中央公論新社 - 中公新書作品一覧

  • 六国史―日本書紀に始まる古代の「正史」
    4.8
    奈良時代から平安時代にかけて編纂された歴史書「六国史」。七二〇年に完成した日本書紀から、続日本紀、日本後紀、続日本後紀、日本文徳天皇実録、日本三代実録までを指す。天地の始まりから平安中期の八八七年八月まで、国家の動向を連続して記録した「正史」であり、古代史の根本史料である。本書は、各書を解説しつつ、その真偽や魅力を紹介。また、その後の紛失、改竄、読み継がれ方など、中世から現代に至る歴史をも描く。
  • 明治維新と幕臣 「ノンキャリア」の底力
    4.0
    明治維新は、西郷隆盛・大久保利通・木戸孝允ら薩長土肥の志士が中心となって成し遂げたというイメージが強い。進取の気風に富む西南雄藩が、旧態依然たる江戸幕府に取って代わったのは、歴史的必然だったとさえ捉えられている。だが本当に幕府は無為無策で、すぐれた人材を欠いていたのか。本書は、行政実務に精通し、政権交代後も継続登用された中・下級の旧幕臣たちに光を当てるものである。明治維新への新たな視座。
  • 幕府海軍 ペリー来航から五稜郭まで
    3.6
    ペリー来航などの「西洋の衝撃」を受け、1855年に創設された幕府海軍。長崎海軍伝習、勝海舟らによる咸臨丸の太平洋横断航海、幕長戦争などを経て近代海軍として成長してゆく。鳥羽・伏見の戦いにより徳川政権は瓦解し、五稜郭で抵抗を続けた榎本武揚らも敗れて歴史的役割を終えるが、人材や構想などの遺産は明治海軍へと引き継がれた。歴史研究者・現役海上自衛官の二つの顔を持つ筆者が、歴史と軍事の両面から描く。
  • 不倫―実証分析が示す全貌
    3.9
    既婚者が配偶者以外と性交渉をもつことを指す「不倫」。毎月のように有名人がスクープされる関心事だが、日本では客観的な研究がほとんどない。本書では、気鋭の社会学者と経済学者が大規模調査を敢行。実験的手法や海外の先行研究も活用して実態に迫る。経験者は何%か。どんな人が不倫しやすいのか。どこで出会い、いかに終わるか。家族にどんな影響があるか。誰が誰をバッシングするのか。実証分析により解き明かす。
  • 「美味しい」とは何か 食からひもとく美学入門
    3.0
    あるものを「美しい」「醜い」など評価するとき、私たちは何を考えているのか。評価を下す基準となる「センス」とは。こうしたことを考える学問が美学だ。本書は絵画や音楽ではなく、身近な食事からその扉を開く。「美味しい」「まずい」という評価は人それぞれ? レビューサイトの情報があると、純粋に食事を楽しめない?美食の感動は言葉にすべきじゃない? インスタントラーメンは芸術か? やさしくも奥深い美学入門。
  • 肝臓のはなし 基礎知識から病への対処まで
    4.3
    現代の日本人は、四~五人に一人の割合で、肝機能に異常があるとされる。「沈黙の臓器」である肝臓の異変に気づかぬまま、慢性の病で死に至る場合も多い。本書では、健康診断以外で意識しづらい肝臓について、基礎知識をイチから解説。飲酒やダイエットとの関係、健診項目の見方、主な肝臓病と最新の治療などを、医学史の流れをふまえつつ紹介する。健康な毎日のために知っておきたい、人体最大の臓器をめぐる医学講義。
  • 資本主義の方程式 経済停滞と格差拡大の謎を解く
    4.4
    順調に成長を続けた日米欧経済はなぜ長期停滞や格差拡大に陥ったのか。従来の経済学ではうまく説明できない。本書ではお金や富の保有願望=「資産選好」に注目し、経済が豊かになるにつれて人々の興味が消費から蓄財に向かい、経済構造が大きく変貌した経緯を解明。高度成長期を支えた従来型の金融緩和や構造改革、減税やバラマキ、教育方針が、今では無意味か逆効果であることを明らかにし、低成長時代の経済政策を提言する。
  • 江戸―平安時代から家康の建設へ
    4.0
    徳川家康が入城し、将軍の本拠地として大都市へ変貌した江戸。その始まりは平安時代末、秩父平氏一族の江戸氏が拠点を置く低湿地だった。太田道灌の江戸城築城、戦国大名北条氏の支配を経て、入府した家康の大工事によって、城と町は発展を遂げる。江戸の繁栄はいかにして築かれたのか。本書では新知見をふまえ、中世から近世への変遷過程を解明。平安時代の寒村から、豪華絢爛な都市が成立するまでの500年を描き出す。
  • サウジアラビア―「イスラーム世界の盟主」の正体
    3.9
    1744年にアラビア半島に誕生したサウジアラビア。王政国家、宗教権威国、産油国の貌を持つキメラのような存在だ。王室内の権力闘争や過激主義勢力との抗争、石油マネーをめぐる利権により、内実はヴェールに包まれている。中東の新興国はいかにして「イスラーム世界の盟主」に上りつめたのか。宗教・経済・女性問題は克服できるか。イスラームの国家観と西洋近代の価値観の狭間で変革に向かう、大国の実像を描き出す。
  • 北条義時 鎌倉殿を補佐した二代目執権
    3.9
    北条義時は十八歳で突如、歴史の表舞台に立たされる。義兄の源頼朝が平家追討の兵を挙げたのだ。義時は頼朝の側近として鎌倉幕府の樹立に貢献。頼朝没後、父時政に従い比企氏ほか有力御家人を排斥する。さらには父を追放して将軍補佐の執権職を継ぎ、甥の将軍実朝と姉政子を支えて幕政を主導。後鳥羽上皇と対決した承久の乱で鎌倉勢に勝利をもたらした。公武関係の変遷を辿り、武家優位の確立を成し遂げた義時の生涯を描く。
  • 三好一族―戦国最初の「天下人」
    3.7
    阿波の守護細川氏に仕え、主家に従い畿内に進出した三好氏。全盛期の当主長慶は有能な弟たちや重臣松永久秀と覇業に邁進し、主家を凌ぐ勢力となる。やがて足利将軍家の権威に拠らない政権を樹立し、最初の「天下人」と目された。政権が短命で終わった後も、織田信長の子や羽柴秀吉の甥を養子に迎えるなど名門の存在感は保たれ、その血脈は江戸時代になっても旗本として存続する。信長に先駆けて天下に号令した一族の軌跡。
  • ガリバルディ イタリア建国の英雄
    3.7
    イタリアの英雄、ガリバルディ(1807~82)。亡命先ウルグアイの独立運動で戦功をあげ、名声はヨーロッパにまで轟いた。帰国後、千人隊を組織し、シチリア・南イタリアを解放した、イタリア統一の立役者である。その活躍は神話化され、明治日本でも西郷隆盛になぞらえられ、中国・韓国では、独立運動の理想像とされるなど、世界中を熱狂させた。イタリア建国に生涯をかけた男の実像に迫る。
  • 中先代の乱 北条時行、鎌倉幕府再興の夢
    4.1
    鎌倉幕府滅亡から二年後の一三三五年、北条高時の遺児時行が信濃で挙兵。動揺する後醍醐天皇ら建武政権を尻目に進撃を続け、鎌倉を陥落させた。二十日ほど後、足利尊氏によって鎮圧されるも、この中先代の乱を契機に歴史は南北朝時代へと動き出す――。本書は、同時代に起きた各地の北条氏残党による蜂起や陰謀も踏まえ、乱の内実を読み解く。また、その後の時行たちの動向も追い、時流に抗い続けた人々の軌跡を描く。
