昭和19年3月、パラオ島からフィリピンに向かった2機の大型飛行艇が、荒天のため洋上に墜落した。機内には古賀連合艦隊司令長官と福留参謀長が分乗していた。参謀長以下9名は漂流するも一命をとりとめたが、米匪軍とよばれるフィリピンゲリラの捕虜になる。果たして参謀長の所持する海軍の最重要機密書類は敵方に渡ってしまったのか……。戦史の大きな謎に緻密な取材で挑戦する、極上の記録文学。「海軍甲事件」「八人の戦犯」「シンデモラッパヲ」もあわせて収録。
Posted by ブクログ 2017年08月31日
第二次大戦で、連合艦隊の福留参謀長が遭難し、保持していた機密書類を紛失した事件を乙事件と言い、戦後それが米軍の手に渡っていたことが判明した。
作者は、戦後生き残っていた当時の事件現場にいた関係者を訪ね歩き、その遭難の状況を再現したのが本書である。したがって、小説というよりもほとんどノンフィクショ...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年10月01日
1934年、山本五十六氏を乗せた日本軍機が待ち伏せされて南海に散った翌年、氏の後任を含む一向が空襲を逃れパラオからミンダナオに飛ぶ途中に遭難。
その折、ゲリラに没収された海軍Z作戦計画書が米軍の手に渡っていたにも関わらず、同計画書没収の事実を大営本部がエリート意識の高さゆえ握りつぶしたため作 戦は...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年07月18日
古本で購入。
吉村昭はやっぱり凄いな、と改めて思う1冊。
飛行艇の遭難により古賀連合艦隊司令長官が殉職、更には参謀長らの携行した極秘作戦書を米軍が指導するゲリラに奪われた事件を描く「海軍乙事件」。
巻末に付された「調査メモ」によると、吉村昭がこの事件を調べ始めたのは、昭和47年のことだという...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年03月14日
表題作の「海軍乙事件」をはじめ、「海軍甲事件」「八人の戦犯」「シンデモラッパヲ」の戦争記録小説4編を収録。
「海軍乙事件」は山本五十六の後、GF長官となった古賀峯一大将とその司令部が、アメリカ軍攻撃からの避難のため二式大艇2機に分乗して飛行中に嵐に遭い古賀らが殉職、参謀長福留中将らはゲリラの捕虜とな...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年11月11日
「吉村昭」のノンフィクション短篇集『海軍乙事件』を読みました。
『戦艦武蔵』、『高熱隧道』に続き「吉村昭」作品です。
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昭和19年3月、パラオ島からフィリピンに向かった2機の大型飛行艇が、荒天のため洋上に墜落した。
機内には「古賀連合艦隊司令長官」と...続きを読む