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Posted by ブクログ
有栖川有栖さんの『論理仕掛けの奇談』で紹介されていて読みたくなった。
「考えてみれば妊婦だって人ぐらい殺すわよね。人間なんだから」
このセリフに度肝を抜かれた。
人工子宮が一般化した世界で、あえて母体での出産を選ぶ女性たちが暮らす、妊婦だらけの街が舞台のミステリ。
自分では一生思いつかない発想。
設定はSFだけど、中身はユーモアミステリでとても読みやすい。
クリスティやホームズへのオマージュもあちこちにあって楽しい。
固定観念にとらわれず、女性の幸せを一つの形に決めつけないところも良かった。
結婚するかどうかも、子どもを持つことも、出産方法も人それぞれ。さまざまな価値観を持った女性が登場する。30年も前の作品なのに今読んでも古さを感じない。
純粋にミステリとして楽しめるのも良かった。
妊婦あるあるや妊婦ならではのミステリがユニークで面白い。
お腹以外は印象に残らない「透明人間」という表現も皮肉っぽくて好き。
お腹だけが認識されて「妊婦」という括りで自分自身は見られていないような感覚。
自分も妊娠中にそんな風に感じたことがあった。
「亀腹同盟」というワードが強烈過ぎて、後からもジワジワきてる。
妊婦でいられるのは10か月ほど。
この設定で3巻までどう続くのか?
気になるなぁ。
Posted by ブクログ
人工子宮の使用が当たり前になった世の中で、あえて自らの身体で妊娠・出産を経験しようという妊婦たちが集められたバルーン・タウンを舞台にした連作ミステリ。妊婦ならではの着眼点やトリック満載の作品です。
妊婦たちが平和に日常を送るバルーン・タウンだけれど、人間の営みの中で必ず事件は起こるもの(笑)。幸いにしてそれほどに物騒で凄惨な事件は起こらないものの、社会への痛烈な皮肉なんかもあって、軽くはない読み心地です。
お気に入りは「バルーン・タウンの密室」。ほぼ密室で起こった知事襲撃事件、犯人の出入り可能な空間はあったものの、容疑者たちはサイズ的に誰も通ることができなかった、というシンプルなようで難解な謎です。でも明かされると目からウロコといった心境でした。これはなかなか気づけませんよ。
「なぜ助産婦に頼まなかったのか?」も、なかなか気づけないポイントだなあ。自然にこういう要素を謎に絡めてくるのが本当に見事です。そして「亀腹同盟」のシャーロック・ホームズネタの連打にも大笑いでした。個々の有名作品のネタは明かされているけれど、これを読もうという人ならほぼ知っていますよね?
Posted by ブクログ
素行不良の《妊婦探偵》が活躍する、シュールな笑いにあふれたSFテイストのミステリ。
舞台は、東京都第七特別区。人呼んで「バルーンタウン」。そこは、「人工子宮(AU)全盛の世の中で、妊娠・出産という過程をへて子供を持つことをあえて選んだ女たちが、天然記念物なみの保護をうけて暮らす」妊婦の町である。そのちいさな、しかしかなり特殊な町で発生するさまざまな事件を、「妊婦のことは妊婦にきけ」とばかりに、見事な「亀腹」をもつ《妊婦探偵》暮林美央が鮮やかに解決する連作もの。
この妊婦探偵、厳密にいえばちがうのだろうが、分類としては《安楽椅子探偵》に入るのだろう。じっさい、電話口から示唆するだけのものもあるからだ(『バルーン・タウンの裏窓』)。「妊婦は透明人間なの。お腹以外は」などなど、全編をとおして名言(迷言)にもことかかない。
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