  • 宗教と日本人 葬式仏教からスピリチュアル文化まで
    4.0
    日本では信仰を持たない人が大半を占めるが、他方で仏教や神道、キリスト教の行事とは縁が深い。日本人と宗教の不可思議な関わりはどこへ向かうのか。新宗教の退潮とスピリチュアル文化の台頭、変わる葬式や神社の位置づけ、ケルトや縄文など古代宗教のブーム……。宗教を信仰の面だけでなく、実践や所属の観点も踏まえ、その理解を刷新。人々の規範から消費される対象へと変化しつつある宗教の現在地を示す。
  • 英語の読み方 ニュース、SNSから小説まで
    4.1
    ネット上で海外発の情報に接する機会が増えた昨今、英語を読む力の重要性はますます高まっている。本書では、ニュース記事や論文、SNS、小説など、幅広いタイプの英文の読み方を指南。論理的な読み解きのセオリーを解説する。独学者にとって宝の山である各種サイトの活用法や、ネイティブでも間違えやすい表現など、「さらに上」を目指す人へのガイドも満載。巻末に、重要語彙・文法が身につく60の厳選例文を収録。
  • 男が介護する 家族のケアの実態と支援の取り組み
    3.3
    かつて女性中心で行われてきた家族の介護。今では男性(夫や息子など)が担い手の3分の1を占めるが、問題は少なくない。孤立し、追い詰められた男性介護者による虐待、心中などの事件は後を絶たない。他方で介護離職を余儀なくされる人もいる。本書は、悲喜こもごものケアの実態、介護する男性が集い、支え合う各地のコミュニティの活動を、豊富なエピソードを交えて紹介。仕事と介護が両立できる社会に向けた提言を行う。
  • リベラルとは何か 17世紀の自由主義から現代日本まで
    3.9
    現代のリベラルは「すべての個人が自由に生き方を選択できるよう、国家が一定の再分配を行うべきだ」と考える。リベラルは17世紀ヨーロッパの自由主義から思想的刷新を重ね、第二次世界大戦後は先進諸国に共通する政治的立場となった。しかし20世紀後半の新自由主義や近年のポピュリズムなどの挑戦を受け、あり方の模索が続く。本書は理念の変遷と現実政治の展開を丁寧にたどり、日本でリベラルが確立しない要因にも迫る。
  • 暗殺の幕末維新史 桜田門外の変から大久保利通暗殺まで
    4.0
    近代日本が生まれた幕末維新期。日本史上これほど暗殺が頻発した時期はない。尊皇攘夷論の洗礼を受けた者をはじめ、彼らはなぜ暗殺に走ったのか。本書は大老井伊直弼から内務卿大久保利通に至る国家の中枢、外国人、坂本龍馬らの“志士”、市井の人々までが次々に標的となった事件の凄惨な実相と世間の反応を描く。さらに後世、一方で暗殺者を顕彰し、他方で忌避した明治国家の対応も詳述する。闇から見つめる幕末維新史。
  • 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代
    4.3
    現代の日本で、暴動を目撃する機会はまずないだろう。では、かつてはどうだったのか。本書は、新政反対一揆、秩父事件、日比谷焼き打ち事件、関東大震災時の朝鮮人虐殺という四つの出来事を軸として、日本近代の一面を描く。権力の横暴に対する必死の抵抗か、それとも鬱屈を他者へぶつけた暴挙なのか。単純には捉えられない民衆暴力を通し、近代化以降の日本の軌跡とともに国家の権力や統治のあり方を照らし出す。
  • 性格とは何か より良く生きるための心理学
    3.9
    「あの人は性格がいいね」「もっと明るい性格だったらなあ」――私たちがよく話題にする「性格」。最新の心理学はそこに潜む謎を解明しつつある。歳をとると人はどう変わるのか。住む地域はどんな影響をもたらすか。日本人はどんどんネガティブになっているのか。男女は何が同じで何が違うか。「成功」できる性格とは。性格についてよく知ることで居心地よく暮らせる環境を作り、幸福な人生を送るためのヒント。
  • 音楽の危機 《第九》が歌えなくなった日
    4.0
    二〇二〇年、世界的なコロナ禍でライブやコンサートが次々と中止になり、「音楽が消える」事態に陥った。集うことすらできない――。交響曲からオペラ、ジャズ、ロックに至るまで、近代市民社会と共に発展してきた文化がかつてない窮地を迎えている。一方で、利便性を極めたストリーミングや録音メディアが「音楽の不在」を覆い隠し、私たちの危機感は麻痺している。文化の終焉か、それとも変化の契機か。音楽のゆくえを探る。
  • デジタル化する新興国 先進国を超えるか、監視社会の到来か
    4.0
    デジタル技術の進化は、新興国・途上国の姿を劇的に変えつつある。中国、インド、東南アジアやアフリカ諸国は、今や最先端技術の「実験場」と化し、決済サービスやWeChatなどのスーパーアプリでは先進国を凌駕する。一方、雇用の悪化や、中国が輸出する監視システムによる国家の取り締まり強化など、負の側面も懸念される。技術が増幅する新興国の「可能性とリスク」は世界に何をもたらすか。日本がとるべき戦略とは。
  • お酒の経済学 日本酒のグローバル化からサワーの躍進まで
    3.6
    日本のお酒をめぐる環境が激変している。日本酒からビール、焼酎と主役が交代しつつ消費は伸びてきたが、1990年代半ばにピークを迎えた。その後はデフレ下で「第3のビール」やサワーが躍進する一方、クラフトビールや純米大吟醸酒も人気を集める。さらに、日本酒やウイスキーは海外から高く評価され、輸出が急増している。日本のお酒が抱える課題と可能性とは。経済学と経営学の最新の研究成果から解き明かす。
  • 平和主義とは何か 政治哲学で考える戦争と平和
    4.1
    平和を愛さない人はいないだろう。だが平和主義となるとどうだろうか。今日では単なる理想論と片付けられがちだが、実はその思想や実践は多様である。本書は、「愛する人が襲われても無抵抗でよいのか」「正しい戦争もあるはず」「平和主義は非現実的だ」「虐殺を武力で止めないのは無責任」といった批判に丁寧に答え、説得力ある平和主義の姿を探る。感情論やレッテル貼りに陥らず、戦争と平和について明晰に考えるために。第35回石橋湛山賞受賞作。
  • アメリカ黒人の歴史 奴隷貿易からオバマ大統領まで
    4.2
    黒人たちはアメリカ社会の底辺にいるとされてきた。だが、二〇世紀の後半、徐々に社会的上昇をとげ、中産階級の仲間入りをする者も現れた。政財界に進出した例も多く、文化や芸能、スポーツなどの分野でも活躍は目覚ましい。本書は、アメリカ独立以前から南北戦争、公民権運動を経て現代まで、差別にさらされながらも、境遇改善への努力を積み重ねてきた彼らの歩みを辿るものである。また、今なお残された諸問題も指摘する。
