歴史・時代 - 文春文庫作品一覧
-
5.0天に臆せず胸を張って生きる男たちを描く 唐・玄宗皇帝の時代。絶対的権力者に抗おうとする若者と、人に人らしからぬ生き方を強いる体制を糺そうとする若僧の、心熱き戦い。 時は玄宗皇帝下の唐、陽物を欠いた名家の貴公子・崔子龍(さいしりゅう)は、辺境民族の征伐に赴く唐軍に従軍し、宦官・辺令誠(へんれいせい)の策略にはまる。心酔する上官・高仙芝(こうせんし)を陥れた辺への復讐を誓う崔の前に現れた僧侶・真智(しんち)。権力闘争に翻弄される男達と、虐げられても強かに生きる女達が安史の乱を機に躍動する歴史大河小説。解説・瀧井朝世 ※この電子書籍は2022年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
-
5.0
-
5.0特攻作戦の全貌を綿密な取材と膨大な資料を駆使して明らかにした入魂の大作。 ベストセラー『不死身の特攻兵』の鴻上尚史氏もリスペクトする戦史小説の金字塔! 菊池寛賞受賞。 レイテ決戦に執着する大本営が縋った特攻作戦。 9回出撃しても生還した“不死身の特攻隊員”佐々木友次伍長。 特攻隊を置き去りにして敵前逃亡した冨永軍司令官。 特攻隊は“志願”と一般に思われているが、これは全くの間違いで、本人の意思を無視した強制であった。 「体当り機」は機首に“死の触覚”の起爆剤がついており、爆弾は機体に固着させ、投下装置がなく、体当りをせざるをえないように造られていた。 この非人道的な“棺桶飛行機”の体当り効果のウソをあばく。 (*荒垣秀雄氏の解説は収録していません。)
-
5.0昭和21年2月9日、元陸軍大佐棚橋真作はGHQからの出頭命令に接して、古式通りの割腹自殺をとげた――著者は、その死に疑問をいだき、間近に迫っていたインパール作戦の陽動作戦として実施された「ハ号作戦」に参加した第55師団の生き残りの人々の証言や日録を克明に調べていくうちに花谷正師団長の部下への自決強要の問題が浮かび上がってくる。軍隊という巨大な組織の冷酷無残な非人間性を描いた戦記文学の傑作。著者のインパール五部作の一冊。
-
5.0
-
5.0
-
5.0
-
5.0戦国時代から明治まで、歴史の転換点となった日本の代表的な合戦を集大成。毛利元就の善謀と麾下の団結が大勝をもたらした厳島の合戦、奇兵を弄した信長が大敵・今川義元を破った桶狭間の合戦、西南戦争の天王山・田原坂の合戦、戦国時代の序幕・応仁の乱、忠臣楠木正行が散華した四条畷の戦、大坂の陣における智将真田幸村の奮戦、さらには太閤秀吉の朝鮮出兵における小早川隆景らの奮戦など、歴史通の著者が史書を渉猟し、その精華を摘録、活写した滋味掬すべき歴史随想集。
-
5.0日露戦争で勇名をはせ海軍大将まで昇りつめた鈴木貫太郎は、侍従長としても天皇の信頼が厚かった。敗色濃い昭和20年4月、鈴木は老齢ながら「最後のご奉公」と総理大臣に就任。徹底抗戦、一億玉砕論渦巻くなか、太平洋戦争に終止符を打つために動く。天皇は「この際、自分のできることはなんでもする」と御前会議で語り、“聖断”により戦争は終わった。平和を希求される天皇と、国家の分断を阻止し、狂瀾を既倒に廻らす大仕事をなす宰相の感動の終戦実録。
-
4.8為政者の徳とは何か。 現代にも通じる王と宰相の関係を描く長篇! 古代中国・晋の宰相として国を支え続けた趙一族の盛衰を、 歴史と運命への透徹した視点をもって描いた初期の傑作長篇。 中国春秋時代の大国・晋。 この国の重臣を代々務めた趙一族。 太陽 の如く酷烈な趙盾、族滅の危機に瀕した趙朔、 名宰相・趙武、王子 朝の乱を鎮定した趙鞅、その子趙無恤……。 二百年にわたる一族の興亡を、透徹した歴史観と清冽な筆致で描いた著者初期の傑作。 指導者に求められる「徳」のありようをめぐる物語。 解説・平尾隆弘 ※この電子書籍は1994年に刊行された文春文庫の新装版を底本としています。
-
