990年代後半から2000年代初頭にかけての連載で振り返って書かれたものなので、流れた時の分、著者のなかで、かつて接した人々(やこの世を去った人々)が抽象化され、より深みのある記述となっている気がする。著者は「まだまだ一年もののワインのよう」(p226)と謙遜しているけれども。
静かに降り続く雨のように心にしみこんできました。 本書に登場する人々が丁寧に描かれていて、まるで出会ったことのある方であるかのように記憶に残りました。 それぞれの事情、想い、経験、感じていることが、ただただ静かにしみこんできて、印象に残る読書体験でした。
『傷を愛せるか ちくま文庫(増補版)』に惹かれて、『トラウマ ( 新潮社)』を時間を掛けて読み込んできた、宮地尚子先生のストーカーです。 精神科医であるからなのか…宮地さんの文章には、独特の魅力がある。 一つ一つの言葉を大切に、全体の話の流れを構築し、自分自身の体験として美しくまとめ上げて行く。 ...続きを読むそれは、読者から見ると「読みやすい」し「印象に残る」と言う効果として現れる。 現代のボストンに住む日本人が、この頃と同じとは思えないが、精神的には同じことが繰り返されているのだと思う。 (インターネット技術の進歩で、電話がチャットになり、手紙はEメールに変わったとは言え) 環境も整備されるようになって頼れる場所も増えたかも知れないが。 ひとつの社会を出て、別の社会に暮らすことがヒトの心に与える問題の多くは変わっていないのではないか。 発行されることの無かったハンドブックも見てみたかった…な。 また、時間をかけて、澄んだ視線で、周囲・患者さんと対峙した宮地さんの心の記憶を読ませて頂けるのを楽しみにしています。
ボストン在住の日本人が対象のアンケートを基にしたフィクションとのことだけれど、同じような悩みを抱えて生きている人は自分も含めてどの国にもどの時代にもいる。 他人には打ち明けにくそうな悩みなどにも客観的かつ冷静に、決して深くは踏み込まずに話を聞く距離感を保つ姿勢がなんだか心地よい。 宮地さんの文章を読...続きを読むんでいると、この人に話を聞いてもらいたくなる気持ちわかるな〜と思います。 PTSDの患者さんを受け入れる側の不理解や、無意識の先入観、相手を傷つけずに自分の気持ちを伝えるアサーティブトレーニングなど、考えるきっかけとなるお話が多かったです。
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