国内小説 - 集英社 - 集英社文芸単行本作品一覧

  • 完結記念!! 「百舌シリーズ」ガイドブック
    無料あり
    5.0
    スタートから33年――、ついにシリーズ完結!! 本シリーズの完結を記念して、小社PR誌に掲載された俳優・西島秀俊さんとの対談や「劇場版 MOZU」の監督・羽住英一郎さんとの対談、シリーズ全体を振り返る著者インタビューを収録したデジタルガイドブックを配信いたします。さらに百舌シリーズの試し読みも収録。公安と殺し屋の攻防を描いた“伝説の物語”を見届けろ! 逢坂剛の世界をより広く知るために、小社配信のほか作品の試し読みも収録。

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  • 正しき地図の裏側より
    4.8
    【第36回小説すばる新人賞受賞作】 定時制高校に通いながら無職の父に代わり働く耕一郎は、ある冬、苦労して貯めた八万円が無くなっていたことに気づく。 このことを父に問い質すと、父は金を使ったことを悪びれもせずに認めた上、予想を超える衝撃の言葉を言い放った。 衝動的に父を殴り飛ばした耕一郎は、雪の中に倒れた父を放置して故郷を逃げるように去る。 しかし、僅かな所持金は瞬く間に減り、逃亡生活は厳しくなる一方。 遂に金が底をつき、すべてを諦めようとしたそのとき、 「……なに、訳あり?」 公園の隅、小さなホームレスの溜まり場から、ひとつの手が差し伸べられる。 出会いと別れを繰り返し、残酷な現実を乗り越えた先、故郷へと帰る決意を固めた耕一郎を待ち受けていたものは――。 社会から切り離される圧倒的な絶望と、心と心が深く繋がるやさしさを描いた、25歳の若き著者による感動のデビュー作。
  • ずっとそこにいるつもり?【一編無料試し読み版】
    無料あり
    4.8
    閉塞的な現実を背負う人たちの、さまざまな葛藤の中で現れた「気づき」とは。 念願だった映画の宣伝会社に転職した弥生。そんななか、夫から切り出された「ある提案」を受け入れられず、忙しさにかまけ、決断を先延ばしにしていた。だが、その日は確実に迫っていて……(「あなたのママじゃない」)。優良メーカーに内定が決まった大学生の健生。サークルで知り合った友達以上恋人未満の彼女から同棲を仄めかされるが、うやむやにしていた。そんなある日、アパートに帰宅すると、かつて池袋で共に暮らした美空が現れ……(「BE MY BABY」)。ほか全5編の収録作から、 女性作家集団アミの会主催「アミの会短編アワード2022」受賞作「まだあの場所にいる」を無料公開いたします。 ぜひご一読ください。 ○「まだあの場所にいる」内容紹介 初対面なのに物怖じせず、屈託のない転校生の美月を前に、副担任の杏子の心はざわめいた。懸念されることの一つは、クラスの中心的人物で問題児でもある莉愛が虐めの標的にすることだったが……。

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  • フェスタ
    4.7
    北海道浦河町で生産牧場を営む三上収、三上徹の親子。 パリ・ロンシャン競馬場で開催される世界最高峰の「凱旋門賞」の舞台で力を発揮できるのは、ステイゴールドの血統に違いない――と確信していた。 そう結論づけた収はその産駒であり、かつて凱旋門賞で二着となったナカヤマフェスタの種付けを続けていた。そうして収が自信を持って作り出した仔馬は、調教師・児玉健司の目に留まり、将来の可能性を信じた馬主の小森達之助に引き取られることに。 二歳となりカムナビと名付けられたかつての仔馬は、美浦の児玉厩舎に引き取られ、その気性の荒さから厩務員である小田島雅彦らに手を焼かせていた。 一進一退しながらも着々と結果を残していくカムナビ。 目指すは、日本競馬界の悲願である凱旋門賞制覇。 生産者、厩務員、調教師、馬主、ジョッキー……ホースマンたちの夢を一頭の競走馬に懸けた熱き物語。
  • 西加奈子最新短編小説集『わたしに会いたい』無料試し読み
    無料あり
    4.7
    西加奈子最新短編小説集『わたしに会いたい』、11月2日(木)発売・配信決定! コロナ禍以前の2019年より、自身の乳がん発覚から治療を行った22年にかけて発表された7編と書き下ろし1編を含む、全8編を収録。 誰かの価値観を押し付けられることが多いこの国で、自分のヒーローは自分でしかない。 フィクションだからこそ描ける、「自分を生きたい」という力強いメッセージに溢れた傑作が誕生しました。 本書の発売・配信に先駆け、表題作「わたしに会いたい」を全文掲載した無料試し読み電子書籍を配信いたします。ぜひDLしてお読みください。 【全文無料公開「わたしに会いたい」あらすじ】 父親が異なる3人の姉を持つわたしが心を許せるのは、いとこのモトだけだった。一人っ子のモトの部屋にはたくさんのおもちゃと本があり、いつもモトの部屋で遊んでいた。ある日、幼稚園で歩き方がおかしいと言われて病院に行くと、骨が変形していて、歩き方は生涯治らないことを告げられる。わたしは、その日もモトの部屋に行った。すると、家に帰って来たモトは、玄関にわたしがいた、と言う。モトは、わたしのドッペルゲンガーに出会ったのだ。それから毎日、わたしは「わたし」について考えた。

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  • 対になる人
    4.7
    はじめて彼女を殺したのは母親だった。小学2年生の彼女を絶望的にまで殺し尽くしたのは教諭である鈴木による性的虐待だった。鈴木先生は6人の彼女を生みだすきっかけとなった。17歳のときに彼女を犯し、完全に殺したのは水原君と10人の仲間たちだった。そのとき新たに2人、あるいはさらに多数の彼女が生まれた――。冬の札幌で、小説家・菱沼が出会ったのは、心に50の人格を宿す女だった。DV被害にあう女に手を差し伸べた男は、信じられないほど壮絶な彼女の過去を知ることに……。柴田錬三郎賞を受賞した作家が満身創痍で放つ、迫真の長編サイコスリラー。
  • うきよの恋花 好色五人女別伝
    4.5
    この恋は、地獄につながっている――。 女はなぜ、男のために火付けをし、火あぶりになったのか(「八百屋お七」)。 女はなぜ、道ならぬ恋におぼれ、自ら鉋(かんな)で胸を突いたのか(「樽屋おせん」)。 女はなぜ、ふしだらな下男と駆け落ちし、心を喪ったのか(「お夏清十郎」)。 江戸時代の人々の注目の的になった恋の事件の裏には、 悲しい“まこと”と、優しい“ほら”があった―― 心中、駆け落ち、不義密通。 江戸のスキャンダルをまとめた井原西鶴の代表作『好色五人女』を大胆に新解釈した、胸に刺さる悲恋時代小説。
  • シリーズ最新刊『浮雲心霊奇譚 血縁の理』刊行記念小冊子
    無料あり
    4.5
    【無料小冊子】赤眼の憑きもの落とし・浮雲。絵師の卵・八十八。江戸を震撼させる怪異がふたりを襲う――。680万部超の大ヒットシリーズ『心霊探偵八雲』のルーツを描く、幕末ミステリー「浮雲心霊奇譚」。シリーズの最新刊刊行を記念して、「赤眼の理」「妖刀の理」「菩薩の理」「白蛇の理」「呪術師の宴」「血縁の理」各巻刊行時の著者インタビューを収録したデジタルのみの無料小冊子を特別配信!

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  • 合本版 浮雲心霊奇譚
    4.5
    赤眼の憑きもの落とし・浮雲。絵師の卵・八十八。江戸を震撼させる怪異がふたりを襲う――。680万部超の大ヒットシリーズ『心霊探偵八雲』のルーツを描く、幕末ミステリー。シリーズ『浮雲心霊奇譚 赤眼の理』から最新刊『浮雲心霊奇譚 血縁の理』の全6冊を電子合本! 単行本版1800ページ超が一冊に!! 単行本掲載のイラストを特別収録。※本電子書籍は単行本版を底本としています。
  • 八十八夜物語 1
    4.5
    1~5巻440~555円 (税込)
    夏も近づく八十八夜。野にも山にも若葉がしげる。古い歌を口ずさむたびに、亡き母の言葉がよみがえる。「一年のうちで、いちばん美しい季節が八十八夜の頃。あなたの人生の八十八夜を大切に……」。加納妙子、23歳。この美しい季節を無駄にすごせない。殺風景なオフィス、平凡な男たち、ありふれたOL生活に別れを告げようと思った。
  • ラブカは静かに弓を持つ
    4.4
    【2023年本屋大賞第2位】 【第25回大藪春彦賞受賞】 【第6回未来屋小説大賞第1位】 【第44回吉川英治文学新人賞ノミネート】 深く潜れば潜るほど、主人公と自分を重ね、浅葉先生に救われ、突き刺される。 暗い深海で一筋の光にすがるように、どうか壊れてしまわないでと願いながら、一気に読み終えました。 限られた文字数では、語りきることなどできません。 この物語はこう紡がれ、奏でられるしかなかったのだと、心から感じました。 まだずっと、余韻が残響のように、自分の中で鳴り続けています。 ――斉藤壮馬さん(声優) その人は尊敬すべき師であると同時に、得がたい友人になった。 内向的な青年の冷めた視線に映し出された世界が、次第にみずみずしく光に満ちた世界に変わっていく。 たとえその前提が裏切り行為であったにしても。 ――篠田節子さん(作家) 優れた演奏を聴き終えたかのような感動が胸に満ちてくる。 嘘を重ねる主人公にこうまで味方したくなるのは、 書き手の筆に嘘がないからだろう。 〈音楽の力〉によって結びつき回復してゆく人々を、 〈言葉の力〉で描ききった希有な小説。 ――村山由佳さん(作家) 武器はチェロ。 潜入先は音楽教室。 傷を抱えた美しき潜入調査員の孤独な闘いが今、始まる。 『金木犀とメテオラ』で注目の新鋭が、想像を超えた感動へ読者を誘う、心震える“スパイ×音楽”小説! 少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘。 ある日、上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。 目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。 橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉のもとに通い始める。 師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだすが、法廷に立つ時間が迫り……
  • 黄金旅程
    4.4
    装蹄師の平野敬は北海道の浦河で養老牧場を営んでいる。牧場は幼馴染の和泉亮介の両親が所有していたものだったが、騎手だった亮介が覚せい剤所持で刑務所に入ったこともあり譲り受けた。敬が注目するのは栗木牧場生産の尾花栗毛馬・エゴンウレア。以前装蹄したことがあり、その筋肉に触れた瞬間、超一流の資質を秘めた馬だと確信していた。だが気性が荒く、プライドも高い馬で調教に手を焼いていて、今まで勝ち鞍がない。その馬主と競馬場で会った際、レースで突然馬が興奮するという不自然な現象に遭遇する。また、敬は出所して無職だった亮介に、本来の力を取り戻すべくエゴンの乗り役になるよう勧める。その後、レースでの不自然な現象は厩務員の一人が犬笛を使って八百長に加担していたためだと分かり…。馳星周、直木賞受賞第一作。
  • 剛心
    4.4
    日本近代建築の雄、妻木頼黄(よりなか)。幼くして幕臣の父を疫病で亡くし、維新後に天涯孤独の身となり、17歳で単身渡米。のちにコーネル大学で学んだ異才は、帰国後にその力量を買われ、井上馨の「官庁集中計画」に参加。以来、官吏として圧倒的な才能と情熱で走り続ける妻木の胸には常に、幼い日に目にした、美しい江戸の町並みへの愛情があふれていた。闇雲に欧化するのではなく、西欧の技術を用いた江戸の再興を。そう心に誓う妻木は、大審院、広島臨時仮議院、日本勧業銀行、日本橋の装飾意匠をはじめ、数多くの国の礎となる建築に挑み続ける。やがて、数々の批判や難局を乗り越え、この国の未来を討議する場、国会議事堂の建設へと心血を注ぎこんでいくが……。外務大臣・井上馨、大工の鎗田作造、助手を務めた建築家の武田五一、妻のミナをはじめ、彼と交わった人々の眼差しから多面的に描き出す、妻木頼黄という孤高の存在。その強く折れない矜持と信念が胸を熱くする渾身作、誕生!
