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鉄砲をどう運用すべきか。 天候を予測することはできるのか……。 織田信長による戦の勝利の裏側には恐ろしいまでの合理的思考があった。 戦国の世、最も先を見据えていた男が最後に導き出したものは、 自らの死後、明智を破る秘策だった―。 独自の着眼で誰も見たことのない信長像に迫る、傑作短編歴史小説集。 解説・天野純希 ※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
織田信長に纏わる7つの話を纏めた短編集。 馬廻の荒川新八郎とその家臣甚弥が高野山で出会った将来を占う水鏡、今川義元の首を取った毛利新介と一番槍をつけた服部兄弟をめぐる偽首、信長を暗殺しようとした杉谷善住坊を描いた弾丸、天気を読む男を描いた軍師、木津川口の戦いの鉄甲船、長篠の戦い、本能寺の変を弥助目線...続きを読むから描いた首級など個性的で独創的な物語であった。信長はやはり炯眼の持ち主。
信長を探偵的ポジションに据えた短編連作……ということだけど、各話の主人公はそれぞれ別の人物で、話によっては信長がほんの少ししか登場しない。そして、それぞれの話で登場するモブと思われていた人物が有機的に繋がり、他の話に頻繁に登場したり、あるいは主人公になったりするところが面白い。謎のトリック自体はそこ...続きを読むまで難解ではなく、大筋の結末は読んでいて途中でわかることも多いけれども、なるほどあのシーン伏線だったのかという散りばめ方、因果関係の結びつけ方が上手いと思った。あと、主人公の人選も面白い。 水鏡: オカルト仕立ての作品。若干荒川新八郎の心情変化が極端すぎるかな?高野の尼僧の煽りに笑う 偽首: 登場人物全員キャラが立っていて、駆け引きも面白い名作。コミカライズしたらめっちゃ話題になりそう。この設定マジ?と思って史実の人物相関調べたら本当にそうなってて、びっくり。 弾丸: 杉谷善住坊が重厚なキャラなのに依頼主の条件が厳しすぎるせいで完全にゴルゴ13並の狙撃力になってて、その部分は荒唐無稽なんだけど、話の筋道はよく通っている。なるほど。この作品で秀吉が唯一余裕を失った相手が善住坊……やっぱりゴルゴでは 軍師: このトリックはコンカフェキャストと話すことが多いオタクには一発でバレます。だいたい誰かはこの話してるから。 前話のモブ武将として登場している主人公又助の正体が本書での一番の驚きで、一二を争う面白さ 鉄船: 冒頭の命題は確かに同じ疑問を持ってて、解決策もほぼ予想通りだったが、驚いたのはその先。局地戦の話ではなく、対毛利戦略を見据えた秀吉に唸らされた。あと、強烈な妄想癖属性を付与された九鬼嘉隆ワラ。これは軍師になれます。 鉄砲: え?三段打ちは最近は……と思いつつ読んでいたら、ああそういう落とし所。確かに。戦術面での解決策と並行して描かれる明智光秀の様々な事情が最終話と絡み合っている。 首級: 本能寺の変で討たれた信長の首は見つかっていないのですが、いったいどこに消えたのか? 近習弥助が主人公の壮大なスケールの話。伏線びっしり。チンギスハーンの名前も出てきて義経伝説的なノリを最後に匂わせてくる。
鉄砲をどう運用すべきか?天候を予測するこたは可能か?織田信長による戦の勝利の裏側には信じられないほどの合理的思考があった。天下統一までの道のりにちりばめられた七つの謎を解き明かす。作家独自の着眼で誰も見たことのない信長像に迫る傑作歴史小説。
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