4.7新選組副長、土方歳三を描いた司馬遼太郎の代表作が、ついに電子書籍で登場。無類の面白さが貴方を待ち受ける。これぞ小説だ! 不世出の小説家、司馬遼太郎さんには幕末に材を求めた作品がいくつもあります。そのなかで『竜馬がゆく』とともに特別な支持を集めてきたのがこの『燃えよ剣』。武州から出てきた土くさい田舎剣士、土方歳三。天然理心流四代目の剣豪、近藤勇と出会ったとき、歳三の人生、そして幕末史は回転し始める。近藤局長、土方副長の体制で本格始動した京都守護職配下の新選組。沖田総司、永倉新八、斎藤一ら凄腕の剣客が京都の街を震撼させる。池田屋事件などを経て、新選組とともに歳三の名もあがっていくが――。激動する時代のさなかで剣のみを信じ、史上類例を見ない強力な軍事組織をつくりあげた男の生涯を、練達の筆で熱く描きます。
-
4.6女の怖さ、儚さ、したたかさ、危うさ――。 江戸時代に起こった事件をモチーフに紡がれた珠玉の5篇。 単行本『奇説無惨絵条々』を文庫化にあたり改題。 「雲州下屋敷の幽霊」雲州松平家前当主・宗衍の侍女となったお幸は、 どんな酷い仕打ちを宗衍に受けても、恨む素振りを見せない。 業を煮やした宗衍が思いついたのは、彼女の背に刺青を入れさせることだった……。 「女の顔」南町奉行所の将右衛門は、 材木問屋の娘・お熊が夫に毒を盛った事件で下女のお菊を取り調べる。 彼女が頑なに口を割らない裏には恐るべき事実があった。 「夢の浮橋」見世物小屋一座の智は若い男に頼まれて、身の上話をはじめる。 貧乏漁師の家から吉原に売られた彼女は、 花魁の八橋姐さんに可愛がられていたが……。 ほかに「だらだら祭りの頃に」「落合宿の仇討」を収録。 解説・田口幹人(書店人) ※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本『奇説無惨絵条々』を改題した文庫版を底本としています。
-
4.614歳の少年は、何を見たのか。 少年の体験を通して、すさまじい沖縄戦の実相をつぶさに描いた長篇小説。 「郷土を渡すな。全員死ぬのだ」 太平洋戦争末期、沖縄戦の直前、中学生にガリ版ずりの招集令状が出された。小柄な14歳の比嘉真一は、だぶだぶの軍服の袖口を折って、ズボンの裾にゲートルを巻き付け、陸軍二等兵として絶望的な祖国の防衛線に参加する。 実在の人物の体験を、ことこまかに聞きとり、特異な事実をそっくりそのまま写し取った外面的リアリズムが、読む者の胸を強く打つ。 1991年に刊行された文庫本の新装版。元本は、累計102000部のロングセラー。 解説・森史朗 ※この電子書籍は、1911年11月に文春文庫より刊行された文庫の新装版を底本としています。単行本は1982年6月に筑摩書房より「陸軍二等兵 比嘉真一」として刊行されました。
-
4.6井上成美が統率した日米、世紀の海空戦! 史上初めての空母対空母の決戦「珊瑚海海戦」の5日間の攻防。人間井上の戦略観を基底に日米文明の対決を描く。錯誤の海戦の全貌とは
-
4.5後漢という時代は、ひとの美質のなかで、「孝心(親孝行)」を至上とした。 能力よりも徳を重視し、頭脳よりも心を尊重する国家がつくられた。 184年に始まった「黄巾の乱」により、王朝の礎が揺らぐ中、 後漢の理想を体現する名臣たちが輩出する。 大将軍の何進、 劉備の師である盧植、 曹操を支えた荀彧など7人を描く、宮城谷昌光の「三国志」シリーズ。 解説・湯川豊 目次 何進(かしん) 朱儁(しゅしゅん) 王允(おういん) 慮植(ろしょく) 孔融(こうゆう) 皇甫嵩(こうほすう) 荀彧(じゅんいく) ※この電子書籍は2018年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
-
4.5商の紂王に仕える箕子は、王朝存続に心を砕くが、周の太公望が遂に商討伐の軍をおこした。古代中国商王朝の滅亡を描く一大叙事詩。 歴史小説家・宮城谷昌光の実質的デビュー作! 六百年に及ぶ栄華を誇る古代中国商(殷)王朝の宰相箕子は、新興国周の勢力に押されて危殆に瀕した王朝を救うため死力を尽す。 希代の名政治家箕子の思想を縦糸に、殷の紂王、周の文王、妲己、太公望など史上名高い暴君、名君、妖婦、名臣の実像を横糸にして、古代中国王朝の興亡を鮮かに甦らせた長篇歴史ロマン。 それまで活動してきた純文学系同人雑誌が終刊することになり、作家としての岐路に立った宮城谷氏が、以前から興味のあった中国の歴史に材を取り、限定500部の私家版で刊行。 そのうちの1部が司馬遼太郎氏の目にとまり、励ましの葉書を受け取る。 その後、名古屋の海越出版社から刊行され、94年3月に文春文庫化。 解説・平尾隆弘
