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イスランの白琥珀
「この子は稀なる闇の種を抱いている。偉大な魔道師になろう」〈星読み〉テイバドールと共にイスリル帝国の礎を築いた国母イスランにその才を見いだされた大魔道師ヴュルナイ。いまわの際のイスランに国の行く末を託されたものの、その後の後継者争いで裏切りにあい、輝かしい名声も地に堕ちた。それから数十年、国の中枢には欲にまみれた連中がはびこり、存亡の危機に。密かにオーヴァイディンと名を変えて生きていたヴュルナイは、無実の罪で捕らえられた若い女族長を助けるが……。謎に包まれた魔道帝国イスリルの歴史が、ついに明らかになる。 -
魔法使いの失われた週末
(株)マジック・スペル&イリュージョン(MSI)はニューヨークの魔法界で魔術を開発販売する会社。CEOはあの伝説の大魔法使いマーリンその人だ。シリーズ第1巻『ニューヨークの魔法使い』が始まる数週間前の出来事を警備部長ガーゴイルのサムの目をとおして語る「犯罪の魔法」、(株)MSIの研究開発部理論魔術課の責任者オーウェンと養母、お互いを思いやりながらも素直に愛情を表現できない二人の心の交流を描いた表題作など、本国でも未発表の特別な短編1編を含む4編を収録。日本オリジナル編集。大ヒットシリーズ〈(株)魔法製作所〉初の短編集。/【目次】スペリング・テスト/街を真っ赤に/犯罪の魔法/魔法使いの失われた週末/訳者あとがき -
帝都探偵大戦
半七、銭形平次、顎十郎ら捕物帖でおなじみの“名捜査官”が江戸を騒がす奇怪な謎を追う「黎明篇」。軍靴の足音響く東京で、ナチスが探す“輝くトラペゾヘドロン”を巡る国家的謀略に巻き込まれた法水麟太郎・帆村荘六らの活躍を描く「戦前篇」。空襲の傷が癒えぬ東京で、神津恭介が“あべこべ死体”に遭遇し、明智探偵事務所宛の依頼を受けた小林少年が奇禍に見舞われ、帝都を覆う巨大な陰謀に、警視庁捜査一課の名警部集団のほか、大阪など各都市からも強力な援軍が駆けつけ総力戦を挑む「戦後篇」。五十人の名探偵たちの活躍を描く空前絶後のパスティーシュ三編に、「黒い密室――続・薔薇荘殺人事件」を特別収録する。 -
戦場の希望の図書館
2015年、シリアの首都近郊の町ダラヤでは、市民が政府軍に抵抗して籠城していた。政府軍に空爆されるなか、人々は瓦礫(がれき)から本を取り出し、地下に「秘密の図書館」を作った。ジャーナリストの著者は、図書館から彼らが得た希望を記録していく。図書館に安らぎを、本に希望を見出した人々を描く感動のノンフィクション! -
怪異筆録者
仕事に行き詰まっていたホラー作家の津久田舞々は、担当編集者の勧めで、駅前に自販機すらない過疎の町・古賀音を訪れた。そして町長直々に、この町のことを書き残してほしいと依頼を受ける。なぜわざわざホラー作家に頼むのか訊ねたところ、町長はこう答えた――ホラーを書いていらっしゃる方でしたら、そういう方面の耐性がおありだと思いまして。到着したその日から立て続く怪奇現象、次々姿を現す妖との共同生活、かつて古賀音に財をもたらした奇人の遺した謎。気弱な怪奇小説家が目にする、田舎町に秘められた想像を絶する「真実」とは? 稀代の物語作家が贈る、世にも不思議なジェントル・ゴースト・ストーリー!/解説=似鳥鶏 ※単行本『優しい幽霊たちの遁走曲』の改題・文庫版を底本としました。 -
蒼衣の末姫
冥凮と呼ばれる怪物が跋扈する世界。空を飛ぶもの、地を這うものなど様々な種がいるが、そのどれもが無作為に人間を襲う習性を持っていた。人々は身を護るために砦を築き、軍事、工業、商業、農業などそれぞれ個別の役割を持った六つの共同体に分かれて暮らしている。少女キサは、この世で唯一冥凮を滅ぼす能力を持つ蒼衣の家系に生まれながら、力を使いこなせず、役立たずの捨姫と蔑まれていた。冥凮討伐に失敗し毒の川に落水したキサは、一人の少年に命を救われる。彼もまた大人たちから切り捨てられた孤独な存在だった。ひとりぼっちで生きてきた少女と少年が手を取り合い、過酷な運命に立ち向かう傑作ファンタジイ。 -
星砕きの娘
鬼が跋扈する地、敷島国。鬼の砦に囚われていた少年鉉太は、ある日川で蓮の蕾と刀を拾う。砦に戻ると、驚いたことに蕾は赤子に変化していた。蓮華と名づけられた赤子は、一夜にして美しい娘に成長する。彼女がふるう刀〈星砕〉は、人には殺すことのできない鬼を滅することができた。だが、蓮華には秘密があった。〈明〉の星が昇ると赤子に戻ってしまうのだ。鉉太が囚われて七年、都から砦に討伐軍が派遣されるが……。鬼と人との相克、憎しみの虜になった人々の苦悩と救済を描いたファンタジイ大作。第四回創元ファンタジイ新人賞受賞作。/解説=乾石智子 -
夏を取り戻す
団地に住む小学生が失踪しては数日で戻ってくる出来事が立て続けに発生している。ついては事件解明に力を借りたい。そんな匿名の情報提供を受けたゴシップ誌『月刊ウラガワ』の新人編集者・猿渡は、フリー記者の佐々木とともに現場となった城野原団地での取材を開始した。状況から家出かいたずらであることは明らかだったが、猿渡らが失踪方法を調査する最中に、別の子供が教師に見張られた授業中の学校から忽然と姿を消してしまう。彼らはどのように失踪しているのか、そしてその目的とは――。子供たちの切実なる闘いを描いた傑作ミステリ。/【目次】プロローグ/第一章 失踪する子供たち/第二章 光の密室/第三章 春は戻らない/第四章 秋分の決戦/第五章 夏を取り戻す/第六章 冬が終わるまで/エピローグ/単行本版あとがき/解説=辻真先 -
猫の街から世界を夢見る
猫の街ウルタールの大学女子カレッジに、存亡にかかわる一大危機がもちあがった。大学理事の娘であり学生のクラリー・ジュラットが、“覚醒する世界”からやってきた男と駆け落ちしてしまったのだ。かつて“遠の旅人”であったカレッジの教授ヴェリット・ボーは、“覚醒する世界”にむかったクラリーを連れもどすため、気まぐれな神が支配し危険な生き物が徘徊する“夢の国”をめぐる長い長い旅に出る。ヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞作「霧に橋を架ける」の著者が、H・P・ラヴクラフトの諸作品に着想を得つつ自由に描く、世界幻想文学大賞受賞作。/解説=渡邊利道 -
東京ホロウアウト
コロナ禍の中、オリンピック開催が間近に迫る東京で、新聞社に「開会式の日、都内を走るトラックの荷台で青酸ガスを発生させる」という予告電話がかかってきたのが、すべての始まりだった。直後、配送トラックを狙った予告通りの事件が次々と発生。さらには鉄道の線路が爆破され、高速道路ではトンネル火災が。あちこちで交通が分断され、食料品は届かず、ゴミは回収されないまま溜まり続け、多くの人々がひしめく東京は陸の孤島に――。この危機から東京を救うため、物流のプロ・長距離トラックドライバーたちが、経験と知恵を武器に立ち上がる!/解説=大矢博子 -
ほんものの魔法使
魔術師――時に奇術師や手品師とも呼ばれる人々が住まう都市マジェイア。偉大なる魔術師の娘ながら周囲からできそこない扱いされていた少女ジェインの前に、ある日ふしぎな青年があらわれる。ものいう犬モプシーとはるばる山のむこうから旅してきたという彼は、魔術師ながら肩書きのない“ただのアダム”と名乗る。魔術師名匠組合(ギルド)への加入を希望するアダムのために、ジェインは助手となって審査会に臨むことに。そこで彼女が目の当たりにしたのは、種も仕掛けもない“ほんものの魔法”だった。矢川澄子の名訳で贈る、色褪せぬファンタジイの名作。/解説=井辻朱美 -