  • インドネシア大虐殺 二つのクーデターと史上最大級の惨劇
    4.3
    一九六○年代後半、インドネシアで二度のクーデターが起こった。事件発生の日付から、前者は九・三○事件、後者は三・一一政変と呼ばれる。この一連の事件が原因となって、独立の英雄スカルノは失脚し、反共の軍人スハルトが全権を掌握する。権力闘争の裏で、二○○万人とも言われる市民が巻き添えとなり、残酷な手口で殺戮された。本書は、いまだ多くの謎が残る虐殺の真相に、長年に及ぶ現地調査と最新資料から迫る。
  • 信長と将軍義昭 連携から追放、包囲網へ
    4.3
    各地を流浪した足利義昭は、一五六八年、織田信長に奉じられて上洛し、宿願の将軍職に就いた。長らく傀儡にすぎないとされてきた義昭だが、近年では将軍として行使した政治力が注目されている。京都から追放された後でさえ、信長に対抗できる実力を保持していた、とする説もある。上洛後の信長と義昭は果たしてどのような関係にあったのか。強烈な個性を放った二人が、連携から確執、対立へと至る過程を詳述する。
  • 戦国武将の叡智 人事・教養・リーダーシップ
    3.7
    群雄割拠の戦国時代、数多の武将が激しい合戦を繰り広げながら、独自の領国経営を行っていた。下剋上・弱肉強食・合従連衡による淘汰が進む実力主義のなかで、リーダーたる武将たちは何を考え、どう行動したのか。部下の諫言を重視した武田信玄、「戦わずして勝つ」を極めた豊臣秀吉、歴史書に学んだ徳川家康など、名将たちの〝乱世を生き抜く叡智〟とは。現代にも生かせる教養、人材活用術、リーダーシップの本質を凝縮。
  • 東アジアの論理 日中韓の歴史から読み解く
    3.5
    強権的な姿勢を強める習近平政権、慰安婦問題や徴用工判決で悪化する日韓関係……。中国や韓国は同じ「漢字・儒教文化圏」に属すと言われるが、日本人にはわからないことだらけだ。日本には日本の立場がある一方、両国にもそれぞれ固有の思考・論法があり、それを理解するには歴史をひもとくのが最善である。本書は、近年の時事的な話題を切り口に、歴史的アプローチから日本・中国・韓国の違いを知るためのヒントを示す。
  • 人類と病 国際政治から見る感染症と健康格差
    3.8
    人類の歴史は病との闘いだ。ペストやコレラの被害を教訓として、天然痘を根絶し、ポリオを抑え込めたのは、20世紀の医療の進歩と国際協力による。しかしマラリアはなお蔓延し、エイズ、エボラ出血熱、新型コロナウイルスなど、新たな感染症が次々と襲いかかる。他方、現代社会では、喫煙や糖分のとりすぎによる生活習慣病も課題だ。医療をめぐる格差も深刻である。国際社会の苦闘をたどり、いかに病と闘うべきかを論じる。
  • 感染症 増補版 広がり方と防ぎ方
    4.3
    グローバル化による人やモノの大移動によって、病原体が世界的に拡散するリスクは劇的に高まった。本書では、伝染病対策の歴史、病原体の種類や性質、伝播経路と遮断法など、感染症の脅威に正しく対処するための基礎知識を伝える。コレラから新型インフルエンザまで、多様な感染症をわかりやすく解説したロングセラーに、新型コロナウイルスの特徴や予防法を考察した新章「新型ウイルスが広がりにくい社会」を加えた増補版。
  • 移民の経済学 雇用、経済成長から治安まで、日本は変わるか
    4.0
    すでに250万人の「移民」が暮らす日本。2018年末に入管法を改正し、さらなる外国人労働者の受け入れ拡大に舵を切った。移民が増えると、私たちの生活にどのような影響があるのか。本書は、雇用や賃金、経済成長や物価、貿易、税と社会保障、さらに科学技術、治安・文化に至るまで、主要な論点を網羅。経済学の研究成果をもとに分析することで、感情的な議論を超え、移民がもたらす「損」と「得」を明らかにする。
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者
    4.1
    『全体主義の起原』『人間の条件』などで知られる政治哲学者ハンナ・アーレント(一九〇六―七五)。未曽有の破局の世紀を生き抜いた彼女は、全体主義と対決し、「悪の陳腐さ」を問い、公共性を求めつづけた。ユダヤ人としての出自、ハイデガーとの出会いとヤスパースによる薫陶、ナチ台頭後の亡命生活、アイヒマン論争――。幾多のドラマに彩られた生涯と、強靭でラディカルな思考の軌跡を、繊細な筆致によって克明に描き出す。
  • 桂太郎 外に帝国主義、内に立憲主義
    3.4
    日本最長の八年に及ぶ首相在任期間を誇った桂太郎。三度の政権下、日露戦争、韓国併合と、外には帝国主義政策を断行、内には伊藤博文らの次世代として、最後には政党結成に動く。山県有朋の“傀儡”と、低く評価されてきた桂だが、軍人出身ながら、軍の予算を抑制、国家全体の利益を最優先し、緊縮財政を追求し続ける。時代の制約の中、「ニコポン」と呼ばれた調整型政治家が求めたものは何か――。その全貌を描く。
  • アジア経済とは何か 躍進のダイナミズムと日本の活路
    4.3
    戦後アジアをリードした日本経済。しかし20世紀の終わりから長期停滞に陥っている。一方、中国を筆頭にASEANなどのアジア諸国・地域は躍進し、21世紀は「アジアの世紀」とされる。日本の家電メーカーなどの凋落と、中国はじめアジア企業の急成長に象徴される激変の本質は何か。「グローバル・バリューチェーン」「インテグラル/モジュラー型」といった鍵となる概念をわかりやすく解説し、日本の活路を示す。
  • 月はすごい 資源・開発・移住
    4.5
    一番身近な天体、月。約38万㎞上空を回る地球唯一の衛星だ。アポロ計画から約半世紀を経て、中国やインド、民間ベンチャーも参入し、開発競争が過熱している。本書では、大きさや成り立ちといった基礎、探査で新たに確認された地下空間などの新発見を解説。人類は月に住めるか、水や鉱物資源は採掘できるか、エネルギーや食糧をどう確保するかなども詳述する。最前線の月探査プロジェクトに携わる著者が月面へと誘う。
  • 戦国大名の正体 家中粛清と権威志向
    3.6
    応仁・文明の大乱を経て、群雄割拠の時代が幕を開ける。戦国大名たちは、家中粛清を断行して権力基盤を固め、分国法の制定や城下町の整備により自らの領国を発展させた。やがて北条・毛利・島津らのように、版図を拡大し、地域に覇を唱える大大名も現れる。生き残りをかけて戦い続けた彼らは、ただ力のみを信奉し、伝統的権威を否定する専制君主だったのか。大名たちの行動規範を探究し、戦国時代への新たな視座を提示する。
  • 折口信夫 日本の保守主義者
    3.0
