奇跡を起こした村のはなし

奇跡を起こした村のはなし

小説・文芸
814円 (税込)

4pt

新潟県山間部の豪雪地帯にある黒川村。冬場は出稼ぎに出ないと立ちゆかない村を、なんとかして自立させたい、と立ち上がった村長と村民がいた。多くの苦境を乗り越え、次々と取り組んだ村営事業。資金源は、国や県が支出する地域振興補助金で、その申請と活用は、サバイバルゲームとなった。バブル崩壊後、畜産に力を入れた村に欧州研修を終えた若手職員たちが次々と戻り、村は新しい特産品でにぎわいはじめた――日本人を励ます、小さいけれど大切な記録。

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奇跡を起こした村のはなし のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    日本にも、こんな村があったんだと思わせてくれた1冊。同じ集中豪雨で同じ災害が起こらないように「改良復旧」させること、補助金制度を活用するための地道な努力やポイント、村役場の人たちの留学制度、これから中山間地域で取り組むべきモデルをやってみての経験知がたくさん詰まっている本だと思う。なぜ、先進的な取り組みをしている地域が国内にも外を見ればあるのに、困っている地域が出てきてしまうんだろう。もっと多くの人に知られていい地域だと思うし、奥多摩でも活かせそうなアイデアもありそうだと思いました。すでに村はなくなり胎内市となっているとのことだけど、一度、訪ねてみようかな。

    0
    2014年06月12日

    Posted by ブクログ

    【日本縦断参考本】

    行政とは 暮らすための集団とは こうあるものなのだろうなぁ と感心しました。村や 市任せでもなく、中央におもねることもなく、地に足つけて その土地の良さを守りながら 生活基盤を立てていく。
    この村の住民が うらやましくなりました。

    0
    2013年02月11日

    Posted by ブクログ


    すべての、公務員と呼ばれる方によんでほしい


    田舎だからとか、災害がどう、ではなく

    民の税金で暮らしているという、その人たちの生き様、

    村を守るための知恵の出し方、

    自らの故郷を守ることこそが、仕事なんだ

    それは、奇跡なんかじゃない、当り前のこと

    0
    2009年10月07日

    Posted by ブクログ

    新潟県にあった黒川村のお話。
    黒川村は2005年に中条町と合併して現在は胎内市となっている。
    黒川村には31歳で当選して以来、12期48年間村長を勤めた伊藤孝二郎という男がいた。
    高度経済成長期、都市化が進み農村が衰退していく中で、伊藤村長は、国から補助金を引っ張り、村に仕事を作り、観光客を呼び寄せ、村を守り抜いた。時代を知り、人情の機微に通じ、本質を見抜き、夢を描き、実行するその経営手腕は、簡単には真似できない卓越した能力である。
    しかし、その能力はおそらく天性のものではない。伊藤村長は、3時まで勉強して6時に起きるような、馬力の持ち主でもあった。
    かつては、中条町で天然ガスが発見されて大企業が進出し、潤っていくのを、羨望の眼差しで眺めていた。
    黒川村には雪しかない。では、スキー場を作ろう。全ては村役場職員の手作りのスキー場から始まった。
    時代も良かった。高度経済成長期で、観光客が集まった。補助金も引っ張れた。
    しかし、それを可能にしたのは、村長を筆頭にした試行錯誤の努力であった。なぜなら、同じ条件で同じようなことができずに衰退した村がたくさんあるからだ。
    したがって、本書は一人のカリスマ的村長がいれば、ここまでできるという成功例である。
    では、いまの時代はどうか。時代が違う。人々が求めているものが違う。その通りだが、伊藤村長が示したのは、どんな波も引き受けて、知恵を絞り、ビジョンを描き、実行することの大切さではなかったか。本気になって阿修羅のように戦えば、どんな状況でも活路が見出せる。その人間の可能性ではなかったか。

    0
    2022年09月13日

    Posted by ブクログ

    豪雪、大水害、過疎という苦境を乗り越え、農業と観光が
    一体化した元気な姿に生まれ変わった黒川村。小さな町や村
    が生き残るための知恵を教えてくれる一冊。

    かつて新潟県に黒川村という村があった。現在は、合併によ
    り消滅してしまったが、連続12期48年村長を勤めた、
    伊藤孝二郎の剛腕により、産業を起こし活性化したという。
    国や県から補助金を得て施設を作るということは、何処でも
    やっている。伊藤が違うのは、徹底的に本物にこだわったと
    ころである。