  • 二人キリ
    4.3
    その女は愛する男を殺し、陰部を切り取り逃亡した―― 脚本家の吉弥は、少年時代に昭和の猟奇殺人として知られる「阿部定事件」に遭遇。 以来、ゆえあって定の関係者を探し出し、証言を集め続けてきた。 定の幼なじみ、初めての男、遊郭に売った女衒、更生を促した学校長、被害者の妻、そして、事件から三十数年が経ち、小料理屋の女将となっていた阿部定自身……。 それぞれの証言が交錯する果てに、定の胸に宿る“真実”が溢れだす。 性愛の極致を、人間の業を、圧倒的な筆力で描き出す比類なき評伝小説。 作家デビュー三十周年記念大作!
  • ジョニ黒
    4.3
    1975年、横浜。少年アキラと“犬”とのひと夏の冒険が始まる―― 4年前、海水浴中にはぐれてしまった父さんは今もまだ帰ってこない。 あれ以来、母親のマチ子は時々どっかから拾ったオスをつれてくるようになった。 日出男はその「オス犬」のひとりだった。 欠落を抱えて生きる大人たちと、鬱屈を抱えて生きる子どもたち。 ままならない世界の哀しみと愛しさが胸にこみ上げる、すばる文学賞受賞作『ミシンと金魚』著者待望の最新作!
  • 『書楼弔堂』シリーズガイドブック2023年版(試し読み付)
    無料あり
    4.3
    「扠、本日はどのようなご本をご所望でしょう――」 明治三〇年代後半。古今東西の本が集う書舗(ほんや)に、今日も迷える者達が訪れる。 約6年ぶり、待望の最新刊『書楼弔堂 待宵』の刊行を記念して、「書楼弔堂」シリーズを紹介するガイドブックを配信します。 登場人物や最新刊の紹介に加え、刊行記念著者インタビューを全文掲載! またガイドブック電子版には『書楼弔堂 待宵』の試し読みを収録しました。 ぜひダウンロードしてお楽しみください。

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  • リバー
    4.3
    《「本の雑誌」が選ぶ2022年度ベスト10 第一位!》 同一犯か? 模倣犯か? 群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の死体が発見! 十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口が、街を凍らせていく。 かつて容疑をかけられた男。取り調べを担当した元刑事。 娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親。 若手新聞記者。一風変わった犯罪心理学者。新たな容疑者たち。 十年分の苦悩と悔恨は、真実を暴き出せるのか―― 人間の業と情を抉る無上の群像劇×緊迫感溢れる圧巻の犯罪小説!
  • リリアンと燃える双子の終わらない夏
    4.3
    リリアン28歳、人間嫌い。自己肯定感はかなり低め、将来への希望もない。1995年、春の終わりに、そんなリリアンのもとに友人のマディソンから手紙が届く。おもしろい仕事があるので、彼女の暮らすお屋敷まで来てほしいという。それで、頼まれたのは10歳の双子のお世話係。なりゆきに任せて引き受けたけれど――子供たちは興奮すると〈発火〉する特異体質だった!? 全米ベストセラー作家ケヴィン・ウィルソンが涙と笑いで〈リアル〉に描く、ほろ苦い愛情と友情の物語。ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、USAトゥデイ紙、タイム誌、ピープル誌ほか、10の全米主要メディアが年間ベストブックに選出!
  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を
    4.3
    “湊かなえ氏激賞!! 「17歳の失敗は、人生の失敗じゃないのだ」と貫多は私に教えてくれた──湊かなえ”。貫多、セヴンティーン! 人生はまだ、始まったばかり。初めての洋食屋でのアルバイトと、波瀾万丈の日々。家を追われ、猛女に怒鳴られ、途方に暮れる。待望の最新長篇<私小説>! 「確かに自分は<青春の落伍者>にはなりつつあるが、しかしながら、まだ<人生の落伍者>には至っていないのだ」。白衣を着てコック帽をかぶった北町貫多は、はじめての飲食店でのアルバイトにひそかな期待を抱いていた。日払いから月払いへ、そしてまっとうな生活へと己を変えて、ついでに恋人も……。労働、肉欲、そして文学への思い。善だの悪だのを超越した貫多17歳の“生きるため”の行状記!
  • 人間のしわざ
    4.3
    この世界のどこに救いや癒しがあるのか――戦後70年に問いかける衝撃作。男は戦場カメラマン。紛争を追いかけて世界中を駆け回り何十年も家庭を顧みず、結果、妻の死を知ったのは葬儀が執り行われた後だった。今は、テロリストとの関係が疑わしい引きこもりの息子と暮らし、妻の裏切りの記憶に苦しんでいる。かつて、互いに惹かれあいながら結ばれなかった女との逢引先で男が語り始めたのは、青春の日々に長崎の町で掘り出された喉仏の骨、黒こげの殉教者の慟哭、そして30年前の雪の日の、爆心地での教皇の祈りだった――。デビュー20年。『聖水』『爆心』に続き新たに殺戮と紛争の世紀を問う衝撃作。長崎という土地の記憶を探り続けてきた著者の、到達点であり出発点がここに。【目次】人間のしわざ/神のみわざ
  • こまどりたちが歌うなら
    4.2
    前職の人間関係や職場環境に疲れ果て退職した茉子は、親戚の伸吾が社長を務める小さな製菓会社「吉成製菓」に転職する。 父の跡を継いで社長に就任した頼りない伸吾、誰よりも業務を知っているのに訳あってパートとして働く亀田さん。やたらと声が大きく態度も大きい江島さん、その部下でいつも怒られてばかりの正置さん、畑違いの有名企業から転職してきた千葉さん……。 それぞれの人生を歩んできた面々と働き始めた茉子は、サービス残業や女性スタッフによるお茶くみなど、会社の中の「見えないルール」が見過ごせず、声をあげていくが――。 一人一人違う〈私たち〉が関わり合い、働いて、生きていくことのかけがえのなさが胸に響く感動長編!
