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Posted by ブクログ
「競争社会」と聞くと、現在の格差社会を生み出している諸悪の根源のように
言われますが、この本を読むと考え方を改めることになります。
例えば運動会で徒競走の順位づけがされなかった教育を受けて育つと「利他性」
が低くなり、他人を思いやる心がなく、やられたらやり返すという価値観を持つ
傾向が高くなるそうです。
競争の中でもしっかりとした「ルール」があり、そのルールの中で競えば健全な
社会になるということを学べる本です。
中でも印象的なのは、マイケルジョーダンはメジャーリーグの「競争」で敗れた
がゆえに改めてバスケットボールという自分の居場所を見つけることができた
というくだりです。
これをを聞くと、競争が自分の長所を知る手段とも言えると理解できます。
Posted by ブクログ
経済学者が、競争の重要性を説いた本。比較経済学を中心に現在の国内外の研究論文、データを基に、競争が経済力向上のみならず、社会性の向上、人格形成上においても重要であることを説明している。引用が多彩で、説得力ある面白い本であった。
「競争は勝者と敗者を生み、厳しく辛い面もあるが、競争が繰り返された結果、自分が真に活躍できる場を見つけられる確率が高まる。誰にでも得意不得意がある。不得意な分野で消耗戦を続けるのは、本人にとっても社会全体にとっても不利益でしかない」v
「(経済学者が批判する)非効率=無駄」p11
「(他店対抗「他店より価格が高ければ対抗します」)経済学者は、この広告を出している家電量販店は、競合店に対して価格競争をやめるよう呼びかけていると解釈している。「暗黙の共謀」とも呼ばれる」p21
「(オークションでの勝者の呪い)オークションで落札できる人は、その品物の価値を過大に評価した人だから、必ず損をする。(転売する気がなければ、勝者の呪いは発生しない)」p38
「幸福度が高まると生産性が高まる」p65
「(怒り)怒ってしまうと、私たちは、不確実なことでも確実に生じるように感じ、周囲のことを統制できるように感じるという。未知の危険や恐ろしい危険をあまり感じなくなり、その結果、リスクあるものでも受け入れるようになるのだ。また、問題の責任が他人にあるように感じる傾向があるともいう」p68
「(恐怖)対照的なのは、恐怖の感情であり、不確実性を大きく感じ、自分で統制している感覚が減少する。そのため、リスクに対して回避的な行動をとりやすくなる。直観的な意思決定よりも論理的意思決定を用いる傾向が強くなる」p68
「(悲しみ)悲しみを感じると、自分で統制できる感覚を減らすうえ、利益志向的になり短期的視野をもつようになる」p68
「清潔な暮らしをしている状態だと少しでも汚れがあるととても目立つが、不衛生な暮らしの中で少々汚れても平気でいられるというのが人間の特徴だ」p86
「寄付した人の幸福度は上がり、寄付する人は幸福度が高いということが研究で明らかにされている」p100
「(ピケティの世界)今のところ日本では、アメリカやイギリスで生じているような、トップ所得層による所得の集中は起こっていない」p107
「コロンビア大学の伊藤隆敏は、財政破綻は日本の家計貯蓄で日本国債を吸収できなくなる時と定義している」p108
「同じ提案であっても損失が目立つ提案の仕方をすると、反対されやすくなる」p122
「(経済学部は文系)経済学が数字を扱うことを考えると、不思議な現象だ」p125
「(数あてゲーム)「0~100までの好きな数字を書いてください。皆さんが書いた数字の平均値に0.7を掛けた数字を書いた人を当選者とします」この実験の当選者となるのは、どの数字を書いた人だろうか。最初に予想される答えは35だ。なぜかといえば、実験参加者全員がランダムに数字を書いたとすれば、平均が50になるはずで、そこに0.7を掛けたら35になるからだ。多くの人はここで思考をストップさせる。しかし、もう一歩先を考えてみるとどうだろう。答えを35だとあなたが予想したとすれば、他の人も同じことを考えているはずではないだろうか。あなただけが賢いわけではない。もし、他の人たちも一歩先を読むと平均が35になるはずだ。そう予想したら、あなたは35に0.7を掛けたものを選ぶべきだ。それと同じことを他の人が考えたとしたら、あなたは。」p126
「(最低賃金の引き上げ)多くの人は最低賃金が引き上げられると、自分の賃金も上がると考える。でも、よく考えてみれば、雇う側は生産性より高い賃金を払いたくはないから、最低賃金が高くなればそれに見合わない生産性の低い人たちは雇わなくなり、雇う数を減らす。運が悪ければ解雇されてしまうかもしれない。最低賃金ギリギリの人は最低賃金引き上げを喜んでいる場合ではないのだ」p127
「(反競争的教育(手をつないでゴール))反競争主義的で協力する心をもたらそうと考えた教育が、能力が同じという思想となって子供たちに伝わると、能力が同じなのだから、所得が低い人は怠けているといった発想を植え付ける。→ 努力主義、能力が同じなら助け合う必要もない、所得配分反対→ 競争激化」p143
「選挙で瀬戸際に立たされた政治家が、合理的無知につけ込む大衆迎合的な戦略をとるのは、残念ながら世界共通のようだ」p175
「(ねんきん定期便)年金給付額のうちいくらが(自分の払い込んだ額の)移転額なのかを明記したり、他の世代であればいくらの保険料を支払われないとその受給額がもらえないかを明記すれば、年金を受給する高齢者の意識も変わるかもしれない」p198
