小説・文芸 - 創元推理文庫作品一覧

  • 星読島に星は流れた
    3.6
    天文学者サラ・ディライト・ローウェル博士は、自分の住む孤島で毎年、天体観測の集いを開いていた。ネット上の天文フォーラムで参加者を募り、招待される客は毎年、ほぼ異なる顔ぶれになるという。それほど天文に興味はないものの、家庭訪問医の加藤盤も参加の申し込みをしたところ、凄まじい倍率をくぐり抜け招待客のひとりとなる。この天体観測の集いへの応募が毎年驚くべき倍率になるのには、ある理由があった。孤島に上陸した招待客たちのあいだに静かな緊張が走るなか、滞在三日目、ひとりが死体となって海に浮かぶ――奇蹟の島で起きた殺人事件を描く、俊英会心の長編推理!
  • シチュエーションパズルの攻防
    3.6
    銀座の文壇バー『ミューズ』に夜な夜な現われる、大御所ミステリー作家・サンゴ先生こと辻堂珊瑚朗。普段はホステスにちょっかいを出し、葉巻をくゆらせ、バーボンをたしなむサンゴ先生だが、一度不思議な謎に遭遇すると、さりげなく推理を披露する。『ミューズ』でアルバイトする「僕」の視点から、ライバル作家との推理ゲームを繰り広げる「シチュエーションパズルの攻防」、銀座一のホステスの伝説を追う「ダブルヘッダーの伝説」など、五つの謎を描く。男女の駆け引きに絡む謎を軽やかに解き明かす、遊び心あふれる安楽椅子探偵ミステリー。
  • 夜愁 上
    3.6
    1947年、ロンドン。第二次世界大戦の爪痕が残る街で、人々はしぶとく毎日を生きていた。戦争を通じて巡り合ったケイ、ジュリアとその同居人のヘレン、ヴィヴとダンカンの姉弟たちも。今日もまた、一日が終わり――夜が来る。彼女たちが積み重ねてきた歳月を、容赦なく引きはがす夜が。想いは過去へとさかのぼり、隠された真実を、心の傷を、さらけ出していく。『半身』『荊の城』で示したたぐい稀なる語り口にはさらに磨きがかかり、読者をとらえて放さない。ウォーターズが贈る、めくるめく物語が、いまここに。ブッカー賞、オレンジ賞最終候補作。
  • 辛い飴
    3.6
    唐島英治クインテットのテナーサックス奏者・永見緋太郎は、天才的な技術とは裏腹に、相変わらず音楽以外に興味を持たない日々。しかし、ひとたび謎や不思議な出来事に遭遇すると、大胆にも的確にその真相を突いてくる。名古屋のライヴハウスに現れたという伝説のブルースマンにまつわる謎、九州地方の島で唐島と永見が出合った風変わりな音楽とのセッションの顛末、“密室”から忽然と消失したグランドピアノの行方、など7編に、特別編「さっちゃんのアルト」を収録。ライヴ感溢れる、日常の謎的ジャズミステリ〈永見緋太郎の事件簿〉第2弾。/解説=山田正紀
  • 獣の記憶
    3.6
    首のない死体。野獣に噛みさかれたような傷跡。ジェヴォーダン地方では、謎の人死にが続いていた。犠牲者は既に30人を超え、ほとんどが若い女や子どもだった。狼か未知の獣の仕業なのか。獣の正体に興味を抱いた博物学者の卵トマは、ヴェルサイユから派遣される狩人に無理矢理同行する。襲撃のあった現場付近の領主の城で、トマは“野獣”に襲われて生き延びたらしい美しい少女に出会う。だが貴族の娘である彼女は襲われたときの記憶を失っていた。18世紀のフランスを舞台に、謎に包まれたままの怪事件の真相に迫る、ゴシックミステリ決定版!
  • 悪魔の羽根
    3.6
    再読必至。誰にも真相は見抜けない!2002年、シエラレオネで5人の女性が殺害された。現地の元少年兵3人が起訴されるが、ロイター通信社の記者コニーだけはイギリス人のマッケンジーを疑っていた。2年後、バグダッドでマッケンジーに遭遇したコニーは、嗜虐趣味を持つ彼に拉致監禁されてしまう。3日後に解放されイギリスに戻った彼女は、マスコミを逃れて田舎町に隠れ住む。解放時にほぼ無傷だったうえに、あいまいな証言ばかりで監禁中の出来事を警察に話さないコニー。彼女はいったい何を隠しているのか? 圧巻の心理描写と謎解きの妙味を堪能できる英国ミステリの女王による渾身のサスペンス。/解説=松浦正人※紙書籍版とはカバー画像が異なります。
  • もう年はとれない
    3.6
    思いかえせば、戦友の臨終になど立ちあわなければよかったのだ。どうせ葬式でたっぷり会えるのだから。捕虜収容所でユダヤ人のわたしに“親切とはいえなかった”ナチスの将校が生きているかもしれない――そう告白されたところで、あちこちガタがきている87歳の元殺人課刑事になにができるというのだ。だがその将校が金の延べ棒を山ほど持っていたことが知られて周囲が騒がしくなり、ついにわたしも、孫に助けられながら、宿敵と黄金を追うことに……。武器は357マグナムと痛烈な皮肉。最高に格好いいヒーローを生みだした、鮮烈なデビュー作!2013年マカヴィティ賞新人賞受賞作、『IN★POCKET』2014年文庫翻訳ミステリーベスト10/読者部門第1位。
  • 晴れた日は謎を追って がまくら市事件
    3.6
    不可能犯罪ばかりが起こる街、蝦蟇倉(がまくら)市。商店街や高校があり、市内電車も走っているこの街は、どこにでもありそうで、どこかおかしい。自殺の名所といわくつきの崖では殺人事件が起き、ふらりと街を訪れた青年は怪しい相談屋の仕事を手伝う羽目に。蝦蟇倉警察署捜査一課に存在する不可能犯罪係、何の変哲もない置物を要求する脅迫者、10トンの銅像に圧し潰された彫刻家。この街に住む人々の日常は、いつも謎に彩られている。第一線で活躍する作家たちが贈る、不思議な街の道案内。〈がまくら市事件〉その1。
  • 夜の床屋
    3.6
    慣れない山道に迷い無人駅での一泊を余儀なくされた大学生の佐倉と高瀬。だが深夜、高瀬は一軒の理髪店に明かりがともっていることに気がつく。好奇心に駆られた高瀬が、佐倉の制止も聞かず店の扉を開けると……。第4回ミステリーズ!新人賞受賞作「夜の床屋」をはじめ、子供たちを引率して廃工場を探索する佐倉が巻き込まれる、ある夏の日の陰謀劇「ドッペルゲンガーを捜しにいこう」など全7編。奇妙な事件に予想外の結末が待ち受ける、新鋭による不可思議でチャーミングな連作ミステリ。(単行本版タイトル『インディアン・サマー騒動記』改題・文庫化したものを電子書籍化しました)

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  • 赤い糸の呻き
    3.6
    白昼に新聞紙を鷲掴みにして死んでいた男性に何が起こったのか――。音無美紀警部のめくるめく、ぬいぐるみへの妄想と、事件の対比が秀逸な、犯人当てミステリ「お弁当ぐるぐる」。停電時のエレベータ内で起こった殺人事件。もっとも怪しいのは、手や服を血で汚した指名手配の男だが。不可能犯罪を劇的に描く「赤い糸の呻き」。都筑道夫の〈物部太郎シリーズ〉の傑作パスティーシュ「墓標の庭」など、バラエティー豊かな5編を収録。“西澤ワールド”全開ともいえる、著者入魂の傑作短編集。

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  • 密室・殺人
    3.6
    探偵である四里川陣と助手の四ッ谷礼子の元を訪ねてきた老婦人。彼女は、息子にかけられた殺人の嫌疑を晴らすため、事件の調査を依頼する。傍若無人な四里川に命じられて礼子は雪山に建つホテルへと調査に赴くが、彼女を待ち受けていたのは、密室から消えた死体の謎だった。カードキーでロックされ、更に衆人環視下に置かれていたという密室状況は、なぜつくられたのか? 遊び心あふれる論理の背後に張り巡らされた伏線が、異様な真相を導き出す、会心の本格ミステリ。

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  • 追憶の殺意
    3.6
    年もおしつまったある日、埼玉県岩槻市の川土手で、自動車教習所の配車係が死体で発見された。男には職場の同僚と悪質なギャンブルを行なっていた疑いが浮上する。そして年が改まったとたん、教習所の技能主任が密室状況下の建物の中で撲殺される。さらに指導員の男が自宅マンションの駐車場にカバーをかけて駐めてあった自分の車の中で殺されていた!! 自動車教習所に通う教習生と指導員――その絡み合いの中からあぶり出される複雑な人間関係。やがて捜査線上に浮かんだ容疑者には、二重三重の鉄壁なアリバイがあった……!? 『模倣の殺意』の著者・中町信が本格ミステリの王道〈密室+アリバイ破り〉に挑んだ傑作長編推理。

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  • 叫びと祈り
    3.6
    砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人、スペインの風車の丘で繰り広げられる推理合戦、ロシアの修道院で勃発した列聖を巡る悲劇……ひとりの青年が世界各国で遭遇する、数々の異様な謎。選考委員を驚嘆させた第5回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」を巻頭に据え、美しいラストまで一瀉千里に突き進む驚異の連作推理。《週刊文春》ミステリーベスト10国内部門第2位をはじめ各種ミステリ・ランキングの上位を席捲、本屋大賞にノミネートされるなど破格の評価を受けた、大型新人のデビュー作。