記憶翻訳者 みなもとに還る
過剰共感能力を生かし記憶翻訳者として働く珊瑚は、勤務先の〈九龍〉に持ち込まれた仮想空間コンテンツをきっかけに生活共同体〈みなもと〉を訪れる。そこで珊瑚を待っていたのは、自身の母親だと名乗る女性・都だった。すでに亡くなっていると思っていた“母”は精神的支柱として生活共同体をまとめる日々のなかで、過剰共感能力の異常発現ともいえる症状があらわれて苦しんでいた。珊瑚は原因を探るべく、都の記憶データに潜行するが……第5回創元SF短編賞受賞作「風牙」に始まる、記憶をめぐる傑作SFエンタテインメント連作集、第2弾。/【収録作】流水に刻む/みなもとに還る/虚ろの座/秋晴れの日に/あとがき/解説=香月祥宏※本書は、『風牙』(2018年10月刊行)を再編集・改題し、書下ろし2編を加えたものです。 -
深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説
昭和12年(1937年)5月、銀座で似顔絵描きをしながら漫画家になる夢を追いかける那珂一兵のもとを、帝国新報(のちの夕刊サン)の女性記者が訪ねてくる。開催中の名古屋汎太平洋平和博覧会の取材に同行して挿絵を描いてほしいというのだ。超特急燕号で名古屋へ向かい、華やかな博覧会を楽しむ最中、一報がもたらされた殺人事件。名古屋にいた女性の足だけが東京で発見された!? 同時に被害者の妹も何者かに誘拐され――。名古屋と東京にまたがる不可解な謎を、一兵はどんな推理を巡らせて解くのか? 空襲で失われてしまった戦前の名古屋の町並みを、総天然色風に描く長編ミステリ。/解説=大矢博子 -
真紅の城砦
30歳で夭折した天才作家が創造し、すべてのヒロイック・ファンタジーの源となった傑作シリーズを、最新の校訂研究にもとづいて贈る第5集。本集には新訳となる3編を収録した。宝物を狙う海賊たちとの死闘を描いた「黒い異邦人」。最初に発表されたシリーズ作品として読者の熱狂を呼んだ、王となったコナンの物語「不死鳥の剣」。強大な敵の手に落ち囚われの身となったコナン王が、獄中で伝説の魔道士と遭遇する――一大合戦絵巻が繰り広げられる表題作等傑作揃い。/【収録作】「黒い異邦人」/「不死鳥の剣」/「真紅の城砦」/資料編「ハイボリア時代の諸民族に関する覚え書き」/「西方辺境地帯に関する覚え書き」/「辺境の狼たち(草稿)」/解説=中村融 -
黒河を越えて
30歳で夭折した天才作家が創造し、すべてのヒロイック・ファンタジーの源となった傑作シリーズを、最新の校訂研究にもとづいて贈る第4集。傭兵部隊で気ままな暮らしを送っていたコナンの前に現れた、海賊団の女首領ヴァレリア。彼女を追って黒人王国の奥地深く踏み入ったコナンが見たものは、何年も開かれたことのないような城門に守られた死の都であった! 勇将コナンの南方国での活躍を描く「赤い釘」など3編を収録する。【収録作】「赤い釘」/「古代王国の秘宝」/「黒河を越えて」/資料編「ロバート・アーヴィン・ハワード」E・ホフマン・プライス/解説=中村融 -
銀河英雄伝説列伝1
遠未来の宇宙。始祖ゴールデンバウムによる王朝樹立以降、専制君主と門閥貴族が支配する銀河帝国と、その独裁に抵抗する人々が作り上げた民主主義国家・自由惑星同盟(フリー・プラネッツ)、帝国領でありながら陰で権力を操ろうと画策するフェザーン自治領(ラント)──三つの勢力によって構成された銀河の盤面で繰り広げられる英雄たちの闘争と栄光を描いた宇宙叙事詩は、刊行から現在に至るまで日本SFの金字塔として永らく読者を魅了し続けている。『銀河英雄伝説』を愛してやまぬ作家たちが捧げる6編を収録する公式トリビュート集。/【収録作】序文=田中芳樹/「竜神滝(ドラツハ・ヴアツサーフエル)の皇帝陛下」小川一水/「士官学校生の恋」石持浅海/「ティエリー・ボナール最後の戦い」小前亮/「レナーテは語る」太田忠司/「星たちの舞台」高島雄哉/「晴れあがる銀河」藤井太洋/著者のことば -
記憶翻訳者 いつか光になる
過剰共感能力者とは、他人の感情に共感しすぎてしまう特異な体質のために、社会生活に支障をきたしてしまう人々。生きづらさを抱える彼らの共感能力を生かし、本来はその持ち主にしか理解できない記憶を第三者にも分かるようにする“記憶翻訳”の技術を開発したのが九龍という企業だった。珊瑚はその中でもトップクラスの実力を持つ記憶翻訳者だ。依頼人の記憶に寄り添い、その人生を追体験するうち、珊瑚は幼い頃に失った自身の一部について思いを馳せるようになる──第5回創元SF短編賞受賞作「風牙」を収録。心を揺さぶる連作短編集。/【収録作)風牙/閉鎖回廊/いつか光になる/嵐の夜に/あとがき/解説=長谷敏司※本書は、『風牙』(2018年10月刊行)を再編集・改題し、書下ろし2編を加えたものです。 -
魔女誕生
30歳で夭折した天才作家が創造し、すべてのヒロイック・ファンタジーの源となった傑作シリーズを、最新の校訂研究にもとづいて贈る第2集。女王の死んだはずの双子の妹が魔女となって帰還、小王国カウランは一夜にして、女王と入れ替わった魔女ひきいる傭兵軍団の手に落ちた。これに立ち向かう守備隊長コナンの苦闘を描いた、圧巻の表題作をはじめ5編を収録する。また巻末には、著者と親しかったH・P・ラヴクラフトの手になる、詳細なハワード評伝を収めた。【収録作】「黒い怪獣」/「月下の影」/「魔女誕生」/「ザムボウラの影」/「鋼鉄の悪魔」/「ロバート・アーヴィン・ハワード――ある追想=H・P・ラヴクラフト」/解説=中村融 -
失われた世界
その昔、地上を跋扈していたという古代生物は絶滅したのだろうか? アマゾン流域で死んだアメリカ人の遺品の中から、奇妙な生物が描かれたスケッチブックが発見された。人類が見ぬ地を踏んだ唯一の男が遭遇したのは、有史前の生物だったのではないか。英国の学会にその名をとどろかすチャレンジャー教授は、論敵の学者、冒険家、新聞記者からなる調査隊を率いて、“失われた世界”を求め勇躍アマゾン探険におもむいた。SFとミステリの巨匠コナン・ドイルが描く、不朽の名作“ロスト・ワールド”。初出誌〈ストランド・マガジン〉の挿絵を再録。/カバーイラスト=生頼範義/解説=日暮雅通 -
〈乙姫警部〉シリーズ
私の誇りを傷つけるなど、万死に値する愚挙である。絶対に許してはいけない。学内で“皇帝”と称される稲見主任教授は、来年に副学長選挙を控え、恐喝者の排除を決意し実行に移す。犯行計画は完璧なはずだった。稲見はそう確信していた。あの男が現れるまでは(表題作)。劇団を主宰する間宮想悟は、借金の即時返済の代わりに恋人の看板女優を差し出せと実の叔父に強要され、その場で彼を殺害するが――(「恋人たちの汀」)。倉知淳初の倒叙ミステリ・シリーズ、全四編を収録。〈刑事コロンボ〉の衣鉢を継ぐ警察官探偵が、またひとり誕生する。/解説=香山二三郎 -
時を歩く 書き下ろし時間SFアンソロジー
【東京創元社文庫創刊60周年記念刊行】創元SF短編賞正賞・優秀賞受賞者、佳作入選者が競演。〈時間編〉には松崎有理(第1回正賞)、空木春宵(第2回佳作)、高島雄哉(第5回正賞)、門田充宏(第5回正賞)、石川宗生(第7回正賞)、久永実木彦(第8回正賞)、八島游舷(第9回正賞)の7名の傑作を収録。正統派のタイムリープものから、古典落語をモチーフにした幽霊譚、全人類がみなバーチャル世界で生きる未来での引っ越し騒動まで。2020年代のSF界を牽引する“東京創元社生まれ”の気鋭作家たちが贈る、書き下ろしテーマ・アンソロジー。【収録作】はじめに 東京創元社編集部/「未来への脱獄」松崎有理/「終景累ヶ辻」空木春宵/「時は矢のように」八島游舷/「ABC巡礼」石川宗生/「ぴぴぴ・ぴっぴぴ」久永実木彦/「ゴーストキャンディカテゴリー」高島雄哉/「Too Short Notice」門田充宏/ちいさなあとがき -