  • Blue
    4.2
    【第170回 芥川賞候補作】 割りあてられた「男」という性別から解放され、高校の演劇部で人魚姫役を演じきった。 そんな真砂(まさご)が「女の子として生きようとすること」をやめざるをえなかったのは――。 『人魚姫』を翻案したオリジナル脚本『姫と人魚姫』を高校の文化祭で上演することになり、人魚姫を演じることになった真砂は、個性豊かな演劇部のメンバーと議論を交わし劇をつくりあげていく。しかし数年後、大学生になった当時の部員たちに再演の話が舞い込むも、真砂は「主演は他をあたって」と固辞してしまい……。 自分で選んだはずの生き方、しかし選択肢なんてなかった生き方。 社会規範によって揺さぶられる若きたましいを痛切に映しだす、いま最も読みたいトランスジェンダーの物語。
  • あけくれの少女
    4.2
    「どこで、どうやって生きていくのか、うちは自分で決めたい」12歳の少女・真記は上京を目指すも、80年代後半の狂騒に翻弄され……親世代にも子世代にも読んでほしい、宝石のような20年間を描いた佐川光晴の最新長編小説。 広島は尾道の小学五年生・真記は、1970年生まれ。子供のいない伯父夫婦からかわいがられ、養女になるかもと心配事は絶えない。中学では英語部の朗読劇が大成功をおさめ、英語を一生の仕事にしていこうと決意する。念願の学生生活は、80年代後半のバブル経済のただなかで、順調そうにみえたのだが……。 当時の時代背景や男女の考え方を、時に繊細に、時にユーモラスに描出する。真記と同時代を生きた人にも、そしていま同世代の人にも読んでほしい青春小説。
  • 少年籠城
    4.2
    猟奇殺人×子ども食堂立てこもり 究極のサスペンスミステリ。 地方の温泉街の河原で、子どもの惨殺遺体が発見された。 警察は、小児わいせつ事件を繰り返していた15歳の少年・当真への疑いを強める。 逃亡中の当真は警官の拳銃を強奪し、子分とともに子ども食堂に立てこもった。 自分は無実で、人質を殺されたくなければ、警察は真犯人を捕まえろという。 子ども食堂の店主・司は、人質の少年少女を守るために戦うことを誓うが―― 当真は本当に無実なのか。他に殺人犯はいるのか。 さらに新たな遺体が発見され、暴走する当真は引き金に指をかける―― 誰もが予想できない結末が待つサスペンスミステリ。
  • 地図と拳
    4.2
    【第168回直木賞受賞作!】 【第13回山田風太郎賞受賞作!】 「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」 日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野……。奉天の東にある〈李家鎮〉へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。 ひとつの都市が現われ、そして消えた。 日露戦争前夜から第2次大戦までの半世紀、満洲の名もない都市で繰り広げられる知略と殺戮。日本SF界の新星が放つ、歴史×空想小説。
  • 生者のポエトリー
    4.2
    “詩”は人をつよくする――。トラウマを抱え言葉をうまく発することができない青年・悠平が、急きょ舞台で詩を披露することになり……。(「テレパスくそくらえ」) 最愛の妻を亡くした元気象庁技師・公伸は、喪失の日々のなかで一編の詩に出会う。(「幻の月」) 学習支援教室の指導員・聡美と、ブラジル出身の少女・ジュリアの心を繋いだのは、初めて日本語で挑戦した詩だった。(「あしたになったら」)……ほか、人生の大切な一歩を踏み出す、その一瞬を鮮やかに描いた全6編。逆境のなかで紡がれた詩が明日を切り拓く、心震わす連作短編集。
  • ミシンと金魚
    4.2
    【第45回すばる文学賞受賞作】認知症を患うカケイは、「みっちゃん」たちから介護を受けて暮らしてきた。ある時、病院の帰りに「今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」と、みっちゃんの一人から尋ねられ、カケイは来し方を語り始める。父から殴られ続け、カケイを産んですぐに死んだ母。お女郎だった継母からは毎日毎日薪で殴られた。兄の勧めで所帯を持つも、息子の健一郎が生まれてすぐに亭主は蒸発。カケイと健一郎、亭主の連れ子だったみのるは置き去りに。やがて、生活のために必死にミシンを踏み続けるカケイの腹が、だんだん膨らみだす。そして、ある夜明け。カケイは便所で女の赤ん坊を産み落とす。その子、みっちゃんと過ごす日々は、しあわせそのものだった。それなのに――。暴力と愛情、幸福と絶望、諦念と悔悟……絡まりあう記憶の中から語られる、凄絶な「女の一生」。
  • ミーツ・ザ・ワールド
    4.2
    【死にたいキャバ嬢×推したい腐女子】 焼肉擬人化漫画をこよなく愛する腐女子の由嘉里。人生二度目の合コン帰り、酔い潰れていた夜の新宿歌舞伎町で、美しいキャバ嬢・ライと出会う。「私はこの世界から消えなきゃいけない」と語るライ。彼女と一緒に暮らすことになり、由嘉里の世界の新たな扉が開く――。推しへの愛と三次元の恋。世間の常識を軽やかに飛び越え、幸せを求める気持ちが向かう先は……。金原ひとみが描く恋愛の新境地。
  • Matt
    4.2
    日本から移住してはや5年。父と二人、オーストラリアに暮らす安藤真人は、現地の名門校、ワトソン・カレッジの10年生(16歳)になった。Matt(マット・A)として学校に馴染み、演劇に打ち込み、言語の壁も異文化での混乱も、乗り越えられるように思えた。そこに、同じMattを名乗る転校生、マシュー・ウッドフォード(マット・W)がやってくる。転校生のマット・Wは、ことあるごとに真人を挑発し、憎しみをぶつけてくる。「人殺し! おれのじいさん、ジャップに人生台無しにされたんだ!」。第二次世界大戦、日本とオーストラリアの、負の歴史。目をそむけてはならない事実に、真人――マット・A――は、自らの<アイデンティティ>と向き合う。人種が、言語が、国が、血縁が、歴史が、17歳の少年の心と体を離さない。
  • 花散るまえに
    4.1
    今村翔吾氏 推薦! 「たおやかな筆致で描かれる、苛烈な愛のゆくえ。この作品を書く感性をまぶしく思う」 最初に父親から教えられたのは自害の作法……細川忠興は愛を知らなかった。 玉(ガラシャ)は、妻として忠興に寄り添いたいと思う。 しかし父・明智光秀の謀反により、夫婦の運命は暗転。 謀反人の娘となって幽閉された玉は、やがてキリスト教の愛に惹かれていく。 一方、忠興は玉の心を失う孤独と恐怖から、刃を振り上げ――。 本当に大切にすべきものは何だったのか。 物語は歴史上もっとも美しいラストシーンへ。 細川ガラシャと忠興、日本史上もっとも歪んだ純愛を描いた歴史小説。
  • 書楼弔堂 待宵
    4.1
    舞台は明治30年代後半。鄙びた甘酒屋を営む弥蔵のところに馴染み客の利吉がやって来て、坂下の鰻屋に徳富蘇峰が居て本屋を探しているという。 なんでも、甘酒屋のある坂を上った先に、古今東西のあらゆる本が揃うと評判の書舗があるらしい。その名は “書楼弔堂(しょろうとむらいどう)”。 思想の変節を非難された徳富蘇峰、探偵小説を書く以前の岡本綺堂、学生時代の竹久夢二……。そこには、迷える者達が、己の一冊を求め“探書”に訪れる。 「扠(さて)、本日はどのようなご本をご所望でしょう――」 日露戦争の足音が聞こえる激動の時代に、本と人との繋がりを見つめなおす。 約6年ぶり、待望のシリーズ第3弾! 【目次】探書拾参 史乗 探書拾肆 統御 探書拾伍 滑稽 探書拾陸 幽冥 探書拾漆 予兆 探書拾捌 改良
  • 十三夜の焔
    4.1
    天明四年五月の十三夜。将軍家外出時の警護や市中見廻りの御役目を負う先手弓組番方・幣原喬十郎は、湯島の路上で男女の惨殺体を発見する。傍らには匕首を手に涙を流す若い男。喬十郎は咄嗟に問い質すが、隙をつかれて取り逃がす。やがて、逃げた男は大盗「大呪の代之助」一味の千吉だと判明。喬十郎は追及するが、千吉は再び姿を消す。雪辱を果たすべく矜持を持って悪事に立ち向かう喬十郎と、闇社会をうまく立ち回る千吉。二十年以上にわたる因縁の対立関係を描く、熱き時代小説。
  • フィールダー
    4.1
    迎え撃て。この大いなる混沌を、狂おしい矛盾を。 「推し」大礼賛時代に、誰かを「愛でる」行為の本質を鮮烈に暴く、令和最高密度のカオティック・ノベル! 総合出版社・立象社で社会派オピニオン小冊子を編集する橘泰介は、担当の著者・黒岩文子について、同期の週刊誌記者から不穏な報せを受ける。児童福祉の専門家でメディアへの露出も多い黒岩が、ある女児を「触った」との情報を入手したというのだ。時を同じくして橘宛てに届いたのは、黒岩本人からの長文メール。そこには、自身が疑惑を持たれるまでの経緯がつまびらかに記されていた。消息不明となった黒岩の捜索に奔走する橘を唯一癒すのが、四人一組で敵のモンスターを倒すスマホゲーム・『リンドグランド』。その仮想空間には、橘がオンライン上でしか接触したことのない、ある「かけがえのない存在」がいて……。 児童虐待、小児性愛、ルッキズム、ソシャゲ中毒、ネット炎上、希死念慮、社内派閥抗争、猫を愛するということ……現代を揺さぶる事象が驚異の緻密さで絡まり合い、人類の「不都合」の芯をひりりと撫でる、圧巻の「完全小説」!
  • 空をこえて七星のかなた
    4.1
    「南の島へ行くぞ」突然のパパの言葉で石垣島へ旅することに。正直言って、あんまり気は進まない。家族旅行といえばママも一緒だったのだ、去年までは――(「南の十字に会いに行く」)。小学四年生の九月のこと、同級生の過失で私の右目は取り返しのつかない怪我を負った。世界はぼやけて頼りない姿に変わり果ててしまった。星降る夜に大事な友達と交わした約束も――(「星は、すばる」)。廃部寸前のオカルト研究会、天文部、文芸部。生徒会に必死で部の存続を訴えると、「じゃあ、スペミス部ってことで」と、とんでもない提案が――(「箱庭に降る星は」)。読み終えたら世界が変わる! 〈日常の謎〉の名手が贈る、驚きと爽快な余韻に満ちた全七話。
  • フェイクフィクション
    4.1
    東京・五日市署管内の路上で、男性の首なし死体が発見された。刑事の鵜飼は現場へ急行し、地取り捜査を開始する。死体を司法解剖した結果、死因は頸椎断裂。「斬首」によって殺害されていたことが判明した。一方、プロのキックボクサーだった河野潤平は引退後、都内にある製餡所で従業員として働いていた。ある日、同じ職場に入ってきた有川美祈に一目惚れするが、美祈が新興宗教「サダイの家」に関係していることを知ってしまい……。警察組織vs悪魔と呼ばれる男vsカルト教団vs元キックボクサー。囚われた“彼女”の奪還。愛する人を失った者たちの復讐劇。疑いなき信仰心に警鐘を鳴らすセンセーショナルな最新長編。
  • サバイバルファミリー
    4.1
    ある日突然、電気がこの世界から消滅! 東京に暮らす4人家族(鈴木家)が直面する、超絶不自由生活! 次第に食料や水が乏しくなっていく中で、父は決断を下す。東京を脱出する! 何が起きているのか分からない状況下、果たして、鈴木一家は生き残れるのか。笑いあり涙あり、平凡な家族の感動の物語。同名映画、原作本。
  • ソウルメイト【電子特別版】
    4.1
    1~2巻1,361~1,408円 (税込)
    言葉は交わせない。ずっと一緒にもいられない。そんなのわかってる。だからこそ、一瞬が愛おしい。余命がわずかだと知らされた「バーニーズ・マウンテン・ドッグ」。被災地・福島に母の遺した犬を捜しに行く「柴」ほか「チワワ」「ボルゾイ」「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」「ジャーマン・シェパード・ドッグ」「ジャック・ラッセル・テリア」たちが登場する、涙なしには読めない、情感に満ちた全7編。【電子版限定、カラー写真口絵つき】
  • グリフィスの傷
    NEW
    4.0
    からだは傷みを忘れない――たとえ肌がなめらかさを取り戻そうとも。 「傷」をめぐる10の物語を通して「癒える」とは何かを問いかける、切々とした疼きとふくよかな余韻に満ちた短編小説集。 「みんな、皮膚の下に流れている赤を忘れて暮らしている」。ある日を境に、「私」は高校のクラスメイト全員から「存在しない者」とされてしまい――「竜舌蘭」 「傷が、いつの日かよみがえってあなたを壊してしまわないよう、わたしはずっと祈り続けます」。公園で「わたし」が「あなた」を見守る理由は――「グリフィスの傷」 「瞬きを、する。このまぶたに傷をつけてくれたひとのことをおもう」。「あたし」は「さやちゃん先生」をめがけて、渋谷の街を駆け抜ける――「まぶたの光」 ……ほか、からだに刻まれた傷を精緻にとらえた短編10作を収録。
  • 22歳の扉
    NEW
    4.0
    【小説すばる新人賞、史上最年少受賞から8年】 三重で育ち、京都の大学に入学した数学好きの田辺朔。 大学生活に馴染めず、漫然と授業に出て、バイトをしているうちに一回生前期は終わってしまった。 後期に入り、旧文学部棟の地下、通称「キューチカ」でひっそりと経営されているバーのマスターである先輩の夷川と出会い、朔の大学生活は一変した。 夷川につれられ、初めてのウイスキー、タバコ、そしてバーやクラブなど、これまで見たこともない世界を知っていく。 しかし、ある日をさかいに、何の前触れもなく夷川はナイジェリアへ留学に行ってしまった。「バー・ディアハンツはお前に任せる!」の一言を残して。 そこからマスターとしてバーに立つことになった朔は、その大学内の不思議なバーで数々の出会いと別れを経験する――。自由奔放な女の子に振り回されたり、学生運動紛いに巻き込まれたり、自分の行く末に悩んだり…… 二十代前半の「不変」と「今」が詰まった圧倒的青春小説!