    ホテル、スキー場、農産物加工施設等は全て村営。役場職員
    を1年間、ヨーロッパに派遣し研修させる。人材育成に費用
    を惜しまない。
    本場に学んだ、ソーセージやヨーグルト、チーズ、ビールを
    作る。地元の農産物を使い地産地消する。余剰を村外に売る
    という考え方なので、需要が安定している。
    施設を相互にリンクさせることで相乗効果を高めるという。

    県内でも、とある村では、名物村長が、農林業で活性化させ
    るとして、指導力を発揮し、補助金を使い村の主要産業とし
    ていた。懐具合はわからないが、傍目には効果をあげている
    ようにみえる。
    となり村でも、補助金を使い施設を整備していたが、あまり
    効果を上げていないようにみえる。
    首長の力量が如実に表れるのが、怖いところである。

    本書は、公務員必読の一冊であろう。特に役場職員に読んで
    欲しい。
    本書を読んで、黒川村に行ってみたくなりました。

    0
    2011年11月23日

    Posted by ブクログ

    [ 内容 ]
    豪雪、大水害、過疎という苦境を乗り越え、農業と観光が一体化した元気な姿に生まれ変わった黒川村。
    小さな町や村が生き残るための知恵を教えてくれる一冊。

    [ 目次 ]
    1 山あいの村の宿命
    2 村が流された!
    3 豊かさの意味
    4 「魔物」から村を守る
    5 本物をつくりたい!
    6 このあとをだれが継ぐのか

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    [ 参考となる書評 ]

    0
    2010年07月03日

    Posted by ブクログ

    娘が地方創生を学ぶことになったのをきっかけに買った本。
    小さな村が、地元を愛する強いリーダーの元で、災害からの復興と、復興の枠に収まらない発展を遂げていく物語。

    大規模企業誘致には向かない豪雪地帯。
    小さな自治体だからこそできる大胆な采配と、あらゆる補助や交付金の制度を駆使して、ホテルもレストランもスキー場も名産品も、すべて村営で経営していく。
    村役場の職員が、農業をやり、ホテルマンをやり、シェフをやり、チーズ職人をやり、ビール職人をやる。スキー場に併設したホテルのレストランでビールやチーズを振る舞う。廃棄する野菜その他は発酵させて肥料として再利用する。
    それらの技術を学ぶために、ドイツやスイスに1年間の海外赴任もする。

    どの自治体でもできる話じゃない。
    今の時代には不可能かもしれない。
    でも、なんだか輝いて見えるのは確かだ。

    一本の映画のような、実話。

    0
    2025年06月11日

    Posted by ブクログ

    2008.2
    村役場の人達誰もが「経営者」の意識を高く持っているんだと感じた。
    0から初めて、周辺知識を吸収すること。どんな仕事にも共通なのかもしれない。

    0
    2009年10月07日

    Posted by ブクログ

    昨日の電車での移動中に、一気に読み終えてしまった一冊です。著者の吉岡さんの構成がテンポよく読ませることもありますが、とある村をめぐる歴史が劇的なため、その先を知りたいと思い、どんどん読んでしまいました。公務員であろうが、どの職であろうが、一番大事なのはプロ意識、職人気質にあるのかもしれないと思いました。就職を考えるときや、今自分が仕事に真摯に向き合えているかと悩んだときに、読んでみると自分の軸をきちんと修正できそうです。