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  • 無花果の実のなるころに
    3.6
    お蔦さんは僕のおばあちゃんだ。もと芸者でいまでも粋なお蔦さんは、神楽坂・本多横町で履物店を営んでいる。気が強くて面倒くさがりなのに、何かと人に頼られる人気者のお蔦さんと、中学生の僕はふたりで暮らしている。幼なじみが蹴とばし魔として捕まったり、ご近所衆が振り込め詐欺に遭ったり、ふたり暮らしの日々はいつも騒がしい。神楽坂界隈で起こる事件をお蔦さんが痛快に解決していく! あつい人情と神楽坂の魅力があふれる6編を収録した連作ミステリ。

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  • 安楽椅子探偵アーチー
    3.6
    骨董屋で寝息を立てるアンティークの安楽椅子に心惹かれた小学生・及川衛。自らの誕生日プレゼントとして購入し、店先から及川家にやってきたこの椅子には、不思議な力があった。なんと、人の言葉を話せるのだ。しかも、シャーロック・ホームズばりの推理を働かせ、見事に事件を紐解いていく。衛が通う小学校で起こった不思議な事件、駅で靴の片方を脱ぎ捨てていった男の謎、外人墓地で不可解な行動をする女性の真実など、ユーモラスで鮮やかな謎解き。「アーチー」と名づけられた正真正銘の安楽椅子探偵と衛の交流を描いた連作集。

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  • 憧れの少年探偵団
    3.6
    ここは多摩川のほとり、桃霞市。江戸川乱歩の少年ものに憧れる小学生が探偵団を結成した。自称探偵長のスレンダー美少女鳥居未菜美が幼なじみの歌川時雄を従え、転校生の月岡芳人を巻き込み、体格に恵まれた勝川章、パソコン使いの司馬遷太郎を加えて、メンバー五人で活動中。たかが子供の遊びと侮るなかれ、広大な桃霞市、推理力を駆使しなければ迷い犬の捜索だって不可能だ。それにしてもクリスマスに起こった尾形家の騒動は半端じゃなかった。何しろ御隠居さんが密室でこときれていたというのだから……。桃霞少年探偵団、活動開始!

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  • メグル
    3.6
    ひときわ古い庁舎のH大学学生部。希望者には学部を問わずアルバイトの紹介を行っているという――。「あなたは行くべきよ。断らないでね」無表情ながら美しく、奇妙な迫力を持つ学生部の女性職員から、突然に声をかけられた学生たち。病院の売店での商品の入れ換え作業や、食事を食べるだけ、とある家の庭の手入れなど、簡単だが面白みもなさそうな仕事を、彼女が紹介するのはなぜだろう。指定されたアルバイト先に足を運んだ学生たちに、いったい何がもたらされるのか、厄介事なのかそれとも奇蹟なのか? 五編収録の美しい余韻を残す連作短編集。

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  • いわゆる天使の文化祭
    3.6
    夏休みも終盤。休み中でも、目前に控えた文化祭に向けて、市立の生徒たちは奔走する。ところがある日、登校した葉山君の目に飛び込んできたのは、そこかしこに貼られた目つきの悪いピンクのペンギンとも天使ともつかないものが描かれた、異様な貼り紙だった。それぞれの部活にちなんだ図柄の〈天使〉を不思議に思いつつも、手の込んだ悪戯かと気を抜いていると、化学準備室で工作する犯人と思しき人影を見かける。文化祭のホームページも改竄され、事態は深刻さを増して――。波瀾万丈で事件に満ちた、コミカルな学園ミステリ・シリーズ。

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  • 背表紙は歌う
    3.6
    作り手と売り場、そのふたつを結ぶために。中堅どころの出版社、明林書房の新人営業マン・井辻智紀は今日も注文書を小脇に抱え、書店から書店へと飛び回っている。しかし新刊の見本を持って行った取次会社の社員になぜか辛辣な言葉を投げかけられ、作家が直接足を運んでサイン本をつくる「書店まわり」直前にトラブルを予感させるハラハラの種が……。本と書店を愛する全ての人に捧げるハートフル・ミステリ5編収録。ますますパワーアップした〈出版社営業・井辻智紀の業務日誌〉シリーズ第2弾、登場!

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  • 誘う森
    3.6
    一年前のあの日、妻の香映は自殺してしまった、何の前触れもなく。未だに妻の死を受け入れられず不眠症を患った洋介は、彼女とともに暮らした町を歩き、肉体的な疲労で、この状態から脱しようと試みる。しかし、彼女の過去の断片が、この町のあちこちに散らばっている。謎に満ちた妻の過去から、死の真相を探る決意を固める洋介。実家の酒蔵を手伝う傍ら、自殺の名所と呼ばれる森で、自殺防止のボランティア活動をしていた彼女に、いったい何が起きたのか。暴かれていく真実は、かの森へと洋介を導く――。期待の新鋭が描く、精緻なミステリ。

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  • 天啓の殺意
    3.6
    柳生照彦から持ち込まれた犯人当てリレー小説――柳生の問題編に対し、タレント作家の尾道由起子に解決編を書いてもらい、その後に自分の解決編を載せる――要するに作家同士の知恵比べをしよう、という企画は順調に進行するかに見えたが……。問題編を渡したまま、柳生は逗留先から姿を消し、しかもその小説は半年前の実在事件を赤裸々に綴ったものだった。『散歩する死者』の全面改稿決定版! 著者あとがき=中町信

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  • 午前零時のサンドリヨン
    3.6
    ポチこと須川くんが、高校入学後に一目惚れしたクラスメイトの女の子。他人を寄せ付けない雰囲気を纏っている酉乃初は、実は凄腕のマジシャンだった。放課後にレストラン・バー『サンドリヨン』でマジックの腕を磨く彼女は、学校で起こった不思議な事件を、抜群のマジックテクニックを駆使して鮮やかに解決してみせる。それなのに、なぜか人間関係には臆病で、心を閉ざしがちな酉乃。はたして、須川くんは酉乃との距離を縮めることができるのか――。学園生活をセンシティブな筆致で活き活きと描いた、“ボーイ・ミーツ・ガール”ミステリ!

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  • バルーン・タウンの殺人
    3.6
    東京都第七特別区、通称バルーン・タウン。人工子宮の利用が普通になった世界の中で、それでも敢えて母体での出産を望んだ女性たちが暮らす長閑な別天地。しかしそんな場所でも事件は起きる。前代未聞の密室トリック、暗号〈踊る妊婦人形〉の謎、捜査活動支援システム・ドウエル教授との推理合戦、「なぜ、助産婦に頼まなかったのか?」と呟いて意識を失った男、そして妊婦探偵の鮮やかな推理――遊び心溢れる趣向と抜群のユーモア・センスでミステリ・ファンから喝采を浴びた連作集。個性的なシリーズ第一弾。

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  • 平台がおまちかね
    3.6
    本が好き。でも、とある理由で編集部には行きたくなかった出版社の新人営業マン、井辻くんは個性的な面々に囲まれつつ今日も書店で奮闘中! 平台に何十冊と積み上げられた自社本と、それを彩る心のこもった手書きの看板とポップ。たくさん本を売ってくれたお礼を言いに書店を訪ねると、店長には何故か冷たくあしらわれ……。自社主催の文学賞の贈呈式では当日、受賞者が会場に現れない!? 本と書店を愛する全ての人に捧げるハートフル・ミステリを五編収録。新人営業マンの成長と活躍を描く〈井辻智紀の業務日誌〉シリーズ第一弾!

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  • 僧正殺人事件
    3.6
    だあれが殺したコック・ロビン? 「それは私」とスズメが言った――。四月のニューヨーク、マザー・グースの有名な一節を模したかのごとき不気味な殺人事件が勃発した。胸に矢を突き立てられた被害者の名はロビン。現場から立ち去った男の名はスパーリング――ドイツ語読みでシュペルリンク――スズメの意。そして“僧正”を名乗る者が、マザー・グース見立て殺人を示唆する手紙を送りつけてきた……。史上類を見ない陰惨で冷酷な連続殺人に、心理学的手法で挑むファイロ・ヴァンス。江戸川乱歩が称讃し、後世に多大な影響を与えた至高の一品。

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  • もろこし紅游録
    3.6
    三皇五帝のひとり黄帝が造った銀牌は何千年も受け継がれてきた天下御免の証、これを持つ侠客の前には皇帝の勅命とて無力である。仙人めいた老人かと思えば若き豪傑であったり、はたまた美しい少女であったりする“銀牌侠”は、明晰な頭脳と無敵の武術を具えた謎の存在として、今日も旅の空で弱気を助け強きを挫く。蘇州では饅頭の売り上げを奪われかけた十歳の少年を助けてやり、お礼をしたいからと家に誘われたところが……。第3回ミステリーズ!新人賞受賞作「殺三狼」に始まった“銀牌侠”伝説、戦国から民国時代の中国を舞台に描く第2集。

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  • わが身世にふる、じじわかし
    3.6
    家の庭で妻の伯母から送られてきたデビラをたたいていると、ニューヨーク帰りの悪友・河田警部が土産のバーボンを片手に現れた。帰国早々に、不思議な事件に遭遇した河田警部は、料理の腕もさることながら、見事な推理の冴えをみせるぼくの妻の知恵を借りようとやってきたのだった。血や残酷な話が苦手な妻をなだめつつ、彼女のヒントをもとに彼と二人で事件を再調査すると……。河田警部のニューヨーク時代や、ぼくの少年時代の思い出もたっぷりの六篇を収録。讃岐名物と郷土料理の数々にいろどられた、《ミミズクとオリーブ》シリーズ第三弾。

