外山美樹の作品一覧
「外山美樹」の「勉強する気はなぜ起こらないのか」「「がんばれない」 心で何が起きているか」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
■どんな家庭で育ち、どんな学校に通えたか。どんな先生や、どんな刺激をくれる仲間に出会えたか。そして、自分が「好きで得意なこと」が、たまたま今の時代に「価値がある」とされているかどうか。こうした「自分では選べない外的な要因」が個人の努力を凌駕するほどの結果の差を生んでしまうのが現実だ。
■努力とは、点数や評価と引き換えるためのものではなく、「未来の自分が使える力」を、自分の中に少しずつ溜め込んでいく行為。今日頑張ったことは、すぐに結果に結びつかないかもしれないが、その(努力した)時間は自分の「集中力」を、粘り強く考える「持久力」を、どうすればうまくいくか「工夫する力」を確実に鍛えている。つまり、努力とは、「特定の結果を得るための手段」ではなく、「どんな未来にも使える力を、自分の中に残す行為」である。
■防衛が続くと心は停止する(学習制無力感)
挑戦を避けることやセルフ・ハンディキャッピングといった行動は、短期的には心を守るための「有効な応急処置」である。失敗の直撃を避け、自尊心が粉々に砕け散るのを防いでくれる。しかし、この防衛策に頼り、自分を欺き続ける期間が長くなると、心のなかでは更に深刻な、そして取り返しのつかない変化が起き始める。最初は小さな回避の積み重ねにすぎないが、その「回避の判断」が重なるにつれて、「成功体験」を得るチャンスが、少しずつ確実に失われていく。挑戦をしなければ失敗で傷つくことはないが、同時に「自分の力で状況を変えた」という実感も得られない。勇気を出して取り組んだとしても、常に不安や「中途半端な準備」がつきまとうため、結果は芳しくないものになりがちである。すると、心の中に「やっぱり無理だった」「頑張っても無駄だった」という記憶だけが積み重なっていく。このとき、人の脳は恐ろしい「未来予測」を学習する。それはまだ起きていない出来事に対しても「何をやっても、多分同じ結果になる」というもの。
心理学者のマーティン・セリグマン箱の極限の停滞状態を「学習性無力感」と読んだ。期待しては裏切られ、挑戦しては打ちのめされる。そのような出来事が重なると、心は最後の防衛体制に入る。それは、「期待することそのものを、やめる」という選択である。本人の内側は、怠惰とは程遠い、もっと虚無的で重苦しい感覚に支配される。やりたくないのではなく、動く「意味」が心の細胞から完全に消え失せてしまう。
心のブレーキが完全に固定されたこの状態は、怠慢でも性格の欠陥でもなく、これまでの経験であまりにも過酷な「評価の戦場」で頑張り抜き、傷つき過ぎてしまったことの証、つまり「心による生存戦略の最終形」である。
■習熟目標という「自分軸」へ戻る
しなやかな努力ができるようになるためには、目標に対する「視点」を変える必要がある。心理学では、目標を大きく二つのタイプに分けて考える。
一つは他人より良い成績を出すことや有能だと思われることを目指す「遂行目標」。
もう一つは自分自身の理解を深め、スキルの向上そのものを目的とする「習熟目標」。
つい他人と比べてしまうとき、どうすれば「自分軸」である習熟目標に戻ることができるか。ポイントは、問いかけを「Do(どう見えるか)」から「Become(どうなりたいか)」へ変えること。評価という「外側の報酬」ではなく、上達という「内側の喜び」に意識を向けることで扉は自然と開いていく。
習熟目標には更に面白い利点がある。人が最も深く集中し、最高のパフォーマンスを発揮するのは、実は「評価」を忘れて目の前の作業そのものに没頭しているとき。
■自分を助ける「セルフ・コンパッション」という土台
しなやかな努力を実行に移す上で、欠かせない心理的な土台が「セルフ・コンパッション(自分への慈しみ)」である。最新の心理学の研究が明らかにしているのは、自分を厳しく責め過ぎる人よりも、自分に思いやりを持てる人の方が、失敗から立ち直るスピードが早く、結果として「より長く、高く、挑戦し続けられる」ことがわかっている。
セルフ・コンパッションはダメな自分を放置することではない。「次の挑戦のために最高のコンディションを整える技術」である。自分への優しさは、「弱さ」ではなく、それこそが何度でも立ち上がりしなやかに努力を続けていくための、最も強固な回復力(レジリエンス)という名の「最強の装備」になる。
■ホールディングによる心理学研究では、目標を諦めたり切り替えたりする際に、「自律性」が決定的な役割を果たすことが示されている。周囲から強制的にやめさせられたり、逆に「やめてはいけない」とプレッシャーをかけられたりした場合、人は激しい葛藤に陥る。その結果、いつまでも過去の目標に執着し、エネルギーを消耗し続けてしまう。一方で、「今の自分にとって、この進路変更は必要なことだ」と自ら納得して選んだ場合(自律的な断念)メンタルヘルスが劇的に改善し、次の新しい目標へとスムーズにエネルギーを注げるようになることがわかった。大切なのは「自分はどうしたいか」を基準に判断すること。「自分の意志でハンドルを切った」という事実こそが次の挑戦に向かうための最強の燃料になる。
Posted by ブクログ
2026/08/02
以前にもこの人の本を読んだことがあって、書店でタイトルが気になって買ってみました。
普段の生活で気軽に「頑張る」「頑張れ」という言葉を言いがちですが、中には頑張ることが一体何なのか、どうしたら頑張れるのか、何で頑張ることができないのかということに悩んでいる人も多くいます。
自分自身もそう思った時がこれまでもたくさんありました。
日本では頑張ることが美徳とされていますが、それがいつの間にか人間性とも絡んだ話や解釈になってしまっていることを、この本ではそうではないんだという視点から心理学の観点で紐解いてくれています。
読んでいくと自分がこれまで抱いてきた疑問や思いがそのまま出てきて、そのような考えになってしまう原因を丁寧に解説してくれています。
もちろん、今後の人生においてどういう考え方でいるのがいいのか、卑屈になって自己否定になってしまいがちな頑張るということはどうやって持ち直していけるのかということが分かりやすく書いてあります。
とても読みやすく、定期的に一部分だけでも読み返していくのがいいのではないかと思いました。