宙を数える 書き下ろし宇宙SFアンソロジー
【東京創元社文庫創刊60周年記念刊行】創元SF短編賞正賞・優秀賞受賞者、佳作入選者が競演。〈宇宙編〉には高山羽根子(第1回佳作)、酉島伝法(第2回正賞)、理山貞二(第3回正賞)、オキシタケヒコ(第3回優秀賞)、宮西建礼(第4回正賞)、宮澤伊織(第6回正賞)の6名の傑作を収録。ソロバンを携え銀河を旅する交易船、海に覆われた惑星に棲息する音をあやつる生き物たちの旅路、航行中の宇宙船で起こった前代未聞の連続殺人──2020年代のSF界を牽引する“東京創元社生まれ”の気鋭作家陣が贈る、書き下ろしテーマ・アンソロジー。【収録作】はじめに 東京創元社編集部/「平林君と魚(いお)の裔(すえ)」オキシタケヒコ/「もしもぼくらが生まれていたら」宮西建礼/「黙唱」酉島伝法/「ときときチャンネル#1【宇宙飲んでみた】」宮澤伊織/「蜂蜜いりのハーブ茶」高山羽根子/「ディセロス」理山貞二/ちいさなあとがき -
トランクの中に行った双子
ジャクリーンとジリアンは双子の姉妹。ジャクリーンは女の子がほしかった母親の希望通りのかわいい少女に、ジリアンは男の子がほしかった父親の期待を背負い活発な少女に育った。だが実のところ、どちらも両親から押しつけられた役割にうんざりしていたのだ。そんなある日、双子は空き部屋のトランクの中に階段を発見する。この前見たときには何の変哲もないトランクだったはず。冒険心に突き動かされて階段をおりたふたりが見たのは、赤い月に照らされた荒野が広がる、奇怪な世界だった。ヒューゴー、ネビュラ、ローカスの3賞受賞シリーズ第2弾。 -
人魚と十六夜の魔法
四月、綾乃は無事ディアーヌ学院高等部に進級した。中等部には雪之丞の従妹のまりんや、絵葉の弟大地や、人間の女の子桜子も入学してきた。そんな新学期の慌ただしい一週間が終わったころ、綾乃たちの学年に転校生がやってきた。ロシアから来た礼儀正しい水妖ヴォダーくんは、あっという間にみんなの人気者になった。だが、そのころから学院内で奇妙なことが起こり始める。学院の周辺で不審者が目撃され、寮の部屋からお八つが消える。なにかがおかしい……。妖怪と人間が一緒に学ぶ魔女学校を舞台に繰り広げられる、愉快な学園ファンタジイ。 -
沈黙の書
火の時代、絶望の時代が近づいている。戦がはじまる。穏やかな日々は吹きはらわれ、人々は踏み潰され、善き者は物陰に縮こまる。神々は穢され、理は顧みられることもない。予言者が火の時代と呼んだそのさなか、いまだ傷つかず無垢である〈風森村〉に、一人の赤子が生をうけた。〈風の息子〉と名づけられたその赤子が笑えばそよ風が吹き、泣けば小さなつむじ風が渦を巻いた。だが、〈長い影の男〉がやってきたとき、すべてが変わった……。天と地のあいだ、オルリアエントの黎明の時代を描く、〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ始まりの物語。 -
パンドラの少女
【2017年7月公開・映画『ディストピア パンドラの少女』原作】その少女の名はメラニー。大好きなジャスティノー先生と教室で会えるのを心待ちにして、独房で過ごしている。移動はいつだって車椅子だ。兵士に、手足と首をストラップで厳重に固定されて――。人間の精神を失い、捕食本能だけで行動する〈餓えた奴ら(ハングリーズ)〉によって、滅亡の淵にある世界。だが、メラニーのような奇跡の子供たちが、荒廃した街で発見される。世界を救う鍵を求めて、ロンドン北の軍事基地で子供たちの研究プロジェクトが進められていた――その日までは。一気読み必至のエンターテインメント! -
玉妖綺譚2 異界の庭
ずっと傍らにいた玉妖くろがねが妖力を失い眠りについて以来、ただでさえ半人前の驅妖師・彩音は、十分な仕事をこなせずにいた。そんなとき、難波コレクションの創り主難波俊之の甥彬良から、コレクションの玉妖で唯一まだ会ったことのなかった蒼秀に会える、との知らせを受ける。異界の知識をため込んでいる蒼秀ならば、くろがねを目覚めさせる方法を知っているかもしれない。彩音は期待を胸に、蒼秀の持ち主の屋敷を訪ねるが……。心の傷を隠して玉妖がらみの事件に挑む少女驅妖師・彩音。彼女は過去を清算し相棒を取り戻すことができるのか。/解説=卯月鮎 -
殺人者の空
学部自治会での内ゲバの結果、私はM派の内通者Kを殺害した。死体は仲間たちによって埋められ、事件の痕跡は完全に消去された。その後、私は警察から任意出頭を求められ大学も独自に調査を開始する。しかしその結果明らかになったのは、被害者とされるKなる学生が存在しないという奇妙な事実であった……非在の男がもたらす不安が、〈殺人者〉を異様な結末へと導く表題作の他、単行本初収録となる「内宇宙の銀河」をはじめ、「開放時間」「森の人々」「φ(ファイ)」など貴重な作品を集成。日本におけるニュー・ウェーヴSF運動を牽引した著者の真骨頂ともいえる9編を収録する。 -
星の羅針盤
人の住む六つの王国と神秘に包まれた種族フィーンの王国は、長いこと平和のうちに栄えていた。だがフィーンのもとから大いなるダイヤモンドが奪われると、暗い影が世界を覆いはじめる。ギルデア王国が隣国に侵攻、戦火はいくつもの国を巻きこんでいった。戦火の迫る故国を脱し、母と兄とともに母の故郷の村に身を寄せたリーヴは、村はずれの深い森で、紫の瞳をもつ不思議な少女に出会う。永遠の友情、初恋、遙かな国の伝説、そして陰謀……。戦の影に怯えながらも、平和を願い、ひたむきに生きる少女の姿を描く〈サラファーンの星〉4部作開幕。 -
比類なき翠玉
「あたしのハートはルビーで、ギデオンはそれを粉々にしたのよ!」――サンジェルマン伯爵から告げられた残酷な真実に、グウェンドリンの恋心は荒れ模様。そんななか、ルーシーとポールが盗んだクロノグラフの隠し場所がついに明らかになる。〈監視団〉メンバーやいとこのシャーロットの目をかいくぐり、若き日の祖父の協力のもと伯爵の陰謀に迫ろうとするグウェンドリンだったが、相棒・ギデオンとの関係はこじれたまま。〈監視団〉はメンバーの中に潜む裏切り者の正体を暴くため、十八世紀の舞踏会に二人を送りこむ計画を進めていたが……。 -
バビロニア・ウェーブ
銀河面を垂直に貫く、直径1200万キロ、全長5380光年に及ぶレーザー光束――バビロニア・ウェーブ。いて座α(アルフア)方向、太陽系から3光日の距離に発見されたこの光束が、いつから、なぜ存在するのかはわからない。ただ、そこに反射鏡を45度角で差し入れれば人類は厖大なエネルギーを手に入れられる。この想像を超えた光束の傍らに、送電基地が建造された。基地との連絡船運航にあたっていた操縦士マキタは、あるとき緊急事態発生の報を受け一人の重要人物と謎の積荷とを運ぶよう命じられた。だが到着した基地には誰の姿もない。そしてここでは極秘裏に、ある計画が進行していたのだ。日本ハードSFを代表する傑作。星雲賞受賞。 -
帆船軍艦の殺人
靴職人のネビルにとって、日々の仕事と家族、これから生まれてくる子供が世界のすべてだった。だがある日、パブで英国海軍の強制徴募に遭遇し、軍艦ハルバート号に水兵見習いとして徴用されてしまう。逃げ場のない環境での危険な労働、高圧的な士官による暴力に晒されながらも、船員仲間に支えられ、ネビルは徐々に環境に馴染んでゆく。しかし新月の晩、衆人環視下で起きた水兵殺人事件によって事態は一変し――18世紀末、絶海の英国海軍戦列艦上で立て続く不可能犯罪を描き、大胆不敵なトリックで喝采を浴びた本格ミステリ×冒険小説の快作が待望の文庫化。第33回鮎川哲也賞受賞作。/解説=若林踏 -