「(日本人の所得(2012年))上位10%は年収580万円以上、上位5%が年収750万円以上、上位1%が年収1270万円以上になる。日本のトップ1%はもっともらっていると思っている人が多いと思う」p202
「(医師には旧士族、旧華族の名字が多い)流動性が高く、平等社会であると思われてきた日本は、以外にも明治時代の格差をいまだに残している(子孫との所得と教育の相関:どの国でもかなり高い相関)」p208
Posted by ブクログ
つくづく経済は人の心理で動いていると感じる。人気の歌手のチケットともなれば、ダフ屋が法外な金額でチケットを売ったり、最近は転売目的で希少な商品を買って、フリマアプリのような個人取引に倍以上の値段で売り出す人もいる。だが、その値付けでさえも欲しいという人がいて更に値段は跳ね上がる。オークションなどは価値のある絵画だから当然ではあるが、価格を決めるのはどうしても欲しい、という人の心理だ。古くはなるがドラゴンクエストというゲームが発売された当時は、それがニュースでも報じられるくらい小学生に混じって大人もおもちゃ屋さんに長蛇の列を作った。確かにゲームは面白いであろうが、中にはみんなが並ぶから並ぶ、人が買うから買うというつられる人も居たのではないか。
ここには欲しい人の数や欲求の大きさ(需要)と、物を作って売る側の生産能力や販売数(供給)の関係がある。当然前者が後者を上回れば、価格に換算した価値は上がるだろうが、物としての価値は同じはずだ。敢えて希少性を持たせるなど、供給側が「価値」をコントロールするケースもある。
近所に複数の家電量販店があるが、ここにも他店より一円でも安くします、という競争が発生しているが、互いに一円でも安くするなら、身を削っての壮絶な戦いになるだろうし、体力が持つなら、何度も店を往復したり交渉して、更に安くさせる事もできるかもしれない。値付けする方も、競合店の価格よりも安くすると言っておけば、楽なのか、それとも…。
本書はそうした人の心理や経済の関係性、タイトルにもあるように競争社外が社会の発展や技術の進歩などに如何にして影響を与えてきたかなど、主には行動経済学を中心に書かれている。現代社会の課題を例に挙げて、私のような経済学が嫌いだった人間にも分かりやすく伝えており、かなり読みやすい。今、日本が抱えている少子化や女性活躍推進、先ほど述べたようなチケット転売問題など身近にニュースで触れる課題を挙げ、人の行動心理を読みながら対策を打つことの重要性を述べている。
本書が出たのは2017年だから、当時の社会問題が多く登場するのだが、現在もなおそうした問題は解消できずに続いているから、自分なりに本書を参考にして、解決方法を考えるのも良いだろう。
あまり詳しく述べると、内容に触れてしまう為、控えるが、経済は昔から感情で動くというし、遥か古代から人は競争の中で生き抜いてきた。生き抜くための知恵も技術も競争があったからこそ発展してきた。若い人の中には競争を嫌い、避けてきた人も多いだろう。一時期は運動会の徒競走で皆んなで手を繋いでゴールするなんて学校もあったくらいだ。だが、そうした競争を排除するやり方が本当に正しかったのか。漸く平成の大不況から抜け出し、日本経済は再び復活に向けて動き出したかに思われるが、人口減少、働き手不足、格差の拡大、過疎化など様々な社会課題が山積している。
豊かな暮らしは誰もが望むが、そこに完全に競争が無い状態を想像するのは難しい。やはり金持ちとそうで無い人の間には、何らかの形で(運もあるだろうが)競争の結果が影響していると考えるのが妥当だ。幸い日本は総中流と呼ばれるように、アメリカなどと比べれば、格差は小さい。たとえ失敗しても人生終わるような事もない。なればこそ、直面する課題に対して、実力を磨き、企業は効率化を推し進め、当たっていくしかない。そこには人間同士、企業同士の競争は欠かせないと感じた。
Posted by ブクログ
メモ用
怒りは不確実な事でも、より確実に生じるように感じ、周囲の事を自分で統制できるように感じる。未知の危険や恐ろしい危険を感じなくなる。その結果リスクのあるものを受け入れてるようになる。
※問題の責任が他人にあるように感じる傾向にあるように感じる。
利益傾向志向に落ち入る。
恐怖の感情
不確実性を大きく感じ、自分で統制している感覚が減少する。その為、リスクに対して、回避的な行動を取る。直感的な感情ではなく理論的意思決定を用いる傾向にある。
悲しみ
自分で統制する感覚を減らすうえ、利益志向的になり、短期的視野を持つようになる。他人を信頼しなくなり他者との協力も減ってしまう。
Posted by ブクログ
世の中を経済学者の視点から眺めてみた!的な内容だが、すでに類書を読んでいることもありそれほど新しい発見はなかった。それでも最後まで楽しく読めたのは大竹先生の卓越した文章力と論理構成のおかげなのだろう。
経済学者であるから競争の利点を説くのは理解できるが、それでも競争の負の側面を軽視しすぎているように思える。世の中は経済学者が想定するほど公正でなく、勝者ほどズルいことができる仕組みになっている。勝者が競争のルールを作るから当然だ。中でも弊害が大きいと思われるのは、勝ち負けの結果の差が大きすぎることと、一度負けると世代を超えてそれが維持されることにある。終章に描かれているように、日本が永続的に繁栄を続けていくには絶え間ないイノベーションが不可欠だが、残念ながら貧乏人の子弟は高等教育を受けることが難しくなっている。しかもその仕掛けが益々巧妙になっていて、すべてが自己責任に帰されるように仕向けられている。これも競争社会の必然的な帰結であるように思われる。競争と正義は相容れないのだ。
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