悪魔の羽根

悪魔の羽根

小説・文芸
1,425円 (税込)

7pt

再読必至。誰にも真相は見抜けない!2002年、シエラレオネで5人の女性が殺害された。現地の元少年兵3人が起訴されるが、ロイター通信社の記者コニーだけはイギリス人のマッケンジーを疑っていた。2年後、バグダッドでマッケンジーに遭遇したコニーは、嗜虐趣味を持つ彼に拉致監禁されてしまう。3日後に解放されイギリスに戻った彼女は、マスコミを逃れて田舎町に隠れ住む。解放時にほぼ無傷だったうえに、あいまいな証言ばかりで監禁中の出来事を警察に話さないコニー。彼女はいったい何を隠しているのか? 圧巻の心理描写と謎解きの妙味を堪能できる英国ミステリの女王による渾身のサスペンス。/解説=松浦正人※紙書籍版とはカバー画像が異なります。

詳しい情報を見る

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

悪魔の羽根 のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    英国ミステリの女王ミネット・ウォルターズの作品。
    誘拐された女性記者が立ち向かったのは‥?!

    コニー・バーンズはロイター通信の記者。
    アフリカのシエラレオネで連続暴行殺人事件が起き、犯人は逮捕されたが、コニーは傭兵のマッケンジーに疑いを抱く。
    後に、コニーは何者かに誘拐される。
    当時、記者が誘拐される事件は相次いでいて、解放された後にマスコミに多くを語る女性もいた。
    コニーはほとんど語らずに帰国し、不審に思われながら田舎の村に身を潜める。

    国際的な状況を背景に、実はアフリカ生まれの女性であったりと、これまでになく視野を広げた設定。
    後半は小さな村の古い屋敷の中に、事件が収束していきます。
    何一つ証拠がなく、おそらく脅迫もあったために、コニーは一切を語らず、マスコミや警察にさらにボロボロにされることを避けたのでしょう。

    借りた屋敷は予想よりも村はずれにあり、ネットさえ繋ぎにくい。その無防備さは、ほとんどホラー。(いずれ傭兵マッケンジーが来ることを思うと‥)
    隣の敷地で農園を営む女性ジェスが、何かと様子を見に来てくれる。
    中性的で年齢不詳な外見で、村人からはほとんど相手にされていない変わり者。
    屋敷の持ち主の老婦人リリーの面倒も見ていたらしいのだが‥?

    ジェスを煙ったく思いながら、だんだんと心を通わせるコニー。
    リリーとその娘、ジェスとの間に何があったかも次第に明らかに。
    コニーは事情を解明していく過程で、恐怖に打ちひしがれていた状態から回復していきます。
    平凡な村で起きた誤解や無関心の恐ろしさ。

    アフリカでの事件とはまったく異質な‥この対比がすごいです。
    いや人間の起こす事件としては、通じるものがあるのかも。
    新鮮な切り口ですが、ミネット・ウォルターズの過去の作品のモチーフも、長年の読者の目にはちらほら散見します。
    抑えているようで実は熱っぽい。
    最後はたたみかけるような怒涛の展開に。
    結末は明快にはしませんが、何が起きたかは十分わかります。
    うねるような勢いが魅力的で、面白かったです☆

    0
    2016年01月23日

    Posted by ブクログ

     コニーは、ロイターの記者で、彼女が殺人犯ではないかと疑っている男に拉致監禁される。三日後彼女はほぼ無傷で開放されたが、彼女の証言は曖昧でしかない。そして彼女は、イギリスの田舎に隠れ住む。

     なんとも難しい設定にしたもんだと思った。
     主人公が記者で、しかも彼女の視点のみで描かれている。つまり、彼女は物事を客観的にとらえることにたけていると同時に、この作中で一番信用のできない語り手なのだ。
     そのうえ、彼女は助けを必要としていない。
     結局のところ、田舎町で知り合った世捨て人のような女性の助けを得ることになるのだけれど、二人ともがそういうコミュニケーションに対して不器用なのですんなりといかない。
     世捨て人のようなジェスも、大きなトラウマを抱えている。
     そして、二人してそれぞれのトラウマを乗り越えていくのだけど、すっきりはしない。
     
     人間の中には<善>と<悪>が常に存在している。
     同じように<強さ>と<弱さ>もあり、それらは主観と行動によって真逆にだってなりえる。 
     そういうことを全て抱え込んで物語を成立させているのだから、すごい、としか言いようがない。

