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はじめて彼女を殺したのは母親だった。小学2年生の彼女を絶望的にまで殺し尽くしたのは教諭である鈴木による性的虐待だった。鈴木先生は6人の彼女を生みだすきっかけとなった。17歳のときに彼女を犯し、完全に殺したのは水原君と10人の仲間たちだった。そのとき新たに2人、あるいはさらに多数の彼女が生まれた――。冬の札幌で、小説家・菱沼が出会ったのは、心に50の人格を宿す女だった。DV被害にあう女に手を差し伸べた男は、信じられないほど壮絶な彼女の過去を知ることに……。柴田錬三郎賞を受賞した作家が満身創痍で放つ、迫真の長編サイコスリラー。
...続きを読むPosted by ブクログ 2023年04月08日
二段組で375ページ。なかなかの大作だと思います。にも拘わらず、ほぼ一気読みでした。初の花村萬月の作品。読み応えも大作のそれでした。
解離性同一性障害のヒロイン紫織と語り手である作家の菱沼逸郎。この逸郎にも「悪い逸郎」という別な自分がいる。
この逸郎は著者の花村萬月のことであろう、この作品じたい、...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年08月01日
実に久しぶりに読む花村萬月作品。花村さんは、ぼくより一つ年上の作家で、ほぼ同世代。最初にお会いしたのは歌舞伎町の文壇バーみたいな店。こちらは文芸評論家・関口苑生氏他とカウンター。花村先生は集英社の方とテーブル席。ハードボイルド作品『眠り猫』が出たばかりだった。
それを機にぼくは花村作品の虜と...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年07月08日
「解離性同一性障害」に罹っている女性と、彼女と関係をもった初老の作家との経験談が中心のお話なのだが、浮世離れしたと云うのか、非現実とも云う世界なのか、とにかく常識では考えられない出来事を描いた一冊なのだ。
内容には、あのアインシュタインでさえも避けて通った「量子物理学」の世界が絡み、凡人には理解不能...続きを読む
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