ビジネス・実用 - 筑摩書房作品一覧

  • キリストの顔 ――イメージ人類学序説
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    キリスト教において、神の顔は、死後の救済の瞬間まで見ることは叶わないとされる。偶像禁止と、ひと目その姿を拝みたいという欲望との狭間で、「人の手によらない」という奇跡の像は生み落とされた。そのイメージは反復・伝播し、東西キリスト教世界で独自の変容を遂げていく。表象不可能なものの表象――ここに紛れもなく西洋のイメージの源流がある。有名無名の芸術家たちはいかにしてこの逆説を乗り越えたのか。神秘のヴェールを取り払い、西洋世界2000年にわたる壮大なイメージの歴史をたどり直す。イメージ人類学、期待の新鋭による新たな挑戦。
  • 気流の鳴る音 ──交響するコミューン
    4.4
    「知者は“心のある道”を選ぶ。どんな道にせよ、知者は心のある道を旅する。」アメリカ原住民と諸大陸の民衆たちの、呼応する知の明晰と感性の豊饒と出会うことを通して、「近代」のあとの世界と生き方を構想する翼としての、“比較社会学”のモチーフとコンセプトとを確立する。
  • キレる女 懲りない男 ──男と女の脳科学
    4.0
    些細なひと言に突然キレる。昔のことを蒸し返す。とりとめなく関係ない話をする。思い込みが激しい。根拠なしに「絶対これがいい」と断言する。まったく女は厄介だ。確かに女性脳は厄介だが、それゆえに潜在能を秘め、扱い方を間違わなければ、強い味方になって奇跡をも起こす(間違えれば敵になる!)。本書では、男女脳の違いをつぶさに解きながら、わかりあうための処方箋を示す。職場の人材活用に使え、恋愛指南になり、夫婦の老後の備えともなる究極の男女脳取扱説明書。
  • 緊急時の整体ハンドブック
    5.0
    地震の時に落ち着いて逃げるには? 火傷、骨折、出血、中毒などの救急法は? 放射能の不安に対してできることは? 整体と武術を学んできた著者は、阪神大震災後や、東日本大震災の原発事故後に被災地に行き、整体を行ってきた。その経験を元に、災害時の整体法や、倒れた人の運搬法、応急処置の方法を教示する。便秘、せき、食べ物のつかえ等、平常時にも使える方法も満載。
  • 近世史講義 ──女性の力を問いなおす
    3.3
    日本の近世史については、近年さまざまに研究が進展しているにもかかわらず、その成果が一般に知られていない。江戸時代がユートピアであったかのように評されたり、反対に女性が虐げられていた時代であったと強調されたりといった極端な議論が近年も見られる。そこで女性が江戸時代に果たした役割や、女性が時代を担って改革した力について第一線の研究者が実証研究に基づき考察を加えつつ、近世の通史としても読める形でわかりやすく講義を展開する。全く新しい形の入門書。
  • 近代中国史
    4.4
    中国とは何か。その原理を理解するための鍵は、近代史に隠されている。この時代に、「幇」とよばれる中国団体をはじめ、貨弊システム・財政制度・市場秩序など、中国固有の構造がつくられたからだ。本書は経済史の視座から一六世紀以降の中国を俯瞰し、その見取り図を明快に描く。かつて世界に先んじた中華帝国は、なぜ近代化に遅れたのか。現代中国の矛盾はどこに由来するのか。グローバル経済の奔流が渦巻きはじめた時代から、激動の歴史を構造的にとらえなおす。
  • 近代日本思想選 九鬼周造
    4.0
    〈媚態〉〈意気地)〈諦め〉という三つの契機から、日本的美意識「いき」の構造を解明した九鬼周造。ハイデッガーやベルクソンらに師事し、豊かな方法的視座を身につけたこの哲学者にとって、人と人とのめぐり逢いの謎は、自身の実存ともあいまって生涯を覆うものであった。「偶然性」の哲学の誕生だ。のちにそれは、日本文化論における「自然」の思想においてひとつの帰結をみる。没後、時代ごとに異なる光が当てられてきた九鬼の哲学。本書は、自伝的エッセイからヨーロッパでの講演、人生観、晩年の詩論まで、その全体像と独創性を一冊で提示する。
  • 近代日本思想選 西田幾多郎
    -
    東洋思想の絶対無を根底に据え、それを理論化して西洋哲学と融け合う独自の哲学を打ち立てたとされる西田幾多郎。「純粋経験」「場所」「非連続の連続」「永遠の今の自己限定」「行為的直観」「絶対矛盾的自己同一」――。それら中心概念はいかにして生まれ、いかなる変転を遂げていったのか。その理論的変遷と射程を追跡できるように、本書には、『善の研究』をはじめ、西田哲学のエッセンスとなる最重要論考が収められる。西田におけるナショナリズムを照射する「日本文化の問題』と、生命哲学への道を開く未完の論考「生命」は文庫初収録。
  • 近代日本思想選 福沢諭吉
    -
    近代日本を代表する思想家であり、その体現者でもあった福沢諭吉。本書では、彼の思想の広がりとその今日的意義を明らかにすべく、『学問のすすめ』『文明論之概略』については最重要箇所のみの抄録とし、それ以外の多種多様な著作群から幅広く論考を精選。『通俗民権論』『国会論』などの政治論から「尚商立国論」のような商業論、「瘠我慢の説」「明治十年丁丑公論」といった時事評論、さらには天皇論や婦人論までをバランスよく配置した。政治思想史・政治哲学を専門としてきた編者ならではの観点から編みあげられた清新な福沢像。文庫初収録論考多数。
  • 近代日本思想選 三木清
    -
    活動的に哲学するとはいかなることか―。戦前日本を代表する知性として思想界を牽引した三木清。非業の死によりその哲学は未完に終わったが、それゆえに今日なお可能性を示唆してやまない。ハイデッガーからの決定的影響、マルクス主義の哲学的掘り下げ、そこから前景に浮かび上がる歴史という問題、そして同時代の政治への関与。三木の思考には時代との格闘の跡が生々しく刻印されている。本書は、主著『歴史哲学』などを中心に、1920年代の前期から30年代以降の後期まで、三木哲学の新たな読解に資するテクストを精選して構成。未来の思考を切り拓く力をいまここに伝える。
  • 近代日本とアジア ──明治・思想の実像
    3.0
    近代日本の対外論は、「アジア主義」対「脱亜論」という図式によって描かれてきた。前者は欧米のアジア侵略に東アジア諸国とともに対抗しようとする立場であり、後者は欧米列強の一員としてアジア進出に参加すべしという主張だ。福沢諭吉、山県有朋、陸羯南、青木周蔵ら、少なからぬ政治家・思想家が、この二つの対外思想の間で揺れ動いたと理解される。だが、そうした論理の使い分けは、第一次世界大戦後に欧米の中心がイギリスからアメリカに移り、アジアにおける中国の存在感が増すにつれ、通用しなくなっていく──。日本外交を規定する構造とその変化を明らかにした記念碑的論考。
  • 近代の超克
    -
    いかなる党派にも与することなく、戦後思想を支えた著者の代表的評論選。日本の近代史において、いまだに超えることのできないアポリア(難関)の所在をさらけ出した表題作と、それを可能にした若き日の諸論考。さらにそこから大きく飛翔していった独自の知性の中核をなす論究を収める。日本とは何か? アジアとは、世界とは? わが国のあるべき姿を考えるために続けられた、得がたい思想が持つ広大なスケールの発想と展開を跡付けた名著。
  • 近代美学入門
    4.7