     前作の「遮断地区」でもちょっと感じたけど、ウォルターズは<新しい価値観>みたいなものを模索してる気がする。今までの概念を超えたものを創り出そうとしているように思う。

     面白かった。

    0
    2015年10月16日

    Posted by ブクログ

    ウォルターズ初体験。

    連続女性強姦殺人事件を追う女性記者が3日間拉致監禁された後、解放される。監禁中のことを決して話そうとせず、マスコミから身を隠す彼女のもとに、再度犯人が忍び寄り…という話。

    主人公が話そうとしない事実は想像の範囲内だが、恐怖心の描写が巧みで、文字通り目が離せない。この本筋の話の第18章での転換も見事だが、サブストーリーにしか思っていなかった人物に係る第21章以降の展開には本当に驚いた。

    0
    2019年12月30日

    Posted by ブクログ

    本作では、人生における危機や悲劇を乗り越えた人たちの「その後」を心理的に解き明かしていく。
    冒頭、英国系ジンバブエ人の主人公がアフリカで取材中に拉致され、3日後に解放される。普通のミステリーならそれだけで1冊終わってしまいそうだが、本書ではこれは、言うならば起承転結の「起」だ。
    しかも、ここから端を発する事件は「転」が足早にやってくる。ところがこのシーンを迎えてもまだ、物語はどんどん続いていく。
    そう、だって、それが人生だからだ。大きな危機を乗り越えて命は救われた、めでたしめでたし、で終わるなんて、現実は許さない。
    一人称によって語られる物語だが、なにせこの「わたし」が信用ならない語り手なので、読む者は「わたし」の手の上で転がされているかのような、釈然としない心持ちで「結」までゆっくりと進まされる。
    その他の登場人物も、みな「その後」にいる人たちである。「その時」を振り返っては歯がみし、自分や他人を呪い、地団駄を踏みながら今を生きている。
    そんな中、ふとした時に主人公が目を開き、自分の強さに目覚める瞬間はすがすがしい(しかし当然、そのあとも物語=人生は続く)。
    謎解きあり、アクションあり、心理戦あり、ミステリーの要素が満載で飽きさせない。お見事。

    0
    2016年04月20日

    Posted by ブクログ

    南アフリカで犯罪者に拘束された過去を持つ女性ジャーナリストが、隠遁したイギリスの片田舎で新たな恐怖に遭遇する。弱者の立場にいた者が復讐劇の渦中に置かれる過程、そしてその意外な顛末と豊かな余韻も楽しめる。主人公をはじめとして逞しい隣人や母親まで、とにかく女性の力強さが印象的。

    0
    2015年12月13日

    Posted by ブクログ

     中編集『養鶏場の殺人・火口箱』を読んでから、少しこの作家への見方がぼくの方で変わった。≪新ミステリの女王≫と誰が呼んでいるのか知らないが、この女流作家はミステリの女王という王道をゆく作家ではなく、むしろ多彩な変化球で打者ならぬ読者を幻惑してくるタイプの語り部であるように思う。

     事件そのものは『遮断地区』特に強く感じられるのだが、時代性と社会性を背景にした骨太のものながら、庶民的な個の感情をベースに人間ドラマをひねり出し、心理の深層を描くことにおいて特に叙述力に秀でた作家なのだと思う。

     本書はミネット・ウォルターズとしては最もページ数を費やした大作長篇であるのだが、種火は西アフリカ、シエラレオネでの連続女性暴行殺人事件。ヒロインはそれを取材していた英国人女性。さらに舞台は米軍兵士によるイラク人捕虜虐待の映像が世界中に衝撃をもたらしている渦中のバグダッドに移り、ヒロインはいきなり連続誘拐事件の被害者の一人となる。

     しかしここで誘拐の実態は語られることがない。ヒロインはいち早く三日間で釈放され、本人は英国ドーセット州の田舎町に隠遁者のように居を移しそこでの生活を語り始める。

     そして連続殺人鬼と目される戦時暴力の申し子であり、傭兵として歪んだ生きざまを歩いているらしき一兵士の足音が刻々と彼女に迫る。誘拐事件の真相は何だったのか? 誰に誘拐され、何故に釈放されたのか、そして彼女の沈黙の意味は? こうした謎を引きずりつつ、ドーセット州での家主や隣人のもう一つの田舎の事件を彼女は探偵のように探ってゆく。

     個性ある人物の配置はいつもながらであるが、田舎町そのものの個性を描くこともこの作家は得手としているように思う。隣人や村社会のなかで描かれる距離感や、噂話が持つ地に足のつかない心理的な枷が彼女や隣人を真綿のように締めつける。