  • 我拶もん
    4.0
    【第36回小説すばる新人賞受賞作】 寛保二年。大名や旗本の駕籠を担ぐことを生業とする陸尺の桐生は売れっ子として江戸で人気を誇っていた。ある日、芝居小屋の《市村座》で木戸番と陸尺の大乱闘が勃発。相方の龍太が巻き込まれたと知った桐生は仲間の翔次と共に駆けつける。だが龍太は捕えられ、騒ぎを収めようとしたはずの桐生も結託した仲間に裏切り者扱いされ仕事を干されてしまう。暇を持て余していた八月のある日、大雨により江戸で大洪水が発生。桐生は辛うじて生き延びるも商売道具の右腕に大怪我を負い、かつて恋仲であった娘・おみねも目の前で濁流に呑まれてしまう。何もかも失った桐生は《市村座》の騒動を機に知り合った玄蕃頭・有馬頼ユキ(※)に救われ屋敷で世話になることになり、懇ろだった深川芸者の粧香とも再会。一方、頼ユキの近習である坂西小弥太は、主君が桐生を気に入り、また幼い頃から恋心を抱いていた頼ユキの姉・梅渓院までもが執心であることにいら立ちを覚えていた。そして、使い物にならず腐っていた桐生を痛罵し、桐生は有馬家を去るのだが……。※ぎょうにんべんに童
  • あの光
    4.0
    ハウスクリーニングサービスで働く高岡紅は、丁寧な仕事と気配りで依頼人からリピート指名が入るほど信頼を得ていた。だが、入社当時からさほど変わらぬ待遇や問題の多い部下に腐心する日々に疑問を抱いていた。 そんな折、母・奈津子から独立を後押しされ起業を決意する。仕事は軌道に乗り、リピート客である船場薫の強い勧めで新事業「開運お掃除サービス」を立ち上げる。薫の仕掛けで紅のブログがインフルエンサーの目に留まり、書籍化も決定。初セミナーも大成功を納め、カリスマ指導者として一躍時の人となった。 そんなある日、紅のメソッドを曲解した一部の会員の行動がSNSで批判され大炎上。窮地に追い込まれた紅は起死回生を試みるのだが……。 承認欲求と自己啓発の闇を撃つ問題作。
  • ペニー・レイン 東京バンドワゴン
    4.0
    人が人を呼ぶ、この下町の温かさよ……! 銭湯、豆腐屋さん、花屋さん、和菓子屋さん、染小物店……語られてこなかったご近所とそこに暮らす人々にスポットライトがあたる、下町ラブ&ピース小説。 堀田家の絆はますます深まる、大人気シリーズ第18弾! 堀田家の暮らす下町に〈日英テレビ〉のロケ隊がやってくる!? そして迎える、“大引っ越し大会”。そんな慌ただしい日々に飛び込んでくるのは、新規開業するお店の謎や、突然の放火疑惑、思いがけない告白に、大事な家族のメンバーとの別れ……。巡る時代を共にしてきたご近所の仲間たちと、改めて「LOVE」を分かち合う。
  • いい子のあくび
    4.0
    芥川賞受賞第一作。 公私共にわたしは「いい子」。人よりもすこし先に気づくタイプ。わざとやってるんじゃなくて、いいことも、にこにこしちゃうのも、しちゃうから、しちゃうだけ。でも、歩きスマホをしてぶつかってくる人を除けてあげ続けるのは、なぜいつもわたしだけ?「割りに合わなさ」を訴える女性を描いた表題作(「いい子のあくび」)。 郷里の友人が結婚することになったので式に出て欲しいという。祝福したい気持ちは本当だけど、わたしは結婚式が嫌いだ。バージンロードを父親の腕に手を添えて歩き、その先に待つ新郎に引き渡される新婦の姿を見て「物」みたいだと思ったから。「じんしんばいばい」と感じたから。友人には欠席の真意を伝えられずにいて……結婚の形式、幸せとは何かを問う(「末永い幸せ」)ほか、 社会に適応しつつも、常に違和感を抱えて生きる人たちへ贈る全3話。
  • 『ラブカは静かに弓を持つ』ロングセラー記念ガイドブック(試し読み付)
    無料あり
    4.0
    誰かを救うチェロの音色。きっと、あなたの心にも響く―― 少年時代、ある事件に遭遇し、トラウマを抱え生きる橘樹。 勤務先の上司から呼び出され、音楽教室の違法行為を探るための潜入調査を命じられる。 橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉のもとに通い始めるが、次第に彼の演奏に魅了され……。 感動の音楽小説『ラブカは静かに弓を持つ』のロングセラーを記念して、斉藤壮馬さん、篠田節子さんとのスペシャル対談、著者・安壇美緒さんへのインタビュー、さらにスペシャルショートストーリー『音色と素性』を収録したガイドブックを配信します。 ぜひダウンロードしてお楽しみください。

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  • 清朝時代にタイムスリップしたので科挙ガチってみた
    4.0
    超絶難関校に通う天才・英俊は、帰路、女子のミニスカからちら見えするパンティーに気を取られ、デコトラに跳ね飛ばされてしまう。気づくとそこは清朝の中国だった。そこで彼は科挙に人生を懸けることにした。ある不埒な目的のために(「清朝時代にタイムスリップしたので科挙ガチってみた」)。同級生が描く尋常じゃないくらい上手いエロ漫画。それを読むことが出来るのはマラソン大会の優勝者ただ一人! 少年たちの熱い火蓋が切られる――(「少年激走録」)。30歳になるまでに必ずや童貞を喪失したい男は、予行演習のためファッションヘルスへ。その後本命のソープランドで喪失予定だった。しかしヘルスでまさかの本番に(「スターライトパレスパート2にて」)。ほか、恋と脱童貞を求める男たちの、悲哀と諧謔に満ちた全9話。
  • プリテンド・ファーザー
    4.0
    「俺たち、一緒に住まないか? 」 恭平と章吾。正反対の同級生。 唯一の共通点は、1人で子どもを育てていること――。 シングルファーザーとして4歳の娘を育てる36歳の恭平。亡き妻に任せっぱなしだった家事・育児に突如直面することになり、会社でもキャリアシフトを求められ、心身ともにギリギリの日々を送っている。そんななか再会するのが、高校の同級生・章吾。シッターというケア労働に従事しながら、章吾もまた、1人で1歳半の息子を育てていたのだった。互いの利害が一致したことから2人の父と娘と息子という4人暮らしが始まるも、すぐにひずみが生まれて……。 「ケア」と「キャリア」のはざまで引き裂かれるすべての人に贈る、新しい時代のための拡張家族の物語!
  • 愚者の階梯
    4.0
    「勧進帳は不敬である!」 昭和十年、東京。満州国皇帝溥儀が来日し、亀鶴興行は奉迎式典で歌舞伎の名作「勧進帳」を上演。 無事成功するが、台詞が不敬にあたると国粋主義者が糾弾。 脅迫状が殺到した直後、亀鶴興行関係者が舞台装置に首を吊った姿で発見――。 江戸歌舞伎狂言作者の末裔、桜木治郎が大いなる謎に挑む、驚嘆の“劇場×時代ミステリー”! あの戦争へ、日本が最後の舵を切った時代を彫刻する渾身作。 『壺中の回廊』、渡辺淳一文学賞受賞『芙蓉の干城』に続く、昭和三部作完結!
  • ハヤブサ消防団
    4.0
    【2023年夏、TVドラマ化決定!】 ミステリ作家vs連続放火犯 のどかな集落を揺るがす闘い! 東京での暮らしに見切りをつけ、亡き父の故郷であるハヤブサ地区に移り住んだミステリ作家の三馬太郎。地元の人の誘いで居酒屋を訪れた太郎は、消防団に勧誘される。迷った末に入団を決意した太郎だったが、やがてのどかな集落でひそかに進行していた事件の存在を知る───。連続放火事件に隠された真実とは? 地方の小さな町を舞台にした、池井戸作品初の“田園”小説として、「小説すばる」連載中から話題を呼んだ珠玉のミステリ。
  • 池井戸潤最新刊『ハヤブサ消防団』刊行記念ガイドブック(試し読み付き)
    無料あり
    4.0
    ハヤブサ地区に移住してきたミステリ作家を待ち受けていたのは、連続放火事件だった。 果たしてその真相とは? 東京での暮らしに見切りをつけ、亡き父の故郷であるハヤブサ地区に移り住んだミステリ作家の三馬太郎。地元の人の誘いで居酒屋を訪れた太郎は、消防団に勧誘される。迷った末に入団を決意した太郎だったが、やがてのどかな集落でひそかに進行していた事件の存在を知る――。 最新刊刊行を記念して物語の舞台や消防団を徹底解説、さらに体験マンガを収録した『ハヤブサ消防団』ガイドブックを電子版にて配信いたします。電子版のみ、本作の試し読みを併録。ぜひダウンロードしてお読みください!