空耳の森
まだ早い春の日、思い出の山を登るひと組の男女。だが、女は途中で足を挫き、つかの間別行動をとった男は突然の吹雪に襲われる。そして、山小屋で彼を待つ女に忍び寄る黒い影――山岳を舞台にした驚愕のサスペンス「冷たいホットライン」、両親に置き去りにされた孤島で生き抜こうと奮闘する幼い姉弟の運命を描く「アイランド」、海に臨む児童養護施設で噂される、謎の声が聞こえる空き家の秘密が明かされる表題作ほか、トリックと物語の融合で読者を魅了し続ける気鋭が贈る、一編一編に異なる技巧を凝らした9編を収める本格ミステリ短編集。/【目次】冷たいホットライン/アイランド/It's only love/悲しみの子/さよならシンデレラ/桜前線/晴れたらいいな、あるいは九時だと遅すぎる(かもしれない)/発音されない文字/空耳の森/解説=末國善己 -
イヴの末裔たちの明日
ハッピーエンドはどちらに!? あなたなら、どの未来を選びますか? 数学予想の証明に取り憑かれた青年と、暗号解読に人生を捧げた冒険者の最後。自分は未来人だと主張し、材料も資料も足りない刑務所の中で未来に帰るためのタイムマシン作りに奮闘する受刑者の覚悟。謎の浮遊船団の攻撃によって壊滅状態になった地球から、高齢男性ばかりの宇宙ステーションに愛人として連れてこられた大学生の決死の脱出。未来世界を舞台に、運命の分かれ道での決断を描く全五編。『シュレーディンガーの少女』の松崎有理が贈る、アイデアに満ちたSF短編集。/【目次】未来への脱獄/ひとを惹きつけてやまないもの/イヴの末裔たちの明日/まごうかたなき/方舟の座席 -
わたしたちの怪獣
運転免許証を取得したつかさが家に帰ると、小学生の妹が父を殺していた。テレビからは東京湾に怪獣が出現したという前代未聞のニュースが流れている。つかさは妹を守るため、東京へ父の死体を棄てに行くことを思いつく。短編として史上初めて日本SF大賞の候補となり、第55回星雲賞日本短編部門を受賞した表題作ほか、伝説的な“Z級”映画の上映会中、街にゾンビが出現し館内に籠城した観客たちの運命「『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を観ながら」など全四編。日常のなかに立ちあらわれる非日常の世界の恐怖と希望を描く傑作短編集。/【目次】「わたしたちの怪獣」妹が父を殺した。姉は怪獣が出現し壊滅状態となった東京に、父の死体を棄てに行く。第55回星雲賞日本短編部門受賞作。/「ぴぴぴ・ぴっぴぴ」時を遡って犯罪や災害を防ぐことができるようになった未来。動画投稿サイトにアップされた、起きるはずのない事件の映像の正体とは。/「夜の安らぎ」家にも学校にも居場所を見つけられない孤独な少女と、ある日街に現れた美貌の吸血鬼の邂逅。/「『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を観ながら」伝説的な“Z級”映画の上映会中、街にゾンビが出現。映画館に籠城した観客たちの運命は。/著者あとがき -
きらめく共和国
1994年、緑のジャングルと茶色い川をかかえる亜熱帯の町に、理解不能な言葉を話す9歳から13歳の子どもたちの集団がどこからともなく現れた。その存在は徐々に大人たちの日常に罅を入れていき、やがてスーパー襲撃事件という大事件を起こす。そして数ヶ月後、32人の子どもたちは一斉に命を落とすに至った──。社会福祉課長としてこの出来事に関わった語り手が、22年後のいま語る、その顛末。現代スペインを代表する作家が描く、子どものかわいらしさと暴力性、野生と文明、そして保護と支配。一読忘れがたき恐るべき寓話が、待望の文庫化。 -
天の川の舟乗り
金塊を祭る金延村に怪盗マゼランを名乗る人物から届いた『祭の夜 金塊を頂く』という予告状。実際は金色に塗っただけの石なのだが、それが知れると観光客が来なくなると危惧した村の有力者の娘は名探偵音野順と推理作家の白瀬白夜に監視を依頼する。しかし、警戒する二人の前で起こったのは密室殺人で……空飛ぶ舟や湖の巨大生物が目撃されるこの村で何が起こっているのか? 大胆なトリックと切実な動機が胸を打つ表題作のほか、事件の影響で祭が廃止された村で観光客の遺体が発見される「マッシー再び」など4編を収録。引きこもりがちな名探偵が活躍する人気シリーズ第3の事件簿。/【目次】人形の村/天の川の舟乗り/怪人対音野要/マッシー再び/解説=青柳碧人 -
七十四秒の旋律と孤独
宇宙空間でのワープに際して生じる、空白の七十四秒間。この時間の存在を認識し、襲撃者の手から宇宙船を守ることができるのは、マ・フと呼ばれる人工知性だけだった――ひそやかな願いを抱いた人工知性の、静寂の宇宙空間での死闘を描き、第8回創元SF短編賞を受賞した表題作と、独特の自然にあふれた惑星Hを舞台に、乳白色をした8体のマ・フと人類の末裔が織りなす、美しくも苛烈な連作長編「マ・フ クロニクル」を収める。/【目次】七十四秒の旋律と孤独/マ・フ クロニクル/一万年の午後/口風琴/恵まれ号 Ⅰ/恵まれ号 Ⅱ/巡礼の終わりに/文庫版解説=石井千湖/*本電子書籍は、『七十四秒の旋律と孤独』(創元SF文庫 2023年12月初版発行)を電子書籍化したものです。 -
月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言
猫丸という風変わりな名前の“先輩”は、妙な愛嬌のよさと人柄をもち、愉快なことには猫のごとき目聡さで首をつっこむ。そして、どうにも理屈の通らない謎も彼にかかれば、ああだこうだと話すうちにあっという間に解き明かされていくから不思議だ。悪気なさそうな闖入者たちをめぐって温かな読後感を残す表題作や、電光看板の底に貼り付けられた不規則な文字列が謎を呼ぶ「ねこちゃんパズル」、一見変哲のない写真を巡って恐るべき推理が提示される「恐怖の一枚」など全五編を収録。日常に潜む不可思議な謎を、軽妙な会話と推理で解き明かす連作集。/【目次】ねこちゃんパズル/恐怖の一枚/ついているきみへ/海の勇者/月下美人を待つ庭で/解説=三橋曉 -
遺品博物館
遺品博物館は、その名のとおり遺品を収蔵する博物館です。古今東西、さまざまな遺品を蒐集しております。選定基準については諸事情によりお話しできません。ただ、その方の人生において重要な物語に関わるものを選ぶことになっております……生前に約束した遺品の寄贈を受けるため、契約者の遺族の元を訪れる遺品博物館の学芸員、吉田・T・吉夫。この男が収蔵品として選ぶのは、死者自身の人生のみならず、遺された人々の人生にとっても重要な意味を持つ品々だった。彼が遺品と引き換えにもたらすのは、救済か、破局か――。熟練の技巧がえぐり出す、死者と生者を繋ぐ八つの謎物語。/【目次】川の様子を見に行く/ふたりの秘密のために/燃やしても過去は消えない/不器用なダンスを踊ろう/何かを集めずにはいられない/空に金魚を泳がせる/時を戻す魔法/大切なものは人それぞれ/解説=三島政幸 -
神々の宴 オーリエラントの魔道師たち
本の魔道師ケルシュが町で拾った少年は狐に似た獣を連れていた――「ジャッカル」、瀕死の者を助ける生命の魔道師が向き合うことになった過去の亡霊とは――「ただ一滴の鮮緑」など、全5編の短編を収録。自らのうちに闇を抱え、人々の欲望の澱を引き受け、黒い運命を呼吸する魔道師たち。ときに迫害を受け、ときに体制に反抗する人々に手を貸し、栄光に包まれることもなく、賞賛を浴びることもない、そんな市井に生きる魔道師たちの姿を描く短編集。巻末にこれまではっきりとは描かれてこなかった、オーリエラントの神々についての資料を付す。/【目次】セリアス/運命女神(リトン)の指/ジャッカル/ただ一滴の鮮緑/神々の宴/あとがき――神々の存在 -