-
4.5
-
4.5歴史とは、前の事実を踏まえて後の事実が生まれてくる一筋の流れである――明治維新、日露戦争、統帥権、戦艦大和、特攻隊。悲劇への道程に見える一つ一つの事実は、いつ芽吹き、誰の思いで動き出したのか。ベストセラー『昭和史』『幕末史』と並ぶ、わかりやすく語り下ろした戦争史決定版! 日本人の心に今もひそむ「熱狂」への深い危惧が胸に迫る。
-
4.5
-
4.5
-
4.5戦火のサイゴンで日本の新聞記者が、大輪の花のような笑顔に惹かれて子連れのベトナム女性と結婚した。サイゴン陥落後、日本に移り住んだ親子3人だったが、妻のベトナム式生活ぶりと子育て方はまったく変わらず。親に絶対服従のスパルタ教育にショックを受け、可愛いペットのウサギ料理に度肝を抜かれ……毎日のように巻き起こる小事件を通して、アジア人同士のカルチャーギャップを軽妙な筆で描く。大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品。
-
4.5「軍隊は運隊だ」という言葉どおり、運悪く、敗戦と同時に送りこまれたモンゴルの収容所は、まさにこの世の地獄だった。軍律の崩壊した集団に君臨するやくざあがりの大ボス・小ボス。食糧といえば、黒パンとわずかなスープ、それも搾取され、強制労働にかり出される毎日。栄養失調、疾病、私刑で、つぎつぎと失われる生命。襲いくる不条理に耐えながら、帰国を待ち侘びる日々を支えてくれたのは、小説と映画と流行歌への熱い思いだった。死んでいった戦友たちへの祈りをこめた第89回直木賞受賞作。
-
4.4戦後12年目にシベリア帰還者から遺族に届いた6通の遺書。その背後に驚くべき事実が隠されていた! 大宅賞と講談社ノンフィクション賞のダブル受賞に輝いた感動の書。 敗戦から12年目に遺族が手にした6通の遺書。ソ連軍に捕らわれ、極寒と飢餓と重労働のシベリア抑留中に死んだ男のその遺書は、彼を敬慕する仲間たちの驚くべき方法により厳しいソ連監視網をかいくぐったものだった。悪名高き強制収容所(ラーゲリ)に屈しなかった男たちのしたたかな知性と人間性を発掘した感動の傑作。第11回講談社ノンフィクション賞(1989年)、第21回大宅壮一ノンフィクション賞(1990年)を受賞。 解説・吉岡忍
-
4.4
-
4.4太平洋戦中は大本営情報参謀として米軍の作戦を次々と予測的中させて名を馳せ、戦後は自衛隊情報室長を務めた著者が、その稀有な体験を回顧し、情報にうとい日本型組織の欠陥を衝く。
-
4.3妻を想う男、父を信じる娘。誇りをかけた闘いの結末は!? 藩を追われ、貧乏長屋で暮らす柳田格之進。悲劇の真実を知った彼は、仇討ちを決意し……。草なぎ剛主演映画の小説を脚本家が自ら執筆。 映画『碁盤斬り』は、落語の演目として長く親しまれてきた「柳田格之進」を題材に、『日本沈没』『クライマーズ・ハイ』『凪待ち』などを手掛けてきた脚本家の加藤正人さんが、3年半の月日をかけて書き上げたストーリー。 この映画の世界を、加藤さん自身が小説として書き下ろしました。 登場人物の細かな心情の描写はもちろん、映画では描き切れなかった若き日の格之進の姿、また映画のラストの「その後」がしっかりと描かれており、小説好きの読者も十分に楽しめる作品です。 【あらすじ】 娘の絹とふたり、江戸の貧乏長屋で暮らす柳田格之進。 彼は、身に覚えのない罪をきせられた上に妻も喪い、故郷の彦根藩を追われた身だった。 しかし、かねてから嗜む囲碁にはその実直な人柄が表れ、江戸で多くの知己を得る。 ある日、旧知の藩士により、彦根藩での悲劇の真相を知らされた格之進と絹は、復讐を決意する。 絹は仇討ち決行のために、自らが犠牲になる道を選び……。 父と娘の、誇りをかけた闘いが始まる!