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  • はぐれ鴉
    4.0
    【第25回大藪春彦賞受賞】 寛文六年、豊後国・竹田藩で城代一族二十四人殺しという凄惨な事件が起きた。 一人逃げ延びた城代の次男・次郎丸は復讐のため、江戸で剣の腕を磨き、名を変え、義理の叔父で下手人である現城代・玉田巧座衛門がいる竹田の地を十四年ぶりに踏んだ。長い時を経て再会した巧座衛門は、兇行を目の当たりにした当時の印象と違い、みすぼらしい容姿で、高位にありながら地位や名誉に関心がない変わり者と周囲から噂されていた。 そして次郎丸は竹田小町と評判の巧座衛門の娘・英里と出会い、予期せず惹かれていく。恋か復讐か、千々に乱れる心を抱きながらも、煮え滾る復讐心を支えに必ずや叔父を討つと心に誓うのだが……。
  • コークスが燃えている
    4.0
    筑豊の炭鉱町出身の私(ひの子)は東京に住み、もうすぐ40歳になる。非正規で新聞社の校閲の仕事をしているが、3年限定の仕事なので、いずれ新たな職を探さねばならない。両親は他界していて、年下の恋人だった春生とは1年以上前に別れていた。新型コロナウイルスが広がるなか、前に弟との結婚騒動で出会った女性・沙穂から連絡があり、東京で食事をすることになる。彼女は看護師で、独りで子育てをしていた。ひの子は沙穂の影響で、逡巡しながらも春生にメールを送ってしまう。すると思いがけず返信があり、再び付き合うことになって……。出会いと別れ、他者とのつながり。現代女性が対峙する実相を、かつて炭鉱で労働を担った女性たちに心を寄せつつ描く、鮮烈な中編小説。
  • ハロー・グッドバイ 東京バンドワゴン
    4.0
    田町家が取り壊され増谷家・会沢家として生まれ変わろうとするなか、ついに〈かふぇ あさん〉の夜営業が始まる。見慣れないお客さんとともに、不思議な事件も舞い込み……。そして、藍子とマードックのイギリス生活にも大きな転機が。さまざまな変化や試みに、堀田家は「LOVE」を胸に挑んでいく。思わぬ場所での再会、知られざる過去との遭遇、甘酸っぱい恋の行方、切ないけれど前向きな旅立ち……。今年も賑やかで温かな、大人気シリーズ第17弾!
  • ハイドロサルファイト・コンク
    4.0
    「遠くない未来に、私は死ぬ」。病とは無縁だった著者・花村萬月が、このままでは2年後の生存率が20%の骨髄性異形成(こつずいせい・いけいせい)症候群に罹り、骨髄移植を受けることになった。それは現在まで続く地獄の始まりだった。これは、現世の報いなのか? 発症から骨髄移植、GVHD(移植片対宿主病)、間質性肺炎、脊椎四ヵ所骨折など、副作用のオンパレードへと到る治療の経過を観察しつづけた作者自身によるドキュメンタリー・ノベル! 「血液検査の結果、完全に血液がO型からAB型に変わった。爪のかたちや体毛、髭など、ずいぶん外見上の変化がある。食べ物の好みもまったく変わってしまった。加えて精神が大きく変貌したのかもしれない。自分の血液をすべて殺して、他人の血液を迎えいれる。凄いことだ。」(本文より)
  • 偽装同盟
    4.0
    日露戦争に「負けた」日本。 ロシアの属国と化した地で、男は、警察官の矜持を貫けるのか。日露戦争終結から 12 年たった大正 6 年。敗戦国の日本は外交権と軍事権を失い、ロシア軍の駐屯を許していた。3 月、警視庁の新堂は連続強盗事件の容疑者を捕らえるが、身柄をロシアの日本統監府保安課に奪われてしまう。新たに女性殺害事件の捜査に投入された新堂だったが、ロシア首都での大規模な騒擾が伝えられ……。「もうひとつの大正」を描く、入魂の改変歴史警察小説、第二弾。
  • 幻の旗の下に
    4.0
    日中戦争の拡大を受け、東京オリンピックの返上が決まった1938年。大日本体育協会は、オリンピックに代わる国際大会の開催を画策していた。立教大学野球部出身で、末広の秘書を務める石崎は、体協幹部や陸軍などの政治的な思惑に疑念を抱きながらも、平和の象徴としての代替大会を開催するべく「面従腹背」な面々と交渉を重ねていく。一方、ハワイにある日系人野球チーム「ハワイ朝日」のマネージャー・澤山の元に、旧知の石崎から電報が届く。返上された東京オリンピックの代わりとして開かれる「東亜競技大会」に、野球のハワイ代表として参加してくれないか、という招請状だった――。幻に終わった1940年東京オリンピック。代わりに計画された、新たな国際競技大会。その実現と参加に向け、海を越えた友情を信じて奔走する二人の若者がいた。知られざる歴史を浮かび上がらせる圧巻の交渉小説!
  • 明日、世界がこのままだったら
    4.0
    目覚めると、世界に二人きりとなっていたサチとワタル。二人の部屋はいびつにくっつき、誰もいない街は静まり返っていた。そして不意に現れた管理人を自称する女に、ここは生と死の「狭間の世界」だと告げられる。二人の肉体は、今まさに死を迎えようとしている、と――。そのまま「完全なる死」を迎えるはずだった二人だが、奇跡的に現実世界へ戻るチャンスが訪れる。残酷な選択とともに。私は、俺は、何のために、誰のために生きるのか。生きることを真摯に見つめるエモーショナルな長編小説。
  • アクティベイター
    4.0
    羽田空港に突如、中国のステルス爆撃機が飛来した。女性パイロットは告げる。「積んでいるのは核兵器だ」と。核テロなのか、あるいは宣戦布告なのか。警察庁の鶴来(つるぎ)は爆撃機のパイロットを事情聴取しようとするが、護送中に何者かに拉致されてしまう。囚われた彼女を助けたのは鶴来の義兄で警備員の真丈(しんじょう)だった。核起爆の鍵を握る彼女の身柄をめぐり、中国の工作員、ロシアの暗殺者、アメリカの情報将校、韓国の追跡手が暗闘する。爆発すれば人類史上最大の犠牲者が――その恐怖の中、真丈と鶴来が東京中を奔走する。『天地明察』、『十二人の死にたい子どもたち』、「マルドゥック」シリーズ等数々のヒット作を生み出した著者が、作家生活25年のすべてを込めた極上の国際テロサスペンス。
  • 黄色い夜
    4.0
    東アフリカの大国エチオピアとの国境付近。龍一ことルイは、そこで知り合ったイタリア人の男・ピアッサとE国へ潜入した。バベルの塔を思わせる巨大な螺旋状の塔内に存在する無数のカジノが、その国の観光資源だった。そこは、砂漠のなかに屹立するギャンブラーたちの魔窟。上階へ行くほど賭け金は上がり、最上階では国王自らがディーラーとなり、国家予算規模の賭け金で勝てば、E国は自分のものになるという……。奪われたものを取り戻すために、そして、この国を乗っ取るために、巨大なカジノ・タワーの最上階を目指せ! 注目の作家が放つ、最新ギャンブラーズ小説。
  • 人間界の諸相
    4.0
    謎に満ちた女・菱野時江とは何者なのか――。突如、連絡が取れなくなった時江の消息を追う二人の友人、渋崎咲子と古河内栗美は、携帯端末のSNSを頼りに彼女の居場所を突きとめた。そこには「あの国は暮らすにはいいが、生きるのは窮屈すぎる」という一文が……。(「幻の淑女」より)文学界の異才・木下古栗が挑んだ、なんともトリッキーなエンタメ風小説! 作品の全貌は、読んでみてのお楽しみ。
  • 【試し読み増量版】この恋は世界でいちばん美しい雨(刊行記念エッセイ収録)
    無料あり
    4.0
    愛した相手の幸せが、自分の命を奪う、なんて――。二人で余命20年。死に瀕した恋人同士は、生きるために過酷な「奇跡」を受け入れる。この恋の結末に、涙せずにはいられない。『桜のような僕の恋人』の著者が贈る、胸打つ長編小説。試し読み増量に加え、刊行記念エッセイを収録した電子無料小冊子。

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  • 日の出
    4.0
    明治の終わり、13歳の清作は、徴兵から逃れ故郷を飛びだす。北陸から九州、そして横浜へと逃れながらも、鍛冶職人として生きる清作を、数々の試練が襲いつづける。一方、清作を曾祖父にもつ現代の女子大生・あさひは、教職免許のために猛勉強中だった……。時代をへだてたふたりの希望の光が、小さく輝きはじめる。著者待望の長編小説。
  • 樹液そして果実
    4.0
    『若い藝術家の肖像』と『ユリシーズ』を素材にした刺戟的で創見に満ちたジョイス論を幕開けに、『源氏物語』を世界的視野で分析し、後鳥羽院と折口信夫の驚くべき関係を語る。そして、鴎外、紅葉、谷崎から大岡昇平、吉行淳之介までを論じ、さらには金屏風とは何かを探求する。王朝和歌から20世紀のモダニズム文学までを一望する文藝評論集。
  • そういう生き物
    4.0
    【第40回すばる文学賞受賞作】千景とまゆ子。高校の同級生である二人は、10年ぶりに偶然再会し、思いがけず一緒に暮らし始める。薬剤師の千景は、とある男との逢瀬を重ねながらも、定年退職した大学の恩師「先生」に心を寄せている。叔母のスナックでアルバイトをするまゆ子は、突然家に尋ねてきた「先生」の孫とカタツムリの飼育を巡り交流を深めつつ、千景をそっと見守る。すれ違いの生活ながら、長く離れていた二人の距離は徐々に縮まっていく。そんな中、高校時代の友人の結婚式が近づき、二人はかつての自分たちの深い関係と秘密とに改めて向き合うことになる。そして……? 一番近くにいるのに、わかり合えない二人。なのにもかかわらず、寄り添う二人。愛と性、心と体の狭間で揺れ動く孤独な心象風景を、瑞々しい文体で描き出す。
  • チューリップの誕生日
    4.0
    【第16回すばる文学賞受賞作】高校1年生のユーリは、伝説のヴォーカル・三原に勧められ女性ロックバンドに参加する。学校とプロのミュージシャンとしての仕事、二重生活に追われるうちに自分を失いかけそうになったユーリは、フジシマという男に出会って――。女子高生ミュージシャンの日々の想いと旅立ち。
  • 【電子特別版】天使の柩(天使の卵シリーズ)
    4.0
    「世の中がどんなにきみを責めても、きみの味方をするよ」14歳の少女・茉莉(まり)が出会った20歳年上の画家――その人の名は、歩太(あゆた)。望まれない子どもとして育ち、家にも学校にも居場所がないまま、自分を愛せずにいる少女・茉莉。かつて最愛の人・春妃(はるひ)を亡くし、心に癒えない傷を抱え続けてきた歩太。公園で襲われていた猫を助けようとして偶然出会った二人は、少しずつ距離を近づけていく。歩太、そして彼の友人の夏姫(なつき)や慎一との出会いに、初めて心安らぐ居場所を手にした茉莉だったが、二人の幸福な時間はある事件によって大きく歪められ――。『天使の卵』から20年、『天使の梯子(はしご)』から10年。いま贈る、終わりにして始まりの物語。 電子版のみ著者インタビューを収録!!