    近代美学は、17~19世紀のヨーロッパで成立しました。美学と言っても、難しく考えることはありません。「風に舞う桜の花びらに思わず足を止め、この感情はなんだろうと考えたなら、そのときはもう美学を始めている」ことになるからです。本書は、芸術、芸術家、美、崇高、ピクチャレスクといった概念の変遷をたどり、その成立過程を明らかにしていきます。
  • 近代ヨーロッパ史
    3.8
    ヨーロッパの近代はその後の世界を決定づけた。現代の繁栄も混迷も、21世紀になってなお世界が解決に苦闘する難題もここに源をもっている。近代ヨーロッパの重大事件、アメリカ合衆国の独立やフランス革命などは現代世界にどのような影響を与えているのだろうか。複雑な歴史を解き、近代ヨーロッパの意味と深さを考える。
  • 金融化の世界史 ──大衆消費社会からGAFAの時代へ
    4.0
    現在も世界で大きくなり続ける所得格差。富める者は富み、そうではないものは貧しくなっていく。どうしてそんな社会になってしまったのか? 本書は、ヨーロッパとアメリカを中心に近世から現在に至る歴史を見なおし、大衆消費社会から金融社会への変化と所得格差拡大の関連を見ていく。大衆消費社会により縮まった格差は、社会の「金融化」により拡大し、現在の構造ができあがった。大航海時代からタックスヘイヴン、GAFAの時代までを見通す一冊。
  • 金融史がわかれば世界がわかる【新版】 ──「金融力」とは何か
    -
    金融という場には、長い歴史のなかで形成された制度が残存する。そうした遺構のうえに、現代的な問題が幾層にも堆積している。金や銀という一時代前の地金の問題、中央銀行の変化、変動する為替市場、金融技術の進展といった問題が複雑に絡み合っている。本書は、これらの相関を網羅的かつ歴史的にとらえ、世界の金融取引がどのように発展してきたかを観察する。旧版を大幅に改訂し、リーマン・ショックの衝撃やフィンテックの可能性などを検証しながら、実務的な視点から、今後の国際金融を展望する。
  • 虐殺のスイッチ ――一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?
    4.8
    ナチスのホロコースト、クメール・ルージュの大量殺戮、関東大震災の朝鮮人虐殺、インドネシア政権による虐殺、ルワンダ・フツ族のツチ族虐殺……、歴史を、世界を見渡すと、虐殺事件は繰り返し起き、あふれている。なぜごく普通の善良な市民が、同じように普通の人をいとも簡単に殺すのか、しかも大量に。キーになるのは、集団と同調圧力。集団が熱狂し変異して起きる虐殺のメカニズムを考える。
  • 「逆張り」の研究
    4.4
    新聞記者に「逆張り」認定された批評家が戸惑いつつも「逆張り」という現象を考える。「批評」ではなく「運動」や「現場」、「おじさん」ではなく「女性」や「若者」、「傍観者」ではなく「当事者」が称揚され、「逆」が嫌われた(あるいは反動的に好まれた)2010年代とは何だったのか? 「注意経済」「相対主義と絶対主義」「冷笑(シニシズム)」「ポピュリズム」「差異化ゲーム」などのキーワードを軸に、SNSの隆盛とともに社会が大きく変化していった時代を振り返る。
  • 行儀よくしろ。
    3.6
    「教育論」となると、学校教育を論じることになりがちだ。しかし、世の大人にとってもっと身近な、自分がすべき教育のことを忘れてはいけない。お葬式でどういう態度をとるか、困っている人をどう助けるか…などは文化の中にあることで、その文化を継承させていく責任が大人にはある。美しい日本人を育てるための教育論。
  • 行政学講義 ──日本官僚制を解剖する
    4.0
    1990年代に政治主導に向けたさまざまな政治・行政改革がなされたのに、かえって今や為政者の恣意と統治者への忖度が蔓延してしまっている。我々は悪しき支配から抜け出せないのか。支配・外界・身内・権力の4つの切り口で行政の作動様式を活写。その実相を解明したうえで、現在の官僚制とのつきあい方の心得を提示する。行政に携わる為政者にとっての「行政学の教科書」ではなく、支配と権力にさらされる被治者を読者として想定した、公務員対策たる「行政学の基本書」。
  • ギリシア神話
    3.8
    恋多きゼウスと、嫉妬に狂う妻ヘラ、その子ヘーパイトスと美の女神アプロディテ、恋の矢をもつエロス……。オリュンポスの神々はいかに戦い、いかに恋したか。「遠いむかしに語られ書かれたように、わたしのギリシア神話を書きはじめよう」と著者は言う。しなやかな哲学者による、ギリシア神話入門の決定板。
  • ギリシア哲学入門
    3.3
    幸福は二つの次元から成立する。一つは、生きるための基本的物財の確保、言論、集会、行動その他の自由、そして、諸権利の平等の実現である。これを可能にしうる社会構造がデモクラシーであり、それは古代ギリシア人の創造に始まり、現代においても、歴史を動かしている起動力である。他は、心の安らぎであり、それは、偶然と運命に翻弄される人間が、存在の根源に帰ることにより、達せられる。現代が直面している問題を、ギリシア哲学が切り開いた視野から考える。
  • ギリシア文化史1
    5.0
    現代のさまざまな国家形態、政治思想、さらに哲学、弁論、文学・芸術の諸ジャンルにおける精神活動は、原型をほとんど古代ギリシアに見いだすことができるだろう。この天才的な民族の創造物にあらゆる面から深い考察を加え、文化史家としての力をすべて結集することで、ブルクハルトの『ギリシア文化史』は成立した。その史観の類を見ぬ深刻さ、厳しく率直な人間観、深い洞察力と広い視野により、古今の史家の試みをはるかに凌駕して、この畢生の大著は歴史の真実に肉薄する。第1巻は、ギリシア人とその神話、ポリスとそこで展開された僭主制や民主制を語る。
  • 議論入門 ──負けないための5つの技術
    3.8
    人を納得させる議論には「型」がある。「定義」「類似」「譬え」「比較」「因果関係」──たった五つの論法さえきちんと使いこなせれば、誰だって自分の考えを的確に表現できるようになり、一見もっともらしい相手の主張の弱点も見えてくる。教育現場でディスカッションなどを指導する際の手引きとして書かれた本書には、議論に欠かせないこれらの技術の使い方と、それに対する反論の仕方といった、私たちが身につけておくべきイロハが明快に論じられている。豊富な実例を通して論証・反論の技術を磨く、確かな修辞学的知見に裏打ちされた入門書。『議論の技を学ぶ論法集』文庫版。
  • 銀河帝国は必要か? ──ロボットと人類の未来
    3.0
    超高機能ロボットとの共存や、宇宙への進出がリアリティを増してきた現代。「人間」のアイデンティティも大きく揺らいでいる。「心ある者」とはいったいなんなのか? 人類の未来を、これからの倫理を、どのように構想すればいいのか? アシモフをはじめとしたSF作品を手がかりに考える。
  • 銀の世界史
    3.0
    一六世紀、南米ポトシ銀山で採掘された銀は、大量にヨーロッパに流入、世界中をかけめぐった。このとき地球をひとつの単位とする近代世界=グローバリゼーションという革命的状況が出現した。世界史は「銀の流れ」でつかむことができる。英国の綿工業・産業革命・覇権、黒人奴隷、プランテーション、スペインの凋落、オランダ独立、近代資本主義の誕生、コーヒーや茶の流行、明治の近代化、アヘン戦争、日清戦争……。銀で弾けた世界史のダイナミズムを、中心と周辺の関係から描き出す!