-
4.3永遠のヒーロー「鬼平」再来! 人気作家7名が、伝説の男に新たなる命を吹き込みます。 池波正太郎が長谷川平蔵を主人にした短篇小説「浅草・御厨河岸」を書いたのは、昭和42(1967)年のこと。 オール讀物12月号に掲載されたその短篇は大きな反響を呼び、「鬼平犯科帳」としての連載が始まりました。 「鬼平」誕生50周年を迎えた2017年。この記念すべき年に、7人の作家が「鬼平」へ新たな命を吹き込みます。 逢坂剛は「逢坂・平蔵シリーズ」の特別版、上田秀人は武家という官僚社会で生きる平蔵の立場を、諸田玲子は妖盗・葵小僧と鬼平の再対決、風野真知雄は人気シリーズ「耳袋秘帖」鬼平版。 門井慶喜が木村忠吾の食欲の夏を描けば、土橋章宏は平蔵と料理人の味対決、梶よう子は史実の長谷川平蔵に迫ります。これらの短篇に加え、池波正太郎が自らベスト5に選んだ鬼平作品の中から「瓶割り小僧」を特別収録。 各作品に池波正太郎のカット画を使用した、豪華な競作短編集をお楽しみください。
-
4.3没後50年、いまもなお読み継がれる巨匠の傑作短篇から、沢木耕太郎が選び抜いた名品。 山本周五郎の世界へ誘う格好の入門書であり、その作家的本質と高みを知ることができる傑作短篇集の決定版! 生涯、膨大な数の短篇を遺した山本周五郎。 その大半がいまだに読み継がれ、多くの読者に愛され、また後進の作家たちに多大な影響を与え続けている。 市井に生きる庶民の哀歓、弱き者の意地、男と女の不思議など、特に時代小説に傑作が多く、その数も膨大なものがある。 山本周五郎作品に深く傾倒する沢木耕太郎氏が独自の視点と切り口で4巻36篇を選び、各巻の末尾に斬新かつ詳細な解説エッセイを執筆。 第1巻は「一丁目一番地のひと」と題して、周五郎作品に登場する女性像を分析する。 本書の収録作は以下の9篇。 「あだこ」(絶望した武士を立ち直らせるけなげな娘) 「晩秋」(仇である老臣の立派さ) 「おたふく」(かわいい女) 「菊千代抄」(男として育てられた君主の哀しみ) 「その木戸を通って」(ふっと来て、ふっと消えた女) 「ちゃん」(酔っ払いだが腕のいい職人の父親) 「松の花」(妻に死なれて初めて知る妻の偉さ) 「おさん」(自分の性に翻弄される女を追って) 「雨あがる」(おおらかな浪人とその妻)
-
4.3この結末、すべて想定外にして予測不能! 戦国時代に起きた、島津義弘、織田信長、真田昌幸など想定外、七つのストーリーを歴史小説界気鋭の作家たちが描く傑作短編集。 歴史に残るような戦国武将は、戦いに勝つべくして勝つのみにあらず。 時として味方は寡勢、敵は数倍という絶体絶命の場面を潜り抜けて来て、世に名を残したのだ。 織田信長、伊達政宗、浅井長政、島津義弘など七人の武将たちの驚愕の逆転の打開策を、当代きっての名手七人が描く、珠玉の短編アンソロジー。
-
4.3江戸時代に空を飛ぼうとした男がいた! 近江国友の鉄砲鍛冶の一貫斎は旺盛な好奇心から、失敗を重ねながらも反射望遠鏡を日本で最初に作り上げる。 「日本のダ・ヴィンチ」と呼ばれた男、稀代の発明家の生涯。 直木賞作家、山本兼一さんの遺作が文庫で登場。 近江国友村の鉄砲鍛冶である一貫斎は村の訴訟に巻き込まれ江戸に出ることになった。 太平の世に鉄砲の注文は減り、村は景気が悪く寂れた状況にあった。 江戸に出た一貫斎は持ち前の好奇心で交友を広げ、オランダ渡りの新式鉄砲の修繕を依頼される。 見事に鉄砲を直した一貫斎は独自の工夫によって改良型まで作ってしまう。