  • 政と源
    4.0
    東京都墨田区Y町。つまみ簪(かんざし)職人・源二郎の弟子である徹平(元ヤン)の様子がおかしい。どうやら、昔の不良仲間に強請られたためらしい。それを知った源二郎は、幼なじみの国政とともにひと肌脱ぐことにするが――。弟子の徹平と賑やかに暮らす源。妻子と別居し、ひとり寂しく暮らす国政。ソリが合わないはずなのに、なぜか良いコンビ。そんなふたりが巻き起こす、ハチャメチャで痛快だけど、どこか心温まる人情譚!
  • 猫はときどき旅に出る
    4.0
    第1部発表から十一年を経て完成された長編小説の傑作! 作家兼脚本家兼映画監督兼劇画原作者兼誠実なる酔っぱらい人間、楠三十郎の遍歴。
  • ジヴェルニーの食卓[電子特別版]
    4.0
    電子版限定、物語に登場する巨匠達の名画も収録!美の巨匠たちは、何と戦い、何を夢見たのか-。ドガ、セザンヌ、モネ、マティス。時に異端視され、時に嘲笑されながらも新時代の美を果敢に切り拓いた偉大なアーティスト四人の愛と友情、そして格闘の日々を色鮮やかに蘇らせる短編集。「この世に生を受けたすべてのものが放つ喜びを愛する人間。それが、アンリ・マティスという芸術家なのです」(うつくしい墓)。「これを、次の印象派展に?」ドガは黙ってうなずいた。「闘いなんだよ。私の。――そして、あの子の」(エトワール)。「ポール・セザンヌは誰にも似ていない。ほんとうに特別なんです。いつか必ず、世間が彼に追いつく日がくる」(タンギー爺さん)。「太陽が、この世界を照らし続ける限り。モネという画家は、描き続けるはずだ。呼吸し、命に満ちあふれる風景を」(ジヴェルニーの食卓)。語り手は、彼らの人生と交わった女性たち。助手、ライバル、画材屋の娘、義理の娘――彼女たちが目にした、美と愛を求める闘いとは。『楽園のカンヴァス』で注目を集める著者が贈る、珠玉のアートストーリー四編。
  • みどりいせき
    3.9
    【第47回すばる文学賞受賞作】 【選考委員激賞!】 私の中にある「小説」のイメージや定義を覆してくれた。――金原ひとみさん この青春小説の主役は、語り手でも登場人物でもなく生成されるバイブスそのもの――川上未映子さん (選評より) このままじゃ不登校んなるなぁと思いながら、高2の僕は小学生の時にバッテリーを組んでた一個下の春と再会した。 そしたら一瞬にして、僕は怪しい闇バイトに巻き込まれ始めた……。 でも、見たり聞いたりした世界が全てじゃなくって、その裏には、というか普通の人が合わせるピントの外側にはまったく知らない世界がぼやけて広がってた――。 圧倒的中毒性! 超ド級のデビュー作! ティーンたちの連帯と、不条理な世の中への抵抗を描く第47回すばる文学賞受賞作。
  • 続きと始まり
    3.9
    あれから何年経ったのだろう。あれって、いつから? どのできごとから? 日本を襲った二つの大地震。未知の病原体の出現。誰にも流れたはずの、あの月日――。別々の場所で暮らす男女三人の日常を描き、蓄積した時間を見つめる、著者の最新長編小説。 始まりの前の続き、続きの後の始まりを見下ろし、あの中のどこかにわたしもいる、と思った。(一穂ミチ・作家)
  • 栞と嘘の季節
    3.9
    ベストセラー『本と鍵の季節』(図書委員シリーズ)待望の続編! 直木賞受賞第一作 猛毒の栞をめぐる、幾重もの嘘。 高校で図書委員を務める堀川次郎と松倉詩門。 ある放課後、図書室の返却本の中に押し花の栞が挟まっているのに気づく。 小さくかわいらしいその花は――猛毒のトリカブトだった。 持ち主を捜す中で、ふたりは校舎裏でトリカブトが栽培されているのを発見する。 そして、ついに男性教師が中毒で救急搬送されてしまった。 誰が教師を殺そうとしたのか。次は誰が狙われるのか……。 「その栞は自分のものだ」と嘘をついて近づいてきた同学年の女子・瀬野とともに、ふたりは真相を追う。 直木賞受賞第一作は、著者の原点とも言える青春ミステリ長編!
  • 空を駆ける
    3.9
    逆光に置かれても挫けずに我が子へ愛を注ぐ母と、その愛を受けて健やかに成長する子の姿を描き、今もなお愛され続ける名作児童文学『小公子』。 この物語を日本で初めて翻訳したのは、明治の女性文学者、若松賤子(しずこ)だった。 江戸末期、会津藩士の父のもとに生まれたカシ(のちの賤子)は、幼子の頃、戊辰戦争で九死に一生を得るが、のちに母を亡くし、横浜の生糸問屋へ養子に出されて孤独な少女時代を過ごす。 転機となったのは、明治八年。 養家を離れ、十一歳でアメリカ人女性宣教師メアリー・キダーが創立した女子寄宿学校フェリス・セミナリーへ入学。 新しい校舎、新しい仲間たち、新しい学び。 そこはカシにとって、会津を離れて以来、初めての心安らぐ「ホーム」となっていく。 「わたしは、翼を広げ、空を駆けるように飛ぶための準備をしなければならない」 カシは、女性の自立と子どもの幸福こそがこの国の未来を照らすと信じ、命を燃やしていく――。 一人の女性として、妻として、そして三人の子の母として。 激動の明治を懸命に生ききった三十一年の生涯に新たな光をあてる渾身長編!
  • 夢伝い
    3.9
    孤独を愛する人気作家が突然の断筆宣言。担当編集者は作家の住む地方へひとり、向かった。作家を脅かすものを探しに――(「夢伝い」)。地球に近づいてきた惑星、現れた女遍路――。四国に戻って来た私は、40年前の午後を思い出していた(「送り遍路」)。自らの胎内で卵を孵すセグロウミヘビ。海洋生物マニアの男は「彼女」を手に入れてから生活が一変し……(「卵胎生」)。未知のウイルス性感染症が蔓延した後、「新しい世界」の幕が開けた。男は都心から自然豊かな土地に移住を決め、恋人とはリモートで関係を深めていたが……(「果て無き世界の果て」)など、昭和から現代までを舞台に、日常に潜む怪異や心理の歪みから生まれる怪奇を描いた全11話を収録。
  • 燕は戻ってこない
    3.9
    【第57回 吉川英治文学賞受賞作】 【第64回 毎日芸術賞受賞作】 この身体こそ、文明の最後の利器。 29歳、女性、独身、地方出身、非正規労働者。 子宮・自由・尊厳を赤の他人に差し出し、東京で「代理母」となった彼女に、失うものなどあるはずがなかった――。 北海道での介護職を辞し、憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、非正規雇用ゆえに困窮を極める29歳女性・リキ。「いい副収入になる」と同僚のテルに卵子提供を勧められ、ためらいながらもアメリカの生殖医療専門クリニック「プランテ」の日本支部に赴くと、国内では認められていない〈代理母出産〉を持ち掛けられ……。 『OUT』から25年、女性たちの困窮と憤怒を捉えつづける作家による、予言的ディストピア。 頁の隙間から聞こえてくる、今の世界を保持するための骨組の軋み。 こういう小説と出会うことでしか、私達は私達の不都合な部分を見つめられない。 ――朝井リョウ(作家) 女であること、産む性であることは、なんて悲しいのだろう。 ラストを読み、思わず溢れた涙の理由を、私は今も考えつづけている。 ――小島慶子(エッセイスト) 新技術と経済・ジェンダー格差が交差するとき、恩恵を受けるのは男性だ。 被害をこうむるマイノリティの苦しみを、マジョリティの私がどこまで想像できるかを突きつけられ、たじろいだ。 ――斎藤幸平(経済思想家) 読んでいる間、ずっと殴られるような感覚に襲われていた。 それは自分を含む大勢の人が、今この瞬間も世界に殴られ続けているのだという、気付きであり目覚めでもある、大切な痛みだった。 ――村田沙耶香(作家)
  • 我が友、スミス
    3.9
    【第45回すばる文学賞佳作、第166回芥川賞候補作】「別の生き物になりたい」。筋トレに励む会社員・U野は、Gジムで自己流のトレーニングをしていたところ、O島からボディ・ビル大会への出場を勧められ、本格的な筋トレと食事管理を始める。しかし、大会で結果を残すためには筋肉のみならず「女らしさ」も鍛えなければならなかった――。鍛錬の甲斐あって身体は仕上がっていくが、職場では彼氏ができてダイエットをしていると思われ、母からは「ムキムキにならないでよ」と心無い言葉をかけられる。モヤモヤした思いを解消できないまま迎えた大会当日。彼女が決勝の舞台で取った行動とは? 世の常識に疑問を投げかける圧巻のデビュー作。