シュレーディンガーの少女
BMIを理由に会社を解雇された主人公の元に、政府からダイエット企画の参加者に選ばれたという通知が届く。それは“敗者は死なねばならない”というルールのデスゲームだった(「太っていたらだめですか?」)。すべての人は例外なく、65歳の誕生日を迎える前後で死ぬ。64歳になった紫は、人生の目標をほぼ達成していたが、スリの子どもから被害に遭いかけ、追いかけていったすえにその子を手元に引き取ることに……(「六十五歳デス」)。さまざまなディストピア世界を生きのびる、パワフルで勇敢な女性たちの物語。あとがきに自作解説を含む。/【目次】六十五歳デス/太っていたらだめですか?/異世界数学/秋刀魚、苦いかしょっぱいか/ペンローズの乙女/シュレーディンガーの少女/著者あとがき -
青炎の剣士 紐結びの魔道師3
束の間の平穏は春の訪れとともに去り、エンス一行が居を定めたオルン村に、元コンスル帝国軍人ライディネス率いる軍がおしよせてきた。エンスとトゥーラは、エンスを追ってきた邪悪な化物に立ち向かうべく〈死者の谷〉に降り、戦線を離脱。エミラーダはある目的を胸に、リコを伴いライディネス軍に寝返る。だが、事態はエミラーダの思惑を超えてとんでもない方向に動きだしていた。この世に戻ってきたエンスは事態を収拾し、トゥーラの念願どおり、魔女国千五百年の呪いを解くことができるのか。招福の魔道師エンスが活躍する三部作、ここに完結。 -
王とサーカス
2001年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり……。「この男は、わたしのために殺されたのか? あるいは――」疑問と苦悩の果てに太刀洗が辿り着いた痛切な真実とは? 『さよなら妖精』の出来事から十年の時を経て、太刀洗万智は異邦でふたたび、自らの人生を左右する大事件に遭遇する。/解説=末國善己 -
影王の都
【第1回創元ファンタジイ新人賞選考委員特別賞受賞作】村はずれに一人住む少女リアノ。両親が相次いで亡くなり、兄も夢を追って家を出ていってしまった。そんな孤独な彼女のもとにある日やってきたのは、口をきく髑髏。図々しいことに髑髏はリアノに砂漠に連れていって欲しいと求めた。若く美しい娘としゃべる髑髏の奇妙な道行き。だが砂漠で待っていたのは、〈影王〉が統べる呪われた〈影の都〉。不老不死を望んで神の怒りにふれ、永遠に砂漠を彷徨う運命になったという伝説の都だった。捻れた運命の糸に搦め捕られるリアノ。〈影王〉とは何者か。/第1回創元ファンタジイ新人賞選考経過、選評=井辻朱美、乾石智子、三村美衣 -
赤虫村の怪談
愛媛県の山間部にある過疎の村・赤虫村(あかむしむら)には、独自の妖怪伝説が存在する。黄色い雨合羽を着て暴風を呼ぶ「蓮太(はすた)」、火災を招く「九頭火(くとうか)」、廃寺に現われる無貌の「無有(ないある)」、そして古くから伝わる“クトル信仰”。フィールドワークのために村を訪れた怪談作家・呻木叫子(うめききょうこ)は、村の名家・中須磨(なかすま)家で続く不可能状況下での連続殺人に関わることになる。周囲を足跡一つない雪原で囲まれた大木に全裸で吊るされた縊死体。内側から施錠された石蔵で発見された焼死体。妖怪伝説の禍を再現するような事件は、やがて人知を超えた終結を迎える──第17回ミステリーズ!新人賞受賞者による初長編。/【目次】プロローグ/第一章 無有の怪談/第二章 位高坊主の怪談/第三章 九頭火の怪談/第四章 苦取の怪談/第五章 蓮太の怪談/第六章 赤虫村の怪談/エピローグ/解説=多田克己 -
方形の円 偽説・都市生成論
数万の暗い部屋を持つアーチ状の7層のフロアからなる、ミツバチの巣のような外観をしたバビロンならぬヴァヴィロン(格差市)。あらゆる信仰とあらゆる都市を見知った人々が理想都市にふさわしい地を求めてさまよう中、一瞬だけ地平線に見出したアラパバード(憧憬市)。天上と地下に永遠に続いていく超巨大建築都市ヴァーティシティ(垂直市)……。カルヴィーノ『見えない都市』と同時期に構想され、SFとファンタジイの女王アーシュラ・K・ル=グインが愛し自ら英訳を手がけた、ルーマニアの鬼才が描く空想上の都市と建築についての36編。/【目次】日本の読者へ/ヴァヴィロン――格差市/アラパバード――憧憬市/ヴィルジニア――処女市/トロパエウム――凱歌市/セネティア――老成市/プロトポリス――原型市/イソポリス――同位市/カストルム――城砦市/・・・・・/ザアルゼック――太陽市/グノッソス――迷宮市/ヴァーティシティ――垂直市/ポセイドニア――海中市/ムセーウム――学芸市/ホモジェニア――等質市/クリーグブルグ――戦争市/モエビア、禁断の都/モートピア――モーター市/アルカ――方舟/コスモヴィア――宇宙市/サフ・ハラフ――貨幣石市/シヌルビア――憂愁市/ステレオポリス――立体市/プルートニア――冥王市/ノクタピオラ――夜遊市/ユートピア/オールドキャッスル――古城市/ゲオポリス――地球市/ダヴァ――山塞市/オリュンピア/ハットゥシャシュ――世界遺産市/セレニア――月の都/アンタール――南極市/アトランティス/クアンタ・カー――K量子市/アルカヌム――秘儀市/私の幻想都市/フランス語版あとがき/スペイン語版まえがき/πへの道――アーシュラ・K・ル=グイン:英語版序文/訳者あとがき/解説=酉島伝法 -
こうしてイギリスから熊がいなくなりました
電灯もオイル・ランプもなく、夜がまだ謎めいていたころ、森を忍び歩く悪魔として恐れられた「精霊熊」。死者のための供物を食べさせられ、故人の罪を押しつけられた「罪食い熊」。スポットライトを浴びせられ、人間の服装で綱渡りをさせられた「サーカスの熊」。ロンドンの下水道で、雨水や汚れを川まで流す労役につかされた「下水熊」。──現在のイギリスに、この愛おしい熊たちはいません。彼らはなぜ、どのようにしていなくなったのでしょう。『10の奇妙な話』の著者であるブッカー賞最終候補作家が皮肉とユーモアを交えて紡ぐ8つの物語。/【目次】1 精霊熊/2 罪食い熊/3 鎖につながれた熊/4 サーカスの熊/5 下水熊/6 市民熊/7 夜の熊/8 偉大なる熊(グレート・ベア)/訳者あとがき/解説=酉島伝法 -
10の奇妙な話
命を助けた若者に、つらい人生を歩んできたゆえの奇怪な風貌を罵倒され、心が折れてしまった老姉妹。10年の長きにわたり、部屋で安らかに眠り続ける少年。屋敷の敷地内に薄暗い洞窟を持つ金持ち夫婦に雇われて、“隠者”となった男。“蝶の修理屋”を志し、古物店で見つけた手術道具を使って博物館に展示されている標本の蝶を蘇らせようとする少年。家の近くの丘で掘り出した骨を集め、ネックレスを作る少女。――ブッカー賞最終候補作の著者が、日常と異常の境を越えてしまい異様な事態を引き起こした人々を描く、奇妙で愛おしい珠玉の短編集。/【目次】ピアース姉妹/眠れる少年/地下をゆく舟/蝶の修理屋/隠者求む/宇宙人にさらわれた/骨集めの娘/もはや跡形もなく/川を渡る/ボタン泥棒/訳者あとがき/解説=石井千湖 -
不思議の国の少女たち