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  • 誰もわたしを倒せない
    3.6
    後楽園のゴミ捨て場に遺棄された死体は、なぜか頭頂部の髪を無惨に刈り上げられていた。事件を担当するのは所轄の刑事三瓶と格闘技マニアの新人・城島のコンビ。被害者はカタナという名の気鋭レスラーではないか――城島の推測を元に二人は事件関係者の聴取に奔走するが、次いで被害者の出自を知る男が自殺を遂げ、捜査は難航する。老練の刑事である三瓶も頭を抱える最中、城島は不思議な魅力を湛えた新人レスラー・犬飼の鋭い指摘を受けて事件を追ううちに、意外な目撃証言を手にするが……。覆面レスラー殺人事件と、容疑者の怪死が描く構図が推理を経て鮮やかに反転する「覆面」ほか、トリッキーな試み溢れる本格推理連作集。

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  • 砂の城の殺人 美波の事件簿3
    3.6
    父が行方不明になってから五年が経った冬。高校一年生のわたし・倉西美波は、不可抗力により「二日で五万円」という超破格のバイトをすることになった。山奥に踏み込んでは廃墟を撮影するというカメラマンの助手を請け負うことになったのだけれど、向かった先は危険だらけ。やっぱり楽には稼げないと落胆するも、なんと、ボロボロの屋敷でミイラ化した死体を発見してしまった! しかもそれが十二年もの間行方が知れなかった、カメラマンの母親だというからさらに驚いてしまって……。降りしきる雨の中、閉ざされた廃墟で次々と人が死んでいく。清新な筆致と、大胆なトリックで贈る、注目のシリーズ第三作。

