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江戸幕府の財政は、初期の頃からほとんどいつも火の車。お金の問題を切り盛りした勘定奉行だが、財政だけでなく農政、交通、司法など政治機能の多くを担い、寺社奉行・町奉行とともに三奉行の一員として、政治案件の意思決定にも深くかかわった。そんな重要役職にもかかわらず、いや重職だったからこそ、家格でなく実力で、ノンキャリアの叩き上げが奉行にのぼりつめる内部昇進の仕組みもあった。社会・文化の変化・成熟、幕藩体制の揺らぎなど、江戸幕府二七〇年の盛衰を、勘定奉行の業績や素顔から解明かす。
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Posted by ブクログ
どんな人が勘定奉行になったのか,勘定奉行へのキャリアパスはどのようなものであったのか,また勘定所の仕組みや役割などはどのようであったのいかについて前半で解説されている。後半は,実際に彼ら勘定奉行が何をおこなったのかについて,財政・金融政策を中心に述べられている。 平易でわかりやすい叙述であるが,最...続きを読む新の研究成果も取り入れつつ,江戸時代の経済政策史がうまくまとめられていて,勉強になった。
叩き上げから就任した者を含めて勘定奉行達が、財政運営に限らず諸政策に深く関与していく様が興味深かった。
江戸時代、経済成長とその拡大から生じた米価の低迷・諸物価の高騰という難問に対処したのが勘定所。本書は幕府のお財布事情を通して江戸時代二百六十年余りを俯瞰したものだ。 幕府の直轄地(天領)経営とそこから得た年貢米を中心とした収入を元に、将軍家の台所の遣り繰りから幕府財政全般を担うに至った勘定所は、計...続きを読む数に明るく実務に裏付けされた「仕事が出来る人」を必要とし、末端の吏僚からトップの奉行に上り詰める道が拓かれていた。 それは家格によって江戸城中での席順・役職の振り出しからその上がりまで決まっていた幕府の組織の中で、極めて例外的な実力本位の部署だったと云える。そのことは勘定所に関わった面々を見れば明らかだろう。 金さんの父親・遠山景晋のような典型的エリート旗本から、「国家が造る貨幣、国家が発行する信用貨幣は瓦礫でもよい、紙鈔に勝る(意訳)」と言い残したとされる荻原重秀、有名な「胡麻の油と百姓は…」の神尾春央に大型公共事業を推し進めた松本秀持、江戸開城の日に幕府に殉じた叩き上げの能吏・川路聖謨に至るまで、その出自と個性・キャリアパス、そして勘定所官僚として打ち出した政策も実に様々だ。 その最期には外交・軍事案件にもコミットするようになったものの、大局を見据えた対応能力に限界があった、との著者の厳しい指摘に頷きつつ、「でもそれは政治家である幕府首脳の責任やないんかなー」という些か判官贔屓的な感想も抱いたりしましたが(まあ、これは個人的な感傷にすぎない)、江戸時代の経済を知るには有難い一冊。
勘定奉行に仮託した江戸時代の行財政史。 荻原茂秀(1696-1712)貨幣改鋳によるマネタリー政策。世襲代官の整理。白石の評価が偏っていることは記述しているが高評価ではない。 神尾春央(1737-1753)定免法・有毛検見法(商品作物等の年貢の評価と年貢増徴の場合の商品作物栽培許可)過酷奉行に仮託し...続きを読むた江戸時代の行財政史。 神尾春央(1737-1753)定免法・有毛検見法(商品作物等の年貢の評価と年貢増徴の場合の商品作物栽培許可)苛斂な収奪 石谷清昌(1750-1779)長崎会所改革(俵物輸出と銀輸入による南鐐二朱銀(計数金貨)融通貸付(御用金による大名低利融資への幕府保証と債権先取) (定信・信明による貨幣の品位確保とデフレ) 服部貞勝・古川氏清 文政貨幣改鋳の開始 遠山景普(1819-1829)文政貨幣改鋳。無二念打払令(財政負担を伴う海防策の否定) 川路聖謨(1852-1858、1863)外国奉行
江戸時代を通じて勘定奉行・勘定所がいかに重要な役職・役所であったか、また幕府経済がどのように破綻していったのかがわかる一冊
勘定奉行というと荻原重秀が代表的かもですが 地味に遠山景晋という学問吟味で見いだされた 英才が印象深いです・・・元々勘定という武士 にとって特殊技能は、家柄重視と思われる江戸 時代においても実力本位であり、歴代の勘定奉 行の中には後家人あがりで末端実務方から内部 昇進を果たし奉行になったものが続出、...続きを読む更には 「百姓と胡麻の油は搾るほど…」で有名な神尾 春央に至っては伊豆の百姓で、代官の不当な裁 判判決に不満を持ち、発奮して御家人株を買い 成り上がったとまで言われる・・・実務優先の 面白い幕府機構がありました(´・ω・`)
<目次> 第1章 勘定奉行は幕府の最重要役人 第2章 御家人でも勘定奉行になれる 第3章 財政危機の始まり 第4章 行財政改革の取組み 第5章 新たな経済政策の模索 第6章 深まる財政危機 第7章 財政破綻 <内容> タイトルは”勘定奉行”だが、江戸時代中~晩期の経済史にもなっている...続きを読む。驚きは、勘定奉行は三奉行の一つなのに、ここだけ世襲の江戸時代において、実務官僚ゆえに、御家人からでも出世できた(いやいや一般の町人クラスからでも)唯一の役職だったということ。 江戸時代の経済の基本は年貢=米だったので、貨幣経済の発達により、早晩破綻する流れだったのだが、勘定奉行はそれに抗うように様々な政策を出したが、抵抗勢力も多く、早急な結果が求められたこともあり、上手くはいかなかった。 新書なので、かなり駆け足な内容だが、ざっくりとはわかる。高校生には厳しいかもしれないが、指導する側の教師が読んで損はないだろう。
難しい!金の鋳造比率や重さを長々と数字を並べられてもよくわからない。 結局勘定奉行は同時に何人かいたのか? 年代を元号だけで西暦は時々しか出てこないので、時間の前後がわかりにくいのも難しい。 最後も突然終わったという感じで全般的に読みにくい。
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勘定奉行の江戸時代
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藤田覚
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