そこはとても奇妙な学校だった。入学してくるのは、妖精界や菓子の国へ行った、不思議の国のアリスのような少年少女ばかり。彼らは戻ってはきたものの、もう一度彼らの“不思議の国”に帰りたいと切望している。ここは、そんな少年少女が現実と折り合っていくすべを教える学校なのだ。死者の殿堂に行った少女ナンシーも、そんなひとりだった。ところが死者の世界に行ってきた彼女の存在に触発されたかのように、不気味な事件が起き……。不思議の国のアリスたちのその後を描いた、ヒューゴー、ネビュラ、ローカス賞受賞のファンタジー3部作開幕。 -
クリスマスのフロスト
【第1位『週刊文春』1994年ミステリーベスト10】クライヴは内心腐っていた。刑事に昇進したのも束の間、栄光のロンドンから七十マイル以上離れたこんな田舎町に配属になるとは。だが、悲嘆にくれている暇はない。じきにクリスマスだというのに、日曜学校からの帰途失踪した八歳の少女、銀行の正面玄関を深夜金梃でこじ開けようとする謎の人物など、市には大小様々な難問が持ちあがる。いや。最大の難問は、不撓不屈の仕事中毒にして、死体と女の話をこよなく愛する、上司のフロスト警部であったかもしれない……。続発する難事件をまえに下品きわまる名物警部が奮闘する、風変わりなデビュー作! -
赤い館の秘密
長閑な夏の昼下がり、田舎の名士の屋敷、赤い館で一発の銃声が轟いた。死んだのは、オーストラリアから15年ぶりに館の主マークを訪ねてきた兄ロバート。死体を発見したのは館の管理を任されているマークの従弟ケイリーと、館に滞在中の友人を訪ねてきた青年ギリンガムだった。発見時の状況から一緒にいたはずのマークに疑いがかかるが、肝心のマークの行方は杳として知れない。興味を惹かれたギリンガムは、友人ベヴァリーをワトスン役に、事件を調べ始める。『クマのプーさん』で有名な英国の劇作家ミルンが書いた長編探偵小説、新訳決定版。/解説=加納朋子 -
アルバトロスは羽ばたかない
海を望む街に建つ児童養護施設・七海学園に勤めて三年目となる保育士の北沢春菜は、毎日多忙な仕事に追われつつも、学園の日常に起きるささやかながら不可思議な事件の解明に励んでいた。そんな慌ただしくも幸せな日々に、学園の少年少女が通う高校の文化祭の日に起きた、校舎屋上からの転落事件が影を落とす。警察の見解通り、これは単なる不慮の事故なのか? だが、この件に先立つ春から晩秋にかけて春菜が奔走した、学園の子どもたちに関わる四つの事件に、意外な真相に繋がる重要な手がかりが隠されていた――鮎川哲也賞受賞作『七つの海を照らす星』に続く清新な本格ミステリ。/解説=千街晶之 -
007/ロシアから愛をこめて【井上一夫訳】
ソ連情報部は、このところの失策続きを、なんとか挽回しようとしていた。そこで槍玉に挙げられたのが、英国秘密情報部。なかでも腕利きのスパイとして知られる、007ことジェームズ・ボンドだった。こうしてソ連の公式殺人機関スメルシュの、ジェームズ・ボンドに対する死刑執行計画が動き始める。舞台はイスタンブール。ヨーロッパとアジアが交わる混沌とした街。ボンドに恋するソ連情報部の美女との、豪華なオリエント急行での逃避行。二重三重に仕かけられた巧妙な罠に、さしものジェームズ・ボンドも、次第に搦めとられていく。シリーズ最高峰の傑作。/解説=戸川安宣 -
サマー・アポカリプス
ラルース家事件の傷心を癒しきれないナディアは、炎暑のパリで見えざる敵の銃弾を受けたカケルに同行し南仏地方を訪れる。風光を愛でる暇もなく、心惹かれる青年と過ごす夏期休暇は、ヨハネ黙示録を主題とした連続殺人の真相究明行へと一変する。二度殺された死体、見立て、古城の密室殺人、秘宝伝説、いわくある過去……絢爛に鏤められたモチーフの数々が異端カタリ派の聖地というカンヴァスに描き出されるとき、本格探偵小説の饗応は、時空を超えて読む者を陶酔の彼岸へ誘わずにはいない。口笛が〈大地の歌〉を奏で、二重底に隠された最後のからくりを闡明する瞬間まで、探偵の座を明け渡す矢吹駆。その真意はいずこに?/解説=奥泉 光 -
少女地獄 夢野久作傑作集
書簡体形式などを用いた独自の文体で読者を幻惑する、唯一無二の怪奇探偵小説の巨匠・夢野久作。その入門書にふさわしい四編を収録した傑作集を贈る。ロシア革命直後に語られる数奇な話「死後の恋」。南の島に流された幼い兄妹の悲劇を綴る「瓶詰の地獄」。満州を舞台に、日本兵と異国の少女の逃避行を描く「氷の涯」。虚言癖の少女、命懸けの恋に落ちた少女、復讐に身を焦がす少女の三人を主人公にしたオムニバス「少女地獄」。『黒死館殺人事件』『虚無への供物』と並ぶ、不朽の大作『ドグラ・マグラ』の著者の真骨頂を示すベスト・オブ・ベスト。/解説=戸川安宣 -
病める狐
ドーセットにあるさびれた小村、シェンステッドでは、不穏の種がひそかに植えつけられていた。何者かによる動物の虐殺、数ヵ月前に起きた村の老婦人の不審死に対してささやかれる噂、村の一角にある〈雑木林〉を占拠した移動生活者(トラヴェラー)の一団。それらの背後には、フォックス・イーヴルと名乗る謎の男の影があった。人々の緊張は静かに高まりつづけ、そしてついにクリスマスの翌日、ひとりの訪問者が村を訪れたときに、事態は予想外の形で大きく動きだす……。現代英国ミステリの女王ウォルターズが、圧倒的な筆力で書きあげた、CWA最優秀長編賞受賞作。 -
夜愁
1947年、ロンドン。第二次世界大戦の爪痕が残る街で、人々はしぶとく毎日を生きていた。戦争を通じて巡り合ったケイ、ジュリアとその同居人のヘレン、ヴィヴとダンカンの姉弟たちも。今日もまた、一日が終わり――夜が来る。彼女たちが積み重ねてきた歳月を、容赦なく引きはがす夜が。想いは過去へとさかのぼり、隠された真実を、心の傷を、さらけ出していく。『半身』『荊の城』で示したたぐい稀なる語り口にはさらに磨きがかかり、読者をとらえて放さない。ウォーターズが贈る、めくるめく物語が、いまここに。ブッカー賞、オレンジ賞最終候補作。 -
黒のクイーン
ウィーンに住むフリーランスの保険調査専門探偵ホガートは、大手国際保険会社支社長からある依頼を受けた。ウィーンの美術館がプラハの展覧会に貸し出した絵画が焼失、調査に派遣した絵画専門の調査員は、焼失した絵画はすり替えられた偽物だったとの報告を残し行方不明になった。その調査員を見つけだしてほしいというのだ。プラハに飛んだホガートは、ひとりの女探偵に出会う。彼女が調査しているプラハの連続殺人事件の話を聞くうち、ホガートはとんでもない事実に気づく。『夏を殺す少女』で衝撃的なデビューを飾った、オーストリア・ミステリの名手が仕掛ける巧妙な罠とは? -
透明な一日
十四年前に発生した連続放火事件。その中で能勢幸春と竹島千鶴はそれぞれの母を失った。後に再会した二人は交際を始め、千鶴が妊娠、幸春は結婚の承諾を得るため千鶴の父・久信に会いに行くが、久信は交通事故で記憶障害──前向性健忘に陥り、事故以来六年もの間毎日同じ日を繰り返していた。対面の数日後、幸春の知人で放火事件の関係者でもあった木村泰典が、公園で頭から血を流して倒れているのを発見される。当初は強盗事件と思われたものの、悲劇はこれだけでは終わらなかった……。次第に疑心暗鬼に駆られてゆく幸春と千鶴の未来の行方は? 鬼才が放つ驚愕と感動のミステリ。 -
帝都一の下宿屋
時は明治──銀座は南紺屋町に、「静修館」という古いけれど居心地のいい下宿屋がある。大家の梨木桃介はまだ若いが無類の世話好きで、料理をはじめ家事万端を見事にこなす界隈の名物男だった。その働きぶりの前では、下宿人のひとりである小説家の仙道湧水も我が儘を封印し、規則正しく生活するほどだ。そんな静修館には、なにかと謎が持ち込まれる。桃介も愛用する醤油にかけられた偽装疑惑、好条件にもかかわらず借り手が決まらない貸家。「先生なら助けてあげられるかもしれないね」という桃介の一言に促され、湧水は謎解きに奔走するが……。/【目次】永遠の市/障子張り替えの名手/怪しの家/妖怪白湯気 -