  • 空海入門 ──弘仁のモダニスト
    5.0
    真言宗の開祖であり、傑出した思想家・芸術家。唐代の新しさを日本へ移入し、「個人」と「自由」を発見した“モダニスト”。それが空海である。9世紀、弘仁時代の先鋭的表現ともいえるこの人物は、生涯にわたり自らの探求心につき動かされていた。高野山が空海にとって特別な地であり続けた理由も、そのことを無視しては理解できない。空海における自己探求とはどのようなものであったのか? 本書では、『性霊集』『三教指帰』『請来目録』など、空海自身の著作の読解と足跡の探訪を通して彼が生きたであろう時空を共有し、その実像に迫る。稀有な個性の魅力と同時代性を深い共感とともに伝える入門書。
  • 空海の思想
    3.3
    7世紀に勃興したイスラームの東進に抗してインド仏教は大きく変化する。マントラ(真言)を中心に据え、それを唱える身体的修行によって精神の在り様の根本的転換を図ろうとする新しい仏教が姿を現す。それは「密教」と呼ばれ、7世紀中頃から8世紀初めに中国に伝播する。その仏教の激動期に空海は生まれ、新しい教えを求めて入唐する。そこで空海は何を得たのだろうか。空海が遺した言葉に向き合うことによって、中世的「弘法大師」信仰を解体し、空海の言葉に込められた「いのちの思想」に迫る。
  • クオリア入門 ――心が脳を感じるとき
    3.6
    人間を世界のほかのあらゆるものと区別するのは「心」の存在だ。そして、われわれの心の中のすべての表象は、クオリアというそれ以上分割できない単位からできている。風にそよぐ木々の動きや葉の色、鼻孔をふるわす芳香――さまざまなクオリアたちを表象する〈心〉が、脳内にいかにして現象するか。さらにクオリアと「私」の心を結ぶ「志向性」の新たな展開とは? 脳科学の現在から「私の心」の見取り図へ。模索する独創的思考の息づかいが感じられる格好の入門篇。
  • 首狩の宗教民族学
    -
    かつて多くの民族に首狩りの文化が存在した。「首狩」とそれに関連する「首取」、「頭蓋崇拝」、「頭皮剥ぎ」、「人身供犠」のなぜ?首狩の精神的背景と意味を、フィールドワークと膨大な文献から解き明かす、世界初の研究書。
  • クマにあったらどうするか  ──アイヌ民族最後の狩人 姉崎等
    4.3
    クマと遭遇したとき、人間は生き延びるために何をすればいいのか。死んだふり、木に登る、リュックを置いて逃げるといった、巷に流れる俗説は有効なのか? 「クマは師匠」と言うアイヌ民族最後の狩人が、アイヌの知恵と自身の経験から導き出した、超実践的クマ対処法を伝授。クマの本当の姿を知ることで、人間とクマの目指すべき共存の形が見えてくる。
  • 「暮し」のファシズム ――戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってきた
    4.0
    1940年、第二次世界大戦への参画を睨む近衛文麿政権は、国民を戦争に動員するための「新生活体制」の確立を唱えた。生活を一新し、国民を内面から作り変える――。そのために用いられたのは、男性を戦場に駆り立てる勇ましい言葉ばかりではなかった。「ていねいなくらし」「断捨離」「着こなし」「町内会」「二次創作」。これらは、元を正せば戦時下に女文字のプロパガンダがつくりだしたものである。現在私たちが享受する「当たり前の日常」の起源を問い、政治の生活への介入があからさまになった「with コロナ」の暮らしを見つめ直す。
  • 暗闇のなかの希望 ──語られない歴史、手つかずの可能性
    -
    2003年、イラク戦争が始まった時期に、「希望を擁護する」ために本書は書かれた。あの時代は過ぎ去ったが、あらたな戦争が生じ、破壊的な気候変動が到来している。絶望と冷笑主義が残りつづける現代に、希望をもつことはいかに可能なのか。「希望は光を浴びた舞台の真ん中ではなく、周縁の暗がりにある」(本文より)。2016年に改訂され、直接行動と思想を往還する現代の名著を文庫化。
  • クリエイター・スピリットとは何か?
    3.4
    日本のデジタルコンテンツは世界が認める文化。環境も需要も、本場だからこそ揃っている。何かを表現したい君、迷わずクリエイターをめざせ! そして最高にぜいたくな生き方をしよう。
  • クレオール主義
    4.7
    「クレオール主義」とは、なによりもまず、言語・民族・国家にたいする自明の帰属関係を解除し、それによって、自分という主体のなかに四つの方位、一日のあらゆる時間、四季、砂漠と密林と海とをひとしくよびこむこと――。混血の理念を実践し、複数の言葉を選択し、意志的な移民となることによってたちあらわれる冒険的ヴィジョンが、ここに精緻に描写される。「わたし」を世界に住まわせる新たな流儀を探りながら、思考の可能性を限りなく押し広げた、しなやかなる文化の混血主義宣言。一大センセーションを巻きおこした本編に、その後の思考の軌跡たる補遺を付した大幅増補版。
  • グロテスクな教養
    3.8
    大正教養主義から、八〇年代のニューアカ、そして、現在の「教養崩壊」まで、生産・批判・消費され続ける教養言説の底に潜む悲喜劇的な欲望を、さまざまな側面から映しだす。知的マゾヒズムを刺激しつつ、一風変わった教養主義の復権を目指す、ちょっと意地悪で少しさわやかな教養論。
  • グローバリゼーション ──移動から現代を読みとく
    3.0
    急増する移民・難民、各地で台頭する自国中心主義や排外主義、そしてますます拡大する経済格差……。ヒトやモノ、カネ、情報の国境を越えた移動を基礎に飛躍的な発展を遂げたはずの現代世界で、いったい何が起きているのか。本書では、現代をグローバリゼーションの時代と捉え、国民国家や国民経済といった近代社会の前提とされてきた枠組みを、移動という視点から再検討していく。グローバリゼーションと国家との逆説的な関係を解きほぐし、現代世界の深層に鋭く迫る。
  • グローバル経済を学ぶ
    3.6
    グローバル経済の拡大に取り残されつつあるといわれ続けてきたわが国の経済も、ようやく復調の兆しを見せ始めた。わたしたちは、改めてグローバル化する市場経済の現実を冷静に見つめなければならない。貿易、経常収支、為替レートなどの問題は、経済を理解するうえでの必須の基本事項である。本書では正しい国際経済学の見方を、グローバル経済の現実に即して解説する。
  • 軍国日本と『孫子』
    4.5
    今日も日本人に愛読される『孫子』。しかし、この中国古典と近代日本には秘められた関係がある。日本の軍国化が進むにつれ、『孫子』は精神的・実践的支柱となっていったのだ。各種軍令には『孫子』と共通する点があるとされ、実戦的『孫子』解説までが登場する。しかし実際の日本は、『孫子』が最も下策だとする長期消耗戦に突入していく時代、『孫子』はどのように読まれたのか。昭和天皇は敗因をどう分析したか。日本はなぜ戦争を始め、また敗れたのか。『孫子』の兵法を手がかりに考える。