    民俗学者、国文学者にして釈迢空の号で知られる歌人、そして小説家でもある折口信夫。多方面にわたる業績は「折口学」と総称されるが、全貌をひととおり眺めるのは容易ではない。本書ではその生涯をたどり、関東大震災、二・二六事件、敗戦から占領へという日本崩壊への危機感がこの稀有な思想家を生み出したことを示す。さらに、折口の思想をナショナリズムとの関係性から読み解き、真の保守主義とは何かを問う。
  • 老いのゆくえ
    4.2
    運転免許を返納した。転倒が増えた――。85歳という新たな区切りを超えた作家が描く「老いの日常」。優先席での年齢比べ、一向に進まない本の整理、曲げた腰を伸ばす難しさ、隙を見ては襲ってくる眠気、病気との付き合い方。いずれも70歳代のころとは何かが徐々に変わっている。この先の時間に思いを馳せながら、年齢を重ねるなかで生じる失敗や戸惑い、さらに発見や喜びも余さずつづる、老いの日々のスケッチ。
  • 物語 ポーランドの歴史 東欧の「大国」の苦難と再生
    3.8
    十世紀に産声をあげたポーランド王国は、十四~十六世紀に隆盛を極めるが、王朝断絶後、衰退に向かう。十八世紀、ロシア・プロイセン・オーストリアによる分割で国家は消滅。第一次大戦後に束の間の独立を勝ち取るも、第二次大戦中にはドイツとソ連に再び国土を蹂躙された。冷戦下の社会主義時代を経て一九八九年に民主化を達成。潜在力を秘めた地域大国は今、どこへ向かうのか。栄光と悲運に彩られた国と民族の歴史。
  • キリスト教と戦争 「愛と平和」を説きつつ戦う論理
    4.4
    世界最大の宗教、キリスト教の信者は、なぜ「愛と平和」を祈りつつ「戦争」ができるのか? 殺人や暴力は禁止されているのではなかったか? 本書では、聖書の記述や、アウグスティヌス、ルターなど著名な神学者たちの言葉を紹介しながら、キリスト教徒がどのように武力行使を正当化するのかについて見ていく。平和を祈る宗教と戦争との奇妙な関係は、人間が普遍的に抱える痛切な矛盾を私たちに突きつけるであろう。
  • 科学技術の現代史 システム、リスク、イノベーション
    4.2
    第2次世界大戦後、科学技術の力は増大する。その原動力は豊富な資金を持つ国家、特に米国だった。インターネットが生まれ、遺伝子操作が可能になり、原子力や人工衛星の利用が広がる。一方でリスクは巨大化・複雑化した。21世紀に入り、AIやバイオテクノロジーが驚異的な展開を見せ、中国や民間企業による〝暴走〟が懸念されるなか、世界は今後どうなっていくのか――。科学技術の〝進化〟の歴史と未来への展望を描く。
  • 植物はすごい 七不思議篇 知ってびっくり、緑の秘密
    4.1
    アサガオの花はなぜ夕方になると赤紫になるの? どうしてゴーヤの実は熟すと爆発するの? トマトのタネはなぜぬるぬるに包まれているの? トウモロコシの黄色い粒と白い粒の比率が3対1って本当? イチゴの種はどこにあるの? チューリップの花はなぜだんだん大きくなるの? ソメイヨシノはなぜ暖かい九州よりも寒い東京で先に咲くの? 7つの身近な植物に秘められた「すごさ」から学ぶ、生き方の工夫と知恵。
  • 貨幣が語る ローマ帝国史 権力と図像の千年
    4.2
    古代ローマでは、発掘されただけでも数万種類にのぼる貨幣が存在した。貨幣は一般に権力の象徴とされ政府や中央銀行などが造幣権を独占する。だが、ローマでは政界に登場したばかりの若手や地方の有力者も発行していた。神話の神々、カエサルや皇帝たちの肖像、ヤギや北斗七星など描かれた図像も多岐にわたるが、彼らは貨幣を用いて何をアピールしようとしたのか。図像と銘文から読み解く、新しい古代ローマ史入門。
  • 日本鉄道史 幕末・明治篇 蒸気車模型から鉄道国有化まで
    3.9
    1~3巻902~1,034円 (税込)
    一八五四年、来航したペリー提督は蒸気車模型を幕府に献上。以来、日本は鉄道時代に突入した。幕末の外国人たちによる敷設計画に始まり、新橋~横浜間の開業、官設鉄道を凌ぐ私設鉄道の全盛期を経て、一九〇六年の鉄道国有化と開業距離五〇〇〇マイル達成に至る半世紀――。全国的な鉄道網はいかに構想され、形成されたのか。鉄道の父・井上勝をはじめ、渋沢栄一、伊藤博文などの活躍とともに日本鉄道史の草創期を描く。
  • 経済学に何ができるか 文明社会の制度的枠組み
    4.0
    さまざまな「価値」がぶつかり合う、現代の自由社会。その結果、数々の難問が私たちの前に立ちはだかっている。金融危機、中央銀行のあり方、格差と貧困、知的独占の功罪、自由と平等のバランス、そして人間にとって正義とは、幸福とは――。本書は、経済学の基本的な論理を解説しながら、問題の本質に迫る。鍵を握るのは「制度」の役割である。デモクラシーのもとにおける経済学の可能性と限界を問い直す試み。
  • 事大主義―日本・朝鮮・沖縄の「自虐と侮蔑」
    4.5
    事大主義とは、強者に追随して保身を図る態度である。国民性や民族性を示す言葉として、日本や朝鮮、沖縄で使われてきた。本書は、福沢諭吉、陸奥宗光、柳田国男、朴正熙、金日成、司馬遼太郎などの政治家や知識人を事大主義の観点で論じ、時代の変遷を描く。日本への「島国根性」という批判や、沖縄への差別意識はどこに由来するのか。韓国と北朝鮮の相剋の背景は何か。自虐と侮蔑が交錯した東アジアの歴史が浮き彫りに。
  • 日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実
    4.4
    310万人に及ぶ日本人犠牲者を出した先の大戦。実はその9割が1944年以降と推算される。本書は「兵士の目線・立ち位置」から、特に敗色濃厚になった時期以降のアジア・太平洋戦争の実態を追う。異常に高い餓死率、30万人を超えた海没死、戦場での自殺と「処置」、特攻、体力が劣悪化した補充兵、靴に鮫皮まで使用した物資欠乏……。勇猛と語られる日本兵たちが、特異な軍事思想の下、凄惨な体験を強いられた現実を描く。アジア・太平洋賞特別賞、新書大賞受賞
  • 中国の論理 歴史から解き明かす
    4.2
    同じ「漢字・儒教文化圏」に属すイメージが強いためか、私たちは中国や中国人を理解していると考えがちだ。だが「反日」なのに日本で「爆買い」、「一つの中国」「社会主義市場経済」など、中国では矛盾がそのまま現実となる。それはなぜか――。本書は、歴史をひもときつつ、目の前の現象を追うだけでは見えない中国人の思考回路をさぐり、切っても切れない隣人とつきあうためのヒントを示す。
  • ヴィルヘルム2世 ドイツ帝国と命運を共にした「国民皇帝」
    4.4
    1888年にドイツ皇帝として即位したヴィルヘルム2世(1859~1941)。統一の英雄「鉄血宰相」ビスマルクを罷免し、自ら国を率いた皇帝は、海軍力を増強し英仏露と対立、第一次世界大戦勃発の主要因をつくった。1918年、敗戦とともにドイツ革命が起きるとオランダへ亡命、その地で没する。統一国民国家の草創期、ふたつの世界大戦という激動の時代とともに歩んだ、最後のドイツ皇帝の実像。