-
4.3運命の日、すべてはこう動いた! 1941年11月26日、米国は日本に「ハル・ノート」を通告、日米の外交交渉は熾烈を究め、ついに運命の日、12月8日に辿りつく。その時々刻刻の変化を東京、ワシントン、ホノルル、マレー半島に追いながら日本人にとって日米開戦とは何であったのかを冷静に解き明かす。名著『ノモンハンの夏』に続く著者の開戦シリーズ。
-
4.3
-
4.3総発行部数2500万部超! 坂本竜馬の奇蹟の生涯を壮大なスケールで描く、司馬文学の金字塔、遂に電子化! 土佐の郷士の次男坊に生まれながら、ついには維新回天の立役者となった坂本竜馬の奇蹟の生涯を、激動期に生きた多数の青春群像とともに壮大なスケールで描きあげる。司馬遼太郎の永遠のベストセラーが半世紀の時を経て、電子版で新たによみがえる! 第1巻/生まれ落ちたときから背中一面に旋毛がはえていたため、豪気な父は、“千里の駿馬”になるかもしれないと、竜馬と名付けた。が、十二になっても寝小便する。近所の子から「坂本の寝小便ったれ」「坂本の泣き虫」 とからかわれ泣かされて帰ってくる。字を満足に覚えられず、寺子屋の師匠に見捨てられる。そんな竜馬は、十四歳の時に小栗流の道場に通いはじめてから、にわかに顔つきまで変わっていった。竜馬は強い――。幼年時代から、江戸での剣術修業、奥手だった青年時代、人斬り以蔵、桂小五郎との出会いなどを描くシリーズ第1作
-
4.3第17回松本清張賞に輝いた本作の主人公は、戦国末期、天正遣欧少年使節団の1人としてローマに派遣された千々石ミゲル。8年後、帰国した彼らを待ち受けていたのはキリスト教の禁教と厳しい弾圧。信仰に殉じた他の3人に対し、ミゲルは棄教という選択をする。なぜ彼は信仰を捨て、生き抜こうとしたのか? その生涯をミゲルの妻、珠の視点から描く。「物語を押しすすめる筆力は素晴らしいものがあるし、後半に四人の使者が交わす会話などは作者の熱気が伝わってきた。生身の人間が見えた気がした」(伊集院静氏の松本賞選評より)。新人離れした練達の筆が冴える、傑作歴史小説。
-
4.3
-
4.3中堅商社のマニラ事務所長小寺は本社の要請で未経験のラワン材取引きに手を染めた。しかし現地の人々との信頼の上にビジネスを進めようとする彼の前に、厳しい現実が次々とたちはだかってくる……。炎熱の地で困難な国際ビジネスに情熱を燃やす男たち。しかもそこは戦争の傷跡を色濃く残す地であった。第二次大戦当時の日本軍とフィリッピン人との関わり合いを一方に、現代の国際商戦をもう一方に置いて語る巧みな展開と、壮大なスケールで描きあげられた直木賞受賞作品。
-
4.2名君・保科正之の来歴を、爽やかに描きだす。 生まれた直後に養子に出された徳川秀忠の庶子、保科正之。 不遇にも見える生い立ちの陰には、彼を思いやる多くの人々がいた。 養母となった武田信玄の娘、見性院。 人徳の高さを買われ、養父となった高遠藩主、保科正光。 そして陰に日向に力になってきた老中、土井利勝。 江戸城の外で育った「将軍の子」は、 いかにして稀代の名君と呼ばれるに至ったのか。 今もっとも注目される歴史時代小説の新鋭が、その半生を辿る。 ※この電子書籍は2019年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
-