  • 群衆――モンスターの誕生
    3.8
    群衆とは何か。近代資本主義の誕生とともに、歴史と社会の表舞台に主役として登場してきた群衆。二十世紀のナチズムもスターリニズムも群衆社会がつくりだした全体主義の脅威であったことは記憶にあたらしい。一体われわれは、激流のような群衆化傾向に対して抵抗できるのだろうか。ポー、ボードレールやニーチェ、メアリー・シェリーらの群衆への驚き、カネッティやモスコヴィッシの群衆分析、トクヴィルの民主主義論、ルボン、タルド、フロイトらの心理学的考察など、さまざまな視点からその怪物的性格を明らかにし、現代人の存在のあり方を根源から鋭く問う群衆社会批判。
  • ケアしケアされ、生きていく
    4.1
    他人に迷惑をかけていい!!★ケアは弱者のための特別な営みではない。社会の抑圧や呪縛から抜けだして、自分のありのままを大切にするような、お互いがケアしケアされるそんな社会を目指そう!★ 〈著者からひと言〉この本は、ケアから逃げてきた私が、ケアと出会い直すことによって見えてきた世界を、みなさんにも馴染みがある3つの視点から考えてきた本です。1つめは20歳の大学生の世界です。私は大学生を20年近く定点観測してきました。その上で、今の学生が「他人に迷惑をかけてはいけない憲法」に縛られて、生きづらさを抱えているように思えます。それは一体どういうことなのか、を考えてみました。2つめは6歳の子どもの世界です。私の娘は今、6歳なのですが、「迷惑をかけまくって」楽しく生きています。安心して迷惑をかけられる環境で、のびのび生きています。でも、ちゃんとしなさい、と叱り続けると、そのうち親や教師を忖度する大学生になるのではないか、と心配しています。なぜ、のびのびした子どもが、その十数年後には「他人に迷惑をかけてはいけない」と縮こまる大学生になるのか? その背景を考えるうえで、3つめの世界、「昭和98年的世界」を生きる48歳の私の世界を考えています。昭和が終わって30年以上経っても、日本社会の基本的なOSは昭和時代のままです。理不尽な労働環境でもがまんする、抑圧的環境に「どうせ」「しゃあない」と諦める。それが、女性の管理職や政治家比率が低く、イノベーションが生まれにくい「失われた30年」の背景にあると私は考えています。そして、この世界は「ケアレス」な世界です。この閉塞感をこえるためには、日本社会がケア中心の社会に変われるか、が問われています。能力主義や男性中心主義の呪縛の外にある世界です。それは、共に思い合う関係性が重視されるし、そのためには自分自身の「唯一無二性」とも出会い直す必要があります。そんなの無理だよ!と理性の悲観主義に陥らず、ではどうやったらケア中心世界は可能なのか、について、できる一つの可能性を模索したのが、本書です。中高生にも読んでもらえるよう、わかりやすい文体を目指しました。よかったら、読んでモヤモヤしてくださると、嬉しいです。 竹端寛■【目次】 第一章 ケア? 自分には関係ないよ!/一 「迷惑をかけるな憲法」/他人に迷惑をかけてはならない/都合のいい子!?/大人から学んだ「いい子」/二 しんどいと言えない/意見を表明する権利/他人の顔色をうかがう/苦しいことと苦しみ/三 自分自身を取り戻す/ゼミで涙を流す学生/ペラペラしない他者/ about-ness からwith-nessへ/四 面倒な中に豊かさがある/ケア不在を超えるために/自分の魂に迷惑をかける?/第二章 ケアって何だろう?/一 確かに面倒なのだけれど/めっちゃ可愛く、めっちゃややこしい/存在をぶつける/意見表明の主体としての子ども/一方的にケアされる存在ではない!/二 自分へのケアと他人へのケア/子どもの「開かれ」/自分の人生へのリミッター/忖度の危機/作られた悪循環/偽解決を超えるために/三 他者へのケアの前に/支援か支配か?/関係性のダンス/同調圧力に異を唱える/誰へのケア?/四 互いが気にかけあう/自分へのケア/共に思いやること/ with-ness で生活を回す/何を見ようとしてこなかったのか/第三章 ケアが奪われている世界/一 ケアのないわたし/ケアレスとはなにか/同調圧力と「空気を読む」/自己責任とわきまえ/ケアレスな社会/二 「昭和九八年」的世界/労働ファースト/最も眠れていない国/頑張れば報われる、の呪い/前時代の大成功、ゆえに/三 標準化・規格化の「大成功」の陰で/昭和の成功を支えたもの/銀行型教育システムへの囚われ/「正解」幻想/昭和的価値観の限界/四 ケアの自己責任化を超えて/「発達」の「障害」?/置き去りにしてきたケア世界/自分が学んだことはこれなのか!/「ちゃんと」のリミッターを外す/第四章 生産性至上主義の社会からケア中心の社会へ/一 生産性とケア/誰のための、何のための効率?/男性中心主義の外にある世界/能力主義の呪縛/「生産離脱者」の排除/二 責任の共有化で楽になる/依存先を増やす/関係性に基づくケア/懲罰ではなくエンパワーする責任/切り分けるのではなく、分かち合う責任/三 共に思い合う関係性/中核的感情欲求と向き合う/生き様の理解と支援/迷惑をかけるな、より大切なもの/他者の他者性に気づくこと/四 ケア中心の社会へ/己の唯一無二性とも出会い直す/魂の脱植民地化/葛藤を共に味わい社会化する/できる一つの方法論
  • ケアを問いなおす ――「深層の時間」と高齢化社会
    4.3
    「高齢者ケア」、「ターミナルケア」、「心のケア」など、ケアという言葉を耳にしない日はない。しかし、そもそもケアとは人間にとっていかなる意味をもつものなのだろうか? 「ケアする動物としての人間」という視点から出発し、高齢化社会をめぐる具体的な問題を論じながら、ケアのもつ深い意味へと接近していく。
  • 経営がわかる会計入門
    4.0
    この先どんな企業が成長するのか? 倒産しそうな会社とは? うちの会社の弱点はどこ? 長引く不況下を生きぬくために欠かせないのが「会計」の知識だ。現実の企業会計をふんだんに用いながら、「生きた数字」をとおして経営を理解するための基礎を平易に説きおこす。苦手な数字を味方につけるための必読書。
  • 景気ってなんだろう
    3.5
    景気が良くなったり悪くなったりするのはなぜなのだろう? アメリカのサブプライムローン問題が、なぜ日本の経済に影響を及ぼすのか? 景気は悪いのに、どうして物価が上がるのだろうか? デフレとは? 日銀の役割とは? 景気変動の疑問点をわかりやすく解説する。
  • 経済学講義
    3.8
    経済学はビジネスや生活、あらゆる局面に応用可能な学問です。その一方で、わかりづらい学問でもあります。「何にでも応用できる」ために、「何に使えるのかがわからない」のです。本書は、初学者が経済学を学ぶにあたって必要な基礎知識をざっくりと解説しています。 ミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学の主要三分野を一望し、その要点を一挙に学べるガイドブックです。