  • 硫黄島 国策に翻弄された130年
    4.0
    小笠原群島の南方に位置する硫黄島。日本帝国が膨張するなか、無人島だったこの地も一九世紀末に領有され、入植・開発が進み、三〇年ほどで千人規模の人口を有するようになった。だが、一九四五年に日米両軍の凄惨な戦いの場となり、その後は米軍、続いて海上自衛隊の管理下に置かれた。冷戦終結後の今なお島民たちは、帰島できずにいる。時の国策のしわ寄せを受けた島をアジア太平洋の近現代史に位置づけ、描きだす。
  • 沖縄問題―リアリズムの視点から
    5.0
    米軍海兵隊の普天間飛行場の移設をめぐる国と沖縄県の対立は根深い。保守と革新の単純化した構図でとらえられることの多い沖縄問題をどう考えればよいのか。本書では琉球処分、沖縄戦から米国統治、そして日本復帰という近代以降の歴史を踏まえ、特に沖縄県の行政に注目し、経済振興と米軍基地問題という二大課題への取り組みを追う。理想と現実のはざまで苦闘しつつも、リアリズムに徹する沖縄の論理を示す。
  • 左遷論 組織の論理、個人の心理
    3.8
    左遷という言葉は「低い役職・地位に落とすこと」の意味で広く用いられる。当人にとって不本意で、理不尽と思える人事も、組織の論理からすれば筋が通っている場合は少なくない。人は誰しも自分を高めに評価し、客観視は難しいという側面もある。本書では左遷のメカニズムを、長期安定雇用、年次別一括管理、年功的な人事評価といった日本独自の雇用慣行から分析。組織で働く個人がどう対処すべきかも具体的に提言する。
  • 大伴家持 波乱にみちた万葉歌人の生涯
    3.5
    大伴家持(七一八頃~七八五)は、天平文化を代表する歌人であり、『万葉集』の編纂にも関わったとされる。橘奈良麻呂の変など、無数の政争が渦巻く時代を官人として生き、さまざまな美しい景色や多くの親しい人々との思い出を歌に込めた。その歩みを追うと、時代に翻弄されながら、名門一族を背負った素顔が浮かび上がる。本書は、残された資料と各所で詠んだ歌から、謎の多い彼の全生涯を描き出す。
  • 斗南藩―「朝敵」会津藩士たちの苦難と再起
    3.7
    二十八万石を誇った会津藩は戊辰戦争に敗れ、明治二年、青森県の下北半島や三戸を中心とする地に転封を命ぜられる。実収七千石の荒野に藩士とその家族一万七千人が流れこんだため、たちまち飢餓に陥り、斃れていった。疫病の流行、住民との軋轢、新政府への不満と反乱……。凄絶な苦難をへて、ある者は教師となって青森県の教育に貢献し、また、近代的な牧場を開いて荒野を沃土に変えた。知られざるもうひとつの明治維新史。
  • 〈どんでん返し〉の科学史 蘇る錬金術、天動説、自然発生説
    3.3
    ありふれた金属から金や銀を作り出そうとする錬金術。ニュートンすらその魅力に取り憑かれていたが、元素の概念が普及すると荒唐無稽だと退けられた。だが20世紀になると物理学者ラザフォードが「新しい錬金術」と称した物理学の進展によって、今では自在に元素の変換が可能になった。天動説、不可秤量物質、エーテル、自然発生説など、一度は否定され、別の視点から復活するトピックに注目して描かれる、もう一つの科学史。
  • リサイクルと世界経済 貿易と環境保護は両立できるか
    4.2
    古紙やペットボトルなどの分別収集のイメージが強いリサイクル。だが、回収された使用済み製品は国内で再使用・再生利用されるだけではない。中古車や鉄スクラップなどは今や日本の主力輸出品である。一方、国際的なリサイクルは急速に拡大し、各国による再生資源の獲得競争や、環境汚染を生む有害廃棄物の輸出など、多くの問題も起こっている。二十世紀末から急拡大している知られざる現状と、問題点を明らかにする。
  • 兼好法師 徒然草に記されなかった真実
    4.0
    兼好は鎌倉時代後期に京都・吉田神社の神職である卜部家に生まれた。六位蔵人・左兵衛佐となり朝廷に仕えた後、出家して「徒然草」を著す――。この、現在広く知られる彼の出自や経歴は、兼好没後に捏造されたものである。著者は同時代史料をつぶさに調べ、鎌倉、京都、伊勢に残る足跡を辿りながら、「徒然草」の再解釈を試みる。無位無官のまま、自らの才知で中世社会を渡り歩いた「都市の隠者」の正体を明らかにする。
  • 定年準備 人生後半戦の助走と実践
    3.7
    シニア向けライフプラン研修でお金・健康・趣味などが重要と説かれる。だがそれだけでは物足りない。長い定年後を充実させるには、やりたいことを見極めて行動に移す準備が必要だ。『定年後』に続く本書は、シニア社員や定年退職者への取材を重ねるなかで著者が新たに見聞した、個別的で多彩な実例を一挙公開。自分らしい第二の人生を踏み出す上で役立つ具体的ヒントを明かす。巻末に「定年準備のための行動六か条」を掲載。
  • 理科系の読書術 インプットからアウトプットまでの28のヒント
    4.0
    本を読むのが苦行です――著者の勤務する京都大学でも、難関の入試を突破したにもかかわらず、そう告白する学生が少なくない。本書は、高校までの授業になかった「本の読み方」を講義する。「最後まで読まなくていい」「難しいのは著者が悪い」「アウトプットを優先し不要な本は読まない」など、読書が苦手な人でも仕事や勉強を効率よく進めるヒントが満載。文系の人にもおすすめの、理科系の合理的な読書術を伝授する。
  • 原発事故と「食」 市場・コミュニケーション・差別
    4.0
    農水産物の一大供給地であった福島は、3・11以後、現在にいたるまで、「デマ」や風評が飛び交い、苦しい状況に追い込まれている。一方で、原発事故と震災の忘却は着実に進行している。本書は、流通や市場の課題、消費者とのコミュニケーション、差別の問題などから、「食」について多面的に論じる。「食」を通して、あの事故がもたらした分断を乗り越えられるのか――。これからの社会を考える試み。
  • 周―理想化された古代王朝
    3.8
    紀元前11世紀から前256年まで続いた古代中国の王朝である周。太公望や周公旦などの建国の功臣、孔子や老子といった諸子百家、斉の桓公ら春秋の五覇などが名高い。また、封建制や共和制など、周に由来するといわれる政治システムは多く、孔子ら儒家によって理想化されて伝えられてきた。では、その実態はいかなるものだったのか。近年、陸続と発掘される金文や甲骨文などの当時の史料から、王朝の実像を再現する。
  • ユダヤとアメリカ - 揺れ動くイスラエル・ロビー
    3.5