  • 真夜中のマリオネット
    3.9
    殺した後、一晩かけて遺体をバラバラにする殺人鬼――通称「真夜中の解体魔」。婚約者を殺された救急医の秋穂は、深い悲しみを抱えながらもなんとか職場に復帰をしたところだった。そこに運ばれてきたのは、交通事故で重傷を負った美少年・涼介。無事、命を救うことができたが、手術室を出た秋穂に刑事が告げる。「彼は『真夜中の解体魔』だ」と――。涼介に復讐しようとする秋穂に、涼介は綺麗な涙を流しながら訴える。「僕は罠にかけられただけなんです」と――。無実に思える証拠を見せられた秋穂は、ためらいながらも涼介と真犯人を探すことになる が……。涼介は真犯人に操られた哀れな人形(マリオネット)なのか、それとも周囲を操る冷酷な人 形遣いなのか。衝撃のクライマックスに、きっとあなたは絶叫する。
  • オーラの発表会
    3.9
    「人を好きになる気持ちが分からないんです」海松子(みるこ)、大学一年生。他人に興味を抱いたり、気持ちを推しはかったりするのが苦手。趣味は凧揚げ。特技はまわりの人に脳内で(ちょっと失礼な)あだ名をつけること。友達は「まね師」の萌音(もね)、ひとりだけ。なのに、幼馴染の同い年男子と、男前の社会人から、気づけばアプローチを受けていて……。「あんまり群れないから一匹狼系なんだと思ってた」「片井さんておもしろいね」「もし良かったらまた会ってください」「しばらくは彼氏作らないでいて」「順調にやらかしてるね」――「で、あんたはさ、高校卒業と大学入学の間に、いったい何があったの?」。綿矢りさデビュー20周年! 他人の気持ちを読めない女子の、不器用で愛おしい恋愛未満小説。
  • 宗棍(琉球空手シリーズ)
    3.9
    松村宗棍(まつむら・そうこん)は13歳の頃、友だちをいじめる少年たちを打ち倒した。それによって高名な武術家・照屋(てるや)に武の才を見出され、彼に弟子入りする。元服を迎えて首里王府の役人となるが、強さが評判を呼んで、国王に御前試合への参加を命じられる。思いがけず琉球屈指の強豪たちに挑むことになり――。国王との交流、「最強」の妻との出会い、好敵手との決闘、猛牛との闘い、弟子の自害……様々な出来事に直面しながら、彼は本当の強さを追い求めていく。しかし、琉球王国崩壊の足音が聞こえ始めていた……。幕末、琉球王国が滅びゆく時代に、国王の武術指南役を務めた松村宗棍。強さとは何かを追い求め、琉球空手の礎を築いた男の生涯を描く、著者入魂の長編。
  • 【電子特別版】カモフラージュ(松井玲奈 刊行記念インタビュー付)
    3.9
    あなたは、本当の自分を他人に見せられますか――。恋愛からホラーまで、松井玲奈が覗く“人間模様”。鮮烈なデビュー短編集。■「ハンドメイド」いつもより荷物の重い日が好きだ。お昼の弁当に加えてもう二つ、夜に彼と食べる用の弁当を作る。食べる場所は決まって“ホテル”で――。■「ジャム」僕のお父さんは一人じゃない。お父さんの後ろには、真っ白な顔のお父さんたちが並んでいる――。悪夢的奇想、ホラー怪作!■「いとうちゃん」メイドになりたい。その一心で上京した十八歳の“いとうちゃん”は、メイド喫茶で働き始めるものの、ストレスから体重が増加してしまう。痩せ方がわからず、周囲にも疎まれ不安を募らせていくが――。■「完熟」何もない退屈な田舎での夏休み。年上の雰囲気を身にまとう女に僕は出会う。彼女は水辺で一心不乱に桃を食べていて……。そんな昔の記憶が、大人になった僕のフェティシズムを刺激する――。■「リアルタイム・インテンション」巷で人気の仲良しYouTuber三人組。本音を吐露してしまうという“本音ダシ鍋”を食す企画の生配信で、事件は起きる。■「拭っても、拭っても」広告代理店に勤めるアラサーのゆりは、半年ほど前まである癖(へき)を持つ男性と付き合っていた。その彼に理不尽にフラれたことが心の傷になっていて――。失恋と再生の物語。
  • 前世は兎
    3.9
    「狂っているのはどっちだ」と兎が突き付けてくる。我々の取り繕った世界を、皮を、作者は次々と引っ剥がす。人間の暗部を見せてくれる。――こだまさん(作家)絶賛!!(『夫のちんぽが入らない』『ここは、おしまいの地』)/▼七年余り雌兎だった記憶を持ち、雄との交尾に開け暮れた一生を送った女。現世でも常に交尾を欲し、数々の奇行に走る。そして前世でつがいだった男と再会するが、その先で遭遇した恐ろしい出来事とは――(前世は兎)。▼36歳、教員で休職中の独身女が日々「ヌッセン総合カタログ」を詳細に書き写す訳は、「スティレス」を解消する為だった。同僚が次々と部屋を訪れ、職場復帰を促すのだが――(宗教)。▼破滅を迎えた世界で、国のマラソン競技に選抜された姉。労働力として認められないものへの唯一の栄誉だが、自殺や逃亡は許されない。選手村への出発を翌日に向かえた夜、姉がとった行動とは……(ランナー)。ほか、全七話。現実感覚を揺さぶる怪作集!
  • ゼンマイ
    3.9
    「世の中なんて、不思議な出来事が簡単に起きるくらい、くだらねえもんだな」魔術団の女が残したゼンマイの小箱をたよりに、モロッコへとオトコ二人の珍道中。見つけたのは、ひとりの女か、それとも人生か──。野間文芸新人賞受賞の新鋭による最新傑作小説。
  • 希望の海 仙河海叙景
    3.9
    東日本大震災により失われた日常と、得るべき希望。東北に生まれ、東北に暮らす直木賞作家の、「あの日」を描かない、連作短編集。三年前の秋、早坂希は勤めていた会社を辞めて仙河海市に戻ってきた。病弱の母親の代わりに、スナック「リオ」の切り盛りをしている。過去に陸上選手として活躍していた希は、走ることで日々の鬱憤や悩みを解消していたが、ある日大きな震災が起きて、いつも見る街並みが180度変わってしまう――。(「リアスのランナー」「希望のランナー」)。高校生の翔平は、津波により両親と家を奪われ、妹の瑞希とともに仮設住宅で暮らしていた。震災の影響で環境が大きく変わり、次第に心が荒んでいく翔平だったが――。(「ラッツォクの灯」)。東北の港町に生きる人々の姿を通して紡がれる、3・11からの再生の物語、全9編。【目次】リアスのランナー/冷蔵家族/壊れる羅針盤/パブリックな憂鬱/永久(とわ)なる湊/リベンジ/卒業前夜/ラッツォクの灯/希望のランナー
  • 世界地図の下書き【電子特別版】
    3.9
    【電子版限定特典つき】突然の交通事故で両親をなくし、児童養護施設「青葉おひさまの家」で暮らすことになった小学生の太輔。悲しみでしばらく心を閉ざしていたが、同じ部屋の仲間たちのおかげですこしずつ打ち解けていく。とくにお母さんのように優しい高校生の佐緒里は、みんなにとって特別な存在。施設を卒業する佐緒里のため、4人の子供たちは、ランタンに願い事を託して空に飛ばす「蛍祭り」を復活させようと、作戦を立てはじめる――。直木賞受賞後第一作! 電子版限定! スタジオジブリのアニメーター・近藤勝也氏が本書のために描き下ろしたカラーイラスト3点&「青春と読書」’13年7月号に掲載された、著者インタビューも収録。
  • うらはぐさ風土記
    3.8
    30年ぶりにアメリカから帰国し、武蔵野の一角・うらはぐさ地区の伯父の家にひとり住むことになった大学教員の沙希。 そこで出会ったのは、伯父の友人で庭仕事に詳しい秋葉原さんをはじめとする、一風変わった多様な人々だった。 コロナ下で紡がれる人と人とのゆるやかなつながり、町なかの四季やおいしいごはんを瑞々しく描く物語。
  • 黄金比の縁
    3.8
    「会社の不利益になる人間を採る」 不当辞令に憤る人事部採用チームの小野は、会社への密かな復讐を始める――。 (株)Kエンジニアリングの人事部で働く小野は、不当辞令への恨みから、会社の不利益になる人間の採用を心に誓う。彼女が導き出した選考方法は、顔の縦と横の黄金比を満たす者を選ぶというものだった。自身が辿り着いた評価軸をもとに業務に邁進していくが、黄金比の「縁」が手繰り寄せたのは、会社の思わぬ真実だった……。 ボディ・ビルを描いた『我が友、スミス』で鮮烈なデビューを果たした著者が、本作では「就活」に隠された人間の本音を鋭く描く!