〈歌人探偵定家〉シリーズ
一一八六年。平家一門の生き残りである、亡き平頼盛の長男・保盛はある日、都の松木立で女のバラバラ死体が発見された現場に遭遇する。生首には紫式部の和歌「めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに 雲隠れにし 夜半(よは)の月かな」が書かれた札が針で留められていた。そこに現れた、保盛の友人で和歌を愛してやまない青年歌人・藤原定家は「屍に添えて和歌を汚す者は許せん」と憤慨。死体を検分する能力のある保盛を巻きこみ、事件解決に乗り出す! 後に『小倉百人一首』に選出された和歌の絡む五つの謎を、異色のバディが解く連作ミステリ。/【目次】一 くもがくれにし よはのつきかな/二 かこちがほなる わがなみだかな/三 からくれなゐに みづくくるとは/四 もみぢのにしき かみのまにまに/五 しのぶることの よわりもぞする/単行本版あとがき/参考文献・史料/解説=千街晶之 -
〈妖怪の子、育てます〉
妖力を分け与えるためとはいえ、妖怪奉行所東の地宮のお奉行月夜公が犬猿の仲である朔ノ宮に口づけしたという事件は、あっというまに噂好きの妖たちの間に広まった。そこで黙っていられなくなったのが、日頃朔ノ宮に熱をあげていたやもりの妖怪白守だ。月夜公に果たし状を送っても相手にされず、送りつけた大量の文もすべて黙殺され、怒り心頭に発した白守はついに最終手段にでることに……。果たしてその顛末は? 妖怪の子預かり屋の青年弥助、養い子の千吉と妖たちの、愉快でほろ苦く心に響くエピソードをつないだ、人気シリーズ第6弾。 -
眠れない夜にみる夢は
三人は同じ日に出会い、恋に落ちた。俺は彼女に。彼女はあの男に。そして、あの男が恋をした相手は俺だった。なぜ俺なのか、とあの男に訊いてみた。健やかな馬鹿がタイプなのだという。それって悪口じゃないのか? それはともかく俺たちの一方通行の三角関係は、しかしそれほど時間を置くこともなく、べつのものへと姿を変えていった(「明日世界は終わらない」)。せつなかったり、さびしかったり、困ったりしている愛すべき人たちが、右往左往しながら新しい関係を築いてゆく珠玉の六編を収録する。新作を発表するごとに注目度が高まる俊英による、軽やかでメランコリックな作品集。/【目次】なにも傷つけないように、おやすみ/明日世界は終わらない/不自由な大人たち/家族の事情/砂が落ちきる/単行本版あとがき/【文庫版ボーナス・トラック】そしてゆっくりと眠る -
〈ときときチャンネル〉シリーズ
十時さくらは配信サービス《ときときチャンネル》で同居人のマッドサイエンティスト・多田羅未貴の発明を紹介し、収益化して生活費の足しにすることを目指す。マグカップで宇宙を飲む? 時間の結晶を飼う? 無限に拡張していく家の中で迷子? 外ロケに出たら異世界へ入り込み、通販でエキゾチック物質をお取り寄せ! 多田羅の発明品が巻き起こすトラブルもこみで、ゆるやかに楽しくお届けします。目指せチャンネル登録者数1000人! 全編配信口調と視聴者コメントで語られる新感覚の百合配信者SF。/【目次】#1【宇宙飲んでみた】/#2【時間飼ってみた】/#3【家の外なくしてみた】/#4【近所の異世界散歩してみた】/#5【エキゾチック物質雑談してみた】/#6【登録者数完全破壊してみた】 -
山伏地蔵坊の放浪
洒落者の猫井は紳士服店の若旦那、禿頭が眩しい藪歯医者の三島に写真館の床川夫妻、そしてレンタルビデオ屋の僕、青野良児。年齢も職業もまちまちな僕らは、土曜の夜になるとダンディなマスターの店『えいぷりる』に集い、地蔵坊先生の話を聴く。この先生、鈴懸に笈を背負い金剛杖や法螺貝を携え……と十二道具に身を固めた正真正銘の山伏なのだ。放浪中の体験談といって披露してくれるのは、およそ実話とは思えない怪しい事件揃い。額面通りに受け取れば、彼はさながら遍歴する名探偵だが。さて、眉に唾をつけつつ今宵も幕を開けるとしよう――「面白そうですね。ぜひ聞かせてください」/【目次】第一話 ローカル線とシンデレラ/第二話 仮装パーティーの館/第三話 崖の教祖/第四話 毒の晩餐会/第五話 死ぬ時はひとり/第六話 割れたガラス窓/第七話 天馬博士の昇天/あとがき/文庫版あとがき/解説=戸川安宣 -
屋上物語
デパートの屋上、それはかつて人々の憩いの場であった。遊園地あり、レストランあり、舞台でのショーありと、まさにエンターテインメントの集う場所だった。とあるターミナル駅に隣接する有名デパートの屋上には、知る人ぞ知る讃岐うどんの名店がある。老若男女のファンが、安くてうまいうどんの味を求めてやって来るが、同時に不思議な謎や事件も集まってくるのだ。うどんを提供するのと同様に、素早く謎解きするのは、通称「さくら婆ァ」。デパートの屋上で繰り広げられる様々な人間模様を、魔術師・北森鴻が丁寧に描いた8篇を収録した、連作ミステリ。装いも新たに贈る、決定版。/【目次】はじまりの物語/波紋のあとさき/SOS・SOS・PHS/挑戦者の憂鬱/帰れない場所/その一日/楽園の終わり/タクのいる風景/解説=愛川晶/創元推理文庫版解説=村上貴史 -
あれは子どものための歌
因縁のある旅人と8年ぶりに再会した料理人、飢餓に苦しむ国を救った謎の商人、不思議なナイフで自らの“影”を切り離した男――並行して語られる3人の話が終盤でひとつになり、驚愕の真相が浮かび上がる第七回ミステリーズ!新人賞佳作「商人の空誓文」。どんな賭けにも負けない力を得た少女をめぐる表題作。その他、あらゆる傷を跡形なく消し去る名医の秘密を暴く「対岸の火事」など全5編を収録。“この世の理(ことわり)に背く力”と契約した者たちが起こす事件や陰謀に、人間が知恵と推理で立ち向かう! 架空の異国を舞台に贈る、傑作連作ミステリ。/【目次】「商人の空誓文」3つのエピソードに隠された真相とは?/「あれは子どものための歌」どんな賭けにも負けない力を得た少女の運命は?/「対岸の火事」あらゆる傷を跡形なく消し去る名医の治療法とは?/「ふたたび、初めての恋」宿屋を訪れた男女が抱える秘密とは?/「諸刃の剣」国同士の開戦を止める方法とは何か?/あとがき/解説=宇田川拓也 -
惑星カザンの桜
地球から一万光年離れた惑星カザンで、文明の急激な成長と滅亡が観測される。すでにワープ航法を手にしていた人類が、急遽この星へと送り込んだ調査チームの750名は、到着後完全に消息を絶った。カザン文明はいかにして滅び、先遣隊はなぜ遭難したのか? 原因究明のため地球を出発した第二次調査隊は、文明の痕跡が残る衛星の調査ののち、厳重な警戒態勢のもと惑星地表へ降り立つ。降下メンバーには最愛の妻である蒼井をかつて喪った、カザン文明調査班班長・吉野の姿もあった──現代宇宙SFの旗手が描く、緊迫のファースト・コンタクトSF。 -
神々の歩法
一面の砂漠と化した北京。廃墟となった紫禁城に、アメリカ軍の最新鋭戦争サイボーグ部隊が降り立った。標的は、魚座の超新星爆発の影響で吹き飛ばされた高次元知性体が、地球に落下し人間と融合した“憑依体”。その圧倒的な戦闘能力に対し、なす術もなく倒れゆく部隊員たちの眼前に、突如青い炎を曳いて少女ニーナが現れた。自身も憑依体となりながら理性を保つニーナの協力を得て、部隊員たちは世界各地に現れる憑依体に挑んでいく……。〈裏世界ピクニック〉著者による、第6回創元SF短編賞受賞作にはじまる本格アクションSF連作長編!/【目次】神々の歩法/草原のサンタ・ムエルテ/エレファントな宇宙/レッド・ムーン・ライジング/単行本版あとがき/文庫版追記/解説=堺三保/カバー+本文イラスト=窓口基(『東京入星管理局』他) -