  • 経済学的思考のすすめ
    3.5
    経済学の専門家でない人の経済本がよく読まれることがある。多様な議論があるのはよいが、それがトンデモなく間違っている場合は問題である。インチキな経済解釈がまかり通れば、間違った経済政策が採用され、人々を不幸にしてしまう危険性があるからだ。本書では、経済学が演繹法を用いて思考し、それが生活のさまざまな場面で活用できることを、実例を挙げて解説する。
  • 経済学の名著30
    3.7
    市場経済はいかにして驚異的な経済成長を可能にするのか。スミス、マルクスから、ケインズ、ハイエクを経てセンまで、厳選された30冊の核心を明快に解きほぐすブックガイドである。それぞれの時代の経済問題に真っ直ぐ対峙することで生まれた古典は、私たちが直面する現下の危機を考えるうえで豊穣な知見に満ちていよう。
  • 経済学を学ぶ
    3.8
    交換と市場、需要と供給、企業・政府などミクロ経済学の基本問題から、国民所得、財政金融政策などマクロ経済学の基礎までを、豊富な例示とたくみな比喩で説く明快な入門書であるとともに、今日の複雑な経済・社会を正しく読み解きたいという読者にむけて、現実の経済・金融問題などを幅ひろくとりあげ解説する、役に立つ生きた「再」入門書である。
  • 経済人類学への招待 ――ヒトはどう生きてきたか
    3.5
    経済成長という死の舞踏を踊りつづける「豊かな」現代文明。コンピュータ・シミュレーションによる未来予測では、大量の生産と消費の果てに二十一世紀末には地球規模のカタストロフィが全人類を襲うという。はたして現代の経済システムの危機をのりこえる道はあるのか。本当の豊かさとは何かを考えるための経済人類学入門。
  • 経済大転換 ――反デフレ・反バブルの政策学
    3.5
    イラク戦争以後、アメリカの一国決定主義がますます突出し、世界は「分裂と不安定の時代」に入っている。一方で、経済状況は当分の間、世界同時デフレから抜け出せそうにない。それに苛立つかのように、日本国内ではバブル待望論が絶えないが、アメリカの景気頼みの日本経済回復シナリオは非常に危うい。むしろ地方へとデフレが波及し、さらに深刻化していく恐れがある。もはや古い時代の発想は通用しない。思考および政策の大転換が必要だ。日本経済の位相を確かな目でとらえた渾身のメッセージ。
  • 経済復興――大震災から立ち上がる
    3.4
    1巻1,155円 (税込)
    2011年3月11日に発生した東日本大震災は大津波と原発事故を伴い、人的・物的被害の大きさは戦後最悪のものとなった。復興予算はどのくらい必要か? これからのエネルギー政策をどう考えるか? 等、未曾有の危機に対して今後、数年にわたって取り組むべき「東日本大震災からの復興政策」を緊急提言する。
  • 刑事法廷 ――有罪か無罪か?
    -
    刑事裁判において、被告人の人権はどのように守られているのだろうか。密室で行われる取調べをもとに有罪を主張する検察との闘いに、弁護人と被告人はどう立ち向かうのか。裁判官とは本当に「公正」なのか。冤罪事件はなぜ後を絶たないのか。刑事裁判の実例をあげて日本の司法制度が抱える問題点を明らかにする。
  • 刑の重さは何で決まるのか
    NEW
    -
    「主文 被告人を懲役10年に処する」――その根拠を考えてみたことはあるだろうか? 犯罪とは何か、なぜ刑が科されるのか。制裁としての刑罰はどうあるべきか。「刑法学」の考え方を丁寧に解説する。 【目次】第1章 刑法学の世界/第2章 犯罪論の世界/第3章 処遇論の世界/第4章 量刑論の世界/第5章 刑法学の新しい世界/あとがき
  • 刑罰はどのように決まるか ──市民感覚との乖離、不公平の原因
    -
    1巻1,540円 (税込)
    裁判員制度のスタートによって、平均的な量刑が上がっている。上級審によって裁判員判決の破棄、差し戻しがなされるケースも増えてきた。新制度の趣旨と、これまで職業裁判官が独占してきた判例との矛盾が鮮明になってきた。職業裁判官の時代には、量刑の目安は判例主義にもとづく単純な軽重比較でしかなかった。反対に裁判員裁判は、感情任せに重罪認定していく傾向にある。本書は有名無名さまざまな事件を俎上に載せ、従来の内輪のルールを明らかにした上で、市民感覚を刑罰に反映させるための論点を探りたい。
  • 啓蒙主義の哲学 上
    4.0
    啓蒙主義は、すでに乗り越えられた浅薄な思想なのか。のちの思想家たちから「反省哲学」「過去の思想」という烙印を押されてきたが、はたしてそうか。18世紀啓蒙主義の「明るい鏡」を現代批判の鏡として位置づけ、自らそれとの内面的対決を果たした著者は、批判精神に満ちた鋭い洞察力で、啓蒙主義の思考形式から「美学」の誕生までの諸側面を余すところなく分析し、その統一的結びつきを解明する。哲学者カッシーラーが従来の批判を排し、啓蒙主義思想の再評価を打ち立てた古典的名著。文庫化にあたり全編改訳。上巻は啓蒙主義の思考形式、自然観と自然科学、心理学と認識論、宗教の理念を収録。
  • ケガレの民俗誌 ――差別の文化的要因
    4.5
    被差別部落の白山信仰、血穢の性差別、非常民の世界、民俗概念としてのケガレ。これまで日本民俗学が避けてきた問題、ケガレと差別の底に潜むものは何か。ハレ・ケ・ケガレの民間信仰の意識構造のなかで、ケガレが不浄なるものへと変化する過程を究明し、経血にまつわる女性差別の要因である血穢の虚構をあばく。また、死穢というもっとも大きな不浄観はどのような時空間で発生するのかなど、その基底にある民俗儀礼の奥底を明らかにする。ケガレとはたんなる汚穢ではなく、ハレを喚起する力なのだ。日本民俗の深層に根付いている不浄なる観念と差別の問題を考察した先駆的名著。
  • 決定版 感じない男
    3.6
    オトコという存在は実は「不感症」ではないのか。だからこそ、美少女写真集を見てはあらぬ妄想を膨らませ、一人でしては空しさに襲われる──。少なくとも自分にはそうした側面があると気づき、この問題を深く掘り下げ、論じ切った衝撃のセクシャリティ論。男女を問わず大きな反響を呼び、「男の性」の必読本となったこの書に、「その後の、感じない男」についての章を加えた、増補決定版。
  • 決定版 消費税のカラクリ
    5.0
    選挙のたびに、嘘をつかれている。膨れ上がる社会保障費の財源のためにというお題目で増税が繰り返されても社会保障はむしろ削減されてきた。そして、またさらなる増税が迫っている。軽減税率適用という“ニンジン”をぶら下げられたマスコミはダンマリを決め込んでいる。弱者の富を強者に移転することで格差を拡大する消費税のカラクリを明らかにしよう。
  • ケルト 再生の思想 ──ハロウィンからの生命循環
    3.8