4.2新田次郎文学賞&本屋が選ぶ時代小説大賞W受賞! 維新に放浪された高須松平家の四兄弟。 石高わずか三万石の尾張高須の家に生まれた四兄弟は、縁ある家の養子となる。 幕末の激動期、官軍・幕府に別れて戦う運命に。 御三家尾張藩主となり、いち早く官軍についた次男・慶勝。 一橋家を継ぎ維新派と交渉した五男・茂栄。 美貌と高潔で知られた会津藩主、六男・容保。 京都所司代として兄・容保を補佐し、最後まで転戦した八男・定敬。 兄弟の誰か一人でも欠けていれば、幕末の歴史は変わった――。 埋もれた歴史を活写する傑作長篇小説! 解説・内藤麻里子 ※この電子書籍は2017年12月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
-
4.2太平洋戦争時、日本領土内で起こった劇的な出来事を発掘! 当事者に綿密な取材を行って書き上げられた衝撃の戦史小説 北海道の海辺の寒村に次々と流れ着く死体の群れ。沖合で潜水艦に撃沈された輸送船では、上陸用舟艇に載れたのは将校ばかりだった(「海の棺」) ソ連軍の侵攻にさらされた樺太の炭鉱町で、看護婦たちが集団自決を図った。記者の取材に生き残った元看護婦たちは固く口を閉ざすが……(「手首の記憶」)。 昭和20年8月22日。戦争は終わったはずの北の海で、ソ連籍と思しき潜水艦の攻撃で沈没した「小笠原丸」の悲劇(「烏の浜」)。 沖縄戦で軍司令部の散発要員として軍に帯同した理髪師が見た、軍司令官自決の真実(「剃刀」)。 訓練中に不幸な事故で沈没した潜水艦・伊三十三。9年の歳月を経て引き上げられた艦内の一室からは、生けるが如き13名の遺体が発見された(「総員起シ」)。 全5篇を収録。
-
4.2
-
4.2
-
4.2十年の歳月をかけて取材執筆、ハルバースタム最後の作品 1950年、北朝鮮軍の南進により勃発した朝鮮戦争。反共の名の下に、参戦を決定したアメリカだったが、それは過酷極まりない戦争への突入だった。スターリン、金日成、トルーマン、マッカーサー、毛沢東―時の指導者たちが抱いた野望と誤算、彼らに翻弄され凍土に消えた兵士たちの血の肉声…その全てから、あの戦争の全貌に迫る。 【目次】 第1部 雲山の警告 第2部 暗い日々―北朝鮮人民軍が南進 第3部 ワシントン、参戦へ 第4部 欧州優先か、アジア優先か 第5部 詰めの一手になるか―北朝鮮軍、釜山へ 第6部 マッカーサーが流れをかえる―仁川上陸 第7部 三十八度線の北へ
-
4.2
-
4.2
-
4.2
-
4.2昭和19年3月、パラオ島からフィリピンに向かった2機の大型飛行艇が、荒天のため洋上に墜落した。機内には古賀連合艦隊司令長官と福留参謀長が分乗していた。参謀長以下9名は漂流するも一命をとりとめたが、米匪軍とよばれるフィリピンゲリラの捕虜になる。果たして参謀長の所持する海軍の最重要機密書類は敵方に渡ってしまったのか……。戦史の大きな謎に緻密な取材で挑戦する、極上の記録文学。「海軍甲事件」「八人の戦犯」「シンデモラッパヲ」もあわせて収録。
-
4.2
-
4.1戦争に圧しつぶされた人間の苦悩を描いた傑作 戦時下の緊迫した海軍航空隊で、若き整備兵が背負った過酷な運命とは? 軍用飛行機をバラせ……その男の言葉に若い整備兵は青ざめた。昭和19年、戦況の悪化にともない、切迫した空気の張りつめる霞ヶ浦海軍航空隊で、苛酷な日々を送る彼は、見知らぬ男の好意を受け入れたばかりに、飛行機を爆破して脱走するという運命を背負う。初期の力作長篇が待望の再登場。 解説・杉山隆男