  • 時々、慈父になる。
    3.8
    1983年5月、『優しいサヨクのための嬉遊曲』から40年。 いつまでも自分が主役だと思うなよ。 毀誉褒貶を顧みない作風で時代を駆け抜けた作家による、 デビュー40周年記念の自伝的父子小説。 第一部「父親の変わり身」 第二部「親バカでない親はいない」 第三部「運命なんて愛したくない」 第四部「後のことはおまえに任せた」 時は1991年、島田雅彦30歳。バブルは崩壊したとは言え、執筆の他にも世界中を旅する仕事が続く中、妻の妊娠が判明する。夫は、子育てに適した新居を探し、子どもの名前を考える。「永遠に実現しない希望」を意味する弥勒菩薩からミロクと名付け、生後間もない頃から世界中へと連れ回し、家族の記憶はいつも旅の記憶。自由奔放に子どもを育てたいと思いながらも、お受験へ。入園式当日に朝帰りをしたのは、父だったからか、作家だったからか。息子が生まれ、世界が一変したはずの作家による自伝的父子小説。
  • 赤い月の香り
    3.8
    天才調香師は、人の「欲望」を「香り」に変える――。 直木賞受賞第一作。『透明な夜の香り』続編! 「君からはいつも強い怒りの匂いがした」 カフェでアルバイトをしていた朝倉満は、客として来店した小川朔に、自身が暮らす洋館で働かないかと勧誘される。朔は人並外れた嗅覚を持つ調香師で、その洋館では依頼人の望む香りをオーダーメイドで作り出す仕事をしていたのだ。 朔のもとには、香りにまつわるさまざまな執着を持った依頼人が訪れる。その欲望に向き合ううちに、やがて朔が満を仕事に誘った本当の理由が分かり……。 香りを文学へと昇華した、第6回渡辺淳一文学賞受賞作『透明な夜の香り』に続く、ドラマティックな長編小説。
  • 楊花の歌
    3.8
    【第35回小説すばる新人賞受賞作】 一九四一年、日本占領下の福建省廈門。 大阪松島遊廓から逃走して、上海、広州、香港と渡り歩き、廈門に辿り着いたリリーは、抗日活動家の楊に従い、カフェーで女給として働きながら諜報活動をしていた。あるとき、楊から日本軍諜報員の暗殺を指示され、その実行者として、琥珀色の瞳と蛇の刺青が印象的なヤンファという女性を紹介される。 中秋節の晩をきっかけに強くヤンファに惹かれていくリリーにとって、彼女と過ごす時間だけが生への実感を持てるひとときになっていた。 しかし、楊から秘密裏に課されていた指令は、暗殺に失敗した場合はヤンファを殺せというものだった……。 戦時下の中国・廈門を舞台に流転する女性たちの愛と葛藤を描く、圧巻の熱量を放つ第35回小説すばる新人賞受賞作。
  • 禁猟区
    3.8
    34歳、ライターの文美子。夫との関係は冷え切り、娘はかわいいが保育園で問題行動を起こしていた。ある日、文美子はママ友から、女性がお金を出して若い男性を「狩る」という「お茶会」に誘われる。乗り気でなかった文美子だが、そこで劇団俳優の夏生と出会い、彼の誠実さに惹かれていく。夫の愛人の来訪、半グレからの脅迫、変貌していくママ友。様々な出来事が降りかかる中、ふたりの関係は引き返せないところまで来てしまい……。『娼年』『眠れぬ真珠』に続く恋愛長篇。
  • アフター・サイレンス
    3.8
    警察専門のカウンセラー・唯子(ゆいこ)の仕事は、事件被害者やその家族のケアをすることだ。夫を殺されたのに自分こそ罰を受けるべきだという妻。誘拐犯をかばい嘘の証言をする少女。傷から快復したはずなのに、姉を殺した加害者に復讐した少年……。多くを語らないクライエントが抱える痛みと謎を解決するため、唯子は奔走する。絶望の淵で、人は誰を想い、何を願うのか。そして長い沈黙の後に訪れる、小さいけれど確かな希望――。80万部突破「MOMENT」シリーズ、『dele』の著者が贈る、深く胸に響く物語。
  • 本日も晴天なり 鉄砲同心つつじ暦
    3.8
    時は幕末。江戸城下、大久保の地。長く泰平の世が続き、代々この地を守ってきた鉄砲同心たちは火薬の原料を転用したつつじ栽培の内職に励み、時季には美しい花々を求めて多くの人が集まる江戸名所となっていた。礫家は鉄砲同心の御役に固執する頑固者の老父・徳右衛門、つつじ作りに類まれな才を発揮する息子・丈一郎、物忘れが多くなってきた祖母・登代乃、温和な母・広江、勝気な嫁・みどり、生真面目な孫・市松の六人暮らし。喧嘩も笑いも絶えない一家が大小様々な事件に巻き込まれて――。温かな“お江戸家族小説”。
  • 砂漠の青がとける夜
    3.8
    【第27回小説すばる新人賞受賞作】東京で雑誌編集をしていた瀬野美月は、姉が亡き父親から譲り受けたカフェを手伝うため、京都に移り住んだ。淡々と日々を過ごす彼女の心をよぎるのは、東京での仕事と不倫相手の記憶だった。飲食店の紹介記事で使う言葉への違和感、別れを告げた不倫相手から送り続けられるメール……。自らの気持ちと、それを表現する言葉とのギャップが、美月の心にわだかまりとして残っていた。そんな美月の前に、どこか現実感がなく不安定さを帯びた男子中学生が現れる。平日の夕方にコーヒーを注文する彼は、大人びた物静かな少年だったが、あどけない面も持っていた。二人が親しくなっていったある日、彼は他人とは異なる世界が見えることを美月に打ち明ける。彼の話を聞くうちに、美月は自分の現実感が揺らぐ感覚を抱き、彼自身の存在さえ確かではないという思いを持つようになる。そして、彼だけが知覚する言葉を、ノートに書き留めるようになった美月に訪れた瞬間とは――。繊細な文章表現とみずみずしい感性が光る受賞作。
  • 2.43 清陰高校男子バレー部 next 4years〈I〉
    3.7
    福井県代表として、夢の舞台、春高バレーで全国の強豪に堂々挑んだ清陰高校男子バレー部。あれから……。 バレーのことしか考えていない〈バレーバカ〉灰島と、ずば抜けた身体能力を誇るがプレッシャーに弱い黒羽の清陰エースコンビ。 福井県王者として清陰チームの前に立ちはだかった福蜂工業高校の絶対エース三村と男子マネージャー越智。 春高本戦で清陰とぶつかった、“九州の弩弓”弓掛と、東京の強豪校を率いた冷静沈着な将・浅野の親友コンビ。 コートを挟んで熱戦を繰り広げた彼らが挑む新しいステージは大学バレー。そこでは、かつての敵が仲間になり、かつての仲間が敵になる。 灰島・黒羽・三村が集う欅舎大。浅野・越智が集う八重洲大。弓掛が浅野のかつての後輩たちを率いる慧明大。大学リーグを舞台に三つ巴の戦いが今、幕を開ける――。 アニメ化もされた大人気青春スポーツ小説、ますます臨場感を増した試合が熱く描かれるシリーズ最新作! 【シリーズ完結を記念して、欅舎・八重洲・慧明各チームの日常エピソード満載のスペシャルショートストーリー3話プレゼント!】第1話は、2023年9月1日より「2.43」ポータルサイトにて無料公開! http://243.shueisha.co.jp/
  • ルコネサンス
    3.7
    大学院でサルトルを学ぶ中条珠絵は、亡き祖母と母と暮らした一軒家で一人暮らしを続けていた。生後すぐに母は離婚し、父とは二十数年会っていなかったが、ある日、伯父から再会を勧められる。迷った末に銀座のバーで出会うが、なりゆきから娘と名乗らないままに食事を重ね、恋愛にも似た感情を覚える。自身の結婚を機に、改めて父娘としての再会を果たすも、家族であれば持っているはずの共通の思い出がないことに気づく。郷里への旅や父の闘病を経て、ようやくたどり着いた父娘の在り方とは――。父娘がお互いを家族とふたたび認める(ルコネサンス)までの軌跡を描いた著者の自伝的フィクション。
  • 水たまりで息をする
    3.7
    【第165回芥川賞候補作】ある日、夫が風呂に入らなくなったことに気づいた衣津実。夫は水が臭くて体につくと痒くなると言い、入浴を拒み続ける。彼女はペットボトルの水で体をすすぐように命じるが、そのうち夫は雨が降ると外に出て濡れて帰ってくるように。そんなとき、夫の体臭が職場で話題になっていると義母から聞かされ、「夫婦の問題」だと責められる。夫は退職し、これを機に二人は、夫がこのところ川を求めて足繁く通っていた彼女の郷里に移住する。川で水浴びをするのが夫の日課となった。豪雨の日、河川増水の警報を聞いた衣津実は、夫の姿を探すが――。
  • トラッシュ
    3.7
    いじめ、差別、虚無感、愛されない苦しみ、親との確執……それぞれの理由で集団自殺を試みた6人の若者達。しかし、闇サイトで入手した薬が偽物で、全員生き延びてしまう。「一遍死んだんやから、もう怖いものはない」。自分たちを死の淵に追い込んだ「加害者」に対し、6人は犯罪も辞さない世直し活動を始める。ドラッグ売人狩り、差別団体へのテロ、そして首相暗殺。その過激な行為で世間の賞賛と非難を浴びながら、6人の活動はエスカレートしていき……誰が本当の屑(トラッシュ)なのか。弱冠22歳の著者が問う「正義」と「暴力」。小説すばる新人賞受賞後第一作。
  • 抵抗都市
    3.7
    「今の日本への問題意識を示すために、この舞台を選んだ」日露戦争に<負けた>日本。終戦から11年たった大正5年、ロシア統治下の東京で、身元不明の変死体が発見された。警視庁刑事課の特務巡査・新堂は、西神田署の巡査部長・多和田と組んで捜査を開始する。だがその矢先、警視総監直属の高等警察と、ロシア統監府保安課の介入を受ける。どちらも、日本国内における反ロシア活動の情報収集と摘発を任務とする組織だった。やがて二人は知る。ひとつの死体の背後に、国を揺るがすほどの陰謀が潜んでいることを。警察官の矜持を懸けて、男たちが真相を追う! 警察小説の旗手として不動の人気を誇る著者が、魂を込めて描いた、圧巻の歴史改変警察小説。
  • 失踪.com 東京ロンダリング
    3.7
    「またロンダリングをやってくれないか」。事故物件をロンダリングする人達、それに関わる者が次々と相場不動産を去っていく背景に、妨害工作の動きを察知した調査役の仙道は、ある事実を突き止める。市井の不動産屋のために巨大勢力と戦おうと立ち上がった仙道だが――。前作『東京ロンダリング』で注目を浴びた作者が、5年の時を経て新たに大都市・東京の鬼門を突く! 「事故物件を単なる恐ろしいものとしてではなく、現実的な事情も含めて丁寧に描いている」(大島てる・事故物件公示サイト運営)【目次】うちの部屋で人が死んだら/君に栄光を捧げよう/幽霊なんているわけない/女が生活保護を受ける時/地方出身単身女子の人生/失踪、どっと混む/昔の仕事/大東京ロンダリング/あとがき
  • 【無料】「東京バンドワゴン」10周年記念小冊子
    無料あり
    3.7
    シリーズ累計130万部突破! 「東京バンドワゴン」シリーズ10周年を記念して、シリーズ全巻の試し読み&小路幸也特別インタビュー(「青春と読書」5月号収録)を収録した無料小冊子を配信いたします。老舗古書店「東亰バンドワゴン」に舞い込む謎を、大家族の堀田家が人情あふれる方法で解決する大人気シリーズの入門ガイド。

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  • 小説 母と暮せば
    3.7
    1945年8月9日、原爆で壊滅的な被害を受けた長崎で、ひとり暮す福原伸子。彼女は長男・謙一をビルマ戦線で亡くし、原爆で次男・浩二を亡くしていた。あれから3年、ようやく息子の死を受け入れられるようになった伸子の前に、浩二が亡霊となって現れた――。2015年12月12日公開、山田洋次監督作品(出演:吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信、加藤健一)の小説版。

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