     そして圧巻であるはずのクライマックス・シーンに到達すると同時に、そのシーンの描写は、誘拐事件と同じようにまたしても割愛される。既に聴取室にいるヒロインと懐疑で徹底的に武装した取調官との対決。この小説中最も重要と思われる部分を描かないことによりこの著者らしいミステリー小説がより完成度を増している、といった皮肉な世界構築をミネットは成功させているのだ。

     作家だったらきっと手に唾をつけて熱のあるペンをふるいたくなる場所にだけ暗黒のフェイドアウトを入れて、思わせぶりでじれったい描写により、読者の想像に結論を委ねる。ミステリー作家らしくはあるものの、やはりこの人は女王というよりもひねくれ者のアーティストにしかぼくには見えてこない。

    0
    2015年08月09日

    Posted by ブクログ

    大好きなミネット・ウォルターズも本作含めて残りあと2冊となってしまいました
    次がラストってことですな
    うーん、なんとかならんかね?
    未訳作品がまだ残っておるのだよ
    創元社さん頼むよほんと

    今作はちょっとごちゃごちゃし過ぎかな?って思いました
    またいつものミネット作品にある終わり方の爽快感も少し控えめ
    なのでちょっと不満

    だけどやっぱり魅力的な女性を描かせたら当代随一!これは間違いない!(ビシィッ)
    この魅力的な女性が恐怖と向き合い勝利を収めるってのがミネット作品ですと言い切ってもいいくらい

    だから、むしろ男子に読んでもらいたい
    もしわいが「委員長」ってあだ名の中二女子だったら、学級会とかで「ちょっと男子がうるさくて会が始められませ〜ん。男子は静かにしてくださ〜い。あとミネット・ウォルターズ読んでくださ〜い」って言っていたと思う

    良かったな、中二女子じゃなくて

    0
    2024年03月14日

    Posted by ブクログ

    凶悪犯に拉致監禁された女性の一人称形式で話が進むのだが、これがなんとも疑わしい。
    真実を隠しているのであっても、読者には理解しようがないからだ。
    そんなモヤモヤした気分を抱きながら、しかも、隠棲先の奇妙な人間関係も不可解なことばかり。
    最後まで判然としなかった。

    0
    2020年07月04日

    Posted by ブクログ

    こういう展開は全く予想しておらず。
    勝手に「こんな話だろう」とイメージしていたものとあまりにも違って、むしろすがすがしい。

    0
    2018年01月21日

    Posted by ブクログ

    シエラレオネで女性が五人殺害された。
    記者コニーはある男を犯人ではと疑っていた。
    そんなコニーが拉致監禁されるが、数日後解放された彼女は事件について多くを語らないまま身を隠してしまう。

    事件の犯人は主人公の思う通りなためミステリーではなくサスペンスなのだが、事件の経過を読むというよりは、恐ろしい体験をした女性の心理を読むといった物語。
    主人公コニーのまさに揺れる思いが描かれる。

    恐怖というものは明らかに恐ろしい何かに対してというより、何かはっきりしないものにいつ何をされるかわからないことにある。
    そういう恐怖に怯える心理が読み手にも伝わってくる。

    ただ、事件の犯人を考えたり事件の顛末に興味を持って読むと、少し物足りない。
    それがわたしだった。
    わたしとしてはコニーが拉致されるまではスピード感があるのに、解放されてから失速したとさえ感じてしまった。

    わたしはこういった事件の被害者になったことがないのであくまで想像にしか過ぎないが、誰かに狙われていると考えるとき、田舎よりは都会にいると思う。
    田舎のほうがひとがいないため却って自分を隠すのにふさわしくないのではと思うだろうから。葉を隠すのなら森に、ひとを隠すのなら雑踏にだ。
    そのため田舎に隠れるコニーの気持ちがよくわからず、コニーには別に思うところがあって敢えて田舎に行ったのではなどと要らない深読みをして結果ガッカリさせられた。

    人間の心理を読みたいひとには面白いと思う。
    人間の心理を読むのは好きだけれど、創元推理文庫から出版された本にそういうものは期待していない。
    面白くないわけでもないけれど、やはり物足りなさを感じる一冊だった。

    0
    2016年10月06日

悪魔の羽根 の詳細情報

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

創元推理文庫 の最新刊

無料で読める 小説

小説 ランキング

作者のこれもおすすめ

同じジャンルの本を探す