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精神科医である著者は、虐待された人たちが「死にたい」ではなく「消えたい」という表現で「自殺への欲求」を語ることに気付いた。そこには、前提となる「生きたい」がないのだ。彼らがどのように育ち、生き延びて、どんな苦しみを背負っているのかを、丁寧にたどる。そして、立ち直っていった経緯を明らかにする中で、人間の存在の不思議さと、幸せの意味に迫る。
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Posted by ブクログ
アダルトチルドレンが抱えがちである「私は人とは違う」という感覚を「異邦人」というワンフレーズに要約しており、ドンピシャな言葉選びに驚嘆した。
多くの具体的なエピソードが述べられており、読み進められなくなるほど苦しい話もあった。
周囲と同様に振る舞うことはできても、その行為の本質が分からず、他者と感情が共有できない。
まさに海外に出かけた際に現地人へ抱く感覚と似ている。異国人としての浮遊感。生きる世界が違うのだから仕方がないという諦念。
被虐待児は離人感を抱きやすいというが、今を生きていなければ、人生から時間的一貫性が失われてしまう。私には過去や思い出がない。他者と何の感情も共有していなかったから。
もしかすると、私はもう誰かと感情を共有する生き方はできないんじゃないかと思う。
けれどそんな中でも、自分という存在を知りたいという欲はまだある。
知るということは、離れるということ。
私という存在を俯瞰して捉え、ただそこに「在る」何かを受容できるようになれば、消えそうな自我の輪郭が見えてくるのだろうか。
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