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  • 夜明けを探す少女は
    3.5
    世の中には、夜になっても鍵をかけない家があるのを知ってる?──シカゴの高校に通う黒人の少女ボーは、卒業を機にこの街を出ると決めていた。絵の才能を活かし、盗みも撃ち合いもないどこか遠くへ行くのだ。そんな十六歳の冬、姉のカティアが不法侵入の疑いで警官に射殺された。外の安全な世界に憧れ、ボーに語り聞かせてきた姉が、犯罪に手を染めるはずがない。ボーは姉の無実を証明するため、現場から消えた姉の恋人を自ら探しはじめる。少女のひたむきな調査行と姉妹の絆が胸を打つ、アメリカ探偵作家クラブ賞最終候補作!/解説=吉野仁
  • ロンドン幽霊譚傑作集
    3.5
    19世紀ヴィクトリア朝、文化・産業ともに飛躍を遂げた大都市ロンドン。その栄華の陰では、犯罪のもたらす恐怖、そして超自然がもたらす恐怖が蔓延していた――晴れ渡ったケンジントン・ガーデンズの一角で目に見えぬ何かと交信する、美しき寡婦を巡る愛憎劇を主軸とした出色のサスペンス「ザント夫人と幽霊」。アイルランドのバンシー伝説を背景に、野心家の外科医が運命の奇蹟に遭遇する「ハートフォード・オドンネルの凶兆」。周囲から憧憬を集めた愛らしい令嬢が、死に際に抱いた最後の願いを描く「揺らめく裳裾」ほか、魔都ロンドンを舞台に贈る様々な趣向のゴースト・ストーリー13篇を収録する。集中12篇が本邦初訳。/【目次】ザント夫人と幽霊 ウィルキー・コリンズ/C―ストリートの旅籠(はたご) ダイナ・マリア・クレイク/ウェラム・スクエア十一番地 エドワード・マーシー/シャーロット・クレイの幽霊 フローレンス・マリヤット/ハートフォード・オドンネルの凶兆 シャーロット・リデル/ファージング館の出来事 トマス・ウィルキンソン・スペイト/降霊会の部屋にて レティス・ガルブレイス/黒檀の額縁 イーディス・ネズビット/事実を、事実のすべてを、なによりも事実を ローダ・ブロートン/女優の最後の舞台 メアリ・エリザベス・ブラッドン/揺らめく裳裾(もすそ) メアリ・ルイーザ・モールズワース/隣牀(りんしよう)の患者 ルイーザ・ボールドウィン/令嬢キティー ウォルター・ベサント、ジェイムズ・ライス/編者あとがき――魔の都(みやこ)、霊の市(まち) 夏来健次
  • クリスマスカードに悪意を添えて
    3.5
    パールは大忙しだった。クリスマスの飾りつけはまだだし、家族へのプレゼントも買ってないし。そんなとき、友人のネイサンから新聞の文字を切り取って貼った、彼を中傷する内容のクリスマスカードを受け取ったと相談される。同様のカードが他にも三人に届いているらしい。クリスマス前に探偵業はなし、と考えていたにもかかわらず、気になって調べ始めるパール。だが、教会のイベントで殺人が起き、驚くことに、その被害者も例のカードを受け取っていた……! 英国のリゾート地を舞台に、シェフ兼探偵のパールが活躍する好評シリーズ第二弾。
  • ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎
    3.5
    ケンブリッジ大学の貧乏学寮セント・アガサ・カレッジ。カレッジの学寮付き保健師(カレッジ・ナース)イモージェン・クワイの家に下宿する学生フランが、ある数学者の伝記を執筆することになった。今は亡きその数学者は立派な人物ではあったものの、生涯であげた目覚ましい業績はただひとつだけ。しかも、フランは伝記を手掛ける初めての人物ではなかった。伝記の執筆がこれまで途切れてきた原因は、数学者の経歴でどうしても詳細が不明な1978年の夏の数日間にありそうで……。好評『ウィンダム図書館の奇妙な事件』に続く、実力派作家によるシリーズ第2弾登場!/解説=古山裕樹
  • 誘拐犯 上
    3.5
    ロンドン警視庁の孤独な刑事、ケイト・リンヴィルは、敏腕警部だった父の惨殺現場となった生家を貸し家にしていたが、家の処分を決意。宿を取った近くのB&Bの14歳の娘アメリーが行方不明になる。捜査にあたるのは、ケイトの父の事件の時と同じ地元警察のケイレブ・ヘイル警部だった。その頃、1年前に失踪した少女の遺体が発見された。これは同一犯による誘拐なのか? しかし、アメリーは奇妙な状況下で発見される。防波堤から海に落ちかけていたところを男たちに助けられたのだ! 何があったのか? ケイトは管轄外の事件に再び巻き込まれる。
  • 遺品博物館
    3.5
    遺品博物館は、その名のとおり遺品を収蔵する博物館です。古今東西、さまざまな遺品を蒐集しております。選定基準については諸事情によりお話しできません。ただ、その方の人生において重要な物語に関わるものを選ぶことになっております……生前に約束した遺品の寄贈を受けるため、契約者の遺族の元を訪れる遺品博物館の学芸員、吉田・T・吉夫。この男が収蔵品として選ぶのは、死者自身の人生のみならず、遺された人々の人生にとっても重要な意味を持つ品々だった。彼が遺品と引き換えにもたらすのは、救済か、破局か――。熟練の技巧がえぐり出す、死者と生者を繋ぐ八つの謎物語。/【目次】川の様子を見に行く/ふたりの秘密のために/燃やしても過去は消えない/不器用なダンスを踊ろう/何かを集めずにはいられない/空に金魚を泳がせる/時を戻す魔法/大切なものは人それぞれ/解説=三島政幸
  • メナハウス・ホテルの殺人
    3.5
    戦争で夫を亡くし若くして寡婦となったジェーンは、叔母の付き添いでエジプトのギザに建つメナハウス・ホテルに滞在していた。エキゾチックな異国の地での優雅なバカンス。だが、ホテルの客室で若い女性客が殺害され、偶然第一発見者となったジェーンは、地元警察に疑われる羽目になってしまう。疑いを晴らすべく、魅力的だがいまひとつ信用できかねる自称銀行員のレドヴァースの協力を得て真犯人を捜そうと奔走するが、さらに死体が増え……。エジプトの高級ホテルを舞台に巻き起こる殺人事件を描く、旅情溢れるミステリ。シリーズ第一弾!
  • 図書館島
    3.5
    文字を持たぬ辺境の島に生まれ、異国の師に導かれて書物に耽溺して育った青年は、長じて憧れの帝都に旅立つ。だが航海中、不治の病に冒された娘と出会ったがために、彼の運命は一変する。世界じゅうの書物を収めた巨大な王立図書館のある島で幽閉された彼は、書き記された〈文字〉を奉じる人々と、語り伝える〈声〉を信じる人々の戦いに巻き込まれてゆく――デビュー長編にして世界幻想文学大賞、英国幻想文学大賞、ジョン・W・キャンベル新人賞、クロフォード賞の四冠を制覇した驚異の新人による、書物と言葉をめぐる傑作本格ファンタジイ。/解説=乾石智子
  • 土曜はカフェ・チボリで
    3.5
    児童書の出版社で働く香衣は、とあるきっかけで“カフェ・チボリ”を訪れる。そこは土曜日しか営業せず、おまけに店主は高校生という不思議な店だった! 美味しいデンマーク料理とあたたかいもてなしにすっかりくつろぎながら、馴染みの客たちが語る、身の回りで起こった謎に耳を傾ける。それらは『マッチ売りの少女』や『みにくいあひるの子』など、アンデルセン童話を連想させる出来事ばかりで――。風変わりな店主・レンが優雅な仕種でマッチを擦ると、謎はたちまち解かれていく。忙しない日常にひと時の安らぎをもたらす、安楽椅子探偵譚。
  • ダミー・プロット
    3.5
    自分とそっくりな女に出会い、替え玉に仕立てようとする岸浜涼子。友人を殺人容疑の圏外に連れ出すべく、策を巡らす風山秀樹。大阪の街を移動し、アリバイ工作に勤しむ大幹昌雄。それぞれが、それぞれの思惑を抱き行動したあと、まず発見されたのは切断された死体だった。岸浜の夫が経営する会社に手首が届き、地下鉄の網棚の上に置かれたバッグからは顔を潰された首が、そして占い教室から胴体が見つかる。これらはすべて同一人物のものと特定されたが――この死者は誰なのか? 本格推理の極北を歩み続けた孤高の作家、山沢晴雄。その幻の代表長編をついに創元推理文庫に収録する。/【目次】[ダミー・プロット]序章/第一章 奇妙な契約/第二章 犯行以前/第三章 首/第四章 二つの死体/第五章 アリバイ/第六章 殺意の接点/第七章 昏迷/第八章 録画は語る/第九章 壬庚子の秘密/終章/[推理クイズ]賭博/おんぼろバス/探偵学初歩/アリバイ/[エッセイ]本格のトリックは出つくしたか?/トリック問答/想い出五十年/編者解題=戸田和光/盤上のメトロポリス――山沢晴雄小論=芦辺拓
  • 金閣寺は燃えているか? 文豪たちの怪しい宴
    3.5
    文京区の長い路地を抜けるとバーだった。大学教授の曽根原は、ふと気づくとバー〈スリーバレー〉に足が向いている。女性バーテンダー・ミサキの魅力なのか、文学談義のせいなのかは判らない。ある晩、まだ客の少ない時間にミサキが繰り出した質問は、川端康成の『雪国』についてだった。登場人物の行動から『雪国』はミステリではないか、というミサキの疑問に、途中からまたしても入店してきた宮田が、珍妙な説を披露し始めて……。『雪国』に加え、田山花袋『蒲団』、梶井基次郎『檸檬』、三島由紀夫『金閣寺』と、日本文学界の名作の新解釈で贈る、鯨統一郎最新作。
  • 名探偵の証明 蜜柑花子の栄光
    3.5
    時間のある限りどんな依頼も引き受けるようになった名探偵・蜜柑花子。多忙を極めていたある日、東京の探偵事務所を訪ねてきたのは、以前の事件で深く関わった少女・祇園寺恋だった――。未解決事件の真相を蜜柑が解かなければ、誘拐された母親の命の保障はない、と脅迫を受けているという。大阪→熊本→埼玉→高知の順に、4つの未解決事件を再調査する時間はたった6日間。しかも移動は車のみ。疲労困憊、怒濤の推理行の果てに、蜜柑が導き出した答えとは? “名探偵の矜持”“名探偵の救済”をテーマに贈る《名探偵の証明》シリーズ完結編。
  • アルファベット荘事件
    3.5
    巨大なアルファベットのオブジェが散在する屋敷『アルファベット荘』。岩手県の美術商が所有するその屋敷には、オブジェの他に『創生の箱』と呼ばれる関わったものは死に至るという箱もあった。雪が舞う12月のある日、そこで開かれるパーティに10人の個性的な面々が集う。しかし主催者は現れず、不穏な空気が漂う中、夜が明けると『創生の箱』に詰められた死体が現れて――。売れない役者、変人にして小劇団の看板女優、そして何も持たない探偵が、奇妙な屋敷の幻想的な事件を解き明かす! 当代きってのトリックメーカー・北山猛邦の、長らく入手困難だった初期長編が待望の復刊!
  • 開化鉄道探偵 第一〇二列車の謎
    3.5
    明治18年。6年前に逢坂山トンネルの事件を解決した元八丁堀同心の草壁賢吾は、井上勝鉄道局長に呼び出された。大宮駅で何者かによって貨車が脱線させられ、積荷から、謎の千両箱が発見された事件について調査してほしいと。警察は千両箱を、江戸幕府の元要人にして官軍に処刑された、小栗上野介の隠し金と見ているらしい。草壁と相棒・小野寺乙松鉄道技手は荷積みの行われた高崎に向かうが、乗っていた列車が爆弾事件に巻き込まれてしまう。更に高崎では、千両箱を狙う自由民権運動家や没落士族たちが不審な動きを見せる中、ついに殺人が!/解説=西上心太
  • 名探偵の証明 密室館殺人事件
    3.5
    気がつくと“密室館”と呼ばれる館の一室にいた日戸涼。名探偵・屋敷啓次郎に傾倒しているミステリ作家・拝島登美恵が、涼を含めた男女8名を館に監禁したのだ。8名の中には顔を兜で隠した男など、明らかに不審な人物に加え、若き名探偵として誉れ高い蜜柑花子までいた!! 館内で起こる殺人のトリックを論理的に解くことができれば解放する、と拝島は言うが果たして? 出口のない館の中で次々に起こる殺人事件。トリックの解明に挑む蜜柑花子の苦悩と渾身の推理、さらに“名探偵の宿命”をフレッシュな筆致で描くシリーズ第2作。
  • 真紅の城砦
    3.5
    30歳で夭折した天才作家が創造し、すべてのヒロイック・ファンタジーの源となった傑作シリーズを、最新の校訂研究にもとづいて贈る第5集。本集には新訳となる3編を収録した。宝物を狙う海賊たちとの死闘を描いた「黒い異邦人」。最初に発表されたシリーズ作品として読者の熱狂を呼んだ、王となったコナンの物語「不死鳥の剣」。強大な敵の手に落ち囚われの身となったコナン王が、獄中で伝説の魔道士と遭遇する――一大合戦絵巻が繰り広げられる表題作等傑作揃い。/【収録作】「黒い異邦人」/「不死鳥の剣」/「真紅の城砦」/資料編「ハイボリア時代の諸民族に関する覚え書き」/「西方辺境地帯に関する覚え書き」/「辺境の狼たち(草稿)」/解説=中村融
  • 願いの桜
    3.5
    「“願いの桜”の話って本当だと思う?」駄菓子屋兼骨董店を営む宗助は、馴染の中学生亜咲美からそう聞かれた。通学路から離れた寂しい場所に一本だけ立つ桜の木、その木に願い事をすると叶うことがあるという。奇妙な言い伝えや曰くつきの品物に目がない宗助は、早速その桜を調べ始める。まもなく亜咲美の周辺で理由もなく体調を崩した生徒がいることを知り、嫌な予感を覚えた宗助は、祖父の代からの知り合いで呪物に詳しい少年朱鷺に助けを求めた。呪物を捜して旅をする少年と獣の姿をしたその兄が遭遇する不思議な出来事を綴るシリーズ第2弾。
  • 休日はコーヒーショップで謎解きを
    3.5
    拳銃を持って押し入ってきた男は、なぜ人質に“憎みあう三人の男”の物語を聞かせるのか? 意外な真相が光る「二人の男、一挺の銃」をはじめ、腕利きの殺し屋に次々と降りかかる予測不可能な出来事を描く「残酷」、殺人事件が起きたコーヒーハウスで、ツケをチャラにするため犯人探しを引き受けた詩人が探偵として謎解きを繰り広げる黒い蘭中編賞受賞作の「赤い封筒」など9編。正統派推理短編、私立探偵小説、ヒストリカル等、『日曜の午後はミステリ作家とお茶を』で人気を博した短編の名手が贈るとっておき! ごゆっくりお楽しみください。【収録作】まえがき/「ローズヴィルのピザショップ」/「残酷」/「列車の通り道」/「共犯」/「クロウの教訓」/「消防士を撃つ」/「二人の男、一挺の銃」/「宇宙の中心(センター・オブ・ザ・ユニバース)」/「赤い封筒」/編訳者あとがき
  • 蛇苺の魔女がやってきた
    3.5
    ディアーヌ学院での水晶玉占いの授業中、綾乃は突然気を失う。雪之丞の心配をよそに、その後の夏至祭も大成功に終わり、期末テストを終えれば楽しい夏休み……のはずだった。ところが気になる噂が綾乃の耳に入る。群馬県の山奥にある五郎丸湖で、ネッシーに似た生物が目撃されているというのだ。忘れもしない二年前の夏、故郷の角田村で綾乃を襲った首長竜、あれは確かにアロウが倒したはずだ。そんなとき、綾乃たちは五郎丸温泉にある先輩の別荘に招待される。妖怪と人間が共に学ぶ魔女学校を舞台にした、人気の学園ファンタジイ第3弾!
  • 退職刑事5
    3.5
    父が状況を聞いて事件を再構成する力に、私は幾度舌を巻いたか知れない。硬骨の刑事魂は、退職したところで一向錆びつきはしないのだ。私の現職刑事ぶりが気になって、足繁く団地へ話しに来るのもわかる。しかし「わたしが俳句に凝ったりしたら、お前が困るだろう、事件の解決が長びいて」などと言われると立つ瀬がなくなってしまう……。退職刑事若かりし頃の事件「凧たこあがれ」や、何とも皮肉な結末に問題発言が飛び出す「Xの喜劇」など、8編を収録。国産《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第5集。/【収録作】「落葉の墓」/「凧たこあがれ」/「プールの底」/「五七五ばやり」/「闇汁会」/「遅れた犯行」/「あくまで白」/「Xの喜劇」/解説=津田裕城
  • 黒いハンカチ
    3.5