    近年、急速に広まったイヴェント「ハロウィン」。その起源は、ヨーロッパの古層、ケルト文明の祭「サウィン(万霊節)」にたどりつく。ケルト暦では、10月31日が一年の終わりで始まり。厳しい冬の訪れとともに、世界は闇に閉ざされ、死者がよみがえると信じられてきた……。四つの季節祭と神話伝説を手がかりに、ケルト文明の循環的な生命思想を解きあかす。古代・中世ヨーロッパの精霊を現代へよみがえらせる芸術人類学的な試み。
  • ケルトの世界 ──神話と歴史のあいだ
    3.0
    ギリシア・ローマやキリスト教と並ぶもう一つのヨーロッパの源流とされ、 日本でも根強い人気を誇るケルト文化。だが、 近年ではケルト神話やケルト音楽からイメージされるような島のケルトと歴史上のケルト人との連続性にはさまざまな異論があり、なかにはその実在を疑う「ケルト否定論」すら展開されている。では、古代ケルト人とは何者だったのか。 著名な神話を入り口に、それを考古学的・歴史学的知見と照らし合わせることで、古代ケルトの生活世界へと分け入る入門書。
  • ケルトの薄明
    3.8
    「人間が見たり聞いたりしたものは生命の糸である」(イエイツ) 自然界に満ち満ちた目に見えない生き物、この世ならぬものたちと丁寧につきあってきたアイルランドの人たち。詩人であり、劇作家・思想家であるイエイツは、自ら見たり聞いたりしてケルト民族に伝わる妖精や超自然的な生き物たちのフォークロアを採集した。そこには、無限なものへの憧れ、ケルトの哀しみにあふれ、不思議な輝きを放ち続ける。カットにケルト美術を用い、イギリス・アイルランドフォークロア研究者による的確な翻訳で、ケルト民族の情感を生き生きと伝える。
  • 「研究室」に行ってみた。
    4.5
    研究者は、文理の壁を超えて自由だ。自らの関心を研究として結実させるため、枠からはみだし、越境する姿は力強い。最前線で道を切り拓く人たちの熱きレポート。
  • 健康寿命をのばす食べ物の科学
    3.5
    健康食品では病気は治せない? 筋肉を維持し老化を防ぐ食べ物とは? 腸内細菌を上手にコントロールするには? ふだんの食事をほんの少し工夫するだけで、こんなに元気になる! 複雑な代謝のメカニズムから、丈夫な骨格のしくみ、本当に必要不可欠な栄養素まで。食品生化学の第一人者が最新データと科学的エビデンスをもとに、健康に長生きするための食事と生活習慣のコツをわかりやすく解説。間違った情報にまどわされず、今日の食事を自分で選びとるための食の科学。
  • 検察の正義
    3.7
    無理やり引きずり込まれた検察の世界で目にしたものは、刑事司法の「正義」を独占してきた検察が社会・経済の構造変革から大きく立ち後れている姿だった。政治資金問題、被害者・遺族との関係、裁判員制度、検察審査会議決による起訴強制などで大きく揺れ動く「検察の正義」を問い直す。異色の検察OBによる渾身の書。
  • 建築家の解体
    4.3
    『建築の解体』の刊行から五〇年弱、後期近代の時代にあって、安藤忠雄や隈研吾に代表される従来の建築家のイメージは、見直しを迫られている。ブルデューの理論を用いて、建築家という職業がつくられていくプロセスを描写するとともに、解体していく建築家像の軌跡をたどる。フィールドワークの知見を盛り込み、「街場の建築家」という今後の可能性を最後に示す。
  • 建築家は住まいの何を設計しているのか
    4.0
    理想を叶えながら、素人には思いもよらないアイデアを提供することで、暮らしのアベレージをグッとあげる建築家たちを取材した。彼らがつくる快適な住まいとは。
  • 建築から見た日本古代史
    3.7
    建築とは、権力者たちが駆使した政治的言語である──。日本誕生の舞台となる古代において建築は、権力者が自らの権威を明らかにし、体現する文明の壮大さ、美意識の優越を高らかに宣言する最大最強のメディアであった。飛鳥寺、法隆寺、四天王寺から本薬師寺、伊勢神宮式年遷宮にいたるまで、建築様式や構造、配置パターンのなかに、母系と父系、天皇と律令、ナショナリズムと文明開化、それぞれの葛藤と融合を見いだし、まったく新しい日本古代史を組み上げ、提示する。
  • 建築史的モンダイ
    3.8
    近代建築史研究一筋だった著者が中世ヨーロッパ建築、さらに初期キリスト教建築、新石器時代の建築へと歴史を遡るうちに気付いたのは、建築の発祥という大問題だった。何が始まりだろうか?住まいか?それとも神殿か?そもそも建築とは何をもって建築というのだろうか?長い長い年月を経て、石や穴だけとなった遺跡を訪ね、その遺跡のもらすつぶやきに耳をすませて見えてきたものとは?建築の起源、和洋の違い、日本独自の建築の歩み…「建築」にまつわる疑問を縦横無尽に解き明かす。
  • 建築という対話 ──僕はこうして家をつくる
    3.0
    建築家はそこに生きる人へ想像力を働かせ、土地や人と対話を重ね、その先に新しい空間を見つけ出す。建築家として大切なことは何か? 生命力のある建築のために必要な哲学とは──。
  • 憲法政治 ――「護憲か改憲か」を超えて
    4.0
    憲法と政治には、一筋縄ではいかない相互作用のダイナミズムが働いている。憲法は民主政治のプロセスを形づくる法であると同時に、そのプロセスを通じて、憲法自体が改正されることもありうるからだ。本書では、こうしたダイナミズムを「憲法政治」と定義し、国会の信任で内閣が成り立つ「議院内閣制」の統治構造に切り込んで、憲法改正の難しさの深層を考察する。緻密な取材を重ね、「憲法改正」をめぐる現実政治の潮流と統治構造の改革論を重層的に描くドキュメント。
  • 憲法で読むアメリカ史(全)
    4.2
    建国から二百数十年、自由と民主主義の理念を体現し、唯一の超大国として世界に関与しつづけるアメリカ合衆国。その歴史をひもとくと、各時代の危機を常に「憲法問題」として乗り越えてきた、この国の特異性が見て取れる。憲法という視点を抜きに、アメリカの真の姿を理解するのは難しい。建国当初の連邦と州の権限争い、南北戦争と奴隷解放、二度の世界大戦、大恐慌とニューディール、冷戦と言論の自由、公民権運動――。アメリカは、最高裁の判決を通じて、こうした困難にどう対峙してきたのか。その歩みを、憲法を糸口にしてあざやかに物語る。第6回読売・吉野作造賞受賞作の完全版!
  • 憲法と平和を問いなおす
    4.2
    日本国憲法第九条を改正すべきか否か、決断を迫られる時代が近づきつつある。しかし、立憲主義、つまり、そもそも何のための憲法かを問う視点が見落とされてきた。その核心にある問いにたちかえり、憲法と平和の関係を根底からとらえなおす。情緒論に陥りがちなこの難問を冷静に考え抜くための手がかりを鮮やかに示す。
  • 憲法と世論 ──戦後日本人は憲法とどう向き合ってきたのか
    4.3
    憲法に対し日本人は、いかなる態度を取ってきただろうか。世論調査を徹底分析することで通説を覆し、憲法観の変遷を鮮明に浮かび上がらせた、比類なき労作!
