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Posted by ブクログ
大阪大学大学院人間科学研究科准教授(計量社会学)の吉川徹(1966-)による、学歴社会の社会学的考察。
【構成】
第1章 変貌する「学歴社会日本」
第2章 格差社会と階級・階層
第3章 階級・階層の「不都合な真実」
第4章 見過ごされてきた伏流水脈
第5章 学歴分断社会の姿
第6章 格差社会論の「一括変換」
本書で論じられている学歴とは、有名進学校の受験競争や国公立や有名私立大学間の優劣を問題にする「学校歴」とは一線を画している。端的に言えば大学卒と非大学卒の間に横たわる大きな溝としての学歴分断が主題である。
昭和から平成にかけて起こった学歴社会における大変化とは、大学進学率の絶対値が上昇したということではなく、進学率が現状の50%より増えることなく横ばいとなったことである。
これは、大学全入と言われ進学について広く門戸が開かれているにもかかわらず、高校生の半数は大学進学を希望していないことを意味し、それは家庭の経済的な理由ではなく、親子共々大学進学を希望しないという家庭が再生産され続けるということである。
そのような学歴分断社会の中においては、子は親の学歴を追い越したりせず、学歴間の上下が親子世代で解消されることのない社会ができあがっている。親から子に学歴が受け渡される社会の成立である。
これにより、大卒再生産家族(35%)、学歴上昇家族(15%)、学歴下降家族(15%)、高卒再生産家族(35%)という比率で社会が分断され、そのうち下位50%の高卒家族が世帯収入550万円以下の下流社会に分類される。これらの非大卒層は諸々のアンケートで示される文化水準においても大卒家庭との文化資本の差が歴然となっている。
新書というある種啓蒙的な媒体に拠って、これほどまでに学歴格差が固定化していることを明示した書籍は無いであろう。日本社会の大きな転換点としての学歴分断社会の成立を説得力を持って説明する本書の主張に反論する有効な術を評者は知らない。
Posted by ブクログ
データに基づいた社会学者の格差論。
GCOEかなんかのプロジェクトの成果の一部が本にまとめられたもので,こうやって社会に還元されるのは,いいことだ。
学歴で格差ができるというのは,分かっていても大っぴらには言いにくい現象だけど,データを使って淡々と今の社会状況が説明されている。
「そもそも学校制度とは,子供を学校で教育した結果としての本人の能力や適性に応じて職場に送り込むパイプシステムであり,学歴に応じて職が決まってしまうのというのは,学校制度にそもそも期待されていた機能である。ただ,そうやって決まった職によって,ステイタスや報酬が大きく異なり,その後の人生が大きく影響されてしまうという現象がもれなくついてきてしまうのが,問題を引き起こしているのだ。(意訳)」というのは,言われてみればナルホド!と,と納得がいっておもしろかった。
Posted by ブクログ
著者の最新刊である『日本の分断 切り離される非大卒若者(レッグス)たち 』(光文社新書)を先に読んで、そのひとつ前の研究であり、前提になっているところを確認するために読んだもの。
「学歴」がすべての問題の主成分にして、その出発点であるというのが大きな主題であり、その状況説明が長く書き連ねられている。結論として何が言いたいのかを気にしていると、最後のところで、大卒と非大卒の共生を保つ社会を目指すこと、社会的に弱いグループになってしまう人たちへの配慮、といった点を認識しようというところだろうか。
大卒・高所得世帯がその経済力によって子どもを社会的強者へと導くから問題が大きくなるといった議論とは一線を画するものの、その後をどう理解すればよいのか、まだこの著書の段階では整理がついていなかったようである。
今、自分自身が子育ての初期段階にあるところで、ここから何を得られるのかを考えながら読んでいたが、この手の本にありがちなところとして、子ども自身から見た視点はやはり欠けていた。非大卒<大卒(低学校歴<高学校歴)が依然として社会的な影響を強くもっているという主張の中、それでは、その現場にさらされている子どもたちはどうすればよいのか。勉強が得意な子どももいるし、勉強が得意でない子どももいる。
子どもの目線から見た風景の議論があれば、相当な厚みのある話になるだろう。
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