杉本章子のレビュー一覧

  • 東京新大橋雨中図
    小林清親が主人公の時代物。江戸から明治に変わりゆく中で、絵師として確立していく様子と人情を描いた時代小説。
    彼の描いた作品と逸話に盛り込むあたりが、また面白い。
    若き日の井上安治も登場する。久しぶりに杉浦日向子のYASUJI東京を読み返したくなった。
  • 起き姫 口入れ屋のおんな
    口入れ屋は ただ紹介するだけではなく
    人と人をつなぐ仕事だとして
    懸命にそれぞれの行く先を思案するうちに
    おこうにも 思わぬ縁が芽生えることになります
    江戸の庶民の生活が
    しっかり描かれて読みごたえがあり
    これぞ 時代小説だな と満足のいく作品です
  • 東京新大橋雨中図
    春告鳥が初めて読んだ杉本章子先生の作品だったが、短編集ながらとても面白く興味が沸いたので直木賞を受賞されたこの作品を読んでみた。実在の絵師小林清親の半生を描いたとても面白い作品で久しぶりに一気読みした。杉本先生は惜しくも2015年に早逝されたそうだが、残された作品がかなりあるのでこれからどんどん読ん...続きを読む
  • カナリア恋唄 お狂言師歌吉うきよ暦
    あと一話、最終話を残して逝ってしまわれたのか。「といちはいち」の事件はどう決着するつもりだったのだろう。それよりも日向と歌吉にはインタビューでの予告通り、悲しい結末が用意されていたのか。作中人物の命は著者の思いのままながら、著者自らの命はいかんともし難い。一度きり会話させただいた杉本さんは才色兼備、...続きを読む
  • 春告鳥 女占い十二か月
    主人公は睦月から師走までの各月に生まれた12人の女性たち。実際に出版されていたという『女用知恵鑑宝織』に記される自らの生まれ月の吉凶占いを読み、惑う者あり、あしらう者あり。月々の風習や風物の描写が心地よいし、ためになる。
  • お狂言師歌吉うきよ暦
    先日読み終わった「大奥二人道成寺」と同じお狂言師歌吉シリーズである。
    この「うきよ暦」のほうが先に書かれたものである。
    江戸情緒たっぷりのなかに、少しスリリングな場面もでてくる。
    読み出すと引き込まれて止められない面白さで、
    睡眠不足にさせる、罪なことである。
  • 東京新大橋雨中図
    直木賞受賞作品。木版浮世絵師・小林清親の物語。清親の画風に沿うように書かれたのか、とても品の良い作品だった。
  • カナリア恋唄 お狂言師歌吉うきよ暦
    お狂言師歌吉うきよ暦 シリーズ4 にして最終編

    歌吉こと、お吉は、三代目水木歌仙の弟子で、お狂言師となった後も、厳しく仕込まれている。
    お吉には、裏の顔として、お小人目付の日向新吾と岡本才次郎の手駒として、様々な事件に関わっていた。

    手駒となり、6年。
    お吉と、日向は、想い想われの仲になったが、...続きを読む
  • 精姫様一条 お狂言師歌吉うきよ暦
    ていねい書かれていて、もっと杉本作品を読んでもいいなと思えた。
    お狂言師、隠密の日常の姿など興味深かった。ちょっと切ない物語。
    もっと続きが見たかった。
  • 起き姫 口入れ屋のおんな
    夫の浮気相手に子どもが出来、婚家を離れたおこう。
    元乳母が営んでいた、口入れ屋・三春屋を引き継ぐことになります。
    人と人を結ぶ稼業である、口入れ屋が舞台という事で、そこに関わる人々の悲喜こもごもが、心情細やかに描かれています。
    おこうが自分が傷つかない為に、前の婚家で変に辛抱したり、友二郎との関係を...続きを読む
  • 起き姫 口入れ屋のおんな
    浮気相手に子供まで出来た夫に嫌気がさし離縁。実家でも心休まることなく行き着くところはかつての乳母の元 口入れ屋。
    人と人とを結ぶ口入れ屋。
    人が生き生きと描かれていてたくましくも微笑ましく暖かく読めた。
    面白かったなぁ。シリーズ化されないのが哀しい。
  • 起き姫 口入れ屋のおんな
    杉本先生の本を読んだのがこれが初めてでとても面白かった。夫が浮気で子を生したことで婚家を出たおこうが元乳母の後を継いで口入れ屋の女主人になるお話。江戸市井のお話は大好きなのでこれから杉本先生の小説を沢山読みたい。江戸市井の話と言えば宇江佐真理先生がお書きになる小説も大好きだったが、お二人とも同時期に...続きを読む
  • 東京新大橋雨中図
    江戸から明治へ変わる激変の時を、幕府下級武士の小林清親を主人公に女性的な些細な事もきっちりと表現されている。
    江戸の下級武士で有りながら幕府に律儀で駿河に母親を連れて移る。しかし駿河では食うのがやっとの生活で剣劇をやったり、漁師をやったりで辛酸を舐める。母親を連れて東京に帰るがここでも力仕事しかない...続きを読む
  • 起き姫 口入れ屋のおんな
    江戸情緒あふれる小説
    しっとりと読みました
    ちょっとむかつく登場人物も含めて

    小さな起き上がりこぼし 起き姫
    それに守られて
    前へ前へ
    しあわせをつかんでいくおこう

    病をおして不屈の精神で書かれていたという
    作品たち、これからも読み継がれていきます
    ありがとうございました
     
    ≪ 口入れ屋 弱音...続きを読む
  • 起き姫 口入れ屋のおんな
    201711/出てくる女性陣が、みな生き生きと力強く描かれてて面白かった!最終的にお店を引き継いでしまうラストがちょっと好みではなかったかな。
  • カナリア恋唄 お狂言師歌吉うきよ暦
    (ネタバレ)
    「お狂言師歌吉うきよ暦」シリーズ。
    まさかの、遺作とはな。。。未完のまま、おわってしまうのか、、
    この事件も、解決しないんだな。杉本さんの頭のなかには、あったようだけれど、でも、重い結末が予定されていたようだ。。
    いっときでも、日向とお吉が堂々と、陽のもとで寄り添って暮らせる日がみたか...続きを読む
  • 東京影同心
    出だしは捕物帳だが、1人の若い同心が御一新を迎えて生き方をどう変えていくか、というテーマになっていく。「今さら新政府になど士官できるか!」という展開になりそうなのに、うじうじしたり、流れに任せっぱなしで(女性関係もね…)、なかなか期待に応えない…。
  • カナリア恋唄 お狂言師歌吉うきよ暦
    その才能と美貌のために、仲間から嫉妬され顔を傷つけられてしまった主人公。
    迷いながら生きてきた道は、女にしては過酷である。
    光が見えてきたような気もしていたのだが、哀しい結末を考えていたということなので、含みを持たせたまた終わってしまっているのは、これはこれでよいのではないかと思います。
  • 東京影同心
    三章に分かれた連続もの
    幕末から明治にかけて同心の生きざま
    影で蠢く者はたとえ叔父でも、新政府の要人でも