    イスラエルとアメリカは「特別な関係」といわれる。その結節点にあったのが、強い結束と豊富な資金により、政府や世論に絶大な影響力を見せてきたイスラエル・ロビーだ。彼らはイスラエルのためにアメリカの政財界に働きかけを行う連合体である。しかし近年、若年層を中心に「イスラエル絶対支持」を疑問視する声が増えている。アメリカの外交、経済、さらには大統領選をも左右する彼らの実態を、今明らかにする。
  • ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か
    4.3
    イギリスのEU離脱、反イスラムなど排外主義の広がり、トランプ米大統領誕生……世界で猛威を振るうポピュリズム。「大衆迎合主義」とも訳され、民主主義の脅威と見られがちだ。だが、ラテンアメリカではエリート支配から人民を解放する原動力となり、ヨーロッパでは既成政党に改革を促す効果も指摘される。一方的に断罪すれば済むものではない。西欧から南北アメリカ、日本まで席巻する現状を分析し、その本質に迫る。
  • 腎臓のはなし 130グラムの臓器の大きな役割
    3.0
    一つ減っても大丈夫。そう軽視できるほど、腎臓の人体における役割は小さくない。主な働きは尿を作ることだけだが、それがなぜ生命の維持に必須なのか? 一日二〇〇リットル作りその九九%を再吸収する尿生成の方法から全身の体液バランス調整のしくみ、脳と同じくらい複雑で繊細かつ壊れにくい構造、一三〇〇万人以上と推計される慢性腎疾患の治療まで。背中に収まるソラマメ型の臓器について、第一人者がすべてを解説。
  • 競争社会の歩き方 自分の「強み」を見つけるには
    3.9
    協力を否定し、利己的で、やられたらやり返す――。成績に順位をつけず、競争より協力を重視した教育を受けた子どもは、そうした価値観をもつという。それはなぜか。競争というと、日本では否定的にとられがちだが、自分の強みを見つけ、社会を活性化させる機会でもある。チケット転売問題から、政府が取り組む女性活躍推進、社会保障給付の問題まで、競争社会を生き抜くための大きなヒントを与える。
  • シェイクスピア 人生劇場の達人
    3.8
    ウィリアム・シェイクスピア(1564~1616)は、世界でもっとも知られた文学者だろう。『マクベス』や『ハムレット』などの名作は読み継がれ、世界各国で上演され続けている。本書は、彼が生きた動乱の時代を踏まえ、その人生や作風、そして作品の奥底に流れる思想を読み解く。「万の心を持つ」と称された彼の作品は、喜怒哀楽を通して人間を映し出す。そこからは今に通じる人生哲学も汲み取れるはずだ。
  • 集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ
    4.1
    インターネットの普及以来、アカデミズムの中核を成してきた専門知が凋落する中で、集合知が注目を集めている。このネット上に出現した多数のアマチュアによる知の集積は、いかなる可能性をもち、社会をどのように変えようとしているのか。基礎情報学を中軸に据え、哲学からサイバネティクス、脳科学まで脱領域的に横断しつつ、二一世紀の知のあり方を問い、情報社会の近未来をダイナミックに展望する。
  • 特攻―戦争と日本人
    3.3
    第2次世界大戦末期、追いつめられた日本陸海軍は、爆弾もろとも敵艦船などに体当たりする特別攻撃=「特攻」を将兵に課した。当初は戦果を上げたが、米軍の迎撃態勢が整うと効果は低下。軍は特攻専用の航空機「桜花」、潜水艇「回天」なども投入する。だが大勢は挽回せず、敗戦までの1年弱の間に航空機だけでも4000人が犠牲となった。本書は、日本人特異の「戦法」の起源、実態、戦後の語られ方など、その全貌を描く。
  • 李光洙―韓国近代文学の祖と「親日」の烙印
    4.0
    李光洙は韓国の夏目漱石である。近代文学の祖とされ、知らぬ者はいない。韓国併合前後に明治学院、早大で学び、文筆活動を始めた李は、3・1独立運動に積極関与するが挫折。『東亜日報』編集局長などを務め、多くの小説を著した。だが日中戦争下、治安維持法で逮捕。以後「香山光郎」と創氏改名し日本語小説を発表。終戦後は、「親日」と糾弾を受け、朝鮮戦争で北に連行され消息を絶つ。本書は、過去の日本を見つめつつ、彼の生涯を辿る。
  • 仕事と家族 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか
    4.0
    男性中心の労働環境のため女性が活躍しづらく、少子化が深刻な日本。仕事と家族のあり方は限界にきている。一方、「大きな政府」を代表するスウェーデンと「小さな政府」を代表するアメリカは正反対の国と思われがちだが、実は働く女性が多く、出生率も高いという点で共通している。それはなぜか。歴史的な視点と国際比較を通じて日本の現在地を示し、目指すべき社会を考える。この国で働き、家族と暮らす全ての人へ。
  • 地方消滅 東京一極集中が招く人口急減
    3.8
    このままでは896の自治体が消滅しかねない――。減少を続ける若年女性人口の予測から導き出された衝撃のデータである。若者が子育て環境の悪い東京圏へ移動し続けた結果、日本は人口減少社会に突入した。多くの地方では、すでに高齢者すら減り始め、大都市では高齢者が激増してゆく。豊富なデータをもとに日本の未来図を描き出し、地方に人々がとどまり、希望どおりに子どもを持てる社会へ変わるための戦略を考える。第8回新書大賞受賞作。
  • アデナウアー 現代ドイツを創った政治家
    4.6
    第2次世界大戦の敗北により、人心・国土とも荒廃したドイツ。その復興を担ったのが、73歳で首相に就任、14年間その座にあったアデナウアーである。戦前、ケルン市長として活躍した彼だが、ナチに迫害され引退。戦後、保守政党を率い、「復古」「反動」のレッテルを貼られながらも、常に自国のナショナリズムを懐疑し、米仏など「西側結合」に邁進、ユダヤ人との「和解」にも挑んだ。「国父」と呼ばれる保守政治家の生涯。
  • 日本写真史 (上)
    3.7
    19世紀半ば、日本へ輸入された写真。日露戦争を経て新聞・出版メディアが拡大するなか報道写真が成長。第二次世界大戦時にはプロパガンダに利用され、また敗戦直後には「マッカーサーと天皇」の写真のように、社会に大きな影響力を持つようになった。戦後は戦禍や公害問題を追及するリアリズム写真が隆盛を誇ったが、経済成長とともに私的テーマ、広告へと多彩化する。本書は1974年まで120年に及ぶ歴史を描く。
  • ダメ出しの力 職場から友人・知人、夫婦関係まで
    3.3
    人は自分について否定的な言葉を聞きたくない。だが「ダメ出し」、つまり悪いところを指摘することは、実は相手に良い影響を与える。それは、子どもの頃を思い返せば理解できるだろう。では、どうすれば逆ギレを防ぎ、効果的なダメ出しを発揮できるのか。本書は、上司と部下、友人、夫婦関係など様々な関係のなか、その条件や活かし方などを豊富なデータから繙く。人間関係を実は円滑にする「ダメ出し」の効用を説く。