    住宅地の高台に建つA女学院――クリイム色の壁に赤い屋根の建物があって、その下に小さな部屋が出来ていた。屋根裏と云った方がいいそこがニシ・アズマ女史のお気に入りの場所だった。ちっぽけな窓から遠くの海を眺め、時には絵を描いたりもしたが、じつは誰にも妨げられずに午睡ができるからだった。だが、好事魔多し。そんな彼女の愉しみを破るような事件が相次ぐ。そしてニシ先生が太い赤縁のロイド眼鏡を掛けると、名探偵に変身するのだ。飄飄とした筆致が光る短編の名手の連作推理。/【収録作】「指輪」/「眼鏡」/「黒いハンカチ」/「蛇」/「十二号」/「靴」/「スクェア・ダンス」/「赤い自転車」/「手袋」/「シルク・ハット」/「時計」/「犬」/あとがき/解説=新保博久
  • モリアーティ秘録 上
    3.5
    20世紀前半にロンドンの大銀行の貸し金庫に預けられた謎の回想録。その執筆者はセバスチャン・モラン大佐――ジョワキ戦役の英雄で賭博狂の大物ハンター、そして犯罪王モリアーティの右腕として活躍した傑物であった。犯罪商会(ザ・フアーム)の首魁として様々な犯罪のコンサルティングをこなすジェイムズ・モリアーティが相対してきた個性豊かな犯罪者たちと怪事件。世紀の悪党たちの知られざる活躍を、大胆な発想と魅力的なキャラクターをもって描いた、〈ドラキュラ紀元〉クロニクルで熱狂的支持を受ける博覧強記の著者による破格のホームズ・パスティーシュ。
  • 一週間のしごと
    3.5
    優等生だがほかに取り立てて特徴のない高校生・開沢恭平は、日曜日に幼なじみの青柳菜加に呼びつけられ、一方的に相談された。昨日渋谷の雑踏で母親から置き去りにされた幼児を保護し、家まで送り届けたが、荒れ果てた無人の室内に危機感を覚え自宅に連れてきたという。これまでにも猫や犬、果てはアルマジロと様々な生き物を拾っては周囲を奔走させてきた前科を持つ菜加は、事の重大さをまったく認識していなかった。「誘拐罪。おまえがやったのは、れっきとした犯罪だ」――警察を含めた大人たちを頼らず、幼児を然るべき場所に送り届けるため、恭平たちの波瀾の一週間が幕を開ける!/解説=光原百合
  • ニャン氏の童心
    3.5
    田宮宴は中堅出版社の女性編集者。新人ではないものの、編集長や同僚、さらには担当作家の代理でお使いをさせられてばかりの日々だ。こんな仕事ぶりでいいのか、と自問自答するある日、偶然に迷い込んだ袋小路で、人が煙のように消えてしまった?! ――後日、宴は担当する童話作家のミーミ・ニャン吉先生の事務所で、秘書の丸山との打ち合わせの合間に、その不思議な出来事を話すことに。すると、タキシードを着たような黒地に白の賢そうな猫をかたわらに、丸山が意外な解釈を語り始めて……。愛すべきニャン氏の事件簿パート2、出来だニャ。
  • 翼をください
    3.5
    愛らしい笑顔と親身な気遣いで、周囲の男たちから好意を寄せられる女子大生・石元陽菜。だがその本性はきわめて自己中心的なものだった。最近ストーカーの無言電話に悩んでいた陽菜は、受話器に罵詈雑言をぶつける中で憂さ晴らしに、周囲の人びとから聞き出した「秘密」を暴露するようになる。一方電話の向こうでは、信頼して打ち明けた自分の秘密を軽々しく漏らされたストーカーが怒りに震えていた。この秘密を守り抜くためには、彼女を殺さなければならない――あまりに意外な犯人の正体、そして戦慄の真相。濃密な人間関係に仕掛けられた大胆なトリックをあなたは見抜けるか?
  • 放課後の名探偵
    3.5
    高校生活も残りあとわずかとなった秋、姉への依存症を克服した中葉悠介は、蜜柑花子と初めて出会った屋上でのひとときを楽しんでいる。そんな学校生活のなかにもトラブルは潜んでいた――。体育の授業前の更衣室で中葉が落とした物から、知らぬ間に想定外のトラブルへと繋がっていく「ルサンチマンの行方」。ミステリ研究会部員が思い描く理想のダイイング・メッセージの定義「オレのダイイング・メッセージ」など、犯人(?)側視点から描いた全4編。蜜柑花子の鋭利な推理と、高校生らしいあわただしくも爽やかな日々を描く。
  • 星を拾う男たち
    3.5
    1963年に第2長編『死の内幕』を上梓した天藤真は、第3長編『鈍い球音』が刊行される71年までの8年間、中短編のみを発表することになる。4時起きで仕事に向かう勤勉な拾い屋コンビが出くわした朝一番の収穫は、二階屋の窓から落ちてきた死体だった――表題作「星を拾う男たち」のほか、旧〈宝石〉終刊号を飾った“史上最も完全な予告殺人”を描く「極楽案内」や、シリーズキャラクターのひとり、中央探偵社の仙石達子部長が登場する「密告者」「重ねて四つ」など、短編集成2巻目となる本書には、63年~66年発表の11編を収める。【収録作】「天然色アリバイ」「共謀者」「目撃者」「誘拐者」「白い火のゆくえ」「極楽案内」「星を拾う男たち」「日本KKK始末」「密告者」「重ねて四つ」「三匹の虻」
  • 海賊島の殺人
    3.5
    〈王国〉の海域を荒らす海賊たちを討伐した功績で名を馳せる海軍提督バロウズ卿が、海賊連合〈南十字星〉の首魁アルバート・リスターに誘拐された――提督救出の密命を受けた若き海軍大尉アランは、天才を自称する元役者の中年男ソープの助力を得て海賊に変装し、〈南十字星〉への潜入を試みる。それぞれ個性豊かな海賊の長たちを束ねる謎の青年リスターらに囲まれた状況下での困難な任務に留まらず、アランたちは〈南十字星〉の本拠地の孤島で起きる連続殺人事件を解く羽目に陥ってしまう。鮮やかな謎解きと爽快な読後感の海洋冒険ミステリ!/解説=宇田川拓也
  • イメコン
    3.5
    ある地方都市に住む、人生負け犬気味の男子高校生・武川直央の前に現れた一分の隙もない謎のイケメン・一色一磨。“イメージ・コンサルタント”だと名乗る彼が、「じゃ、遠慮なく」と服装や仕草についてアドバイスをすると、変わりたいと願う依頼人の人生が少しずつ良い方向に向かっていく。さらに一色は依頼人の問題点を見抜く鋭い洞察力で、彼らが巻き込まれてしまった事件を次々に解決するのだった。本当のあなたを見つけてみませんか。“イメコン”一色と高校生の直央、二人が織りなすお仕事ミステリ。
  • ベンスン殺人事件
    3.5
    証券会社の経営者アルヴィン・ベンスンがニューヨークの自宅で射殺された。事件は、有力な容疑者がいるため、解決は容易かと思われた。しかし捜査に、尋常ならざる教養と才気をもち、並はずれて容姿端麗なファイロ・ヴァンスが加わったことで、事態は一変する。友人の地方検事が提示する物的・状況証拠に裏付けられた推理を粉砕するヴァンスが、心理学的推理を用いて突き止める。巨匠S・S・ヴァン・ダインのデビュー作にして、アメリカ本格ミステリの黄金時代の幕開けを告げた記念碑的傑作!/解説=戸川安宣
  • 占い師はお昼寝中
    3.5
    渋谷のおんぼろビルにある「霊感占い所」には、今日も怪異な現象に頭を悩ますお客さんがやって来る。身の回りの物が消え失せてゆくサラリーマン、ポルターガイスト現象に苛立つキャリアウーマン、写真を撮ったら背後に霊が写った学生、そしてドッペルゲンガーに悩む主婦。そんな彼らの相談に応えて占い師が口にするのは、三度狐や水溶霊など、奇天烈な霊や妖怪の名前ばかり。それらは全部インチキだが、しかし彼の「ご託宣」はいつも見事に怪異の裏に隠された真実を突く。始終寝ている占い師・辰寅叔父と、巫女役をつとめる美衣子の心優しき推理の日々を描いた安楽椅子探偵連作集。/解説=青井夏海
  • こめぐら
    3.5
    【倉知淳ノンシリーズ作品集成第二弾】必要か不必要かはどうでもいいのだ。したいからする。着けたいからつける。これは信念なのだ――密やかなオフ会でとんでもない事態が発生、一本の鍵を必死に探し求める男たちを描く「Aカップの男たち」をはじめ、うそつきキツネ殺害事件の犯人を巡ってどうぶつたちが動機のあげつらいと推理を繰り広げる非本格推理童話「どうぶつの森殺人(獣?)事件」、B級時代劇におけるあまりにも意外な犯人消失の真相を描いた「さむらい探偵血風録」など5編に加え、猫丸先輩探偵譚「毒と饗宴の殺人」を特別収録。【収録作】「Aカップの男たち」「「真犯人を探せ(仮題)」」「さむらい探偵血風録 風雲立志編」「遍在」「どうぶつの森殺人(獣?)事件」「毒と饗宴の殺人」/単行本版あとがき
  • タラント氏の事件簿[完全版]
    3.5
    メトロポリタン博物館から忽然と消えた古写本、ペントハウスで起きた密室殺人、乗る者を次々死に追いやるボートの怪、古詩のとおりに消失と出現を繰り返す竪琴……いずれ劣らぬ怪事件に理知の光を当てて真相をあばくのは、日本人執事カトーを従えた謎の紳士トレヴィス・タラントである。巨匠クイーンが「当代におけるもっとも想像力に富んだ探偵小説」と評し、〈クイーンの定員〉に選出した傑作短編集に、その後に発表された「消えたスター」「危険なタリスマン」など4編を追加収録し、不可能趣味に満ちたシリーズ全作品を網羅した文庫決定版!/解説=千街晶之
  • 名探偵の証明
    3.5
    そのめざましい活躍から、1980年代には推理小説界に「新本格ブーム」までを招来した名探偵・屋敷啓次郎。行く先々で事件に遭遇するものの、ほぼ十割の解決率を誇っていた――。しかし時は無情にもすぎて現代、60代となったかつてのヒーローはある事件で傷を負い、ひっそりと暮らしている。そんな屋敷のもとを、元相棒が訪ねてきた。資産家一家に届いた脅迫状の謎をめぐり、探偵業の傍らタレントとしても活躍している蜜柑花子と対決しようとの誘いだった。人里離れた別荘で巻き起こる密室殺人、さらにその後の屋敷の姿を迫真の筆致で描いた長編ミステリ。第23回鮎川哲也賞受賞作。/解説=村上貴史
  • 雪の夜は小さなホテルで謎解きを
    3.5
    12歳のマイロの両親が営む丘の上の小さなホテル、〈緑色のガラスの家(グリーングラス・ハウス)〉。クリスマス前の冬の日、ホテルに5人の奇妙な客が現れる。彼らは全員が滞在予定日数を告げず、他の客がいることに非常に驚いていた。なぜ雪に閉ざされたこのホテルにわざわざやってきたのだろう? 5人のうちの誰かが落としたと思しき、古い紙片に描かれた海図らしきものを手がかりに、宿泊客たちの目的を探ることにしたマイロ。だが、客たちの謎は、このホテルに隠されたとてつもない秘密につながっていた……? MWA賞受賞、心あたたまる聖夜の物語をお贈りします。
  • 犯罪心理捜査官セバスチャン 少女 上
    3.5
    父親、母親、そしてふたりの息子。その家では一家四人が無残な死体で発見された。凶器は散弾銃、怪しい人物はすぐに挙がった。違法狩猟をめぐって、殺害された一家ともめていた男がいたのだ。だが、事件への関与を証明するのは困難。現場のトシュビー市の市長の夫で、捜査責任者のエリック・フロディーン警部は外部から応援を要請する決心をした。昇進したての彼は、なんとしてでも早急に事件を解決し、自分の昇進が妻のコネではないことを証明したかった。そこで呼ばれた最高の人材、それがトルケル率いる国家刑事警察殺人捜査特別班だった。凄腕の迷惑捜査官、本領発揮! 人気シリーズ第4弾。
  • 死のオブジェ
    3.5
    画廊で殺されたアーティスト。胸の上には一枚のカードがタイトルのように「死」と告げていた。NY市警には、同じオーナーの画廊で12年前に起きた猟奇殺人事件との関連を示唆する手紙が届く。切り刻まれ、オブジェとして展示されたアーティストとダンサーの死体。捜査を担当したマーコヴィッツは、容疑者の自白を信じていなかった。マロリーの再捜査は関係者たちの秘密を容赦なく暴き、閉ざされた過去をこじ開ける。娘の死と同時に失踪した画家の行方は? 膨大に遺されたマーコヴィッツのメモが指し示す真犯人は? 伏魔殿のようなアート業界に踏み込んだマロリーに、市警を牛耳る何者かの捜査妨害が……シリーズ第3弾!/解説=穂井田直美
  • アマンダの影
    3.5
    マロリーが殺された? 部下の報告で検視局に駆けつけたライカーが見たのは、彼女の名前の入ったブレザーを着た別人の死体だった。身元を突き止めたマロリーとライカーは、被害者アマンダ・ボッシュの住居を調査する。くまなく掃除された部屋。消去された名簿ファイル。彼女自身のことを書いたと思われる小説原稿。そして猫――唯一の目撃者? マロリーは復元した名簿を手がかりに高級コンドミニアムに潜入し、容疑者たちに仮借ない捜査の手を伸ばす。上流階級の虚飾の下に澱む策謀と欲望。ひとりの女を死に追いこんだ「嘘つき」は誰なのか? 善悪の彼岸に立つ、非情にして無垢なヒロインの活躍を描く、シリーズ第2弾!/解説=川出正樹
  • 007/カジノ・ロワイヤル【井上一夫訳】
    3.5
    英国が誇る秘密情報部。そのなかでもダブル零(ゼロ)のコードをもつものはどんな状況でも冷静に切り抜ける腕ききばかり。ソ連の工作員で、フランス共産党系労組の大物ル・シッフルが、党の資金を使い込み、カジノの勝負で一挙に挽回をはかろうとしているらしい。それを阻止すべく英米仏三国の共同戦線のもと、カジノ・ロワイヤルに送り込まれたのはジェームズ・ボンド。007のコードをもつ男。華麗なカジノを舞台に、巨額の賭け金をめぐる息づまる勝負の裏で密かにめぐらされる陰謀。007ジェームズ・ボンド登場。映画『007/カジノ・ロワイヤル』原作。/解説=杉江松恋
  • 凍った夏
    3.5
    12月、イーリーの公営アパートで、デクランという男が肘掛け椅子に座ったまま死んだ。閉所恐怖症の彼は扉を外し、窓を開け放したまま寝たために凍死したらしい。自殺の可能性が高いとされたが、取材に訪れた新聞記者のドライデンは疑問をおぼえる。デクランは金に困っていたが、部屋のコイン式電気メーターには硬貨がたっぷり補充されていた。自殺する人間がそんな行動をとるだろうか? 小さな謎は思いもかけない真相の手がかりだった。ドライデンの丹念な調査と明晰な推理によって少しずつ解かれていく人々の秘密。端正な英国本格ミステリ。/解説=若林踏
  • 犯罪心理捜査官セバスチャン 白骨 上
    3.5
    道に迷ったトレッキング中の女性が偶然見つけたのは、泥に埋まった人骨だった。山中に埋められた六人の遺体。大人が四人、子どもが二人。ずいぶん前に埋められたらしく白骨化していたが、頭蓋骨には弾痕があり、殺されたものと思われる。早速トルケル率いる殺人捜査特別班に捜査要請が出された。トルケルは迷ったあげく、有能だがトラブルメーカーのセバスチャンにも声をかける。家に居座ってしまったストーカー女にうんざりしていたセバスチャンは、渡りに舟とばかりに発見現場のイェムトランド県に同行する。史上最強の迷惑男セバスチャン再び登場。
  • ドラゴン・ヴォランの部屋 レ・ファニュ傑作選
    3.5
    ナポレオン戦争直後、パリへの途上で謎めいた美貌の伯爵夫人と出会った英国人青年が奇怪な犯罪と冒険に巻き込まれていく過程が、息もつかせぬサスペンスの連続のうちに語られる中篇「ドラゴン・ヴォランの部屋」。悪魔と取引した男の凄惨な最期を迫真の筆で描く「ロバート・アーダ卿の運命」。森から現れた黒衣の男に見初められた村娘の運命は……民間伝承の妖精譚に取材した「ローラ・シルヴァー・ベル」ほか全5篇を収録。M・R・ジェイムズ、セイヤーズが絶賛する〈謎と恐怖の巨匠〉レ・ファニュの傑作選。
  • ブラウン神父の童心
    3.5
    奇想天外なトリック、痛烈な諷刺とユーモア、独特の逆説と警句で、ミステリ史上に燦然と輝くシリーズの第一集。小柄で不器用、団子のように丸く間の抜けた顔。とても頭が切れるとは思われない風貌のブラウン神父が事件の真相を口にするとき、世界の風景は一変する。レストランの塩と砂糖を入れ替えるなど、奇妙な痕跡を残していく二人連れの神父を追う名刑事ヴァランタン。その背景には何が? ブラウン神父初登場の「青い十字架」のほか、大胆なトリックが炸裂する「見えない男」、あまりに有名な警句で知られる「折れた剣」など12編を収める。【収録作】「青い十字架」「秘密の庭」「奇妙な足音」「飛ぶ星」「見えない男」「イズレイル・ガウの誉れ」「狂った形」「サラディン公の罪」「神の鉄槌」「アポロの眼」「折れた剣」「三つの兇器」/解説=戸川安宣
