杉本章子の作品一覧
「杉本章子」の「精姫様一条 お狂言師歌吉うきよ暦」「大奥二人道成寺 お狂言師歌吉うきよ暦」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
- 作者をフォローする
- フォローすると、この作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
「杉本章子」の「精姫様一条 お狂言師歌吉うきよ暦」「大奥二人道成寺 お狂言師歌吉うきよ暦」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
Posted by ブクログ
カナリア恋唄 お狂言師歌吉うきよ暦
by 杉本章子、深井国
「同じ組内と申すが、話をおまえといっしょにしてはならぬ。おまえはお扶持の多い家へ嫁ぎ、由乃殿はその逆なのじゃ。そこのところを忘れるな」
縁談の相手は、お徒衆 大竹 理 左衛門 の次女由乃で、今年二十四という。だいぶ 薹 が立っているのは、二十で嫁ぐはずだった 許婚 が婚礼の半年前に急死したからだそうだ。
許婚の死に 様 は、由乃にも影を落とした。以来かんばしい縁談もなく、たまに良縁と思われる話がきても、後妻の口だったり、相手が四十男だったりした。 由乃の下には妹がいて、その娘も 嫁 けなければならず、親は焦りに焦っていたところへ、中田からそれとなく 下話 がきたのである。
「まさ江に先立たれて、つくづく思うた。 夫婦 というのはさようさ、相棒のようなものじゃ。相棒なのだからして新吾、あうんの呼吸が合わねばならぬ。まさ江は、わしのよき相棒であった」 「…………」 「そしてな、この齢になってみると人の一生というやつは、まことに 須臾 の間だとわかるのだ。さればこそ、気に染まぬ女子と 組 になるより、想い人と組になれと申しておる」 「まことにありがたく、また、もったいなき仰せなれど、わたくしには想い人などおりませぬ」
「どうだ、お父上は喜んでおられよう。祝言のときしかお目にかかっておらぬが、由乃殿はしとやかで控え目なおかたのようだ。男所帯返上で、家内は明るうなったであろう」
まさか日向は、自分しか知らぬはずの由乃の娘時分の不始末を、父喜兵衛がとっくに知っていて、胸にたたんでいるとはゆめ思わない。