  • 〈権利〉の選択
    4.5
    “right”に「権利」という訳語があてられたとき、そこには特殊日本的な背景が作用し、それ自体が一つの独自な解釈を表すものとなった。「力と利益」の意味を含む日本の“権利”の思想は、「正しいこと」を意味する西洋の“ライト”の思想とどの程度異なり、また、どの点で共通しているのか。この問いを考察の糸口として、我々が「権利」と呼ぶ思考装置の問題点と限界を明かし、その核心に迫る。福沢諭吉、西周、加藤弘之ら日本の思想家をはじめ、ロック、ドゥオーキン、ロールズ、セン、ニーチェらを導き手とし、理念と力の錯綜した関係を解きほぐした著。
  • ケータイ小説は文学か
    3.5
    なぜケータイ小説はウケたのか? ケータイ小説を文学として認め、その構造を徹底的に分析する刺激的な試み。リアルとリアリティー、二項対立の構造、作られた「本当」の気持ち、ホモソーシャル、セックスは軽いか……。小説の「読み」「書き」に起こる異変を解き明かし、現代文学の新しい境地を見出す。
  • K-POP現代史 ──韓国大衆音楽の誕生からBTSまで
    4.0
    いま世界を席巻するK-POPは、いかにして生まれたのか? 植民地支配下における韓国大衆音楽の誕生から、隣国日本との歴史的葛藤、「韓国といえば演歌」の時代、社会に議論を巻き起こしたヒップホップ、民主化、経済危機、IT化、「戦後最悪の日韓関係」の中で花開いたK-POPブーム、そして力強いメッセージ性とアイドル性を兼ね備えたBTSの世界的成功まで、激動の100年の情勢を押さえつつ、今日に至るジャンルと国境を越えたダイナミックな発展を通史的に論じる。
  • 「月給100円サラリーマン」の時代 ──戦前日本の〈普通〉の生活
    -
    戦前社会が「ただまっ暗だったというのは間違いでなければうそである」(山本夏彦)。戦争が間近に迫っていても、庶民はその日その日をやりくりして生活する。サラリーマンの月給、家賃の相場、学歴と出世の関係、さらには女性の服装と社会的ステータスの関係まで──。豊富な資料と具体的なイメージを通して、戦前日本の「普通の人」の生活感覚を明らかにする。
  • ゲノム編集の光と闇 ──人類の未来に何をもたらすか
    3.8
    2018年11月、中国の研究者が「ゲノム編集をした受精卵から双子の赤ちゃんを誕生させた」と発表した。生命の設計図をいとも簡単に操作し、実際に子どもを誕生させたという報告の衝撃は大きく、倫理的・社会的な議論が巻き起こっている。本書は「ゲノム編集」という最先端の生命科学技術を基礎から解きほぐして紹介しながら、それが拠って立つ生命科学の歴史と系譜をも辿ることで、私たちが手にする利益と内包する問題点のせめぎ合いを追う一冊である。
  • ゲルマニア アグリコラ
    4.0
    力強く簡潔な文体と精彩あふれる描写で知られるタキトゥスの2つの小品を収める。『ゲルマニア』は、当時ローマ帝国に北方から脅威を与えていたゲルマニアの諸部族に関する民族誌。風土、習俗、制度などについての概説と各部族の記述からなる。野性に満ちて強力なゲルマニア人と、文明化し過ぎ頽廃・衰亡への道を歩むローマ人を対比し、警告を発する。『アグリコラ』はタキトゥスの岳父を描いた伝記。暴君のもとでの貴族の生き方を示すとともに、ブリタンニア(古代イギリス)の地理や民族を詳しく記す。
  • 言語学講義 ──その起源と未来
    3.7
    生成文法、構造主義、社会言語学、……旧来のイメージや枠組みを飛び越え、複雑系言語学、言語死の問題など、言語学には新しい知見や切り口がどんどん登場している。本書では、言語学の全体像や基本の構造を俯瞰しつつ、重要な分岐点にさしかかっている議論や新しい枠組みまでを縦横無尽に取り上げ「言語学の今」を浮かび上がらせてみたい。国家、発達障害、人工知能、……現代に即したキーワードも切り口に、最新言語学をガイドする。
  • 言語学を学ぶ
    4.0
    外国語など言葉にまじめに向き合おうと思ったら、避けて通れないのが言語学。だが、「音韻論」「比較言語学」「方言学」「言語類型論」など、言語学を学ぼうとすると押さえておかなければいけない分野は多岐にわたる。もちろんそれぞれ奥が深く、それを一朝一夕で習得することは困難だ。そこで本書では、言語学において知っておくべき事柄をキーワードごとに解説し、その全体像が一気にわかるように構成した。加えて読書案内もあるため、さらに学習しようとする人にもタメになる。古くて新しい入門書。
  • 原始仏典
    4.3
    仏教経典を片端から読破するのはあまりに大変だが、重要な教えだけでも知りたい―本書は、そうした切実な希望にこたえるものである。なかでも、釈尊の教えをもっとも忠実に伝えるとされる、「スッタニパータ」「サンユッタニカーャ」「大パリニッバーナ経」など、原始仏教の経典の数々。それらを、多くの原典訳でも知られる仏教思想学の大家が、これ以上なく平明な注釈で解く。テレビ・ラジオ連続講義を中心に歴史的・体系的にまとめたシリーズから、『原始仏典1釈尊の生涯』『原始仏典2人生の指針』をあわせた一冊。
  • 現実脱出論 増補版
    4.0
    私たちが「現実」だと思って縛られているものから自由になる! 17歳のときに、98歳で死期を迎える自分を設定して楽になった話。「脳の誤作動」である鬱状態に陥ったらどうするか。「半現実」のつくりかた、など目の前の「現実」が違って見え、驚きの世界を体験できる本。文庫化にあたり、最終章「現実創造論」を書き下ろし、さらに健康になる具体的な方法を伝授。
  • 〈現実〉とは何か ──数学・哲学から始まる世界像の転換
    5.0
    「現われの学」としての現象学と、「同じさの数学」としての圏論がひとつになる。思考と生、その両方に関わる根本原理を追究した画期的試論。
  • 減速して自由に生きる ──ダウンシフターズ
    4.3
    システムから降りて好きなことをしても大丈夫! そこには楽しい人生が開けている。経済成長を追い求める企業でストレスを抱え自分の時間もなく働く人生よりも、小さく自営し、人と交流し、やりたいことをしたい。そう考えた著者の、開業までの道のりと、開業の様々な具体的なコツと考え方、生き方を伝える。文庫化にあたり15の方法を1章分追記。
  • 現代オカルトの根源
    4.1
    ヨハネ黙示録やマヤ暦に基づく終末予言、テレパシーや空中浮揚といった超能力、UFOに乗った宇宙人の来訪、レムリアやアトランティスをめぐる超古代史、爬虫類人陰謀論―。多様な奇想によって社会を驚かせる、現代のオカルティズム。その背景には、新たな人種の創出を目指す「霊性進化論」という思想体系が潜んでいた。ロシアの霊媒ブラヴァツキー夫人に始まる神智学の潮流から、米英のニューエイジを経て、オウム真理教と「幸福の科学」まで、現代オカルトの諸相を通覧する。
  • 現代語訳 応仁記
    4.0
    日本史上類を見ない泥沼の長期戦となり、京中を焼き尽くすに至った応仁の乱。『応仁記』は、乱が終結してほどなく書かれたとされる軍記物である。作者は現在も未詳だが、戦乱勃発の背景から文明5年(1473)の山名宗全の死に至るまでの過程を克明に描いたその筆致は、「あの戦いはいったい何であったのか」という、当時の人々が抱いたであろう虚無感を現代にまで伝えている。応仁の乱を知るうえで欠かせない、貴重な第一級史料。
  • 現代語訳 史記
    3.9
    歴史書の大古典にして、人間の在り方を描く文学書でもある司馬遷の『史記』を、「キャリア」をテーマにして選び出し現代語訳。帝王、英雄から、戦略家、道化、暗殺者まで、権力への距離違えども自らの力で歴史に名を残した人物たちの魅力は色あせない。適切なガイドと本物の感触を伝える訳文で『史記』の世界を案内する。
  • 現代語訳 信長公記(全)
    4.0
    『信長公記』(しんちょうこうき)は、織田信長の家臣であった太田牛一が著した、信長の一代記である。足利義昭を奉じて上洛してから本能寺の変に斃れるまでの15年間の足跡がとりわけ詳細に書き記されている。しかもその記録はきわめて正確で、歴史研究が進み従来の信長像が大きく塗り替えられようとしている現今においても、本書は第一級史料としての地位を失っていない。戦国時代を駆け抜けた信長の生きざまが現代によみがえる!