  • 人形 デュ・モーリア傑作集
    3.5
    島から一歩も出ることなく、判で押したような平穏な毎日を送る人々を突然襲った狂乱の嵐「東風」。海辺で発見された謎の手記に記された、異常な愛の物語「人形」。上流階級の人々が通う教会の牧師の徹底した俗物ぶりを描いた「いざ、父なる神に」「天使ら、大天使らとともに」。独善的で被害妄想の女の半生を独白形式で綴る「笠貝」など、短編14編を収録。平凡な人々の心に潜む狂気を白日の下にさらし、人間の秘めた暗部を情け容赦なく目の前に突きつける。『レベッカ』『鳥』で知られるサスペンスの名手、デュ・モーリアの幻の初期短編傑作集。
  • 領主館の花嫁たち
    3.5
    1840年、当主の妻を若くして失ったその領主館は、悲しみに沈んでいた。そして、愛らしい双子の姉妹の家庭教師として館を訪れたテティことテターマンもまた、癒しがたい傷を負う身であった。屈託なく懐いてくる、瓜二つの双子の姉妹に、徐々に生きる希望を取り戻していくテティ。しかし、館に頻発する怪異が、テティと双子の姉妹の運命を容赦なく翻弄していく……。一族の恐ろしくも美しい秘密とは? 巨匠ブランドが持てる技巧のすべてをつぎ込んで紡ぎあげた、予測不能、美麗にして凄絶なるゴシック小説!/解説=戸川安宣
  • 処刑人
    3.5
    ナタリーが大学に入学するまで三週間ほどを残して迎えた初秋の日曜日の午後。鼻持ちならない文筆家の父と、夫への軽蔑を隠さない母が催したホームパーティでの“悪夢”を経て、初めての寮生活を迎えた17才のナタリーは、大きく変わった生活環境に戸惑いを隠せないでいた。同年代の少女への優越感と劣等感の狭間で揺れ動く中、風変わりな女生徒トニーとの出会いによって真の安寧を手にしたかに見えたが……思春期の少女の危うい精神の揺らぎを、残酷さと一掬の愛情を交えて描く。『ずっとお城で暮らしてる』の著者の初期を代表する傑作長編小説。/解説=深緑野分
  • 蠅男
    3.5
    名探偵帆村荘六、再び帰還! 科学知識を駆使した奇想天外なミステリを描いた、日本SFの先駆者と称される海野十三。鬼才が生み出した名探偵が活躍する推理譚から、傑作集第二弾を精選して贈る。密室を自由に出入りし残虐な殺人を繰り返す、稀代の怪人・蠅男との対決を描く、代表作「蠅男」。行方不明者を捜すために訪れた、奇妙な形の洋館。在原業平の句にちなんだ館に秘められた、恐るべき秘密を暴く「千早館の迷路」。三十年後の近未来を舞台に、謎の男につきまとわれる婦人の依頼から、ある犯罪を突き止める「断層顔」など、5編を収録する。
  • ボレアの妖月
    3.5
    風の巫女アルマンドラと婚姻し、ボレアの台地の将軍となった、精神感応能力者シルバーハット。台地民の尊敬を集め、よく地を制していたが、探索の途中で、地平線の彼方に墜ちゆく物体を目撃する。それこそは、アンリ‐ローラン・ド・マリニーの乗った時空往還機であった! だが、墜落の際、時空往還機がイタカ軍の手に落ちてしまう。これなくしては、ボレアからの脱出も、邪教集団との闘いも困難を極める。シルバーハットは、ド・マリニーと共に奪還を決意するが、風の邪神イタカの魔手が、ボレアに、そして愛するアルマンドラに迫りつつあった。邪神と人類の闘争を描きクトゥルー神話体系に新風を巻き起こした伝奇ホラー、長編第5弾。/解説=鵺沼滑奴
  • 古城ゲーム
    3.5
    医学生のバスチアンは、14世紀の暮らしを疑似体験するサエクルムというゲームに参加するため、オーストリアの人里離れた森に到着した。そこでは携帯電話、懐中電灯、消毒薬などゲームの時代になかった物の持ち込みが禁止され、5日間架空の騎士や魔女になりきる。だが参加者がひとり、またひとりと謎の失踪を遂げ、主催者の携帯電話もなくなり外部と通信不能になってしまう。さらに嵐を避けて逃げ込んだ洞に閉じこめられ、奥に大量の白骨死体を発見。想定外の出来事は何者かの仕業なのか? ウィーン出身の実力派作家が贈る圧巻のサスペンス!
  • 穢れた手
    3.5
    大学と登山の街、松城市、その松城警察署の刑事一課の警部補・桐谷光次は、収賄で逮捕された同期で親友の刑事・高坂拓の無実を確信していた。そして、今日、彼は処分保留のまま釈放された。贈賄側の男も釈放。しかし、逮捕された時点で既に高坂の解雇は決まっていた。処分の撤回はできないのか? 親友の名誉を回復するべく桐谷はひとり行動を開始する。しかし、思いもよらぬ殺人事件に巻き込まれ、事態は意外な方向に……。警察組織の深部に、いったい何が潜むのか? 組織の闇と、刑事たちの友情のかたちを見事に描き上げた傑作。/解説=若林踏
  • 書店猫ハムレットのお散歩
    3.5
    ダーラが経営するニューヨークの書店では、最近、店のマスコットの黒猫ハムレットの元気がない。愛想がないのはいつもどおりだけれど、お客をひとりも追い出していないし、買い物袋を爪で引き裂いたりもしていない。これはおかしい。“猫の行動の共感力者”と名乗る猫のセラピストによると、自分を出来損ないのように感じているという。あのふてぶてしいハムレットがそんなふうに思っているとは! 愕然とするダーラだったが、通っている武術道場で、さらに驚きのできごとが……。名探偵(かもしれない)黒猫が大活躍するコージー・ミステリ! シリーズ第2弾。
  • 月の夜は暗く
    3.5
    「母さんが誘拐された」ミュンヘン市警の捜査官ザビーネは、離れて住む父から知らせを受ける。母親は見つかった――大聖堂で、パイプオルガンの演奏台にくくりつけられて。遺体の脇にはインクの入ったバケツが置かれ、口にはホース、その先には漏斗が。処刑か、なにかの見立てなのか? おまけに父が容疑者として勾留されてしまった。ザビーネは父の嫌疑を晴らすべく、連邦刑事局の腕利き変人分析官の捜査に同行する。そして浮かび上がったのは、ひと月半のあいだに、別々の都市の聖堂で、同様に奇妙な殺され方をした女性たちの事件だった。『夏を殺す少女』の著者が童謡殺人に挑む!
  • ディスリスペクトの迎撃
    3.5
    銀座の文壇バー『ミューズ』の常連客、サンゴ先生こと辻堂珊瑚朗。大御所ミステリー作家である彼は、ひとたび不思議な事件に遭遇すると、さりげなく推理を披露する、名探偵でもあったのだ! ライバル作家が持ち込んだ、チェスセットに仕掛けられた謎を解く「チェスセットの暗号」、サンゴ先生原作のドラマをめぐって起きた、奇想天外な“誘拐事件”の解決に乗り出す「ポー・トースターの誘拐」など、五つの事件を収録。『ミューズ』に勤めるボーイである「僕」の視点から、サンゴ先生の華麗な活躍を鮮やかに描く安楽椅子探偵ミステリー第2弾。
  • この世にひとつの本
    3.5
    「ユーレイが消えた!」――著名な書家の幽嶺が、山奥の庵から忽然と姿を消した。後援していた大塔印刷では、御曹司の三郎に捜索をまかせることに。だが、工場でもあいついで病死者が出るという異常な事態が起こっていた。これは会社存亡の危機だ! いささか頼りない三郎は、有能な社長秘書の南知子と、切れ者ながら史上最速で窓際族になった社史編纂室の建彦の助けを借り、事件を探りはじめる。病死はただの偶然か、それとも無版印刷をめぐる陰謀なのか? そして、一見まったく関係がなさそうなそれぞれの事件は、世界に一冊しかないある書物へと、つながっていき――。「文字」を愛する活字中毒者に贈る傑作ミステリ。/解説=古山裕樹
  • 本能寺遊戯
    3.5
    扇ヶ谷姫之、朝比奈亜沙日、そしてロシアからの留学生アナスタシア・ベズグラヤは日本史好きの高校生。普段からあれやこれやと歴史談義を続ける彼女たちは、それが嵩じて、歴史雑誌『ジパング・ナビ!』の公募企画に投稿、入選を狙う――。日本史上の新説・珍説で、有名歴史小説家のサイン本など豪華商品をゲットするのだ! 本能寺の変を決行した明智光秀の動機、ヤマトタケルと剣の謎、春日局と大奥の真実、宇佐八幡神託事件など、女子高生“歴女”三人組の新解釈。第二回ミステリーズ!新人賞受賞作家が軽やかな筆致で贈る、連作ミステリ。
  • 血の色の記憶
    3.5
    色覚障害者のサイト〈ランボー・クラブ〉。仲間を探す不登校の中学生・菊巳が偶然見つけた、そのサイトのトップに掲げられたアルチュール・ランボーの詩。フランス語など習ったこともないのに、なぜ僕はこの原語の詩を読めるのだろう? 「Aは黒、Eは白、Iは赤、Uは緑、Oは青……」。その時、僕にあるはずのない、鮮やかな血の色を見た記憶が蘇った。そして後日、何者かによってサイトの詩が書き換えられ、詩になぞらえた死体が発見された! 色覚障害の少年をめぐる事件の、驚くべき真相とは? 鮎川哲也賞受賞作家が贈る、傑作本格ミステリ。/解説=大矢博子
  • 白の予言者1
    3.5
    六公国の王子デューティフルと、かつての宿敵である外島人の族姫エリアニアとの婚約。互いに根強い恨みと反感を抱く二つの国に平和を打ち立てんとするこの縁組みを成立させるためには、黒いドラゴン、アイスファイアの首を落とさねばならない。約束を守るために、王子は神呪字諸島に向け出航する。お供は王妃の顧問官シェイド、王子の従者シック、身分を隠したままのフィッツ。さらに古き血族のウェブや〈気〉をもつ貴族シヴィルも乗りこんでいる。航海の行く手に待つものは。壮大な異世界ファンタジー〈道化の使命〉最後の幕があがる。
  • れんげ野原のまんなかで
    3.5
    新人司書の文子がこの春から所属されたのは、のどかな秋葉図書館。ススキ野原のど真ん中に建つこの図書館は利用者もまばら、暇なことこのうえない。しかし最近妙な闖入者が現れた。小学生が閉館後も居残るために、あの手この手で図書館員たちの裏をかこうとしているらしい。いったいなぜ? 文子はかねてよりその博識ぶりを崇拝している先輩司書・能勢の力を借りて、小学生たちの企みをつきとめようとするが……。季節の折々に、小さな図書館を訪れる人たちがもたらすささやかな謎の数々。すべての本好き、図書館好きに捧げる、やさしいミステリ。/解説=大崎梢
  • 黒百合
    3.5
    昭和27年の夏休み。14歳だった「私」こと進と一彦は、六甲山にあるヒョウタン池のほとりで、不思議な雰囲気を纏った同い年の少女と出会う。池の精を名乗ったその香という少女は、近隣の事業家・倉沢家の娘だった。三人は出会った翌日からピクニックや山登りを通して親交を深めてゆく。自然の中で育まれる少年少女の淡い恋模様を軸に、昭和10年のベルリン、昭和15年の阪神間を経由して、物語は徐々にその相貌を明らかにしてゆく。そして、最後のピースが嵌るとき、あらゆる読者の想像を超える驚愕の真相が描かれる。数々の佳品をものした才人による、工芸品のように繊細な傑作ミステリ。/解説=戸川安宣
  • 落札された死
    3.5
    オークションハウス〈プレスコッツ〉を会場にしたチャリティイベントで、主催の女性が毒入りワインを飲んで死んだ。店を提供したオーナーのジョシーは、警察から執拗な取り調べを受ける。犯人の狙いは被害者ではなく、自分かもしれない。以前の勤め先を去るきっかけとなった事件の被告である元上司が刑を終え出所していることを知り、おののくジョシーだが、頼れる恋人の警察署長タイは折悪しく不在のため、今回の件には一人で立ち向かうしかない。人出の多い会場で、犯人はいかにして毒を盛ったのか……? アンティーク×謎解きのシリーズ第2弾。
  • 新・世界の七不思議
    3.5
    来日中のペンシルベニア大学教授ジョゼフ・ハートマンは、古代史の世界的権威。同じく歴史学者である早乙女静香と京都へ旅行しようとしてはキャンセルの憂き目に遭い、毎晩うらぶれたバーで飲むことに。しかし、バーテンダー松永の供する酒肴に舌鼓を打ちつつ聴く宮田六郎と静香の歴史検証バトルは、不満を補って余りある面白さであった。アトランティス大陸、ストーンヘンジ、ピラミッド、ノアの方舟、始皇帝、ナスカの地上絵、モアイ像――七つの不思議を俎上に載せ、常識を覆す新解釈を披露。好評嘖嘖たる奇想天外なデビュー作品集『邪馬台国はどこですか?』の姉妹編、ここに登場!
  • 聴き屋の芸術学部祭
    3.5
    生まれついての聴き屋体質の大学生、柏木君が遭遇する4つの難事件。芸術学部祭の最中に作動したスプリンクラーと黒焦げ死体の謎を軽快に描いた表題作、結末が欠けた戯曲の謎の解明を演劇部の主演女優から柏木君が強要される「からくりツィスカの余命」、模型部唯一の女子部員渾身の大作を壊した犯人を不特定多数から絞り込んでゆく「濡れ衣トワイライト」、深夜の温泉旅館で二人組の泥棒とともに〈いったいここで何が起こったか?〉を推理する「泥棒たちの挽歌」の4編を収録。第5回ミステリーズ!新人賞佳作入選のデビュー作を皮切りに、文芸サークル第三部〈ザ・フール〉の愉快な面々が謎を解く過程を描いた快作。ユーモア・ミステリ界に注目の新鋭登場!
  • 街角で謎が待っている がまくら市事件
    3.5
    ここ蝦蟇倉(がまくら)市では、不可能犯罪がよく起こる。少女は親友の犯罪を隠すために死体を処理し、レストランでは男女がワイングラスを傾けつつ友人の死を推理する。密室の謎を捜査する大学サークルの面々、互いに秘密を抱えて無人の球場で会話する高校生、常連客と推理談義を交わす中国茶房の女主人、少年が引き起こしたとされる陰惨な事件を追うルポライター。この街で起こる事件には、いつも出会いと別れが待っている。架空の都市を舞台に同世代の人気作家が競演する、「街」の物語。〈がまくら市事件〉その2。
  • 松谷警部と目黒の雨
    3.5
    目黒本町のマンションで殺害された小西のぞみの身辺を調べていくと、武蔵学院大学アメフト部「ボアーズ」との関連が浮上、更にはボアーズの仲間内でこの5年に複数の変死者が出ていると判明した。これらは繋がっているのか。松谷警部は白石巡査らと捜査に当たるが、のぞみの事件についてボアーズ関係者のアリバイはほぼ成立し、動機らしきものも見当たらない。過去の事件は不可解な点を残しながらも既決事項となっている。白石巡査は「動機は後回し」と地道に捜査を進め、ついに犯人がわかったと宣言。松谷の自宅で清酒「浦霞」を傾けながら、白石の謎解きが始まる。果たして真相は?犯人当ての妙味に富んだ本格ミステリ。解説=村上貴史
  • Jの少女たち
    3.5
    「この手紙が阿南さんに届くなら。俺のことを思い出してください」――阿南、34歳の冬の事件。再生。九月に入ったばかりの暑い朝。少女は誰にも何も告げず、屋上から飛び降りた。その死の後、高校三年生の少年が突然失踪する。彼は家出前、元警官・阿南に手紙を送っていた。「人間は間違ってはいけない」という阿南の信条を引いて“自分の間違いを正そうと思う”と書き残して消えた少年を捜すため、阿南は調査に乗り出す。鮮烈な余韻を残す著者の初期最高傑作、ライフワーク・シリーズ第2弾。解説=坂東齢人
  • 刑事失格
    3.5
    鴬橋派出所管内で発見された死体の後頭部には、大きな裂傷が刻まれていた。間違いなく他殺だ。――刑事になることを目標とする外勤警官・阿南は、その遺体に残された、謎の噛み傷に疑問を抱く。いなくなった飼犬捜し、夜ごと駅前にたむろする子供たちへの苦情処理など、煩雑な日常業務に忙殺されながら、阿南は個人的にその事件を追う。だが、見回り中に起きた新たな殺人をきっかけに、彼は複数の事件の思わぬ繋がりに気がつく。常に“正しくあること”を求める阿南が見出した、残酷な真実。ひとりの青年の不器用な歩みを描き上げる太田忠司のライフワーク・シリーズ、鮮烈なる第1弾。/解説=池上冬樹

