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【第45回すばる文学賞受賞作】認知症を患うカケイは、「みっちゃん」たちから介護を受けて暮らしてきた。ある時、病院の帰りに「今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」と、みっちゃんの一人から尋ねられ、カケイは来し方を語り始める。父から殴られ続け、カケイを産んですぐに死んだ母。お女郎だった継母からは毎日毎日薪で殴られた。兄の勧めで所帯を持つも、息子の健一郎が生まれてすぐに亭主は蒸発。カケイと健一郎、亭主の連れ子だったみのるは置き去りに。やがて、生活のために必死にミシンを踏み続けるカケイの腹が、だんだん膨らみだす。そして、ある夜明け。カケイは便所で女の赤ん坊を産み落とす。その子、みっちゃんと過ごす日々は、しあわせそのものだった。それなのに――。暴力と愛情、幸福と絶望、諦念と悔悟……絡まりあう記憶の中から語られる、凄絶な「女の一生」。
...続きを読むPosted by ブクログ 2024年03月31日
認知症を持ち、介護を受けて生活している高齢のカケイさん。
彼女の視点で日常が進みつつ、カケイさん自身がこれまでの人生を思いかえす物語。
作者の永井さんはケアマネジャーの仕事をしながら今作を執筆したとのこと。
読み始めてまず、文章の読みにくさを感じた。文章は全て地の文で進み、語りはあちこちに話題が飛...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年03月28日
介護についているからこそ書ける物語。一生分をこの物語に乗せて、他者の中にもある生き様を、こういう経過をとるんだよ、と教えてくれてくれる様な物語である。誰にでもある生き方を俯瞰して読むのは、では、自分はどう生きるか? を問われているよう感じるね。人に対して優しく接することができる人になりたいね。執着し...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年12月03日
認知症を患う高齢女性が主人公で、一人称の語りで書かれている。細かく認知症の人の内面を表現していると思ったら、著者はケアマネさんだと、読み終えてから知った。
主人公の心の中の表現は秀逸で、「ああ、認知症の人からは、こんなふうに見えてるのだ」と納得してしまう。見方が少し違うし、時間軸も少し違う。そして、...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年11月20日
最初は認知症の表現がなんだかリアルと感じる程度だったが、主人公とその周りの壮絶な人生がみえるにつれて、夢中になって読み進めた。
壮絶な人生も認知症になって振り返ると残っているものは少ない、そんなものかもしれない…
寂しいが孤独ではないだけいいのかもしれないよなぁとも思う。
1人語りの形だからこそ、本...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年11月07日
なんだか、ものすごいものを読んでしまったわ・・・
はいはい、主人公のおばあさん認知症なのね
なんてウカウカと読み始めてしまった私は
その後の展開に圧倒されつつ、なんとも幸福でしみじみとした読書時間を過ごすことができました。
主人公の人間力、ヘルパーさんたちの優しさ
歳をとって色々削ぎ落とされていった...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年10月29日
胸が詰まるほどの傑作。
認知症のおばあちゃんの内面にここまで深く迫れたものはあるのだろうか。
過去の苦しみや哀しみをひとり背負いながら生きていたカケイさん。
その悲しさを分かち合えたことで救われる。
その事を心から良かったと思えた。
みっちゃんと今度...続きを読む
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