杉本章子のレビュー一覧
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カナリア恋唄 お狂言師歌吉うきよ暦
by 杉本章子、深井国
「同じ組内と申すが、話をおまえといっしょにしてはならぬ。おまえはお扶持の多い家へ嫁ぎ、由乃殿はその逆なのじゃ。そこのところを忘れるな」
縁談の相手は、お徒衆 大竹 理 左衛門 の次女由乃で、今年二十四という。だいぶ 薹 が立っているのは、二十で嫁ぐはずだった 許婚 が婚礼の半年前に急死したからだそうだ。
許婚の死に 様 は、由乃にも影を落とした。以来かんばしい縁談もなく、たまに良縁と思われる話がきても、後妻の口だったり、相手が四十男だったりした。 由乃の下には妹がいて、その娘も 嫁 けなければならず、親は焦りに焦っていたところへ、中田からそれとなく 下話 がきたのである。
「まさ江に先立たれて、つくづく思うた。 夫婦 というのはさようさ、相棒のようなものじゃ。相棒なのだからして新吾、あうんの呼吸が合わねばならぬ。まさ江は、わしのよき相棒であった」 「…………」 「そしてな、この齢になってみると人の一生というやつは、まことに 須臾 の間だとわかるのだ。さればこそ、気に染まぬ女子と 組 になるより、想い人と組になれと申しておる」 「まことにありがたく、また、もったいなき仰せなれど、わたくしには想い人などおりませぬ」
「どうだ、お父上は喜んでおられよう。祝言のときしかお目にかかっておらぬが、由乃殿はしとやかで控え目なおかたのようだ。男所帯返上で、家内は明るうなったであろう」
まさか日向は、自分しか知らぬはずの由乃の娘時分の不始末を、父喜兵衛がとっくに知っていて、胸にたたんでいるとはゆめ思わない。 -
Posted by ブクログ
現在放送中の大河ドラマに関連して、蔦重と写楽の物語を読んでみた。
こちらの写楽は通説とは違って、大胆なキャラクター設定で驚かされた。
ただ、写楽の10ヶ月という短い制作期間、後期の技術の低下、落款の変化という謎に応える内容になっていて、興味深く読めた。
大河ドラマでは蔦重と強い絆で結ばれているのは歌麿だが、この作品では割とアッサリしている。歌麿が蔦屋から離れるのも理由ははっきりと描かれず、お金なのかなと思われるのみ。ドラマではどのように描かれるのか楽しみだ。
一方、蔦重の妻についてはきちんとした文献がないらしく、名前も分からないらしいだけに、こちらもドラマとは全く違う設定になっている。
他にも鱗形屋や西村屋との、ドラマとは違ったドロドロ関係があった。
ただ妻に関しては切なくて可哀想で、時代とは言え堪らなかった。
蔦重の商才を描くというよりは、蔦重の半生が描かれた作品で、彼の人となりや人間関係を興味深く読んだ。
歌舞伎役者の中村仲蔵が親類だとは、史実なのだろうか。
調べてみよう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ(ネタバレ)
「お狂言師歌吉うきよ暦」シリーズ。
まさかの、遺作とはな。。。未完のまま、おわってしまうのか、、
この事件も、解決しないんだな。杉本さんの頭のなかには、あったようだけれど、でも、重い結末が予定されていたようだ。。
いっときでも、日向とお吉が堂々と、陽のもとで寄り添って暮らせる日がみたかったな。目前だったのにな。
歌仙まで手駒に加わって、これから面白くなりそうだったのになあ。煮え切らない身勝手な日向にイラっとしながらも、なにげに好きだったのになあこの物語。ざんねん。
どなたか、ファンが予想の最終回を仕上げてくれないかなあ。同人誌ででも読みたい。この、芸事の世界の女性たちの台詞まわしが粋で好きだったのになあ。身のこなしを想像するのも楽しかった。ざんねん。こういうことがあるから、シリーズものって終わりが難しいんだろうね。かわせみも、途中のままにならないでほしい。。。。