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  • バルーン・タウンの手毬唄
    3.5
    睡眠薬で眠り込んだ妊婦を取り巻くのは薔薇のつぼみ、交差する二本の泥つき牛蒡、小魚に胡麻。しかも妊婦は服の上からスマイルマークのTシャツを着せられて――名探偵・暮林美央が奇怪な手毬唄連続見立て事件の顛末を回想する「バルーン・タウンの手毬唄」、アリバイを立証してくれるはずの謎の妊婦の消息を追う「幻の妊婦」、バルーン・タウンを舞台にした本格ミステリ短篇の謎解きに暮林美央が挑む「読書するコップの謎」、街角で耳にした不可思議な会話と密室盗難事件の謎解きが意外な結末に辿り着く「九か月では遅すぎる」の4編を収録した、バルーン・タウンの事件簿第3弾。

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  • うさぎ幻化行
    3.5
    飛行機事故で突然この世を去ってしまった、義兄・最上圭一。優秀な音響技術者だった彼は、遺書とは別に「うさぎ」宛に不思議な“音のメッセージ”を遺していた。圭一から「うさぎ」と呼ばれ、可愛がられていたリツ子は、早速メッセージを聞くことに。環境庁が選定した、日本の音風景百選を録音したものと思われるが、どこか不自然なひっかかりを覚える。謎を抱えながら、録音されたと思しき音源を訪ね歩くうちに、リツ子は奇妙な矛盾に気づく――。横浜、札幌、山口、香川、岩手……、音風景を巡る謎を、旅情豊かに描いた連作長編。