〈邪馬台国はどこですか?〉シリーズ
来日中のペンシルベニア大学教授ジョゼフ・ハートマンは、古代史の世界的権威。同じく歴史学者である早乙女静香と京都へ旅行しようとしてはキャンセルの憂き目に遭い、毎晩うらぶれたバーで飲むことに。しかし、バーテンダー松永の供する酒肴に舌鼓を打ちつつ聴く宮田六郎と静香の歴史検証バトルは、不満を補って余りある面白さであった。アトランティス大陸、ストーンヘンジ、ピラミッド、ノアの方舟、始皇帝、ナスカの地上絵、モアイ像――七つの不思議を俎上に載せ、常識を覆す新解釈を披露。好評嘖嘖たる奇想天外なデビュー作品集『邪馬台国はどこですか?』の姉妹編、ここに登場!/【目次】アトランティス大陸の不思議/ストーンヘンジの不思議/ピラミッドの不思議/ノアの方舟の不思議/始皇帝の不思議/ナスカの地上絵の不思議/モアイ像の不思議/*本電子書籍は『新・世界の七不思議』(創元推理文庫 新装新版 2024年8月30日初版発行)を底本としています。 -
とらすの子
「とらすの会」の人は皆優しくて、居心地が良かったです。特にマレ様なんて嘘みたいに綺麗で、悩みを聞いて抱きしめてくれました。でも“会議”では、誰かが「許せない人」への恨みをマレ様に訴えて、周りの人たちも口々に煽って……翌日、その人は死体で見つかるんです。それが怖くて行かなくなったら、裏切者って責められて……。時間がないです、私、殺されます──錯乱する少女は、オカルト雑誌のライター・美羽の眼前で、爆発するように血肉を散らして死んだ。スクープを狙った美羽は「とらすの会」を訪ねるが、マレ様と出会うことで想像を絶する奈落へと突き落とされる──。/解説=織守きょうや -
ボーンヤードは語らない
U国A州の空軍基地にある『飛行機の墓場(ボーンヤード)』で、兵士の変死体が発見された。謎めいた死の状況、浮かび上がる軍用機部品の横流し疑惑。空軍少佐のジョンは、士官候補生時代のある心残りから、フラッグスタッフ署の刑事・マリアと漣へ非公式に事件解決への協力を請う。実は引き受けたマリアたちにも、過去に対峙した事件への苦い後悔があった。高校生の漣が遭遇した雪密室の殺人。ハイスクール時代のマリアが挑んだ、雨の夜の墜落事件の謎。そしてバディを組んだ二人が初めて捜査した、緊急通報があった家庭での悲劇の真相は? シリーズ初短編集。/【目次】ボーンヤードは語らない/赤鉛筆は要らない/レッドデビルは知らない/スケープシープは笑わない/解説=香山二三郎 -
〈竜泉家の一族〉シリーズ
マイスター・ホラを名乗る者の声に導かれ、2018年から1960年にタイムトラベルした加茂。瀕死の妻を救うためには、彼女の祖先である竜泉家の人々が殺害され、さらにその後土砂崩れにより一族のほとんどが亡くなった『死野の惨劇』の真相を解明し、阻止しなくてはならないのだという。惨劇が幕を開けた竜泉家の別荘で加茂に立ちはだかるのは、飾られていた絵画『キマイラ』に見立てたかのような不可能殺人の数々だった。果たして彼は、竜泉家の一族を呪いから解き放つことができるのか。今最も注目される本格ミステリの書き手が放つ、鮮烈なデビュー作! 第29回鮎川哲也賞受賞作。/解説=辻真先 -
平家物語推理抄
一一八三年、源氏の木曾義仲軍が平家を破って都入りした。しかし、平清盛の異母弟・平頼盛は都落ちした一門と決別し、都に留まっていた。そんな頼盛は、彼を知恵者と聞いた義仲に「首がない五つの屍から恩人の屍を特定してほしい」と依頼され……。第15回ミステリーズ!新人賞受賞作「屍実盛」ほか全5編。清盛が都に放った童子は、なぜ惨殺されたのか? 遠く離れた場所にいたはずの大姫が、父・源頼朝の話の内容を言い当てられた秘密とは? 平清盛や源頼朝などの権力者たちと対峙しながら、推理力を武器に生き抜いた頼盛の生涯を描く連作集。/【目次】禿髪(かぶろ)殺し/葵前(あおいのまえ)哀れ/屍実盛(かばねさねもり)/弔千手(とむらいせんじゅ)/六代(ろくだい)秘話/あとがき/参考文献/解説=細谷正充 -
執着者
平穏な家庭に育ち、26年間大きな恐怖に襲われたことがなかった会社員・友安小輪の生活は、ある日を境に一変した。恋人と同棲するアパートに突然謎の老人が現われ、執拗ないやがらせを始めたのだ。恋人は不自然に萎縮し、交番の警官はまともに取り合おうとしない。一方、都内に住む若夫婦が老人に襲撃され、夫は過剰殺傷の末に死亡、妻が攫われるという事件が起きる。幼い頃に姉を殺害されたことがきっかけで刑事になった“事件マニア”の佐坂湘は、くせ者ながら優秀な警視庁捜査一課の捜査官・北野谷輝巳と組み、妻の行方を追うが……。老人による不可解な犯罪、その先に待つ衝撃の結末とは。戦慄のサイコサスペンス。/解説=古山裕樹 -
自由研究には向かない殺人
高校生のピップにある招待状が届いた。高校卒業および大学受験に必要な試験のひとつが終わった6月末、友人宅で架空の殺人事件の犯人当てゲームが開催されるという。舞台は1924年の孤島に建つ大富豪の館という設定だ。参加者は同級生とその兄の7人。ゲーム開始早々、館の主が心臓を刺されて殺されているのが発見される。試験後に着手すべき自由研究が気になり、当初は乗り気でなかったピップは、次第に夢中になり、主の姪に扮してゲームを進めていく。ピップの明快な推理を堪能できる、爽やかで楽しい『自由研究には向かない殺人』前日譚!/解説=瀧井朝世 -
福家警部補の考察
パスタを一本つまみ上げ、噛んでみる。まだ少し早い。水洗いしてボウルに入れておいたレタスに手を伸ばそうとしたとき、金属音と、それに続いて重いものが屋根を転がり落ちていく音が聞こえた。誠が屋根から落ちたのだ。もう少し待ってくれてもいいじゃないの、パスタが無駄になっちゃうわ。いつも間が悪いんだから――夫の“事故死”をめぐり、一見おっとりした妻の中本さゆりと福家警部補が熾烈な心理戦を繰り広げる「上品な魔女」ほか三編を収録。類稀な洞察力を駆使して容疑者たちと対峙する警察官名探偵の活躍を描き、現代の倒叙ミステリを代表するシリーズに成長した〈福家警部補の事件簿〉第五集。/【目次】是枝哲の敗北/上品な魔女/安息の場所/東京駅発6時00分 のぞみ1号博多行き/解説=小出和代 -
刑事何森 孤高の相貌
埼玉県警の何森稔(いずもりみのる)は、昔気質の一匹狼の刑事である。有能だが、組織に迎合しない態度を疎まれ、所轄署をたらいまわしにされていた。久喜署に所属していたある日、何森は殺人事件の捜査に加わる。車椅子の娘と暮らす母親が、二階の部屋で何者かに殺害された事件だ。階段を上がれない娘は大きな物音を聞いて怖くなり、ケースワーカーを呼んで通報してもらったのだという。県内で多発している窃盗事件との関連を疑う捜査本部の見立てに疑問を持った何森は、ひとり独自の捜査を始めていく――。〈デフ・ヴォイス〉シリーズ随一の人気キャラクター・何森刑事が活躍する連作ミステリ第1弾。/【目次】二階の死体/灰色でなく/ロスト/あとがき/解説=杉江松恋 -
ポテトとスーパー
高校3年生になった牧薩次と可能キリコのふたり。学業にそれぞれのクラブでの活動にと、青春を謳歌していた。大学受験直前の秋、彼らが通う西郊高校きっての秀才が校舎の3階から校庭に飛び降りた、はずなのに……。その遺体が発見されたのは、事件発覚から4時間も経ってからだった! さらに、クリスマス・パーティー会場での第二の事件。ともに校歌に沿った亡くなり方だと、薩次は気づく。“受験戦争”という言葉が一世を風靡した時代、ふたつの見立て殺人の真相とは? 『仮題・中学殺人事件』『盗作・高校殺人事件』に続く、シリーズ第3弾。/解説=市川憂人