  • 野球と戦争 日本野球受難小史
    3.0
    大リーグでの日本人選手の活躍、WBCでの連続優勝…。日本の野球は世界の頂点を極めつつあるように見える。ただ、その歴史に暗黒の時代が刻まれていることを知る人は少ない。昭和七年、学業軽視、選手獲得に金銭が動くことを懸念した文部省は「野球統制令」を公布。さらに、泥沼化する戦況のもと、野球部排撃の動きが全国に広がった。粛正、弾圧を潜り抜け、物資窮乏の中、焦土の上に復活する苦難の日々を史料と証言で辿る。
  • パレスチナ―聖地の紛争
    4.2
    パレスチナ紛争は、ユダヤ人国家の建国と占領に端を発し、中東地域と国際関係を不安定化する危険な要因だ。その歴史的背景に加え、超大国アメリカとイスラエルの結びつきによって特異な性格を持った紛争は、自爆テロと軍事侵攻の応酬で多大な犠牲を出し続け、今も混迷は続いている。両者の思惑がぶつかりあう中東和平交渉、それぞれの和平派と反和平派の苛烈な権力闘争を追い、紛争の実像に迫る。
  • 国会議員の仕事 職業としての政治
    4.0
    国会議員の仕事とはどのようなものだろうか。言うまでもなく、国会議員は私たち有権者が選挙で投票することによって存在している。では、私たちは彼らに何を期待し、何を託しているのだろうか。そこに齟齬はないか。本書は二人の現役国会議員が、その来歴と行動を具体的に記すことにより、政治家の仕事とは何か、そして、混迷する現代日本を変えていくために何が必要かを明らかにする試みである。
  • 経済成長は不可能なのか 少子化と財政難を克服する条件
    4.1
    日本社会全体に閉塞感が漂っている。経済は停滞し、年金や医療など社会保障問題も深刻化するばかりだ。大震災の復興財源もおぼつかない。経済成長こそが復活の鍵であるが、日本はもうそれを望むことはできないのだろうか。本書は、日本経済を取り巻く四つの難問-デフレ、財政難、円高、少子化-を社会学の目で整理し、どのような方法でそれらを解決し、経済を成長させることができるかを提示するものである。
  • イタリア旅行 「美しい国」の旅人たち
    3.0
    今も昔もイタリアが人気の旅行地であることに変わりはないが、旅の目的は時代によって大きく変化してきた。古代ローマ芸術への礼賛からローマやナポリが人気だった18世紀。理想風景への憧れから画家たちが田園や海辺に集い、ゴシックリバイバルの影響でフィレンツェなど中世都市にも目が向けられた19世紀。ヨーロッパを席巻したイタリア旅行ブームを追体験し、そこから生まれた多彩な文化を覗いてみよう。
  • 「大日本帝国」崩壊 東アジアの1945年
    4.5
    「大日本帝国」とは何だったのか。本書は、日本、朝鮮、台湾、満洲、樺太、南洋群島といった帝国の「版図」が、一九四五年八月一五日、どのように敗戦を迎えたのかを追うことによって、帝国の本質を描き出す。ポツダム宣言の通告、原爆投下、ソ連参戦、玉音放送、九月二日の降伏調印。この間、各地域で日本への憎悪、同情、憐憫があり、その温度差に帝国への意識差があった。帝国崩壊は、東アジアに何を生み、何を喪わせたのか。
  • 地震の日本史 大地は何を語るのか [増補版]
    3.8
    日本の歴史は、地震の歴史だと言っても過言ではない。人の記憶になく、文書に記述がないからといって、地震が存在しなかったと速断するのは大きな間違いと言えるだろう。本書は、「地震考古学」を確立した著者による、日本歴史を地震の連鎖として描く異色の読み物である。巻末に、東日本大震災に関連して、現在の日本列島と共通点が多い九世紀の地震活動を増補し、地震活動活発期にある日本の備えを考える。
  • 菜根譚 中国の処世訓
    4.2
    中国では長く厳しい乱世が多くの処世訓を生んだ。中でも最高傑作とされるのが、明末に著された『菜根譚』である。社会にあって身を処する世知と、世事を離れ人生を味わう心得の双方を記したこの書は、江戸期に和訳されて後、生涯の道を説くものとして多くの日本人の座右の書となった。本書では内容を精選して解説するとともに、背景となる儒教・仏教・道教の古典や故事、人物を丁寧に紹介、より深い理解へと読者を誘う。
  • 日本の魚 系図が明かす進化の謎
    4.0
    キンメダイはタイと名がついてもタイ科の魚ではなく、むしろギンメダイに近い。また、コバンザメやチョウザメは、サメといってもサメの仲間ではない。四億年前に誕生した魚類は多様な進化を遂げた。食用・観賞用としてなじみ深い魚もいれば、新発見の魚もいる。本書は、メダカとトビウオ、フグとマンボウのように、一見かけ離れていても実は非常に近縁な魚を対比し、かたちや生態を解説する。これであなたも魚博士に。
  • 事故と心理 なぜ事故に好かれてしまうのか
    4.0
    事故は避けがたい。さまざまな対策をこらしても、神仏に祈っても悲惨な事故は起きてしまう。なぜ事故は起こってしまうのか。事故を起こしやすい人とはどんな人なのか。防ぐ方法はあるのか。本書は、エラーの種類や発生のプロセスについての理論を解説し、交通事故についての多様な実験研究を紹介する。そのうえで、本質的に「言行不一致」である人間心理の核心に迫り、安全な社会の構築に何が必要かを提言する。
  • 自衛隊の誕生 日本の再軍備とアメリカ
    4.0
    一九五四年に自衛隊が生まれて五〇年が経過したが、警察予備隊の発足から陸海空の三自衛隊として陣容が整うまでには、さまざまな曲折があった。旧陸海軍将校をどう活用するかなど、アメリカの中でも意見の統一を計りがたいことが多く、日本政府との交渉も困難を極めた。本書は、ワシントンの公文書館で公開が始まった資料をもとに、政治と社会、そして軍事と多岐にわたる自衛隊誕生の歴史的経緯を明らかにするものである。
  • ヴェルサイユ条約 マックス・ウェーバーとドイツの講和
    3.7
    第一次世界大戦は、アメリカの参戦とドイツ帝国の崩壊を経て休戦が成立し、パリ講和会議が開かれる。だが、「十四箇条」に基づく「公正な講和」を求めるドイツ、「国際連盟」による世界秩序の再編を目指すアメリカ大統領ウィルソン、そして英仏の連合国首脳の思惑には大きな隔たりがあった。それまでの講和のルールになかった「戦争責任」をドイツに求めるべきなのか。人類初の世界戦争の終結をめぐる息詰まる駆引を描く。
  • 物語 チェコの歴史 森と高原と古城の国
    3.8