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  • 奇談蒐集家
    3.5
    自ら体験した不可思議な話、求む。高額報酬進呈(ただし審査あり)。――新聞の募集広告を目にして酒場を訪れた老若男女は、奇談蒐集家を名乗る恵美酒と美貌の助手・氷坂を前に、怪奇と謎に満ちた体験談を披露する。シャンソン歌手がパリで出会った、運命を予見できる魔術師。少年探偵団の眼前で、少女の死体と入れ替わりに姿を消した魔人。冬薔薇が咲き誇る洋館に住む美しき館の主からの奇妙な申し出……。数々の奇談に喜ぶ恵美酒だが、氷坂によって不思議な謎は見事なまでに合理的に解き明かされる!安楽椅子探偵の推理が冴える連作短編集。

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  • 葡萄色の死
    3.5
    夏の終わりの夜明け前、フランスの長閑な小村サンドニにサイレンが鳴り響いた。遺伝子組み換え作物の試験場が放火されたのだ。過激なエコロジストの犯行が疑われ、村でただひとりの警官にして警察署長のブルーノは、国家警察の刑事たちに協力し、住人への聞き込みをはじめる。だがそんな折、村の青年がワイン農場の大きなワイン桶の中で死んでいるのが発見される。事故か? 殺人か? 放火との繋がりは? 心やさしき警察署長は、村の平穏を取り戻すため不可解な事件に挑む。元英国ガーディアン紙のベテラン記者が贈る、謎に満ちた傑作ミステリ、シリーズ第2弾。

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  • 空白の殺意
    3.5
    高崎市内の川土手で私立高校に通う女生徒の扼殺死体が発見される。その二日後、今度は同校の女性教師が謎めいた遺書を残して自殺する。そして行方不明だった野球部監督の毒殺死体が発見されるに及んで、俄然事件の背後に甲子園行を目指して熾烈な闘いをくり展げている学校同士の醜い争いが炙り出されてくる……。「模倣の殺意」「天啓の殺意」のトリック・メーカーが、密かな自信をもって読者に仕掛ける巧妙なワナ。改稿決定版。

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