  • 現代語訳 藤氏家伝
    3.0
    『藤氏家伝』は、奈良時代後半(760~762年頃)に成立した藤原氏の家史。上・下巻から成り、上巻では始祖である藤原(中臣)鎌足とその子貞慧、下巻では藤原不比等の長男である武智麻呂の事績を伝える。『日本書紀』と『続日本紀』のあいだに編纂されたが、それら正史にはない独自の記述を含むことから史料的価値がきわめて高く、7~8世紀の歴史を理解する上で欠かせない史書である。本書はその初めての現代語訳。巻末には本文(漢文)と訳者による解説を付す。文庫オリジナル。
  • 現代語訳 日本国憲法
    4.0
    憲法とは何か。なぜ改正が議論になるのか。憲法を問うことは、「日本という国のあり方」を問うことにつながっている。天皇、戦争、人権、政治、司法、財政といった国の根幹を自分で考えるためには、憲法をしっかりと読むしかない。本書は、日本国憲法と大日本帝国憲法という「二つの憲法」の現代語訳・決定版である。明治から敗戦を経て現行憲法へ至る歩みから、この国の過去、現在、そして未来がみえてくる。
  • 現代語訳 般若心経
    3.9
    人はどうしたら苦しみから自由になれるのだろうか。私たちは、生まれ落ち成長するにしたがって、世界を言語によって認識し、概念を動員して理解する。それは、社会で生きる以上不可欠なものかもしれないが、いっぽうで迷いや苦しみの根源でもある。『般若心経』には、そうした合理的知性を超えた、もうひとつの「知」が凝縮されている。大いなる全体性のなかに溶け込んだ「いのち」のよろこびを取り戻すための現代語訳決定版。
  • 現代語訳 福澤諭吉幕末・維新論集
    4.0
    福澤諭吉の著した数多くの評論の中から、幕末・維新期の社会の様子を鋭く観察し画期的な提言が冴える四編を厳選して平易な現代語訳とした傑作選。旧幕臣の勝海舟・榎本武揚を筆で斬り、賊軍の首魁として散った西郷隆盛を弁護する。過去の封建社会・身分制の実情を浮き彫りにし、官尊民卑の風潮に痛烈な批判を浴びせ、民に用意された無限の可能性を力説する―新しい時代にふさわしい鮮やかな筆致で「この国のかたち」を大きく描き直す過程において何が必要か、我々に大きな示唆を与えてくれる。
  • 現代語訳 文明論之概略
    4.3
    維新から間もない激動の時代に書かれた『文明論之概略』は、「人類の目指すべき最大の目的」としての文明の姿を鮮やかに描くと同時に、当時の日本が置かれた状況を冷徹に認識して、「自国の独立」の重要性を痛切に説く。物事の本質を見抜き、時代を的確に捉える知性。巧みな例示とリズミカルな文体。福澤諭吉の最高傑作にして近代日本を代表する重要著作が、いま現代語でよみがえる!
  • 現代語訳 老子
    4.0
    中国古代の社会に深く根ざした『老子』。そのテクストは、人の生死を確かな目で見つめ、宇宙と神話の悠遠な世界を語り、世のために恐れずに直言する、苛烈な戦国時代を生きた一人の思想家の姿を伝えている。この大古典を少しでも読みやすく、深く味わうために、本書はテーマによって内容を整理し、謎に包まれたテクストを明快に解きほぐす。二千年以上も読み継がれてきた中国の精髄へ、大胆かつ精密に接近し、そこに日本の神話と神道の原型を発見する。
  • 現代語訳 論語
    3.9
    温かく、刺激的で、ときには厳しく、ときにはユーモアが漂う孔子の言葉をすっきり読めるかたちで現代語訳。「学び続けることの中に人生がある」――二千五百年もの間、読み継がれ、多くの人々の「精神の基準」となった古典中の古典を紐解けば、いつでもどこでも生き生きとした精神に出会うことができる。
  • 現代語訳 論語と算盤
    4.0
    日本実業界の父が、生涯を通じて貫いた経営哲学とはなにか。「利潤と道徳を調和させる」という、経済人がなすべき道を示した『論語と算盤』は、すべての日本人が帰るべき原点である。明治期に資本主義の本質を見抜き、経営、労働、人材育成の核心をつく経営哲学は色あせず、未来を生きる知恵に満ちている。
  • 現代思想講義 ──人間の終焉と近未来社会のゆくえ
    -
    「自由で平等な個人」という近代にあった理想。だが、明らかにそれは誤りである。ポピュリズムが跋扈するポスト・トゥルースの現代は、「群れ」社会への転換をすでに遂げている。その転換も昨今急激に生じたのではない。現代思想で論じられてきたその社会の変容を、順に「人間」「国家」「意識」「政治」「道徳」「思考」の六つの主題について解き明かしていく。AIで人間が不要になる、といった皮相な議論よりもはるかに深い次元で人間の終焉を考察し、混迷する人類文明の行く末と、これからの生き方について講義する。
  • 現代思想史入門
    -
    二〇世紀のイデオロギー対立は終焉したが、新たな思想・哲学が出現していないように見える。近代のしがらみを捨てて、いま一度、現代思想の諸地層をもっとつぶさに見ていこう。そこに新たな思考が芽生えるきっかけが見つかりそうだ。生命、精神、歴史、情報、暴力の五つの層において現代思想をとらえ、それぞれ一九世紀後半あたりを出発点として、五度にわたってさらいなおす。現代思想の意義を探りつつ、その全体像を俯瞰する、初学者にもわかりやすい新しいタイプの入門書。
  • 現代思想の教科書 ──世界を考える知の地平15章
    3.9
    現在、私たちを取り巻く「知」の数々は、20世紀以降の世界がおかれた4つの状況から発生する。本書ではそれを、ポスト・グーテンベルク状況、ポスト・モダン状況、ポスト・ナショナル状況、ポスト・ヒューマン状況と名づける。そして、そこから浮かび上がってくる「イメージと記号論」「情報とメディアの思想」「ナショナリズムと国家」など、15個のトピックスに切り分け、ソシュール、レヴィ=ストロース、フーコーという巨人たちの思想を読みなおしていく。ありきたりの哲学教科書では学ぶことのできない、現代思想における全ての最重要論点を、一から平明に解く15章の徹底講義。

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