    九世紀のモラヴィア王国の誕生以来、歴史に名を現わすチェコ。栄華を誇った中世のチェコ王国は、そののち、ハプスブルク家に引き継がれ、さらに豊かな文化を生み出した。二十世紀に至って、近代的な共和国として生まれ変わったのち、第二次世界大戦後の共産化によって沈滞の時代を迎えるが、ビロード革命で再出発した。ロマンティックな景観の背後に刻印された歴史を、各時代を象徴する人物のエピソードを核に叙述する。
  • ブラジルの流儀 なぜ「21世紀の主役」なのか
    4.3
    「21世紀の勝ち組」と言われるブラジル。サッカーW杯、リオ五輪のダブル開催も決まった。長い間、政治的・経済的に不安定で、社会矛盾も根深かったが、ルラという希代の指導者のもと、「風格ある大国」に生まれ変わろうとしている。資源と食料で不安を抱える日本にとって、その双方を豊富に持つこの国は、救世主に違いない。危機に強い国民性から、芸術的サッカーまで、ブラジルの驚きの「流儀」がいま明らかになる。
  • 批評理論入門 『フランケンシュタイン』解剖講義
    4.1
    批評理論についての書物は数多くあるが、読み方の実例をとおして、小説とは何かという問題に迫ったものは少ない。本書ではまず、「小説技法篇」で、小説はいかなるテクニックを使って書かれるのかを明示する。続いて「批評理論篇」では、有力な作品分析の方法論を平易に解説した。技法と理論の双方に通じることによって、作品理解はさらに深まるだろう。多様な問題を含んだ小説『フランケンシュタイン』に議論を絞った。
  • ニューヨークを読む 作家たちと歩く歴史と文化
    4.0
    資本主義の首都ニューヨークには、最先端の現象が露出しつづけてきた。その素顔を捉えることは容易ではないが、この都市を舞台とする文学作品は格好の導き手となってくれるだろう。メルヴィル、ホイットマン、フィッツジェラルド、サリンジャー、オースター……。こうした作家たちは、この都市の魅力と魔力を鋭い感受性で捉え、鮮やかなことばで表現した。ダイナミズムをたたえ混沌としたニューヨークの過去と現在を歩き直す。
  • 日本の樹木 都市化社会の生態誌
    -
    身近な小空間の植栽から信仰の対象となる巨木まで、樹木は日本人の生活に深く関わってきた。花を愛で、実を味わい、根を薬用にし、幹は材に用い・・その利用は多岐にわたる。村おこし、町づくりの中心に樹木を据える例も増えてきた。宅地造成、ゴルフ場建設、リゾート開発で日本の植生が、景観が、大きく変貌しつつある今、樹木との新しい関係が求められている。代表的樹種八十余種の生態誌・文化誌を記述する。挿図七七点付載。
  • 西洋音楽史 「クラシック」の黄昏
    4.4
    一八世紀後半から二〇世紀前半にいたる西洋音楽史は、芸術音楽と娯楽音楽の分裂のプロセスであった。この時期の音楽が一般に「クラシック音楽」の歴史と呼ばれている。本書は、「クラシック」音楽の歴史と、その前史である中世、ルネサンス、バロックで何が用意されたのか、そして、「クラシック後」には何がどう変質したのかを大胆に位置づける試みである。音楽史という大河を一望の下に眺めわたす。
  • 西南戦争 西郷隆盛と日本最後の内戦
    4.0
    明治維新後、佐賀の乱、神風連の乱、萩の乱などに続く、不平士族による最後の反乱となった西南戦争。九州全土で八ヵ月間にわたり行われた近代日本最大の内戦である。それはまた誕生してまもない「日本軍」が経験した最初の本格的戦争でもあった。本書では、反乱軍の盟主である西郷隆盛の動向を柱に、熊本城篭城戦、田原坂の戦いをはじめ、九州各地での戦闘を丹念に追い、日本最後の内戦の実態と背景を明らかにする。
  • 小泉政権 「パトスの首相」は何を変えたのか
    3.7
    21世紀最初の4月、世論を背景に首相に就いた小泉純一郎。靖国参拝、北朝鮮訪問、郵政解散など、政権の5年5ヵ月は、受動的イメージだった日本の首相を、強いリーダーシップを発揮し得る存在に変えた。一方で、政権は「抵抗勢力」=派閥・族議員、官僚と対峙する上で、世論を頼みとし、人々の理性より情念に訴え続ける。新自由主義的政策を強く進めた内政、混迷を深めた外交を精緻に追い、政権の功罪と歴史的意義を記す。
  • ギリシア神話 神々と英雄に出会う
    4.1
    数多い英雄たちの複雑な関係、神々も介在する入り組んだ物語、重複や矛盾に満ちた展開…。アポロンやアテナなどの名前は身近であるものの、実は読みこなしにくいギリシア神話だが、古代人の世界観を探るという視点から見ていくと、意外に理解しやすい。本書は、古代ギリシアの詩や悲劇がどんな話をどのように語っているかを踏まえながら、西欧文明にきわめて深い影響を与えた伝承の数々を紹介する。
  • 長州戦争 幕府瓦解への岐路
    3.5
    どんな戦争も後世へのメッセージを残している。長州戦争は徳川幕府の命取りとなった戦争である。勝利した長州藩は、後に『防長回天史』を編纂し、この戦争を明治維新への大きな一歩と位置づけた。しかし、幕府側はこの敗戦を総括するに至らず、敗戦の責任者すら明確ではない。幕府はなぜ戦争に踏み切り、どう戦って負けたのか。開戦前夜から敗戦処理までを克明に描き、長州戦争が現代に残したメッセージを読む。
  • 続・発想法 KJ法の展開と応用
    3.6
    前著『発想法』で公開したKJ法の実技をさらに発展させ、加えて実例・応用例・図解等を豊富にとりいれた本書は、自己革新のために、会議運営の効率化のために、新製品開発のために、チームワークのために、あるいはカウンセリングにと、その効用は著しいものがある。情報化社会といわれる今日、ソフトウェアのなかのもっともソフトな部分をうけもつKJ法の効力が再確認されている。『発想法』との併読をとくにおすすめしたい。
  • 物語 スペインの歴史 海洋帝国の黄金時代
    3.7
    キリスト教国の雄スペインは、カスティーリャ、アラゴン両王国の婚姻により成立した。八世紀以来イベリア半島を支配したイスラム勢力を逐い、一四九二年、レコンキスタを完了。余勢を駆って海外へ雄飛し、広大な領土を得て「太陽の没することなき帝国」の名をほしいままにする――。国土回復戦争の時代から、オスマン・トルコとの死闘を制して絶頂をきわめ、宿敵イギリスに敗れて斜陽の途をたどるまでを流麗な筆致で描く。
  • タイトルの魔力 作品・人名・商品のなまえ学
    3.0
    絵画や彫刻の展覧会で、作品のかたわらには必ずネームプレートが寄り添っている。音楽、小説、詩、戯曲…。いずれにもなんらかのタイトルが付されている(なかには「無題」というタイトルもある)。では、このタイトル、いつごろからどのように、作品と不即不離の関係になったのだろう。人の名前、商品のネーミングも視野に入れながら、藝術作品におけるタイトルの役割と歴史を考える、刺激に満ちた美学の冒険。

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