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現在、米ドルは基軸通貨としてますます強くなっている。なぜドルは基軸通貨になったのか。そもそも基軸通貨とは何か。基軸通貨の定義や成立経緯と、米ドルを中心に構築された現代の世界経済体制を解説し、米ドルの覇権に挑戦してきた国際通貨の歴史を検証。さらに近年における新興国のドル離れ、脱ドル化について分析し、将来的に米ドルの基軸通貨としての位置づけが揺らぐ可能性についても検討。そして日本円が米ドルとの関係の中でどうなってゆくのか、そのゆくえを展望する。
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Posted by ブクログ
2025/01/22「基軸通貨」土田陽介☆ 「基軸通貨」は単に通貨や金融・経済の問題に留まらず「世界の覇権」と一体のものなので、著者も言うとおり「消化未了」の感はあるが取り組む姿勢は「了」としたい。 1.当面、「米ドル基軸通貨体制は堅持される」。ただし米国の経済運営が過度な財政拡張を続ける中で、その...続きを読む地位は着実に低下していく。その結果、次に代替される「基軸通貨」は現在、見通せない。 2.「日本円」の今後は大変厳しい。膨れ上がった「公的債務」は間違いなく将来を縛る。①財政拡張の先は財政破綻、円の暴落、そしてハイパーインフレである。そうならないためには②財政拡張を止めること。強烈な痛みが伴うがやむを得ない。そうしなければ「世界の経済体制」から日本は落伍してしまう。 3.歴史的な政治経済の分析は物足りないが、「ロシアの金融経済」「デジタル通貨」などの国際金融情勢については大変有益な記述が多い。また直近の経済データも良く整理されていて判りやすい。 円キャリートレード、2015年人民元ショックなども勉強になった。
16世紀から17世紀は、スペインのペソ(8レアル銀貨)が基軸通貨だった。銀の生産量が増えて暴落して信用力が低下。 イギリスのソブリン金貨(1ポンド金貨)が基軸通貨になった。 平価とは、金銀本位制の下、交換レートのこと。 米ドルに変わる国際通貨を発行できる国が登場していない。 金本位制は、管理通貨制度...続きを読むのメリットを失う。 日本企業は、海外子会社に為替リスクを負わせないためにドル建てで取引する。輸出優先に考えると、相手先通貨で輸出した方が輸出しやすい。日本の加工貿易の名残。 日本円は、キャリートレードの調達通貨となってしまった。 ユーロの基になったのは最適通貨圏の理論だが、所得移転の機能を備えることが通貨統合には必要だった。 中国の元は資本取引規制があるため国際通貨にはならない。 ロシアはドルとユーロから閉め出されて、人民元化が進む。 BRICS共通通貨構想。アルゼンチンのドル化構想で破綻した。アンカー通貨がないので実現は難しい。ユーロはマルクがあったからこそ成立した。 アルゼンチンのドル化は、流通しているペソを回収するので金融引き締め効果がある=経済は縮小するが物価が落ち着くはず。米ドルの信用が高く流通しているので、共通通貨を作ってもだれも使わない。 ルールベースの健全なマクロ経済運営を徹底することが自国の通貨の信用力を高める。 エルサルバドルのビットコイン化。地熱発電によるビットコインのマイニング産業と、海外送金を安くして金融包摂を図れる、という読み。暗号通貨による脱ドル化を図った。ドル志向は簡単には覆らない。 ベネゼエラの暗号資産ペトロ。原油を裏打ちにした、というが人々が信用しないので、ドル化が収まらない。暗号通貨の採用では起死回生の策にはならない。 ウクライナもマイニングによる成長プランを描いていた。 ステーブルコインリブラ構想は、主要国の強い警告で頓挫した。グローバル企業でも信用力を持つ暗号資産を発行できない。 ドル化ガス進むトルコ。非公式な形でドル化、ユーロ化が進む。エルドワン大統領は、資本規制をしてリラ化を進めたが、限定的で、結局マクロ経済運営を引き締めてリラの安定を図った。 メキシコは脱ドル化に成功。インフレターゲットによるルールベースの金融政策運営。金融機関の独立性が前提である。 中南米には、マルクス経済学の影響がある経済学が伝統。大きな政府、輸入代替工業化、財政拡張と金融緩和、これが通貨危機を招いた。 米国経済の強みは人口の安定的な増加。出生率は低いが移民が多い。不法移民のほとんどは亡命希望者。多くの亡命希望者は米国で自由の身になる。 経済制裁は米ドルの信用力を低下させた。ドル離れが進んだ。新興国ほど基軸通貨ドルの持つネットワーク外部性を利用した方が有利。 CBDcが普及すると米ドルの信用低下に繋がる。 暗号通貨が普及するとマネーロンダリングに使われる。それならCBDCを利用したほうがいいのではないか、という考え方がある。暗号通貨業者の破綻リスクもある。 CBDCには、ホールセール型とリテール型に別れる。 リテール型なら、民間業者の破綻リスクはなくなるが、民業圧迫になる。 銀行預金からCBDCへシフトすると、金融政策の波及メカニズムが失われる。銀行預金が流出して金融が不安定になる。リテール型で個人情報が筒抜けになる恐れがある。 リテールでトークン型の場合、マネーロンダリングの恐れは消えない。逆に口座型だと個人情報の漏洩リスクが高まる。 中国は取引を監視できるため、リテール型のCBDCを検討している。 主要国では、ホールセール型は普及が進む。リテール型は、問題が多い。現金の匿名性を考えると、CBDCは通貨の信認を低下させる可能性がある。 日本は利上げができない。その結果円の減価が続く。EUも日本も為替の安定性を放棄して、自由な金融政策と資本移動を認めている。 トルコは資本移動を制限しようとしたが効果は限定的で、マクロ経済運営を引き締めることになった。 通貨の安定には、その方法が迂遠なようだが優れている。 日本は通貨の安定を犠牲にしないと経済運営が成り立たない。貿易赤字が常態化した。原油価格次第。原油価格の上昇で物価が上昇したら金利を引き上げる、という常套手段を取らない限り、円安は続く。 現在の円安が、近隣窮乏化政策にならないのは、世界的な需要過多だから。円安が進んでも貿易黒字にはならない。国内回帰は見込めない。 ヨーロッパはユーロの安定から株価も安定している。 日本の円安が定着すると、インフレヘッジとして株式の購入が進む。 米国に代わる派遣国は、今の世界経済体制と対峙するのではなく、先を引き継ぐものになるはず。
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