    0
    2009年10月04日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    『奇跡を起こした村の話』
     この本では、黒川村という新潟県の北東部、山形県と接する山間に位置する村の、復旧から復興、発展、そしてゆるやかな衰退を示唆する物語について描かれている。この本から受け取った強いメッセージは「希望を捨てずに頑張ろう」だった。
     黒川村は毎年豪雪に見舞われ、土地に雇用が無く、町のところどころのインフラも壊れ、税金滞納者が続出し、農業ができなくなる冬には都市部に男が出稼ぎに行かなくては家族が食っていけなくなるような、経済的にも環境的にも厳しい状況が続く村であった。1955年、朝鮮特需によって国の貿易高が潤う中、黒川村の村長が病死し、伊藤孝二郎という農業専門高等学在学中に中国出兵を経験した男性が、31歳という若さで村長になることが決まった。ここからこの村の奇跡は始まる。
     まず村長は"共同、協同、協働"を理念に規模の大きな田園を村内に開発し、村の若者の雇用を生み出そうとする。そのころ畑は各農家が所有し、そこを継ぐのは長男が主であった。そのため長男以外の男児の雇用確保が大きな問題となっていたからだ。またその頃、農家が共同で一つの村で農業を行う、というスタイルも新しかった。さらに村長は1950年代に設立された農林省の外郭団体の研修制度を積極的に使用し、村の農業者を積極的に海外に派遣し、そこで学ばせ、村に戻ってきてから村の職員に起用し働かせるという手法を積極的に使用した。農業者を海外に派遣する目的は「知識の取得」よりもどちらかというと「精神的な成長」であった。そのほかにも農耕だけではなく牧畜を始めたり、山の木を切り倒し、簡易なリフトを役場の職員が作り小さなスキー場を開始したりと、村の中に様々なものが生まれ、村が少しずつ活気付いていく。
     そんな中、悲劇が村を襲う。四一水害と四二水害である。この2つの水害によって村は壊滅的なダメージを被る。村の数十人の人が亡くなったこの被害から、村は「前の村より良い状態」を目指し、復旧・復興に取り組む。この水害から物語りは加速する。その後も村長を中心に村の中に様々なものが創られていく。ニジマスの池や宿泊施設、レストラン、チーズやハムの製造所、手打ちそば処、ヨーグルト工場、ドイツの本格ビール園など。減反政策や海外からの輸入品、工業化による集団就職という名の若者の都市部への強奪が村を襲うが、村はそれらに対抗し様々な政策を実現していく。これらの政策は全て国の補助金や制度、全国規模のイベント誘致を村の職員が巧みに利用して資金を調達する。調達した資金は政策の実現に当てられるのだが、その担い手は村長によって海外に派遣され精神的に鍛えられた職員に無茶振りされる。職員は暗中模索で進めていく。政策は一つ一つが村にとって初めてなものばかりで、それぞれの政策で多くのトラブルが発生するが、任された職員は一つ一つ解決しながら、笑いながら前に進んでいく。
     海外に派遣された職員の一人に伊藤和彦という男性がいる。彼はこう述べる。「27歳なんて、ほかの自治他や企業では、また一人前に扱われていないじゃないですか。悪く言えば、ヒヨッコ扱いでしょ。だけど、この村では六億円、七億円を、ポンッとその27歳の2人に全部あずけて、『さぁ、あとはちゃんとやれよ』と任せちゃう。任されたほうも、何とか頑張って、やっちゃうんですよ。このへんが黒川村の強みなのかな、という気がする。」こういうところに小さな自治体の魅力はあると思う。このように村長が絵を描き、若い職員が大きな政策を任されていく。政策が形になるたびに雇用が生まれていく。そうやって伊藤村政は48年間続く。戦後最長の地方自治体政権である。
     この頃、他の自治体はどうなっていたか。『自治体クライシス』によれば、1980-1990は国がリゾート法を制定し、リゾート開発の補助金を自治体にばら撒き始めた。日本の経済成長を支えるための国の政策であった。各自治体は民間企業との合弁組織である第3セクターを用いてリゾート開発を進めたが、結局国の経済状況の悪化やリゾートの乱立、それに加え自治体という"破産"することができない組織という性質や損失補償契約という借金の一括返済が求められる金融機関との契約等により、各自治体の借金はどんどん大きくなっていっていた。北海道の夕張市や青森県の大鰐町などがその例だ。そのような中、黒川村は2002年になっても十分な観光客を確保していた。2003年ごろになると、日本全体の経済が冷え込み、観光客が1990年代の他の自治体と同じように、急激に減り始めたが、観光客が減少しても地産地消による町内の循環により他の自治体のように急激な衰退はしなかったようだ。この点も黒川村のすごいところだと感じた。
     しかし伊藤村長が亡くなった後、日本の経済状況の悪化はさらに激しくなり、若者の雇用形態も変化した。農業が衰退していく中で、ついに2005年、黒川村は他の村と合併し、胎内市になる。
     この本には自然災害や高度経済成長、経済状況の悪化、国内の雇用形態の変化の中を村役場の職員が二人三脚で必死に乗り切ろうとした生き様が記されていた。いくら頑張ってもできないことはあるが、諦めなければなんとか苦しい状況は乗り越えられる。そのようなことをこの本から教えてもらった。最後に伊藤村長の印象に残ったフレーズを載せる。


    "上に立つ者は、それにふさわしい義務を果たさなければならない。人よりも先に憂え、人よりも後で楽しむ者であるべきだ。"-伊藤孝二郎

    0
    2012年07月01日

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